2017-07

    もしかしてイラン戦争?7

    ジョン・ホーグのイラン攻撃予言の続きを書く。これは「もしかしてイラン戦争?5」の続きである。

    アメリカ社会の集合無意識

    前々回の記事で書いたように、9・11以降には、アメリカ社会の深層に、まさに地下水脈のように流れている集合無意識が意識の表面に現われるようになった。人々が世界を見たり認識する枠組みは「神がと悪魔」「善と悪」「光と闇」などに簡単なコンセプトに支配されるようになった。それはキリスト教原理主義の世界観だった。それは危機をきっかけとして出現し、アメリカ人を支配した。

    われわれは、一旦集合無意識に眠っている世界観が呼び覚まされたのなら、それはエネルギーを消耗するまで猛威をふるい歴史の方向を決定づける力になることを、過去の事例から学ばねばならない。歴史はそうした例に満ちている。

    ナチスの例

    ゲルマンの神話にヴォータンという神がいる。ヴォータンはワーグナーの「ニーベルンゲンの指輪」にも出てくるゲルマン民族の主神で、風や死を司り、暴風雨の夜に声をたてて疾走する霊たちや、稲妻や雷の霊を支配する神だとされている。もともとは戦いの神、嵐の神であったが、キリスト教が広まるにつれて、主神から死神などに神格が変化していったといわれる。

    深層心理学者のユングは1936年に「ヴォータン」という題名の論文を発表した。

    1936年

    ところで、1936年といえばヒットラーが政権を獲得して3年たったときだ。第二次大戦は1939年のドイツ軍によるポーランド侵攻で本格的に開始されるが、その3年前である。政権を獲得した1933年から37年の4年ほどの間、ヒットラー政権は、第一次大戦の敗戦で混乱し、一時は物価が1兆2600億倍にまで跳ね上がり国民生活が崩壊に瀕していたドイツ経済を、大規模な公共投資に基づく国家主導の経済政策によって再度成長軌道に乗せることに主眼を置いていた。ヒットラー政権はこれに成功し、1932年には45%もあった失業率は36年暮れにはほぼゼロ(完全雇用の状態)になった。同じ年にベルリンオリンピックが開催された。

    ユダヤ人に対する迫害は散発的にあったが、組織的はまだ始まっていなかった。これは1938年に始まる。

    経済混乱のどん底に喘いでいた国が数年で高い経済成長の軌道にのり、生活水準が一気に改善したのである。それは現代の基準からしても奇跡としてしかいいようのない回復だった。当時のドイツ国民はヒットラーを英雄視した。

    現代の歴史家も「もしヒットラーがユダヤ人迫害が始まる前の1937年に政権の座を去っていたら、ヒットラーは類い稀な天才的政治家として記憶されていたであろう。」と発言している。

    1936年にはヒットラーの影の側面はまだ現われてはいなかった。その前だった。

    深層心理学者ユングの「ヴォータン」論文

    ユングは1936年の「ヴォータン」論文で、ナチスに対する当時のドイツ国民の熱狂をゲルマン神話の主神ヴォータンの復活にたとえた。以下は「ヴォータンの復活ーーユングと政治」からの引用である。かなり難解な解説だがあえて引用する。

    「ユングによれば、「ヴォータンは嵐と狂奔の神であり、情熱と闘争心を解き放つ者であり、さらに優れた魔術師、幻覚の使い手でもあって、あらゆる神秘的な幻象の秘密のなかには、彼の姿がかいま見られる」のであり、ヴォータンは、政治・経済・心理といった合理的要因をすべて合わせたよりも、ナチズムをうまく説明することができる。ヴォータンはひとつの元型であり、自律的な心的要因として集団全体に効果を及ぼし、そのときその存在と性情をあざやかに浮かび上がらせる。ヴォータンは元型として、独自の生物的原理に従い、個々の人間存在とは別物であり、個々の人間はこの無意識的制約の影響力に抵抗することはできない。」

    かなり難解だが分かりやすく解説する。

    ここでいう「元型」とは人間の集合無意識のことである。ユングによれば人間の心は、自我(意識)、個人的無意識、集合無意識の三つの層からできているとされる。集合無意識は、その文化で生活する人間が共有する共通の無意識で、それは「元型」といわれるイメージのパターンで構成されているという。「元型」は感情に強く訴えかける力を有しているため、一度心の奥深いところにある「元型」が動き出すと、個人はその強い感情に押し流されすべての判断力を失ってしまう。

