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    2016-01

    01/26のツイートまとめ

    ytaka2013

    高松の講演会日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで場所  高松生涯学習センター〒760-0040 高松市片原町11番地1電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022会費   ¥5000/人
    01-26 08:48

    「ヤスの勉強会」第22回2016年の見通しを立てる。日時:1月30日、土曜日時間:1時半から4時前後まで料金:4000円場所:都内記載必要事項名前(ふりがな)住所 〒メールアドレス参加人数懇親会の参加の有無info@yasunoeigo.com
    01-26 08:47

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    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第27回

    1月25日

    ウエブボット最新版の配信

    リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    「ヤスの勉強会」第22回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第22回を開催します。非常に急速に国際情勢が動いています。2016年は第3次世界大戦を回避できるかどうかが決まる重要な年になると思われる。あらゆる分野の情報を解析して、いま我々がどこに向かっているのか見通しを立てる。

    【主な内容】
    ・2016年はなにが起こるのか?
    ・大きく変革する「イスラム国」の情勢
    ・我々はやはり超社会主義に向かっているのか?
    ・日本は衰退の最終段階にいる
    ・個に内在した超越的な力と精神性

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:1月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無
    info@yasunoeigo.com


    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

    日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで
    場所  高松生涯学習センター

    会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
    〒760-0040 高松市片原町11番地1
    電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022
    会費   ¥5000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・2016年を展望する
    ・シェールオイルバブルは破綻するのか?
    ・中国の現状と今後
    ・ロシアはなにを目指しているのか?
    ・個に内在した本来の力


    まぐまぐ大賞2015、政治経済・国際情報部門で第2位になりました。ご推薦いただきありがとうございます!

    まぐまぐ大賞2015 -政治経済・国際情報部門
    taisho02
    ここをクリック!

    次回の有料メルマガの予告

    1月29日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、もっとも的中率が高いと言われている市場アナリストのボー・ポルニーの市場予測を詳しく紹介する。実に興味深い。次に、やっと明らかになってきた軍産複合体の実態について紹介する。

    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

    amazonで注文

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第26回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第27回

    oyaspi23

    西塚 みなさん、こんにちは。「酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting」の今日は27回ですね。またヤスさんにおいでいただきました。今日もよろしくお願いします。

    ヤス こちらこそ。じゃあ、カンパーイ!

    西塚 いやあ、もう27日になりましたね。次にお会いするときはおそらく来年になると思いますが、前回は個人的にはかなり面白いお話であって、保守と革新の両極端と言うか、保守のいき着くもの、革新がいき着くものが、結局は個を棄損する、貶めたり、なくさせる、解体させてしまうということで、やはり個は大事だというお話でした。ヤスさんとの話でずっとそこはテーマでもあるんですけども、保守と革新というところからの視点が面白かった思います。

    経済の問題で言えば、前回FRBの利上げの話がありましたが、あれは大した問題じゃないよと。新興国から資本も抜けるだろうけれども、大したことではない。そのことよりも僕が面白いなと思ったのは、投資家にしても何かの現象があって、そこで大変だ、こうなるからこうしようというのではなく、あ、こうなるかもしれないという憶測して、実際にそれを自己実現的に現実化してしまうという話です。そのことのほうが影響力としてはでかい。何かを動かしている原動力であるという。何かがあって経済がこうなっちゃうよ、じゃないんだなというところが面白かったですね。

    ヤス だから相場なんて典型的にそうですよ。客観的なメカニズムがあって上がったり下がったりしてるように見えると言うか、そのような説明をつけたがりますけど、基本的に違いますね。

    金融資本主義の終焉

    西塚 違うんですね。そうなると、いわゆる株の予想とか、ああいうのはどういうことになるんですかね。

    ヤス 集合意識がどう動くかでしょう。集合的な感情がどう動くかですね。かなり大多数の人が、たとえば日経平均が下がると予想した場合に、下がるということを前提にした行動をとるわけですよ。下がるからその前に売っとけというような形でね。その行動が一般化すると本当に下がるわけです。

    なぜ下がったかということをいろんな説明をつけて解説するわけですね、エコノミストとかね。でも、基本的に何で下がったかと言えば、多くの人間が下がると思ったからってだけの話ですよ(笑)。

    西塚 僕はそれはけっこう重要なご指摘だと思いますよ、実は。だって、みんな結果から分析して、こうだろうああだろうと言うんだけど、その前にそういう思いがあって、そのとおりに行動しちゃってるから、そうなったってだけになりますから。今までヤスさんと話してきた、個が現実を創っていくということとものすごくリンクした話になってくる。

    ヤス まさにそうです。そのとおりですね。

    西塚 いろいろな分析が全部無駄だとは言いませんけども、見方を変えないととんでもないことになると言うか、常に後追いになっていって、何と言うかな、死に体の評論になって、何の意味もないという可能性もある。

    ヤス そうです。だから分析者がどういうことをやってるかと言うと、どのような要因であれば人々が反応するのかということを予想するわけですね。たとえば、FRBのちょっと利上げがあった。利上げというのがひとつの大きな要因になると。利上げというのは客観的に見たらね、いわゆるドルがどんどん強くなる流れですから、アメリカに資金が流れることになる。それに対して市場はこう反応するだろうというふうに予想するわけですね。それで分析をするわけです。

    ただ今言ったように、じゃあ利上げがあったから実際にそうなったのかと言うと、そういうわけじゃない。ちょっと微妙なところですけどね。多くの人が株価が上がると思ったから、そのように行動して実際に上がったっていうことだと思いますよ。

    西塚 前回のお話だと、リーマンショック前ぐらいのアメリカに戻ってるということでしたね。いわゆる景気がいい。でも反面、CLBとかCLOでしたっけ? ドット・フランク法にいろいろ抜け道があって、もう莫大な債権になっている。そうなると、いくつかの予言にもありましたが、2016年の来年ですね。何かクラッシュが起きそうだと…

    ヤス シンクタンク系のいろんなレポートを見ると、また僕の友人のシンクタンク系の人たちの話を聞くと、日本のクラッシュということに焦点を当てると、だいたい2016年から2022年という幅を持って見てるわけです。ただ、一番可能性の高い年のひとつの年が2016年だと言われてるんです。

    西塚 2016年から2022年というのはけっこう幅がありますけど、スタートが2016年ということは、そのころからヤバくなってくるだろうっていうことですか?

    ヤス もうヤバいんですけどね。抑圧されてる矛盾がいつ噴出して、いつ危機に結びつくかってことだと思いますね。

    西塚 来年は経済的にちょっと注視していかないと怖いですね。起こりうるという前提でいろいろ、まあ資産がある方はなるべく考えたほうがいいんじゃないかなってことですね。

    ヤス 基本的にわれわれはどういう流れかにいるかと言うと、金融資本主義が終わるんですよ。終わると言うか、現代の先進資本主義国がありますでしょ? 先進資本主義国がどういうやり方で経済成長していたのか、体裁を整えてたかと言うと、これは借金ですよ。

    さっき言ったCLOとかCLBという金融商品に重なる部分なんですけども、たとえばね、昨日の勉強会でも言ったんですが、現代のアメリカのいろいろな経済水準はいいことはいいんですね。失業率は下がってるし、住宅をみんなどんどん買ってるしね。消費者マインドもけっこういいんですよ。みんなお金を使いたいという流れなんです。でも賃金を見ると、ものすごい勢いで下がってる。そうすると謎に思いません? 賃金が下がってるのに何で消費者マインドが高いのか。要するに、賃金がどんどん下がりつつあるのに、人々はお金を使ってるってことですよ。

    西塚 借金ですね。

    ヤス そうです。そのメカニズムは、いわゆるクレジットカードを主体にした、ある意味でリスクをミニマムに見せるようなさまざまなシステム。要するに自分の年収を超える大量の借金ができるシステムですね。

    これは、エコノミストがかっこよくレバレッジ経済なんて言うんですよ。日本はレバレッジ経済が弱いから、まだイマイチ経済成長が…なんて言うんですけどね。借金して自分の収入を超えた消費をしろって言ってるようなもんです。そのような実質をともなわないような借金経済というのは、いずれ終わる。借金のメカニズムを作らないと経済成長したという体裁を整えることができないというのは、われわれの先進資本主義国が至った限界なわけです。これは必ず破綻する。

    西塚 それが早ければ来年ぐらいから始まるだろうと。

    ヤス 早ければね。

    中産階層が没落した社会がいき着くところ

    西塚 わかりました。いずれにしろ、現在の金融を中心とした経済はもうどん詰まりで、あんまりいいことはなさそうですね。

    他にいくつか個人的に気になってるのは、プーチンがホドルコフスキーを殺人で国際指名手配した。完全にプーチンの政敵だった人ですね。あれはどういうことなんですか? 要するに、何だかんだ言ってロシアは多少経済も落ちてるみたいだし、来年9月の議会選もあって、プーチンに反対する動きをしているホドルコフスキーを中心にした反政府権力、反体制の輩をちょっとこう押さえつけようってことなんだろうと思うけども。

    ヤス まあ、そうですね。基本的な欧米が立てたシナリオがあるわけです。ロシアに経済制裁をする。原油価格がどんどん下がる。また原油価格を下げる誘導をする。そうするとエネルギー大国であるロシアはどんどん経済的に困ってくる。経済的に困ってきたら、やっぱりプーチンに対する支持率は衰える方向にいくだろうと。すると今度は大きな民主化要求運動が起こるだろうと言うか、起こす。

    だからその状態は、たとえばカラー革命であるとかね、アラブの春で欧米が仕掛けたように、エージェントを使ってさまざまな民主化要求運動を仕掛けて、プーチン体制を揺さぶるということができやすい環境なわけですね。

    おそらくね、今回のホドルコフスキーの国際指名手配というのは、もうそのような動きが始まっていたという証拠だと思いますね。だから、はっきりとそういう動きが出る前に潰しておこうってことだと思いますけどね。

    西塚 けっこうプーチンは本気なんですね。本気に対峙すると言うか、立ち向かっている。

    ヤス そうです。前にもね、何回か同じことを話したんですけど、ロシア国民の持っているプーチン像、まあプーチンの支持率は80%を超えてますが、その理由は、国家の分裂のトラウマを抱えてる人たちが圧倒的に多いということ。国家の分裂、崩壊がどういうことを意味するのか身にしみているので、国家の統合の基礎となっているプーチンに対する支持率は極端に高い。今はね。だから欧米が言うように、経済制裁で経済が下がって、プーチンに対する支持率が衰えるなんてことは、そう簡単には起こりようがないわけですね。

    西塚 起こりようがないですね。それを聞いて思い出すのは、ヤスさんが9月に出されたご本にも書いてありますが、抑圧されたものの噴出ということですね。

    さっきチラッとこの収録の前に飲みながら話しましたが、例のチョムスキーですね。ノーム・チョムスキーが9.11のときにアメリカを批判した。あのとき言われていたような、いわゆるアンチグローバリゼーションとかではないと。そんな単純な構図ではなく、要するにグローバリゼーションの名のもとに、やられてしまった中東の人たちの怨念、それがすごく貯蔵されてて、それが噴出してきたんだよってことを言っていた。

