モートン予言とサラ・ホフマンをつなぐもの
モートン予言とサラ・ホフマン
このブログでもすでに書いたように、ショーン・デービット・モートンは9月に始めに公表したニュースレターで以下のように予言した。
「連邦銀行は2006年3月以降、世界に流通しているドルの総額を示すM3レポートの公表を中止しているが、連銀の最後のレポートの数値からみて一年で35%のインフレ率だと想定できる。ブッシュ政権や連銀はこれをひた隠しに隠しているが、これは早晩明らかになるだろう。この結果、ドルは暴落し米国債もほとんど紙くずと化す。ドルの暴落以降基軸通貨としてのドルは放棄され、米国政府はかねてから準備していたAMEROが導入される。経済崩壊は、マヤカレンダーのコルマンインデックスのNight5にあたる11月17日前後に起こるはずだ。2008年のアメリカは地獄をみるだろう。」
また、サラ・ホフマンは1979年に以下のように幻視していた。
「次に見た光景は、これからしばらくすると、商業も、ショッピングも、購買もなくなり経済というものがなくなっている光景でした。経済は全面的に崩壊し、誰もお金は持っていませんでした」
もしこのような予言が両方ともこれから起こるであろう未来の現実の同じ側面を語っているとするなら、モートンが予言する「35%のインフレ率」がなぜそんなに悪いものであり、それがホフマンの「経済は全面的に崩壊し、誰もお金は持っていませんでした」という状況にいたるのかもう少し具体的に把握しておいたほうがよいだろう。もしこうした予言が本当に的中するものなら、われわれは未来に予想できる大きな変動に備えなければならないからである。
いまのところどうもモートン予言で予告された事態はどんどん進行中であるとみたほうがよさそうだ。
大幅赤字の米国大手金融機関
最近、米国投資銀行の第3四半期決算が公表されたが、サブプライムローン関連の損失が表面化して大幅の減益になっていることが明らかになった。特に米シティーグループの損失は巨額に及ぶ。
「ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米シティグループ(NYSE:C)は1日、今年の信用市場の混乱の影響で7-9月期に59億ドルの特別費用を計上することになるとの見通しを明らかにした。これにより、同四半期の利益は前年同期に比べ60%減少するとみられるとしている。」
シティグループだけではない。他の大手金融グループも軒並み大幅な損失を出している。詳しくは「米国投資銀行の第3四半期決算」を参照していただきたいが大要は以下のようになっている。
「(1)市場で注目されていた米国の主要投資銀行4行の第3四半期(6~8月期)決算が出揃った。ベアー・スターンズの純利益が前年同期比60.9%減と落ち込んだのを始め、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズも減益に。サブプライムローン関連を中心とする損失の計上が収益を圧迫。なお、サブプライムローン関連商品への依存が他行に比べて高いベアー・スターンズは前期から2四半期連続の減益。
(2)サブプライムローン関連の損失が計上された債券トレーディング業務の純収入は、3行とも前年同期比マイナス。とりわけベアー・スターンズは同87.6%減と減収幅が大。なお、損失の具体的な内訳は不明。
(3)モルガン・スタンレーはゴールドマン・サックスとともに事業内容が分散しているため、サブプライムローン関連の痛手は比較的小さいと事前に予想。しかし、実際にはLBO関連やクウォンツ取引など他の事業分野でも損失を出したことから、減益を回避できず。
(4)この3行とは対照的に、ゴールドマン・サックスは同79.0%増と過去二番目の大幅増益を記録。ゴールドマンのサブプライムローン関連の損失は14.8億ドルと4行の中でもっとも多かったものの、その一方で①投資銀行業務をはじめとする他業務が好調だった、②住宅ローン関連で価格下落を見込んだショート(空売り)ポジションをとっていた、③電力会社の売却益9億ドルを計上した、などによって損失を大きく上回る収益を確保。」
さらにメリルリンチも大幅な損失を計上した。
