酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第29回
ウエブボット最新版の配信
リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。
お申し込みアドレス
info@gomokusha.co.jp
五目舎
http://gomokusha.co.jp/
「ヤスの勉強会」第23回のご案内
「ヤスの勉強会」の第23回を開催します。世界経済がメルトダウンする可能性が出て来ています。それとともに、世界情勢がどんどん不透明になっています。今回はこれらの状況を徹底して解説します。
【主な内容】
・市場は本当にメルトダウンするのだろうか?
・ロシアと欧米の対立の背景、歴史的な怨念
・暗黒のヨーロッパなのか?GEABの報告書より
・日本の今後と未来
・これから生き延びるためにはどうしたらよいか?
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:2月27日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
名前(ふりがな)
住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com
次回の有料メルマガの予告
2月19日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、サウジアラビア北部のシリアに近い地域で実施されているこの地域では史上最大の軍事演習「ノーザン・サンダー」について取り上げる。いまトルコがシリア北部のアレッポのシリア政府軍とクルド人武装勢力を攻撃しているが、サウジアラビアは「ノーザン・サンダー」を利用してシリアに地上軍をいきなり派遣する可能性は100%否定できない状況だ。
新しい本
新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!
「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
世界の政治・経済はこれからこう動く
著者:高島 康司
amazonで注文

今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。
今回の記事
今回はいつもの対談の第29回である。興味深い内容だと思う。
記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。
音声ファイル
ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
https://twitter.com/ytaka2013/
船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!
船井幸雄.com
ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
むちゃくちゃうまい醤油!
筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。
金両醤油
酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第28回

西塚 みなさん、こんにちは。「酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting」の29回になります。今日は1月の17日ですね。昨日、ヤスさんの講演会もありました。
ヤス とりあえず、カンパイしましょう。
西塚 そうですね。今日もよろしくお願いします。カンパーイ!
ヤス カンパーイ!
西塚 とりあえず、いろいろあって、小刻みにお聞きすることになるかもしれませんが、ヤスさんはメルマガでも相当書かれてるんで、重複してくる話もあるかもしれませんが、まず北朝鮮ですね。あれも原爆じゃないかって話もありますが、あの意味もですね、ヤスさんのメルマガで…それだけでも1時間終わっちゃうぐらいの話になるんで…やめましょうか、それは。
ヤス いや、いいですよ。
西塚 いえ、やめます。株の下落もそうですが、ちょっと違ったところで…僕の個人的な興味からいくと、ヤスさんにご協力いただいている「五目通信」にも絡んできますが、ジョセフ・ティテルの毎年恒例の予言ですね。ヤスさんのメルマガでガーンともう100何項目、出されました。あれも僕はですね、ヤスさんは具体的じゃないとおっしゃってましたが、ああやって整理されるとかなり実は具体的じゃないかと思います。
ヤス 具体的ですね。整理するとね。
水瓶座の時代とは?
西塚 ものすごく具体的だと思うんですね。あのティテルの予言も、ちょっと気になったことがいくつかあるんですが、ほかの連中というか、ほかのブロガーの人たちも含めて共通するところがいくつかあると思います。ひとつは、ビリー・マイヤーもそうですが、水瓶座の時代ということを言ってます。ティテルは、前にも水瓶座の時代に関して何か言ってたのですか?
ヤス 毎回、言ってたかどうかはわからないけど、だいたいその方向であると…
西塚 ああ、言ってるわけですね。ということは、やっぱり星の運行に基づいている。いわゆる占星術的なものに基礎のひとつをおいてるんですね。
ヤス ジョセフ・ティテルは直感的な人間なので、自分で占星術を用いてどうのこうのではなくてね、ひとつのバイブレーションとか、ひとつの時代を主導する流れが変わったんだと。その流れが変わったということを、人によっては異次元に移動したとかいろんな言い方をするんですが、ティテルの場合は水瓶座に入った、水瓶座の時代なんだといったような象徴的な表現をしますね。
西塚 魚座から水瓶座に移行したというのは、たとえばジョン・ホーグあたりも言いますね。
ヤス ええ、ジョン・ホーグ非常に細かく言ってます。
西塚 いわゆる占星術を基本にした占い師とか予言者の間では、もう水瓶座の時代になってるというのは基本的には当たり前の話ですか?
ヤス 占星術師の間では共通の了解事項ですね。
西塚 それをジョセフ・ティテルが直感的に言っていると。だいたいジョセフ・ティテル自体、僕はヤスさんに紹介されて知ったぐらいで、おそらく読者のみなさんもほとんどがそうだと思うんだけれども、ああいう直感的な人が水瓶座の時代と言ったことに、僕は何となく引っかかったというか、注目したわけですね。改めて水瓶座の時代になったと言うこと自体が、まあ去年もそう言ったのかどうかはわかりませんけども…
ヤス 去年は言ってない、確か。
西塚 それは何なんだろうなと。
ヤス 水瓶座の時代だと、みんながさんざん言いはじめた時期があるんです。2012年以降ですよ。ジョン・ホーグの場合は2014年ぐらいになってからですね。
西塚 じゃあ、わりと最近の傾向ですね。
ヤス 最近です。ジョン・ホーグが言うには、2014年12月が非常に大きな転換点だと。このときに、たとえば金融資本主義を脱するための民衆側の努力が本格的に実らないと、世界は最悪の方向に進展するみたいなことを言ってたんですね。
西塚 (カール・ヨハン・)コルマンさんはどうですか。コルマンインデックスの。
ヤス 水瓶座という言い方はしてない。ただ、タイミング的にはだいたい一致している。
西塚 水瓶座の時代と言えば、フィフス・ディメンションというソウルコーラスグループがいて、「ヘアー」というミュージカルが日本でも…
ヤス 1969年ですね。
西塚 「輝く星座」という日本語のタイトルの歌で、日本でも売れるんですけども。
ヤス 「AQUARIUS」。
西塚 「アクエリアス」ですね。そのくらいの知識はありましたが、あの60年代には、水瓶座の時代に移行してるという認識はあったんでしょうか?
ヤス 水瓶座の時代への移行だということを公の場ではっきりと言いはじめたのは、彼が最初かどうかはわからないですが、ユングですよ。
西塚 え、ユングなんですか?
ユングが提起した反キリスト教
ヤス 1950年に本に書いてるんです。1950年にユングが書いた「アイオーン」という本があります。
西塚 先日もお話しに出ました。
ヤス 魚座の時代の終わりの本だったんです。魚座の時代から水瓶座の時代に移行するので、約2000年間続いた魚座の時代とは何であったのか。いわゆる魚座の象徴を分析することによって、人間の内部にある非常に深いメンタリティーを分析しようとした本です。
西塚 ユングからなんですね。
ヤス ユングが最初かどうかはわからない。わからないんだけど、ただ「アイオーン」で魚座の時代を分析することによって、水瓶座の時代をある意味で予告してはいるわけです。
魚座の時代に発生した宗教は一神教で、キリスト教であり、イスラム教である。その本の中でユングが強調したテーマはキリスト教の不完全性なんですね。ある意味で徹底したキリスト教批判の本です。われわれは、早いうちにこの魚座の時代のメンタリティーから抜け出ないとヤバいぞって感じの本なんです。
たとえば、キリスト教の中で使われている神の概念は絶対的な善だと。マイナス面をすべて排除している。排除されたマイナス面は存在しないことになるので、それは無意識へととことん抑圧される。人間というのは、当然プラスマイナスの両方があって存在している。そのバランスが問題なんだとユングは言うわけです。
そのバランスを崩壊させる宗教がキリスト教なんだと。絶対善ばかりを強調して、マイナス面を抑圧するがためにね、マイナス面がどんどん極大化してしまう。そのうちお前らは恐ろしい津波のようなマイマスに襲われるぞと。そう言ってキリスト教を批判した。
私がこの世に生まれてきた理由は、ネガティブなマイナスをキリスト教に持ち込むためだと。それが私の使命なのだという本なんです。このネガティビティーを認識して、いかにバランスのよい人格を作り上げるのか。それがいわゆる自己元型というか、本来のモデルとなる人格である。
ユングは仏教を非常に高く評価している。その理由は、マイナス面をうまく取り込んでいるからだと。すべてのマイナス面に意味がある。ただ、マイナス面が暴走しないように、全体的な人格でコントロールして統合するのが一番重要なのだと。マイナス面を取り込んだ一番いいバランスの象徴が、実は曼荼羅なのだという本なんですね。
西塚 曼荼羅と言うと…
ヤス チベット仏教にあるような曼荼羅ですよ。
西塚 ああ、金剛界曼荼羅とか胎蔵界にこだわらず、いわゆる曼荼羅ってことですね。
ヤス いわゆる曼荼羅。マイナス面を取り込んだうえで、マイナス面がコントロール可能になるような一番バランスのよい人格。その象徴が曼荼羅なんだということを言った。キリスト教は不完全な宗教であると。逆にものすごいマイナス面を生むということで、ある意味キリスト教を批判した。
西塚 曼荼羅はバランスを取ったひとつの象徴としてあるってことですね。たとえばキリスト教的ないわゆるアイコン、イコン的なものとは違う。
ヤス 全然違う。たとえばキリストのイコンは、人類の罪を背負って死んだキリストです。人間に原罪として、罪の思いをトラウマとして刻みつける象徴なんだと。
西塚 ビザンチン系の東ローマ帝国時代のイコンとかを見るといろいろありますが、共通している中のひとつで言うと、ヘンな怪物をですね、上からこう突き刺して押さえつけてるというイコンが多いんですね。あれはある種のバランスだろうと思ってたんです。下から湧き上がってくるというか、抑圧されたものが悪魔的に盛り上がってくるのを押さえつけるという、僕はそのバランスをイコン化したのかなと思ってましたが、ちょっと違うのかな。