    そのときはみんなバカにしちゃって、何言ってんだと。ナショナリズムとは言ってなかったかもしれないけど、要するにグローバル化に対するアンチであるという簡単な構図に落とし込めちゃって、真実が見えなくなっていた。今から思えばそう言えるわけです。

    だから今のプーチンのお話につなげちゃえば、依然として支持率が80%あるっていうことは、以前のお話にも出たように、怨念ですね。中国もそうですけど、もう二度とごめんだと。欧米にやられちゃって、あんな貧しい暮らしはもうイヤだということが相当根強くある。

    しかもヨーロッパとか日本が戦争のトラウマを忘れ去っちゃったような、ずいぶん昔のことではなくて、つい最近のことだというのがまた大きいですね。そこを見ないと、ロシアがいわゆる民主化運動でぶっ壊れるとか何とか、そんな単純な話じゃない(笑)。

    ヤス 単純じゃない。たとえばね、われわれの前の社会では分厚い中産階級があったわけですよ。どの国でも先進国であれば70%パーセント以上の人が中産階級ですね。非常に安定している。安定してる場合は極端なことって起こらないわけですね。過去の歴史にトラウマを持ってるとしてもね、その過去の歴史のトラウマに基づく怨念、その怨念に基づく過激な行動をとるというよりは、現在の生活の安定化ということのほうがプライオリティーがはるかに高いですから。過激な行動とか過激な判断にはいかない。

    ただ、今の状況は、そうした中産階級がぶっ壊れてボロボロになってるわけです。今アメリカのですね、この間統計で見たんですが、飢餓人口ってすごいですよ。4600万人です。

    西塚 アメリカですか? そんなにいるんですか。

    ヤス フードスタンプを受給してる人たち。要するにフードスタンプがなかったら食えない。

    西塚 そういう意味か。14%くらいいると言いますからね。

    ヤス いる。4600万人(笑)。

    西塚 すごいな。フードスタンプがなければ死んじゃう人たち…

    ヤス 死んじゃう。この人たちが、何と元中産階級が多いんですよ。今までちゃんと生活してたんだけども、急に職を解雇されたとか。

    西塚 あるいは住宅ローンで破綻するとか、いろいろあったんでしょうけど。

    ヤス そうそう。

    西塚 完全にそれはまあ、いわゆる失政ですよね。要するに何かのミスですね。間違ってるってことですね、社会の運営の仕方が。

    ヤス そのぐらい大きな格差がどんどん出てて、中産階級そのものがそれこそ崩壊の危機に瀕してるわけですね。

    西塚 そうなると「アトラスシュラッグド」ですね。2016年。あれは、何であんな映画ができたのか。それこそWeb Bot的に言えば、ある恐怖値があの映画を作り出したのかもしれません。

    ヤス そうですね。アイルランドのね、あれはイルミナティーの脚本なんではないかというような言い方もされてます。

    西塚 へえ、逆にですか?

    ヤス 逆に。こういうことを引き起こしてやるっていう予告。

    西塚 あるいは、こうなるんだぞという脅しとか。

    ヤス そうですね。予告だという理解の仕方もあるんです。

    ちょっと中産階級の話に戻りますと、そのように中産階級がどんどんぶっ壊れてくると、やっぱりその怨念の持ってく場所に困るわけです。そのような怨念の持ってく場所に困るぐらいに不安定化した社会は、ふたつしかいきようがないわけです。

    ひとつの道は、今われわれが目にしているような、さまざまな怨念の象徴化した集団が表面に現れてくる。そのような集団によるテロであるとか、抗議運動であるとか、社会をもっと不安定化させる要因がどんどん出てくる。それを放っておくとですね、社会の自己解体みたいなものに結びついてくる。

    あともうひとつは、これはもっと強烈なトレンドなんだけども、そのような自己解体のプロセスをストップして、社会というものをもっとタガを締めてまとめるために、国家の力が極端に強化されるという方向です。

    西塚 超国家主義、超階級社会の元になるようなシステム。ヤスさんの見立てとしては、そちらのほうに向かってるということですか?

    ヤス その流れは強いわけです。明らかにね。

    西塚 今そうですね。EUなんかもそうですね。

    ヤス EUもそうです。EUは、おそらく国家以上にEUという共同体を全体的に強めるという方向にいくんじゃないかと思います、最終的には。ただ、これはもうパワーゲームとしてですけど、じゃあ怨念だけの塊になった民衆はどうするのか。まあ怨念だけの塊ってことはないですけどね。やっぱり下から経済を再構築する運動が起こってくるはずなんですね。徐々にですけど。

    もし、下から経済を再構成してくる、たとえばコミュニティ運動であるとか、いわゆる地域通貨みたいなものを自分たちで作ってね、それで経済を循環させる運動であるとか、下からそういう運動が起こってきた場合、もしその運動が国家の上から統制する力を凌駕するぐらい大きな運動になった場合、それはわれわれが勝ちますよ。

    西塚 そうですね。それは予測できないと言うか、われわれしだいと言うしかないんでしょうけれども。

    ヤス われわれしだいと言うしかない。だから、何とかしてくれは、もう通用しないということだと思いますね。

    とにかくずっとやり続けることが重要

    西塚 通用しないということですね。そうすると小さいシステムまで絡んでくる話になってきます。たとえば、サラリーマンであるとか、サラリーマン自体がいいとか悪いとかではなく、やっぱりどうしても給料がもらえるということで安心感はめちゃくちゃあるわけですけど、その安心感を担保にして何かを殺していかなければいけなくなる。

    その抑圧していく、殺していく、見なかったことにするということの積み重ねのあげくの果てが今だとも言えるわけです。そうなると蟻の一穴じゃないけど、個人がたとえば脱サラしちゃうとか、好きな趣味でいっときは貧乏になるけど何かやってみるとか、やっぱり失敗したじゃんと思われるかもしれないけど、そういうふうにやっていくしかないと思うんですね。個人的には。

    ヤス おっしゃるとおりです。まあ何と言うか、へんな法則だと思うんですが、法則と言うか当たり前のことなんですけど、やり続けるものはたいてい形になって成功するんですよ(笑)。

    西塚 継続は力なんですね。

    ヤス 継続の力。あとはもう根性だけの問題で。やり続けりゃいいんですよ。日本人ってね、けっこう根性なしが多いんで、途中でやめるんですね、みんなね。

    西塚 やめちゃうんですね。今まではやめても、また戻るという場所があったからいいけど、これからはたぶんなくなるんじゃないんですか。会社にしても、戻ろうと思っても会社がなくなったり、業界自体がもう滅んでたりということがどんどん出てくると思います。

    ヤス そうするとね、そういう変化に対する対応、変化に対する適応力、それがどの水準から出るのか。会社という組織性の水準から出るのか。または国家とか政府といったようにね、大枠の組織のところから出るのか。はたまたそうではなく、個人のレベルで発揮されるかっていうことなんですけど、一番ここで発揮されねばならないのは、個を中心とした現実に対する適応力ですね。  

    西塚 そうですね。その適応力と言った場合に、今までも何回もテーマになってるんですけども、やっぱりこれは人によって違いますね。ヤスさんどう思われますか? 

    ビリー・マイヤーというのがひとつの軸に出てきてますけれども、ビリー・マイヤーと言っても読んでない人もいるだろうし、実際僕なんかも全部は読んでないから、どれをどうしていいかというのもあるんだけども、僕の場合はそういうことを考えていくこと自体が生きることにつながってるんで、また違うかもしれませんけど、何かこう不文律なり何かがあるべきだと思われます? 何かに従っていく、こういう考え方をしていけば、何となく自分の考え方に見合った現実を創り出せるだろうし、そうすべきなんだ、そっちのほうがいいんだというものがあるべきなのか、どうなのか。

    ヤス 僕はその原理原則はあると思うんですね。ただ、原理原則はあるんだけれども、それは何か抽象的で深遠な哲学ではない。ある意味、経験値ですね。だからさっき言ったようなこともそうですよ。どんなことでもやり続ければ形になって勝つんです(笑)。それは経験値からそうだ。だから、ある臨界点までやり続けられるかどうかですね。

    西塚 そこなんです。また茶々を入れるようなこと言っちゃうかもしれないけど、サラリーマンにしろ何にしろ、ひとつのことをずっとやっていけばいいんだという話にもなりますね。何と言うか、何かをずっとやり続けるということに、自分なりの意義を見出してやっていけばいいのでしょうが、間違った方向というものはないものなのか…

    ヤス 客観的に見て、間違いとか正しいという方向は僕は言えないし、実際ないと思うんです。ただ、道徳的にこれはあってはいけないって方向はありますけども。たとえば、自分がやり続ける方向が原理主義的なテロを強化するような行動であれば、これは絶対にやっちゃいけないし、倫理的な基準というのは存在してしかるべきだと思うんですね。

    しかしながら今言ったように、現実を変える、たとえば世の中が変化する、社会が大きく変化する、その変化に合わせてフレキシブルに自分が適応しなくちゃダメだと。適応するための何かの原理原則みたいなものがあるかどうかということになってくると、経験値としての原理原則しかないってことだ思います。

    何か超越的な倫理的なもの、こうこうこういうような行動をとってたから彼はダメで、こういうような行動をとってきたから成功だといった、ハウツーってのはあんまりないんですよ、きっと。だから極端に言えば、現実を変えるってさほど難しくはない。ある特定の方向、目的を目指して、その行動をやり続ければいいわけですね(笑)。そうしたらね、どこかでドアがぶっ壊れて、壁がぶっ壊れるんですよ。そして向こう側に出るんですね、確実に。

    西塚 ドアーズじゃないですけど、「Break on Through」ですね。

    ヤス Break on Throughです。そこまでやれば、確実にそうなるし。一回その原則をつかんでしまえば、じゃあもう1回やるか、じゃあ2度、3度やるかってことになるわけです。

    西塚 最初に目的ありきってことですね。まあ、Break on through to the other sideと歌ってましたね、ドアーズは。好きな歌でしたが。

    ヤス ええ。英語で言うとね、Bamming the doorって言うんですけど、ドアをぶっ叩く。とにかく繰り返し繰り返しぶっ叩いてたら、カチャッと開くんだと(笑)。そしてother sideに出る。

    西塚 これまた違う話になっちゃうかもしれませんけど、引き戻す力ってあるわけですね、日常に。要するに今までの楽なやり方です。ビリー・マイヤーでもさんざん出てくるテーマですけどね。とにかく人間は楽なほうにいくんだと。今までの惰性と言うか、とにかく楽なほうにいく。思考でも何でも。そうするとやっぱり停滞していくから、彼らは、人間は進化していくわけだから、そういう流れには乗っかってはいけないというような言い方をするじゃないですか。

    僕はそこにヒントがあるような気がしてます。進化したいなら動かなきゃいけない。辛くてもですね。辛いかどうかというのはまた人にもよるんでしょうけど、それが喜びに変わるのか、使命感なのか、義務なのかというのは、ちょっと人によってわからないところです。少なくとも停滞すると、それなりのものしか待っていない気はしますね。

