04/28のツイートまとめ
ytaka2013
重要情報。米ホワイトハウスが過去24時間で2回も閉鎖されている。現在も閉鎖中でオバマ大統領は建物の中にいる模様。閉鎖理由は不明。https://t.co/JiUK55LrZb
04-28 00:20
04/25のツイートまとめ
ytaka2013
@drfrogger ご返事ありがとうございます。欧米ではなく獣性そのものとは本当にその通りだと思います。これに対抗するには、一神教的な原理主義性を内包しない哲理で対抗するしかないのではないかと思っています。それはマイヤー的な思想でもあり、また日本文化に内在する個の思想かもです。
04-25 23:57@drfrogger いつもお読みくださりありがとうございます。僕もフロッガーさんの言う通りだと思います。国家や民族ではなく、個のネットワークですね。
04-25 23:02ぜひこのサイトで自分の住んでいる地域の地盤の揺れを確認してください。https://t.co/GzdhbjrBry
04-25 13:33
酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第41回
ウエブボット最新版第2回の配信
ウエブボット最新版第2回目が完成しました!対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。
お申し込みアドレス
info@gomokusha.co.jp
五目舎
http://gomokusha.co.jp/
次回の有料メルマガの予告
4月27日、金曜日の午前0時10分に配信する次のメルマガでは北朝鮮への攻撃があるのかどうか徹底して書くつもりである。いま情報を集めている。乞うご期待である。
「ヤスの勉強会」第25回のご案内
「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
【主な内容】
・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
・日本では知られていないトランプの本当の正体
・新しい社会システムに合致した意識の形
・知られざるイスラエルとEUの対立
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:4月30日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
名前(ふりがな)
住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com
新しい本
新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!
「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
世界の政治・経済はこれからこう動く
著者:高島 康司
amazonで注文

今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。
今回の記事
今回はいつもの対談の第41回である。興味深い内容だと思う。
記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。
音声ファイル
ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
https://twitter.com/ytaka2013/
船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!
船井幸雄.com
ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
むちゃくちゃうまい醤油!
筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。
金両醤油
酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第40回

西塚 みなさん、こんにちは、『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の今日は第41回になりました。また、ヤスさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。カンパーイ!
ヤス どうもどうも。
西塚 先週に引き続き、あんまり酔っぱらって突入しないですね。
ヤス えらいですね(笑)。
西塚 いやいや、さっきから話してはいますが、何と言っても、ヤスさんのメルマガでも書かれてましたけども、パナマ文書ですね。今、ものすごい話題ですが、僕は高城(剛)さんのメルマガも見てるんですね。あの人は本当に世界中を回ってる人で、2カ月前にバージン諸島にいってたらしくて、高級レストランで泡食ってる連中を見たそうです。韓国人、イギリス人、アメリカ人、ロシア人が右往左往して大騒ぎしてる。これは何かあるなと思ってたら、2カ月後にこれなんで、ああ、これだったのかと。だから、これからもどんどん都合の悪いことが出てくるだろうという記事でした。
そしてヤスさんのメルマガを見たら、さらにその裏を書いている。それを読むと、アメリカ人の情報が全然出てこないというのはへんだ。不自然だと。違和感だらけだと書かれてる。
ヤス だって、おかしいですよね。アメリカ人がまったく出てこない。ターゲットでも、キャメロンとかプーチンとか、本人がどうしたとかじゃなくて、親族とか周りの友人がでしょ? まあ、キャメロンは自分自身、ちょっと株を持ってたよということだったんですけど、プーチンなんか本当に何も持ってないですよね。
「パナマ文書」の本当の目的とは?
西塚 本当だったら、プーチンなんか一番矢面に立たされるのかなと思ったら、ないということは、本当にないんですね、あれ。すごいヤツだなと思いました。脇が甘くないんですよ。
あれはアメリカの何かしら、意図的なものがあるのではないかということなんですが、アラブの春とか、あれはヒラリーですね、公言してはばからなかったような、要するにネットを通じて若い層から反体制的な、民主的な動きが湧き起こるような運動を起こして、本人たちもまさかあそこまでいくとは思わなかったというくらいに成功する。今回も似たような形で何か絡んでるのではないかと。あの記事は刺激的でしたね。あのへんはどうやってお調べになるんですか?
ヤス まず、あの情報を最初に明らかにした団体について調べるんです。たとえばBBCが最初に報じたのならば、そのBBCという集団がね、何かの利害に基づいてるかどうかとかね。
今回の事件を追っていくと、ICIJという組織なんです。ICIJという組織は初めて耳にするじゃないですか? いわゆる調査ジャーナリストの世界的な連合組織であって、NGOだっていうわけです。それを聞いただけで、本当かよ?とやっぱり思いますね。
実はNGOというのは一番怪しい。たとえば、2000年から2005年くらいまで続いた「カラー革命」がありました。中央アジアでね。キルギスであるとか、ウクラナイナとか、タジキスタンとか、ああいうところの、どちらかと言えば親ロシア派の独裁政権が潰されてね、欧米寄りの政権に全部転換させられたという事件がありました。
その転換の担い手になったのが青年運動なんです。学生を主体としたような、非暴力なんですけどね、青年による反政府組織。彼らが中心になってる。反政府組織がどのように形成されたかというと、その背後関係は明らかになっている。本にも書かれてるし、ドキュメンタリーにも撮られてる。仕掛けたアメリカ政府も全然隠してないわけですね。
反政府組織に資金を提供したのは、アメリカのNGOばっかりなんです。フリーダムハウスであるとか、フォード財団であるとか、ジョージ・ソロスのオープンソサエティとかね。そういうところが資金を提供して、組織のノウハウを教えて、訓練まで提供している。国務省のどこかの部局が、アメリカまで連れていって訓練したという記録まで残ってるんですね。
それとほぼ同じような構図で、実は「アラブの春」でも行なわれていた。アラブの春の中心となった青年団体は、ほとんどアメリカ系のNGOによって資金が援助され、トレーニングされてる。アラブの春の場合は、いわゆる革命コンサルタントという異名をとるCANVASというベオグラードに拠点のある組織、これが実地訓練をやってる。
そうすると、まずアメリカのNGOと聞くとですね、本当かよと思うわけです。だから背後関係を調べる。誰が資金を提供してるかということですね。そのNGOのホームページにいくと、どういう組織から資金をもらってるか、だいたい公けにされてます。
それを見ると、アラブの春とカラー革命を主催した団体とほぼ同じ財団が、今回のICIJの大口の献金者なんですね。その中にアメリカ政府の部局で、合衆国国際開発庁というのがあるんです。USAIDというんですけど、それがアラブの春もカラー革命もメインの提供者なんですけど、そのUSAIDが今回のICIJの大口の献金者でもある(笑)。
だったらこれ、見え見えだろってことになりますよね。そこが、ハイ、こういうドキュメントがありましたって出してくる。そして、アメリカの政治的な庭と言われてるパナマの法律事務所から出されて、アメリカ企業とかアメリカの政治家の名前がいっさい出てこない。それは意図的にやってるだろうということになりますよ。
その目的は何なのか。これはけっこう簡単です。そのような仮説で、自分と同じことを考えてる記事はないのかと調べていくと、膨大に出てくるんです(笑)。
アメリカを世界の租税回避地にする!
西塚 それはアメリカですか?
ヤス カナダですね。モントリオールに本拠地があるグローバル・リサーチ・センターというシンクタンク、そこがいろいろと優秀な記事を載せてる。そこに載ってる記事は、だいぶ同じ疑いを感じて調査をしている。
それから、バーニー・サンダースの支持者たちはけっこう知的水準が高い人たちが多くてですね、そういったブログをたくさん持ってる。その中にやっぱり自分たちが調査をした結果、こうだったよと、ほぼ同じようなことを書いてるんです。
そうすると、日本で言われてるような事件では全然ない。はっきりとした意図があって行なわれてるということですね。実は次回のメルマガに書こうと思ってるんですが、ちょっとわかってきた。
西塚 北朝鮮ですか?
ヤス 北朝鮮もある。パナマ文書で今回わかったのは、実はある企業があった。イギリス人が所有者になってる企業で、パナマのモサック・フォンセカで法人登記した企業ですけど、北朝鮮のフロント企業だったんです。北朝鮮のミサイルがあるじゃないですか? そのミサイルを海外に売ったときの代金のやりとり、決済をその会社を通じてやってたんですね。その所有者がイギリス人だったと。現在、彼は北朝鮮でビジネスをやってるという。それが今回のパナマ文書で明らかになったんですね。ひとつはね。
北朝鮮をターゲットにおいてることは間違いない。もうひとつわかったのは、けっこう大きな金融機関があってね、ここがちょっとびっくりするようなことを出してきたんです。これからアメリカが、本当にデフォルトをする可能性があるから気をつけろという警告だったんですね。これはソシエテ・ジェネラルというフランスのすごく大きな銀行のアナリストです。
どうもアメリカ企業の決算の状況を見てると、かなりの借金をしていると。アメリカの社債市場がおかしくなる可能性があるから、ヤバいと言ってきたんですね。ちょうどそれと同じタイミングでこのパナマ文書が出てるんですよ。それでちょっと調べてみたんですけど、世界の最大の税金逃れのオフショア市場とはどこなのか? 実はアメリカそのものだと。オフショアじゃなくて、オンショアなんですね。
アメリカは何をやってるかというと、自分のところに流れてくる資金に関しては、たとえばいくつかの州があって、ネバダ州とワイオミング州とサウスダコタ州、それからデラウェア州、この4つの州は、実はほとんど税金がかからないんですね。海外から流入してきたものに関しては。それから口座の秘密性が守られる。法人税はない。所得税みたいなものも企業には課せられないということなんです。だから税金は全然課せられない。ある程度のライセンス料のようなものを払えば、口座は自由に持てる。それでアメリカ国内に投資ができるんですね。
どうも見てるとですね、パナマを潰すことによって、自分たちがいわゆるオフショア市場、アメリカそのものがオフショア市場になるということが、今回の目的のひとつに入ってる。どうしてかというと、やっぱりアメリカ企業は本当にヤバいんだと思うんです。そうすると、かなりの大きなお金、世界の富裕層のお金をアメリカに引き入れる。そのためにはパナマをぶっ潰す必要性があったということでしょう。おそらくね。
西塚 じゃあ、最大に今ヤバくなってるアメリカ全体のために、租税回避地を全部ぶっ潰すということがはじまったと。
北朝鮮攻撃に備えてロシアを揺さぶる
ヤス そうですね。それで、すべてをアメリカに集中させる。海外から流入してくる資金によって、アメリカ経済を延命させるという策です。ひとつはね。あともうひとつは、北朝鮮絡みだと思うんです。まあ、次のメルマガに書こうと思うんですけど、中国の新聞にですね、中国のある将軍の、北朝鮮の攻撃が近いだろうという長い社説が載った。ついこの間。
その内容なんですけど、米韓の合同軍事演習の規模を見たら、あれは演習ではないと言うんですね。朝鮮半島の史上最大の演習だと。あれは即刻、北朝鮮を攻撃できる能力を備える規模の演習だと言うんです。アメリカは今ふたつのことを怖れてる。ひとつは北朝鮮のICBMに載るような核の小型化。それはもう成功しつつあるし、今は成功したと宣言された。
あともうひとつは、ICBMが大気圏外に出て、大気圏内に突入してくるときのその熱にね、核弾頭が耐えられるかどうか。熱の耐性の技術ですね。このふたつなんだけど、このふたつは完成間近だと。そうすると、アメリカの西海岸全体が北朝鮮の射程の中に入ってくる。それがはっきりする前に、おそらく潰したいんだろうということなんですね。
4月30日に演習は終わるんだけども、それまでに北朝鮮の攻撃がないかどうか、注意して見なくちゃダメだという社説だった。そして、攻撃が行なわれるとしたら、今度4段階で行なわれるだろうと細かく段階まで書いてあるんですよ。
ちょうどそれが出た直後にパナマ文書が出てる。その論文を読むと、この攻撃を行なうためのポイントは何かというと、実は中国ではない。ロシアだと。北朝鮮の周辺海域というのは、ロシアの海域と重なってるので、北朝鮮に対する攻撃をロシアが納得するかどうかということが、実はキーになるんだということがポイントだったんですね。
それを見るとですね、このパナマ文書によってプーチンを揺さぶることで、無理やり北朝鮮の攻撃を納得させるということが、ひとつの目的としてあるかなという感じがします。
西塚 なるほど。日本で報道されてるものだけを見ててもダメですね。アラブの春も含めて、ちょっと調べればいろいろとわかってくることがある。そういった意味では、本当に表に出てこない連中もいるんでしょうね。インターネットにすら出てこないという存在。
それはおいといても、ちょっと調べればわかることが、前回のリンダ・モールトン・ハウの調査報道のお話でもありましたね。チリに隕石が落ちたことも、毎日新聞は、あれはロシアの人工衛星が落ちたんだと。その根拠がアメリカのメジャーのメディアが報道したからという。要するにコピペだって話が前回出ました。だから、その域を出てなくて、少なくとも日本以外のニュースに関しては、からっきしダメですね、日本は。
ヤス ダメですね。
西塚 日本国内だったら、まだちょっと気骨があるとういか、ネチネチという言葉は悪いけども、スキャンダルでもちゃんと報じますけどね。ブログにしてもそうですが、海外になると徹底的にダメなのは、やっぱり言葉、英語ができないということと、徹底したガラパゴス状態だということ。
ヤス あともうひとつは、やっぱり考えないということです。若い連中ほど考えない。まあ、年寄りも考えないですけど(笑)。考えるということは、われわれの文化ではないと誰かが言った(笑)。日本は本当に思考しない。
西塚 もう本当に淘汰されていくしかないのかもしれませんね。かつてはこういう、考えなくてもすむ、いい国があったよで終っちゃう話なのかもしれません。ということまでちょっと考えちゃいますけどね、最近。
ヤス 確かに。
西塚 僕、個人が考えてもしょうがないけど、大きな流れとして見れば、それでも出てくるとは思いますけどね、若い連中にしても。前々回の話で、高校からハーバードにいっちゃうような連中というのは、頭の作りが違うというお話がありました。東大にいく連中とは違うんだと。官僚とは全然違うよという。
だから、ああいう人はいるわけなので、日本じゃなくても、海外で活躍してるそういう連中が、また日本を復活、復興させるということはあり得るかなという。
ヤス たまたま、日本生まれだったというタイプの人ですね(笑)。
西塚 ああ、そうかもしれません。それはどう考えたらいいんですかね? 今の日本は、幸せなことなのか、あるいはまあ、なるようになるしかないんだよと思っているしかないのか。
ヤス オールオアナッシングではないと思いますが、やっぱり非常に大きいのは、何かというと、まず閉じるんですよ、僕ら。独自の言語圏の中で閉じるしね。前にも何度も話してるように、何か優秀な技術でもあったら、オールジャパンでとか、やっぱり日本が!日本が!と言う。そうして、異文化の出身者、違った民族の出身者を無意識的に排除してるわけです。
それで、自分たちの文化と親和性があるよう集団を作って、どんどんその中に籠って閉じていくという流れなんです。全部、内向きのベクトルですね。
日本人の幼児性と欧米の獣性
西塚 それは、やっぱり明治維新以降ですか? 僕はちょっとそこは、儚いというか、僕は落語とかけっこう好きなんですけど、あれが全部の世界観じゃないんだろうけども、少なくとも明治維新前はですね、オレがオレがじゃないんですよ、日本人のマインドも。
士農工商の武士にしろ何しろ、まあ、私は武士だからとかありますよ、オレは町人だ、オレは魚屋だって、私は大家だとかですね、そういうのはあるんですが、それでもある種、分をわきまえてる。それぞれにイヤなヤツはいますが、でも、ちゃんと相手を認めたケンカをするんですね。
それが明治維新以降、外国コンプレックスなのかもしれませんが、日本のすばらしさをちょっと思い出しては、それを誇りたがるというのがありますね。どうしても噴き出てくる。それで経済が発展してるときはまだよかったんだけど、それ以降はそれを誇るし、『「NO」と言える日本』もそうですけどね、何と言うか、折々に出てくる。
根本的に欧米に対するコンプレックスがあって、マンガにしても、だいたい少女マンガというのは、昔はみんな外人じゃないですか? 要するにバタくさい顔なんです、みんな。だから否定してるわけです、自分たちのことを。おそらく。
ヤス 近代の日本人の基本的なメンタリティーがあると思うんです。それはおそらく明治維新以来、変わってない。それは何かというと、欧米に対する極端なコンプレックスと、その裏返しとしてのアジア諸国に対する極端な優越感ですね。だからそのふたつのものがアンバランスな形で同居していて、自分たちが最終的に何ものであるのかということの落ち着きの悪さがあるわけですね。
だから、言ってみれば幼児みたいなものですよ。欧米に対するコンプレックスを持ってるんだけど、アジア諸国に対しては優越感を持ってるというのはね。何と言いますかね、人格としてほとんど完成されてないということじゃないでしょうか。
西塚 よく日本の幼児性ということが言われますけど、そういうことですかね…。大きく言えばたぶんそうだと思うんです。でも、幼児性というと、これは細かく分析しなくちゃいけないんでしょうけども、もちろん欧米人が持ってる幼児性もありますね。ものすごく善悪がはっきりしてるし…
ヤス そうそう、彼らは彼らの幼児性があります。
西塚 それとは違う幼児性なんだろうけども、そうすると日本はGDPで2位までいきましたけども、だからまだいいのであって、地球的には欧米がどうしても主流になってますから、欧米の幼児性というのが隠されちゃうということなんですか?
隣においしいものがあったら、みんなそこでちゃんと仲よく暮らしてるのを全部蹴散らして、自分で持って帰っちゃうというような幼児性。ガキ大将というか、ジャイアンみたいなものですね。それが席巻して、今もそうだということなんでしょうけども。
でも、そのイジメられっ子の幼児性というのは脆弱で、もっとダメだよってことなのか。
ヤス 欧米の場合、幼児性は幼児性としてあるんだけど、幼児性というよりはむしろ、戦略的に見てね、どのような世界の状態が自分たちにとって一番居心地がいいかということから考えるわけです。それで世界情勢全体をデザイニングしていくという形ですね。
それでまあ、Winner takes everythingなんですけど、やっぱり勝ったものが総取りしてしまうというシステム。自分にとってベストのシステムというのを自分たちがデザイニングして作る。その志向性が一番強いのがアメリカだと思いますよ。
確かにそうしたメンタリティーも幼児性と言えば幼児性かもしれない。でも、日本が持ってるようなコントロールが効かない幼児性とは、根本的に質が違うものだと思いますね。
西塚 そのへんの線引きが今後、微妙になってくると思うんです。欧米式のある種の幼児性、要するに総取り、強いもの勝ちというのは、それが高じればどうしたって戦争になるわけです。弱肉強食になるのは当たり前なので。
日本的なメンタリティーで言えば、そうならないように、突出しないようにするという。そうするとそういう争いも起きないと。その代わり抑圧されていく。それが高じると、とんでもない陰湿なことにもなっていく。その両極端な現われなのかなという気がするんですね。
そうすると、やっぱりその中間をとらなければならない。いつもの話、というか普通に考えればそういう話になるんだけど、その中間というのがやっぱりクセもので、じゃあどういう中間なんだ?ということですね。
欧米が言う中間と日本が言う中間も違うだろうし、今すごく粗雑な論理になっていて、そこにスピリチュアリズムが入ってきちゃうと、いやあ、そのままでいいんですよとか、自分は自分でいいんですよ、何も間違ってませんよ、あるいは好きなことやればいいんだとか、その中間層というのはすごく分厚くて、これがものすごく気持ち悪い(笑)。
だから、そこは整理されなければいけないんじゃないかと、僕は思うんですけどもね。やっぱり原理、原則というか、教条主義的になるわけじゃなく、何かが必要だという立場です。
それは明文化されるものではないかもしれない。ある種、体感も含めたものなのかもしれませんけども。マニフェストみたいなものではなくて。そこが僕は興味のあるところなんです。
日本人の欧米コンプレックスとアジア蔑視の源流
ヤス ひと言で言うならば、たとえばアメリカが持ってる幼児性というのは“獣性”ですよ。それは幼児性といったものとはちょっとニュアンスが違ってるかなと思います。明治以来の日本人のメンタリティーというのは、極端な欧米に対するコンプレックスが前面に出るのか、それともアジア諸国に対する極端な優越感が出てくるのか。このふたつの側面のどちらが前面に出て日本の歴史を主導するかによって、われわれのこれまでの歴史が決まってきたという感じだと思うんです。
たとえば戦前の状態を見ると、明治維新以来のかなりの時間というのは、欧米に対する劣等感というのは、日本が富国強兵を目指す主要な動力源だったわけです。それが、昭和初期に入ってくると今度は、欧米に対するコンプレックスの裏返しとしての対抗意識ですね。ものすごい対抗意識、恨み、ルサンチマンの爆発みたいなものが出てくる。
ルサンチマンの爆発みたいなものが刺激となって、今度はアジア諸国に対する極端な優越感、支配者としての優越感が前面に立つ。それでアジア諸国に対して残虐なことをさんざんやるわけですよ。戦後は、むしろ欧米に対するコンプレックスのほうが前面に立つ。かなり長い間、欧米に対するコンプレックスが前面に立って、それが一時は日本を世界第2位の経済大国に押し上げるだけの大きな、メンタルのレベルでの動機形成にはなったと思うんですね。
しかしながら、それが中国に追い抜かれるにしたがって、今度は欧米に対するコンプレックス云々よりも、アジアに対する優越感、そして欧米に対するコンプレックスの裏返しとしての、極端な日本優位論というかナショナリズムが前面に立ってくる。戦前回帰、昭和初期回帰が今はじまっているのは、そういうメンタリティーなんだと思うんですね。
そうすると、特に明治維新以来の日本の近代史というのは、極端に言うと極めて単純なメンタリティーに支配されている。その極めて単純なメンタリティーの呪縛から、われわれは脱することができていないということなんですね、全然。
日本のナショナリズムは愛国主義ではなくて、言ってみれば欧米に対する劣等感の裏返しとしての極端なナショナリズムなんですね。アジアに対する優越感も、言ってみれば欧米に対する劣等感の裏返しとしての優越感ということになってくる。そうすると、われわれのメンタリティーの基本的な色合いというか、主張というのかな、主軸になっているのは欧米に対する極端な劣等感ですよ。
西塚 今のそのナショナリズム、ナショナリストということで言うと、欧米も含めて言えると思うんですけど、英語が正しいかどうか…アメリカでも日本でも良質な、良質という意味は、僕にとって共感できるという意味なんですけど、そういう人たちはナショナリズムではなくて、パトリオティズムというんですかね。そっちのほうがわかりやすいんです。だからナショナリズムとはちょっと違うんじゃないかと。
ヤス 全然、違う。
西塚 パトリオティズムというのは、あってもいいのかなと思うんです。当たり前の、愛国というよりも、むしろ郷土愛に近いものだと思います。それはよくわかる。ホームグラウンドとして、自分が生まれたところとか地域がある。それに対する愛情とか、誇りは当然あると思います。それとナショナリズムを混同したらまずいのではないか。
いわゆる軍国主義の時代でも、兵隊さんの中にもその両者がいたのかなという気がします。そういった意味でも、言葉も含めて、感情でも、ある程度分けないとおかしくなりますね。
ヤス 確かに。本来のpatriotismというかね、愛国主義という言葉そのものは僕は嫌いなんだけど、本来のあるべき愛国主義とはどういうものかというと、世界中にいろんな文化があって、その中にはアメリカが押しつけるグローバリゼーションみたいなものもあるだろう。しかしながら、われわれにはわれわれの文化的な価値があって、この文化的な価値のもとに、われわれが自らの生活世界を作る権利があるんだという主張ですよね。
他の文化圏に対して、いいとか悪いとかの問題ではない。これが、われわれの文化の固有な価値観なんだと。この固有な価値観にしたがって、われわれが自分たちの生活世界を組織化する、形成する権利があってもいいではないかということなんですね。
すべての人間が、同じようなグローバリゼーションの文化に解体されるということそのものがおかしい。そういった感覚が、本来の意味でのpatriotismなんだろうと思います。
西塚 僕もそう思います。プーチンが言ってるのはそっちなんじゃないかと。
自国文化の価値の固有性を理念化するということ
ヤス プーチンが言ってるのはそうです。プーチンだとか、プーチンの背後にいるイデオローグのアレクサンドル・ドゥーギンが主張してるのは、そういう意味でのpatriotismなんですね。アメリカでも、もともとそういうpatriotismはあります。アメリカはアメリカの文化圏としての価値があるんだと。それは他の文化圏の価値観に解体されない独自のものであって、われわれはその独自性を守り抜くぞといったタイプのものですね。
西塚 そのへん、ヤスさんにちょっと確認したいのですが、いわゆるそのパトリオティズムですが、ドゥーギンもそうなんですか? ちょっと覇権主義っぽい気がしますが…
ヤス ドゥーギンというのは二面性があります。ドゥーギンが受け入れられるところは、新ユーラシア主義を標榜してる部分。もともと1920年代、ちょうどソビエトができたくらいのころに出てきたユーラシア主義というのは、patriotismなんですね。覇権主義では全然ない。
ロシアはロシアの独自の文化的な価値観があるから、価値観を守る権利はわれわれにあるんだと主張した。言語学者のトルベツコイとかね。ドゥーギンもそうなんですけど、ただ、その背後に巨大な覇権主義がありますね。
西塚 そうですよね。
ヤス だから、ドゥーギン自身は相当問題のあるキャラクターであることは間違いない。
西塚 ちょっと怖いものがあるんですね。また感覚的に言ったらいけませんが、かつてのラスプーチンに近いような怖さといいますか、プーチンがやられちゃって、ロシアがおかしくなったら怖いですから。
ヤス そうそう。だからプーチンとはあまり近い関係ではないですね、この人は。
西塚 あ、そうなんですか?