ヤス 場合によっては違いますね。キリスト教が強調しているようなマイナスは、とことん自分から削除せねばならない、排除せねばならない、抑圧せねばならない。だからやっぱり抑圧の象徴でしょうね。
西塚 やっぱり抑圧なのか。それがインドネシアあたりまでくるとまた形を変えて、悪魔的なものと、あとオッパイを出したですね(笑)、裸の女性とセットになったりもするんだけども。その対比というか、両方を一緒に象徴的に表わしてるものが多いですね。
ヤス そうですね。だからマイナス面をいかに取り込むか。取り込まない限り、マイナス面の破壊的な作用をコントロールすることができない。マイナスを認めたうえで、それを取り込んで、それを統合できるようなバランスというものを保たなくちゃダメだという。
西塚 そう考えるといわゆる胎蔵界とか金剛界の曼荼羅を見ても、本当に整然としていて、知的なものを感じますね。
ヤス 知的なものですよ。だからそういう意味で言えば、ユングは予言的な本をたくさん書いている。ユングが強調しているのは、このマイナス面をキリスト教はコントロールできないんだと。なぜかというと排除してるから。ただただ抑圧の対象になっている。そうやってマイナス面を抑圧していると、津波のようなマイナスエネルギーとして襲われるぞということですね。それは第一次、第二次世界大戦でキミらが経験したことだろうというわけです。
西塚 前のお話でもユングは大事だという話になりました。水瓶座だ何だというのも、ユングからはじまったかはともかく、歴史に残るような著名な作家なり文化人なり思想家で言うと、どうやらユングが最初らしい。少なくともユングの時代にはすでに言われていた。
ヤス 「アイオーン」は1950年ですよ。戦後5年しか経っていない。やっぱりユングはユングなりに考えて、第二次世界大戦の破壊を招いたのは人間の集合無意識なのではないか。人間の本来の破壊性というものが、まったくコントロールできない形で爆発したのが第二次世界大戦であると。
次の時代に移行するためには、この破壊性をいかにコントロールするかということがポイントになる。そのためには、まず自分自身の内部にマイナスの破壊性があることを認識せねばならない。でも今のキリスト教では全部排除してしまって、抑圧する対象でしかないので認識できないんです。
最終的には、今言ったことの繰り返しですけど、抑圧されたマイナス面は津波として襲ってくる。これを何とかしなきゃダメだというのが、ユングの問題意識だったと思いますよ。
西塚 ある種の予言と言えば予言ですね。
ヤス 予言です。本当にそうです。たとえばヨーロッパはまだいいとして、アメリカはそれをコントロールできてるのか、まったくできてないでしょう。キリスト教原理主義の文化ですよね。むしろ自分のマイナス面に対する抑圧をどんどん強めてるような文化です。
僕は津波のようなマイナスがアメリカを襲うと思います。ただ、しょうがないんですよ。自分で引き寄せて自分でもたらしたものなので。そこで初めて気づく。あの国はマイナスの津波に洗われて、一回崩壊しないとわからない。崩壊してもわからないかもしれないけど(笑)。
西塚 たとえば、対談でも何回も出てくるビリー・マイヤーも、水瓶座の時代に移ってる云々と言ってますね。あれはクウェッツァルだったかプターだったか忘れましたが、そういうことを言ってるわけです。水瓶座の時代とはこういうものだと。ユングが言ったようなことを、おそらく1975年前でしたね、50年代に言っている。
だから、そういうある大前提があるような気がするわけです。星なのか、何かの計り知れないエネルギーのサイクルなのかわからないんですが、そういうものがあって、ユングはユングなりにそれを捉えて語る。ビリー・マイヤーとコンタクトしているという地球外知的生命もそんなことを言うし、それから60年代70年代になってきても、まあ占星術師たちなんかもそういうことを言い出す。だから何かがあるんだろうと思うわけですね。
ヤス エネルギーとかバイブレーションのチェンジはある。明らかにね。バイブレーションが変わる時期ってあるんですよ。それはいろんな人がいろんな感性で感じとるし、非常に知的に分析する人もいます。最終的にそれは科学の対象になると思いますね。最終的には解明されていくと思う。
ある一時期に、特定の時期からサイクルとかバイブレーションが変わったのは事実だろうと思います。その変化をある意味で象徴的に水瓶座の時代というふうに呼んでるってことだと思いますよ。
西塚 まだわからないにしてもですね、大きなサイクルが明らかにあって、そういうサイクルに入ったと。要するに古いサイクルのある一部から抜け出て新しいサイクルのところに入っていくというのは、アセンションなんていうのもみんなそういうところから出てくる話だと思いますが、そういうものを知らせるというか、わからせるというのは、これは直感なんでしょうか?
それとも誰かの、たとえばビリー・マイヤー的な話で言えば、地球外知的生命がいわゆるインパスル・テレパシーという形で悟らせるものなのか。本当に実際にコンタクトして、詳しいことを言葉を通じて知らせるということは、ビリー・マイヤーの本を読む限り、地球にはそんなにいないじゃないですか。
ヤス いない。20名ぐらいですね。
「直感」を信じてはならない!?
西塚 ヘタれば、あそこまでのコンタクトはビリー・マイヤーひとりかもしれないという感じですね。でもまあ、いろんなお告げがあるという人はいっぱいいるんですが、それはおいといたとしてもですね、やっぱりそこには何かしら意味があって、それに早く気がついて、その流れに則った判断と決断と行動をしなさいってことですね。
ヤス ひとつのインスピレーションを与えるというのは、そういうことだと思います。
西塚 と言うことは、われわれは大きな流れを自覚して、それに則って進むべきなんでしょうか?
ヤス 進むべきだと思います。ただ、進むべきなんだけど、自分の直感を信じちゃいけない。直感というのは、ある程度論理的な思考というフィルターを通さないと、ごっちゃでグチャグチャなんですね。僕は直感は信じないですよ。
直感は、とことん研ぎ澄まされた理性によって一回ふるいにかけられなければダメだと思います。たとえば水瓶座の時代であるとか、流れが変化したとか、それを自分が直感したならば、直感の源泉が何であるかということをとことん思考するべきだと思います。とことん思考して自分なりの結論を持つべきです。
西塚 それに関して言うと、たとえばゼランドなんかは、一番信用できないのは理性だって言い方をするんですね。
ヤス それはそうですよ。
西塚 だからヤスさんのおっしゃる直感と、ゼランドの場合は魂と言いますが、魂からくるもの。判断の一番簡単な基準は魂の快か不快かだと言うわけです。自分がこういうことをやろうと決めたときに、やったことを結果として思い描いてみて、それが快か不快か。そこに答えがあるというような言い方をする。
逆に、どう考えてもこれはこうやったほうがいいに決まってると。理性で理屈をいろいろ並べてですね、こうするべきだと思っても、ものすごく魂が不快な場合がある。そこに敏感になるべきであって、そうしないといわゆる理性の理屈に従って全然違う方向にいっちゃうことがある。
ヤス それはよくわかる。
西塚 そういった意味で、今ヤスさんがおっしゃったように、直感はとことん疑うべきだし、信じてはいけない。むしろ徹底的に考えて、検証するべきだということは、けっこう危うい部分もありますね。
ヤス 危ういと思います。快か不快かにやっぱり従うべきだと僕は思います。ただ重要なのは、それが純粋な快か不快かじゃなきゃいけないんです。
西塚 そこなんですね。
ヤス 本当に自分の深い直感、魂からやってきた快・不快であればいいんですよ。たいていはそうじゃない。好き嫌いなんですよ。
西塚 ここはですね、かなり核心だと思うんですね。だからおうかがいしたいんですが、ではどうやって、いわゆる直感でもいいです、あるいは魂の快か不快かでもいいですが、それをどう見極めるか。その方法論なり何なり、では、どうするんだというところに入ってくる。ヤスさんはどうお考えでしょうか?
ヤス そのゼランドの言う快か不快かというのは、普通、感情をいっさいともなわない。。判断としてやってきますね。これはやめろとかね。こっちのほうがいいとか。
西塚 そうです。知ってるに近い。
ヤス 知ってるに近い。それが本来の直感だと思います。ちょっとでも「イヤぁ~ッ」とかね、「キラい!」という感情的な質感をともなったら、それは全部ウソです。それは直感でもなんでもない。それを判断するのが思考だということです。自分を客観的に見ないと判断できない。ああ、私は直感みたいなものを信じようとしてるけど、好き・嫌いの感情的なノイズが関わっていると。ならば私はこれを無視する、という判断は直感じゃなくて思考なんですよ。
西塚 そういうノイズがない本来の、一応魂と言っておきましょう、本来の根源的な魂からくる判断というものを養うと言いますか、そういうものを自分に呼び起こすためにはどうすればいいのか。ヤスさんはどう思われますか?
ヤス たとえば、仏教の修行というのは十分効果をあげると思いますよ。禅の座禅でもそうだし、日蓮系統の題目というのもそうだろうし。
西塚 いわゆるマントラですね。声明というか。
ヤス そうですね。声明もそうだし、トレーニング方法はさまざまあると思います。ただ重要なのは、こいつは私の先生だと、先生を妄信しないことですね。そういうのはだいたいまやかしです。
西塚 今の修行の話に戻ると、いろんなチャンティングというか声明をあげるとか、あるいは瞑想とかありますね。ヤスさんとも話しましたが、ビリー・マイヤーにも「瞑想入門」という分厚い本があって、僕は読んでないんですけども、あれは効果的なものですか?
ヤス 効果的だと思いますね。あの瞑想は自分との客観的な距離感がとれるんです。まず、自分の感情との距離感がとれる。そうするとね、純粋な思考を自分の中に招き入れる余地ができるんですね。
西塚 それは、場合によっては逆になりませんか? たとえばある修行をして、瞑想でもいいし、滝に打たれるでもいいんですけど、ある精神状態になる、無になるということもあるんだろうけれども、言い方を替えると、思考が入る余地をなくす境地になる。
ヤス それは間違った方向だと思います。
西塚 間違っている。
自分の感情を「思考」で精査する
ヤス 「瞑想入門」が保証するものは、自分に対する恐ろしく冷厳な客観性だと思います。自分の心の動きを距離感を持って観る。非常に客観的にね。それで自分がどういう感情を持っているかという感情の動きが客観的にわかる。それがわかると、感情に左右されない直感とは何か、というのがわかるわけです。
西塚 そうすると、それはある程度そういう修行なり何なりを体験しないとわからない、という話になってきますね。
ヤス わからないんだけども、それが思考を積極的に導入すべき余地だということですね。まず第一に、自分の感情に対してとことん客観的になる。感情ほど信用できないものはない。第二に、客観的になったら、自分が直感と信じているものが感情からきてるのか、そうじゃない部分からきてるのかを判断する。第三に、判断するための基盤になるのは思考です。冷厳な思考です。
西塚 その場合、ヤスさんの言う思考というものはどういうものになりますか?
ヤス 論理性ですね。
西塚 言葉を使ったものですか?