    ヤス そうですね。とにかく停滞しないで、ひとつの方向に向かってずっとやり続けるってことだと思いますよ。

    西塚 昔、よく文学的な比喩として、上流ほど水はきれいで、下流になっていくにしたがって水は汚れるんですが滔々として、川幅も広くなって、海にも近くなるという、文学的な表現がありますけれども、そこで停滞というのは、その川の流れでどこかで分岐して、そこで沼になったりして、それはそれで文化を生むんだと。何か特殊なものを生んで、それはそれでいいじゃないかって言い方があるんですね。

    だから、これはいい悪いじゃないですね。自分はどこにいきたいのか。どういうことが心地いいのか、自分は選択するのかという、単純にそういう問題かもしれない。

    僕はみんなが同じところを目指さなきゃいけないとは思わないけれども、自分がいいと思ったら、こっちのほうがいいんじゃないかぐらいのことは言いたいというのが、ちょっと強いと思うんですよ。

    ヤス いや、言っていいと思うんですね、全然ね。

    西塚 言い続けますけどね。たとえばカミさんでも誰でも、子どもでも友人でも、ちょっとウザかったり、熱かったりというのは、昔からけっこう言われましたけどね。最近は、ビリー・マイヤーの書籍にもありますが、それはもうしょうがないし、要するに人それぞれの進化の仕方があるんだと。そういう言い方をするんですね。

    でも僕は個人的には、あんまり感情的になっちゃいけないけど、それは何かさみしい言い方かなっていう(笑)、余計なお世話なんですけどね。言われるほうにしてみれば。

    ヤス 話はよくわかりますよ。西塚さんの中に根本的にひとつの大きな欲望があるということですね。それは何かと言うと、たどってきた道を全部俯瞰したいっていうことだと思います。自分が作り上げてきた地図を俯瞰したい。多くの人たちが作り上げてきた地図の俯瞰。やっぱり風景全体を見たいという欲望かなと思いますね。

    僕もそうした欲望が強いんだけど、ただ、ある決意にしたがって同じことをどんどんやり続けていって、それで自分が現実をどんどん創り出していく。創り出し続けることによって、それがある程度まででき上がったときに振り返って見ればいいんですよ。そうしたら、何を創り出してきたかが絶対わかりますから。

    ダークな力は必要

    西塚 ちょっとスピリチュアル的な話になっちゃうかもしれませんけど、こういう言い方もあるんですね。いわゆる一瞬一瞬に生きるって言い方があるじゃないですか。ヤスさんなどはまさしくそうかなと思いますが、瞬間瞬間で生きていくわけです。その積み重ねの記憶がおそらく貯蔵されるということなんだろうけども、僕はあまりそういう気がしないんですね。

    一瞬一瞬に記憶が書き換えられてる気がするんです。あまり言うとSFっぽくなりますが、書き換えられると言っても過去がなくなるという意味ではなくて、少なくとも過去にあったことが、一瞬一瞬の気分なり、やってることによってちょっと意味を変えると言うか、僕は本当は変わるとまで言いたいんだけれども、何かそういうことがあるような気がします。だから過去の積み重ねを見るというよりは、そのときどきのものによって、過去の感じ方が変わるっていうことに近いのかな。

    ヤス そうですね。ただね、その過去の感じ方って、意識が急激に変わって行動が変わるみたいな感じで理解してると思うんですけど、僕は逆だと思うんですよ。ある特定の目的を目指した行動をとにかく反復していく。反復することによって意識が変わる。意識が変わることによって、おそらく過去の自分に対する関係が変化するんですね。

    西塚 そういうことですね。それは以前うかがったお話でも、「資本論」を読み続けていてパッと開けるとか、武道でもやり続けることによってパッとわかるってことですね。ある種の作業の反復というところに鍵があるのでしょう。

    ヤス それがさっき西塚さんがチラッと言った、いわゆる日常に引き戻される、または日常ということで今ちょっと象徴的に言った、ある意味自分の内面の暗い力に引き戻される。それに対する抵抗は何かと言うと、反復作業をやり続けるだけですね。

    西塚 その日常ということも反復作業ですね。前提として、日常に引き戻されるのがイヤだとか、これじゃ停滞してるなとか、本当はこういうことをやりたいんだということがないとしょうがないかもしれません。今まで反復している日常から脱したいとか、本当はこういうことを目標にしたい、こういうことを思ってるということが大前提としてないと、ずっと日常でただ快感作業をしていればいいじゃんということになってしまう。

    だから、そういう前提は本来はその人なりにあるはずなんだけども、それが埋もれたり、誤魔化されてるということなのかなと思うんです。その人なりのものが出てくるにはどうしたらいいかと言ったときに、たとえばビリー・マイヤーだったら瞑想であるとか、あるいは何かの稽古であるとか、本を読み続けるとか、対話し続けるとかということになるんでしょうけども、きっかけとしては。

    ヤス もっと言うとね、日常のダークフォースと言うか、暗い力に勝つためには、日常の中に「やり続ける」という別の行為を取り込むということです。僕なんかは毎週メルマガを書いてる。メルマガは全体で1万字ぐらいです。毎週の行為ですよね。何日も前に準備しますけど、毎週の行為。これをやり続ける。やり続けると読者も増えて、いろんな意見とかをもらって、それはすごく楽しいんだけども、そうすると自分の日常の一部になるわけですね。メルマガの1万字を書くことが快感になるわけですよ、ずっとね。それをやり続けていくと、徐々に現実が変わってくる。

    西塚 となると、やはり意識の拡大というのは、行動の拡大かもしれませんね。

    ヤス そうです。だから、意識を拡大するように行動せねばならないということですね。だからわれわれが、西塚さんだけじゃなくて僕も含むんですけども、多くの人たちが考えているとおり、何か直感的に覚醒みたいなお告げがあってね、それで一気に意識が変わって、それからビフォーアンドアフターでまったく別の人格になってね、それで新しい人生を歩み出すなんてことはあり得ないんだと。もし、そういうことを誰かが実感しているとしたら、これはヤバいぞと。薬物やってないのか(笑)。

    西塚 よくあるじゃないですか。いきなりお告げがきたとか。

    ヤス そうそう。だからそれはね、操作されてないのかって(笑)。

    西塚 神を見たとか。あまりコアな、ヘビーな話をするつもりはないですけども、たとえばファティマみたいなものでも、あれも操作されてるという話もあるぐらいなんで、やっはり闇雲に信じるべきではないですね。そういう直感なり、幻視なり、幻覚、声が聞こえた(笑)…

    ヤス そうですね。そういうものを否定するわけではない。あることはあるんだけれども、もし自分が体験した場合は、まずは疑ってかかったほうがいい。なぜかと言うと、普通に現実が変化するということは、そういう方向ではないんですよ。現実が変化するときは、行動のほうが先に出るわけですね。ずっとその行動を続けていったら、実際に現実が変わって、それに合わせて意識が変わるってことですから。

    西塚 そうかもしれませんね。不思議なのはですね、僕はあまり詳しくはないんですが、ベンジャミン・リベットというですね、これは合気の先生から教えてもらったんですけど、生理学者がいて、この学者が言うには、人間はこうしようと自分で決断して、たとえば手を動かしたりしていると思っていますが、まったく違うんだと。0.5秒ぐらいの差があって、事前にもう行動が決定されている。これは脳内の電位の実験などですでに証明されてる科学的事実らしいんですね。

    手を動かそうと思った瞬間に、もうすでに反応していて、手を動かす用意ができている。だから脳は、手を動かしたことをあとで認識する。つまり、手をすでに動かした0.5秒あとに脳がようやく認識して、しかも脳は0.5秒戻して認識させて、われわれがリアルタイムに認識してるように錯覚を起こさせていると言うわけです。だからわれわれは、実際の世界を0.5秒後に脳で再構成した世界を認識している。脳が指令を出して、何か行動をしているというのはまったくのまやかしだと。

    そうなると人間の理性とか意識というのは、ますます怪しくなってくる。だからそうじゃないものに依拠すると言うか、少なくとも人間の意識とか理性は、感情よりはそちらを恃みしたほうがいいんだろうけども、あまり絶対視しないほうがいいのかなと思うわけです。

    僕はそういった意味で、直感とか感情の区分けに関しては今までいいかげんだったかもしれないけども、理屈とか意志とか理性的なものじゃない、もっと内面から出てくるもののほうがはるかに信頼できるって言い方をしてきたんですね。僕の言い方が厳密じゃなかったので、ヤスさんとのいろいろな話の中で、感情はダメだということが出ましたが、もっとこみ上げてくるもの、そのときのヤスさんの言い方を僕なりに解釈すれば、もう結論に近い判断として出てくるもの。結果として出てくるようなもの。その感覚というのは、これは確かに実感でしかないんですね。ちょっと言葉ではうまく言えないようなものですね。ヤスさんがうまく言ってくれるならいいんですが、僕はちょっとうまく言えないんです、あの感覚は。

    ヤス 冷厳な判断ですよ。そこには感情的な要素は待ったくないです。こうなるというね、確信とともにやってくる冷厳な判断です。

    西塚 だから当たり前なんですよね。

    ヤス 当たり前のことです。そう。

    西塚 そうなったから、ああ、やっぱりそうなった、ということでもないんですよ。当然という感覚。ゼランドもそういうこと言うわけです。そういうものとしてやってくるんだと。そして、そういうものを自分でも養えると言うか、そういうものを持てば、要するに間違いなく現実化するという言い方をするわけですね。そのへん、難しいんですけどね、言い方が。

    ヤス そういった直感が自分に来るのをずっと待ってて、直感が来ない限りは何も活動しない、ということではない。逆に言うと、そのような冷厳な判断としてのクリアな直感がやってくるというのは、行動によるんです。ある目的に向けてずっと歩んでいるときに、必ずやってくるということだと思います。

    西塚 それで、ゼランドの話を続けるとですね、冷厳な直感としてやって来て、もうこれしかないと思ってやり続けるじゃないですか。そうすると、間違いなく邪魔もやって来るんですね。僕はですね、その源泉を知りたいんだけど、必ずネガティブなもの、自分の意志をくじけさせるものに出逢うんだと。それでも、なおかつやっていく人が成功していくんだけども、必ずやって来ると言うわけです。

    でも、ゼランドはこういう言い方をするんです。僕の好きなフレーズなんですけど、たとえ地獄の底に転げ落ちていくようにしか思えない状態でも、冷静でいて、ポジティブな選択をしていく。そうする限り大丈夫だと言うわけです。これはですね、ビリー・マイヤーの本にも似たことが書いてある。わりと共通しているんですね。だから、その源泉を知りたいんです。悪魔なのか、まあゼランドはそれを振り子、ペンジュラムという言い方をするんですが、ダークな力、引き戻す力、それは意外と単純な作用・反作用なのかもしれないし、僕はちょっとわかりませんけど、必ずやって来る。

    ヤス 物事が発展する場合はダークな力は必要なんですよね。

    西塚 かもしれないですね。

    ヤス 絶対にね。逆にポジティブな力が加速化するためには、ダークな力との絶妙なバランスがないと無理だと思いますよ。

    西塚 踏み台がなければジャンプはできませんものね。

    ヤス ジャンプはできない。ちょっと卑近な例ですが、「ヤスの備忘録」というブログをやってて、1日のアクセス数が1万とか2万とかある当時ですね、投稿欄を全部オープンにしてたんです。そしてあまり介入しないようにした。そうするとネガティブな投稿が来るわけですよ。ネガティブな投稿がどのようになっていくのかと思って、ちょっと様子を見てたんですね。

    ネガティブな投稿が来る。すると、どんどんネガティブな流れに沿う投稿が多くなってくるわけね、オレもそう思うみたいなね。多くなってくるんだけど、逆の反作用としてポジティブな投稿も多くなってくる。そうすると、ネガティブとポジティブのある特定のバランスができたときに、アクセス数が急激に伸びる。だからある程度、自分に対する批判とか、そういうネガティビティというものをむしろ取り入れていくということ。

    西塚 実際、どうでしたか? 拮抗するのが一番いいんですけども、どちらかがと言うか、ネガティブなものが増えていく傾向はないですか?