ヤス どちらかと言うとね。アドバイザーとは言ってるんだけども、会ったこともないみたいです。ただ、プーチンはドゥーギンの書いたものをよく読んでるし、またプーチンの周辺にいる側近たちに、やっぱりドゥーギンの信奉者が何人かいるということらしいです。
西塚 なるほど。じゃまあ、時の首相が誰だか忘れましたが、北一輝は読んでるけど会ったことがないみたいな、そんな感じ(笑)。
ヤス ああ、そうそう。そうするとね、ロシア的な新ユーラシア主義とユーラシア主義、とくにトルベツコイあたりが言うユーラシア主義というのは、まさにユーラシア主義として理念化してくわけです。どんどん。これがわれわれの理念だと。それは欧米のいわゆる民主主義と市場原理、そういうものに解体されない独自の価値観なんだということで、それを理念するわけですよ。
フランスでもフランス革命の後に出てくるんですね、フランスそのものの本来の理念、文化的な理念とはどういうものだったのか。ドイツもそうです。それは、場合によっては、それぞれの国の極右によって利用されかねないといった危険性はあります。
危険性はあるんだけれども、それはグローバリゼーション、民主主義の絶対化、市場原理主義の絶対化によって、国民の文化的な集まりを民主主義と市場原理というふたつの原理のもとに解体していくということ。それに対するひとつの抵抗運動、文化的な独自の価値観の主張ということ。これをまず理念として掲げるわけです。
日本の場合、明治以来、この本来の日本文化の価値の理念化に失敗したんだと思いますね。完璧に失敗した。だからね、まだアンバランスなんですよ。一方で欧米に対する極端なコンプレックス、もう一方では、その裏返しとしての欧米に対する極端な敵意。それと連動してのアジア諸国に対する極端な優越感。そういう非常に落ち着きの悪いところで右往左往するということね。
西塚 それは、それこそヤスさんの専門になるかもしれませんが、僕の感じで言うと、しょうがなかったと思います。基本的には。欧米列強に対抗するために富国強兵で国を強くして、国家の体制を整えていったということは、まあそうなんだろうと思うんですけれども、ひょっとしたら、軍につながる官僚たちに何か問題があって、それで舵を急激にきって、それを止められなかったという。ベタな言い方ですが。それがいつの時期からなのかというのは、僕は勉強不足で詳らかにはできないですが、やはり官僚だと思うんです。
官僚の話はこの対談でもよく出てきますが、ある個人ではなくて、何かの空気と言いますか、それが得体が知れない。特定の個人はそれほど力を持ってないでしょうが、でも日本というか、日本人に脈々と流れてる何かのラインがあるように思います。
それが妙に作動した結果、敗戦を迎える。そこから一からやり直せればよかったのかもしれませんが、それこそ富国強兵と同じで、今度は経済大国に向けてまた同じようなことをやって、まあこうなってるという、僕はそんな見方なんですね。
さきほど獣性ということをおっしゃいました。幼児性にしろ、獣性にしろ、その背後にあるのは、やっぱり感情だと思うわけです。ヤスさんもおっしゃるように、とにかく感情というノイズはできるだけ排除する。
それは直感知の話題のときにも話しました。湧き起ってくる直感は、うまく規定はできないけども、そこにたどりつくまでにはいろんな感情のノイズ、雑念があるわけだから、それを排除しないとたどりつけないし、混同してはいけないと。
僕は直感とか感覚といったものを信頼してきました。そこにちょっとヤスさんとの齟齬があって、僕の理解が足りなかったわけですけども、ヤスさんは、直感ではなくて理論とか理性にいくべきだとおっしゃってるように聞こえた。
僕は理性などはもっとも危ないものであって、黒を白と言えるのが理性、論理であって、そんなものよりは自分の感覚を信じたいというようなことを訴えたかったんだけども、そこで言葉がうまく疎通できなかった部分がありました。対談を後から読み返すとわかるんですけど、でも思いとしては共通してるものもあった。
だから、やっぱり一番問題なのは、簡単に言えば感情なんです。おっしゃるように。明治維新政府、それ以降の政府が失敗したこと、僕に言わせれば、官僚、軍部がおかしくなって暴走して、それを誰も止められなかったということ。そのへんのことを、感情ということをキーにした場合、何かありますか?
コンプレックスの元にある「恐怖」の感情
ヤス いわゆる欧米に対する極端なコンプレックスは、感情が前提にありますよ。
西塚 それは、ある程度は全員が持っていたということなんですか?
ヤス いや、それはやっぱり官僚が持ってますね。このコンプレックスは何かというと、脅威でもあるんです。恐怖でもあったわけです。それと獣性。たとえば、中国を中心とした冊封体制という外交関係があるじゃないですか。それは兄と弟の関係ですよ。言ってみれば、獣性とはほど遠いものなんですね。
中国が朝鮮半島そのものを侵略して、そこから自治権をすべて奪い取って奴隷化するかと言えば、そんなことはしないわけです。中国にもいろんな王朝がありますから、冊封体制の中でも朝鮮半島に対する介入の強さというのは、それぞれ違ってはきます。たとえば元あたりは相当強く介入してくる。それに対して、明であるとか、宋であるとか、介入は極めてゆるやかだったりします。ただ、欧米のようにですね、ひとつの国を植民地にして、そこの国民を奴隷化まではしないわけです。
中国を兄として祀ってれば、完璧な自治権を与えられるといった温和な体制です。それに対して、欧米を中心にした体制は、弱肉強食の本当に動物的な体制になるわけですね。それが帝国主義以降の体制です。
その帝国主義以降の体制で、それこそ野獣が迫ってくるわけですよ。迫ってくる野獣にいかに対抗するか、というところで築き上げられてくるメンタリティーがある。まず、第一に脅威としてとらえる。その脅威としてとらえた欧米に、範を求めると言いますかね、彼らに範を求めない限りは自分たちが生き残れないという、ある意味で論理的な選択をとった。
彼らと同じようなシステムを構築しない限りは、自分たちも一緒にやられる。ある意味で、当時の正しい判断だった。
西塚 そうですね。同じ土俵に上ろうということですね。
ヤス そうすることによって、欧米から摂取できるところはとことん摂取する。その結果、かなりアンビバレントというかな、なかなか落ち着きの悪いメンタリティーができてくる。すなわち、欧米をまず脅威としてとらえる。脅威としてとらえる延長で反欧米であり、欧米に対する極端な敵意を持つ。
しかしながら、敵意を持ってる欧米を師匠として仰がざるを得ない。彼らの持ってる優秀な社会システムや技術をすべて自らのものとして、できるだけ早くキャッチアップせねばならない。そこで欧米に対する極端なコンプレックスが出てくるわけです。
西塚 それはどうなんでしょうか。間違ってたら教えてほしいんですけど、その欧米化、近代化する途中で、たとえば陸軍と海軍で、それこそ範を求めるのはそれぞれフランスとイギリスだったりしますね。医学だったらドイツに求めたり、もともとはオランダだったりという。
それをうまく統合して、日本国家が普通に栄えて進んでいけばいいのに、その範を求めたフランスならフランス、イギリスならイギリスで、それぞれ官僚たちがまた反目し合います。すごく閉鎖的になっていくという。そのへんのメンタリティーというのは何なんでしょうか? もともと日本人にあるのか、システム的なものなのか。
ヤス いや、どの官僚制でもみんなそうだと思います。中国でもそうだし、アメリカでもやっぱりね…
西塚 どこの国でも。
ヤス どこの国でもそうだと思う。それは何かというと、権力を目指すような人たちが集まってね、ひとつの機構を結成すると、必ずそこですさまじい出世争いが起きてくるということですよ。蹴落とし合いというかね。誰が、どのグループが覇権を確保するかという争いが必ず起こりますから。
その覇権争いの材料として、フランスに通じるのか、ドイツに通じるのかと、やっぱり利用されてくるということはありますよね。
何が言いたいかというと、明治維新以来、官僚および政府の指導層と言われるような人たちの共通したメンタリティーは、この3つだったのかなと。
もう一回要約すると、欧米に対する脅威ですね。脅威の延長としての敵対心。
西塚 怖いということですね。
ヤス 怖いことの延長としての敵対心。第2に、そのような欧米に範を求めて、師匠としてしたがわなくてはいけない。
西塚 学ぼうということですね。
ヤス それは欧米に対する強いコンプレックスを醸成します。その裏返しとして、遅れたアジア諸国に対する蔑視と優越感。このメンタリティーが、日本の指導層のメンタリティーとして定着していったわけだし、それが日本の官僚機構、政治機構、日本という国を構築しているすべての指導層の、基本的なメンタリティーになっていったということだと思います。
こうしたメンタリティーを持ってる人たちが、日本の近代を主導した。別の選択肢があったかというと、おそらくあったと思う。たとえば自由民権運動というのがあった。明治10年代に出てきたのですが、そこでスローガンになっていたのは、明治維新の徹底だった。
明治維新というのは社会改革なんだけど、社会改革を徹底してないではないかと。身分制も残ってるし、明治維新で言っていた維新を徹底しろと。それが自由民権運動だった。自由民権運動は下からの革命なんですね。下からの社会革命です。
だから、場合によっては、下からの社会革命による近代化という全然違う道があった。おそらくですね、自由民権運動的な下からの社会革命という、全然違った近代化の道をとってたら、ドゥーギン主義というか、むしろ本来のpatriotismの理念化に至ったのではないかと思いますね。
西塚 それは興味深いですね。逆に、ものすごい覇権主義になったかもしれないけれども、いずれにしろ違ったものでしょうね…
ヤス 違ったもの。われわれはあなたたちとは違うんだと。われわれにはわれわれの文化的な価値があって、それを理念として表現するとこういうことになると。その理念を表現するひとつの媒介としてね、おそらくヨーロッパの哲学を使ったのではないかと思うんです。ルソーを媒介にして日本の価値観を再定式化するとかね。
アンビバレントなメンタリティーをどう乗り越えるか?
西塚 こういうこともありませんか? 一部かもしれませんけど、アジアの韓国や中国に対する蔑視もあったけども、やっぱり欧米に対する蔑視もあって、それこそ石原慎太郎みたいなものですね。あいつらはダメだと。だらしないと。
これは吉本隆明も言ってたんですね。吉本隆明が誰かから聞いたわけです。戦争中にアメリカ兵を見たと。そうしたらチューイングガムをかんで、くちゃくちゃやってる。隊列も組めない。みんな好き勝手に立ってる。これは楽勝だと。こんなだらしない連中に負けるはずがないと確信したと言うんですね。
でも、負けるわけです。それは確か坂本龍一と村上龍との鼎談でしたけどね。それで、徹底的に個人主義にやられたんだろうというような結論でした。僕はそんなに単純なものではないと思いますけども、でも日本の場合は、みんな優秀で組織化もされてるし、隊列もちゃんと組めるし、要するにドイツ的に強いと思ってるわけです。あんなだらしない個人主義で、ひとりひとりが勝手にやってるようなアメリカに負けるはずがないとみんな思っていた。でも結局は負けた。それはいったいどういうことなのか。
それは、ひとつは蔑視だったんだけども、でも80年代になっても、それこそGDPが世界2位になって、アメリカを脅かすようになったあたりからまた、欧米蔑視が一部ではじまったと思うんです。特に経済界の連中ですね。あと一部、ネトウヨじゃなく、当時ネトウヨという言葉はないですけど、一般庶民ですね。やっぱり日本ってすごいじゃんということで、欧米蔑視に走る。
ヤス その蔑視は、アジアに対する蔑視とはまた違う。自分たちよりも本質的に劣ったものに対する蔑視じゃないわけですよ。
西塚 コンプレックスの裏返し?
ヤス 簡単に言って、コンプレックスの裏返しです。
西塚 強がりということですか。そう考えるとわかりやすいけど(笑)。単純にそういうことなのか。
ヤス コンプレックスの裏返しなので、敵意になったりね、極端な優越感になったりするわけです。極めてアンビバレント、ものすごく安定しないものですよ。
西塚 どっちにしろダメですね。そういうメンタリティーは。
ヤス ダメです。
西塚 僕はどこに結びつけたかったかというと、集団になるとみんなロクでもないことをするから、どうしても個人ではないかと思うわけです。個人が個人たるときの、その感情のコントロールの仕方とか、どう生きていくかということ、世界とどう関わるのかということですね。
そこでビリー・マイヤーその他、この対談のあちこちでキーワードも出てくるんですが、だから今、大きな話と中間と、そして個人までいくような話は、ある程度整理していかないといけない。一足飛びに上にいったり、個人にいったり、マクロとミクロであっちこっちしてると、それこそスピリチュアル的なワナにもハマってしまう。もはやそういう時代ではなく、いいかげんもっと違う展開を示していかなければならないところにきてるんじゃないかと思うんです。
世界を見ると、それこそ前回の話にも出たリンダ・モールトン・ハウみたいな人が調査報道をして、言うべきことを言っていたり、インターネットの普及によって、おもしろい情報が山のようにある。
高城(剛)さんのメルマガを読んでも共感したのは、インターネットの力というのは、ダウンロードではないと。アップロードだと言うんですね。僕もまったくそのとおりだと思います。要するに閉じるのではない。
だから、閉じるのではなく、開いていくという方向、そこさえ一致すれば、僕はだいたい話ができるんです。いい悪いではなく、閉じる方向というのも理論的にはあり得ます。閉じていって、そこで何かしらの世界観を作って、そこで核爆発を起こすと言う人もいるでしょう。僕はそうではなく、まずは開いてからという立場ですね。
ヤス そうですね。特に日本に関しては、われわれの持ってるような近代を乗り越えなければダメなんですよ。
西塚 昔から言われてますね。
ヤス 160年間持ってるこの居心地の悪いね、コンプレックスなのか優越感なのか、その裏返しとしての敵対心なのか、恐怖感なのか。とにかくこの居心地の悪さは、アイデンティティーの不安定性。これは乗り越えなくちゃダメだ、どこかで。
西塚 「近代の超克」は昔から言われてますね。それこそポスト・モダンは思想界でも前から論じられています。たとえばフランシス・フクヤマも『歴史の終わり』みたいなことを言ってましたが、今言ってることはそういうことではない。近代的自我の超克のことを言ってるわけです。これからやらなければならないこととして。
ヤス そうですね。いくつかの文脈で考えられるんだけども、今の文脈につなげて言うと、ひとつはこの日本的なアンビバレントなメンタリティーをどうやって乗り越えていくか。そうなると、日本的近代がどういう価値を持っているかということを理念化せねばならないわけです。
それは、たとえばドゥーギンではないですが、ユーラシア主義であるとか、何でもいいですね。普遍的な価値観として許容可能なひとつの理念として提示せねばならない。これは日本文化に根差したひとつの理念なんだと。これが日本の近代が、特に戦後の日本が築いてきたわれわれの価値観であるということね。これを高らかに謳って僕はしかるべきだと思うんです。
なおかつ、欧米が作り上げた哲学が普遍的な次元で遭遇している、いわゆる自我をどうやって超克するのか、ということに対する明確な解答をその価値観が提示することができれば、これはすごいことです。
テクノロジーの進化は人間の意識を変革できるのか?
西塚 そうですね。これからどうなるのか。たとえば高城さんは、1976年から95年に関してはPC革命だったと言う。96年から2015年まではインターネットの革命であって、これからどうなるかというときの論議として、やっぱりAIを分母として、ロボティクスとナノテクノロジーとDNA、要するに遺伝子工学だと言うんですね。
だからやっぱり、外部から人間の意識がガラッと変わることが、テクノロジーの進化とともに出てくるというのは、わりと僕は信ぴょう性が高いと思うんです。でも、それはそれとして、どっちにしろそっちに進んでるのは間違いない。問題はそのときの内面ですね、人間の。
ヤス もっと言うとね、意外に人間の内面は変わらない。たとえば160年前にできてるじゃないですか、われわれのこのアンビバレントなメンタリティーって。この160年で何をやったのか。インターネットが拡大して、10年前、20年前では信じられないようなテクノロジーが入手可能な状態になってる。スマホもそうだしね。それでも、われわれの基本的なメンタリティーは変わってないわけですよ。
そうするとね、テクノロジーそのものによってメンタリティーが変わるということは、おそらくない。今までの歴史的な流れから言ってね。
西塚 よく言われますが、たとえばカメラ・オブスキュアの発明によって、ダ・ヴィンチやフランドルの画家まで影響を与えたように、芸術の世界ではテクノロジーの変化によって意識が変わると言われるのは、単純に作品に対する意識とか、何と言うか、表現が変わってきただけであって、メンタリティーは変わらない。基本的なメンタリティーは変わってないだろうということですか?
ヤス 変わってないと思う。
西塚 それはおもしろいですね。
ヤス コアのメンタリティーは全然変わってない。コアのメンタリティーが変わるためには、コアのメンタリティーが存在する領域に対する、何かの操作性のある働きかけをやらないと難しいと思います。その操作性は、ある意味で旧態依然とした方法なんですよ。理念化ということなんですね。
日本人だったら日本人でもいいんですが、ああ、これだったらぴったりくるといったような、ぴったりくる理念化の方法があるんです。その理念化の方法が、たとえば自我哲学が遭遇してる極めて大きなアポリア、自我をどうやって乗り越えるか。そういうことに対するテーゼを提示できれば、普遍的な次元で賞賛されるわけです。そのような賞賛を受けることによってガラッと変わったりしますよね。
むしろテクノロジーは、そのプロセスを早めたり遅くしたりするということじゃないかと思います。
西塚 そうですね。影響が大きいということでしょう。あと、パソコンがあって、インターネットがあって、次に出てくるのはドローンだと言います。ドローン革命だと高城さんあたりは言うわけですね。あの人はかなり早くからドローンに注目していましたが、どういうこというと、インターネットのリアル化だと。
次なる移動体、ポスト・インターネットとして、今ドローン革命で、どの国が最初にインフラを作るか、どこが最初に広めるかで、ものすごい競争がはじまってる。
ヤス そうですよ。ドローンというのはけっこう単純な技術で、開発可能なんですね。だから、技術的に極めて困難なブレイクスルーがあってどうのこうのではなくて、今スマホに使用されてるようなカメラであるとか、通信技術であるとか、GPSとか、そういうものをドローンというフライングマシーンに合体させれば、簡単にできてしまうというくらい、ある意味技術的な水準はそれほど高くはない。つまりドローンで、どのような領域を通じて何をやるかなんですね。
西塚 そこですね。その争いらしいです。
ヤス それは争ってますね、今。
西塚 やっぱりそうなんだ。
ヤス 今、ものすごい勢いで争いが進展してて、ドローンを適用できるような新しい領域を開発したところがですね、シェアを独占するわけです。
西塚 インターネット前夜と言われる93年には、アマゾンもヤフーもグーグルもなかった。あっという間に出てきた。そういうものが、これからも出てくるだろうということですね。
ヤス 出てくるでしょう。びっくりするようなサービスが出てきますよ。ドローンに関係するようなものでね。今、グーグルが買い取った会社かな、全世界、たとえばサハラ砂漠であるとか、Wi‐Fiがまったくつながらない領域があるわけですね。インターネットも全然つながらない。そこに通信衛星ではなくて、ドローンを飛ばすわけです。ドローンと言っても、巨大な飛行機のようなドローンで、地上に降りないんです。24時間365日飛び回ってる。
西塚 UFOみたいじゃないですか(笑)。
ヤス これはアンテナなんですよ。
西塚 燃料はどうなってるのかな。空中補給するのかな。
ヤス いや、太陽電池で。
西塚 本当にSFみたいな光景が見られる(笑)。
ヤス ドローンで何か新しいビジネスの領域を切り開くということが、極めて大きな争いにはなってる。ここがポイントなんですが、だからといって、われわれのメンタリティーは変わらないんですね。
西塚 それはまた別の話だということですか。ドローンでFedExみたいなものとか、通信でも何か変わるかもしれない。でも、メンタリティーとは関係ない話。根本的な話だと。
ヤス そうなんです。だから、このメンタリティー、日本人の欧米に対するコンプレックスとアジアに対する蔑視とか、欧米に対する恐怖とか敵対心といったような、そういう3つのセットとしてあるメンタリティーを、教育の中で何が補強してきたかというと、僕は英語教育だと思う。これはロクでもないです。日本の英語教育というのは。英語に対するコンプレックスを徹底的に植え込むんですよ。
西塚 要するに〇×ですからね。意味は通じても、ひとつ単語を間違えたら×なんですから。
欧米コンプレックスを助長する最悪な「英語教育」
ヤス そうそう。それは、完璧なティーチャーとして欧米人を祀り上げるんですね。それで、彼らの発音を真似よと。ああなれと。われわれが模倣すべき理想的な人格として祀り上げていくのが、日本の英語教育だったんです。
西塚 それは意図的なのか、それとも自発的にそうなったのか。
ヤス 自発的です。GHQがどうのこうのとありますけど、GHQもやりましたよ。GHQは何をやったかというと、アメリカは実はいい国なんだよということを宣伝するような教科書をたくさん書いて、これで英語を教えろとやるわけです。
それをアメリカはやるんだけど、日本人がね、GHQの予想を超えてのめり込んでいく(笑)。ここまで受け入れられるとは思わなかったと、GHQの報告書が述べるくらいにのめり込んだわけですね。われわれが選び取った。
西塚 やっぱり、雰囲気なんでしょうかね。前も同じ話をしたかもしれませんが、小林よしのりのマンガであるんですよ。簡単に言うと、小林よしのりの実家筋が真言密教か何かのお寺で、家族の集まりがあって、植木等もそこにくることになった。
植木等の家も真宗系のお寺なんですね。それで、超有名人がくるってことで、みんな親戚が右往左往して準備している。それは植木さんには失礼だろうとか、食事は何を出そうかとか、どこに座ればいいかとか、そういうことでしょう。みんな準備に追われて大騒ぎしてる。
それを親戚の小さな子どもが見てるわけです。大人たちが右往左往してるところを。やがて植木等がくる日になって、それでみんなもう下にもおかない気遣いをして、招き入れる。そしてずっと一連の流れを見ていたその子どもの何とかクンは、見ると植木等の前で土下座をしてるんですね。子どもが。誰もそんなことを強制してないんですよ。それでみんながびっくりするという。そういうマンガだったんです。実話らしいんですけど。
何で土下座したのか。要するに周りの雰囲気を感じ取って、これはとんでもない人がくるに違いないと子ども心に思った。自分に何ができるかとなれば、やはりそうなるわけですね。僕は、けっこう笑えない話だと思いました。
その何とかクンのような日本人がたくさんいてですね、ましてや官僚の上の連中みたいのが、これは違う、この発音は欧米とは違うとか、その教え方はちょっと違うんじゃないかと右往左往するのを下が見ていれば、どんどんモンスターが作られていくわけですよ。欧米がモンスター化していくわけですね。
それで何だか知らないけども、宗教みたいなことになっていくという。だから、やはり上の態度なんでしょうか、結局は。
ヤス ただ、上の人たちは、自分たちが自主的にやってるんじゃなくて、それを当たり前のこととしてやっている。
西塚 そうか。そこが怖いとこだな…
ヤス 欧米に対してコンプレックスを持ってね、彼らを優秀な民族として崇めたてまつるというのを、当たり前のこととしてやってるわけですよ。英語教育によってそれを補強してるという自覚もないですね。だから、日本の英語教育は根本から間違ってる。もっと間違った方向にいこうとしてますね、今ね。
西塚 何か変えましたよね。
ヤス 小学校から英語を導入する。なおかつ、喋れる、コミュニケーションできる英語にしなくてはダメだということで、どんどん外国人のティーチャーアシスタントというのをね、TAというんですけど、どんどん導入すると。
西塚 それはいいんじゃないですか? ネイティブの言葉は。
ヤス ネイティブはいいんですよ。何かというと、彼らは崇めたてまつるアイドルの対象なんですね。彼らと同じように発音せねばならない。
西塚 ああ…
英語の「発音」にこだわる人間の愚
ヤス たとえば、ショーンKが相当引き落とされましたけど、その引き落とされ方を見てるとそうですね。いろんな雑誌がネイティブスピーカーにインタビューをして、それでショーンKの英語はどうですか?と。そうしたら、あの発音はおかしいと、発音の批判からはじまるわけです。
西塚 え? 彼の英語は発音がおかしいですか?