「米証券大手メリルリンチは5日、今月24日に発表する7~9月期決算で、低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題にともなう評価損を約55億ドル(約6400億円)計上し、赤字に転落する見通しになったと発表した。価値が急落したサブプライム関連の証券化商品などを時価評価して損失が膨らむ。ほかの米証券大手4社はすでに6~8月期決算を発表。うち3社は減益だったが、黒字は確保していた。」
金融機関の大幅な損失から市場が暴落するのを防ぐために、米連邦準備理事会(FRB)はじめイギリス、EUなどの各国の中央銀行は短期資本市場に大量の資金を投入した。9月27日の記事だ。
「米連邦準備理事会(FRB)は27日、傘下のニューヨーク連銀を通じ、4回に分けて合計380億ドル(約4兆4000億円)の資金を短期金融市場に供給した。サブプライム問題を発端とする金融不安が広がった8月10日の規模に並び、米同時テロ発生直後に当たる2001年9 月19日の503億5000万ドル以来の大量供給となった。」
米連邦準備理事会はその後も継続して大量の資金を投入している。資金の投入は買いオペといわれる金融的操作で、中央銀行が膨大な額の国債や様々な政府機関債、そして一般の証券などを購買することで行われる。要するに中央銀行が自ら最大の投資家となることで市場の暴落を防ぐのである。このため、株価は下がらずむしろ一時的であっても上昇する。
モートンの警告
9月始めの予言で、モートンは中央銀行のこうした大量の資金供給の政策が大幅なインフレの原因となり、これが米国経済を崩壊させ、極端なドル安から基軸通貨としてのドルが放棄されてAMEROに移行すると警告しているのだ。
ではなぜインフレが経済崩壊とドル安を引き起こすのだろうか?今後の展開のために、これを少し詳しく説明しておいたほうがよいかもしれない。
怖くないインフレと怖いインフレ
インフレは物の値段が上がる現象だが、それには怖くないインフレと怖いインフレがあるとされる。
まず怖くないインフレだが、これは経済の実質的な成長に伴って起こる現象である。たいてい好景気は、新しい製品群やその市場の拡大を当てにした生産拡大のための巨額の設備投資(工場やプラント、生産ラインの建設)から始まるとされる。設備投資が様々な産業に広まるにしたがって雇用は伸びる。労働力の需要が大きくなるのでそれにともない賃金が伸びる。賃金の伸びは国内消費の伸びを呼び起こし、これに伴いものの価格が次第に上昇するというのが怖くないインフレである。これを示すと以下のような図式になる。
怖くないインフレ
生産拡大にともなう設備投資→雇用の伸び→賃金の伸び→国内消費の伸び→物価の穏やかな上昇
このように、怖くないインフレは経済成長がもたらす必然的な現象である。それはせいぜい1%から2%程度のインフレだ。好景気が継続するとさらに賃金が上昇するのでさほど怖くはない。むしろ緩やかなインフレが続いていることは経済が実質的に成長している証である。
これに対して怖いインフレとは経済成長を伴わないインフレである。
ものの価格が上昇することをインフレという。なのでインフレは貨幣の価値が低下することを意味する。いままで1000円で買えたものが2000円になるということは、1000円の価値が半分になったということを意味する。これは賃金の上昇からものの需要が伸びることによってもたらされるだけではなく、市場に流通する貨幣の量が単純に増大することによってももたらされる。つまり、たとえば流通する貨幣の量が2倍になれば、それとともに貨幣価値は低落しものの価格は上昇するということだ。
このような、貨幣の量の増大に基づき経済成長を伴わないインフレは大変に危険であるとされる。まず、貨幣量の増大が原因なのでインフレ率はかなり高くなる可能性がある。10%を超え、20%から30%のインフレもあり得るのだ。事実、先進国でも過去何度もこのようなインフレが起こった。
経済成長を伴わない高いインフレ率は国民の生活水準を圧迫する原因となる。経済が成長していないとき、雇用の需要は伸びないのだから賃金を上昇させる要因は存在しない。ものの価格は一方的に上昇する。この結果、国民の生活水準は大きく低下し、国内の消費は冷え込む。
インフレ率が利益率を超える