ヤス なるべく言葉を使ったほうがいい。なるべく言葉を使って論理的に表わしたほうが絶対いいですね。そうすると、その思考によってこれはやっぱり感情なんだな、これは直感で大丈夫なんだなって判断ができるようにはなると思いますよ。
西塚 そのへんをもっとわかりやすく言うことはできるでしょうか。たとえば、論理と言いながら、ただの屁理屈だったりする場合もあるじゃないですか。僕のことですけど(笑)。
ヤス 自分の理性を妄信してもダメなんですよ。自分がいかに論理的であるかということを妄信してもダメですね。はっきり言って、信じちゃダメですね、何でも。あらゆるものに対してニュートラルな、中道的な態度をとる。距離感を持たないとダメですね。
西塚 信じようとすることはすでにダメですね。同時に疑念が生まれる。本当に、知ってる、に近い感覚ですね。だからその境地にいくことはかなり難しい。ほとんど修行に近いんですよ。合気もそうですが、ある感覚とかある境地にいくためのただの修行なんですね。
それはいわゆる常識にはない感覚なんですけど、じゃあ合気をやるしかないのかって話になっちゃう。そうではない形が何かあるかと言った場合に、ビリー・マイヤーだったら瞑想もそのひとつだろうし、草むしりなのかもしれない。そういうひとつのノウハウというか、ハウツーになっちゃうとまたいけないわけですが…
ヤス 身につけたほうがいいと思う。何かね、自分で。まず、一番スピリチュアル系でヤバいのは、直感に対する妄信ですね。直感は、今言ったように感情というノイズとごっちゃになってる場合がほとんどなんです。
西塚 ということは、これをやればこうなるというよりも、極端な言い方をすれば、まずこれはやるなよ、といったことのほうをあげつらっていったほうがまだ早い(笑)。
ヤス そうです。自分の感情をまず信じるなと。ほとんどノイズだと。それで自分の感情を直感と思い込むな。
西塚 あと、字にこだわっちゃいけませんが、直感の感は感情の感なんですね。観察の観だと哲学的な意味になって、たとえば何かものを読んだりしたときに、もともとアプリオリに備わってる能力によって理解できるというようなこと、それが観察の観の直観なんだと思います。でも感情の感の直感は、本当にパッと理屈じゃないところでわかってしまう。だから直感と言う場合、僕はそっちのほうかなと思っています。
ヤス そうです。理屈じゃなくわかるんですよ。“わかる”であって、それは感情をともわないんですよ、本当に。ものすごく冷厳な判断です。
西塚 本来の直感と感情的なもの、好き嫌いなのかをまず見極める。
ヤス まず見極める。自分に直感的なものが湧いたとしたら、どこまでどの部分が感情で、どの部分が本来の純粋な直感なのかを自分が判断せねばならない。それを判断するのが思考です。
西塚 その判断が正しいかどうかの前に、まず直感か感情かを判断する。
ヤス そうそう。感情的なものはたいていノイズです。
西塚 判断するときには思考が働くわけで、そういう意味で思考とおっしゃったのですか?
ヤス その意味で思考と言ってますね。
西塚 なるほど。
ヤス 判断する場合の思考は感情をともわないので、本来はね。だからその思考をベースにして判断の基準にするってことですね。
西塚 それだけでもかなり、パッと何か行動を起こすときのリスクは減るような気がしますね。
ヤス そうですよ。やっぱり感情というのは自分を欺きますから、本当にね。ノイズにもかかわらず、自分の直感で正しい方向だって思い込んじゃうんですね。どんなものでもそうです。イヤな感情でもいいし、ワクワクでもいいし、あらゆる感情はマイナスです。ワクワクした感情で地獄の中に入っていく人もいますから。
西塚 そこで思考が働けば、ワクワクしてるということも、単純にこの前と似たようなシチュエーションだから、同じような感覚が蘇ってきて同じような気持ちになってるだけかもしれないと判断できる。でも、ちょっと考えたらとんでもないと。実は。
ヤス オレというのは、やっぱりこのようなシチュエーションに対してえらくアトラクトされるタイプだと。惹きつけられるようなタイプの人間だよね、とか。
西塚 そこで思考が大事になるんだと。けっこうわかりやすい話ですね。
ヤス いろんなスピリチュアリストの先生がいますが、だいたい自分の直感を妄信してる人が多い。
西塚 基本的に指導者と言われるような立場の方たちでも、やっぱりありますか?
ヤス でも、というか、指導者になればなるほど直感を妄信しますね。
西塚 そうですか(笑)、もっと冷静なのではなくて。
ヤス 全然。思考なんてゼロですよ。ヤバいです。
西塚 そうなのか。そうなると昔の70年代とか80年代初期の議論じゃないけども、声がでかいヤツが勝つみたいな感じで、もう信じ込んじゃってどんどん間違って、たとえ魔物が取りついていても言い切ったヤツの勝ちになる。
ヤス それだけやっぱり意識の識域が低いんですね。自分の感情に対しても100%オープンになってしまってるという人です。まあ、100%感情に対してオープンになってしまっている人でもね、正しい直感はいろいろ入ってきます。ただ、感情的なノイズとごっちゃになって入ってきます。
西塚 僕もわりと100%近くオープンになっちゃうけども(笑)、僕の場合は他愛のないものかもしれませんが、それがある方向、たとえばスピリチュアル的なものだったら話が違ってきますね。
ヤス やっぱりまずいんですよ、それはね。スピリチュアル的に自分の直感とか何とかって妄信してるとヤバいです、絶対。一番妄信してはならないものですね。そういう直感が湧くような人は僕のまわりにもたくさんいるけども、スピリチュアル的な意味での先生とかもたくさんいるけどね、彼らのほとんどはもう妄信してる状態です。
西塚 それに対してヤスさんの立場としてはどうですか? そういう人なんだなというくらいですか?
ヤス そうですね。僕の場合はちょっと距離感を保って、彼ら彼女らの妄信してる直感のどの部分が正しくて、どの部分が信用できないかを判断しようとします。少なくともね。ああ、この部分は確かに面白いな、この部分はノイズだというようにね。
そういう判断ができたら、やはりいろいろと質問をしたり、対話を積み重ねて、正しい部分の情報を自分で引き出すように努力しますね。そういう方向を僕はとります。僕の方向が正しいかどうかの保証はないけれども。
西塚 それは、そういうことを言う人物でも、あるいは書籍でも、全部同じ態度でのぞむということですね。
ヤス そうです。
西塚 ヤスさんは2007年ぐらいから、ずっと予言のことについても書いてらっしゃったけど、予言に対してもそういう態度ですか?
ヤス 全部そういう態度ですね。
西塚 予言として言われたことを自己実現的に、自己現実化していくということについては、また別でつなげていきたいと思います。
ヤス 直感と感情と思考のバランスが絶対に必要です。だから、何が自分にとって理想的なバランシングポイントなのか、ということをつかまなくてはダメだということですね。
「クール・ジャパン」はあと2年!?
ヤス 僕は現在の日本人に対して、日本文化じゃないですよ、日本人に対しては相当ネガティブです。これまで対談でも言い続けてきたようにね。日本は復活のチャンスを自らぶっ潰してるんですね。
なぜ、日本がiPhoneを作らなかったのか。テクノロジー的にはアップルを凌ぐテクノロジーを持ってる会社はたくさんある。なぜ、作れなかったのか。ヒット商品はみんなアメリカ発じゃないですか。なぜ、日本ができないのか。非常に簡単なんですね。
何かヒット商品めいたものを作ると、わあっ!日本はすごいっ!という意識が強すぎるんです。ヒット商品を作るための大前提がある。多様性に対する感性、多様性に対する寛容性ですね。全然違った価値観、全然違った物事の見方をできるような、多様な人間をいかに引き込めるかによるんです。
アメリカのあなどれない優秀さはどこからくるかというと、多民族国家であるということ。インド人の優秀なヤツ、日本人の優秀なヤツ、南アフリカ人の優秀なヤツ、ロシア人の優秀なヤツと、もう本当に多様な価値観を持ってるヤツをかき集めてくるわけです。そのような多様的なプールの中でこそですね、いろんなアイディア、画期的なものが生まれてくるんですよ。
ただ、ここもポイントで、多様性のバランスがある。多様性はカオスなので、どこまでがカオスで、どこまでが秩序なのか、その線の引き方があるんです。スティーブ・ジョブスみたいな連中は、ものすごくその感性が研ぎ澄まされていて、カオスと秩序との絶妙なバランス感覚があります。ビル・ゲイツもそうなんだけど。
日本の場合どうかというと、ちょっとでも何か成功すれば、日本はすごいっ!となって、多様性を全部排除して籠っちゃうんですね。そうすると、将来に成功する種を全部自分で排除することになる。それで最終的にはジリ貧に陥っていくというサイクルですね。
だから、たとえば日本の現在のアニメとかね、クールジャパンとか言ってますでしょ? あれなんて、おそらく2年持たないでしょう。やっぱりクールコリアになってくると思うし、もうすでにクールコリアです。クールタイランドかもしれないし、ほかのところに全部取られていきますよね。
西塚 いきなり時事問題になりますが、台湾と言えば、民進党ですね。いわゆるひとつの中国とか言って共産党と仲よくやってきた国民党を引っくり返した。台湾なんて独立しちゃえばいいと個人的には思いますが、あのパワーと言いますか、僕は知らなかったのですが、対中国との貿易でもものすごく上にいるんですね、香港とかと並んで。あんなに上にいるとは思わなかった。
ヤス そうですよ。だから中国依存ですね、完璧に。ものすごく依存が高い。今、台湾でも香港でもそうなんだけど、問題は何かというと、経済的には中国依存でしか生き残れない。生き残れないんだけども、それは自分の文化的なアイデンティティーとしては拒否したい。だから中国に依存せざるを得ないんだけども、中国に依存した状態で、どうやって自分の文化的なアイデンティティーを確保するかという問題です。中国のほうとしては、もっと長い期間をおいて構えてますので。どっちにしろ吸収すると(笑)。
西塚 そうでしょうね(笑)。強かですからね。向こうのほうがはるかに上。
ヤス だから、たとえば台湾に関して言うと、彼らの民族的なアイデンティティーに対するこだわりですね。中国のほうはゆったりした時間を持って、戦略として経済的に中国に依存させる。台湾経済が中国に依存せざるを得なくなるように包含する。あとは時間をかける。だから最終的に何が問題になってくるかというと、台湾の人たちが自分たちの民族的なアイデンティティーを、まあしょうがないよって言っていつ放棄するかですね。
西塚 ああ、やっぱりそこなんですか…
ヤス そこだと思いますね。放棄したうえで、中国に吸収されて、中国の内部である意味自治区的なもの、今の香港に近いような状態で自分たちの民族的なアイデンティティーを文化的に保っていく。おそらく中国はそれを許容すると思う。ああ、どうぞと。一国二制度でいいっていう国ですからね。それで自分の中に香港型で吸収する。
ちょっと語弊のある言い方かもしれないけども、今回は国民党のほうが現実的だと思います。われわれはやっぱり中国に依存せざるを得ないと。依存せざるを得ないということを前提に、何とかしようと考えるわけですね。今の民進党は、まだ独立できるんだと思っている。僕は幻想だと思います。台湾は独立国家としてやれないことはないんだけども、今の状態から見たら、中国から引き離されたら無理ですよ。そういうふうに僕は思います。
西塚 そうですか。まあ、考えてみれば歴史的に振り返っても、あそこの領土といい、大した年数が経っているわけでもなく、あそこにこだわる必要はないかもしれませんね。民族的にも。
ヤス もともと台湾は、地域として国家意識があって、民族的に独立したという意識はあまりないでしょう。国民党政権が中国共産党に追われて逃げてきた。それからでき上がってくるわけですね。蒋介石以降ですね。自分たちこそが正当な中国であるというのは。
「エコノミスト」の表紙だけを見て判断する愚
西塚 あと、ヤスさんのメルマガでは取り上げてらっしゃらなかったですが、ちまたでは話題になっている例の「エコノミスト」の表紙。あれはあえて無視されたというか、あまり興味を引かれませんでしたか?
