2017-08

    もしかしたらイラン戦争前夜?5

    原理主義のアメリカ もしかしたらカルトか?

    このブログでもよく取り上げる全米最大の深夜ラジオ番組「Coast to Coast AM」はネットでもライブで放送しているので日本でも有料だが聞くことはできる。当然全部英語だが、興味のある人はぜひ聞いてみるとよいだろう。番組の政治的な主張は草の根保守主義に近い。視聴者参加型の番組なので、視聴者の意見をそのまま聞くことができ、信心深い一般のアメリカ人の考え方やものの見方を知るにはうってつけのメディアだ。

    で、私達のような一般の日本人がこれを聞くとどう感じるのだろうか?筆者自身がそうだが、その最初の反応は「驚愕」以外のなにものでもない。まず、視聴者の発言に驚く。彼らの発言は、われわれ日本人の理解を完全に越えているといってもよい。たとえばこのようなことだ。

    この番組の司会者、アート・ベルはもっとも著名なラジオ番組司会者として殿堂入りしているが、バージニア工科大学の銃撃事件の特集番組で、「犯人が外部からきた実体に取り憑かれたのが原因だ」と発言した。「外部からきた実体」とは文字どおり「悪魔」のことである。これに多くの視聴者が賛同し、自分が悪魔に憑依された体験や天使や妖精の体験、さらに神の声が聞こえた体験などを語り出した。

    このようなことはこの番組で毎日のように起こる。

    確かに神秘体験は日本でも多くの人がするところであり、そうした体験が存在すること自体はまったく不思議ではない。筆者自身、そうした体験の存在を積極的に肯定する立場だ。

    ただ、われわれにとっての神秘体験は、日常で起こったちょっと不思議な非日常的体験であるものの、日常的な世界では比較的にバランスのよい常識的な判断に基づいて暮らしているのが普通だ。友人と何かトラブルになったからといって、この友人が「悪魔に憑依された」とわれわれは考えまい。

    反対にアメリカでは、われわれが生きる世界を、「神」と「悪魔」、「善」と「悪」の不断の対立過程としてとらえ、ちょっと気を許すと「悪魔が侵入してくる」と理解するのが広く共有された考えだ。このような枠組みでは、世界は「善(神)」と「悪(悪魔)」の二つの陣営に真っ二つに分かれて見えてしまう。

    したがって、アメリカ人が実際に体験する「天使」「悪魔」「神」などの実体は、われわれの、日常とは切れたちょっと不思議な体験とは異なり、アメリカ人が日常的に信じているものの見方が実体的に現れた形なのかもしれということなのだ。実際、われわれが「神」や「悪魔」を見たり聞いたりすることはほとんどない。

    したがっていまのアメリカでは、「悪魔」「神」「天使」「善と悪の戦い」「アルマゲドン」「最後の日」「イエス・キリストの再臨(天からキリストが降りてくる)」などの考えは、さほど不自然なものではなく、それを日常的な世界観の一部だと感じている人間はかなりいるのである。彼らがこうした実体をかりに現実に体験したとしても、さほど不自然だとは感じないはずなのだ。それは日常的な世界観の延長だからである。このようなアメリカが存在することは、親米派の日本人には受け入れられないことだろう。だが、これが現実なのだ。

    こうした背景を認識した上でないと、ブッシュという存在は外部から分からないのではないだろうか。

    アメリカがまともだったとき

    ではアメリカはこれまでずっとこうだったのか?いや決してそうではない。アメリカにおいても、キリスト教原理主義的の文化は、いわばアングラ文化だった時期のほうが長い。その意味ではこの文化は、アメリカという国の深い地層を形成する地下水脈だ。それはまさにホーグのいうところの、アメリカの集合無意識なのだ。

    ホーグは、うお座からみずがめ座の時代に入ったばかりの現代では、文化の集合無意識が表面に現れ、もっとも古い形式の宗教や神話が人々の考えや行動を支配するようになるといった。アメリカの場合、まさに上のようなキリスト教原理主義のリバイバルがこれにあたるのだろう。

    日本では、狂ったような小泉改革によって、市場原理主義の嵐が吹き荒れているが、アメリカではすでに80年代の後半から徐々にその傾向がはっきりしてきた。この時期に行われたレーガン改革がその端緒だった。

    その結果として、長期雇用から超短期雇用への移行、極端な所得格差、中産階級の没落、地域コミュニティーの消滅など、市場原理主義の改革を導入したどの国でもみられた現象がアメリカでもはっきりと現れ、社会の基本的な枠組みを変質させていった。