ヤス いや、僕は全然おかしいと思わない。
西塚 ヤスさんも前に、ショーンKの英語は、勉強してるとしたら相当勉強した人で、全然問題ないとおっしゃってましたね。僕もYouTubeで見ましたが、本当にネイティブじゃないですか。
ヤス ネイティブですよ。それを無理にですね、いろんな外国人に聞かせて、発音がおかしという言質をとってくるんですね。何かこれちょっと違和感あるよねって。
西塚 それは悪質ですね。
ヤス 悪質です。そうやって、あれは日本人の発音なんだからということで、無理矢理引き落としていくというやり方です。
西塚 それ、誰がやってるのかなあ…
ヤス それは、やってる本人自身、意識はしてないかもしれない。日本人だったら、絶対ネイティブの英語のはずはないだろという思い込みですよ。それは絶対発音に出るはずなんだと。じゃあ、オレが証拠をつかんでやるってなもんですね。
西塚 じゃあ、前回のお話じゃないですが、まず感情ありきで、気に食わないと思ったら
それに合わせた証言を取ってくる。
ヤス そうです。
西塚 最悪ですね。
ヤス 最悪です。英語を喋ることは、まず発音なんだと。われわれが欧米人並みにならねばならないと。
西塚 意味が伝わればいいですよね。
ヤス そうです。伝わればいいだけです。本当に。はっきり言って、インド人の英語が聞き取れるのか? シンガポール出身の人たちの英語ってわかるのか?ですよ。彼らなんて、ローカルなアクセントだって欧米人が言ったら、わかれ!って怒鳴り散らしてますよ(笑)。お前、オレの英語がわからないのかと言って。オレはマネージャーだぞ。聞き取れって(笑)。
おもしろい話があって、ルーマニア出身のハーバード大学の教授がいた。この教授の英語が、あまりにもルーマニア訛りが強くて聞き取れない。そうしたら学生がですね、ハーバード大学の本部に文句を言いにいったらしいんですね。あまりにも訛りが強くて聞き取れないと。
そうしたら大学側が、聞き取れと(笑)。お前が聞き取れと言って、学生を諭したらしいんです。聞き取れるようになるのはお前の義務だと。別に正しい、スタンダードな英語なんてない。これは彼の英語だ。聞きとれ!(笑)
西塚 すばらしいですね。
ヤス そうなんです。そういうものだということです。だから英語の訛りなんて誰も責めない。聞いてもないですね。中身があるかどうかが勝負ですよ。そのかわり、中身がないと判断されたら怖いんですけどね(笑)。
西塚 なるほど。
ヤス アホなアメリカ人ほど発音にこだわる。高卒でね、頭がパッパラパーのアメリカ人ほど、われわれが世界でナンバーワンだと思ってるから、こだわる(笑)。
西塚 話の内容ではなく、お前の発音はよくわからんと、そっちになっちゃう。
ヤス そう。だから、中身がないからなんですよ。中身のある人たちは発音のハの字も言わない(笑)。
西塚 何が議論になってるのかもわからないような人たちだとしたら、話にならないですね、そうなると。
ヤス ならない。だから今言ったように、ちょっと話が戻りますけどね、日本の英語教育の罪って巨大です。
西塚 そうですね。僕はあまり考えたことはありませんでしたが、ヤスさんは英語の教師もやってらしたから敏感だったのでしょうけども。けっこう、それは深刻な話しかもしれません。
ヤス いや、深刻ですよ。本当に。
「正しい英語」というのはない!
西塚 それがある限り、たぶん延々と日本人の欧米コンプレックスは抜けないですよ。海外にいったヤツは別ですけど。
ヤス たとえば、日本の企業でも商社マンであるとか、海外で仕事をやらざるを得ない人たちはすごく多い。彼らの英語なんていったら、ジャパニーズイングリッシュそのものです。それでいいんですよ、別に。誰も咎めないというか、それでいいとわかってやってるわけですね、みんなね。
西塚 ソフトバンクの孫(正義)さんなんかも、中学生レベルの英語らしいですが、けっこう商談をまとめるっていいますからね。
ヤス そうですよ。それでいいんですよ。
西塚 ちゃんと言いたいことを言う。
ヤス だからね、向こうは中身しか聞いてない。
西塚 楽天の三木谷(浩史)さんにしても、大してうまくないんだけど、ちゃんときっちり伝えられるといいますね。
ヤス そうです。ただ、それだけ。言ってみれば、スタンダードの英語はないっていうことなんです、今ね。これがスタンダードだと感じてるような人たちこそ、ローカルな英語だと言われてるんです。英語ってスタンダードじゃなくて、国際言語だからね。ただ、中身が通じないと話にならないというだけ(笑)。
西塚 そういった意味では、英語と米語は違うということはありますか?
ヤス 米語というか、アメリカだって、やっぱりいろんな地域がありますからね。まあ、米語はありますよ。
西塚 いわゆるアメリカンイングリッシュと、それこそキングスイングリッシュとは言わないけども、意外とイギリス人はアメリカの英語をバカにすることがあると聞きましたけども。
そう言えば、以前、僕の知人の女性がイギリスの労働者階級の人と結婚したんですね。それで僕の家でその結婚式のビデオを見てたんです、仲間とみんなで。その仲間の中に貴族出のイギリス人がいた。そのビデオは、結婚式でちょっとパーティーをやってるときのビデオだったんです。
それでみんなでワイワイガヤガヤ言って見てたんだけど、昔からその貴族出のイギリス人はシニカルなことしか言わないんですが、何かニヤッとしてるから、どう思う?って聞いたら、いや、英語がどうのこうのって言うんです。言葉がどうしたこうしたと。そんなことは誰も気にしてないので、こいつは何を言ってるのだろうと、ちょっと印象的でしたね。
要するにちょっとバカにするわけですね。言葉のやりとりを聞いて、やっぱり下のクラスだなみたいな意味だと思うんですが。
ヤス 残念ながら、そういうことを言う人というのは、中身で勝負できない人ですよ。語学のことを言う人は、中身で勝負ができないんですね。
西塚 それで、去年カミさんが娘とイギリスにいったときに、その貴族出のイギリス人に会ったらしいですが、ちょっとしょぼくれてたらしいんですね、いろんな意味で(笑)。
ヤス 極端に言うと、社会的な競争力のない人ですね。
西塚 まあ、そうかもしれませんね。人のことは言えませんが(笑)。
ヤス だから言語というのは、そういう人たちが優越感を保つためのひとつの受け皿になるわけです。悪い意味の受け皿です。
西塚 僕は英語というといろいろ思い出すんですが、小島信夫という作家がいて、彼は東大の英文科を出て、『アメリカン・スクール』で芥川賞をとった小説家ですね。明大かどこかで英語を教えてたはずです。
彼の小説で、いとこか誰かが、独学で英語を勉強してるといった話がありました。それは英和辞書で単語をかたくなに学ぶといったもので、小島がそんなことをしても英語は学べないよみたいなことを言う。でも、その彼は余計、意固地になって辞書と首っ引きになるわけです。それをまた小島が何となく批判的に見てる、憐れんでいるというような話でした。その彼のかたくなな感じがよく出てて、何ともやり切れないような話でしたね。
ヤス 僕から見ると小島さんにしろ、そのかたくなに英語を辞書で勉強してる人も、両方ともかたくなだなと思いますね。
西塚 ああ、なるほど。
ヤス だから、正しい英語はないんだってことを、まず自覚せねばならないということですね。相手に通じるための最低限の文法しかないということなんですよ。最低限のボキャブラリーしかないということ。それをつなぎ合わせて、お前は何が言いたいのか、ということだけです。本当に。
西塚 特に英会話に関してはそうでしょうね。前にヤスさんがおっしゃったことで印象に残ってるのは、英会話とは別にですね、たとえば翻訳したり、英文を書くといった場合は、また意味合いが違ってくると。英会話でコミュニケーションするということに関して言えば、まったくそのとおりですね。伝わればいいんだし。
ヤス 伝わればいい。お前はアメリカ社会に受け入れられたいのか? アメリカに住むのか? 住むんだったら話は別ですよ。住んで、ローカルコミュニティーの一員として、自分が認められたいというのであれば、それなりの作法を学ばなくてはいけないし、向こうの文化を学ばなくてはいけない。でも、そうではないだろと(笑)。
海外にいって英語を喋りたいんだろと。それは旅行者か、ビジネスマンかはわからないけど、やっぱり訪問者ですよ。そうすると会う人間も限られてくる。そういうローカルな他人たちではない。ちゃんと用があって会う人たちですね。ビジネス的な用がある。何かコミュニケーションの必要性があって会う人たちですね。
西塚 旅行者にしても、タクシーの運転手だったり、ホテルマンだったり、レストランの給仕だったり、そういう人たちと会話ができればいいだけですね。
ヤス ビジネスの交渉だってそうですよ。言ってることがわかるかどうかなんだってこと。だからね、発音がどうのこうのってネイティブが言うんだったら、そいつは大したことないヤツだから、話をするなということです。
西塚 (笑)。
ヤス ロクでもない(笑)。本国で社会的な競争であぶれて、日本にきた連中だから。
西塚 僕もこんな英語ですが、海外にいってそういうふうに感じたことは一回もないですね。
ヤス ないでしょ? そうですよ。
西塚 喋ってると向こうが、ん?と、聞こえなくてもわからなくても、質問されたりして、理解しようとしてくれますね。それでコミュニケーションくらいはとれる。むしろ日本人ですね、発音が違うとか…
ヤス だから、そういう日本人とつき合ってもしょうがないです(笑)。英語ができるということに優越感を持ってるような日本人というのは、どういう人たちなのかということです。それ以外に何か誇れるようなアイデンティティーない人たちが多い。
西塚 そういった意味でも、英語は象徴的ですね。確かに。欧米コンプレックスの象徴でもあり、日本人のある種のメンタリティーの弱さの象徴でもある。それはおもしろいな。
ヤス だから、英語を喋るということをひけらかす人間は、信用できないから、やめろと。
西塚 (笑)。
ヤス アホみたいな連中なんですよ。それしか自分のプライドを確保する根拠がない連中の集りだということです。
西塚 いや、でもヤスさんが言えばいいけど、英語ができないヤツはそれを言えないんですよ(笑)、普通は。
ヤス でもね、英語ができなくていいんですよ。それは本当に。
西塚 まあ、そうなんですけど。
ヤス それはやっぱり、(西塚が)コンプレックスを持ってるから(笑)。
西塚 いやあ、でもやっぱり、じゃあ、お前喋ってみろと言われて、いやオレは喋れないけど、関係ないよと言ってもいいんだけど…(笑)
ヤス それは、韓国語だったら言えるじゃないですか(笑)、中国語だって言えますね。別に中国語が喋れるからって、エラソーな顔して何だよ、お前、オレできないよとか(笑)。
西塚 そうそう。でもですね、たとえば、私は英語が喋れないと。あんなものは言語的にどうのこうのと言って、日本語のほうがずっと優れてるんだというのも、ある種コンプレックスの裏返しだと思うんです。
ヤス 裏返しだね(笑)。
西塚 それも違うなと。でも、おもしろい話ですね。われわれが当たり前だと思ってるものの中に、実はわれわれが克服しなくてはならない、ものすごく大きな問題が隠されている。そういうことの象徴という意味では、英語教育というのはまったくおっしゃるとおりだと思いました。それが非常に興味深かったです。
もう、そろそろ時間もきましたので、また次回よろしくお願いします。今日はありがとうございました。
ヤス こちらこそ。ありがとうございます。
むちゃくちゃおもしろかった講談
筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。
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04/24のツイートまとめ
ytaka2013
RT @MiyabeKazuo: 拡散希望! 熊本は冷たい雨模様となりました。 本日24日(日)も臨時宿泊施設としてだんぎどころを提供させて頂きます。もちろん無料です。トイレ・水道・ガス完備。一家族(3〜4人)分の布団を用意します。08095621087宮部 https:/…
04-24 19:28首都ワシントンの地下鉄、テンレータウン駅で大きな爆発があり人々が避難している。駅からは炎と煙上がっていいる。いまのところ原因は不明のようだ。https://t.co/4cp1LsnI0u
04-24 09:57
04/22のツイートまとめ
ytaka2013
いまオバマ政権は9.11テロへのサウジアラビア関与の文書公表を検討しているが、文書を公開すると米国債を売り浴びせて米経済を崩壊させてやるとサウジ王室がオバマ政権を脅迫。とてつもない動きが裏で進行中か?https://t.co/Mmj9qF5jx2
04-22 10:21日本ではまだ報じられていないようだが、これはかなりやばいのではないだろうか/https://t.co/1azJW2fdB0
04-22 09:36熊本や大分で一時避難を希望される方に避難先を提供している都道府県の一覧表があります。ページの下までスクロールして下さい。https://t.co/FE199kV7UKぜひ拡散して下さい。
04-22 07:54
一時避難場所のまとめ
熊本や大分で一時避難を希望される方に避難先を提供している都道府県の一覧表があります。ページの下までスクロールして下さい。ぜひ拡散して下さい。
一時避難場所まとめリンク
「ヤスの勉強会」第25回のご案内
「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
【主な内容】
・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
・日本では知られていないトランプの本当の正体
・新しい社会システムに合致した意識の形
・知られざるイスラエルとEUの対立
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:4月30日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
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参加人数
懇親会の参加の有無
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04/21のツイートまとめ
ytaka2013
地図に表示された放射性物質の警告と地震の発生が確実に連動している保証はないが、十分に注意はしておくべきではないだろうか?この地域に住んでいる方は、この地図をうまく活用し、ぜひとも被災を回避してほしい。
04-21 22:49だが地震の発生後、表示はなくなった。地震によるエネルギーの解放とともに放射性物質の放出も止まったものと思われる。
04-21 22:48先ほど、4月21日18時47分に熊本県阿蘇地方を震源とする地震があった。大分では震度4であった。この地震の前には、震源に近い大分県の地域で赤の「RADCON-4-Concern/Watch」の警告が多数表示されていた。
04-21 22:48ここはアメリカと日本を中心に、大気中の放射性物質の濃度を公開しているサイトだが、サイトの地図を九州まで移動してみてほしい。アクティブな断層帯には赤の「RADCON-4-Concern/Watch」という警告が表示されている。https://t.co/jdO4MmJzeH
04-21 22:47地震のひとつの有力な前兆現象として、ラドンやガンマ線などの放射性物質の大気中の濃度が上昇することは知られている。ラドン濃度の変動を計測して地震予知に役立てているサイトは多い。ここ数日、下のサイトを見ているが、地震の発生と明らかに連動しているように見える。
04-21 22:46
04/18のツイートまとめ
ytaka2013
よくここで私の有料メルマガの一部が紹介されています。よろしかったらどうぞ。パナマ文書で世界の富裕層を「脅迫」しはじめたアメリカの苦境=高島康司 https://t.co/ehuaGZnwn5
04-18 12:02
04/16のツイートまとめ
ytaka2013
さっき阿蘇山が噴火しましたね。https://t.co/3xensigmAR
04-16 10:06
酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第40回
ウエブボット最新版第2回の配信
ウエブボット最新版第2回目が完成しました!対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。
お申し込みアドレス
info@gomokusha.co.jp
五目舎
http://gomokusha.co.jp/
次回の有料メルマガの予告
「パナマ文書」が大きく報じられているが、この文書のリークには明らかに米政府が深く関与している。リークをしている「ICIJ」は米政府の国策機関のような組織である。リークの意図はなんだろうか?詳しく調べると、ドルの延命と米国派遣の維持につながるとんでもない意図が見えてきた。次回のメルマガではこれを詳しく書く。
「ヤスの勉強会」第25回のご案内
「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
【主な内容】
・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
・日本では知られていないトランプの本当の正体
・新しい社会システムに合致した意識の形
・知られざるイスラエルとEUの対立
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:4月30日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
名前(ふりがな)
住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com
新しい本
新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!
「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
世界の政治・経済はこれからこう動く
著者:高島 康司
amazonで注文

今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。
今回の記事
今回はいつもの対談の第40回である。興味深い内容だと思う。
記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。
音声ファイル
ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
https://twitter.com/ytaka2013/
船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!
船井幸雄.com
ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
むちゃくちゃうまい醤油!
筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。
金両醤油
酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第40回

西塚 はい、みなさん今日は。『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の今日は、40回になりました。キリのいいところですが、40回ですね。
ヤス すごいですね(笑)。
西塚 また、ヤスさんにおいでいただきました。カンパイしましょう。
ヤス どうもどうも、カンパーイ。
西塚 今日は珍しく、そんなに酔っぱらって入ってるわけじゃないんですけども、先ほどのリンダ・モールトン・ハウですね、これは前からヤスさんからも聞いてたし、メルマガでもあったかな、あんまり出てこなかったかな?
ヤス 何回か書いた覚えがありますけどね。
2016年に地球外生物の存在を公式に発表する!?
西塚 僕が知る限り、ヤスさんから教えてもらったことですが、自身のサイトを持っていて、UFOに関することや、いろいろな超常現象に関するようなことも、彼女自らが現場に飛んでインタビューしたり、完全に現地取材の調査報道を主として発表している。ラジオの『Coast to Coast AM』なんかにもよく出てくる人ですね。
ヤス しょっちゅう出てますね。
西塚 わりとヤスさんとしても信頼をおいているというか、有象無象いるリサーチャーの中でも彼女は信頼に足るのではないかというお話でしたね。
ヤス ええ。彼女はもともとドキュメンタリー作家なんですね。1988年かな、題名は忘れましたけど、かなり有名になってエミー賞までとった人なんですよ。
当時、いろいろなテレビのドキュメンタリー作家、プロデューサーとして活躍してた。1990年代に入ってから、いわゆるUFOとか、地球外生物とか、簡単には説明できないような言ってみれば怪しい領域に、調査報道のスペシャリストの手法を用いて徹底的に調査するという形で入ってきた。
日本もアメリカもそうなんですけど、いわゆるUFO研究者というタイプの人たちは、何とおりかいると思うんです。ひとつは、初めからイデオロギー的な何かを持ってる人たちですね。われわれは2012年にアセンションするんだと。そのようなメッセージを私は得ている。それを証明する形でUFO情報とか、地球外生物に関する情報を集めるんだといったような人たち。すなわち何かのニューエイジ系のイデオロギーを前提にして、それを証明せんがためにいろいろと事実を蒐集してくるというタイプ。
もうひとつは、本当にスピ系のタイプの人たちですよ。私は宇宙人からメッセージを得てると。そのメッセージに従って事実を公表するんだというタイプですよね。そういう人たちも、言ってみればリサーチャーと言えばリサーチャーになるかなと思うんですね。日本はどちらかというと、そのふたつのタイプしかいない(笑)。
でも、最初のタイプであれば、イデオロギーに自分が共感するかどうか。共感する人たちにとってはね、やはりそれは信頼できる情報になるんだけども、共感しない人たちにとっては、ほとんど何言ってんだ!って感じの情報になるでしょ?