ヤス いえいえ、おもしろいですよ。ただね、みんなが見てるのは表紙だけなんですね。記事を読んでないんですよ。記事を読んだら、なぜあのような表紙を使ったかというのがわかります。表紙に載ってるひとりひとりは何かというと、エコノミストの記事の内容を象徴しているんですね。
西塚 なるほど。昔からよく陰謀論系のブログで取り上げられていて、ある種陰謀論の格好の材料だったじゃないですか。僕はちょっとついていけなかったので、よくは知らないのですが、今回もまた出てきた。中には多少の真実が含まれてるのかもしれませんが…
ヤス 表紙だけを見て判断するんですよ。たとえば、エコノミストの2015年版の記事を見ると、やっぱり表紙にある象徴のひとつひとつに記事が対応してるのね。実に合理的なんです。
西塚 普通、雑誌の表紙というのはそういう機能があります。
ヤス そうです。要するにデザイナーが記事の内容を読んで、ひとつひとつが記事の内容を一番象徴するようなイラストを考えて載せたってだけですね(笑)。
西塚 今日は時間もないのでそのテーマにいけませんが、雑誌の機能としてもそうですね。それをいろいろとこじつけておもしろがる。それはそれでエンターテインメントとしてはいいんでしょうが、でも本気にしてる人もいるんじゃないかな。
ヤス 表紙だけを見てるから。内容を読めと。実に合理的です。たとえば、2015年版ですけど、東の顔と西の顔が敵対するような感じの地球儀があったんですね。これは、現在の欧米とロシアとの対立を象徴している。そのすぐ下にですね、核爆弾の象徴があるわけですよ。それなんか記事を読むと実に単純ですね。
何を言ってるかというと、欧米とロシアとの敵対関係って修復できないとこまできてるよねと。このまま敵対関係がどんどん進んだ場合、次の紛争とか戦争の危機が高まると。核戦争になることはないとは思うけども、その可能性も否定できないよねって感じの記事なんですよ。
それはそうだろうって話でね(笑)。だから、記事の内容を読まないで議論しても意味がない。陰謀論という自分の思い込みの世界に入るので。
西塚 そういう意味では、色眼鏡をつけて見れば、いろんな表紙のデザインもいろいろ理屈をつけられますね。ストーリーを作れるし。
ヤス そうです。だからひとつひとつの記事の内容をシンボル化して、一堂に集めるとあんな表紙になる。だからやっぱりね、ちょっと深読みしすぎ。
西塚 それは、あえて言ったほうがいいですね。毎年、恒例のようになってるし、どうのこうの言う人も多い。
ヤス たとえば今回、ヒラリー・クリントンがカラーで出てるじゃないですか。僕は2016年版をまだ読んでないんですね。ただ想像するに、ヒラリー・クリントンがカラーで出てきてるってことは、おそらくですね、アメリカの大統領選挙に関する記事なんですよ。2016年予測だから。これはヒラリーだよねっていう記事だと思います。それであれが出てきた。メルケルもカラーで出てきてる。今、ドイツでは問題がいろいろあって、これからドイツはどうするのかっていう特集記事なんですよ、きっと(笑)。
西塚 なるほど(笑)、笑ってはいけませんが、言葉は悪いかもしれないけど、この程度のことはヤスさんのメルマガに書く必要はないですね。読者もそんなことはおいといて、もっとおもしろいというか、有益なものを書いてくれ、それはどうでもいいよわれわれは、と思ってるかもしれないので、この対談くらいでいいかもしれませんが、一度きちんとやりたいですね。
ヤス ただね、ここで問題なのは、何らかのエリートからのメッセージがいっさい含まれていないかと言えば、そうではない。ひとつのやり方としては、記事に対応する象徴を全部抜くんですよ。これはこの記事に対応してる、これはこの記事というふうに。対応してないものが残るのね(笑)。
西塚 イラスト全部が対応してると思うけど、排除していくとちょっとこれはヘンだぞと。
ヤス これとこれと、三つぐらいヘンだと。まったく対応してるものがない。
西塚 そっちのほうがおもしろい話だな。
ヤス そのようなインテリジェンスが必要です。エコノミストそのものはロスチャイルド家が運営しているような経済誌なので、やっぱり彼らの持ってる計画というか、願望というかね、そういうものが象徴化して出てる可能性はあります。
西塚 僕の知る限りは、ヤスさんはそれに関してお書きになったことがないと思いますが、あまり関心もなかったのかもしれないけれども、そっちのほうがはるかにおもしろそうですね。
ヤス 書いてないですね。やっぱり思考でふるいにかけなくちゃダメですね。表紙だけ見て、これは陰謀だって言っても全然ダメです。やっぱりそれなりのインテリジェンスというか、それなりの思考的な…記事読めとまず(笑)。
西塚 本当ですね。非常に興味深いお話でした。時間がきましたので、とりあえず終わりたいと思います。今日はありがとうございました。
ヤス ありがとうございます。どうもどうも。
むちゃくちゃおもしろかった講談
筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。
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02/13のツイートまとめ
ytaka2013
「ヤスの勉強会」第23回のご案内世界経済がメルトダウンする可能性が出て来ています。日時:2月27日、土曜日時間:1時半から4時前後まで料金:4000円場所:都内名前住所メールアドレス参加人数懇親会の参加の有無info@yasunoeigo.com
02-13 01:01
酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第28回
ウエブボット最新版の配信
リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。
お申し込みアドレス
info@gomokusha.co.jp
五目舎
http://gomokusha.co.jp/
「ヤスの勉強会」第23回のご案内
「ヤスの勉強会」の第23回を開催します。世界経済がメルトダウンする可能性が出て来ています。それとともに、世界情勢がどんどん不透明になっています。今回はこれらの状況を徹底して解説します。
【主な内容】
・市場は本当にメルトダウンするのだろうか?
・ロシアと欧米の対立の背景、歴史的な怨念
・暗黒のヨーロッパなのか?GEABの報告書より
・日本の今後と未来
・これから生き延びるためにはどうしたらよいか?
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:2月27日、土曜日
時間:1時半から4時前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)
いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
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住所 〒
メールアドレス
参加人数
懇親会の参加の有無
info@yasunoeigo.com
次回の有料メルマガの予告
2月5日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、原油価格の暴落の背景にある真実を詳しく解説する。もしかしたら近い将来、原油が予想を超えて高騰する可能性もある。日本で報道されていることは現実のほんの一部に過ぎないようだ。
新しい本
新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!
「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
世界の政治・経済はこれからこう動く
著者:高島 康司
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今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。
今回の記事
今回はいつもの対談の第28回である。興味深い内容だと思う。
記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。
音声ファイル
ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
https://twitter.com/ytaka2013/
船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!
船井幸雄.com
ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
むちゃくちゃうまい醤油!
筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。
金両醤油
酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第28回

西塚 みなさん、こんにちは。『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の28回です。今日は1月の3日ですね。2016年の最初のミーティングになりますけども、今日もヤスさんにおいでいただきました。ヤスさん、今年もよろしくお願いします。カンパーイ!
ヤス どうもどうも、カンパーイ!
西塚 正月早々、三が日にすみません。もうすでにさっきから飲んでまして。
ヤス いえいえ、いつものことで。酔っぱらいオヤジですから。
西塚 別に去年を振り返るということはないのですが、ひとつだけですね、例の慰安婦関係、いわゆる日韓の合意ですが、あれはどうでしょう、戦後70年ということで安倍政権も早くから決着をつけたいと言ってたみたいですが、駆け込み的な感じもしましたけども、あるいはアメリカのプレッシャーもあったんでしょうが、あれはどう見られますか?