    ちゃんとまじめに仕事をしていれば、年収は毎年増えてだれでも中産階級になれ、納税や地域活動など社会に対する責任を果たし、よき父よき母として健康な家族を養うことが人の幸福であるという、これまであまりに当たり前だった常識が崩壊したのである。アメリカウェイオブリビング(アメリカ的生活様式)は終焉したのだ。そしてそれとともに、個人の自由と権利を尊重し、家族やコミュニティーを大切にし、他者や友人に共感をおぼえ、人のために何かを行うことを善として考えるようなまともな価値観も一緒に没落してしまったのかもしれない。歴史学者のウォーラスティンはこれを「アフターリベラリズム」とよび、同名の本を著した。この中でいままさに進行している社会の崩壊現象に警鐘を鳴らした。

    では没落した多くの人々はどこにいったのであろうか?おそらく、その多くの部分が教会に慰めの場所を見いだしたのであろう。そしてそうした教会の多くが極端な原理主義の教義を信奉する宗派だったことは予想できる。

    票田としての原理主義

    さらに80年代の後半から、共和党が福音派、再洗礼派などの原理主義の宗派を票田と考え、積極的に投票に行き共和党を支持するように説得したのも原理主義のイデオロギーが社会的に認知されるようになる重要な背景だろう。

    もともと原理主義の教会は、アルマゲドンとキリストの再臨で世界が終焉しようとしているときに選挙で世界を変えることは無意味と考え、信者の投票は奨励していなかった。

    80年代の後半以降、そうした信者が続々と投票所に押しかけ、原理主義的な世界観を代弁する政治家に投票した。この結果、原理主義の世界観は、アメリカ文化の集合無意識という暗い後背地から、アメリカ的価値観という日の当たる場所に躍り出ることになった。ホーグのいう、みずがめ座の時代の入り口の原理主義的ターンが実現する準備が整った。

    9・11

    だがそうはいっても、「アルマゲドンの後世界は終演し」「イエスが降臨し」「ユダヤ教徒が改心し」「千年の至福の世界が到来する」ことを、精神的な意味としてではなく、実際に起こり得る未来の事件として真面に信じることはそうたやすいことではない。それにはそうしたことが実際に起こり得てもおかしくないと、多くのアメリカ人に感じさせる出来事が必要であった。それが9・11である。

    9・11で出現した幻想的共同体 アメリカ

    2001年9月11日から約一年ほどの間、アメリカ社会の変化を示す多くの記事が書かれた。そうした記事の多くは、9・11以降、アメリカ社会の分裂の原因となっていた問題が一見消失したような状態となり、これまで対立しあっていたグループが同じアメリカ人として共通の共同体に結集し、それに向かって溶け込んで行くという現象が見られたことを証言している。

    たとえば、ニューヨークの下町で通りを挟んで死闘を演じていたアフリカ系とラテン系のギャンググループは、9・11の直後、「We are all Americans!」といって抱き合い和解した。この通りをパトロールしている警官は突如ヒーローとなり(9・11では警察官と消防士がヒーローだった)、両方のギャンググループから祝福の喝采を浴びた。

    このような光景はいたるところで見られたようだ。いままでアメリカ社会の大きな特徴であった人種対立は、あの事件以降、アメリカ人は一つになってしまい一時的に消失した。国民は同じアメリカ人として、国家という共同体に結集し、それに溶け込んでしまったのだ。その結集は、大統領のもとに団結する(Unite under the President)というスローガンで始まった。大統領のもとに、これまで理念としてのみ存在していた共同体が、一気に現実のものとして出現したようだった。それはまさに神が作った国がそのまま現れたかのような光景だったと書いた記事もある。

    神と悪魔の対立

    だが、現れたのは神の共同体だけではなかった。神の共同体が現れるなら、悪魔も同時に現れなければならなかった。下の写真は崩壊する世界貿易センタービルに現れたと称する悪魔の顔である。これは、壁のしみに顔の形を見出すように、われわれの思い込みによって黒煙に悪魔を見出しているだけかもしれないのだが、原理主義的世界観に支配されたアメリカ人にとって、これがまさに悪魔の所業であると確信させるには十分であり、アルマゲドンが近いことを悟った人も多かったに違いない。この悪魔は、後にブッシュが「悪の枢軸」と呼ぶイラク、イラン、そして北朝鮮などの国々のイメージとシンクロしいまにいたる。
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    現実によみがえる原理主義的な神話

    このように、9・11以降のアメリカでは、文化の基底に地下水脈のごとく流れていたキリスト教原理主義の枠組みが表面に現われ、これがアメリカ国民のものの見方を支配するようになったといえる。