    ヤス 増えてく傾向がある。だから僕はいつも意識していたのは、ネガティブが増えないように、ある一定の水準を超えたらネガティブを抑えていく。投稿を消すんです。

    西塚 やはり微調整はするんですね。あんまり突拍子もないものはね…

    ヤス 微調整する。そうすると、ネガティブを取り入れた上でね、ポジティブな発展のサイクルができ上がってくるという感じはしました。

    西塚 ビリー・マイヤーの本でもこういうことが書いてありました。野蛮性は必要なんだと。要するに、人間が何かを開発するときに、たとえば動物実験がないとワクチンは作れないだろうし、実際にワクチンで助かった人はいっぱいいるわけなんだけども、それは動物愛護の点から言えばとんでもないことだし、それはその通りだと。でも、そういう野蛮性があるからこそ、進化するんだという言い方をする。全部が全部、要するにキレイキレイで、その野蛮性もイヤだし、人も殺したくないし、傷つけたくないということは、滅びるってことだと思います、おそらく。

    ヤス ユングにですね、「アイオーン」という分厚い書物があるんですが、1950年に書かれた本で、これからは水瓶座の時代に入ると。その前の時代、われわれの魚座の時代はどうだったかのか。その時代の区分のことをアイオーンと言うんです。

    西塚 水瓶座の時代というのは、ビリー・マイヤーが生まれた1937年から、魚座からの過渡期の後半に入ったんじゃなかったでしたっけ? その過渡期を経て、本格的に水瓶座の真価が発揮されるのが2029年からとか何とか…

    ヤス いろんな説があります。2008年から入ったって人もいればね。どこで入ったかということは、比較的アバウトなのかもしれませんけどね。いずれにしろ1950年にですね、ユングが「アイオーン」という本を書いて、徹底的にキリスト教を批判するんですよ。特に最後の部分が面白くて、十字架という象徴の批判なんですね。

    あれは、絶対的な善としての神の象徴なんだと。クロスというのは絶対的な善ということで、神のマインド、人間が実現しなくちゃならない理想的な人格を、ユングの目から見るとキリスト教が神としたんだけども、その神からすべての悪を完璧に放逐してしまったと。絶対的な善にしてしまったんだと。

    要するにネガティビティを入れることに失敗した。そうすると、そのネガティビティは神の象徴の中に入ることが許されないから、徹底的にただ抑圧されるだけの対象になる。それはどんどん肥大化して必ず人間に復讐することになる。だから、それは強烈なネガティビティによる復讐を引き起こすための象徴なんだと。それがいかに不完全であるか。だから、この世に生まれてきた私の役割というのは、キリスト教にネガティビティを引っ張り込むことだと言ったんですね。

    西塚 ユングはそこまで言ってるんですか。やはり重要な人物ですね、ユングも。

    ヤス 重要な人物ですよ。それに対して、たとえば仏教のね、まあいろんな仏教の学派がありますけども、仏教は基本的に人間の中にあるネガティビティを認めてるわけです。機能的に必要な部分として認めている。

    キリスト教は、独自の非常にアンバランスな精神構造を作り上げた。要するに、キリスト教の倫理観から見て悪と思えるようなもの、たとえば結婚してるのによこしまな欲望を抱くとか、そういうものを徹底的に弾圧する。

    西塚 だから数回前のお話で出たアメリカの下院議長のベイナーも、あんな悪いヤツでも号泣するんですね、震えちゃって(笑)。何かを抑圧してたんじゃないですか、おそらく。良心か何かわかりませんけどね。

    ヤス おそらくそうでしょうね。だから永遠に自分が罪の意識と良心の呵責を持つように仕向けるわけですよ。

    西塚 原罪ですからね、もともとが。僕もあれはひどいと言うか、理解できないんですけ
    どね。

    ヤス だから、そのネガティビティをどういうふうにうまい具合にね、人間の中に取り込んでいくかということは、少なくとも個ということを考えてみた場合に極めて大きいですよ。

    西塚 僕もそれは若いときから、漠然とですけどテーマでしたね。卑近な言い方をすれば、酸いも甘いもと言うか、清濁あわせ呑むということにわりと真実があるような気がしています。それをまっとうできる力強さ、精神的な強さっていうものがないと、世の中は生きにくいだろうなと思ってたんですね。キレイキレイだけでもダメだし、濁だけだったらやっぱり滅びるだろうし、そのバランスとしか言いようがないんですけど。

    セオリーを無視する創業社長

    ヤス 「複雑系」って理論があるじゃないですか。「カオスの縁」であるとかね、いろんな秩序のひとつのイメージが出てくるんだけども、自分自身ですごく面白いと思ったのは、そのカオスになってるもの、混乱の要因って言うのかな、本格的なカオスになってるものをいかにシステムの中に取り込むかによって、システムが活性化したり、ダメになったりするんですね。

    西塚 たぶんそれは勘で、理論を立てなくても、おそらく中小企業の立派な社長さんなんかはわかってるんでしょうね。

    ヤス わかってる。非常によくわかってる。

    西塚 こいつはトッポくて不正もするんだけど、こいつがいたほうがいいとか、あるんじゃないですかね。

    ヤス 中小企業の社長を何人か知っていますけど、それは特に創業社長だけですね。

    西塚 やっぱりなあ。それは面白いな。それだけで1冊本書けますよ。

    ヤス 二世、三世はないんですけど、創業社長だけですよね。本当に直感力がすぐれてますね。本人は人間を見抜く、オレは敏感なんだって言い方をしてますけど、僕の目から見ると本当にね、絶妙な配置をしますよね。このへんと、このへんって配置して。

    西塚 そうなんですね。だいたい創業社長ですよね。前にも申し上げたかもしれませんが、麻雀でですね、中小企業の社長同士のマージャンなんてのはセオリーも何もなくて、あんな連中とは絶対やるべきじゃないってある人に言われたんですね。何でですか?って言ったら、とんでもない、あいつらはと。麻雀はある手がそろって勝ちになるんですけども、一応セオリーみたいなものがあるんですね。でも彼らは何も関係なくて、いらないものはどんどん捨てるし、欲しいものは持ってくる。これしかないんだと。それでみんな勝っていくって言うんですね。あれは化け物だって聞いたことがありますね。

    だから、普通はちょっとうまいと考えるわけですよ。あいつはこの手をやってるから、これを捨てると当たる、要するに負けちゃう。いろいろそういう緻密なやり取り、思惑でやるゲームなんです。だまし合いも含めて。そんなんじゃないんだと。中小企業の社長たちの恐ろしさと言うんですかね、もう直感で動いていく。

    ヤス だから、セオリーを求めたらダメなんですよね。理屈でこのようにやればこうなるなんてものはないんですよ。それもさっきの行動の原理で言えば、中小企業の社長というのは、要するにある特定のことをやり続けてるっていうだけですよね(笑)、ずっとね。

    西塚 あとそれこそ以前にも出た話で、フレキシビリティーですね。やり続けてダメだったら変えると言うか、簡単に変えてしまってまたやり続けるという。

    ヤス そうです。

    西塚 そのへんの勘とか直感もあるんじゃないですか。ひとつのことをやっていってもいいんだけども、やっぱり違うぞと思ったら変える勇気というのも必要でしょうね。

    言葉ってもどかしいですね。ひとつのことをやり続けるっていうことでも納得するんだけども、ちょっとした変数、変換事項が出てくるとまた言い直さなきゃいけない。言葉自体が危ないものがありますね。

    ヤス そう。だからセオリーとか、理屈とかを最初に前提にして、そのとおりマニュアル化しても大抵失敗しますよ。無理です。僕が好きな社長がひとりいるんですよ。今は大きな会社に買収されてしまったんだけど、残念ながら。その社長の社内のニックネームが花咲かじじいっていうんですね。

    西塚 へえ。枯れ木に花を咲かせるんだ。

    ヤス いえいえ、とにかく営業にいい成績を上げろと。いい成績を上げたら金をばらまくからねって、本当にばらまくんです(笑)。金をワーッて、花咲かじじいが灰をまくようにしてばらまいて、人に与えるので。

    西塚 え? 本当に投げて、ばらまくんですか?

    ヤス いや、実際に投げるんじゃなくて、いい成績だったら、ハイって言ってボーンと渡す。え?ここまでやったら、これだけもらえるのか!ってみんななるわけです。そうしたら、みんな社長に忠誠を尽くしてガンガン働くわけですね。それで会社が大きくなる。彼に話を聞くと簡単なんです。要するに、みんな欲しいのは金なんだよと。それが本質だろう。だったら、努力したらちゃんと金をやる。

    西塚 それは理にかなってるし、わかりますよ。僕が行った中小企業の出版社がひとつありますけども、そういう感じでしたね。売れたヤツはガンと給料なりボーナスを上げる。そうするとまた頑張る。

    ヤス だからそれをですね、社長の目線で世の中を見るためにはとかね、経営戦略がどうのこうのとかってぐじゃぐじゃ言うけども、あれは大抵間違っているって言うんです、その社長はね(笑)。

    西塚 お金を余計にあげれば、余計に働くと(笑)。

    ヤス そうそう(笑)。極めてシンプルな論理です。論理なんだけども、本質であることは間違いない。

    西塚 確かにそうかもしれない。まあお金は欲しいし、評価でもありますからね。

    ヤス だから最初に理屈で武装してしまって、セオリーとおりだってことを前提にして物事を判断するとフレキシビリティーをなくてしまう。

    2016年以降、世界の形が変わる!?