日韓合意はアメリカの脅し
ヤス メルマガにも詳しく書いたんですけど、これは間違いなくアメリカの脅しですね。日韓の合意に向けたひとつのプロセスがありましてね。特に従軍慰安婦問題が大きな問題だったんですが、そのプロセスがいつから始まったかというと、2014年10月21日なんです。
安倍の懐刀で国家安全保障局長の谷内(正太郎)という人がいるんですね。彼が安倍首相の命で韓国に派遣されたのが10月21日なんです。そこで韓国政府と話し合って、日韓関係を改善する糸口を探った。そして22日にニュースになるんですが、パク・クネ政権の安全保障の担当官かな、彼と対話して一応日韓関係を正常化するという合意が得られた。これが今回の日韓関係の正常化にいたる出発点です。
その後、対話のランクがだんだん高くなってくる。最終的には両国の外務大臣ですね、日本の岸田(文雄)外務大臣と韓国のユン・ビョンセだったかな、外務大臣との対話が何回か繰り返されるという形で、徐々に日韓首脳会談の前提条件が整えられる。そして昨年11月の安倍首相とパク・クネ大統領との首脳会談が行なわれるわけです。それで年内ギリギリの従軍慰安問題の解決にいたった、という流れなんですね。
これに関しては基本的にふたつのことが重要だなと思います。外国メディア、特にニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストがそうなんですが、今回の従軍慰安婦問題の解決はよかったと。よかったんですが、そもそも誰が問題をこじらせたのかと言えば、間違いなく安倍のほうだというのが海外の共通了解としてあります。
韓国がかなり強烈に日本に対してNOを突きつけて、日韓の首脳会談ができない状態になったのは安倍の歴史修正主義なんだと。従軍慰安婦が高級娼婦であるとか、戦前の日本の行為が侵略であるかどうかは次の歴史家の判断にまかせたいとか、とにかく戦前の日本軍の行為を肯定的に救いたいといった歴史修正的な価値観がまさに問題なんだというのが、国際的な了解です。
そのような安倍政権に対して強烈な脅しがあった。これは日本ではいっさい報道されてない。さっき言ったように、2014年の10月21日に安倍政権から韓国政府に対して、関係改善をしたいという強い意思表示があった。その前の10月3日にですね、実はアーミテージとかジョセフ・ナイとか、ああいう人たちが結集してるシンクタンクのCSIS(戦略国際問題研究所)というのがあるんですね。そこからレポートが出たんです。
CSISのレポートは日本に対して強烈な意味を持つ、ある意味で指令書ですね。たとえば今回の安保法制がありますでしょ? 集団的自衛権を一部容認した安保法制がありますが、安保法制の内容というのは、2012年の暮ですね、安倍が内閣を継ぐちょっと前くらいに、CSISから日本の安全保障政策はこうあるべきだという「ナイ・アーミテージ第3次レポート」が出るんです。今回、それと同じようなレポートが出ていた。それは、安部の危険な愛国主義といったレポートだったんですね(笑)。
このレポートの内容は、戦後70年間の日本の政治の歴史を総括すると、日本には3つの政治的な機軸があったと。ひとつは保守であり、右翼であり、第2の機軸はリベラルであり、左派であり、第3の機軸は中道派だと。この三極の基軸でバランスよく均衡を保ってきたのが日本の政治である。保守のほうに極端にいきすぎると政権が失速して人気をなくし、左派のリベラルな政権にいく。左派、リベラルな政権にいくためのキャスティングボードの役割を果たすのが中道派という形で、ひとつの極に寄らないようなバランシングがあったと。
われわれは最初、安倍政権もよく現れる右派、中曽根政権のような右派政権であって、最終的には支持が失速して、左派、リベラルなほうに寄るだろうと考えていたと言うんですね。
西塚 そこでおもしろいなと思うんですけど、日本の場合いわゆる55年体制ってありましたよね。今おっしゃったアメリカの見方というのは、55年体制の自民党の中でのバランシングということですね。途中、連立もありましたが、でも民主党政権にいたるまで、左右揺れ動いたところは一応容認してたということですね。
ヤス 容認してた。だから安倍政権に関しても最初は安心してたと言うわけです。どんなに歴史修正主義的な姿勢を出してもね、また憲法改正ということを前面に出したとしても、日本の戦後の歴史の中に内在するバランシングのパワーが働いて、安倍政権は人気をなくし、最終的には自民党内部のいわゆる左派の方向に寄っていくだろうと思ってたと。
そして、そのような振幅を繰り返しながら、保守的な右派政権のときにアメリカの国益にとって一番ベストな選択がなされる場合が多いんだと。だからバランシングが保たれる限りはね、右派政権というのはアメリカにとってプラスに働くという認識があった。ただそのレポートで言ってるのは、安倍の場合違うってことなんです。あの政権はどうもまともなバランシングが働いてないぞと。このままいったら本格的に極右の政権になってしまう。場合によっては中国と戦争を始めるかもしれない。
本当の歴史修正主義者で、戦前の価値観をすべて復活させることを目標において、中国と韓国に進撃する。特に中国と戦争、紛争を起こしかねない。日米安全保障条約の存在上、アメリカは日本の起こした紛争に巻き込まれることも十分あり得る。だから安倍は調整しろと。安倍に関しては、われわれが説得して調整すべきだと。中国に関する態度も問題だが、特に韓国に対するあの態度はないだろうという論文だった。
だからわれわれは、従軍慰安婦問題も含めて、まず韓国との関係を改善するように安倍を説得するという宣言をした論文なんです。極めて強い調子の論文でした。言ってみれば、日韓関係を改善する最初の一歩を踏まなければ、われわれはお前をどうするかわかってるだろうなぐらいの、ある意味脅しですね、あれね。そのレポートが出たのが10月3日なんですよ。その直後です。21日にバーンと谷内局長を送って、日韓関係を改善しましょうっていうのは。
西塚 緊急ですよね。即座にやった。青くなってビビったんでしょうか。
ヤス 潰されると思ったんでしょう、政権がね。青くなっていった。でも今まであれだけ歴史修正主義的な発言をしてね、いきなり日本側から関係改善しましょうは通用しないわけです。おそらくですね、これは表に出ないんでしょうが、安倍は相当な妥協をしましたね。僕は、全面的に韓国に対して妥協したんじゃないかと思う。それで韓国のほうも、わかった、そこまで言うんだったらやってやろうってことだったと思いますね(笑)。
西塚 妥協のレベルは出てこないんでしょうね。これまでの対談でも安倍さんの話は相当出てきたし、いわゆる安倍さんの幼児性ということでもいろいろ批判しました。安倍さんは、今回の件は相当悔しいと思うんですね。
ヤス でしょうね。
西塚 今年は参院選があります。今取りざたされてるのは衆議院の解散総選挙。要するに夏に一挙に衆参ダブルでやると。安倍さんはそれはないと言ってるようですが、そこで一回ガラガラポンして一気に自民党に持ってくる。
韓国との妥協の件もあるし、それくらいのものがないと安倍さんも個人的に許せないんじゃないんですかね。自民党を大勝させて一気に憲法改正にいかないと腹の虫がおさまらない的なことが、僕は安倍さんの幼児性ということにあえて引きつけて言えばあるんじゃないかなと思うんですが。
ヤス あるかもしれないけど、今回の日韓の合意、特に従軍慰安婦に関する合意は、僕はよかったと思います。でもは安倍政権にとっては極めてマイナスです。チャンネル桜、日本の極右チャンネルですね、あるいは2ちゃんねるのネトウヨだとか、ものすごい反発ですね。
西塚 それは感じました。たとえば三橋貴明さんとかも緊急コメントを出して、もう許せないみたいなことを言ってますからね。そこで僕も、ああこの人はやっぱり右翼なのかなと(笑)。
ヤス あの人は右翼ですよ。
西塚 禍根を残すと。将来に向けて日本政府は重大な禍根を残すだろうというコメントをしてる。そういう人たちが相当いる。
ヤス だから言ってみれば、安倍政権というのは日本のナショナリズムを煽ることによって、どちらかと言うとネトウヨ的なナショナリズムですけどね、そのネトウヨ的なナショナリズムの盛り上がりに乗って支持を拡大してきたという政権ですよ。そうした政権が重要な支持基盤のひとつを失うぐらいのリスクを犯したと思いますね、これは。
西塚 逆に言うと、そこまでやらざるを得なかったくらいの脅しがきたということですね。
ヤス 脅しです、まさに。あのような脅しがなかったらやらなかった。日本では逆のことが報道されてるんです。安倍政権はずっと日韓の問題に関しては、すべての対話が開かれているという立場なんだと。それで韓国に対するアメリカのすごい圧力があってね、パク・クネ政権が妥協してこちらに近づいてきたって感じの報道なんですね。これは嘘です。はっきり言いますが、嘘ですから(笑)。
これは日本の主要メディアが流している実質的にはファンタジーです。調べてみると、今言ったようにまったく逆ですね。まず安倍政権のほうに、危険な安部政権の愛国主義といったCSISのレポートによる、ある意味で脅しみたいなことがあった。それから日韓の関係改善のプロセスがある。
おそらく韓国に対しても圧力はあったと思います。ただ、CSISのレポートもそうだし、今回の従軍慰安婦の問題に関する日韓の合意ができてからのね、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの発表であるとか、いろんな記事を読んでみてはっきりしてるのは、この問題をこじらせたのは安倍政権のほうであるという基本的な認識があるんですね。これはヨーロッパのメディアも含めて国際的な認識だと思います。それで安倍政権が妥協した。
西塚 歯ぎしりしながら妥協したんでしょうけど。
アメリカは北朝鮮崩壊のスイッチをONにした!?
ヤス そうそう。それでね、なぜ年内にやったかってことなんです。年内にやると発表したのは12月24日のクリスマスイブなんですね。
西塚 もっと前に言ってませんでしたっけ? 日韓の問題は年内にクリアすると…
ヤス 岸田外務大臣を派遣すると言ったのは24日なんですよ。岸田外務大臣が28日に韓国にいって、それで妥協を取りつけて帰ってきたという流れなんです。それがですね、実はアメリカの外交政策の奥の院と言われてるCFR、外交問題評議会というのがありますね。そこが12月20日にレポートを出してるんです。日韓はいわゆる従軍慰安婦問題を乗り越えて問題解決を図らねばならないという、これも脅しに近いレポートですね(笑)。おそらくそのレポートが出たからですね。
西塚 泡食ってドタバタでやったって感じですね。
ヤス 20日のCFRのレポートは無料でダンロードして全部読めます。けっこう分厚いレポートなんですが、結論部分というのはある意味で脅しに近いですよ、本当に。絶対に解決させろという感じの命令口調のものですね。
西塚 日本のメディアは知ってるのかな。
ヤス いや報道しません、まったく。だから日本メディアのスタンスは一貫してる。そういう意味でブレない。安倍政権は、韓国に対していつでも対話のチャンネルはオープンであるという姿勢をずっと続けてきたと。韓国のほうから接近したんだと。大嘘ですよ(笑)。このようなCFRのレポートやCSISのレポートが存在するとは、いっさい報道されてない。
問題はもっとある。その裏側にある現実です。なぜアメリカが年内の解決を焦ったかなんですね。それは2014年から始まってるわけです。少なくとも日韓の関係改善は徹底的に行なわれなくてはならないと。
西塚 中国ですか?
