メルマガ第756回の予告
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第756回 報道されないウクライナの最新情勢、米経済が不況に突入する可能性、グリア博士の最新情報 1
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▼今回の記事
今回は複数の話題を書く。盛りだくさんだ。まず、ウクライナの状況について書く。まったく日本では報道されていないので、重要な情報だ。次にメインテーマとして、これからアメリカが不況に陥る可能性を検討する。可能性は非常に高い。最後に、スティーブン・グリア博士の最新ディスクロージャー情報を紹介する。驚くような内容だ。膨大な情報なので、数回に分けて掲載する。今回はその1である。
▼ウクライナの最新情報
それでは今回の最初のテーマを書く。ウクライナの最新情勢だ。
日本ではあいかわらずウクライナの反転構攻勢は遅れているものの、ウクライナは確実に領土を奪還していると報道している。一方ロシアは、黒海経由でウクライナの小麦を輸出する「黒海穀物イニシアティブ」を破棄し、ウクライナのクリミア大橋の攻撃への報復として、ウクライナの貿易港である「オデッサ」に連日ミサイル攻撃を行っている。他方ウクライナは、モスクワに向けてドローンを使った攻撃を実施している。そして、ロシアは国際的に孤立しており、ロシア経済も中長期的な停滞を余儀無くされているという情報が主要メディアの一般的な報道内容だ。
●ジョン・ヘルムスとジャック・ボーの情報
しかし。このような日本の報道ははっきりいって事実を反映していない。ウクライナの反転攻勢は失敗し、相当に追い詰められているのが現状だ。また、ロシアは戦闘では圧倒的に優勢で、ロシア経済も失速する兆候はまったくない。
このメルマガでは連続してウクライナ情勢を伝えてきたが、また日本ではまったく報道されていない情勢が明らかになった。それは、オーストラリア出身でモスクワ在住の調査ジャーナリストと、スイス軍元大佐でNATO軍の一員としてウクライナ軍の養成にもかかわったジャック・ボーの情報である。日本や西側の主要メディアでは報道されることはまずない情報だ。以下に簡単にまとめた。7月22日のラジオインタビュー、およびジョン・ヘルムスの記事から引用した。
●緊張するポーランドとベラルーシ
「ワウネル」の部隊は、ポーランドとの国境からわずか10kmほど離れたベラルーシ西部のブレツキー訓練センターで、ベラルーシ軍の訓練を開始した。ロイター通信が今週報じたところによると、国境付近のポーランド人は銃声とヘリコプターの音を聞いたという。
ポーランドの安全保障委員会は、隣国ベラルーシにおける「ワグネル」の新たな存在に対応するため、軍隊を東部へ移動させると発表した。独立したベラルーシのメディアは、約2500人の「ワグネル」部隊がウクライナの基地からベラルーシに到着したと推定している。
プーチンは安全保障理事会の会合で、ポーランドと他のEU諸国が軍を国境付近に配備することに懸念を表明した後、ロシアはベラルーシを防衛するために「あらゆる手段を用いる」と述べた。ポーランドがロシアの同盟国であるベラルーシを侵略しようとしており、そのエリートたちが「ベラルーシの土地を夢見ている」と主張した。
●黒海穀物イニシアティブを隠れみのにクリミア攻撃
アントニア・グテーレス国連事務総長と人道問題担当のマーティン・グリフィス事務次長(英国人)の主張とは正反対に、ウクライナは「黒海穀物イニシアティブ」を隠れ蓑に、ロシアに対する海上戦や、クリミア大橋で見たような無人機による戦闘を行おうとしていた。
明らかに、ウクライナはオデッサを使ってロシアの監視を迂回し、穀物取引を使って武器を輸入し、セヴァストポリやケルチ大橋に対して海上ドローンを仕掛けた。
オデッサのインフラが破壊された場合、ウクライナはクリミアの攻撃能力を失うということだ。一方、ロシアはまだ戦略的勝利を望んでいるかもしれないが、ウクライナ国内で反乱が起きることも想定しているようだ。
●11月がNATO支援の期限
カナダの情報筋によれば、クリスマスか11月末までに、ウクライナが戦争に勝つ能力を示し、われわれが供給している武器と資金で改善を示すか、さもなければNATOの支援を大幅に打ち切るという。クリスマスまでには、ウクライナ軍の戦力は使い果たされてしまうだろう。
●戦闘の実態(ジャック・ボーの分析)
第754回 政治交渉しかなくなるウクライナ戦争、コルマン博士の語るAIの起源 後半の予告
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第754回 政治交渉しかなくなるウクライナ戦争、コルマン博士の語るAIの起源 後半
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▼今回の記述
