もしかしたらイラン戦争?9(最終回)
クルアーン(コーラン)にはイスラムのウンマ共同体が外部の勢力(キリスト教徒)の侵入によって引き裂かれイスラムの統一性が失われるとの予言があった。この予言は、原理主義を信奉するイスラム教徒の立場から見ると、欧米による中東の植民地化と彼らに都合のよい国家を形成してこの地域を分割統治するという、イスラムの近現代史に実際に起こった歴史と完全にシンクロしているように見えた。
キリスト教原理主義者は、ヨハネの黙示録に記載されているイスラエルの建国からキリストの再臨に至る流れを現実の歴史と一致させて見たが、イスラム原理主義もこれとほぼ同じことを行っているわけだ。両者ともわれわれはいま世界の終末と最後の審判のときに生きており、予言の結果が現れるのはもはや時間の問題だとみている。
ヨハネの黙示録ではキリスト再臨の条件となるのはアルマゲドンである。イラク戦争の泥沼をこの開始とみる原理主義者も多い。ならばイスラムのアルマゲドンの概念と、またキリストの再臨にあたるものは何なのだろうか?これをまず明確にしておくとよいだろう。
マフディ
前回の記事にも書いたが、イマーム・マフディという名はクルアーンの中に幾度となく出てくる。はその典型だろう。イマームとはムハンマドの直系の子孫で全イスラムを統率する最高指導者のことだが、むしろその存在は、アラーの言葉を人間に伝える聖人として理解されている。日本語でいえばようするに「聖人マフディ」か「預言者マフディ」ということらしい。
マフディとはイスラムで広く信じられている救世主のことだ。キリストが再臨する前、世界はアルマゲドンによる大混乱の状態に突入するが、マフディはこのときに出現する。そして「ダジャル」と呼ばれるニセの救世主と戦って勝つが、この勝利の後、キリストが天から再臨することになっている。再臨の後、やはりヨハネの黙示録同様、至福の世界がもたらされると信じられている。これがマフディだ。
スンナ派とシーア派の理解
だがマフディはスンナ派とシーア派で異なって理解されているという。田中宇氏の解説から引用する。「スンニ派では、マフディはムハンマドの子孫として将来メディナに生まれる普通の人間である。だがシーア派ではマフディは、西暦873年に「お隠れ」になった「最後のイマーム」が再臨するものだとされる。」
イラン戦争の予言にとって重要なのはシーア派の理解である。イランは1979年のホメイニ師によるシーア原理主義の革命を経験した国であり、シーア派の教義を国是とした国家である。大統領のアフマディネジャドも当然熱心なシーア派教徒だ。
もともとイスラムは、ムハンマドの直系のイマームが最高指導者として統率していたが、12代目のイマームが暗殺されたことでこれが断絶した。これが起こったのが西暦873年だ。シーア派ではこの「最後のイマーム」が実は死んでおらず、「お隠れ」になっているだけであり、世界が大混乱に陥り条件がととのったらマフディとして出現すると信じられているのだ。
現実の歴史とのシンクロ
イスラムではマフディ出現のさらに具体的な条件も記載されている。8世紀に生きたシーア派の6代目イマームは、「バグダッドやクーファ(イラクの都市)の空が炎に包まれ、家々が破壊され、多くの人々が死に、絶え間ない恐怖に襲われる(田中宇氏)」という。
興味深いことに、この描写はまさにいまイラク戦争で起こっている事態を思い起こさせる。田中宇氏も「シーア派の信者にとって、イマームの言葉は神様の言葉であり、絶対の真実だから、イランやイラクの信者たちが「もうすぐマフディが出現する」と確信するのは無理もない。」といっているがまったくその通りだ。
このような背景から考えると、「三分の一のイスラム教徒が逃げるだろう。彼らがどれほど後悔しようとも許されることはない。三分の一は殺されるであろう。そして最後の三分の一がイマーム・マフディの指揮のもと不信心者と戦い勝利を収めるだろう。」 というクルアーンにある最後のジハードの予言が、シーア派のイスラム原理主義者にとってこれから実際に起きる現実の事態だと理解されても無理もない。マフディは、イラク戦争のあとではいつ再臨してもおかしくない状況にあるのだ。
こうしたことを押さえた上で前回紹介したアフマディネジャド大統領の発言を再度読むと彼が何を言わんとしているのかよく分かるはずだ。
「おお主よ、早くマフディを出現させて下さい。私はマフディの使徒であり、マフディ再来に備える(善政を行う)ことが政府の役目だ。」(大統領就任演説)
「アフマディネジャド大統領はマシュハドにあるイランのテレビ局から流された演説で、イランが核クラブに入るのは、国家の生存闘争に由来すると言った。待ち望むマフディ到来の第一ステップになるというのだ。(中東報道研究機関 MEMRIより引用)」
「2005年9月14日のニューヨークにおける国連での演説の間、彼が「光に包まれている」のを彼の側近たちが目撃しています。」