    ユングは、「ヴォータン」はドイツ人の集合無意識の「元型」だといいたいのだ。そして上の解説から考えると、「ヴォータン」とはドイツ人の究極的な英雄像だということになる。さらに、「ヴォータンは嵐と狂奔の神であり、情熱と闘争心を解き放つ者であり、さらに優れた魔術師、幻覚の使い手」なので、それは人間ではない。人間を超越した存在なのだ。当時のドイツ人はこのようなイメージでヒットラー、そしてナチスを見ていたのだ!現代に生きるわれわれは、なぜまともな多くのドイツ人が熱狂的に変質者のようなヒットラーを支持したのだろうかと問う。だが当時のドイツ人が持っていたヒットラーのイメージを、ユングは見事に分析して見せた。ヒットラーはヴォータンだったのだ。

    これは9・11以降、アメリカ人の集合無意識のイメージ(元型)が頭をもたげ、多くの人がキリスト教原理主義のイメージで世界を見るようになったことと同じ種類の現象だ。多くの人が崩壊する世界貿易センタービルのなかに「悪魔」の像を見いだしたり、イラク戦争をアルマゲドンの始まりと確信し、キリストの降臨がその後にやってくることを待ち望むのは、1936年当時のドイツ人がヒットラーとナチスを超人的英雄ヴォータンの再来とみてヒットラーの計画を受け入れたこととあまり変わらない現象だといえるだろう。

    このような集合無意識の元型に人間が支配されてしまうと、歴史は破滅の方向に向かって突進して行くようだ。

    ジョン・ホーグの視点

    ジョン・ホーグは他の予言者とは異なる扱いを受けていると書いた。彼は非常に高く評価され、尊敬されている。そのような扱いを受ける理由は、ジョン・ホーグの予言が上のようなユング的な集合無意識の分析から当事者の内面を明らかにし、その結果としてどのような事態が将来起こるのか予言する合理性に貫かれているからだ。そしてさらにその合理性は、集合無意識の元型の支配が強まる時期を見るために占星術を用い、それがもたらす具体的な結果を予想するためにノストラダムスの四行詩からヒントを得るという彼独自の方法論によってさらに強化される。要するにとてつもなく深く、また正確なのだ。それはユング+占星術+ノストラダムスだ。

    イスラムの集合無意識

    さて、アメリカの敵、イスラムの集合無意識を解説する準備がととのおった。9・11以降のアメリカはキリスト教原理主義の元型が支配しているが、イスラムはどうなのだろうか?

    いまブッシュ政権がやっきになって敵に仕立て上げようとしているイランのアフマディネジャド大統領に関して以下のような逸話が絶えない。

    「2005年9月14日のニューヨークにおける国連での演説の間、彼が「光に包まれている」のを彼の側近たちが目撃しています。」

    「『「おお主よ、早くマフディを出現させて下さい」。大統領は就任早々「私はマフディの使徒であり、マフディ再来に備える(善政を行う)ことが政府の役目だ」と述べ、閣僚にはマフディへの忠誠を誓う文書に署名させた。昨年9月の国連演説でも「マフディ待望」を語り、後に「演説の最中、自分を後光が包んだ」などと語ったという。』」

    「(アフマディネジャド大統領は)マシュハドにあるイランのテレビ局から流された演説で、イランが核クラブに入るのは、国家の生存闘争に由来すると言った。待ち望むマフディ(救世主、 2006年5月5日付 Al-Watan参照)到来の第一ステップになるというのだ。マフディが邪教徒と多神教徒を抹殺する手助け用として、御到来前に核爆弾を製造する必要があるというわけである…。(中東報道研究機関 MEMRIより引用)

    「光に包まれている」「マフディ」「私はマフディの使徒であり、マフディ再来に備える(善政を行う)ことが政府の役目だ」とは何のことなのか?彼らはどのようなイメージで世界を見ているのか?そしてその結果はどうなるか?

    次回からジョン・ホーグの具体的な予言の内容をみる。驚愕するだろう。

    続く





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