株の暴落と予言の検証
自作自演テロのカマフラージュとして行われるのではないかと疑われている核テロを想定した軍事訓練、「Noble Resolve 07-2」はオレゴン州で予定通り開始されたようだ。訓練は24日まで続くがいまのところ何も起こる気配はない。
むしろ8月に起こった注目に値する事件は低所得者用住宅ローンのサブプライムローンの破綻に端を発するニューヨークダウの暴落であろう。
これは世界同時株安の引き金となり日経平均も大きく値を下げた。日経平均株価は3月5日の16,642円から7月9日の18,261日円まで1619円、 9.7%上昇したが、7月下旬以降に急落し、8月10日には16,764円まで下落した。下落幅1497円、下落率8.2%を記録している。そして8月17日(金)、ついに874.81円安の大暴落となり、下落率は5.42%で、史上16番目の大幅下落となった。
予言と株価
株価がこのように大暴落することはかねてから複数のサイキックが予言していたことだ。記憶している人も多いと思う。以下に列挙してみた。
エブリン・パラガニ
「9月か10月にニューヨーク株式市場の大暴落があり、それから世界的な恐慌に突入するだろう。」
ショーン・デービット・モートン
「ダウジョーンズは1万3千ドルを突破するだろう。だが、これはたかだか最上位30社の株価平均にしかすぎない。(※ダウは最上 位30社の株価の平均値であることをいっている)これらの会社は互いに合併と買収を繰り返している。これは経済全体にとってはあまり好ましいことではな い。世界の全面的な株価崩壊を誘発するだろう。そして米国のインフレ率は20-25%を記録することになる。ドルの平価切り下げ後、アメリカ、カナダ、メ キシコの共通通過のAMERO(アメロ)が導入されるだろう。」
Web Bot Project
「経済的困難の時期が近いうちにやってくる。ドルは大きく下げるだろう。」
サラ・ホフマン
「次に見た光景は、これからしばらくすると、商業も、ショッピングも、購買もなくなり経済というものがなくなっている光景でした。経済は全面的に崩壊し、誰もお金は持っていませんでした。」
さらにショーン・デービット・モートンは、7月に先の予言を以下のように変更した。
「確かに私は株価が史上最高値を付けたあと暴落し、その後ハイパーインフレからアメロの導入が始まるといった。それはアメリカ中心のシステムが崩壊することを意味する。だが今回の株価の暴落はそのような大きな変化の引き金となるものではない。単なる市場の調整だ。なので株価はすぐにもとの水準に回復するだろう。
今年の初めの予言から出来事のタイムラインが変化したので予言の再調整が必要になる。実際の崩壊は今年の11月10日から30日の間に始まるはずだ。そのきっかけとなるのは政治的な事件だと考える。カール・ヨハン・コルマンのマヤカレンダースケジュール(コルマンインデックス)では今年の11月 17日からNight5に入る。私もコルマンインデックスの信奉者だ。この期間はアルマゲドンが一番起こりやすい時期だと考える。株価の暴落やアメリカ中心のシステムの崩壊が始まるのはこの時期からだ。」
予言を待つまでもなく、今回の株価の暴落は確かに大きな事件であった。いままでアメリカが不況に突入することで、拡大基調にあった世界経済が急速に収縮するだろうとの観測もある。もし本当にそうなればサイキックが予言した内容が実現する可能性もある。
単なる調整なのか?
エコノミストのあいだでは、これが単なる短期的な調整で、株価はもとに戻り世界経済も拡大基調を維持するとする見方が優勢のようだ。以下がエコノミストの意見だ。まず、いままで予想をほとんど外したことのない日本を代表するエコノミスト、植草教授の意見を見よう。
「重要なことは今回の株価調整がトレンド転換の出発点となるのか、一時的な調整に留まるのかの見極めである。筆者は7,8月に内外株式市場は株価調整を示す可能性が高いが、トレンドが転換するリスクは高くないとの見解を示し続けている。サブプライムローンの焦げ付き問題が米国経済全体を金融不況に陥れるリスクは限定的であり、ある程度の時間の経過を待って、堅調な株価推移が再び示される可能性が現状では高いと思われる。」
この記事は大暴落を記録する前の8月13日に書かれているものの、この時点ですでに大幅下げのトレンドは明確だったので、8月17日以降もこの見方を堅持してると思われる。今回の暴落は一時的な調整局面であり、早晩株価は堅調な伸びに転じるとの意見だ。
これと同じ見方を著名な投資家の増田俊男氏もしている。
「サブプライム問題は資金供給を世界の主要国中央銀行が決定しているので解決済み。従って株価は上がるしかない。(後略)」
両者とも、いまは短期的なトレンド調整の時期なので、10月前後くらいから株価はまた上昇に転じるとの観測だ。
今回の各国の中央銀行は巨額の資金を市場に投入して株価のさらなる下げを防ぎ、また米連銀が利下げを強行して倒産の危機にあるファンドを救っているため、今回の危機は峠を越したのではないかとの観測が一般的だ。
だがはたして本当にそういえるのだろうか?