われわれはこのような発言に驚愕するけれども、9.11からイラク戦争にいたる流れでマフディーの再臨が近いことを身近に実感しているイランの人々にとって、それなりの現実感をもって受け取られていてもおかしくない。つまり、予言されているアルマゲドンや最後のジハード、そして最後の審判やマフディ再臨にいたる終末の過程はすでに始まっており、戦争への突入はもはや時間の問題だと感じられているとみたほうが妥当だ。
ところで、現在のブッシュ政権の支持母体の一つはキリスト教原理主義の教会であり、彼らはヨハネの黙示録の終末論が実際に起こると認識していることはすでに書いた。
だとするなら、キリストとマフディの再臨という、息を吹き返した二つの原理主義的世界観に支配された政府が、その予言されたコースをあえてたどろうとしたとしても不思議ではない。それは、キリストやマフディの再臨を早めるためにあえて予言された事態を積極的に起こすというメンタリティーとなって現れるだろう。ホーグはそのように考えている。
すでにに書いたが、イラク戦争がそうであったように、イラン戦争にもなんの合理性もないことはすでに周知のことだ。1988年に終結したイランイラク戦争以来大きな戦乱もなく長い間戦争を準備してきたイランは猛反撃することは間違いない。戦争は確実にかつてないほど泥沼化する。
この戦争がきっかけで戦争は拡大し、アメリカは覇権を完全に失うだろうし、イスラエルも国家としては消滅しうしまう可能性すらある。
この戦争には何の合理性も見いだせない。戦争が起こるとすれば、それは予言の実現させようとする原理主義者の策動によると考えるほかはない、とホーグはいう。
だがたとえそうであっても、宗教的世界観の影響だけでこれほど自滅的な戦争が本当に起こり得るのだろうか?われわれにはにわかには信じ難い。
実はホーグ自身もそのように問う。そして戦争が本当に勃発するかどうか見極めるためにノストラダムスを引用するのだ。するとそこには驚くべきシンクロにシティーが見て取れるとホーグはいう。
ノストラダムスとイラン戦争
5Q25
アラブの王子、火星、太陽、金星が獅子座にあるとき、教会の支配は海で敗退する。ペルシャに心が向かう100万近い人々。エジプト、ビザンチウム(現在のイスタンブール)、本物の蛇が支配する。
この四行詩を、ホーグはこれから起こるイラン戦争とその後に続く事態の予言だと解釈する。
この詩の「教会の支配」はキリスト教徒の軍、つまりアメリカ軍を指している。そしてそれが「海で敗退する」とはアメリカ軍がペルシャ湾で敗退することを意味しているのではないかという。
次の「ペルシャに心が向かう100万近い人々」とは、イランを守ろうと世界中からジハードに結集したイスラムの聖戦士のことを指しているとする。その動きは巨大で戦闘は一気に西へと拡大する。それはクルアーンにある次の一節とシンクロする。
「東から人々は決起し、地面を踏みつけながらイマーム・マフディを援助するために駆けつけるであろう。」
そして、「エジプト」はイスラム原理主義の運動を強権で押さえつけている非宗教的なエジプトのムバラク政権が崩壊し、その結果、原理主義運動の波に飲み込まれ最後のジハードに参戦することをあらわしているという。またこれに続く「ビザンチウム」は、非宗教的な政権が統治するトルコにも原理主義の高まりに基づく政変が起こり、トルコも最後のジハードに参戦することを指しているとする。
そしてもっとも重要なのは最後の一節だという。だが「本物の蛇が支配する」とはどういう意味なのか?
ホーグは以下の旗に注目するようにいう。ノストラダムスが指している「蛇」はこの旗のことではないかとホーグは考える。

なんとこれはアメリカ海軍旗である!現在ペルシャ湾沖に展開しているアメリカ海軍の空母部隊も掲揚している。
ホーグはいう。ということはアメリカ軍は甚大な被害をこうむりながらも最終的には勝利し、テヘランを占領するのではないか?
だが戦争はこれで終わらない。ノストラダムスの予言はさらに続き、その最後のジハードの結末がどうなるのか明確に表現しているとホーグはいう。
長くなるので、ここで一度終わり改めて書きたい。


ヤスの英語
コメント
ブログのことで
はじめまして
以前、たま出版HPのBBSでヤスさんが紹介(多分)していた
http://www.unity-design.jp/unity_slowlifecafe/slc06_saigai/slc0605_vision/slc060%82T_vision.html
で、東京に地震が来るとき皇太子一家は那須に静養に行っているとありますが、今日皇太子一家は那須へ静養に行ったようです。
予言の地震と関係あるのでしょうか?
関係なければいいのですが、少し不安です。
ありがとうございます
たけさん、情報ありがとうございます。たま出版のBBSでUnityのページを紹介したのを覚えております。確かに皇太子一家は那須の御用邸に行っていますね。ただこれはどうなんでしょう。毎年この時期には那須に行っているので特に地震との関係はないようにも思えるのですが。
銀色狼さんいつもありがとうございます。
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