    西塚 ちょっと言い忘れちゃったんで、戻っちゃいますけど、ひとつだけお聞きしたいんですが、世の中では関係ないって言ってますけど、例の「報道ステーション」の古舘伊知郎が辞めますね。来年3月で降板する。「NEWS23」の岸井(成格)さん、元毎日新聞の、この人も降りると。やっぱり例の古賀(茂明)さん、元経産省の、「アイムノット安倍」の古賀さんですね、あれが尾を引いてるんじゃないかと言われてますが、関係ないと言ってる。たぶん明らかにあると思うんですね。

    だからメディア規制がかなりきつくなってきたと。参院選までは、相当締めつけてくるんじゃないんですか、安倍さんは。言いたいことは言わせないし、何としても勝ちたいんだと思うんです。あとは憲法改正ですね、おそらく。これはどうなるのか。

    ヤス あと治安維持法みたいなものを持ってくると思いますよ。

    西塚 持ってくるかもしれないですね。宮台(真司)さんみたいな人に言わせれば、周辺事態法が決まったときから、これは見えてるって話になるんですけどね。盗聴法とかメディア規制もそれはセットなので、いずれはこうなるっていうことをすでに2000年ぐらいに指摘してるんですね、あの人は。先見の明があったと思いますが、本当にそうなってきたなと。安倍は本気でやるでしょうね、おそらくね。

    ヤス やるでしょう。だから、このファシスト政権をどこでぶっ潰すかですよ。

    西塚 ぶっ潰すかですね。だから僕もヤスさんにこうして毎週毎週来ていただいて、どこまでできるかわからないですけども、どんどん出していきたいですね、そういうことをね。それしかないんじゃないかと思います。メディアだって、まあアメリカの話もお聞きしましたけども、けっこうオルタナティブメディアがいっぱいあって、それこそ「RT」が視聴率で2位とか、笑っちゃいますけども、ああいうメディアがあってもやられちゃうわけですから。

    特に日本の場合なんかは、ちょっとそういうことが言えるメディアがあるだけでも、心ある人はみんな見るだろうし、今求められてるんじゃないかなと思います。昔「噂の真相」って雑誌がありましたよね? あれはロクでもない記事もいっぱいありましたけど、あれがなくなってみんなホッとしたらしいですよ。やっぱり怖がられてたんですね。やられちゃうかもしれないっていう。ああいうものは必要なんですね。

    ヤス 確かにね。面白いですね。アメリカの最大の批判勢力がロシアだと、国内でね(笑)。だから、アレックス・ジョーンズの「INFOWARS」なんて巨大なメディアになってますよ、今ね。地上波にもなってますから。ネットだけではなくてね。あれね、よく出てくるのは実はRTのコメンテーターたち(笑)。マックス・カイザーって人なんてよく出てくる。歯に衣着せないアメリカ経済批判なんですよ(笑)。

    西塚 それはやっぱり見習うべきですね。はるかに進んでますね。

    ヤス そう。あとロシアがはっきり目指しているのは、メディア大国。

    西塚 「スプートニク」も僕はあまり知らなかったんですけど、面白いですね。

    ヤス 面白いです。あれはやっぱり深読みせねばならないんですね。プーチンが今後何をやりたいのか、どのような方向に持っていきたいのかがわかる。

    西塚 30カ国語ぐらいに翻訳されている。国だからできるんでしょうけども、ひとつの企業がやろうとしたら大変ですよね。だからプーチンというのもね、またひとつ僕の中では何なんだろうと。

    ヤス 今後、このプーチンのやり方から出てくるのは、実はアメリカの金融資本主義ではないモデルがあるんだぞ、ということです。

    西塚 中ロの話でも、いわゆるASEAN以下、これからいろいろな国がどこの国をモデルにするかというときに、このままチャイナモデルが成功する、ロシアが成功するとなれば、もう欧米ではないし、欧米はむしろ資本主義を捨てるしかなくなるだろうって話がありますね。そういった本当に大きな意味で、2015年にきてですね、世界の形が変わっていくってことですね。世界の形というのは、取りも直さず人間の精神の形なので、やっぱり軌を一にして変革しつつあるというところに生きてるんだなと実感しますね。

    ヤス まさにそうですね。目の前で世界と言われている環境が変わってきている。それに対して、われわれも早いうちにフレキシブルに適応せねばならないということです。

    西塚 ようやく立ち上がる「五目通信」やこのサイトも、そのひとつのつもりでやるので、今後もおつき合い願いたいのですが、何か最後にありますか?

    ヤス 今年は2015年なんですけど、僕は2015年くらいに大きな危機が来るかなと思ってたんですね。シェールオイルバブルの破綻とか、新興国のどこかの破綻であるとか、それは何とか1年もったと思います。

    西塚 何とかもった。

    ヤス イスラム国の爆発的なテロであるとか、僕はおそらく今年もっとあるかなと思ってたんですよ。ただ1年もった。もったのは今年だけかもしれないってことですね。来年はもっとすごくなる可能性がある。

    西塚 なるほど。そういったことも、毎週こうしたことをやってますので、逐一ヤスさんにお聞きして発信していきたいと思います。じゃあ、また来年もよろしくお願いします。ありがとうごいました。

    ヤス よろしくお願いします。


    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

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    また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第26回

    1月12日

    ウエブボット最新版の配信

    明けましておめでとうございます。ヤスです。今年もよろしくお願いします。

    リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    「ヤスの勉強会」第22回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第22回を開催します。非常に急速に国際情勢が動いています。2016年は第3次世界大戦を回避できるかどうかが決まる重要な年になると思われる。あらゆる分野の情報を解析して、いま我々がどこに向かっているのか見通しを立てる。

    【主な内容】
    ・2016年はなにが起こるのか?
    ・大きく変革する「イスラム国」の情勢
    ・我々はやはり超社会主義に向かっているのか?
    ・日本は衰退の最終段階にいる
    ・個に内在した超越的な力と精神性

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:1月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無
    info@yasunoeigo.com


    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

    日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで
    場所  高松生涯学習センター

    会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
    〒760-0040 高松市片原町11番地1
    電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022
    会費   ¥5000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・2016年を展望する
    ・シェールオイルバブルは破綻するのか?
    ・中国の現状と今後
    ・ロシアはなにを目指しているのか?
    ・個に内在した本来の力


    まぐまぐ大賞2015、政治経済・国際情報部門で第2位になりました。ご推薦いただきありがとうございます!

    まぐまぐ大賞2015 -政治経済・国際情報部門
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    次回の有料メルマガの予告

    1月15日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、北朝鮮崩壊の引き金が引かれた可能性について解説する。アメリカはかなり前からこのシナリオを準備していた可能性がある。次に、やっと明らかになってきた軍産複合体の実態について紹介する。

    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

    amazonで注文

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第26回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    「「資本主義2.0」と「イミーバ」でみた衝撃の未来」出版記念ジョイントセミナー  講師:高島康司 12/6、1/16

    1月16日、「「資本主義2.0」と「イミーバ」でみた衝撃の未来」出版記念ジョイントセミナーを行います!第二回目のパートナーは前世リーディングの高橋善則さんです。よろしかったらどうぞ!

    申し込みリンク

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第26回

    oyaspi23

    西塚 みなさん、こんにちは。「酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting」の26回になりま
    すね。今日は12月のもう19ですか。押し詰まってきましたが、今日もまたよろしくお願いします。では、カンパーイ!

    ヤス と言うことで、いつものように、カンパーイ!

    西塚 前回は霊能者の話も出ました。今日もどうなるのかというところですが、時事問題に関しては、ひとつひとつお聞きしていくと大変なので、途中端折るかもしれませんが、アメリカの利上げがありましたね。リーマンショックのゼロ金利以来だと7年ですか?

    ヤス 実際は9年ですね。

    新興国より実はアメリカ経済が危ない!

    西塚 僕は経済オンチですが、ちょっと前のヤスさんとの対談を思い出しまして、新興国から資本が流出してる、逃げてるってことにまた環をかけることになるんじゃないんです?。

    ヤス まあ、そうですね。基本的にそうなると思いますよ。

    西塚 これは、アメリカが景気がいいという判断もあってFRBも利上げを決定したって話なんですが、それはそういう解釈でいいんですか?

    ヤス 利上げそのものが大きな影響力をもたらすっていうわけじゃないと思います。利上げの幅は0.25%から0.5%の間で、これから政策金利を変動させるってことですから、さほど大きな影響力はないですね。

    それから新興国からの資本流出は、もうかなり前から始まってるんですね。去年ぐらいからどんどん加速化してる。それでアメリカが利上げをしたということで、市場の観測としては、新興国の資本流出の流れがおそらくもっと加速化されるだろなと読む。そう読んでるので、結果的にそのように自己実現的な行動になって現れるってことなんですね。

    だから市場とは何かと言うと、たとえばこういう客観的なことがあったから、したがってこうこうこう動いたのだというよりも、特定のことが多くの人間の観測とか思い込みを作り上げ、その思い込みにしたがって動くがゆえに、自己実現的に実際に当たってしまうという構造になってるんです。

    たとえば、別に客観的な材料が全然なくても、ちょっとしたことがひとつの原因になって多くの市場の人が、あ、この銘柄が絶対に上がるだろうと読んだと。上がると読んだ人たちが実際にそれで行動した場合、やはり多くがの人たちがそれに追随するわけですね。そうすると結果的にその銘柄が上がるってことになるわけですよ。

    西塚 そうなると、何回も話している預言の話にも近くなってきますよね。

    ヤス ええ、そうです。別に僕は相場にすごく詳しいわけじゃないけども、市場というのは、言ってみれば人の思い込みによる自己実現的な行動によって、値動きが変わってくるという面がある。だから、利上げがあったと。0.25%から0.5%。でも実際は、新興国の利子率のほうがまだ高いわけですね。全然ね、利子率としては。

    だからまだまだ新興国に投資してたほうが、金利っていうことだけを見てたら有利なはずなんですよ。でも、そうはならない。そうならないのは、やっぱり新興国の経済はだいぶ弱含みだよねと。

    西塚 商品価格が下がってるから…

    ヤス 商品価格がどんどん下がっていくし、原油がどんどん下がってる。資源の輸出国がすごく多いわけですから、新興国の場合はね。だいぶそれが下がってきて通貨安になってくると。そうしたら、あ、このへんからそろそろ撤退して、資本を引き抜いたほうがいいんではないかって観測が広がる。広まって、実際何人かの人間がそういう行動を起こすと、それが火種となってみんないっせいに動くわけですよね。そうすると実際そのような状況になってしまう。

    西塚 そこにきてアメリカの利上げなんで、なおさらちょっとじゃあアメリカに移してみようかと。

    ヤス アメリカにということですね。それを加速する行動にはなると思います。

    西塚 これからしかも、FRBもしばらく様子を見ながらってことなんでしょうけども、希望的観測で、景気がよくてこれからまた上がっていくっていうことであれば、そっちに移しますもんね、投資としても。

    ヤス そうです。今の日本のニュースでたくさん出てるのは、新興国がいかにヤバイかってことなんですね。たとえばブラジルが相当落ち込んでますし…

    西塚 あ、出てますか? ヤスさんとの対談で話してたときはまだ出てなかったですよね、あのときは。

    ヤス ああ、まだなかった。今はテレビや何かの経済ニュースを見てると出てくるようですね、けっこうね。新興国がいかに減速してるのか。それから中国経済の減速とか、よくニュースになってますけども、だからそれはけっこう知られてることなんですが、意外に知られてないのはアメリカ経済そのものなんですよ。

    アメリカの経済に関しては、ネットで情報を集めてる人たち中心にですけれども、よく知られているのは、まったく相矛盾したニュースが流れてくるんですね。一方では日本の主要メディアを中心としたニュース、いわゆるアメリカ経済がいかに堅調でね、力強く伸びてるか。今年の成長率も3%ぐらいだし、日本なんて0.5%ぐらいですけどね、それから見るとアメリカの大国が3%ですから、すごく大きな成長率ですね。

    それから個人消費がいかに伸びてるかとか、住宅着工件数も伸びてるし、失業率もですね、どんどん下がってて、アメリカの失業率は5%ですよね。アメリカの失業率が5%って完全雇用に近い状態なんですよ。そういうニュースで、いかにアメリカ経済がいいかってことはどんどん喧伝される。

    西塚 アメリカの場合、その失業率が低いと言うのは、その年齢別の失業率で言うとどんな感じなんですか。たとえば20代が10%とかっていうようなことでもないんですか?