予言された未来の到来なのか?
もし今回の暴落が市場の一時的な変動に伴う調整であったなら上の意見は妥当であろう。株式のみならずあらゆる市場はさまざまな要因に影響され簡単に変動する。その日々の変動のなかには、変動幅の大きさから暴落と写るものも多数ある。しかし、それが調整的なものである限り、市場はすぐにもとの状態に戻りさほど極端な変動は起こらないのが通例だ。
だが、市場の変動のなかには世界経済システムそのものの歴史的な変化の先行的な予兆となるものもある。ニューヨーク市場の株が大暴落した1929年の「暗黒の木曜日」などはその典型だろう。この株の大暴落のあと、一時好調が伝えられていたアメリカ経済に恐慌が発生し、それと同時に世界各国は深刻な不況に突入した。世界経済も自由貿易を基調とするシステムから、各国が自らの利害と権益を関税障壁によって維持する極めて防衛的なブロック経済システムへと移行した。その後、ナチズムの台頭、ヒットラー政権の樹立、第二次大戦の勃発という暗黒の歴史へと進んで行ったことは言うに及ばないだろう。
はたして今回の株価の大暴落はシステムの歴史的な変化の予兆なのだろうか?
これまでに紹介した多くの予言は、巨大な経済の変動が近いことを暗示している。それは市場の一時的な調整という程度のものではないだろう。巨大な変動の予告だ。その意味では予言の警告は、われわれのシステムが歴史的な変動を経験することを暗示している。「パワーポリティックス非公式情報」の次の観測もこれに近い。
「まず、東京市場の「日経平均株価」は1万6100円を割ったところで中期の下げ局面に入ったと見なければならない。とりあえず1万5000円近辺に抵抗ラインがあると思われるが、1万6100円の切り方を見る限り、そこで止まると期待しない方がいい。今年の年末近くには1万3000円あたりまで下がる可能性がある。が、そこも決して強い抵抗ラインではないだろう。イラク戦争前の水準に戻ることを想定しておく必要がある。」
イラク戦争前の水準は9千円前後だった。先ごろ日経は1万8千円を突破したがその水準の半値だ。もしこれが現実になるなら、それはこれまで世界経済の好調を牽引してきた構造が破綻したことを意味する。その破綻は、システムが確実に別なものへと変化しつつあるか、または崩壊に向かっていることを示しているはずだ。
Europe2020
「Europe 2020」というサイトがある。ヨーロッパの政治経済の動向の分析を目的にしたシンクタンクや研究者のネットワークだ。サイトは特定の政府や機関から独立しており、完全に自由な立場で政治経済に関する予測を公開している。発表されている予測には確かにEU関連のものが多いが、米国経済や世界経済システムの動向に関するものも数多く発表している。
2005年頃くらいからだと思うが、「Europe 2020」は「Global systemic crisis(グローバルシステム危機)」という一連のレポートをシリーズで発表している。これは彼らのニュースレターである「Global Europe Anticipation Bulletin(グローバルヨーロッパ予測会報)」に発表される。
すでに2005年からドルを基軸通貨としたアメリカ中心の世界経済システムは崩壊し、異なる基軸通貨に基づいたシステムへと移行するのは避けられないとの警告を発していた。つい最近まで米国経済の好調を疑う論調はほとんどなかったので、彼らの警告は完全に無視されていが、最近のサブプライムローンの破綻による株の暴落で突然と注目されるようになった。
「Europe 2020」が危機が避けられないと考える理由は、このブログの以前の記事にも書いた原因とほぼ同一だとみてよい。
「今のアメリカは、ブッシュ政権のもとで、イラク戦争の失敗やハリケーンカトリーナなどによって財政赤字はどんどん拡大し、史上最高の財政赤字を記録している。この状態がどんどん進むと各国は、アメリカが返済不能に陥る前に自国の抱えているドル建て債券をできるだけ早く処分しようとし、また手持ちのドルを売ってユーロなどのより安定した通貨と交換しようとするだろう。この結果、ドル建て債券やドルは売られるので、深刻なドル安となる。」