今回はNATO首脳会議を中心にして、ウクライナ戦争に関連して起こっていることを紹介する。極めて多くのことが起こっている。
次に、コルマン博士の語るAIの起源の後半を掲載する。これは第752回の記事の続きである。
▼NATO首脳会議とウクライナで起こっていること
それでは今回のメインテーマを書く。いま、ウクライナ戦争に関連して非常に多くのことが起こっている。
まずリトアニアのビリニュスで開催されている「NATO首脳会議」だが、ウクライナの即刻のNATO解明はないことがはっきりした。ウクライナについて条件が整い加盟国が同意すれば、加盟に向けた正式な手続きを始めるとし、加盟の時期は決められなかった。この条件とは、ウクライナ戦争の終結のことである。戦争終結のメドはまったく立たないので、当面はウクライナのNATO加盟の可能性は低い。
ウクライナのNATO加盟が実現するまでの期間、NATO諸国は一致して軍事支援を提供し、アメリカは、現在イスラエルに提供しているような手厚い軍事支援をウクライナに与える方向性で検討している。
一方これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、議論されている声明の中で、ウクライナのNATO加盟や招待について時期が示されていないのは「前代未聞でばかげている」と強い不満を表明。ウクライナの「招待」にも条件がつけられているとし、「ウクライナをNATOに招待する用意も、加盟させる用意もないようだ」と指摘している。
周知のようにNATO条約の第5条には、集団安全保障の規約がある。ウクライナのNATO加盟が即刻承認されると、NATO軍がウクライナ戦争に直接介入することになる。ロシア軍とNATO軍の交戦は第3次世界大戦の引き金になる危険性がある。このためネットでは、7月11日が第3次世界大戦の開始を告げる日となるのではないかとのうわさが出回っていたのもこれが理由だ。少なくとも、そのような可能性がなくなったことは歓迎すべきことだ。ポーランドやリトアニアを始め、東ヨーロッパ諸国を中心にして、ウクライナの即時加盟を支持する声が一定程度あったからである。
●NATO首脳会議後の情勢
では、NATO首脳会議後にはどのような情勢になるのだろうか?いま信頼できる軍事系のシンクタンクで、その分析が行われている。やはり今回のNATO首脳会議は、情勢のひとつの転回点になった可能性がある。スペインの著名な軍事系シンクタンクの「Ejercito」の分析が、シンクタンク系の分析の中でも代表的なものだ。「Ejercito」の分析を要約した。
・同盟国への依存度が高いウクライナは、あらゆる手段を使って同盟国に圧力をかけ、中長期的な軍事・経済支援だけではなく、NATOの即時加盟を求めている。
・しかし、ロシアとの本格的な衝突を回避したいアメリカを中心としたNATOは、即時加盟を受け入れるわけには行かない。これまで通りの支援を継続するだけだ。
・一方、NATOは兵器不足に直面している。戦争介入もできず、またウクライナへの兵器の供給が十分にできない状態はロシアにとってすこぶる有利である。ロシアは現在の4州の占領を続け、勝利を宣言することができる。
・他方ウクライナは、ロシア軍の全面的な撤退を和平交渉の前提にしている。ロシアがこの条件を受け入れる可能性は皆無だ。和平交渉が実質的にできないことになる。
・NATOにとってこれはジレンマだ。兵器の十分な供給も確保できず、また支援を継続してもウクライナが勝利する可能性はほとんどない。反対に、ロシアが弱体化する兆候はない。このままの状態だと戦争は膠着状態となり、ロシアの4州占領が確定してしまうだろう。
・この状況に陥るのを回避するためには、NATOはウクライナを説得して、ロシアの全面撤退を条件にするというこれまでのロシアとの和平交渉の条件を低くし、現実的な交渉を行わなければならない。
これが「Ejercito」などの軍事系シンクタンクの見通しだ。ウクライナの反転攻勢が始まってからすでに5週間になるが、目立った成果はない。ロシア軍の防衛線の外側にあるロシア軍が「セキュリティーゾーン」と呼ぶ緩衝地帯の集落を奪還できたに過ぎない。他方、ウクライナ軍の損害は非常に大きく、西側が供与した最先端の戦車や戦闘車両の損失が目立っている。こうした状況なので、ウクライナはNATOに対して勝利が可能であることを証明できなかった。これがいわば災いとなり、NATO首脳会議以降に想定される弱気の状況となって現れている。
●ヨーロッパの極右勢力の台頭
さらに、こうしたNATOの弱気な状態に拍車をかけているのが、ヨーロッパ諸国の状況だ。ウクライナ戦争とヨーロッパの不況により、EUやNATO諸国で、将来政権交代がある可能性もある。ウクライナ戦争と過剰な国防費に対しては、イギリスの労働党のような左派と、ドイツのAfDやフランスの国民戦線のような右派が反対している。