また、私はこういう宇宙人からメッセージを得ましたというタイプの人も、その人が持ってるようなスピリチュアル的な霊感と言いますか、お告げと言いますか、それを最終的に信じるか信じないかの問題になってくるわけです。信じる人間にとっては価値あるだろうけれども、信じない人間にとっては価値がない。
それで、日本にいないタイプは第3のタイプです。それがリンダ・モールトン・ハウなんです。それは、現実に何があったかということを、まずそれを体験した人間、または目撃情報、それから現場にいっていろんな証拠を集めながら、何があったかということをひとつひとつ解明していくという、普通のジャーナリズムの調査報道の方法ですね。リンダ・モールトン・ハウはそのプロです。もっとも信頼がおける人ではないかなと思いますね。リンダ・モールトン・ハウは有名な人なので、とにかくいろんなところに引っ張りだこです。
西塚 どのくらい有名な方なんですか? たとえば矢追純一さんみたいに、そのジャンルに興味がある人なら誰でも知ってるんだけども、そうじゃない人も名前くらいは聞いたことがあるレベルとか。
ヤス 古いドキュメンタリー作家としては、UFO云々に関係ない人も知ってるかもしれませんが、今はですね、地球外生物とかUFOとかの未知のものに関わってる、そういうものに関心を持つという人たちにしか、おそらく知られてないんじゃないかなと思いますね。ただ、調査報道としては徹底してます。
彼女の情報は、『Earthfiles.com』というサイトがありまして、そこにいくと詳しい情報が全部手に入るんですけど。彼女はこの分野では相当有名人なので、いろんなところに引っ張りだこなんです。全米で3000万人くら聴取者がいると言われてる『Coast to Coast AM』の常連のゲスト。
特に日本よりも、未知のものに関心を持つような層というのはものすごく幅広いんですね、アメリカではね。
西塚 話の途中で申しわけないんですけど、今ふと思ったんですが、ヤスさんはご存じかどうか、もともとオカルトには関係なかった方かもしれませんので。中岡俊哉ってご存知ですか?
ヤス 名前だけね。詳しくはわからないけど。
西塚 僕なんかだと、61年生まれですが、だいたい72~73年ころに出てきた人なんですけど、中岡俊哉と言えばもう超有名なわけですよ。心霊研究家としては。たとえば、つのだじろうが『うしろの百太郎』というマンがを描きはじめたのもそのぐらいなんですね。それから、『お昼のワイドショー』の「あなたの知らない世界」という心霊番組があって、そこに研究家として出てくるような人だったんです。書籍もたくさんあって、『恐怖の心霊写真集』はかなり売れた。とにかく超有名な心霊研究家です。
その後、新倉イワオという放送作家が、心霊研究家としても出てくるんですけど、さっきのつのだじろうもときどき研究家として出てきた。そのくらいで、今、心霊研究家と言ったら誰なんだろうと、ふと思ったらいないんですよ。
たとえば矢追さんはUFOで、まあちょっとエンターテイナーとしてもあるし、山口敏太郎さんもいろいろ妖怪から何からやってるけど、どちらかと言えば、エンターテインメント的な作家ですね。だから研究家、リンダ・モールトン・ハウさんみたいな人に当たる人は誰だろうと。今、いないなと。
ヤス いないでしょうね、日本だとね。聞いたことない。
西塚 ちょっとびっくりしたんですが、いないですね。たしかに。ひょっとしたらヤスさんかもしれない(笑)。
ヤス いや、そんなことはないけど(笑)。
西塚 まあ、幽霊とかは関係ないかもしれませんが、今、日本にいない…
ヤス たとえば日本でね、いわゆる政治ジャーナリズムってあるじゃないですか。政治のジャーナリズムの中で、実際に政治家に会って話してね、何が起こったのか、政治的なスキャンダルを暴くにしろね、調査報道のプロはけっこうたくさんいますでしょ? あの水準なんですね。モールトン・ハウって。
ジャーナリズムの普通の調査報道の手法をUFOだとか地球外生物とか、説明できないものに持ち込んだという人ですね。
西塚 しかも、ある程度メジャーということですね。
ヤス アメリカではかなりメジャーですね。『ディスカバリーチャンネル』あたりでも、しょっちゅう出てきてるというタイプです。
西塚 なるほど。今また冷静に考えれば、ケイ・ミズモリさんとか、コシノケンイチさんが日本では近いのかな、コシノさんは亡くなったか…まあいいや、すみません。
ヤス やっぱりアメリカというのは本当に幅が広いんですね(笑)。それから年齢層も広いと思うんですよ。10代の前半から、80代、90代の人たち、これを全体的に囲うくらいの巨大な市場というか、未知なるものに関する市場が存在していて、すごく幅広い。
なので、その幅広い市場を相手にして、あらゆるメディアが存在してるんですよ。その中には、特にイデオロギーを前提にした怪しいメディアもありますよ。ただ、そうじゃないのもある。その中でですね、最近発見したメディアで、『Dark Journalist』というチャンネルがあるんですね。
西塚 名前からしてディープですね(笑)。
ヤス ディープですよ。でね、ダークジャーナリストって、またこれ怪しいと思って見たら、怪しいどころの話じゃなくて、もう正攻法のまっとうなメディア。要するに、インタビュー番組なんですよ。こいつは大丈夫だというのを、ダークジャーナリストと呼ばれるキャラクター、ピーター・デイル・スコットという人物がいて、彼が選んで徹底的にインタビューするという番組なんです。
ダークジャーナリストと言われる彼も相当知的水準の高い人物で、突っ込んで聞くわけですね。『Coast to Coast AM』よりもはるかに知的水準が高いですよ、そっちのほうが。
西塚 へえー!
ヤス めちゃくちゃおもしろいですよ。『Coast to Coast AM』は半分はエンターテインメントみたいなところがありますから。その『Dark Journalist』はあまりエンターテインメント性はない。徹底的に突っ込む。
西塚 と言って、アレックス・ジョーンズみたいな陰謀系でもない?
ヤス 陰謀系ではない。まあ、陰謀系と言えば陰謀系なんだろうけど、何というか、ひとりのゲストを呼んで、なぜそう思うのか、あなたは何を体験したのか、何を根拠にそう言ってるのかと、徹底的に質問攻めにして、言ってることの真実性を暴いていくというタイプのものです。それは極めて面白い。
そこに今回、リンダ・モールトン・ハウが出てきて、リンダ・モールトン・ハウはその『Dark Journalist』のチャンネルの常連なんですけど、そこでインタビューされてて、面白いことを言ってたんです。何て言ってたかというと、今まで私は未知なるもの、地球外生物やUFOに関して調査報道をやってきた。政府系、政府機関に関係する人間1500人くらいにインタビューしてきたと。その人たちは、地球外生物、UFOの隠ぺい工作と何か関わりあるような人たちばかりだった。
彼らはいわゆる内部告発者となって、何が具体的に起こってるかを証言してくれたと。それは、スティーブン・グリア博士がやってることと、ある意味で同じような活動ですね。それが2008年にね、私がインタビューした、これは現在でも政府に関係した職に就いてる、あるワシントンの重要人物がいるんだと。彼が2008年に面白いことを言ってた。
いわゆる地球外生物の存在といったものを、政府レベルではっきりと世界に向けて宣言する時期が決まったぞと。それは、もう覆すことができないような、はっきりとしたエビデンスと言いますか、証拠を突きつけて、科学者及び政府関係者、また政府機関の関係者を一堂に会して、疑いようのない事実として地球外生物が存在していて、地球に来ているということを宣言する日程が決まったのだと。それが2016年だというんですね。
西塚 今年のわけですね。
ヤス いよいよ今年が来たのだ、っていうようなインタビューだったんです(笑)。
西塚 むしろリンダさんはワクワクしてるわけですね(笑)。
ヤス ワクワクしてる。やっと来たぞー!とか言って(笑)。私はこれを言いたくて、本当にワクワクしてたんだと。やっと今年になったから言えるみたいなことを言うんです。
西塚 なるほど。インタビュワーはどんな感じのリアクションだったんですか?
ヤス えーっ! そうだったの!とか言って、やっぱりすごく大きなリアクションでしたよ。
西塚 やはり関心度が高い。具体的にどうなるかということでは、まだないんでしょうね。
ヤス どのようにそれが発表されるかはわからない。わからないんだけども、今年の後半くらいから、おそらくはっきりと発表するだろうということですね。
西塚 そのインタビューは今年に入ってからのものですか?
ヤス 一週間くらい前のインタビューですね。2、3日前かな。
西塚 ああ、本当に最新ですね。
ヤス 本当に最新です。
西塚 ちなみにリンダさんはどのくらいのお年ですか? 50歳くらい…
ヤス いやいや、はるかに上です。ヘタしたら70、60の終わりくらいかな。けっこうおばあさんに近いような人だと思います。
西塚 そうですか。もともとビル・クリントンなんかも、UFO情報のディスクロ-ジャーを掲げてたというか、公約まではいかなかったかもしれませんけど、そういう人でしたから、そういう話は端々に出てきますね。特にアメリカを中心に。
だからロズウェルの話から何から、遡ればいろいろ出てくるでしょうね。そこにいくと時間がなくなるので、ちょっとできませんが、まあ、いよいよ本格的に公式に出てくる可能性があるということですね。
ヤス リンダ・モールトン・ハウがそれを言うんだから、彼女の発言を根拠づけるような、ちゃんとした事実があって言ってるはずなんです。きちんとね。
西塚 そういうことですね。今までの彼女の実績を見ても、そんないいかげんなことを言うような人じゃないと。何かしらの根拠をつかんでるから…
ヤス ヘタしたらあれですよ、毎日新聞よりもしっかりしてますね。
西塚 (笑)、毎日新聞って…
ヤス 2007年の事件なんですけどね。チリのどこかの地域にですね、隕石が落下したという事件があたんです。そうしたら酸がブワッと蒸気のように噴き出してると。それで何がぶつかったのか、何が落下したのかよくわからない。やっぱりいろんな仮説が出たわけです。UFO説からはじまって。そのときに毎日新聞が発表したのはこうだったんです。
どうもロシアの人工衛星がチリに落下したようだと。その衛星はかなり高濃度のアシッドを使った燃料を積んでると。その燃料が噴き出てるんじゃないかということを、毎日新聞は第一報として報道したんですね。
リンダ・モールトン・ハウは、チリの落下地点の人たちに実際に電話して、何が起こったのかと詳しく調べたんですよ。そうしたら落下したのは隕石だと。それで、チリのその地域の地層というのはけっこう変わった地層で、地下水が高濃度のアシッドなんです。隕石が落下したので、その熱でアシッドが蒸発して、煙のように上がってるということを伝えたのが、リンダ・モールトン・ハウだったんですね。
したがって、毎日新聞の情報は間違っていた(笑)。
西塚 毎日新聞はどこからその情報を得たんですかね。
ヤス アメリカのメジャーなメディアが、みんなそうやって報道してましたから。
西塚 それをそのままなぞったという…それって、コピペじゃないですか。
ヤス コピペですよ。ロシアの衛星が落下した可能性がかなり高いということで、ワシントン・ポストもニューヨーク・タイムズも報道したんでね。それはコピペだと思います。
西塚 誰か取材記者を飛ばして調べろとは言いませんが、その手の話じゃないかもしれないけど、でもねえ…まあ、何というか、一事が万事で、日本のメディアはそうだということですね。
ヤス そうですね。はっきり言って、リンダ・モールトン・ハウによって覆された。覆したのがリンダ・モールトン・ハウだった、というのがおもしろいんですけどね(笑)。だから、特に2007年のその事件で、彼女の信用度は増しましたよね。
中国共産党の崩壊はほど遠い?
西塚 なるほど。日本にもそういう調査報道をするジャーナリストはいますけども、オカルトに限らず、というかオカルトはむしろいませんが、政治的なスキャンダルにしろ、いるんですが、だいたい迫害されたり、大手のメディアに叩かれちゃうという体たらくですから、あまり話したくもないですが。
ちょっと話が変わりますが、中国なんですけども、中国はアヘン戦争以来、民衆の苦しみがあるから、もう二度とそうした状況に戻りたくない、外部勢力に侵略されたくないという思いがあるから、ある程度共産党に力を持っててほしいし、支えているという話がありました。僕もまったくそのとおりだと思いますけども、ここにきてというか、最近ちょっと違うかもしれないという気がしはじめて、ちょっとヤスさんにお聞きしたいんです。
というのは、たとえばアメリカなんです。僕の教養のなさゆえなんですが、僕はアメリカは嫌いだったんですが、ヤスさんといろいろ話してわかってきたのは、もちろん一枚岩じゃないし、とんでもない国なんだけど、パワーがあるわけですね。1%対99%みたいなピラミッド型の格差もありますが、だからこそ民衆のパワーがあって、リバタリアンはおいといても、要するにアンチ体制、アンチ・エスタブリッシュメントという意味で、今回のサンダースにしろ、トランプにしろ、そういう裾野があるから出てきたわけですね。
ヤス そうですね。
西塚 上がものすごく巨大な力を持ってるからこそ、下も巨大な反骨精神があるという。僕はものすごく可能性のある国だなと最近、思いはじめたわけです。中国も実はそうなのかなという気がして…
ヤス いや、そうですよ。
西塚 中国は今、腐敗した地方の政治家たちを駆逐していって、民衆のある種の賛同なり共感を得るんだけれども、習近平は今ちょっとやりすぎちゃって、特にジャーナリストとか出版社も含めて、けっこう次々と拉致して、拘束する。ちょっとでも何か批判的なことを書くと、被害妄想かと思うくらいに調べて、親も含めて拉致、拘束するということが、もう報道でも隠せないから出てきますね。
それで、何日か前の新聞でも、共産党に批判的な雑誌か何かの編集長が辞表を出して、これ以上共産党の提灯持ちはしたくないと。いわゆる反抗的に辞職したということも出るぐらいなので、僕はひょっとしたら中国は意外と、大きな裾野のレベルでは共産党には確かに頑張ってほしいし、他国にも侵略されたくないんだけれども、それと同じくらいに共産党に対する反発もあってですね、これだけインターネットも含めて、海外留学も増えて知的水準も高くなっているから、ごまかされなくなってるのではないか。
中国人ですから、気骨ある人もたくさんいるでしょうし、ある種正義感に灯が点いて、報道されないかもしれないけど暴動があちこちに起こりはじめて、ちょっと共産党は危ないのではないかとちらと思ったんです。
その構図は、大国だけにアメリカとも似てる気がしないでもないなと。だからヤスさんから聞いて、僕が勝手に思っていた見立てですが、そんなに簡単には崩壊はしないだろうと思うのですが、意外とブラックスワンじゃないですが、ダムの蟻の一穴のように何かが起こったら、ズタズタズタッといってしまう可能性もあるんじゃいないかなと、ちょっと恐怖を覚えたんですが、そのへんはいかがですか?
ヤス たとえば、何かがブラックスワンの役目をはたして、ガタガタッといったのはソビエトのほうですよね。ゴルバチョフの出現までのソビエト連邦というのは、ものすごく停滞していた。停滞してたといっても、民衆が食えないというわけではなかった。ただ、ソビエトの民衆が最大の不満に思ってたのは、西側のような消費生活のレベルまでは享受できないということですよ。そして第2に、西側と同じようなレベルの言論の自由は享受できないと。このふたつの大きなストレスが溜まっていたと思うんです。
それから第3に、このままの体制を追及して、西側に匹敵するくらいの水準の消費生活が待ってるかというと、そういう希望がまったくなかった。そうした希望がないところに、ソビエト体制を維持するためにものすごい弾圧を行なった。そういう中でどんどんストレスが溜まる。そうすると、ちょっとしたことがある意味でブラックスワンとなって、ワーッとダムが決壊するようなことが起こってくる。
当時のソビエトで何がブラックスワンだったかというと、ゴルバチョフという存在そのものがブラックスワンだったわけですね。
西塚 確かにそうですね。
ヤス 中国に同じ事情を適用するわけにはいきませんが、ブラックスワンが起こるかどうかということは、ブラックスワンを生み出すほどの国民のストレスが、どこまで溜まってるかということだと思うんです。国民のストレスがないところではね、どんなに火を点けても爆発しないわけですよ。だから、ブラックスワンは起こりようがない。国民のストレスが基本的にないというところでは。
たとえば海外のメディアを見てて、日本に関して判断間違いをするときがあるんです。日本はこの70年間、戦争を全然やってない。それなりに豊かな消費社会を作ってきた。それで日本人は愛国精神に飢えてると。ちょっと何か機会を与えるとね、すぐ愛国的になって、再軍備のほうにいきなり進んでいくのではないかといったような論評がある。
でも、SEALDsであるとか、安保法制に対する12万人のあれだけの大きな反対であるとか、戦後70年間に培われてきた日本国民のメンタリティーを無視してるわけですね。このような論評では。日本でも、極めて大きなストレスが国民の間に溜まってる場合は、火を点ければバッと爆発するかもしれない。でも、ストレスがないところでいくら火を点けても爆発はしない。僕は、おそらく中国の国民のレベルで言えば、共産党が崩壊するほどのストレスは溜まってないのではないかと思うんですよ。
さっきのソビエトに関する基準を適用すると、3つのことが言えるかなと思うんです。このまま共産党にまかせておくと、おそらくわれわれも西側と同じか、それ以上の消費生活の水準は享受できると。第2に、放っておいたら、どんどん格差が拡大して、豊かにならない方向ではなくてね、当然格差はあるんだけども、どんな貧乏人もそれなりに食えて、中間層として組み入れられるような方向があるという、はっきりとした、言ってみれば明るい見透しが立てられている。
習近平政権は、そのような消費生活が可能になるという明るい見透しを前提にしながら、中国の偉大さを取り戻そうとナショナリズムを鼓舞するわけです。そうすると、ナショナリズムのほうに簡単に引っかかってくる国民の数のほうが、はるかに多いのではないかと思うんですね。だから、ソビエト流のブラックスワンというのは、今のところ考えにくいかなと僕は思います。
ただし、将来的にブラックスワンがないかというと、そういうわけじゃない。
西塚 そうですよね。ブラックスワンですからね(笑)。
ヤス どの国も経済成長の過程で体験したことと、同じようなことを中国も体験する。何かというと、これから中間層がどんどん多くなってくるわけです。西側と同じような消費生活の水準を確保できるような中間層がどんどん増える。日本に爆買いに来てるような人たちって中間層ですよね(笑)。あのような中間層は現在、中国に1億ちょっといるんですけど、もっと増えるでしょう。
中間層がどんどん増えてきて、西側と同じような生活水準になる。それで、自分の日常生活の範囲内ではけっこうな自由がある。共産党さえ批判しなければ何でもいいということになるわけです(笑)。それは当時のソビエトとはかなり大きく違っている。こうしなくてはならないという行動規範があるわけではなくて、これをやらなければ何でもいいよという形なんですね。
したがって、ストレスが溜まりにくいところではあるんですけど、それでもですね、生活が安定する。西側と同じような消費生活の水準になると、次は政治的な自由、民主化要求運動になると思います。
西塚 そこまでは、まだほど遠いということですか?
ヤス まだですね。
西塚 僕は何かの数字で見ましたが、中国のGDPが2009年に日本を抜いて世界2位になりますね。ある予想によれば、2050年ぐらいにはアメリカもはるかに超えて、2倍ぐらい、2.2倍かな?になるという試算もあるみたいですが、じゃあ、国民ひとり当たりのGDPはどうなるかというとまだまだ低くてですね、僕の記憶が正しければ、アメリカは600万円ぐらいなんですね、ひとり当たりのGDPが。日本が3万7000ドル、要するに400万円くらいですね。中国は7000ドルくらい。70万ですよ。となると、まだまだケタ違いの差が国民ひとり当たりで見ればですね、あると。
あれだけ巨大な人数を持ってる国だから、中間層がそんなにうまく、日本とかアメリカみたいに育つかというと、けっこう疑問なんですよね。その前に何かおかしくなっちゃうんじゃないかという気がして(笑)。
ヤス だから、そのおかしくなるためのストレスの源泉がどこにあるかということですよ。
西塚 それが、ひょっとしたらですね、日本でも安保闘争みたいなことがあったじゃないですか。学生あたりがワイワイ騒ぐレベルで終わっちゃったんだけども、あのレベルがマスコミの連中とか、各地方の不満分子のリーダー格のヤツなんかが結集したりして盛り上がったら、意外といっちゃうのかなという…
ヤス 暴動は多いですよ、中国でも。地方でもすごく暴動は多いんです。いまだにね。暴動の向かうベクトルなんですね。それが中国共産党の壊滅へと向かう暴動なのか、そうではなく、逆に中国共産党そのものを強化するような暴動なのかということですね。
たとえば、今90%以上の暴動は地方で起こっている。地方で起こっている暴動の相手は何かというと、地方政府ですよ。それは、農民から土地を取り上げて開発業者に売り渡す。その地方政府の横暴に対して起こったという、地元の農民の暴動ですね。その暴動のベクトルは地方政府に向かう。それで、どこに陳情がいくかというと中央政府なんです。北京の中央政府に地方政府をやっつけてくれと言っていくわけですよ(笑)。
西塚 そこがおもしろいところですね。僕は幅広くはわからないんですが、後々に暴動と言われるものの発端は、だいたいひとりのですね、たとえばたまたま警官が移民を射殺しちゃったとか、けっこう最近もいっぱいありますね、スウェーデンのときもそうだったし、アラブの春もそうと言えるかもしれない。ちょっとした、警官が何かを抑えるために撃っちゃったというようなところから灯が点いて、ブワーッと燎原の火のように…というのがあるじゃないですか?