    ヤス 当然、若年層に失業者が集中しやすい傾向にありますね。若年層と高齢層は多い。ただ日本の場合は、非正規社員と正社員との違いってありますでしょ? アメリカはもともとないんですよ。フルタイムとかパートタイムで働くっていうことだけなんですね。基本的には。

    西塚 もう契約は契約だと、最初から。

    ヤス 契約は契約だということだけなんですよ。だからちょっと日本と同じような枠組みでは見れない部分があるんですけどね。

    それで、アメリカの経済に関していい数値がどんどん出ている。それは間違いないんですね。ただ一方ですね、それとまったく相反するような現象がたくさん出てる。要するに中産階層がどんどん没落している。それと現在、アメリカでフードスタンプという食料切符を持ってるのが、それこそ4600万人ぐらいになっている。

    西塚 日本で言えば生活保護者ですね。

    ヤス そうです。それがアメリカの全人口の14%ぐらいになってると。それから中産階層と言われてるような人々がどんどん没落している。中産階層って今まで一番人口が多かったんですよ。それがそうではなくて、一番最近の発表だと、富裕層と貧困層を合わせた数のほうが中産階層よりもはるかに多いということになった。

    それは中産階層がどんどん貧困化してるってことですね。アメリカで格差が拡大してね、今までの中産階層がいかに貧乏な状態になってるのか。たとえば、安定したフルタイムの専門職のいい仕事を持っていたと。それが一回リストラされて仕事がないので、大学院出のちゃんとした30代の人が、それこそマクドナルドの店員をやってるとか。

    西塚 ああ、教育のある人たちが技能とか専門知識を活かせないわけですね。

    ヤス でもそれは、マクドで働いてるとしても職を持ってるわけだから、失業者にはならないわけです。アメリカの労働省の統計でいくつかの数値があるんですね。日本と同じようなアメリカのハローワークがあって、そのハローワークの求人募集にずっと来ているような人たちを母数とした失業率があって、それが5%なんですよ。

    それに対して長期失業者っているわけですね。半年以上仕事をずっと持ってない。でもハローワークにも来ていないというような人ね。その人たちを入れるとですね、アメリカの実際の失業者数というのは、まあだいたい13%前後になるんじゃないかと言われてる。

    さらにですね、本当の長期失業者、もう1年以上ハローワークに通ってもいないというような人たち。だからアメリカの労働省もトラッキングをすることをやめてしまったというような人たちを、概算の数値として加えると24%ぐらいなんですね。

    そうすると、実際はアメリカの景気は悪いんではないかと。その証拠に個人所得も全然伸びてないだろうと。確かにそうなんですよ。平均給与も伸びてないんですよ、あんまりね。だから景気がいいと言うのは、数値の改ざんによる偽装ではないかと言われてるんです。だからアメリカの景気がいいのか悪いのか、まったく相反する情報が出てきてよくわからないってことになってるんですけど、実態はこうなんです。

    簡単に言いますと、アメリカの経済はリーマンショック以前の状態に戻ったってことなんです。リーマンショック以前のアメリカの景気はすごくよかった。年率の成長も3%とか4%、もっと高いときもあったけどすごくよかった。なんでよかったかと言うと、それを進めてたのは個人消費なんですね。バンバンみんな消費する。それがアメリカの巨大な市場になるわけですね。個人消費の豊かさがいわゆる経済成長の牽引力だった。

    西塚 そのときの個人消費というのはローンだったんじゃないんですか?

    ヤス まさにそうです。どのようにして個人消費を引き上げるローンができたかと言うと、たとえばそこで現れてくるのがサブプライムローンであるとか、いわゆる住宅ローンを証券化して、それを販売すると。それを金融商品としていろんな金融商品とミックスしてね、CDOとして販売する。それが利率が高いもんだから、いろんな金融機関や投資家にもバンバン売れるだとか、まあ債券の証券化という方法がひとつあった。

    ほかにミニマムペイメントなんて方法があるんですね。たとえばクレジットで何かを買うでしょ?そうした場合ね、最低限1%かなんか払うとですね、延々と借金の支払いを先延ばしできるんですよ。たとえば自分が100万円借金をしたとすると、その100万円の1%を払うとですね、これ利子にもならないわけだけども、でも100万円の1%さえ払えば利子も支払う必要もないし、当然元本も支払う必要がなくて、それをそのまま翌月に先送りできる。

    翌月に先送りしたやつも1%払ってまた翌月に先送りできる。延々と先送りできるシステム、これがミニマムペイメントって言うんですけど、そういうものとか。なぜそれが可能になったかと言うと、そのローンを組んだクレジットカード会社自体が、そのローンを証券化して売り払ってしまってるわけですよ、すでにね(笑)。だからそのローン会社としては痛くもかゆくもない。すでに証券化して売り払っているので元を取ってるわけですね。

    西塚 なるほど。頭がこんがらがってきますけどね(笑)。1回ビデオを見せてもらったことがありましたね。僕に言わせればクレイジーなアメリカ人が、次々と豪華な家財道具を買っていく。プールまで作る。それで、これもあれも全部借金だといばっている。でも、目が怖かったです。もうイッてる。狂ってるんですね。あれはミニマムペイメントを使っていろんなものを買ってたんですね…

    ヤス そうです。いろんなものを買ってた。それで、ローンがどんどん債券化、証券化されて売れますのでね、担保さえ持ってれば、たとえばローンを払ってても家を持ってるとか、自動車を持っててもね、自動車を担保にしてウチから10万ドル借りませんかと。あなたの家を担保にしてウチから100万ドル借りれますよって来るわけですよ。

    何でそういうふうにローン会社が貸したいかと言うと、そのローンを証券化して売り払えば、すぐその場で元が取れるわけですね。

    西塚 ほお、何かわからないんだけども、皮膚感覚として相当危ない綱渡りと言うか…(笑)

    ヤス いや、まさに借金ですよね。ローンの証券化というのは、ローン会社にとっては濡れ手に粟のビジネスだった。金融会社はそれでどうするかと言うと、サブプライムローンと同じように、その証券化したローンをたくさん掻き集めてきて、中身をわからなくして、それで金融商品として発売するわけですよね。平均的な高い利回りをつけて。利回りが高いわけですから、かなり売れると。

    西塚 CDOってヤツですよね。

    ヤス そうそう。

    西塚 誰か評論家が言ってましたけど、その中はいろんなごちゃまぜになってるから、もしかしたら毒饅頭があるかもしれないぞみたいな話ですね。

    リーマンショック以上の破綻が目前に!?

    ヤス まさにそうです。まさにね。実は、これがリーマンショックで全部破綻した。破綻して、2009年とか2010年になってくると、いわゆるこれによって個人消費を嵩上げしてて、アメリカ経済を引っ張ってきたんだけど、そのメカニズムが全部ぶっ壊れるわけですよ。ぶっ壊れて、2010年にドット・フランク法という金融規制法が導入されるんですね。

    ドット・フランク法にボルカー・ルールというのがあって、ローンの証券化そのものを規制したのではなく、ローンを証券化したものを銀行が買うことを規制したんですね。ローンの証券化はえらい利回りのいい金融商品だったので、銀行がみんな買ってたんですよ。銀行が自己資本で買ってたんですね。それで自己勘定取引の禁止ってことをやった。銀行は自分の金でそういうローン債券や証券を買ったらダメだという規制を加えた。

    しかし、これが大きなザル法だったんですね。銀行はダメだと。じゃあ、銀行が違う金融機関を別会社で作ればどうなんだと。いいんだと。それで銀行が出資して、ヘッジファンドとかさまざなファンドを作ってね、そのファンドの自己勘定によって買うというシステムを作った。それが始まったとたんにアメリカの景気がクッと上向き始めたんですよ。

    それで今どうなってるかと言うと、リーマンショックからすでに7年経ちますが、実はリーマンショック以上の状態に戻ってしまったんですね。フタを開けてみたらリーマンショックを上回るくらいの金額が、そのように証券化したローンのほうにバンバン流されて、それが金融商品として買われてるという状態なんですよ。

    西塚 じゃあ、また同じことを繰り返すんじゃないんですか?

    ヤス まったくそうです。それによってアメリカ経済が底上げされてるのが、今だってことですね。生産的なものでは全然ないです。

    西塚 それでFRBが利上げしたんですか?

    ヤス FRBは利上げせざるを得なかったってことなんですね。純粋に経済的なものです。前にもお話したと思いますが、資本主義経済で一番大きなエンジンになってるのは利益率なんですね。どの企業も。企業は利益率の低い分野から資本を引き抜いて、高い分野に投入するという投資行動をとるわけですよ。それが資本主義の原理になってるわけですね。

    そうすると、銀行の利子率が利益率より高かったら、投資は無意味ですね。銀行にお金を寝かしておいたほうがいいということになります。利子率もそうだし、その他の株式によって得られるようなアーニングと言うか、株式の利益であるとか、それはすべて企業の利益率より低くなくちゃいけないという原則があるんですね。

    ひとつ怖いのは物価の変動なんですよ。どんどんインフレになって、物価が利益率を上回るような状態になったらどうなるか。投資というのはストップするんですね。物をどんどん買い占めておいて、3カ月後に売ったほうがお金になるっていう状態なんですね。そうすると資本主義経済の循環そのものをストップしてしまうので、これはかなり危険です。

    なおかつですね、高いレベルのインフレが起こってくると、労働者は飯を食えないわけですから、賃上げのデモがどんどん起こる。それで賃上げをすると今度は企業の利益が減りますから、当然商品価格に上乗せすると。そうすると商品価格がもっと高くなるというようなメカニズムで、まさに賃金と商品価格がお互いに刺激し合いながら、インフレがコントロールつかなくなるんですね。これは70年代のアメリカ、80年代初期のヨーロッパで、実際に何度も経験したことがある。これを止めるためには早いうちに手を打たなきゃダメだということで、今回のFRBの利上げなんですよ。

    では、今のアメリカは実質的に経済が成長してるのかと言うと、おそらくしてないですね。今言ったように、金融操作による嵩上げによって、ただただ成長が維持されてるって状態です。そこで問題になってくるのは、リーマンショックと同じようなことが起こるかどうか。結論を言うと、起こる直前の状態にいるんですよ、われわれ。

    リーマンショックのときの大きな引き金になった証券化されたローンは何かと言うと、サブプライムローンだったんですね。住宅ですね。今回は、どうも引き金になるのはシェールオイルのようですね。シェールオイル産業というのがあって、どんどんシェールオイルの掘削量が増えてくるのは、だいたい2010年、2011年ぐらいからなんですね。極端に増えてくる。

    なぜ増えたのか。アメリカ産のシェールオイルに対する需要があったから増えたのかと言うと、全然違う。勝手なメカニズムで増えたんですね。どういうことかと言うと、まず2010年とか2011年は、ドット・フランク法が一応適応されてリーマンショックの清算は終わったねと。でもザル法だったから、もとの状態に戻り始めたころなんですね。