ヤス 一番思い浮かべるのは中国なんだけど、アメリカの中国に対するスタンスは敵対的でも何でもない。今回AIIB、アジアインフラ投資銀行ですね、1月中旬に参加表明をしている57カ国が批准して実質的にスタートはするんです。今の段階で17カ国かな? すでに批准した段階なんです。57カ国プラス、フィリピンが入ったんですね。その中にアメリカが世界銀行を通して実質的に入ったような状態なんです。
西塚 そうなんですか。あれはヨーロッパの名だたる国が入ってますよね。実際に批准したかどうかは僕はわからないですけど。小さい国は島国とかも含めておいておくと、やっぱり日本とアメリカは入ってないわけですね。あとはほとんど入ってると言ってもいいんじゃないですか。
ヤス でも実質的にアメリカは入ってるような状態ですよ。国として入ってないだけで、アメリカは世界銀行を通じてAIIBに設立資金の提供までしてます。中国とアメリカは協調関係をどんどん深化させてるという状態です。
西塚 隠し切れなくなった仲のよさということなんでしょうね。ヤスさんも両国を一卵性双生児にたとえて、ガチンコで組んでいるというようなことをおっしゃった。だから戦争もあり得ないと。日本だけが中国の脅威とか何とか、日米安保がどうしたとかやってる。でも、それはわからないわけはないですよね、政府も。
ヤス ただ、われわれ自身が認識しなくちゃならないことがひとつある。われわれの為政者というのは頭のいい人たちではないってことです。
西塚 本当にそうだとしたら、ものすごい不幸というか、いいかげんわれわれは気がつかないとまずいですね。
ヤス もっと言うとね、せいぜい東大クラスですよ。そんなによくないんです、本当に。われわれの一般の公教育で日本で教育を受けてきて、ああ、あいつはクラスで頭がいいっていう程度の連中なんだってことですよ。
西塚 試験問題まで踏み込めないけど、頭いいという基準もどうかと思いますが。
ヤス 現代の日本型の組織の中でどんどん出世するヤツというのは、頭いい悪いというよりも、権力欲が旺盛で他人を押しのけられるヤツだけです。
西塚 既存のシステムに乗るのに長けてる。
ヤス そうそう。ただそれだけですよね。
西塚 その既存のシステムを壊したくないという連中が、官僚を中心にいるということですね。
ヤス まあ、そうですね。決して頭のいい連中ではないということをわれわれはしっかりと認識する必要がある。戦前の指導者と同じレベルだってことです。
西塚 少なくとも現実的じゃないですね。ヤスさんもよくおっしゃいますけど、ファンタジーの世界。ファンタジーを押しつけるなよって感じですね。
ヤス 本当にそうですね。たとえばアメリカ軍の上層部の中にキリスト教原理主義者のファンタジーを信じてる連中がたくさんいますけどね。それと同じようなレベルということです。だから官僚は頭がいいとか、われわれの為政者が頭がいいとか、それは幻想だと。頭のいいのは現場なんだってことですね。
ちょっと話を戻しますが、日韓の合意の話は2014年の10月21日から始まって今回まできたわけですが、問題はアメリカがなぜここまで強烈に安倍政権を脅しながら日韓関係の改善を年内に迫ったかということですね。それにはおそらく裏がある。日韓関係を改善させざるを得ないような理由があった。
中国とアメリカはガチの状態ですから、中国ではない。おそらく北朝鮮だと思う。
西塚 ほお…
ヤス アメリカは、北朝鮮を解体させるプロセスのスイッチを押したのではないかと思いますね。これはメルマガに書こうと思ったんですけど、北朝鮮を崩壊させる了解を中国とアメリカはどうもお互いに得てるらしいという情報があったんですね。
今年2016年は、北朝鮮の解体のプロセスのスイッチがオンになった可能性があると思います。だから日韓の関係をとにかく改善させる。日韓がある意味、軍事的に同盟を組めるぐらいまで改善させると。
西塚 北朝鮮を追い込む下地を作っておくということですか?
ヤス そうですね。日韓プラス中国で北朝鮮を追い込むといった、北朝鮮包囲網の形成がアメリカの念頭にはあって、そのための邪魔となるような問題、日韓関係のギクシャクした関係とかね、その修復を迫ってきたということじゃないかと。だとすれば、今年はとんでもないことが起こると思いますよ。
西塚 いろんなことが起きる可能性がありますね。アメリカにとって北朝鮮が邪魔になる最大の理由は何ですか?
ヤス 北朝鮮というのは、アメリカにとってはかなり都合のいい存在ではあったと思います。北朝鮮の脅威を煽って東アジアにおいて火種を残すことによって、米軍がたとえば日本に駐留する。東アジアに米軍が駐留するための口実ができたってことですね。アメリカの外交評論家は、北朝鮮はアメリカにとって理想的なパートナーだって言い方をするんですね。
西塚 ああ、皮肉っぽく。
ヤス そういう皮肉が成り立つぐらいアメリカは北朝鮮を利用してきたってことです。そういうふうに考えると、北朝鮮という存在がいらなくなるってことは、これから本格的な緊張緩和に向けて進んでいく可能性が高いということです。
西塚 それだけ聞くといいことに聞こえますね。米中はお互い経済的にも共依存みたいな関係になっている。そうすると、そこでヘタなことをしてくれるなよ的な北朝鮮は邪魔になる。
ヤス 邪魔な存在になってくる。だから火種を残したり、緊張感を増大させる必要性がまったくなくなってきたということ。それは東アジア全般にとってはいいことなんですが、しかしながらもうちょっと裏を読むとですね、別のところに脅威が移ったということです(笑)。
アメリカはおそらくロシアを本格的な脅威として見ている。それに全勢力を傾けるために、東アジアの緊張緩和をとにかく急いで進める必要性が出てきたってことかもしれない。
西塚 米中の経済的なつながりもありますが、中国とロシアというのはどうなんですか? 米中の比じゃないんじゃないでしょうか。
ヤス 政治的には仲がいいですね。アメリカ以上に仲がいい。
西塚 経済的にはどうですか。
ヤス 経済的にも仲がいい。
西塚 極端な話、アメリカを切ってロシアとべったりでもいけるのか、ロシアを切ってアメリカと組んだほうがまだ有利なのか。
ヤス 有利不利の関係で見るとどっちも切ることはできないと思うんですけど、ただ中国の国民のメンタリティーから言うと徹底的に反米ですね。むしろロシアに対して親近感を感じている。ロシアのプーチン的なものが提示する価値観に対して、やはり中国は相当納得するところが多いと思うんですね。
西塚 だからなおさらアメリカが焦ってるわけですね。
ヤス 言ってみれば中国がキャスティングボードを握ってるんですよ。中国に敵意を持ったら、確実にロシアのほうに深くいく。それではアメリカは孤立しますから。
西塚 中国がどれだけアメリカに経済的に依存してるかというところですね。
ヤス だから今年は、北朝鮮がひとつのキーワードとして、極めで流動的でわからないものとしてある。場合によっては、今日は1月3日ですけれども、一週間内外で北朝鮮で有事が突発的に起こることは十分にあり得ます。日韓関係を改善したということが極めて大きなメルクマールです。
あともうひとつの指標になってくるのは日中の関係改善です。たとえばCSISのようなところが日中の関係を改善せよと脅しに近いレポートを出してきたらね(笑)、これは北朝鮮問題は本格化する予兆だと僕は思いますよ。
西塚 なるほど。確かに今回の日韓の合意に中国は微妙な反応でしたよね。まあ地域の安定化に期待するみたいなことなんだけども、何となくおもしろくなさそうな感じがあるし、今度は台湾が言ってきてるということを含めると、段階を踏んでるのかなって見方もできますよね。台湾とある程度合意して、中国にいくという流れなのかもしれない。
ヤス 極端に最悪なシナリオから穏当なシナリオまで考えることができますが、極端なシナリオで言えば、アメリカが北朝鮮を潰す決定をしたということ。穏当なシナリオならば、真綿で首を締めるように金正恩体制の内部崩壊を引き起こす。これからさまざまなステップをアメリカ及び中国で踏んでいく可能性がある。
西塚 実際、北朝鮮自体もいろいろ側近が交通事故で死んだり、何が起こってるかわからないですよね。
ヤス ええ、おかしいんですよ。何が起こってるかわからない。
われわれは他者のいない世界に生きている
西塚 それで時事問題以外でも、僕が個人的にお聞きしたいことがありまして、大きなテーマになっちゃうかもしれませんが、われわれはどういう意識でこれから生きていくのかと。たとえば日本人としてでもいいです。あるいは地球に住む人類としてでもいいんですが、去年は右・左、保守・革新という話も出ました。それで間違ってたら言ってください、大雑把に言うと、いわゆる左的なものは結局システム至上主義になって、ある機構のもとに絶対化していく。右は右でGDPを伸ばす方向にいくんだけども、エリーティズムということでは一致しているんだという話がありました。政府が再配分していくことでも一致していると。
アメリカで言うと、右でもティーパーティーのような市場原理主義に加担するような意見もあれば、同じ右でもリバータリアニズムとかコミュニタリアニズムのように小さな政府を求めて、自分たちは自分たちの自治でいくんだというようなことがある。僕はそのあたりはうまく整理できませんが、震災以降、3.11以降の日本は、僕に言わせれば、ある程度良識的な部分というのは、地域分散型の相互扶助という方向の考え方にシフトしていると思うんですよ。しかもベイシックインカムを導入して、再分配ということでもいろいろと掬っていく。
僕はそのとおりだと思うんですけれども、何と言うか、たとえば宮台(真司)さんがですね、僕はリスペクトしてる部分もあるのであえて言うと、顔が見える自治というようなことを言うわけです。それは手段的には正しいかもしれません。地域分散型の相互扶助で小さい政府で再分配もちゃんとやっていく。それを本当に自主的にやっていくには小さいところから始めていくしかないんだと。まず顔が見えるレベルからやっていく。あの人はおそらく世田谷区でやってるんだと思います。
それで、未来に向かってそういう見本を残していく。ある種の模範として、こういうことができた、できるといったものを残していきたいという主旨のことも言ってたと思います。僕はそれはいずれ排外主義にいくと思うんです。なぜかと言うと、身近なものを大事にしていくことは、身近じゃないものに対する違和感とか、自分たちとは違うよね的なもの、そうしたことに敏感になっていくというか、無意識の確認作業をしていくようになるんじゃないかという気がする。そして結局は排外主義になっていく。
何を言いたいかというと、もうちょっと狭めて、かと言って江戸時代の長屋的なものはもう無理というか、そのシステムを復活させて現代に援用するのはちょっと現実的じゃないので、もっと近いところ、地域でもなく本当に近いところ、奥さんとか、何でもいいんですが、子どもでもいいですが、そこからまず他人として始めていく。血筋はあるかもしれませんけど、まったくの他人として接する。そのとき、どうやって付き合っていくのか。お互いにリスペクトして、親だから子どもだからとか、あるいはどっちがお金を持ってるとか、男と女、そういうことは関係なく、対等の他人として、一番近いところから接していく。僕はそこに原点があるような気がしてるんですね。
そうすると、もっと外へつながっていく人たち、世界に透けて見えるような人たちと僕はつながっていくと思うんです。そのときに共有されるもの、何かしら共通の基準とか機軸が必要になってくるとして、それが宗教ではないとするならばいったい何だろうということが、僕の個人的な興味としてある。
共同体的なものは排外的なものになっていくという、ちょっと酔っぱらってうまく伝わってないかもしれませんが。宮台さんというより宮台さんが言ってるようなことに代表されると言いますか、地域でまとまった相互扶助的なもの、顔が見える範囲での相互扶助というより、もっと身近なところから他者として見るということですね。そこに僕はまだ普遍性につながるような人間関係を構築する基礎がある気がしています。そのへんどうですか?