    ブッシュの、「神は私を通して語りかけるのだ」「悪魔の所業を行うイスラムとの戦いには効果的な情報戦が必要だ」「これは終わることのない十字軍の遠征なのだ」「これは善と悪との戦いなのだ」「ものごとには偶然などというものはない。すべて神の意志だ」などという一連の言葉は、9・11以降、すでに原理主義的な枠組みで世界を見始めていたアメリカ人にとってさほど不自然なものとは写らなかったことは容易に想像できる。もともと、91%の国民が神の存在を信じ、60%が悪魔の存在を、そして48%が進化論を否定し創造主が人間を作ったと信じている国なのだから。

    ブッシュのもたらした原理主義のアメリカは以下の言葉が象徴しているだろう。

    アフガニスタン侵攻を指揮した米軍のウィリアムG.ボイキン将軍は、2003年6月にオレゴン州で開かれたキリスト教徒の集会で、演壇上から次のような発言をした。

    「アメリカはキリスト教国家である。我国のルーツは、ユダヤ-キリスト教である。我国に刃向っている敵は、スピリチュアルな敵である。その名はサタン。悪魔が実在すると信じない者は、神の存在を説く聖書を無視している。(中略)ブッシュは神に選ばれた大統領である。」

    ブッシュ大統領がテキサス州知事時代に親交を持ったテレビ伝道師のジョン・ヘイギー牧師の発言

    「イスラエルが国家として再建される。神は、イスラエルを救うために何度も介入する。しかし、その後イスラエルは、反キリスト(恐らく背信ユダヤ教徒)の率いる国連または欧州連合などの国際連合軍によるハルマゲドン戦争で破壊される。ほとんどのユダヤ人は殺されるが、14万4千人のキリスト教に改宗したユダヤ人が生き残る。反キリストと戦う為に、イエス・キリストが地上に戻ってくる。イスラムの最も神聖なアル・アクサ・モスクが一掃された後、小高い丘のテンプル・マウントが再建される。これらが達成された後、イエス・キリストは、神聖世界政府を樹立し、一千年の平和な支配が続く。」


    これがホーグのいう、まさに「文化の集合無意識が表面に現れ出た」アメリカの姿なのであろう。だとするなら、歴史はこの集合無意識のプログラムのしたがって動いてゆくと、ホーグが予見したとしてもさほど不思議ではない。

    ボーン・アゲイン・クリスチャン

    アメリカのキリスト教に独自な現象として「ボーン・アゲイン・クリスチャン」というのがある。多くのアメリカ人は、生まれてすぐに洗礼を受けてキリスト教徒になるが、「ボーン・アゲイン・クリスチャン」は、人生の半ばで大きな困難に遭遇し、それがきっかけとなってキリストへの信仰にあらためて目覚めた人たちのことを指す。ブッシュもその一人だといわれている。アメリカ人の実に46%が自らを「ボーン・アゲイン・クリスチャン」と考えているという。

    多くの人が「ボーン・アゲイン・クリスチャン」になったきっかけはアルコール中毒だといわれている。キリスト教原理主義の代表的な教派である福音派は、信仰に基づいてアルコール中毒を治療するプログラムを持っており、これに参加した人たちの多くが実際に「ボーン・アゲイン・クリスチャン」になるそうだ。ブッシュは40歳で「自分が吐いたへどが乾いて顔にこびりつくほど飲み続ける」ほどのアリコール中毒となり、福音派の代表的な伝道師、ビリー・グラハムの主催するアルコール中毒リハビリプログラムに参加した。ここで中毒から回復して自他共に認める「ボーン・アゲイン・クリスチャン」となった。

    「ボーン・アゲイン・クリスチャン」の一般的な体験はこうだ。それは福音派の伝道師が開催するミサなどで起こる。賛美歌などが鳴り響き、説教が頂点に達したとき、伝道師が「いままでの人生を悔い改める準備ができているものは前にでて悔い改めなさい!」と強く語りかける。最初は数人だけ前に進み出るが、会場が盛り上がるにつけ人数が増え、数十人から100名を超えるときもある。

    そのとき多くの信者はトランス状態となり(中には踊り狂うものもいる)、その中で「神」の存在を直接実感する。車椅子の女性が立ったり、話せなかった人が突然話したりというような"奇跡"も多く起こるとされる。

    このようなトランス状態をブッシュも経験したのだろうか?


    アメリカの集合無意識がこのような形で表面化し、歴史を動かす力になっているのなら、イスラムの場合はどうなのか?やはりジョン・ホーグのいうとおりの現象がみられるのだろうか?だとするなら、限りなくアルマゲドンに近いものとしてのイラン戦争はやはり起こらざるを得ないのだろうか?われわれはとてつもなく危険なときに生きている。

    続く




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