だから僕は中国の場合、共産党に何とかしてくれというのがもちろんあるんだろうけども、同時に危険性としては、何かに火が点いちゃってバッと広がって、今度は共産党がそれを治める側に回って、それこそ天安門みたい軍事力で抑えにきたときに、もう収拾がつかなくなるという、まあある種、奇想天外なシナリオのひとつなのかもしれませんが、僕は何か最近あり得るような気がするんです。
ヤス それは、ストレスは溜まってる部分があるんだけど、どこへ向かうベクトルのストレスかですよ。ストレスって何かというと、単純にエネルギーじゃなくて感情ですよね。感情は特定のものに対する恨みとか、怨念とか、あるターゲットを持ってるわけです。だから、どこのターゲットを目指した集合的な感情の流れかということです。河みたいなものですから。現代の地方の暴動を見てると、明らかにそれは中国中央共産党へは向かっていない。
西塚 ある種の支流のひとつでしかないと。
ヤス そうです。むしろ中国共産党の強化へと向かってる。
西塚 大きな流れに向かうものではなくて、支流のところで、地方で不正があれば、ムカつくこいつは、という意味の暴動はあるんだけども、こっちにこないと。
ヤス こない。習近平政権はそんなバカな政権ではなくて、支持してるわけじゃないですよ、僕はね(笑)、ジャーナリストを弾圧しても、自分たちに向かわないことを知っててやってる。今まで地方の農民層の暴動があって、それが中央政府に訴えかけてくるわけですから。
それから都市部でも、極めて強いストレスが溜まってる。そのストレスの先はやっぱり地方政府なんですね。地方政府の役人、ないしは中国共産党の役人の汚職に対するストレス。とんでもないことをやってると。それを習近平政権というのは、自分たちの政権の強化のための非常にいいリソースとして利用してるわけですね。
そのストレスをひとつの基盤としながらね、じゃあ、私が懲らしめてやろうという形で、バンバンと地方政府は懲らしめるし、中央の官庁に巣食ってるような汚職官僚をバンバン叩くわけですね。一日500名と言われるくらいの官僚のパージが行なわれている。それが中国国民の極めて高い支持率へと結びついていて、習近平というのは、これまでの国家主席の中でもっとも人気のある国家主席だと言われてるんですね。
当然、それに対する反発というのは大きい。それは、習近平は何をやってるんだといったような、言論弾圧に対する反発がある。その反発はどのレベルから出てきてるかというと、格差に苦しんで食えない農民であるとか、いわゆる都市部に出稼ぎにきた農民工とか、ストレスの担い手になってる民衆ではなくてね、都市部の中のもっとも知的な層から出てくるわけですよ。それはものすごく少数派です。
だから、民主化要求運動の担い手たちというのは、実に少数派だということなんです。彼らのストレスが、中国国民の大多数のストレスを反映してないがゆえに、それを安心して叩けるわけですよ。そういう構図じゃないかなと僕は思う。
西塚 なるほど。ある種、まあ熟知して、蹴散らしても全然かまわないということですね。
ヤス だから、あそこまでやるんですね。もしね、これを蹴散らしたら自分たちのところまでくるということであれば、やらないですよ。おそらく。
西塚 国際的な非難もありますからね。
ヤス 逆に言うと、ここまであからさまにジャーナリストを弾圧してても、自分たちのところへ火の粉が全然こないというくらい、習近平政権は今安定してるということです。
西塚 そうなると、向かうところはもう見えてきて、そこに気がついちゃったら、怖くてみんなできなくなりますね、ジャーナリストたちも。
ヤス できない。
西塚 気骨があって、もう命はいらないというヤツは別だけれども。
ヤス もっと言うと、中国というのは、いろんな人たちが書いたものを読むと、日本よりも自由なところがあると。要するに、共産党さえ批判しなければ何をやってもいいというような社会ですね、あれ。
だから、特別大きな不満はないと。このままいけば、経済がどんどん成長して給料も上がるし、賃金も上がってるし、どんどん生活は豊かになるし、10年前、20年前に比べれば、考えられないくらい生活水準が豊かになってる。むしろ何が文句あるのかという感じ(笑)。
西塚 ヤスさんが中国政府を支持してるわけでも何でもないとおっしゃるように、僕もまったく同じような意味で、けなしてるわけでも何でもないのですが、何となくイヤなものを感じるんですよ。さっき言ったことがそのひとつだったんですけど、もうひとつはですね、日本との競合で勝ち取っていった、たとえば高速鉄道の受注とかですね、ことごとく破綻というか、うまくいってないわけですね。インドネシアとか、フィリピンとか、もうずいぶん前から着工してるんですが、凍結されたりする。いいかげんな図面しか出てこないとか、最初はお金に飽かせていろいろ援助するということで、援助される側のフィリピンにしろインドネシアにしろ、受諾するんだけど、全然進まないで凍結してしまう。
僕はもう少し緻密にやればいいと思うんだけども、何かがダメなんでしょう。習近平がいくら優秀でも、やるのは現場ですから、いろんな汚職はあるだろうし、あるいはとんでもない能力のない人が地位についてるとか、よくわかりませんけども、とにかく進まない。たぶん日本ではあまりあり得ないようなことになるわけです。むしろ、受注合戦で負けた日本が援助して、インフラも整備してるというような状況がフィリピンにある。そういうことを見ると、大丈夫かよと思うわけです。
あれだけ巨大な国だから、どこかでおかしくなるという気もするんですね。あの爆買いも含めて、ホテルでのマナー、今になって日本のホテルの外国人に対する日本ふうのおもてなしを学ぶとして、社員研修もやりはじめたみたいですが、そう一朝一夕にできるものではない。もともと拝金主義に近いような部分があるので、何かが崩れると、何か起きるという…何かイヤな感じを受けるんです。
それは難民が押し寄せてくるとか、そういう類いの話ではなくて、僕の個人的な印象として、何かこのままでいくはずがないなという予感があるわけですね。ここ最近、そう感じる。だから、それについてお聞きしたかったわけなんですね。
ヤス わかります。僕も中国に関しては直感を持ちますけど、感情から出てくるものと直感から出てくるものを、僕はやっぱり峻別したいほうなので。僕の場合、ちょっと違う見方をしてて、日本の危うさってひとつあるわけですね。日本の危うさはある意味でパターンがある。それは細部にこだわりすぎて、全体が見えなくなるという危うさなんですよ。たとえば、シャープみたいな企業とか、日本の家電なんてそうだったと思うんです。
とにかく細部の技術にこだわる。細部の技術にこだわって、全体的な戦略を見失うわけです、全部ね。たいてい日本がダメになってくるパターンってそうなんです。どの企業でもいいですし、日本という国が国レベルで提供するサービスでもいいんですけど、どのサービスでも、何の製品でもいいんですけどね、個々のサービスとか製品にものすごくこだわって、完成度が高い。全然、劣化しなくて完成度が高い。極めて満足度が高いんですけど、でも全体的に眺めてみると、そこに戦略も何もないという場合が多いんですね。
それが日本の危うさですし、弱さですね。細部の中に籠っていくわけです、ブワーッと。それで全体を見失うんですよ。たとえば、そのような日本の細部にこだわるメンタリティーは、インドネシアであるとか、フィリピンであるとか、今おっしゃったような、あのような政府系のプロジェクト。特に低開発諸国系を対象とした政府系のプロジェクトには、むしろ親和性が高くてですね、極めて、何というか、かゆいところに手が届くような感じの、ものすごく細やかなプランを練って、そのプランをそのとおり実行して、やっぱりけっこう喜ばれるというね、日本のODAってそういうタイプのものだと思うんです。
でも中国は、これは危うさも長所も含めてなんですけど、全然逆なんですね。むしろアメリカ型というか、極めて巨視的なプランを描きます。その巨視的なプランを選んで、どんどん上から埋めていくんですけど、細部まで埋まりきらないんですね。じゃあ、巨視的な戦略そのものが間違ってるかというと全然そうではなくて、これはコンピュータのオペレーティングシステムを全体的に変えてしまうぐらいの、ゲームチェンジャーになってしまう場合が多いんですね。
中国はそういう志向性を持ってる国なので、中国が描いた全体的な戦略のプランというのは、だいたい間違いがない。ただ細部が弱いので、細部でいろんな問題が出てくる。それを事後的にパッチワーク的に埋めるという形の動き方ですね。
たとえば今ね、日本で去年の春くらいに注目を浴びたアジアインフラ投資銀行ってありますでしょ? AIIBですね。今、AIIBってどうなってるかというと、ものすごく巨大化してるんですね。
西塚 イギリスが参加してからもうみんな…
ヤス イギリスが参加したのが去年の春くらいで、そのときにもう57カ国が参加してるんで、日本は乗り遅れるのかどうなんだって、大きな問題になったのが去年の春なんですけど、今ですね、さらに30カ国が参加を要望してるんです。87カ国、100カ国レベルに拡大する可能性がある。
それだけではなくて、中国のAIIBというのは、現在のロシアが作ったユーラシア同盟ってあるんですね。これはロシアとベラルーシ、カザフスタンとか、親ロシア派の国々が作ってる経済同盟なんですけど、それとほぼ一体化する。だからAIIBをひとつの骨子にして、一帯一路ってあるじゃないですか? 中国の内陸部を全部ヨーロッパまで鉄道網で結ぶと。中近東を通ってね。それでひとつの経済圏を中央アジアに作ってしまう。それと、ロシアが中央アジアに作ろうとしている新ユーラアシア同盟というヤツで。これを一体化させて、中央アジアに中ロが共同した経済圏を作ろうと、すごい勢いで進んでますね。
あとちょっとしたら、中国のどこかの地方都市からイランのテヘランまで鉄道網が通りますよ。というような感じのプランなんですね。そうするとね、われわれ自身、日本と同じような感覚で見たらダメだという国だと思うんです。
だから、細部はとにかく弱いです。あの国は本当に。たとえばインドネシアの高速鉄道も宙ぶらりんになってるし、フィリピンの高速鉄道計画もそうだけど、宙ぶらりんになってるから中国は弱い!と日本が攻めてるとね、1年くらい経つと全部埋まっちゃうんですよ、おそらく(笑)。
西塚 その話で言うと、僕もブログで書いたんですが、月尾嘉男さんという方が書いた本があって、それを読むと本当に今おっしゃったとおりなんですよ。中国は、要するに鄧小平が、中国人民解放軍の近代化政策として、第1列島線、第2列島線という話がありますね。第1列島線というのは、今の尖閣諸島のあたりからボルネオの西側、第2列島線は伊豆から小笠原諸島、それで2010年までには第1列島線、2020年までには第2列島線。
だから尖閣諸島の問題というのは、それに則ってるのではないかという話があって、別に地下資源がほしいのではなくて、あるいは小笠原もサンゴがほしいんじゃなくて、そのリサーチなのかもしれない。最終的には、第3列島ラインがあって、それが太平洋の真ん中の子午線なわけです。そこで真っぷたつに世界を割って、アメリカと中国で世界を分けようじゃないかという、昔のスペインとポルトガルみたいな話がある。
その壮大な用意周到な計画のもとに動いてる国なので、小っちゃいことじゃないんですね。だから、僕はおそらくあると思います。それはどうやって世界を支配していくかということの論理としては、特に覇権国家ですから、中華思想もあるし、僕はよくわかるんですけれども、そういったラインは基本的にあまり好きじゃないというのと、それを突き崩していくのは、日本とは言わないんですが、もっと細やかなもの。
知的な作業もそうじゃないですか。細かいところから突き崩していくという。それこそ『12人の怒れる男』の映画じゃないですけども、大枠はこうだと、もう決まってるわけですね、いく方向は。でも、本当の方向ではないとすれば、ひとつひとつ突き崩して、オセロのように引っくり返していく。そういうことが僕は行なわれるべきであると思ってるんだけども、ただ、僕がそう思ってることがいいかどうかわからないということですね。
ひょっとしたら人類のためには、中国とかアメリカのやってることのほうがいいのかもしれないし、それは僕はわからないけれども、基本的には生理的に何となく気にくわない。中国や欧米列強がではなく、そのやり方がですけれども。僕はどうしても文学的なところがあるから、中国にある芸術的なもの、欧米にある芸術的なもの、そっちのほうを突出させるような世の中のほうが、楽しいなという。
ヤス 道教的なものね。
西塚 そっちに向かえばいいのにな、というくらいのものですけどね。世界に関しては。
ヤス そう。だから上から見た上意下達的なプランニングというか、計画そのものに対する極めて強い反発はあります。その意味ではよくわかりますよ。僕もやっぱりそういう反発はあるから。
西塚 少なくともそのくらいの認識は持たないと、政府はね。やられますよね、普通に。
ヤス だから言ってみれば、日本というのは本当に無理なんですね、それ。
西塚 無理なんでしょうかね。だって僕だって日本人ですけど、まあ、この程度のことくらいは何となくわかりますよ。それを政府がわからないはずがない。
ヤス いや、われわれが持ってる政治家の世代って、二世、三世議員じゃないですか。
西塚 まあ、そうですけども、よっぽどバカですよ、じゃあ。はっきり言いますが。
ヤス バカですよ。
西塚 安倍にしても、ヤスさんはこの間あまり深くはおっしゃらなかったんで、今度いつか突っ込んでみたいですが、あれはやっぱりバックにカルトがいますね。
ヤス カルトがいますよ。そう。
西塚 僕も気になって、ヤスさんもあまり言わなかったけど、ちょっと調べたら本当にカルトが入ってる。それはあまりにも気持ち悪いので話しませんけども、もうダメだこりゃですよ。
ヤス そうです。本当、そうです。
西塚 もう少しは…少なくとも最高学府を出てる人たちが基本的には政治家になるわけですから。僕は、コリン・ウィルソンじゃないけど、学歴はないけどもそれこそ調査報道で、一生懸命に書いていくという人のほうが好きですね。山本太郎みたいな人が政治家になったほうがいいんじゃないか。じゃないともう、現実を見ると本当にパッパラパー…
ヤス いや、パッパラパーですよ。今の日本の政治家って一番劣化したんじゃないですか? 何と言うか、明治維新を迎えて以来の劣化状態ですね、おそらく。戦前の政治家も劣化しましたけど、相当ね。近衛(文麿)内閣なんかはすさまじい劣化だと思いますけど、それ以上の劣化ですよね、おそらくね。
西塚 それでいきなり思い出しましたけど、石原慎太郎が『天才』という田中角栄の本を出しましたね。ベストセラーになってますが、あれだけ反・角栄の石原慎太郎が書くんだから、何か謀略でもあるのかなと思ってたら、意外と真面目に書いてるんですね。本人がテレビにも出て発言してましたが、顔つきとか喋ってる内容を見ると、あれは本気ですね。ここにきて文学者としての何か良心が目覚めたんだと思います。
ヤス だったら、もっと早く目覚めろってね。政治家なんかにならなくてもよかったんじゃないですかね。
西塚 最後にちょっと素になって、いい仕事をしたんじゃないでしょうか。というふうに感じました。そういう意味でも、前回も話しましたが、ちょっと世の中のいろいろなものが引っくり返ってる気がするんです。今までの流れがちょっと変わってきたということを前回話しましたが、そのひとつとして石原慎太郎にも感じましたね。
日常生活レベルの認識から世界認識の論理は出てこない!
ヤス なるほどね。ちょっと話しが変わりますけどね、われわれ普通、どんな人間でも日常生活で生きてるわけですよ。その日常生活を中心に、家族があって、仕事があってね、その仕事の職場の人間関係があって生きてるわけで、その日常生活でとおる常識があるわけですね。その常識を支えるものとしての常識的な認識があるわけじゃないですか。
人間関係は本来こうあるべきで、これが正しくて、これが間違っていて、人に対してこういうことをやるのは失礼なことで、でも彼とは親しいから、ここまでは許されるだろうとかね。そうした日常生活の認識があるわけです。われわれの日常をカバーする認識からは、世界経済がどうなってるとかね、日経株価がどうなるとか、日本の社会状態がどうなるかといったような、社会認識や世界認識は、絶対に日常生活の認識の延長線上には出てこないわけですよ。
日常生活は日常生活の認識の中で留まるもので、それをどんなに叩いたとしてもね、そこからは世界認識であるとか、社会情勢の認識というのは出てこない。論理的に延長してみても出てこないことですね。
具体的に言うと、アヘン戦争ってありますね。アヘン戦争は当時、何年か後に日本に紹介されてるんですが、どのような形で紹介されたかというと、中国のひとりのかわいそうな若い娘がいたと。その若い娘を手籠めにしようとしたイギリス人がいて、それとの間に何か争いが起こって、それで戦争になったみたいな感じの理解なんです。
その理解は何かというと、当時の江戸の町人の日常生活の延長線上の理解ですよね。われわれの日常生活の認識の延長線上ですべて理解するとしたなら、たとえばこんなことになる。イスラム国という団体が何でできたのかというと、本来自分たちが所有すべき石油の所有権を、欧米の石油会社が取得しているから、それはおかしいんんじゃないかと言って出てきたんだと。そう言えば、われわれの日常生活の世界観として合点がいくわけです。
たとえば、どこかでテロがあった。そのテロの理由というのは、女に振られた男が銃を持ってレストランに押し入って、自分のストレスを発散するために乱射して、それがきっかけとなって大きな事件になったんだと言えば、われわれの日常生活の論理からわかりやすいわけですよ。
でも、それを飛び越えた論理、アメリカとロシアの駆け引きであるとか、中国の覇権主義であるとか、全然違った世界認識を理解するためのパワーゲームがあるわけですね。
つまり、日常生活の論理から見ると、すべてが好き嫌いに解体されるんです。
西塚 そのとおりだと思います。だいたいそうですね。日常生活を営んでいる江戸時代の町人とかは、そこで重要なキーポイントになるのは、もたらされる情報なんですね。それが、たとえば今おっしゃったような、アヘン戦争はこうこうこういうものなんだよと言えば、それは町人ですから、落語家も含めて、文化的にまとめてしまう力を持っていますから、じゃあ、こうこうこういうことだよね!と、パーンと響くだけの話であって、実際は知らないわけです。
ただ、その情報をもとにして、町人的な論理に収めるだけであって、そういうことが繰り返される。だから、誰がどこに情報をもたらすかという、誰がってことと、情報の質が極めて重要なことであって…
ヤス 情報の質は重要なんだけど、情報を選択する側の問題でもあると思うんです。
西塚 その情報がなかった場合…
ヤス 今でもそうなんですね。僕の周りにいろいろな経営者がたくさんいますけど、中国は気にくわない、生意気だって言うわけですよ。
西塚 (笑)、それはちょっと違いますけどね。
ヤス それが日常生活の論理ですね。中国は生意気だよ、あれは。習近平は生意気だ!って。生意気だって、お前は友だちじゃないだろって(笑)。
西塚 それは、僕に言わせればまったく同じことですよ。生意気だ!と言う経営者が、もしいるとすれば、情報が偏ってるわけです。
ヤス それは情報というか、感情のほうが先に立ってるわけです。自分の感情で情報を取捨選択してるわけですよ。
西塚 僕はそれは、たまたまだと思いますね。だって、ちゃんとわかれば、わかるわけですから、普通は…
ヤス だから、何をわかろうとしてるかは、本人の主観ですよ。
西塚 じゃあ、たとえば10個情報があるとしたら、自分の気に入った情報しか選ばないということですか?
ヤス そうです。
西塚 そんな人いますか?
ヤス ほとんどそうですよ。
西塚 それは信じがたいですね…
ヤス いや、それが日常生活の論理で、その論理で多くの人たちが生きられちゃうということだと思いますよ。
西塚 だとすれば、僕はちょっと理解を超えるんですけれども…
ヤス それは西塚さんが知的だからですよ(笑)。
西塚 いや、そんなことはありません。そうじゃなくて、情報はそれだけじゃないだろうという前提があるからですよ。
ヤス いや、それはね、自分の感情が反応しないものに対しては、そうやってやるでしょう。
西塚 反応したとしても、疑いますよね。
ヤス 疑わない人がかなり多い。だからネトウヨみたいなのが出るわけです。ネトウヨって何が反応してるかというと、韓国は生意気だよ、オラァ!でしょ?(笑)
西塚 だとしたら、感情でしか反応しないし、他の情報も知ろうとしないし、こういうもであれば喜ぶとわかれば、簡単じゃないですか、そういう情報を与えればいい。
ヤス そうですよ。だからネトウヨは簡単に引っかかるし、ネトウヨが存在するわけでしょ? ネトウヨが結集してるようなサイトにいってみるとそうですよ、全部。
西塚 それは自分の主張としてあるならわかりますが。
ヤス いや、主張はない。全部、感情の論理ですね。
西塚 僕も感情的なところがあるから、それはわかるんですけどね。感情はあってもいいと思うし。
ヤス 言ってみれば、気に食う、気に食わないですよ。宮台真司さんがよく言うじゃないですか。社会にまったく関心がない層が、世界情勢に対して噴いてくると言うんですね(笑)。噴き上がるわけですよ、感情がワーッと。そうした感情の噴き上げによって、世界とつながっていくという人たちがいるわけですね。
だから、そういう人たちというのは、普通は小っちゃな日常生活の論理でしか生きてないわけです。それで特定の世界情勢に関して、気に食う、気に食わない、あれがイヤだと、コノヤローと感情的に噴き上がるわけですね。
西塚 それはわかります。それでも、これだけみんながいろんなことを言ってるわけですから。
ヤス そこがポイントになってくるんですが、何が言いたいかというと、なぜ日本人は細部にこだわってしまって、世界的な戦略が苦手かということなんです。どういうことかというと、日常的な感情の論理の中に籠ってしまって、それを超えた世界情勢とか社会情勢とかにつながろうとすると、いくつかのつながり方しかないということです。
ひとつは、日常的な感情をどんどん延長させて、噴き上がってくるということ。これはある意味では、つながりと言えばつながりです。気に食うとか気に食わないということ。第2は、イデロギーがそこに介在するということです。日常生活の論理を超えたところで、すべてイデオロギーで判断する。本来こうあるべきなんだ、これが正しいんだと。それに従わないヤツは全部おかしいと。
もうひとつ第3にあるのは、現実的な知識を積み重ねて、実はあなたたちが生きてる日常を超えた世界があるんだということを、きちんと教育を受けて、世界認識のやり方を身につけなくてならないということです。
第3のレベルの教育が、日本は恐ろしく貧困だと僕は思います。
西塚 僕はちょっと違う見方をしてまして、そうかもしれませんが、いわゆる今おっしゃったような感情といったものが、庶民のレベルでも、どんなレベルでもいいんですけど、人間にはあると思うんです。ものすごく知的で、日本人以上に知的で戦略的で、ある大きなビジョンを持ったりするのは、いわゆるイルミナティとか、支配者の連中かもしれませんけど、その基本にあるものはひょっとしたら、小っちゃな感情的なルサンチマンかもしれませんね。それをもとに壮大な計画を練って、しかも支配していくということなのかもしれません。
そうなると、いわゆる庶民、小さい日常生活の中に閉じこもってですね、ある種好き嫌いで生きてる人たちというのも、同じ感情に基づいて生涯を終えていくのかもしれませんけども、壮大な、ひょっとしたら何万人も殺すような災いや、危険なものは形作らないで、小さいところで死んでいくという言い方もできますね。だから、同じ感情でも全然違ってくるわけです。それは戦略の違いであるだろうし、目的の違いかもしれないし、ルサンチマンの深さの違いかもしれない。
どんな人間であれ、大もとに感情というものが少なくとも関わっているとするならば、僕は日本人を美化するつもりでも何でもないですが、せせこましくて、ムカつくところはいっぱいありますけどね、わりと良質なほうだと思うんですね。でも、そうじゃない感情を培った人たちが地球上にたくさんいるので、そういう人たちにやっぱりやられてしまう。やられやすいということもあるかもしれない。
最終的にはファーイーストだったので、ここまで残ってきたけども、いずれ滅びる国かもしれないし、民族なのかもしれないと思うんです(笑)。でも、いいものとして掬い上げていくものがあれば、掬い上げていけばいい。あるわけですから。歴史も省みて、ある原理原則まではいかないにしても、そうすると教条的になってしまうので、そうじゃないんだけども、何かに基づくもの、もうちょっと体感できるようなもの、みんなが共感し、共有できるようなものに基づいていくべきだろうと。
じゃないと、何なんだろう人類は? ということが大もとの話としてある。そこにビリー・マイヤーも含めたことも絡んでくると思うのですが、そういった意味で、あまり大きな話をするつもりはないですが、僕は日本というのは可能性があると思うし、いろいろ中国を含めて、欧米のいいところもありますが、日本のある種のアホさかげんというか、あまりにもナイーブすぎるんでやられちゃって、日本のいい芽もなくなる。
なくなった結果、やっぱり最終的にはおそらく中国と欧米との対決になって、滅びちゃうということにもなるかもしれません。
ヤス 滅びるかどうかはわからないけど、日常的な論理は何かというと、好きか嫌いかの好悪の感情が露出した論理ですよ。基本的にはね。好悪の感情であるとか、日常的な論理で捉えられないような世界があるということを、われわれは学ばねばならないということですね。
西塚 それは、もうそのとおりですね。
ヤス そのような世界とは何かというと、論理でしか理解できない。日常生活を超えた社会的な論理を適用しないとわからないようなね、世界のあり方というのがある。これは、学んで勉強しないとわからないということなんですね。
問題は、そのような世界認識です。日常生活を超えた世界認識といったものの存在が、別のひとつの水準として存在するんだと。そうした世界認識といったものは、人間の好悪の感情みたいなものに解体はされ得ないんだということね。され得ないどころか、そうした世界認識に一回立ってみないとね、何が世界で現実に起こって、社会で現実に起こっているのか理解できないんだということ。それを教育として普通、学ぶのが大学レベルなんだけども、その大学レベルの教育が劣化してて、全然成り立ってないということなんです。日本ではね。
欧米の教育、たとえばメルケルという人がいるでしょ? メルケルは東ドイツ出身です。東ドイツ出身なんだけども、メルケルという首相は、ドイツとかEUとか、大枠の問題に関してガーッと認識していくわけですね。彼女の認識はイデオロギーでも何でもない。しかしながら、EUがどのようなメカニズムで動いてるかということに関して、極めて冷徹な知的な把握の仕方をする。好悪の感情はいっさい関係ないわけです。
それをひとつのシステムのモデルとして理解してるわけですね。システマティックなモデルとして理解するだけの、別の水準の知性が存在するということです。日本の大学では残念ながら、水準の異なる知性として教えることに失敗して、どうなるかというと、イデオロギーの巣窟になるわけです。全部。右派のイデオロギー、左派のイデオロギー、もうぐちゃぐちゃになる。
社会認識のレベルにいくと、イデオロギーでぐちゃぐちゃになってるので、その中にカルトが入り込んでくる。そうすると、社会認識という極めて現実的なシステマティックなモデルで社会を認識する人たちの集団が、出てきにくい環境ができ上がってくる。そうすると、カルトになるのか、イデオロギーになるのか、といった選択しかなくなってくる。
そのような状態の中に、われわれはあまりにも長く生きすぎてしまった。だから3つしか世界がない。日常生活の好悪の論理に生きるのか、いわゆるカルト的な世界に生きるのか、あとはイデオロギー的な社会認識に生きるのかですよ。
西塚 僕はそれはインフラを変えれば、本当に変わると思うんですよ。やっぱり東京の一極集中も問題で。江戸時代の寺子屋制度なんかを見れば一目瞭然のようですが、日本列島で300くらいある各藩が勝手に統治してるわけです。明治になって、明治維新以降、国勢調査をしますよね。そのとき、東京で96万人かな、それで一番多いのは石川で180万人、その次に新潟で155万人というデータがあって、要するにバラバラなわけです。みんなそれぞれの地域がボリュームを持って、その中でいろんな関心もあれば文化もある。
まあ、仕方がないわけですが、富国強兵で一極集中した結果、画一化されて今に至る。その弊害が出てきてるだけだと。だけといってもでかいわけですが、そうだと思うんですね。みんなそれぞれ頭があるのに、ひとつのペーパーテストで…この間話した週刊文春の記事で、東大とハーバードの違いみたいなものですね。自己アピールしろって言ったって、できなくなっちゃうという話です。
自己アピールするときは、やはり自分を客観視しなくてはできないことですから、自分はどれだけの価値があるんだろうということがわからないと、何もできないし、書けない。だから、その小論文がハーバードにとっては一番重要だとすれば、ハーバードはある種恐ろしい大学だなと。
ヤス そうですね。これはコロンビア大学のPh.Dの入学試験ですけど、経済学部のね。ものすごい難解な質問をされるわけです。現在の経済学者でも答えられないような。どのような手段を使ってもいいから答えてみろと言われるわけです。参考文献が20冊くらい並んでる。これは読んでもいいし、読まなくてもいい。君たちの自由に答えろと。それを答えるためには、相当高度なね、たくさんの異なった理論的なモデルを知らないと答えられないわけですね。
そうすると、ある社会的な事象というのは、われわれの感情が届く領域を超え出すと、あとは何かの具体的な理論的なモデルを援用しないと認識できないんだということははっきりしてる。そのようなモデルは実はいろんなものが存在するんだと。じゃあ、どういうモデルを用いて、どのようにして社会認識をするのかということは、あなたにまかせられてるということですね。
西塚 いや、まったくおっしゃるとおりですね。そこで僕はひとつ傲慢にもつけ加えたいのは、それこそゼランドで言えば、理性は過去のものはいくらでも組み立てられる。最終的に心を打ったり、相手にアピールできるものは、やっぱりクリエイティブなことなんですよ。
だから今のコロンビア大学のことで言えば、いかようにも作ってもいいんだけども、われわれを納得させろ、感動させろということだと思います。少なくともいろんな理論とか、いろいろとああでもないこうでもないという分析力は必要ですね。それから論理的な構成力も必要でしょう。最終的には創造するときの自分のひらめきであり、直感であり、ある種のフレキシビリティーでありということが試される。
でも、その前提には、分析力、構成力があるわけだから、そこも試されるし、最終的には創造力で判断される。それはすばらしい試験だと思うし、なかなか突破できる人はいないんじゃないか思いますが、あえて日本人によく言えば、分析能力、構成能力までは、かろうじてあるかもしれないくらいのところじゃないでしょうか?