だがインフレ率が企業の利益率を超える水準にまで達すると、生産の急激な縮小が始まり経済は危機的な状態に達する。日本でも1973年から74年までのオイルショック期にこのようなことが起こった。
なぜこうしたことになるかというと、われわれの住む資本主義の社会は、すべての生産活動が利益の最大化を目的にする営利企業によって行われるからだ。
営利企業にとって投資の指標になるのは利益率である。どの企業も、最大の利益率が得られる投資計画をたてる。高い利益率が期待できる産業分野には投資が集まり生産が拡大するが、そうでない分野では投資は撤退し生産は縮小する。このようにして経済は調整されている。
だがインフレ率が利益率よりも高い場合はどうであろうか?たとえば利益率が10%でインフレ率が30%であれば、産業分野に投資してものを生産するよりも、将来大幅な値上がりが期待できる製品を大量に買い込み、後に高値で販売したほうがはるかに利益があがることは間違いない。1973年のオイルショック時にトイレットペーパを初めとする多くの製品で「買占め」が発生し、物価の極端な上昇から「狂乱物価」といわれたのはこのような事態だった。利益を優先せざるを得ない営利企業が社会の全生産活動を担っている資本主義の社会では避けられない事態である。最悪のケースでは生産活動は大幅に縮小し、通りには失業者があふれるようなことになる。
一方政府はこのような事態に陥ることをなんとか阻止するために、利子率を大幅に上げる。利子率の上昇は、企業や個人が金融機関から資金を借りにくくさせるので、市場に出回る貨幣の量を減少させる効果がある。
しかしこれは、ただでさえ生活水準の低下にあえいでいる国民をさらに苦しめることになる。利子率の上昇により毎月のローンの支払いは一気に上昇するだけではなく、景気をさらに悪化させ、雇用をさらに縮小させる悪循環を引き起こす。
このように見てゆくと経済成長を伴わないインフレは現代社会のガンであるといえるだろう。以上を図式化すると以下のようになる。
怖いインフレ
貨幣量の増加→貨幣価値の低下→高いインフレ率→インフレ率が利益率を超える→生産の縮小→生活水準の低下
このような事態は、第一次大戦後のドイツ、敗戦直後の日本、そしてオイルショック時の日本、60年代の終わりから70年代のアメリカやイギリスなどのスタグフレーションなど過去何度も起こっている。この15年間でもアルゼンチンやブラジルなど数多くの例が存在している。それは経済破綻であった。まさにホフマンが見た「次に見た光景は、これからしばらくすると、商業も、ショッピングも、購買もなくなり経済というものがなくなっている光景でした。経済は全面的に崩壊し、誰もお金は持っていませんでした。」という光景が実際に現実化した姿だった。
35%のインフレ率
モートンが警告していることは、今回のサブプライムローンの破綻に起因する大手金融機関の破綻によってあまりに大量の資金が市場に投入されたため、今後インフレ率がかつてないほどの上昇するだろうということなのだ。もしモートンのいうようにインフレ率が本当に35%もの高水準に達すると、ホフマンの幻視のように経済は崩壊に瀕する。多くの企業の利益率はたかだか10%から15%程度だからだ。
本当にこのようなことが将来起こるのだろうか?
インフレ率を抑制するもの
ではこのような経済の成長を伴わないインフレを抑制できる要因はないのだろうか?その要因は経済の成長そのものである。
もし中国などの新興国の高成長が継続している場合、この需要を当て込んだ設備投資やその他の投資は活発化する。新たな投資による生産設備は新しいテクノロジーの導入によって行われるため、製品の大幅な価格低下をもたらす。最近のコンピュータの価格などはそのもっともよい例だ。当然、激化する競争も製品の価格低下に拍車をかける。このため、経済の成長が継続しているときは、たとえインフレ率が一時的に高くなったとしても、製品の価格低下によってインフレ率を押さえ込むことができるのである。
さらに、経済成長は雇用を増大させるので、賃金は上昇に転じ国民の生活水準は上昇する。これは国内消費を増加させるので好景気はさらに持続することになる。図式化すると以下のようになる。
中国やインドなど新興国の経済成長→生産的な投資の活発化→製品価格の低下→一時は高かったインフレ率の押さえ込み→国民の生活水準の上昇→国内消費の伸び→経済成長の持続
どちらに転ぶのか?