ヤス 顔が見える見えないということがひとつの基準になって、結局は排除型の共同体ができ上がるのではないかということですね。僕なりにちょっと言い換えると、その排除型の共同体ができ上がる根源というのは、顔が見えるということですね。われわれが日常生活の範囲内で接することができる人間関係というのは限界があるわけです。
日々、接し合うことができる人間関係というのは、われわれの生活世界、つまり衣食住を中心として成り立つ営みの中で関わり合えるような人間関係です。数はわからない。50人かもしれないし、200人かもしれないけれども、でも数に限りある人間です。数に限りある身近な人間たちの範囲を越えた人間は、やはり他者になってくる。他者に対してわれわれは、強烈に排外主義的に振るまうということですね。
西塚 僕は一番近い人間をそうした他者として付き合えばいいと思うんです。
ヤス それは身近な人間を他者化することによって、他者一般に対するある意味で耐性というのかな、許容性といったものを獲得してくことができるのではないかという、ひとつの戦略ですね。それはよくわかります。僕は十分納得するし、おそらくそういうようことは可能ではないかと思いますね。
ただ一方、僕らは他者性といったものが消滅しかかってる時期に生きているんじゃないかとも思うんですね。果たして、本格的な他者が今存在しているのかってことなんですよ。たとえば第一次世界大戦がありますね。第一次世界大戦で兵力動員が行なわれる。ロシアでも兵力動員が行なわれる。ドイツでも行なわれる。アメリカでも1917年以降ですが、徴兵制で兵力動員が行なわれますね。
兵力動員が行なわれる場合、今まで共同体から一歩も出たことがないような青少年がですね、兵隊として徴用されて国民軍の中に組み入れられて外国に遠征していくわけです。そういう兵士たちの書いた手記がたくさんあるんですね。村から一歩も出たことのない人間が、いきなり軍隊とともに国外に行く。それでまさに他者に出会うわけです。そうした他者というのは、まず人間ではないんですね。
西塚 異物ですね。
ヤス ある種の異物。1918年から日本でシベリア出兵が始まりますでしょ? 最初はロシア革命を警戒して送られた多国籍軍の一部として出兵するんですが、日本軍だけですね、1921年ぐらいまでずっとシベリアに留まり続ける。そのときの兵士たちの手記が残ってるんですね。これがおもしろい。
第一次世界大戦に出兵したヨーロッパの兵士たちと同じように、今まで村しか知らなかったような日本兵がいきなりロシアに送られるわけです。ロシアで遭遇する人たちというのは、まさに土人だと書いてるんですね。土人とは何か。非人間ということのひとつの象徴ですよ。だから殺してもかまわない。実際、上官の命令によって殺してしまう。すると、夫を殺された女たちや子どもたちが泣き叫ぶわけですね。そこで初めてわかるわけです。土人と言えども人間なんだと、初めて悟るわけですね。
そのくらいですね、自分に与えられた共同体を越えたところでは他者が存在した。その他者は人間ではない。たとえば古代ギリシャのことで言えば、当時の古代ギリシャに外国人を指すギリシャ語があるんですが、それはわけのわからん言葉をしゃべる人間って意味なんです。まさに他者ですね。
またヨーロッパ哲学の中でも、他者をどのようにして認識するか。他者というもの、われわれの認識が通用しない外部というものが、哲学でも極めて重要な問題となった。現象学で言えば、共同主観の外部にあるものということになってくる。
でも僕は、それは20世紀で終わったと思う。今われわれは、他者がいない世界に生きている。本当にいないんですよ。どういうことかと言うと、インターネットの普及によってあらゆる人間が人間化して、いわゆる他者じゃないんですよ、もうすでに。たとえばね、僕らが日ごろ付き合ってるような人たちと共同体を作る。作るんだけれども、共同体を作るためのノウハウ、何をやったらいいのかとか、そういうアイデアが場合によっては、普段は共同体に入ってこない沖縄とか、北海道で共同体を作っているような人たちのネットワークの中からやってくる。SNSやインターネットを通じて。
さらにそれでも足りない場合は、ちょっと英語さえできれば、たとえばシリア難民でヨーロッパに逃れて共同体を作った人たちとね、FaceTimeやスカイプで直に彼らとしゃべってね、われわれは実は大変なところかやってきて、こうして共同体を作ってるんだけど、君たちの参考にならないかなって話になってくるわけです(笑)。そこではね、他者が存在するのかってことです。
西塚 そういうときのヤスさんのおっしゃる他者とはどういう感じでしょうか?
ヤス 非人間ですよね。われわれの共通の同士というか、われわれの日常生活で出会うような親しみやすさを持たない人たちですね。
西塚 SNSがこれだけ普及して、ツイッターなりラインなりでつながってますね、みんな若い人たち。あのときたぶんですね、僕はわからないですが、想像すると他者としてつながってると思うんですよ。〇〇ちゃんとか、あるいは〇〇ちゃんの友だちというラインがきて、ああそうなんだと自己紹介して、という意味での他者というものは僕はあると思うんですね。
そういった意味では、むしろ他者とのつながりは広がりつつあるし、昔に比べれば、まあ電話ぐらいしかなかったときに比べれば、他者とのつながりははるかに広がっているという言い方ができると思うんですね。ヤスさんのいう他者とは違うかもしれませんけども、僕が言ったような意味の他者ということであれば、生身で会わなかったとしても、いわゆる他者として会話ができて、コミュニケーションすることはできるじゃないですか。
そういうものと、さっきの宮台さんの話で顔が見えるという範囲で言うと、お互いに顔が見えて、いろんな事情も知っていて、生身な感じで会えるという共同体、コミュニティーのようなものにいる者と、SNSでつながっている他者、世界ともつながってるような他者と、濃度としてもかなり差別化されてきますよね。生身を知ってる相手とそれ以外で、かなり分かれてくるんじゃないかと思うんです。それを僕は排外主義になるのではないかという意味で言ったわけですが、僕はそれを全部取っ払うというか、自分以外のものは全部他者であるという認識に立てば、共同体もネットの中も同じだろうという(笑)。
ヤス それは同じですよ。それはそうなんだけど、もっと言うとね、身近なものだから他者じゃなくて、身近じゃないから他者だってことは成り立たないってことだと思いますね。場合によっては、身近なものが一番他者であるという可能性があるんです。
西塚 そうそう。そこから始めるしかないと思うんです。
あらゆる価値判断から自由になれ
ヤス 今回、5年前ですね、東日本大震災で証明された事実があった。たとえばですね、行政が全然うまくいかない、インフラがぶっ壊れてると。行政の救済も全然ない。そうすると全国からボランティアが集まってくるわけですね。実際に人がいく場合も多いんですが、たとえばどこかの建設関係の会社がこういう資材があるからこれを寄付するんだと言って、トラックに積んでいきなり被災地に持っていくわけですよ。
そういう人たちって他者なのか。場合によっては3.11で被害にあって、極めて身近な人たち同士で孤立してる。しかしながら遠くの人たちとつながり合ってる人たちもいるわけですね。そうすると身近な人間が実は一番他者であって、一番遠い人たちと一番つながり合っている。彼らから援助を受けているってことも十分あり得るわけですよ。
西塚 そのときのつながりですが、もちろん物資がきたほうがありがたいわけですね。一番身近な他者というのは、おそらく同じように被災してれば慰め合うことぐらいしかできないかもしれません。バッと何かを持ってきてくれたほうが助かります。近親者、仲間、友人とは違う他者が助けてくれるという構図かと思いますが、さきほどの他者の問題とはちょっと違う気がしないでもないんですね。
もっと言えば、ポトラッチではないでしょうが、いわゆる何か災害が起きたときに、われこそはとワッと援助をしたがる。もちろん実際に助かればいいので、援助することはいいんです。競って援助するとしても、結果的によければいいんだけれども、そういうこととですね、いわゆる何もできないんだけれども近場にいる人たち、被災者Aと近場に被災者Bがいて、Cがガンと物資を運んでくれる、そのCとの関係とAとBの関係は、同じ他者でも違うと思うんです。
ヤス おそらく違う。ただね、もっと言うと、考えないということが一番重要だと思う。たとえば困ってたらね、勝手に動くわけですよ、人間って。だから、どのような共同体ができて、その共同体にどのような問題があるかということを事前に予想して、思想化すること自体に無理があると思いますね、僕は。
西塚 対談のかなり初期のときに同じような話がありましたね。そのときも宮台さんの話だったように思いますが、クリント・イーストウッドの映画で『硫黄島からの手紙』の話が出た。あまり覚えてないですが、日米の兵士にはみんなそれぞれ大儀があるわけです。アメリカ人ならアメリカの国のためとか、あるいは町のため、日本もそうですね、場合によっては兄貴のためとかお袋のためとか、みんないろんなものを背負って殺し合いをするんだけども、現場で何が起こったかと言うと、当時一緒に戦っている仲間のために戦う。
そういうものが人間の中にはある。背負っていた大儀が消えて、一番身近なところで苦しんでいるヤツがいれば、ヘタすれば敵でも助ける。そういうことを訴えた映画だと。ちょっと違うかもしれませんが、本当はもっと実存的なテーマがあるのでしょうが、僕はそういうふうに記憶していて、それはわりと共鳴するわけです。
そういったことも照らし合わせると、これは僕の個人的な考えですが、やっぱり一番身近なところだろうと思うわけです。一番身近なところをかけがえのないもの、他とは違うかけがえのないものとして捉えるんじゃなくて、一番身近な他者として接する。その関係性の中に普遍につながるものがあるだろうってことなんですが、伝わりにくいですね。
ヤス まあ、そうですよね。だから思想化するとそういうことになるかもしれないんだけども。
西塚 そうか、思想化しようとするところ無理があるのか。
ヤス 一番重要なのは思想化しないってこと。考えないってこと。必要性、ニーズにおいていかに現実的に動けるかってことだと思うんですね。
西塚 いわゆる脊髄反射とは違いますよね。
ヤス 脊髄反射と違う(笑)。感情的に動くというのではなくて、目の前に必要なものを合理的に判断して、それを解決するためにいかに現実的に動いていくかってことだと思いますよ。その結果、いろんなものができ上がってくる。でき上がってきたものをあとで反芻して、反省してね、それを思想化モデル化すればいいだけの話だと思うんですね。
そうしたならば、そこで思ってもみないものができ上がってくると思いますよ。そこで一番重要なのは、現実のニーズに対してわれわれはいかにフレキシブルであるかということです。一番怖いのは、自分たちの思い込みとかイデオロギーとか宗教的な信仰によってね、現実の必要性を無視するということです。
西塚 そうですね。過去にいろいろとフレキシビリティーを発揮して、ある種のセオリーを培ったとして、現実の現場で今、生で起こってることをそこに当てはめていくことがいかにダメかってことですね(笑)。
ヤス そうそう、そうです。だから現実が提起する問題というのは、本当は予想つかないんですね。予想つかないこと、予想つかないさまざまな人たちと出会うわけですよ。そういうあらゆる可能性に対して自分がオープンであるってことですね。それはあらゆることに対してフラットであるということです。いっさい価値判断をしない。いいとか悪いとかではなくて。
人間としてね、本来普遍的に共有できない殺人であるとか、人を裏切るとか、嘘をつくとか、これは人間としてやってはいけないという基本的な倫理観はありますよ。残りの他のものはバリューフリーであるってことね。
西塚 先ほどの話に戻せば、坂口安吾なんかは仮に裏切ったとしても、すごく下卑たことをやったとしても、それが人間だと。別に堕落したんじゃなくて、それが人間なんだっていう認識がありましたよね。
ヤス そう。だから坂口安吾の『堕落論』とか『続堕落論』は、あれは名著だと思いますよ。われわれは読むべきで、言ってみればイデオロギーとか価値というのは、実はわれわれの現実的なニーズから見ていかに無意味かってことです。彼は闇市みたいなものを賞賛するわけです。そのような現実的なニーズの処理にしたがって人間が生きていくときに、そこから新たな価値観が生まれるだろうし、新たなものができ上がってくるってことなんですね。それは現実の多様性に対してわれわれが開くってことです。フレキシブルということ。
西塚 そうですね。仮に今までの道徳、倫理的に悖るものであっても、とりあえず生きていくためにはそういうことが起こり得るってことですね。
ヤス そうです。本当にそう。現実の提起する多様性に対して、われわれはとことんフレキシブルで開くってことですね。そのような現実の多様性から見たときに、他者は場合によっては存在しないってことです。
創造を感じる、創造を生きる
西塚 そうなると、僕は教養がないからあまり詳しくは言えませんが、本来あるべきアカデミズムというのは、そういうところに開いていく知を養う場であるべきじゃないですか?