つまり以下のような連鎖だ。
米国の財政赤字と貿易赤字の拡大→ドルの信用失墜→各国による米国債とドル売り→ドルのさらなる価値低下→基軸通貨としてのドルの放棄→異なる基軸通貨に基づくまったく別なシステムへの移行
ところで「Europe 2020」の予測の特徴は、既存のシステムの崩壊は次の4つのステップにしたがって進むはずだと考えるところにある。
第一段階:始動期。注意深い観察者や当事者本人にしか感じられないような仕方でこれまで関連がなかった様々な要素が相互に関連して危機的な状況を徐々に形成し始める。
第二段階:加速期。多くの観察者が危機が起こりつつあることを認識するようになり、システムの様々な構成要素が影響を受ける。
第三段階:衝撃期。蓄積された変化が臨界点に達し、システム全体が実際に崩壊し始める。
第四段階:新システムの誕生期。システムの崩壊のあと未来を担う新しいシステムが徐々に姿を現す。
「Europe 2020」は2006年11月16日に以下のように発表し衝撃期が2006年の年末から始まるだろうと警告した。
「これは現在、米国全土で現実に起きており、世界システム危機の衝撃期の引き金となるものだ。米国の経済成長の70%を支えてきた米国の消費者、つまり中産階級は根本的に支払い能力がなくなり、過剰な債務・負の貯蓄率・不動産バブルの破裂・金利の上昇・米国の成長の崩壊の犠牲者となる。これらの要素全ては相互に関連し補強し合っている。その結果、米国は2006年の年末から始まる先例のない経済的・社会的・政治的危機に突入する。(国際情勢の分析と予測)より」
周知のようにこのような危機は昨年の年末には起こらなかった。「Europe 2020」は今年の6月に改めてレポートを発表し「衝撃期」がこの夏に始まるだろうと警告していた。彼らは今回のサブプライムローンに端を発する株の暴落をシステム崩壊の実際の開始だと理解している。つまり昨年末に起こるはずであった「衝撃期」が、8ヶ月遅れて開始されたということだ。したがってこれから危機はさらに深刻化し、アメリカを中心としたシステムの全面的な崩壊と新しいシステムの誕生に向かって一気に進んでゆくと見る。
マヤカレンダーのDay5
以前にこのブログでDayとNightの時期が構成するコルマンのマヤカレンダー解釈(コルマンインデックス)を紹介したが、コルマンは「Europe 2020」とほぼ同一の見方を提示している。以下は2004年の11月に書かれたと思われる論文の要約だ。
「2006年11月23日から2007年11月18日までのDay5には世界経済の本格的なパワーシフトが起こる。国際通貨システム(ドルを基軸通貨としたシステム)の何らかの崩壊が発生するだろう。これは左脳を中心とした分析的な文化から右脳を中心としたより直感的な文化へと原理がシフトすることの反映として起こる。この結果、これまでの世界経済システムでもはや経済成長が達成できないことが明らかとなり、崩壊を余儀なくされる。」
さらにコルマンは続ける。
「2007年11月18日から2008年11月12日までのNight5では、既存の勢力(西欧)は強権的な反動的手段によってシステムの最終的な崩壊を食い止めようとするだろう。もし国際的な通貨システム(ドルを基軸通貨としたシステム)が崩壊するのなら、Night5には経済行為が中央集権的に管理されるシステムが導入されることだろう。」
他の予言とのシンクロ
ここであらためて予言のいくつかをみてみよう。「Europe2020」やコルマンの以上のような内容と不気味にシンクロするのが分かる。
エブリン・パラガニ
「9月か10月にニューヨーク株式市場の大暴落があり、それから世界的な恐慌に突入するだろう。」
Day5は今年の11月18日まで続く。今回の株の暴落は単なる調整を超えてシステムの歴史的な変動につながってゆくのだろうか?目が離せない。


ヤスの英語
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