ヤス それを教育する現場がないということなんです。日本でね。たとえばヨーロッパ、別にヨーロッパがすごいと思ってるわけじゃないんだけども、欧米の中で、リーダーであるとか、教養のある人間が当然持ってるであろう知的教養が、日本のリーダーにはないんですよ。
西塚 途中まであったんだけどなあ…
ヤス 途中まではあった。欧米の知的リーダーが持ってるような一般的な教養の水準って何かというと、哲学だし、社会認識のモデル。マルクス主義がどういうモデルか知らないリーダーなんて存在してないわけだしね、おそらく。それはかなり深いところまで、けっこうみんな本を読んで知ってる。
マルクスの『資本論』を読んだかと言えば、おそらくヨーロッパのリーダーのほとんどは全部読んでるはずです。それは何で読んだかというと、大学の授業で教えてたし、読まざるを得ない。じゃあ、カントを読んでるかと言えば、読んでる。ヘーゲル読んでるかと言えば、読んでると。おそらくね。日本でも本居宣長まで読んでる人たちもいるわけですよ。中国の司馬遷あたりまで読んでるような人たちもたくさんいるわけです。
そうすると、世界にはさまざまな世界認識のモデルがあって、そういう異なった世界認識のモデルを使うと、現代の世界はこのように認識可能なんだといった認識の可能性をよく知ってるわけですね。その中で、現在の世界の持ってる課題、社会の持ってる課題を解決するのに、一番近い認識のモデルはこうこうこういうものなんだというところでは、ある意味で共通の認識に立ってると思いますね。
たとえば、プーチンにしろ、メルケルにしろ、やっぱり同じようなものを読んでる。同じような社会認識のモデルを立ててるということなんですね。それのレベルに立ててないということだと思いますね。
西塚 それは最悪であってですね、それを大前提だとすればいいんですけども、たとえば名前は出さなくてもいいでしょうが、ある学者がいる。いろんな本を読んでいて、教養があって、いろいろなことに造詣も深い。東大の文学部ですが、いろいろと引用して例も出しますが、ことごとくおもしろくないんです。言ってることは腑に落ちたりするんだけど、新しさがないわけですね。ある種、日本の東大的な知の限界ですね。
だから、プーチンであれ、メルケルであれですね、僕は詳しくないですが、本を読んでいて最低の教養があったとしても、プラスアルファのほうがかなり、そっちのほうがはるかにでかくて、それが魅力になり、ある種の怖さになり、パワーになってるという人が指導者になっていくんだと思います。教養は極端に言うと、僕はなくてもいいくらいだと思ってるんです、それがあれば。
一を知れば十を知るぐらいのものがもともとあれば、パンパンとわかりますよ。田中角栄みたいに、おそらく。でも、それがまれだとすれば、少なくともそれくらいの教養は身につけろよというお話かと思うんですけれども、さらにその上のレベルとなると、上というか…
ヤス いや、田中角栄は稀代の読書家として有名ですよ。
西塚 ものすごいですよね。
ヤス だから、田中角栄に教養がなかったかと言えば、とんでもない(笑)。
西塚 教養というか、いわゆる学歴がないだけであって、教養はものすごくあった人ですね。
ヤス そうです。田中角栄くらいものを知ってる人はいないというくらい、よく知ってた。
西塚 そういった意味ならわかるんですが、わかるというか、僕はいいと思うんですけれども、本当は教養は大していらないと思ってるんです。でも、ヤスさんが言うように、その最低限の教養すら、日本の政治家にないというのはどういう事態かという。
ヤス 最近よく言われるんだけど、どこかでちらっと外国の記事でしたけど読んだんですが、基本的にはスティーブ・ジョブズもビル・ゲイツも、ジム・ロジャーズにしろ誰でもいいんだけども、世界のリーダー的な存在として出てきてる人たちが、どういうものを読んできたか。膨大な読書量だと。ほとんど、人生のかなりの時間を読書に費やしていた。
西塚 読書自体がいいというわけでもないかもしれませんが、知識が吸収できるし、ひょっとしたら人と会った何倍もの…
ヤス 何を読んだかというと、文学作品も当然読むんだけど、文学作品だけではなくて、やっぱり社会をどう認識するのか、世の中をどう認識するのか、問題をどう認識して、どのようにアプローチすべきかといったことに関する知識ですね。それは、日常生活の好悪の問題などといったものから抜け出さないと無理だということです。
西塚 ビル・ゲイツもハーバードですが、中退して自分の興味のほうにいっちゃう(笑)。そこがユニークでもあるというか。
ヤス 怖いのは、日本の多くの政治家の中でね、日常生活とは違った水準で社会を社会として認識するだけの、認識能力があるような連中はいないんではないかということです。だから言ってみれば、カルトばっかりなんですよ、本当に。
西塚 それはおもしろいというか、どういうことなのか…
ヤス おもしろいというか、カルトがそれだけ多いというのは、極めて病的な現象だと思いますよ、僕は。
西塚 アメリカにも多いんじゃないですか、カルトは。
ヤス カルトは多いですよ、やっぱりすごく。
西塚 ただ、同じカルトでもですね、ちょっと質が違うような気がしますけどね(笑)。
ヤス いや、アメリカのキリスト教福音派のカルトって、ものすごいカルトですよ、本当に。福音派のカルトが大統領になったら大変ですよ、これ。ブッシュはそれに近かったわけですけどね。ただアメリカの場合、それを押し戻すような逆の力もものすごく強大だってことです。
西塚 パッパラパーで、担がれただけということもあるでしょうけど。
ヤス ただ安倍というのはカルトですね。
西塚 自分で判断してませんもん。聞いていてわかるというか、あれこそヤスさんが言ううところの感情で動いてますよ。
ヤス そうです。
西塚 要するに子どもというか、僕が言うのもへんだけど(笑)
ヤス (笑)。やっぱり日法生活を超えたところにあるような、世界認識、社会認識といったもののひとつの水準があってね。それは人間の好悪の世界に解体できないんだということ。できない水準があるということを知るだけでも、大きいと思います。
「個を超えた存在」VS「個」
西塚 いや、でかいと思います。それでまあ、こういうこともやって、ヤスさんともこのお話をしてるつもりなんですけども。最終的に3つのタイプがあると思います。ものすごく安倍的な人。あれだけ断言できるということは、何かに依存してるんですね、僕に言わせると。
あの人は、自分で考え抜いて考え抜いて、これしかないという直感も得て、それで信念もあってやってる人ではないと思います。何かのお墨つきがあって、それを金科玉条のごとく守ってるだけ。こうなんだからこうなんだという、それこそアカウンタビリティーがまったくないということは、それでいて、あれだけ言い切れるということは、何かを信じている。それはもう自分じゃないですよ。何かがあって、それを言ってるだけです。
もうひとつは、自分でいろいろ考えてですね、もうこれしかないというところで行動する人。仮に間違ったとしても。安倍はそういうタイプではない。もうひとつは、その両方を検証する人。そういう立場の人。
僕は怖さを安倍には感じますね。本当に怖い。僕は本当にわからないんですよ、何を考えてるのか。何回も言いますけども。
ヤスさんからいろいろ聞いて、ああそういうことなのかなという、バックにもこういうのがついてるだろうしと、わかるんだけれども、僕は安倍は一番怖いタイプですね、どちらかと言うと。
ヤス 僕はそれはね、共有する。はっきりしてるのは、今の日本の潮流としてふたつあると思います。個を超えた存在を認めるのか、認めないのか。そこでふたつに分かれる。安倍というのは、まさに認めるというほうです。
西塚 そうですね。
ヤス 個を超えた存在は何かというと、政府であり、国家であり、民族であるわけです。国家とか民族の中に、むしろ個を組み込むという流れになってくるわけですね。そうすると、個を超えた存在の正当性を確保しなければならない。担保しなければならない。どうやって担保するかというと、やっぱり神秘化による担保なんです。
神秘化による担保にはいろんなやり方があると思います。たとえば、記紀神話による担保という方法もあれば、ナチスの思想家のローゼンベルクのような、いわゆるアーリア人説、アーリア人そのものがアトランティス人の末裔であるといったような(笑)、そのような民族的な神秘化による担保の方法。日本民族というのは、ユダヤ民族の末裔であり、神から選ばれたという選民思想であるとか、いろんな担保の仕方があるんだけども、要するに神秘化なんですよ。
西塚 それは僕に言わせれば、検証が難しいというだけですよ。
ヤス 難しいというか、ほとんど検証ができないようなものを無理に持ってくる。
西塚 やろうと思えばできるんだけども、そうじゃなくて、自分の都合のいいものを持ってきて、押しつけてるだけの話であって、煙に巻いてるんですね。
ヤス 煙に巻く。だから、国家とか民族といったものを神秘化する。神秘化の大もとになってるものは、その神秘化のためのイデオロギーです。そのイデオロギーがどんどん信仰にまで達すると、やっぱりカルト化してくるわけですね。民族とか国家を神秘化して、その中に個というものをどんどん組み込んでいく。
西塚 それは本当に不快だし、たぶんみんな不快だと思うんだけれども。
ヤス それはまさに安倍の方向ですね。それに対して、逆に本来の方向というのがあって、これは本来の民主主義の方向だと思いますけどね。言ってみれば、社会を構成するのは実は個しかないんだと。個というのは、自我を持った存在としての個だけではなく、いわゆる個の中にある、それこそビリー・マイヤー的な純粋意識じゃないけれども、実は偉大な力を持った個というのが存在していると。本来の現実の唯一の形成主体は個なんだということ。個ということに焦点をおいて、むしろ国家とか民族というものを、個に向けて解体していくというひとつの流れですね。
われわれが生きてるグローバリゼーションの時代というのは、まさに後者のね、個の時代です。ただ、安倍が立ってるのはそうではなく、その逆のパターンです。国家とか民族に対して、個をどんどん解体して組み込んで、むしろ国家というものを神秘化する流れの方向に向ってる。
西塚 大きなグローバリゼーションの流れは、ある種の相似形というかフラクタルになっていて、それが安倍的なものでもあるんでしょうか? いわゆる超階級社会の方向へと、安倍も何かに呼応するように向かってるけれども…
ヤス それはね、まだどちらの方向にいくかというのはわからない。超階級社会というかね、神秘化した民族や国家を強化させて、それに個をねじ込んで組み込んでいくという方向にいくのか。そうではなくて、個が本来の個の持ってる偉大性に目覚めて、そうした個がネットワーク的に連帯しながらね、新たな現実を創っていくという方向にいくのか。まだどちらの方向にいくのかわからないという状態なんだけれども、僕は楽観的ですね。
西塚 僕も楽観的なんです。
ヤス おそらくね、最終的には個が勝つ方向にいくんではないかと思ってる。
西塚 ちょっと傲慢な言い方かもしれませんけども、何で楽観的かというと、ヤスさんもそうかもしれませんが、自分がそっちのほうだからなんですよ。
ヤス なるほど。
西塚 自分の方向がネガティブと思う人は、なかなかいないと思うんです。自分がある種、そっちのほうが楽しいと思っているから、楽観的だと言ってるだけなのかもしれない。でも、まあしょうがないというか、それは楽観的ですね。だからそのへん、もうちょっといろいろ批判していただいていいんですが(笑)。本当に細かく。
ヤス いえいえ、まあ批判するとすれば、女性問題とか、そっちのほうで…(笑)
西塚 そのへんは僕も必ず…(笑)。下卑た言い方ではなくて…
ヤス 何か告白するんですか?(笑)。
西塚 いや、そうではなくて、いろいろつながるような話として、自分の体験談として、これは自分のブログにも書いてるので、まあサンプルとして。
ヤス 不倫の告白(笑)。
西塚 いずれというか、早いうちに語って、いろいろとやります。それこそヤスさんからも出てくるかもしれない。
ヤス いえいえ、僕はないですよ(笑)。もてないので大丈夫です。
西塚 いやいや、そんなことはないです。僕はいろいろ知ってますからね。何か、ちょっとへんな方向になりましたが、時間もそろそろあれなんで…
ヤス アハハハハ。
西塚 続きがあれば、また次回に持ち越しますので、今回はこれで終えます。今日はありがとうございます。
ヤス バツが悪くなった(笑)。はい、どうもどうも。
むちゃくちゃおもしろかった講談
筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。
田辺鶴瑛
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意味産出の現場としてのBBSやブログ
また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。
04/12のツイートまとめ
ytaka2013
パナマ文書でとうとう日本企業と個人名が出てきた。https://t.co/kKhfl9uH5a
04-12 00:49アーミテージなどは、集団的自衛権の是認や原発の早期の稼動要請など日本に強い圧力か けてきたが、なんと彼らの給与は日本政府が払っていたことになるかもしれない。https://t.co/pRhnmSBjnV
04-12 00:45ちょっとびっくりした情報。リチャード・アーミテージなど軍産系のエージェントであるジャパン・ハンドラーはシンクタンク、「CSIS」に結集して活動し ているが、この組織の最大献金者のひとつがなんと日本政府であった。
04-12 00:45重要な記事。アベノミクスが完全に失敗したことが海外の一般的な認識になりつつあるようだ。https://t.co/nuIxWc9sqx
04-12 00:33日本では、TPPはアメリカの圧力で参加させられたのだというイメージが強いかもしれないが、アメリカ人は逆に見ている。日本政府の積極的なロビー活動も示しているように、むしろTPPを積極的に主導しているのは日本だと見ているようだ。
04-12 00:31今回はサンディエゴだが、日本政府は全米各地でTPPを通過させるためのロビー活動を展開するのだろう。
04-12 00:31早速、元サンディエゴ市長で現在はサンディエゴ商工会議所のCEOであるジェリー・サンダースが地元紙のサンディエゴ・ユニオントリビューンに「TPPはサンディエゴに利益をもたらす」との意見記事を執筆。記事の文面は「サウスウエスト・ストラテジーズ」に掲載された文面と同じだという。
04-12 00:30日本大使館がサンディエゴにあるコンサルティング会社「サウスウエスト・ストラテジーズ」と契約し、米議会にTPPを通過させるためのロビー活動を展開していることが分かった。これは今年の3月11日に結ばれた1万ドルの契約。https://t.co/BdygRh8r0k
04-12 00:29
04/10のツイートまとめ
ytaka2013
だとするなら、米市場の暴落はかなり近いと判断してよさそうだ。やっとつながりが見えて来たので、これが次回のメルマガに詳しく書く。
04-10 09:12そこで米政府は、パナマのような租税回避地を潰し、アメリカがタックスヘイブンとなることで、超富裕層の巨額の資金をアメリカに呼び込んで投資を促進し、これで次の金融危機を乗り越える計画のようだ。
04-10 09:12他方、FRBと米政府はQE3までに使える金融政策の手段を使い尽くしてしまっている。危機が起こったとき対応できない。
04-10 09:12A 'tidal wave' is coming that will throw the US into recessionhttps://t.co/Ylrroj4gBp
04-10 09:11租税回避地に集中している超富裕層の資産は、20兆から30兆ドルと言われている。一方米経済がこれから深刻な状況に陥るとの観測が増えている。下の記事はその一例だ。企業破綻の連鎖から社債市場の暴落から始まるとの見方も出ている。さらに、ダウの暴落予想も多い。
04-10 09:11そのためには、超富裕層の資金の集中がすでに始まっているロンドンとレイキャビクを先に潰す必要があった。それが、英首相とアイスランド首相の税金逃れの資金運用の実態を公表した理由であろう。
04-10 09:11ネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州、デラウエア州はすでに租税回避地として機能しているが、それらを世界の一大租税回避地として強化するのが目的だ。
04-10 09:10問題は「パナマ文書」公表の目的だ。明らかに複数の目的があるが、そのうちのもっとも重要な目的が明らかになってきた。パナマをはじめとした主要な租税回避地を潰し、アメリカに超富裕層の資金を集中させることだ。
04-10 09:10「パナマ文書」は米政府が意図的にリークした情報である。
04-10 09:09「パナマ文書」を公開した「ICIJ」は「合衆国国際開発庁(USAID)」とジョージ・ソロスのNGO、「オープンソサエティー」、それに米国務省とともに活動している「フォードファウンデーション」が資金を提供している米政府の国策機関であることは前回のメルマガに書いた。
04-10 09:09
04/05のツイートまとめ
ytaka2013
以上である。いま実施している米韓合同軍事演習は4月30日に終わるが、それまでに何らかの紛争があるかもしれない。
04-05 10:13第一段階:目標を長距離弾道弾の発射施設と核技術の破壊に限定した小規模な攻撃第二段階:核の汚染を覚悟した核関連施設の全面的な攻撃。第三段階:北朝鮮の反撃力を削ぐために主要なすべての軍事施設を目標にした大規模攻撃。第四段階:キム・ジョンウン体制の崩壊を目標にした大規模王劇。
04-05 10:13王洪光中将は、米国と韓国はかなり以前から北朝鮮の攻撃を計画しており、実施される場合、それはは次の4つの段階で行われることになるはずだと指摘する。
04-05 10:13朝鮮半島の情勢が一層緊張しそうだ。中国の政府系新聞「環球時報」は、中国人民解放軍南京軍区元副司令の王洪光中将の社説を掲載した。王洪光中将によると、米国と韓国は北朝鮮を刺激する瀬戸際政策を助長しており、戦争の可能性は高まったという。https://t.co/58QVfDwMiN
04-05 10:12
酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第39回
ウエブボット最新版第2回の配信
ウエブボット最新版第2回目が完成しました!対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。
お申し込みアドレス
info@gomokusha.co.jp
五目舎
http://gomokusha.co.jp/
次回の有料メルマガの予告
もしかしたら米韓合同軍事演習が終了する4月30日までになんらかの軍事的な動きがあるのかもしれない。いくつか情報が入っているので、4月8日午前0時10分に配信する次回のメルマガではこれを詳しく書く。
また、UFOの調査報道のスペシャリスト、リンダ・モートン・ハウが衝撃的な証言をしている。すでに米政府関係者の間では地球外生物の存在を公に認める日程がすでに決まっているというのだ。次回のメルマガではこれも紹介する。
「ヤスの勉強会」第25回のご案内
「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
【主な内容】
・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
・日本では知られていないトランプの本当の正体
・新しい社会システムに合致した意識の形
・知られざるイスラエルとEUの対立
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:4月30日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
名前(ふりがな)
住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com
新しい本
新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!
「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
世界の政治・経済はこれからこう動く
著者:高島 康司
amazonで注文

今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。
今回の記事
今回はいつもの対談の第39回である。興味深い内容だと思う。
記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。
音声ファイル
ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
https://twitter.com/ytaka2013/
船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!
船井幸雄.com
ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
むちゃくちゃうまい醤油!
筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。
金両醤油
酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第39回

西塚 『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の今日は39回になりました。さっきから飲んじゃって、いつもの流れできてますが、今日もヤスさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。カンパーイ!
ヤス こちらこそ、どうもどうも、カンパーイ!
西塚 時事的なことをいつもお聞きしてますが、それも重要なのですが、僕は何か最近ちょっと世の中、というと大げさかもしれませんが、ものすごくその、マインドシフトじゃないですけど、漠然とした言い方ですが、何か空気が変わってきたという気がするんですね。
ヤス 僕も感じる。
3月に入って突然“流れ”が変わった!