ヤス そうです。だからプラトン的なものですよ。アリストテレスじゃなくてね。
西塚 ソクラテス的なものじゃないかな。
ヤス そうそう。
西塚 いっさい書くものを残さなかったソクラテス。僕はそこにロマンチックな思いを抱いてるかもしれないけども、もう本当に生きている。
ヤス 本来の人間に備わっている叡智に身をまかせるということです。
西塚 そこであまり飛んじゃいけませんけど、たとえばいろんな人間が現実に対処していくと。みんながそれぞれ自分なりにやればいいんだけども、なかなかうまく対処できなかったり、仲間同士でもいろいろ議論もあるだろうというときに、何か機軸となるもの、それも本当はいらないかもしれないんですが、あるとすれば少なくともキリスト教ではないだろうし、イスラム教でもないだろう。経典がある限りは何かしらの戒律があるわけで、やっぱりそれはちょっといらなかったりする。
ヤス そうですね。だからヒエラルキーを持った価値観は一番邪魔ですよ。現実の問題を解決していくときに極めてマイナスに働きますね。ソビエトが崩壊したとき、1991年の12月にソビエトが崩壊しますが、国のいっさいの機構がそこでなくなるわけですね。そうするとソビエトの当時の国民は崩壊後、自給自足の自己責任社会になっていくわけです。
その中で彼らはどう生き延びたかというのはね、まさにこれですよ。当時のソビエトの持ってた価値観に拘泥する人間ほど、餓死して生き延びられなくなっていくんですね。それを全部捨てて、現実の本当のニーズ、合理的なニーズに従って行動する者のみが、新しいシステムを使って生き延びていったということです。
西塚 そこでビリー・マイヤーを持ち出せば、思い出すのは、いわゆる高次元からの話ですね。人間には野蛮性が必要だと。善悪じゃない。善悪というのは人間が考え出した観念的なもの、要するに抽象的なものだと言います。たとえば動物実験をする。動物を殺すことは野蛮です。動物を殺すのは悪だとされるんだけど、でもそこでワクチンか何かができて人類が生き延びれば、それはそれでいいじゃないかと言う。
それは、そのこと自体を進めていくという進化の道筋があるとすれば、野蛮性がないとそれは成り立たないよと言うわけです。それは僕は反駁できないわけです、個人的には。だから善とか悪とか観念的なものじゃなくて、ある程度の野蛮性みたいなもの、何かを無視したり、何かをないがしろにしたりするということも必要なんですね。進化の原動力としても。
ヤス 確かにね。言ってみれば、それは生きるという意味での合理性にいかに従うかってことだと思います。そうしたときにですね、意外にヒエラルキー的な価値観って邪魔なんですよ。思想とか学説が邪魔になる。
西塚 道徳も邪魔かもしれません。
ヤス 本当にそうなんです。生きる意味で必要になるような合理性から見たときにですね、果たして他者が存在するのかどうかなんですね。僕はないと思う。本当に。フラットになっちゃう。それはどういうことかというと、あらゆる多様的なものに対して自らを開くということが生きるってことです。
西塚 本当に核心に触れてきたと思うんですけども、たとえばビリー・マイヤーの書籍に出てくる存在は、創造と言うわけです。創造に唯一従うと。ヤスさんも依存はダメだとおっしゃる。僕もそう思います。会社に依存する。会社を辞めても、仮に形式的には独立していても、ある会社に依存する。経済的に自立していても、マインド的に何かの宗教に依存している。あるいは奥さん、あるいは誰かに依存している。
要するに依存依存といったものを取っ払ったときに、ビリー・マイヤーの知性体が言うような意味で、最終的に依存するものが創造だとすればですね、僕はそこで言葉遊びじゃないですが、帰依という言葉がありますね。帰依というのは言い得て妙ですが、最終的な依存って意味だと思います。最終的に帰ってくるところ。そうすると、創造というもの、ビリー・マイヤー的な存在が創造しかないと言うときの創造というのは、本来の意味で帰依するところなのかなと。
帰依と言っても、それはいわゆる宗教的なものではないですね。だからそれは仏とか神の、仏はまた別かもしれない。仏教はおいたとしても、いわゆるキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の神のようなものではなく、むしろ創造といった何かのエネルギー、あるいは法則のようなものに対して帰依するという言葉を使ってもいいかもしれません。
そのへんをどういう形で、これから媒体を出していくにしても、ヤスさんとのお話にしても、どうやって表現していくかが僕の課題になってくるわけですが。
ヤス ビリー・マイヤー的な創造は何かというと、たとえば創造がこういうものだと初めから与えられて、それを認識してそれに帰依するってものじゃないんですね。そうではなくて、生きるための普通の振るまいから感じるのは当たり前だろうっていうこと。
西塚 そこは僕もテーマになっていて、僕はどうしてもそれを認識したいという思いがあるのと、また別に合気の武道を通じて、今はあまりやってませんけども、体感としてよくわかるわけですよ。そこしかないだろうってこともわかります。もう理屈じゃなくてね。でも、それを言葉で表現する場合、どういう表現方法があり得るか。これは言葉の可能性としてもかなり魅力のあるテーマです。
ヤス 僕の言葉で引き寄せて言うとね、生きるために必要になるような合理性に対して全面的に自分を開いていく。開いてて普通に生きてるなら、これは当たり前に感じるだろうってことなんですよ。
西塚 まあそうなんですが、感じない人もいるじゃないですか。
ヤス なぜ感じないかというと、それは生きるための合理性に対して自分を開かなくてもいいような環境にいるからですよ。たとえばサラリーマンになる。サラリーマンになって辛い思いをしてる人もいるかもしれないし、辛い思いをしてなくてもいいかもしれないけども、要するに与えられたことをやってれば給料が出てくるわけですよね。それは自分の内部に眠っている生きるための合理性といったものに対して、自分を全開にするというか、自分を全面的に開く必然性がないわけですよ。
西塚 自分でフタをしてるわけですね。
ヤス そうすると今言ったビリー・マイヤー的な意味でのね、創造といったものが実は存在するんだってことは覚知できないわけですね、全然ね。じゃあ、何を覚知するかというと、オレにとって会社がいかに重要であるかと理解するわけですよ(笑)。
西塚 往々にして、頭ですよね、基本的に。
ヤス まあそうですよね。そうではなくて、本当にひとりになる。ひとりになって、会社とか所属するものが全然ない。そうすると、いかにサバイブするかという単純な合理性に従って生きざるを得なくなってくる。
西塚 本当にそうです。僕は2013年に独立して本当にそう思ってますから。ヤスさんはそういった意味で大先輩ですけど、そのへんも今度、具体的な細かい普通のわかりやすい例っていっぱいあるじゃないですか、そこからもちょっと話していきたいんですね。
ヤス いいですよ。次回の話につなげる上でひとつだけ例をあげますと、僕はもう自立して20年経つんですけどね、まったく会社とか依存しないで生きている。いろんなことをやってきたわけですけど、ある意味そこにひとつのパターンがあるんですね。自分の言葉で言えば、守られてるという実感が強いんですね。確実に守られている。
生きるための合理性に、ただただ合理的に従って単純にやってるとですね、その合理性に従ったように現実が動くわけです、本当にね。そうすると、なぜ自分がこれだけ安定するのかとやっぱり思う。いつもね。自分を安定させているのはまさに自分自身の努力であるし、生きるための合理性に従った自分の普通の行動なんだけれども、その結果非常に大きな安定を得るわけです。この安定させているものに何か超越的なものを感じるんですね。
西塚 それはやはりお感じになるんですね。
ヤス すごい感じる。
西塚 わかります。
ヤス これは何かあるなと。
西塚 よくわかります。だからまだ安定していない僕がそれを感じるための、これはいいコンビかもしれませんね(笑)。僕ももっとそれを感じるためにもどんどん質問していきます。
ヤス そうそう。何か感じるわけですよ。これは何なんだろうとやっぱり思う。そうすると、ビリー・マイヤーの言う創造ということが一番ぴったりきますね。
西塚 つながってくるわけですね。
ヤス すごいぴったりきますよ。
西塚 では、その何なんだろうということに、今年は早い時期にたどり着きたいので、またおつき合いいただければと思います。ありがとうございました。また来週お願いします。
ヤス また来週。どうもどうも。
むちゃくちゃおもしろかった講談
筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。
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