われわれはいまどうも二股に分かれた道の中間に立っているようである。モートンやホフマン予言の方向に進むのだろうか?それとも経済成長の持続によってインフレを押さえ込む方向に向かっているのだろうか?
論者の間でも意見は真っ二つに分かれているように思う。
ロバート・シラー教授。上院の経済委員会公聴会における証言
「今後、住宅価格が大幅に下落したら、米経済は1930年代の大恐慌以来の大きな不況に陥る」
植草一秀氏
「FRBが経済情勢を総合的に判断して、利下げ政策を適切に発動するなら、米国経済のリセッション入りを回避することは可能であると考える 」
次に書く驚愕するビリー・マイヤーの「エノック予言」は破綻のシナリオだ。どちらに進むのだろうか?やはり目が離せない。
ヤスの英語
クリックをぜひ!↓


コメント
痴漢冤罪
人口激変!?
皆さんご存知でしょうけどユダヤに失われた十部族伝説があります。終末には彼らがイスラエルに帰還することになるそうですが、その最有力候補の一つがパシュトゥン人だそうです。
ユダヤ、イスラム双方にとって終末時のカギになっているとはタダモノではないなという気がします
ご返事
へいぽぉさん、レスありがとうございます。私もそう思います。ハイパーインフレが起こるとしたらこれは明らかに計画されたものでしょうね。昨日のRenase.comのラジオ番組に出演したゲストが「今度発生するハイパーインフレは間違いなく計画されたものだ」と断言していました。目が離せませんね!
くもさん、これはまた貴重な情報ありがとうございます!パシュトゥン人というとアフガニスタンとパキスタンの最大部族でタリバンの母体になっている部族ですよね。残念ながら私はコーランはまだ読んでいないので知識はないのですが、今度書く予定の1987年に行われ、世界貿易センタービルの崩壊など固有名詞で的中させたビリー・マイヤーの「エノック予言」には以下のようにありました。
①現在のローマ法王は最後から2番目だ。
②イタリアに洪水が襲いバチカンから法王が退去しなければならなくなる時期に以下のことは起こる。これが発生時期のヒントだ。
③イギリス、ドイツ、イタリア、フランスを中心にイスラム原理主義のテロの嵐が吹き荒れる。
④最終的にイスラム原理主義は勝利し、ヨーロッパ各国の政権は崩壊する。
⑤イスラム原理主義者は西欧の匂いのするすべてのものを破壊しつくす。カトリックはこの破壊の中で消滅する。
⑥このときアメリカは内戦状態で5つの国家に分裂しており、手を出せない。
パシュトゥン人の話はこの流れと関連があるのでしょうかね。
具体的には8月7日の「もしかしてイラン戦争?8」の中でホーグが述べているクルアーンに書かれているウンマの未来についての予言のことです。
「クルアサン」がアフガニスタンからパキスタン西部とあったので、勝手にパシュトゥン人と決め付けてしまいました。居住範囲がだいたい一致しているもので・・。
いい加減でスミマセン・・。
パシュトゥンがマフディ―に属する集団だとすると、イスラム原理主義のヨーロッパへの勝利につながってきそうですけど、同時にパシュトゥンがユダヤの失われた十部族だとするとややこしいですね。ユダヤとイスラムが統合でもするんでしょうか。。。
ご返事
そういえば田中宇さんも最新の記事でイスラエルの滅亡の可能性について言及していましたね。
そういえば田中宇さんも最新の記事でイスラエルの滅亡の可能性について言及していましたね。
なし
コメントの投稿
トラックバック
http://ytaka2011.blog105.fc2.com/tb.php/46-6f755543
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)