西塚 あ、感じますか? その正体は何だろうと。今日は前半に軽くおうかがいしたいなと思うんです。僕の感じなんですけども…
ヤス いいですよ、話してください。
西塚 僕の感じでいうと、本当にバカみたいな話ですが、“未来は明るい”と思うんです。もともと僕自身がそういうタイプではあるんですが、根底に楽観主義があるのはともかく、ここにきて何というか、SFっぽくなるかもしれませんが、いわゆる支配側、国際金融資本的なもの、宇宙的なレプタリアンでも何でもいいんですが、そういうヤカラが仮にいるとしてもですね、もう疲れたのか何なのか、何か変わったという感じがしてしょうがないんですね。
それは小さい部分、たとえばテレビで芸能界の世界を見たりとか、電車の中の光景でも、それはいますよ、気に食わないヤツとか、何やってるんだろうというヤツはいっぱいいるんだけども、僕は今のところはこれは春のせいだろうと単純に思ってますが(笑)、だいたいこの季節は自分が生まれた季節ということもあってウキウキするので、それもあるだろうなと思いながらもですね、それとは違うものがあって、ああこれはいいことだなと。
あまり面倒くさい話をするつもりはないですが、あるラインが変わったんだと思うのです。自分のラインなのか、日本のラインなのかはわかりませんけども、明らかに何かが変わってきた。ヤスさんとお会いした2011年ぐらいに民主党の話をしましたね。熱海の講演会のときに。あれは分かれ目でしたねという話をして、鳩山(由紀夫)さんがあのままうまくやってれば、日本は地域分散型のまったく違う体制に移行した可能性が高かったはずですが、まあいろいろコケちゃってダメになった。そのあと管(直人)、野田(佳彦)とドツボにハマって、あげくの果てに安倍です。
それがまた今、一周回ったのか何なのか、違うラインが出てきたのかなと。いろいろ言いたいことは細かくありますが、今ヤスさんもちょっと変わってきたと思うとおっしゃったので、どんなところが変わってきたのか、ちょっとお聞きしたいのですが。
ヤス やっぱり人間の関心がね、ある特定の領域というか、それぞれ個人個人だと思うんですが、今までいろいろな方面に漠然とした関心があったのが、ある特定の方面、特定の領域にどんどんフォーカシングされてきたという感じがするんです。
たとえば、僕の内部でどういう変化が起こってるかというと、いわゆるスピリチュアル系ってあるじゃないですか。お花畑系のスピリチュアリズムに関してもね、ある意味での関心はあったんです。信じてるわけでは全然ないんだけども、なぜ彼らはこういうことを言うのか、その根拠を究明してみたいという欲望があったんですね。
なぜかというと、たとえば予言者でもいいし、心霊研究家でも何でもいいんですが、いわゆる超自然的な感性の持ち主たちというのは明らかにいるわけで、そういう人たちは僕が持っている普通の日常的な感性とは全然違ったものを感じてるわけです。彼らが何を感じてるのか究明してみたいという強い関心があった。それが、そういうスピリチュアル界みたいなものに自分を関わらしめていた、ひとつの動機にはなってると思うんですね。
自分の内部で何が起こってるかというと、そのようなものに対する関心がほとんどなくなったということなんです。
西塚 いつぐらいからですか?
ヤス 去年の後半くらいからですね。
西塚 わりと最近ですね。
ヤス 最近ですね。急激になくなってきた。当然、多くの友人がその分野にいますので、人間関係そのものは非常に楽しんでいて、貴重な人間関係なんですけど、分野に対する関心というのは、ほとんどなくなってきたという感じです。それは、自分の中で何かの決着がついたということまでは言えない。そこまでは言えないけど、どうもスピリチュアル系のかなりの部分が、実は強度の思い込みによってでき上がっている領域だと、自分が強く実感したということがあります。
そうすると、自分の関心がどんどんリアルな政治経済、リアルな社会情勢の変化の奥底でね、一番大きな意識の変化がどのような方向に向かっているのかというところに、グーッとフォーカスされてきたという感じです。
僕の身の周り、たとえば勉強会にくるお客さんとか、飲み会でよく会う人たちというのは、みんなある意味で同じようなフォーカシングの段階を迎えている。逆にそうではなくて、本格的なスピリチュアリズムに入っていくというフォーカシングのあり方もあるんですよ。その意味では、ひとりひとりの持ってるフォーカスがどんどん先鋭化することによって、ガバっと分かれてきたという感じですね。
西塚 それはわかります。
ヤス 非常に大きく人間の集団が分かれてきたという感じがします。
西塚 お話はまったくそのとおりだと思います。僕も同じように感じる部分があります。ヤスさんとのこのシリーズでも何度もテーマになっているポイントとして、現実は自分が創っているということがありますね。そうなんだけども、たいていはそれほど自分に自信があるわけではないから、何かに依存してみたり、神頼みしたりするわけです。自分でやればいいだけなんだけども、自分の思い込み自体に根拠がないものだから、お墨付きがほしい。それで宗教にいったり、あるいは本を読んだりする。霊能者に聞くところまでいかなくても、確証を得たい。
そうじゃなくて、僕は武術をちょっと学んだことも大きいですが、やはり自分で何でもできるということなんですね。もう結論が先にある。わかってるんです。ただその確証がないということです。手ごたえというか。たとえば合気でいうと、手ごたえがあるうちはダメだと言われる。手ごたえがない状況とはどういうことかということなんですが、それにはやはりレベルがあって、あるレベルになると、普通の人には手ごたえがないことでも手ごたえがあるようにわかるわけです。何かがまた変わるんでしょう。
今のは比喩ですけれども、それと同じようなことが今、人間の意識に起きてきてるという気がする。僕がちょっと雰囲気が変わってきたというのは、ひょっとしたら、自分が向かっている未来像があるとすれば、そこに関わってる人たちとしか今、関わってないのかもしれないなという気がしないでもない。ある意味、それは当たり前ですね。同じような思いを持っている人たちばかりが増えてきて、そうじゃない人との関係性が薄くなれば、ああ、変わったなというふうに思う。
だから、単純にそういうことなのか、実際に何か別のことが変わったのか、僕はまだ判断できないですけれども、大雑把に言うとそんな感じです。
ヤス なるほどね。
西塚 もうひとつ加えると、ある飲み会があって、出版関係ですが、もう完全に終わったと思ったんです。
ヤス ほう、それは出版がダメだと?
西塚 少なくとも、今までの流れではダメだと。そんなことはわかっているんだけども、まだその延長でやろうという人はけっこういるんですね。それにくっついているマインドがあって、ちょっと耳を疑う発言もあったりする。同時にそこに入っていく若い子たちもいるわけです。大手の出版社の子たちとも話しましたが、その子たちはやっぱり若いですから、考え方にも柔軟性があって、既存のものでもこういう子たちが入れば変わっていくだろうなという希望も持ちます。でも、上司であるとか、OBの人たちは、ダメだこりゃって感じですね。いかりや長介じゃないですが。
もちろん、これは僕の傲慢かもしれません。でも、もうついていけない。仕事だから関わっていこうというレベルじゃないんです。もういっさい関わらないかもしれないという感じです。僕も中途半端なところがありましたが、これはいよいよ自分でやるしかないなという気を新たにしました。そういった意味で、今後進めていくことも、同じことをやるように見えても全然、心構えが違うわけです。
ヤス やっと腹が据わったという(笑)。
西塚 という言い方もできるかもしれないし、ある種、本当にダメなんだなあとわかったんですね。どこか期待してたのか、依存があったのかもしれません。仕事に限定した話ですけどね。ちょっとびっくりしました。
ヤス それは、やっぱり別れですよね。
西塚 別れですね。
ヤス はっきり言って、分断と別れが起こってると思いますよ。
西塚 一抹の悲しみがあるくらいの別れでした。この人たちとはもう付き合わないのかもしれないなという感じ。
ヤス 彼らは彼らで、僕の言葉で言うと、西塚さんとは違った領域にフォーカシングしていくわけですよ。それは西塚さんから見ると、これにフォーカシングするとヤバイだろというところにフォーカシングしていくわけです(笑)。
西塚 ヤバイというか、僕はできないという感じですね。そこに一抹の悲しみがあって、この対談の前にいろいろとお叱りも含めたアドバイスを受けたんですが…
ヤス いえいえ、叱ってない。
西塚 僕がそこにまだフォーカシングしてるように見えるわけですね、おそらく。興味はまだあります。現実に付き合いもあるし、ということ以上に何かがまだ僕を引っ張ってるのかもしれない。それとどう付き合い、どうビジネス化していくかというのは、僕の問題になっていくんですけれども。言い方が微妙ですけど、それを感じました。それでちょっと、昨日、一昨日くらいから(笑)、わりと落ち込むってほどじゃないんだけども…
ヤス ちょっとダウン気味?
西塚 ダウンというか、しみじみ系ですね。
ヤス しみじみ酒を飲んでたと(笑)。
西塚 いえいえ、本当に飲んでないですが、なるほどなあと。みんな不安を持ちながらやってるんですね、顔つきから何から変わっちゃうんですからね。
ヤス なるほど。おそらく意識の変化というか、何となく空気の変化を感じるということでもあるわけです。社会全体のね。
西塚 違うラインといったらへんですが、安倍政権の流れを見てもそういう感じがしますね。
世界情勢にも大きな潮目の変化が!!
ヤス ボー・ポルニーという有名な証券アナリストのような人がいて、市場アナリストですね。アメリカで相当評価されてる。彼はチャート分析によって相場を予想するんですけど、ものすごくよく当たる。去年から見てると、けっこう的確に当たってるんです。どこで相場が下げて、どこで上がるか。僕自身、何か投資をしてるわけじゃないですが、彼の分析には興味がある。何を根拠に分析してるのかなというと、そのチャート分析なんです。
チャート分析の細かな結果は、彼の有料レポートを買わないとわからないんですが、この日ぐらいにこういうことになると、けっこう厳密に指定されてる。結論からいうと、今年の3月3日くらいまで、極めてピタピタ当たってたのね。去年の初めくらいから今年の3月の初めくらいまで、ピタピタとよく当たってた。
彼は3月の第一週で暴落すると言っていた。これまでピタピタ当たってたから、これは可能性としてはあるなというふうに僕は思っていた。
西塚 メルマガにも書かれてましたね。
ヤス メルマガにも書いた。それはボー・ポルニーのみならずですね、いろんなアナリストが同じようなことを言ってたんです。複数のアナリストが同じようなことを言うんだから、これはおそらくそうだろうというふうに思ってた、可能性として。それがですね、3月の初めぐらいから全部はずれはじめるんです。バカバカはずれはじめる。
それで、3月の初めくらいから状況がガラッと変わったんです。簡単にいうと、えらく落ち着きはじめた。2月の末までは、相場は不安定、ダウは1日で数百ドル乱高下する。日経平均は1日に数百円、千円近い割合で乱高下する。それからシリアはどうなるかわからない。サウジアラビアとイランの対立もどうなるかわからない。場合によっては戦争をはじめるかもしれない。ロシアと欧米の対立も全然先が見えないというように、大きな戦争に発展するような火種がたくさんある。
原油価格もどんどん下がって、20ドルを切るくらいの段階までいく。そうするとアメリカのシェールオイルバブルがつぶれる。シェールオイルの会社のローンというのは、みんな金融商品となってバラまかれてますから、第2第3のリーマンショックになってもおかしくないと。
中国経済のスローダウンというのは、こちらの予想を超えたスローダウンで、人民元の切り下げを行なった場合、次の相場崩壊の引き金になるかもしれないという、ある意味サーフィンをやるくらいの不安定な状態だったんですね。
それがですね、2月の末を越えて、3月の初めにきたらピタッと全部収まった。
西塚 それは、嵐の前の静けさですか?
ヤス かもしれない。かもしれないけれども、気持ち悪いくらい全部収まった。どういうふうに収まったかというと、シリアの和平合意が思った以上にうまくいってる。ロシアとかサウジアラビア、イランも含めて、いわゆる産油国が勝手に減産をはじめて、それがひとつの背景となって原油価格が30ドルから40ドルくらいまで上がってきた。それにしたがってシェールオイル企業が利益水準を回復しつつある。
それからシリア問題に関して、アメリカとロシアとの協調路線がはっきり出てきたとか、中国の経済も思ったほど悪くないという数字がどんどん出てきた。サウジアラビアとイランの対立の中にロシアが仲裁者として入ってきて、原油価格の交渉をやるという形で、イランとサウジアラビアを抱き込みはじめたという感じなんですね。
それで全体の状況がスーッと沈静化しはじめて、むしろ楽観ムードが漂いはじめている。今、凪の状態ですね。そんなふうに何か世の中の空気がガラッと変わった。そのように世の中の空気がガラッと変わったときに、自分の内面がどう連動して変わるのかなということにけっこう興味があってね。
西塚 この間のブリュッセルみたいなテロがありますね。それは国際的なニュースとして流れるから、不安を覚える人はおそらくたくさん出てくる。ああいうことがポツポツあることはある。でも、大きな方向としては、方向というか大きな波としては凪状態であると。
ヤス 凪状態なんです。言ってみれば、大きな状況としては凪状態。凪状態の中でああいうテロは当然起こるんだけども、テロはひとつの事件として、ある意味で孤立化するわけですね。極めて重大な悲劇的な事件なんだけどれども、そのテロ事件が思ってもみないようなものに連鎖して、もっと状況が不安定化するという方向へは作用しない。
西塚 なるほど。連関が断ち切られたということですね。それ自体はでかい事件だけれども、単発の出来事になったと。
ヤス そうそう。そんな感じじゃないですかね、今。
西塚 そうかもしれません。
ヤス その中で、自分自身の内面がどう変化するかというと、2月の終わりくらいから、特に幸福感が強いんです。急激に幸福感が強くなった。
西塚 僕が言ったような、春だからじゃないですよね(笑)。
ヤス いや、春だからってことは関係ないですよ。僕はね、感情はいつも一定してるんです。ほとんど上下はないという人間で、落ち込むということもないんだけれども、カーッと盛り上がることもない。いつも一定してる。ただ、ピンポンダッシュばっかりやってるという感じですね(笑)。
西塚 高位安定型ですね。高いレベルで安定してるんですね、テンションとしては。
ヤス そうですね。そんな感じなんです。ただ、そういう変動がないにも関わらず、極めて幸福感が深い。
西塚 それは凪の状態との連動もあるんだろうけど、どのように分析されてるんですか?
ヤス いや、よくわからない。つくづく生きててよかったなあという感じ。
西塚 (笑)まさかとは思いますけども、歳とってきたからとかそういうことじゃないですよね?
ヤス そういうことかもしれない。歳はとってますよ。
西塚 もちろんとってますけどね、われわれ。でもまだ早いですよね、50代でそういう境地…
ヤス 前にね、BST(ブレインステートテクノロジー/脳最適化技術のひとつ)をやったときと同じような感じですね。深い幸福感が心の奥底からどんどん込み上げてくるような幸福感なんですよ。
西塚 僕はそこまでの幸福感じゃないかもしれませんけど、現実に目を転じればとんでもないんだけれども、やっぱり楽観的なんですね。
さきほどおっしゃったことは重要なポイントだと思いますが、世の中全部連動して、関連づけられて、ちょっとしたことが同時にどこかに響いていくというような気持ち悪さというか、怖さというものはない気がするんです。
ヤス そうなんですよ。おっしゃるとおりで。だから、今回のブリュッセルのテロもすごく大きな事件で、悲劇的ですが、これが何かの起点となって何かの出来事の連鎖が起こって、とんでもない方向にいくっていう感じのものではないですね。あれは孤立した事件だろうなと思います。
西塚 そうなるとエノク予言ではないですが、87%くらい本当になるということですから…
ヤス 92%。
西塚 失礼しました。残り8%というのがですね、エノク予言自体が予言なのでわかりませんが、僕はあまりうがった言い方はしたくないのですが、それこそ2006年、2007年くらいからヤスさんが世の中にエノク予言を出されていって、知ってる人は知ってるんだけれども、いまだに知らない人もたくさんいる。それでも知らしめることによって、エノク予言のシナリオも徐々に変わっていくということがあると思います。エノク予言を知る人が増えることによって、ある意味ブラックスワンをなくしていくという。僕は実はそれはけっこうでかいと思っているんです。
僕はそこにメディアの役割があると思ってるぐらいなので、オオカミ少年じゃもちろん困るんだけども、でもオオカミ少年はもともとウソをつこうと思って言ってたから、ちょっと話が違いますが、ある程度ある検証のもとに訴えるということが必要だし、だからこそ表現の自由というものは絶対に保障されなければならない。
ヤス それはもうおっしゃるとおりだと思います。
西塚 それが僕は功を奏してきたという言い方もできるのかなと思うんです。
大きな“流れ”になる3つの支流とは?
ヤス そうかもしれない。あともうひとつ大きな変化というのは、この数年間、比較的最近ですよ、やっぱり新しいシステムを作らなくちゃいけないだろうという流れがですね、面白いところからはじまった。金融資本そのものの内部からはじまってきたということなんです。もうわれわれは無理だねと。だから新しい流れを作って、安定したシステムを再構築せねばならないだろうと。それが意外に急速に進んでる感じがします。
西塚 ビットコインの話にもつながってきますか?
ヤス つながってきます。ただ一足飛びという流れではなくて、ある意味で合理的な流れなんです。
こういうことなんです。これから世の中で大きくなる流れ、大河となるような流れを形成する3つの支流みたいのができてきた。ひとつはマイナス金利なんです。詳しい経済の話はしませんが、マイナス金利になるとどうなるかというと、銀行の利益率が下がっていくわけですね。だから預金者から金利をとらねばならないというところまで追い込まれてくる。
たとえばヨーロッパであれば、マイナス金利をすでにやってるスイスとか、スウェーデンとか、そういうところまで追い込まれてる銀行が多いんです。おそらく日本では地方銀行を中心にしてね、やっぱり金利を預金者からとらざるを得ないというところまで追い込まれてくると思います。だから、銀行のサバイバルはかなり厳しい。
第2に人工知能。最近、アルファ碁というグーグル傘下のディープマインドが開発したソフトが話題になりました。それから人工知能が書いた小説が、星新一賞の第一次予選を通ったんですね。
西塚 アメリカのメディアなんかは、スポーツ記事とか、プレスリリースを見て書くような記事は人工知能が書いていると言いますね。
ヤス そうなんです。今回の人工知能の新しさは何かというと、ディープラーニングができること。直観知ですね。
西塚 それで言うと、例のマイクロソフトの人工知能のツイッターですが、みんながレスポンスするから、ディープラーニングで学んでいくわけですね、人工知能が。たぶん誰かが吹き込んだんでしょう、ヒトラーはすごいよと。そうしたらいきなり人工知能がヒトラーは正しかったと言い出して、お騒ぎになった(笑)。今は閉鎖されてるようですが。
ヤス 人工知能の発達が、ある臨界点を迎えつつあるということなんですね。
西塚 カーツワイルの2045年問題ですね。
ヤス そうです。ディープラーニングができるようになってくると、それこそ人間並みの対話力ができてくるということです。
西塚 今、あちこちで言われはじめてますけれども、そのときには人間と機械の境界がわからなくなってくるという。
ヤス それが第2の流れだと思うんですね。第3の流れは何かというと、社会的インパクトという新しい金融システムです。金融工学者たちが、われわれが作り出した現代の金融資本主義のシステムはヤバいよねと。バブルで投資された巨大な資本がある。これを社会的底辺層に回して安定した収益を得ながら、それを先進国の経済発展の原動力にできないかとモデルを考える。それがけっこううまくいってる。
西塚 そう思います。今はこんなデフレですが、こんなことヤスさんに言うことじゃないけども、あえて言えば、日本の国家予算は特別会計じゃないですか、基本的に。いわゆるまともな予算は超えている。ものすごくあると思うわけです、備蓄が。今年はそれを発動せざるを得なくて、まあいろんなことをやるんじゃないかなと。
もちろん官僚、財務省あたりはやりたくないんだろうけど、もう四の五の言ってられないというような、何か金融的な大きな変化がありそうですね。今までの国の借金もこうだと言うけれども、実はそうでもないじゃん的な流れが出てくるような気がするんです。
ヤス おそらくそうだと思う。この3つの流れが連関して非常に大きな流れになってくるということだと思うんですね。まず銀行が食えなくなってきてる。銀行というビジネスモデスルそのものが、もはや成り立たなくなってきてる。その結果、銀行はどんどんリストラをやりはじめてるんです。人員削減。
西塚 今やってますか?
ヤス やってる。まだ日本まできてないけど、欧米の金融機関で人員削減がはじまりました。たとえば、ゴールドマン・サックスがトップマネージメント19人のクビを切った。
西塚 給料の高い連中ですね。
ヤス 一番給料の高いところから切るんです。それからクレディ・スイスが35万ドル以上、日本で言えば4000万以上ですね、4000万以上の年収をとってるマネージャーのクビは全部切ると。クビを切ったあとどうするかというと、人工知能に全部置き換えると言ったんですよ。つまり第1と第2の流れが合体するんですね。
すなわち、銀行が生き延びる策として、人工知能を活用しながら現在のマネージャークラスの銀行員のクビを切っていく。そういう流れがおそらくはじまるだろう。
一方ではマイナス金利をとらざるを得ない状況になってくる。すると銀行にお金を預けてもしょうがない。だから銀行から全部現金をおろして箪笥預金をする。でも不安だと。そうすると、銀行並みに安心できて、そして金利もくれる、何かそういう機関があったら預けたいと思うわけですね。
西塚 フィンテックですか?