    シェールオイルを掘削してる会社は中小の会社ばっかりです。中小は資本力がない。資本力がないから銀行からローンを組むわけですね。ふたつの形態があったんです。ひとつは、シェールオイル会社が将来の販売価格をまず決定するわけです。だいたいこのぐらいで売れるだろうと。それで、売れたら返すからねと言って、将来の石油の販売を担保にして銀行からお金を借りたんですね。銀行はどうしたかと言うと、そのローンをすぐ証券化して売り払うわけですよ(笑)。売り払った証券は、他の証券化した債券と一緒になって、別に金融商品として同じく売り出されてるんですね。これはCDOではなくて、CBOって言うんですね、今ね(笑)。

    西塚 でも、CDOみたいなものですよね。

    ヤス まったくCDOと一緒です。CBOとか確か言うはずなんですよ。同じような証券として、すごい量が出回ってるんですね。あともうひとつやってるのは、これもリーマンのときにあったんですけど、中小の石油会社が社債を出すんですね。社債と株式は違うと。社債と言うのは借金証書なんです。債務です。

    だから社債を発行すればするほど、それがちゃんと売れれば現金になるっていうものなんです。そうすると、そういう中小の石油会社が社債をたくさん発行します。その販売を手がけた金融機関はすぐそれを証券化するわけですね。証券化してまた売り払うわけです。売り払って、それに基づいてまた金融商品を作る。確かね、これをCLO(※確認)とかって言うんですね(笑)。同じことをやってるわけですよ。

    西塚 なるほど(笑)。でも、アメリカのシェールオイルの将来性に関しては、これは中東に頼らないっていうこともあって、右肩上がりに上がっていくだろうという希望的観測があったわけですよね。

    ヤス そうですね。2010年、11年ぐらいには、そういう希望的観測があってそれをやってたわけですね。どれだけやっても破綻するわけはないって言うんだけど、今どうなったか。32ドルとか30ドル台じゃないですか、原油はね。安くなってる。

    それで、シェールオイル会社というのは掘削コストがえらいかかる。今までは、5、60ドルの原油価格がないと破綻すると言われてたんですけど、掘削の技術がどんどん進歩して、採算ラインがどんどん低くなってきたんですね。ただ、今の30ドルだと不可能で、シェールオイル会社の破綻が相次いだ。その結果、今言ったCBOとかCLOのような金融商品が破綻しはじめたんですね。今は特に社債です。証券化された社債。銀行は自分で直接買えないので、銀行が作ったヘッジファンドであるとかノンバンクが大量に買ってるんですね。

    西塚 規模はどうなんですか? リーマンショックの場合はサブプライムローンから始まるけど、あれはいわゆる低所得者層のローンの破綻ですね。今のシェール絡みのお話だと、庶民じゃないですよね。規模としてはどういう感じなんだろう。

    ヤス 庶民じゃないから逆に怖くて、ひとつのローンの規模がでかいんですよ(笑)。今だいたい、アメリカの最大手6行系のノンバンク、ヘッジファンド、これ実はシャドーバンキングなんですけどね、アメリカのね。影の銀行と言われてる。中国だけじゃないんです。これでですね、3.9兆ドルぐらいあるだろうって言われてるんですよ。これは、リーマンを上回る可能性がある。

    この証券化された社債はジャンク債って言うんですね。日本ではジャンク債と位置づけられてますが、実際アメリカではハイイールド債と言います。金利の高い債券という言い方をしてるんだけど、そのジャンク債市場があるわけですよ。今まではすぐ証券化になるんで、みんなジャンク債を買ってたんですね。それが破綻しはじめた。今すでに大手のヘッジファンドがいくつか破綻しはじめた。

    西塚 「アトラスシュラッグド」じゃないですけど、来年ですよね。2016年。あの映画はともかく、ひとつのシナリオとして参考にして言えば、アメリカが不況になっていくきっかけになるお話なのかなと。

    ヤス そうですよ。今これ、ヤバいんですよ、めちゃくちゃ。何で日本のニュースは報道しないのかと思いますけどね。リーマンの直前の状態に僕はそっくりだと思いますよ。これは実は去年の初めから言われてたんですね。原油価格が60ドルとか50ドルを割るぐらいになったときに、将来これはあるぞと言ってた。何とか技術の改良によってですね、シェールオイルも掘削コストをどんどん下げていった。

    それからジャンク債市場に関しても、安易に破綻させたら自分たちが損をするわけじゃないですか。何とかジャンク債市場を破綻させないように、大量の資金を注入して持たせてたんですね。持たせることが可能になったのが、実はゼロ金利政策なんです。

    そのゼロ金利政策も終わって、利上げになると。わずかな利上げだったとしてもね、やっぱりほかにもうちょっといい金融商品が出てくる。そうすると、今までのように余ったお金をジャンク債市場にぶち込んで、何とか市場が崩壊するのを防ぐというわけにはいかなくなってきます。だから、来年早々アメリカ発で厳しいことになるんではないか。新興国ではないと思いますね。

    西塚 ああ、逆に。世界的な大恐慌がもしあるとすれば、新興国からだろうということで、みんな金融関係者は血眼になって、どこだろう、あの国じゃないか、あのスーパーマーケトが危ないぞという。それも当然あるんでしょうけども、何かが単発で起きてというよりは、いろんなものが絡んでるんでしょうけどね。今のお話を聞くと、シェールオイル絡みの証券の破綻と言いますか。

    ヤス それと、それ絡みの金融商品の破綻。実は、そのシェールオイル絡みの社債、ジャンク債を扱ってるふたつの比較的大手のファンドが破綻したんですよ、先週。だから今、ロイターであるとかウォール・ストリート・ジャーナルであるとか、そういうところの記事を見るとですね、ジャンク債市場の破綻がどれほどでかいかっていうニュースばっかりですよね。

    西塚 僕は東京新聞だけど、斜め読みしてますけど書いてないですけどね(笑)。

    ヤス 日本の新聞は書いてないと思いますよ、あんまり。やっぱり、ロイターとかウォール・ストリート・ジャーナルとかフィナンシャル・タイムズとか、ああいうところにいかないとわかんないんじゃないかと思いますね。だからおそらくですね、あらゆる意味で、次の金融破綻にいくような材料が出そろってきたんではないかなと思いますね。

    西塚 日本に対する影響はリーマンの比じゃないんでしょうか? リーマンショックのときは、日本はそんなには影響がなかったですよね。

    ヤス そうですね。

    西塚 そういった意味では、今回はどうなんですか?

    ヤス おそらく、特に今回はリーマンショック以上にね、直接的な影響は少ないんじゃないかと思いますね。ジャンク債絡みのCLOとかCBOであるとか、そういった金融商品を抱えてる日本の金融機関は、かなり少ないかなって感じはします。

    西塚 直接の金融的なダメージはないかもしれないけども、破綻によるダメージはあるでしょうから、それによる世界の動きとか、メカニズムの破損なり、歪みなりっていうものの影響のほうがでかそうですね。

    ヤス それはそうですね。アメリカは世界第2位のマーケットですから、今ね。

    西塚 すみません、ちょっと急ぎでいろいろ聞いてしまうんですが、中国が脱貧国ということで、小康社会ですか、要するに2020年までに経済をよくすると。

    シリア問題、夫婦別姓合憲判断

    ヤス 習近平のね、新しい目標。

    西塚 はい。これはヤスさんがおっしゃったですね、中国は経済が成長している間は安定するんだということにつながる、いい例だと思ったわけですよ。何が言いたいかというと、国にはいろんなこともあるけども、日本の中にも中国の脅威論ありますね。そういうことではなくて、国を持つということ、国を持つがゆえに、その国民とか人民の生活がある程度保障されるということ、そういうことで言えば、中国は必死にそれを求めてたわけで、習近平もとにかく経済の成長というものを第一番においているのだと。ヤスさんもそのことを強調されてた。だから僕は新聞の記事を読んで、本当にそんなんだなとあらためて思ったということを、ちょっと言いたかったんですね。やっぱりそういうことなんだと。

    ところで、2020年までというのは何か意味あるんでしょうか? 2020年までに小康社会を築くと。脱貧困だと。今は格差がでかいというのもあるんでしょうけど、まあ期待を持たせると言うか、やっぱり人民側にもわれわれは何も恩恵を受けてないよっていうのもあるでしょうから、そう言ったんでしょうけどね。

    ヤス そうですね。まさに経済で、この小康社会の宣言は何かと言うと、格差に基づいた貧困、これを2020年までに解消しますよということですね。だから中国人であれば、誰でもそれなりに食える社会を構成しますよと。言ってみれば、社会保障費の増額です。社会保障の制度をきちんとやって、それで誰でも食えていけるような生活水準を保障する社会を作りますよ、という宣言だと思いますよ。

    西塚 そうなると、習近平政権は続きそうですね。

    ヤス 僕は続くと思う。

    西塚 まあ、暗殺とかされない限り。あとふたつくらいあるんですが、ウィーンでやった和平プロセスがありましたね。外相レベルで始まったみたいですが、要するにロシアとアメリカで、いわゆるシリアのISに関する空爆も含めてちょっとこう、お互いに理解し合えてなかったような関係性があったと思うんだけども、ここにきてロシアが、シリアのアサド政権がこれからどこに向かうのかというのはシリアの問題なんだけども、まあそのへんはアメリカのイニシアチブを尊重するみたいなことを言ったという記事を読んで、ちょっと今までの、オバマ何やってるんだ!とは違ってきたなという印象があるんですけど。

    ヤス そうですね。アメリカのほうのアプローチの変化ですね、今は。

    西塚 逆にアメリカが軟化したという。

    ヤス そう。今までずっと言ってきたのは、アサド政権を打倒することが先なんだと。

    西塚 それをちょっと保留にしましたよね。

    ヤス 保留にした。だからね、今回はアメリカの態度の変化ですね、一番大きかったのは。むしろISの撲滅にプライオリティーを持ってきましたね、明らかに。

    西塚 アサド政権と反アサド政権に対する交渉の場は持ったようですが、もちろんISは排除してますけどね、過激派は排除するんだけども、そこでプーチンは、でも決めるのはシリア国民だと。ちょっと譲歩と言うか、お互いに歩み寄ったという印象があるんです。

    ヤス プーチンは前から一貫して同じことを言ってます。要するに、和平プロセスで一番重要なのは、シリア国民が選ぶべきなんだと。アサド政権は、私が擁護すると言うより、これはシリア国民の問題なんだと。外部にある国がですね、ひとつの主権国家の政権を潰すだのどうのこうのと言うこと自体が間違いなんだと。そういう言い方ですね。

    西塚 僕は細かいことは言えないので、ただの印象なっちゃって申しわけないんですが、軍産複合体がシリアをぶっ潰したくて、ISを中心に援助してもっと混乱させようとしてたのが、ここでちょっとブレーキがかかってきたっていう印象があったもんですから。もちろん、いいことだなあと。

    ヤス ここで、われわれがはっきり認識してかなくちゃならないのは、オバマ政権は全然一枚岩ではないと。オバマと国務長官のケリーのラインと、国防総省を中心とした軍産複合体というのは真っ向からぶつかり合ってですね、本当に熾烈な闘争をしてるという状態だと思いますよ。