ヤス そう。それが社会的インパクト。それが投資のひとつのモデルになってくると思うんです。われわれは銀行並みに安心ですよと。
西塚 だから去年あたりからフィンテックがガーッときてるわけですね。
ヤス そうです。リスクはとことん低いと。銀行に預けるのと同じような状態で利子だけは高いですよと。そういうモデルを現在の金融工学者たちが考えて、それが社会的インパクトというモデルになってくる。それが最底辺層のプロダクティビティー、生産性を上げて、街全体を変えることによって、ひとつの国の経済成長の目玉にしていく。
西塚 となると、図らずも2009年、たとえば日本で言えば民主党がやろうとしたことが、逆に最大の敵であったかもしれない国際金融資本を含めた、そういうフィナンシャー側からですね、町興しよろしくシステムをガラッと変えていくという。そういう地域分散型のシステムを金融工学のほうから提示するという流れになってきた。
ヤス そうなんです。システムを作った連中がスピンアウトしてやってるから(笑)、画期的なんです。扱う資本量も半端じゃないんですね。500億ぐらいを簡単に動かして、街全体を変えていくというようなプロジェクトなんです。それは、さっき言った人工知能、没落する銀行、それから家に現金を蓄えててもしょうがいないと思っている大多数の国民たち、それらがこの流れと連動して極めて大きな流れになりつつある。
これがですね、次の金融システムを目指す流れとして、実は未来が見えてきたということだと思います。
西塚 そうですね。少なくとも大きな意味でのインフラというのは見えてきましたね。先進国に限らず、地球上に住んでいる人類の本来の意味でのリストラクチャーという感じがしますね。
ヤス そう、リストラクチャー。このままいくと現在の金融システムというのは内部崩壊する。内部崩壊する前にですね、特に大口の投資家たちが新しいシステムのほうにものすごい勢いで移ってくる可能性があります。
西塚 人工知能の話は興味がありますね。これから何の職業がなくなるかという話があって、全部は覚えてませんが、たとえばタクシー運転手がなくなると。自動運転にもなるし。いわゆる事務系はいっさいなくなる。ほとんどの職業がなくなっていくと言われますが、じゃあ何が残るかといったときに、たとえばツアーコンダクターとか、僕はそれも怪しいとは思いますが、顧客の要望に従って臨機応変に組んでいくというもの。
あとネイルアーティストとか、ネールを塗ること自体は機械でできるんだけども、好みを聞いて提示して、どうのこうのとニュアンスのやりとりをする。そういう職業は残るんだと。たとえば焼き鳥屋のオヤジとか、誰でもできそうだけども、僕なんかは酒飲みだから、ベルトコンベアー化したような焼き鳥屋だと、安くても味気ないとか、やっぱりあの店だよなってことになってくる。人工知能は、おいしいものもできるかもしれないけど、微妙なニュアンスは…わかりません、できるかもしれない。
文章なんかはさっきも言ったように、もう数年前から、スポーツ記事とか、ニュースリリースを見て書くような記事は、大手の場合は人工知能が書いてたりする。小説にしても、今まで地球上で出版された本のデータを全部ぶち込んで、この時代にこれが売れて、どこの国でどのくらい売れたか、全部データが入るわけだから、簡単にベストセラーも出せるかもしれない。
でも、たとえばヤスさんの本が読みたいとかですね、三島由紀夫が読みたいとか、人間個人に還元されるものは僕は残ると信じたいですが、どうなのかということなんですが…
ヤス 今、西塚さんが言ったことを端的に言えば、マスであるものはほとんど人工知能に置き換えられていく。残っていくものは何かというと、マスではどうしても手が届かない固有性だと思います。たとえば焼き鳥屋に関しても、その焼き鳥の味だけを食べにいくわけじゃなくて、そのオヤジ、雰囲気全体があるじゃないですか(笑)。
西塚 それがですね、専門家の話によるとそれもよくわからなくなってきて、焼き鳥屋はちょっとおいておきますが、たとえば“愛”ってあるじゃないですか。私は愛してると。人工知能が、今はディープラーニングですから、いろんな意味でストレートに応答するわけではなく、ときには「わからない」とか「知らない」とか言って、プイと横を向くということも含めた情報が全部インプットされる。
だからそういう反応をされた場合、これは気まぐれな人間の女なのか、コンピュータの計算なのかというのは、わからなくなってくるわけですね。そうすると本当に、自分が相対してるのが人間なのかコンピュータなのか、わからなくなってくるのではないか。
ちょっと話をずらすと、そういうロボットに対して親和性が高いというか、違和感を持たないのが日本人らしいんです。一神教、たとえばキリスト教文化圏の人たちは、最後は下の世話を含めてロボットに介護されたいかというと、イヤだという人のほうが多い。日本人の場合、昔からロボットは、たとえば鉄腕アトムのように、ロボットを人間と同じように扱うというマインドがあるじゃないですか? それでなくても八百万の神と言って、どんなものにも神が宿っているとする文化なので、わりとロボットに違和感がない。
実際、日本の年寄りに、人工知能に下の世話とか介護されのはイヤですかと聞くと、ほとんどイヤではないということらしいです。そういうアンケートがあるという。7割近かったかな、私は平気だと。海外ではガクンと下がる。
そうなると、もともと民族とか文化に根差したものと人工知能とのマッチと言いますか、それもけっこうでかい問題になってくるのかなという気がします。
ヤス それは人工知能というか、人工知能を組み入れたアンドロイド。そのアンドロイドで一番人間に近いものを出したのは、ハンソンロボティクスという会社ですね。あとでちょっと、僕のiPadにビデオが入ってるのでお見せしますけど。
西塚 それはダッチワイフじゃないですよね(笑)。
ヤス ダッチワイフじゃない。でも、ダッチワイフになれるものですね、あれ。そのハンソンロボティクスのソフィアというアンドロイドがいて、あまりにもリアルで、やっぱりディープラーニングができるので、普通の人間の会話とほとんど変わらないですね。それを紹介したCNBCの記事があるんです。あなたはロボットに恋をするかもしれないという記事なんですよ(笑)。
西塚 それをもっと突きつめると、われわれ人間はロボットなんじゃないかという話までいってしまうわけです。
ヤス まあ、そうね。そこまでいくと、ロボットと人間の違いなんて考えなくてもいいんじゃないかというところにいくわけです。われわれが見抜けないくらい、たとえば焼き鳥屋のオヤジがいてね、そのオヤジしか作れない焼き鳥を焼いて、煙がある場末の雰囲気も全部アンドロイドだということが見抜けないくらいリアルになったら、その時点で人間とアンドロイドの違いは何かと言えば、ほとんどなくなる。
西塚 なくなります。だから人間優位というところからすべて発してるんですね、おそらく。悩みであるとか。光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』という小説があって、萩尾望都が漫画化してますが、それに近いというか、仏陀やキリストやプラトンが出てくる話ですが、最終的にはどこかの実験室でのひとつの実験場だったというような、まあ完全にSFです。そういうことまで思い浮かべるような話だなと思いましたね、今回のAIの話は。
新潮流の根底にある“善意”
ヤス 話を戻すと、3つくらいの流れがひとつに合体して、大きな大河のような流れを作りはじめる。その大河の流れは、たとえばグローバルエリートが何かプランを持って動かそうとしてるとかね、そんなものは吹き飛ばすくらいの流れになってくる。どうも今年の3月の前半くらいの時期に、その新しい流れが主流になってくるという舵がもう切られたのではないかなという感じが、僕はしますね。
西塚 その舵というのは、自然にですか? それとも誰かが切ったとか。
ヤス 僕はロシアが極めて大きかったと思う。今回、情勢全体のスタビライザーとして、どの領域でも大きな役割を果たしたのはプーチンですね。どの領域でも不安定要因だったのは米英ですよ(笑)。それとトルコ、サウジアラビア。すべての領域の地政学的な火を消して歩いてるのがロシアで、全体のスタビライザーになって治めてしまったという形ですね。あれは大したもんだと思う。
西塚 ユーラシアと言うと違うかもしれませんが、ヨーロッパで言えばいろいろ覇権の歴史がありますね、スペインの無敵艦隊みたいなものも含めて。でも、金融システムは大英帝国に根差していて、それがもう滅ぶという感じなんでしょうか?
ヤス でしょうね。これからある意味で資本主義が限界を迎える。そのあと、第2第3の金融資本そのものの大きな崩壊が起こって、どのような社会になってくるかというと、僕が本に書いた超階級社会がくるといったような、けっこう真っ暗なシナリオが主流だったと思います。グローバルエリートみたいなものがいたとしてですけど、そういう存在は、社会主義的な超階級社会に誘導するようなさまざまな仕掛けを練っていた。実際、そういう方向に進んでいたと。
しかしながら、全部それが先に火を消されてしまって、それとは根本的に違った新しい流れが主流になりつつある、スイッチしてる段階にわれわれはきたのではないか。
西塚 そのときに、いわゆるビリー・マイヤー的なものに象徴される、今のところ一番まともというか、書籍も膨大でとてもすぐに読み切れるものではないですが、そこに著されている高次元の地球外生命の、僕は高邁な思想と言ってもいいと思いますが、それとの絡みで言うとどうなりますか?
要するに、地球上ではある種のマインドシフトなり、システム自体から、いわゆる国際金融資本、グローバル資本の中から自浄作用として何かができつつあるのかもしれないということと、地球人に対する警告も含めて、核の自滅も含めた情報をさんざん送ってきてる地球外生命というもの。その中のわりと信頼できるビリー・マイヤーの書籍に出てくる地球外生命と言われる存在との絡みで言うと、どんな感じなのか。
ヤス 地球外生命がいるかどうかはわからない。ただ、ビリー・マイヤーの本の中身は哲学的なレベルでものすごく高度で、賛同できるような内容ばかりですね。今の流れを見てて、大きな主流となるような、たとえばソーシャル・インパクトとか、人工知能であるとか、ある意味で建設的な流れを作ってるのは何なのか。やはり人なんですよね。
それがどういう人かと実際に見ると、たとえば金融工学者、新しい金融資本のモデルを構築してるような金融工学者はどういう人たちかというと、今までの金融工学者とはちょっと違った連中なんです。有名なのはジョン・ソーという人ですね。韓国系のアメリカ人ですが、かなり有名な人です。彼もそうだし、今までのね、リーマン型というか、サブプライムローンを組んだCDOとか、いわゆる不動産担保の証券化のMBSであるとか、ああいう金融商品を考えていたような金融工学者とは違ったグループです。
それは何かというとね、善意なんですよ(笑)。
西塚 善意?
ヤス うん。顔に書いてある。もう善人の塊りみたいな人が出てきたということですね(笑)。明らかに根本にある想念が違う。全然違う。彼らが悩んで、オレたちはとんでもないことに手を出してしまったと。本来やるべきことをやろうと(笑)。
西塚 ギャグっぽくなりますが、ローマ法王がきたときに号泣したベイナーのような(笑)。
いきなり良心の呵責にとらわれて、本来の善意が現われてきて、オレは何てことをしてしまったんだと。
ヤス そうそう、それで下院議長を辞めてしまったっていう。
西塚 あの流れですね。じゃあ、象徴的に言えば、ベイナーからはじまってる(笑)。
ヤス そうなんですよ。本当にね、顔を見ればわかる。善意そのもののような人たちが現われてきた。それでそういう連中がわれわれで作ろうぜと言って、システムを作りはじめてる。
西塚 それとは違う意味かもしれませんけど、たとえば安倍もですね、ある種トーンダウンしてきたのは、スティグリッツとかクルーグマンがやってきてアベノミクス自体を否定したときに、それは貴重な意見をいただいたと言ってトーンダウンして、消費税を上げないということも含めて、結局は外圧というか、外からそういう雰囲気になってきたから日本も萎縮してきたという。
ヤス おそらく安倍内閣のひとつの大きな特徴というのは、フレキシビリティーですね。
西塚 ああ、逆に。
ヤス 逆に。流れを読んでバンッとすぐ乗り換えて、乗り換えた上で自分のやりたいことをやるという感じの、フレキシビリティーだけはありますよ。それは民主党にはない。どうも見てるとね、われわれが負け込んできてると読んでますね。明らかに。流れとして。
西塚 むしろ今になって、民主党なんかより、別にネガティブキャンペーンとか褒め殺しではなくて、安倍さんくらいリーダーシップがなければダメだという話もあるようです(笑)。ものすごくリーダーシップがあると。確かに、あれだけのことを強行するわけですから。内閣法制局長官を替えるとか、安保法制も無理やりやるあの実行力。ものすごいリーダーシップがありますね、安倍さんは。方向が間違ってるだけで。そういう見方も確かにできるなと。
もちろんヒトラーになっちゃまずいんだけれども、鳩山さんにあれがあったらもっと違ってたかもしれない。タラレバだから言ってもしょうがないですが。
ヤス 個人の問題じゃない。あれはプロジェクトでやってるわけだから。ほとんどの高級官僚を配下に治めて、プロジェクト全体でやってるわけですね。
西塚 ああ、そうか。
ヤス だから安倍でなくてもあれくらいはやる。安倍に実行力があるように見せかけてるだけですよ。
西塚 ああ、そうなのか…
ヤス 個人の問題じゃない。安倍内閣というのは、アメリカの軍産複合体が作ったような内閣です。
西塚 でも、ちょっと教養とかあれば、官僚がそっちにもっていこうとしても、オレはそれはできないよと言えるじゃないですか。
ヤス それは鳩山さん(笑)。
西塚 じゃあ安倍はパーだからできたということか…
ヤス いや、そうじゃなくて、安倍がやりたいことが官僚がやりたいことだった。また官僚がやりたいことが安倍のやりたいことで、そこにほとんど差がないということです。
西塚 なるほど。結託したわけですね。
日本の官僚型頭脳の限界
ヤス 結託したんです。だから米軍産複合体と、いわゆる高級官僚で既得権益に絡んでるような人たちと、現在の自民党内部の極右というか、日本会議に代表される極右の層といったものが結託して作った内閣ですね。その中では利害の完璧な一致があるわけです。
そのような中で、安倍がたとえばこうやれ!と言って、ハイと何でやるかというと、当然同じ方向を向いてるからですよ。指導力があるように見えるってだけの話だと思いますね。
西塚 それが今ちょっと旗色悪くなってきた(笑)。
ヤス 旗色が悪い。高級官僚と安倍、それから軍産複合体、それとつるんだ経団連の一部と、この全体の既得権益グループそのものの旗色が悪くなってきたということです。全然違う流れのほうになってきてる。
アベノミクスは失敗する。失敗したあとに最終的に出てくるのは、フィンテックを中心とした社会的インパクトの投資であるとか、ああいった新しいシステムがどんどん、いろんなところから勝手に勃興してくる。そういうものに、場合によっては自分たちが押し流されていくという流れですね。もうすでにね。負け込んできたという感じだと思いますよ。
だから、小泉(純一郎)さんも指導力があるように見えた。見えたというだけです。
西塚 見えましたよね、確かに。
ヤス 安倍も指導力があるように見える。鳩山が指導力があるようには全然見えない。
西塚 見えなかった。
ヤス それは現代の日本の体制の中で、最大の既得権益者である高級官僚を敵に回してね、何かを実現するということ自体が不可能だということです。だから、それを個人の指導力として見誤ったらダメだと思いますよ、僕は。
西塚 なるほど。そういう何というか、中国ほどではないにしろ、日本にもでき上がった官僚システムといいますか、おそらく官僚ひとりひとりもですね、普通の人なんでしょう。東大法学部を出た人たちが自己の役割に徹した結果、そうなっていったということなのかもしれません。とんでもないヤツが野望を持って、ということではないんでしょうね、おそらく。
ヤス 野望というか、高級官僚と話すとわかりますけど、すさまじく傲慢な人が多いですよ(笑)。
西塚 何かで読みましたが、官僚の究極の目的は出世とか。
ヤス いや、そうですよ。どこにプライドを感じるかというと、自分たちこそが国家を運営しているのだというプライドと誇りですね。国民はバカなんだという徹底した認識があります。バカな国民をね、少なくともわれわれの力によって幸福にしてやってるんだと。国家運営のすべての責任を負っているのはわれわれだ。それが官僚組織である。そうした官僚組織の中で上に上がってくるということは、より国家のマネージメントの全権を委託する近いところまでいくわけですね。そういうような人たちの集まりです。だから普通の人というよりも、普通の傲慢な人ですね(笑)。
西塚 天下り先を確保するようなのがどんどん出世していくと言いますからね…
ヤス そう。日本の伝統的な官の思想というのがあって、官によってこそ日本の国家そのものが運営され維持される。われわれこそが日本の国家の操縦者であると。
西塚 そう言えば、大学生の娘が居酒屋で飲んでたら、隣で何人か、お別れ会みたいなことをこじんまりとやってたらしいんですね。そこに合流して飲んだと。そうしたら東大の連中で、仲間のひとりが留学するというので、ある種壮行会みたいなことをやってたんでしょう。そこで議論してる。
聞いてるとふた手に分かれてて、卒業したらこうしたい、自分の夢はこうだとか何とか、いろいろ青臭いことを言うヤツと、まあそれはいいんだと。理想もいいんだけども、それを作る側、操る側に回ろうじゃないかと言う側に分かれてる。後者は完全に官僚志望だったらしい(笑)。
だから同じ東大生でもふた手に分かれてて、片や夢を語り、もう一方は、オレたちはエリートだから、そういうヤツらに夢を与えるシステムを作るほうなんだから、そっちにいこうやと。そうしたら、こういう人たちが官僚になるのかと、娘は複雑な顔をしている。多くは語っていませんでしたが、何か21歳の心を痛めているようでした(笑)。だから、ある種の官僚のラインというのが延々とあるんでしょうね。
ヤス 本当に頭がいいヤツというのは、それが官僚の文化であるということに対して疑いを持ちます。だから、そんなには頭はよくない(笑)。話してみたらわかるけど、普通のヤツなんですよ。
西塚 まあエリートですね。
ヤス 日本の東大的なトップというのは、さほどすごくはないんだけども、何というか、やはりマニュアル的なトップですよ。マニュアルを与えられて、それに対応してきちんとした解答を出せと言われたら、きちんとした解答を出せる。それ以上のことはできないという人たちの集まりだと思いますね。
欧米の、まあハーバード大学とかスタンフォードとか、本格的なエリート校だとあまりそういうヤツは出てこない。システムを作る側に回ろうぜと言って回るのは、既存のシステム側じゃないですか。その既存のシステム側に回って、最終的に既存のシステムの中に取り込まれて終わるわけです。すると、取り込まれた上でね、システムを作るということはどういうことかというと、出世街道を歩むしかないわけです。
西塚 そう言えば、この間の週刊文春でいい記事がありました。東大とハーバードの違いについての記事なんですが、朝日新聞社の灘高から東大法学部入った記者が書いてるんです。これが面白かった。
ヤス どんな感じ?
西塚 東大とハーバードがいかに違うかということなんですが、ハーバードの学生はとにかくユニークで幅広い。試験というのは、もちろん学力テストもあるわけですが、極端に言うと決め手はエッセイなんですね。何百字かのエッセイで自己アピールする。しかも単なる自己アピールではなく、自分がハーバードに入学したらどれだけハーバードにメリットがあるのか、貢献できるのかという、ほとんどプレゼンなわけです。だから大学側も人間力を見る。東大のペーパーテストのようなものではわかりませんね。だいたい合格する判定基準というのがそもそもよくわからない。事前準備ができないわけです。それで合格率5%くらいの難関を突破してくる。
その朝日の記者の灘の後輩がふたりハーバードに入ってて、彼らに協力してもらって取材してる。彼らがまた優秀で、ひとりは東大にも入学してるんですが、数カ月でやめてハーバードにいく。東大のキャリアも一応とっておいたんでしょうが、要するにこういう人間もやはりいるんだなあと思ったわけです。高校からもうハーバードを目指してる。東大にいって官僚を目指してるヤツとはやはりちょっと違うんじゃないかと。
ヤス 違う。根本的に違う。何にもない0状態からシステム全体を作り上げるんですね。
西塚 まあ、その差のことを書いた興味深い記事でした。自分は朝日で万年ヒラ社員でどうのこうのと、自虐的なことも書いてるんですが、文章はうまいし、大したものだと思いましたね。最近、文春はスクープも飛ばしてるし、編集長は優秀ですね。週刊誌はああじゃなくてはいけない。
ヤス なるほど。まあ何というか、民と官のね、官を作った頭のよさというのは、あまり有効性がなくなってきてるんだと思います。
西塚 そうですね。既存のものをいかになぞって、それを完璧というか、洗練していくかというくらいの話ですね。今おっしゃったように、無から有というですね、システムを作るまでいけばすばらしいけども、少なくとも提示するとか、構築するところまでとても頭がいかない。
ヤス 0ベースから何かを作り上げられるかどうかってことです。発想力があるかどうかということだと思いますよ。
西塚 そのへん僕は、無から有を作る力はないと言われちゃたんですよ(笑)、ある人に。何かをつなげることはできるかもしれないけど…
ヤス いや、僕もないですよ、それは。
西塚 それは違うと思います。
ヤス あんまりないけどな(笑)。
西塚 ずっと僕がヤスさんをインタビューする形でやってきてますが、今度はいろいろな人も招いて、僕がインタビューするところを突っ込んでもらうとか、そういうこともあってもいいかなと思います。
ヤス ああ、いいですよ。僕から西塚さんにインタビューしてもいいですよ(笑)。
西塚 いえいえ、僕が答えるものは何もないですから(笑)。もう時間もきましたので、あとは個別の問題として次回以降、おうかがいしたいと思います。また来週よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
ヤス どうもどうも。
むちゃくちゃおもしろかった講談
筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。
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04-03 12:13また、UFOの調査報道のスペシャリスト、リンダ・モートン・ハウが衝撃的な証言をしている。すでに米政府関係者の間では地球外生物の存在を公に認める日程がすでに決まっているというのだ。次回のメルマガではこれも紹介する。https://t.co/MMpQ96F20O
04-03 10:10次回の有料メルマガの予告やはり、ベルギーの首都、ブリュッセルの同時テロには見えない背景があるようだ。つじつまが合わないことがあまりに多い。イスラエルとEU本部との見えざる対立がある。4月8日午前0時10分に配信する次回のメルマガではこれを詳しく書く。
04-03 10:08日時:4月30日、土曜日時間:1時半から4時前後まで料金:4000円場所:都内(おそらく東横線沿線)記載必要事項名前(ふりがな)住所 〒メールアドレス参加人数懇親会の参加の有無info@yasunoeigo.com
04-03 09:41「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
04-03 09:41
ご案内
やはり、ベルギーの首都、ブリュッセルの同時テロには見えない背景があるようだ。つじつまが合わないことがあまりに多い。イスラエルとEU本部との見えざる対立がある。4月8日午前0時10分に配信する次回のメルマガではこれを詳しく書く。
また、UFOの調査報道のスペシャリスト、リンダ・モートン・ハウが衝撃的な証言をしている。すでに米政府関係者の間では地球外生物の存在を公に認める日程がすでに決まっているというのだ。次回のメルマガではこれも紹介する。
「ヤスの勉強会」第25回のご案内
「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。
【主な内容】
・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
・日本では知られていないトランプの本当の正体
・新しい社会システムに合致した意識の形
・知られざるイスラエルとEUの対立
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:4月30日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
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04-02 19:33
04/01のツイートまとめ
ytaka2013
ブルッセルの同時テロに関しては実に不気味な情報がたくさん入っている。これは報道されているような事件ではない。詳しくは次回のメルマガに書く。https://t.co/MMpQ96F20O
04-01 09:19事実、3月29日、イスラエル情報相のイスラエル・カッツは全世界でイスラエル製品のボイコット運動を展開している「Boycott, Divestment and Sanctions(BSD)」のリーダーでテルアビブ在住のオマール・バルゴッティーの殺害を提案した。
04-01 09:19今回の同時テロはEU本部のあるブルッセルで起き、それもEU本部近くの地下鉄の駅で起こったが、これはイスラエルによる「入植地産」表示への警告の可能性があると噂されている。もしEUが「入植地産」の原産地表示を撤回しない場合、ブルッセルのテロが再び起こるのではないかとささやかれている。
04-01 09:19昨年の11月、EU本部はイスラエルが占領を続けるユダヤ人入植地で生産された品物に、イスラエル産ではなく「入植地産」とラベル表示する加盟国向け指針を適用している。これはEU内で「入植地産」製品の広範なボイコットを喚起しているため、イスラエルは非常に強く反発している。
04-01 09:18「多くのヨーロッパ人は、イスラエル産製品の「入植地産」の原産地表示とボイコットにこだわり、イスラエルを非難する方向を選んだ。そのようななか、ヨーロッパ大陸に住む人々の足下で過激なテロリストの細胞が行動を起こした」https://t.co/o2EJl4AM8t
04-01 09:17謎の多いブルッセルの同時テロだが、イスラルが関与していることを匂わす情報が出てきた。3月22日、イスラエル政府の科学技術宇宙相のオフィル・アクニス氏はフェースブックに次のように書いた。
04-01 09:17