    西塚 イニシアチブの取り合いと言うか、アメリカの中でもものすごく分裂してるってことですね。

    ヤス 分裂してる。オバマとケリーは本当にISを潰したいんだと思いますよ。それに対して、現場の部隊を握ってる米軍の指揮官レベルとか、国防総省というのはやっぱりそうではないと。イスラム国はアサド政権を倒すような最大のツールであるとしか見てないってことですね。

    西塚 前にも出たお話ですが、オバマの心の声としては、プーチンの空爆は、プーチンさんありがとうに近いと思うんですね(笑)。よくぞやってくれたと。これはこれで本当に面白いテーマなんですが、ちょっとおいときます。

    あと最後は日本の話なんですが、例の夫婦別姓、あれはまあ民法の解釈として、最高裁の大法廷ですからね、これはもう判例として残っていくことになると思うんですけど、一応合憲としました。まあ、それぞれいろんな立場があり得ますが、女性が旧姓でもね、通称の名前として通るからいいんじゃないかとか言うんですけど、あのへんの話はヤスさん、個人的にはどういうふうにお感じになりました。

    ヤス 夫婦別姓、何がダメなの?ってやっぱり思いますよね(笑)、そりゃね。何であんなところに国家権力が入って縛るんだって思いますよ、本当に。

    西塚 そうかそうか、たとえば僕で言うとですね、いわゆる姓(かばね)って言うんですかね、今までそういう家族のシステムできたわけですね。だからあれは、僕は最高裁としては、ああいうふうに合憲としか判断できなかっただろうと思うわけですよ。

    ヤス ああ、最高裁の判断はそうですね。

    西塚 これから国民のコンセンサスとして夫婦別姓のほうがいいとか、別姓じゃないとすごい不都合が起きてきたときに、当然変わるんだろうけども。やっぱりいるんですよ、どうしても自分の名前が好きだから手放したくないと言って、実際に別れて、形式的に離婚して事実婚にしたりとかね。そういうケースがあるんだと、僕は今回のニュースで初めて知ったんですけどね。

    そこまで名前にこだわるのはどういうことなのかなあと。これはまた別の問題になるかもしれませんけどね。出産のこととか、またいろんな法律でがんじがらめになってるわけですから、面倒くさいわけですね、あえて自分の名前で突っ張っていくことに関してはですね。たとえば、フランス人の識者が出てきたりして、フランスは夫婦別姓だけど別に問題ないと。別に自分が変わるわけでもないからって人もいればね。

    今回、何が言いたいかと言うと、最高裁としてはそう言わざるを得ないだろうなっていうことと、あと個人的に夫婦別姓にこだわるというのもよくわからないってことと、あと今年は最高裁の判断がずいぶんと問われてきた年だなあということですね。今までなあなあで何とかなってきたようなことを自分たちで決めていくと。決定権を自分たちで持つのだという、ヤスさんも以前、民主主義の覚醒という言葉をお使いになってました。例の安保法制のときの話ですね。

    そこまでの話にいかないにしても、今回も最高裁の判断ですが、何となく伝家の宝刀みたいにみんなが安心して思っていた最高裁自体も、実は裁判官15人ぐらいでやってるわけですから、あてには…

    ヤス 今回、まあ5人が反対しましたよね。

    西塚 してましたね。そういうものなんだっていうのがあぶり出されてきたと言いますか、そういった意味でも、お上(かみ)まかせじゃないような意識が動き出したと言うか、ここにきて12月のギリギリですけど、ひとつの象徴のようにも思ったわけです。ちっちゃいですけど。無意識のうちに依存しているかもしれない最高裁判所というもののある種の危うさ、いい加減さみたいなものも見えてきたのかなと。夫婦別姓に関してと言うよりも、そういうことをお聞きしたかったんですが(笑)。

    保守と革新とは何か?

    ヤス ああ、なるほど。たとえばね、意見はいくつかあって当然だと思うんですけど、どの社会、アメリカでもフランスでもね、イランでもドイツでも、世界どこでもそうなんですけど、中国でもね、やっぱり保守層っていますでしょ? 保守層って何だと思います?

    西塚 今までの文化を守るという人たちなんじゃないでしょうかね。

    ヤス そうですよね。本来の保守、右翼じゃないですよ、本来の保守って何かと言うと、やっぱりわれわれに綿々と続いてきた伝統的な文化は大事なんだと。これは守る。じゃあ、綿々と続いてきた伝統的な文化を守るとはどういう意味なのかと言うと、人間の意志によって簡単に変更してはダメだということなんだと。

    それはどういうことかと言うと、われわれの生きてる社会は、実はひとりひとりの人間の意志を超えた超越的な何ものがあるんだという実感ですね。社会全体がね。それが神かもしれないし、何かよくわからないけども、家なのかもしれないし。ただ、やっぱりそれは人間の意志力を超えた超越的な何かの実体があるんだと。それは侵すべからざるものなんだという考え方。それが、保守層といったような人たちに共通したものではないかと思うんですね。

    それに対して、保守ではなく、革新とかリベラルな人たちというのは何かと言うと、社会というのは基本的にルールによってでき上がってるものだと。全部ね。だから、ルールというのは社会を構成している人間の意志によって、どうにでも変えられるんだという考え方ですよね。そういうリベラル派の人たちは、社会というのは超越的なものとは思ってないわけですよ。

    そうするとリベラルと保守の間、その奥底にあるのは社会の感じ方の違いでしょう。保守層というのは、社会といったものの中にですね、個人から独立した超越的な何かのささやきとか、動きであるとかね、超越的な何かの振る舞いを感じながら生きてるということですね。それに対してリベラルはそうではない。すべての人間の意志に委ねられて、作り上げられる秩序なんだっていうことです

    西塚 そうなるとどうしても、僕は中道をいくとしか言いようがなくなるんです。

    ヤス 中道としか言いようがないんですけど、言ってみればね。われわれというのは、この議論はほとんど誰もしたことがないと思うんですね。こういう実感の仕方ということに関しては。保守がどうだリベラがどうだってことで、ひとつひとつの個別的な案件に縛られた議論が多いと思う。

    たとえば夫婦別姓にしたってね。いいか悪いか、なぜ個人の権利に国家がそこまで介入してくるのかというような話とか、いやいやこれは社会全体の秩序を乱すからとか。社会全体の秩序とは何なのかと。あなたの感じる秩序はどういうものなんですかというとね、それは今言ったように社会の実感の仕方にいき着くと思いますね、ひとつはね。

    西塚 そうですね。以前の対談でもですね、かなり初期に社会の感じ方の違いというような話がありました。ヤスさんの新しいご本にもありましたね。そこはまさしく、ある種核心にも触れるんだろうと思います。その感じ方は変わる、あるいは変わり得るということでしょうね。

    たとえば、ある種すごく極端な保守と革新があるとして、保守があまりにも硬直するとしますね。国や地域の慣習とか、伝統とか文化といったものにこだわり続ける結果、硬直化していって、現在生きてる人々に合わなくなっていくということが起こり得るわけですね。

    逆に革新も、そんなものは違うんだと言ってどんどん壊した結果ですね、今まで何となくうまくスムーズにいってたものまでもぶっ壊して、全部条文化していって規律化していくときに、人間はそんな無限に規律を作っていくわけにもいかないので、どうしてもおかしなことになってきて、場合によってはすごく悲惨なことになるので、やっぱりその真ん中、そういう今までの慣習的なものも尊重しながら、でもニーズとか時代に合わなくなったものは変えていこうよというような、そういうコンセンサスみたいなもの、すごくベタで俗っぽい言い方ですけど、それしかないと思うんですね。

    いろんなレベルにおいてそれしかないと思うんですが、それしかないということを保証するものは何かってことなんですね。

    そこで僕は、ビリー・マイヤーまで一足飛びにいくわけにはいかないんだけども、それしかないよねと言ったときに、じゃあ何でそれしかないんだって言うときの説得材料と言うか、みんなも本当にそれしかないよねと思うための機軸と言うか、考える拠りどころでもいいんですけどね、そういうものが必要だろうというところで、ビリー・マイヤーだけではなく、今までスピ系と言われてきた文献なり人物の中にも、いろいろ書かれたり発言されたりしているものがあって、それらを抽出していって、検証していくと言うか、話し合っていくというところに意義があるのかなと、個人的には思ってるんですよ。

    ただ僕が思ってたって、それは全然違うよということもあるので、ヤスさんなどにもそれは違うよと言ってもらうとか、あるいは読者のみなさんも含めて、それは全然違うよとか、インチキだよという、いや、でもそうじゃないんだよというようなね、その話し合いの中でしか、やっぱり落ち着いていかないような気がするんですね。少なくともそういう作業は絶対に必要だと思うんです。じゃないと誰かが決めるしかなくなってくるじゃないですか。でも楽なんですけどね、それは。だから独裁者とかも出てくるんだろうけども。

    ヤス その話に絡めて言うとね、この保守と革新の対立というのは、いわゆる社会の実感の仕方というところに焦点を当てると、だいたいどこから始まったかと言うとフランス革命ぐらいからだと思うんですね。現代の意味での保守と革新といったものが現われてくる。

    たとえばフランス革命で出てきた啓蒙主義とはどういうものか。ルソーであるとかね、ロックもそうですけど、基本的に社会というのは人間の意志によってすべてデザイン可能だって考え方ですよ。多くの人たちが集まって討論をしてルールを決める。そうすることによって社会全体を作ることができるんだと。したがって社会というのは人間の意志によってデザイン可能である。だとすれば、一番理想的な方向で社会をデザインすべきなんだという考え方ですよね。

    このような考え方から何が生まれてくるかと言うと、極端な暴力が生まれてくるってことなんですね、ひとつはね。これは、たとえばスターリニズムとかレーニン主義とか、初期のマルク主義にもかなり通ずる考え方です。ポルポトもやっぱりそこから出てくる。社会というのは徹底的に人間の意志と理性によってデザイン可能であると。それで、もしうまくいかなかった場合は、必ずそこにノイズと言うかね、自分たちが設計した理想の社会に楯つくような、よからぬ輩がいるからだと。そいつを排除せねばならない。

    それから、デザインしたとおりに人間が動くのが当たり前なんだと。動かなかった人間は動くようにせねばならない。そうした人間はコントロールし、圧力をかけるという強大な暴力が生まれてくるわけですね、基本的にはね。そのような見方、社会を人間の意志によってどうにでもデザイン可能なものとして、抽象化して見る。人間というものをとことん抽象化して見るという見方。これは巨大な暴力を生む源泉になるということ。

    保守と革新の中道をいく「個」の確立

    西塚 そのとおりだと思いますね。そこで悩ましいのは、似たような話は何回もしてますが、安倍が出てきたときにですね、そんなね、押しつけられた美しい日本だか何だかはごめんだという人も中にはいるわけですよ。われわれは、われわれの好きなように社会を作れるんだと。その力はわれわれの中にあるというのは、それはやはり基本じゃないですか。

    ただ今おっしゃったように、とことん抽象化していって、それこそポルポトまでいくような危険性をもちろん持ってるんだけども、だから何が問題かと言うと、革新であったものが保守化していくってことだと思うんです。だからそれは、ある硬直した、動脈硬化を起こしたような保守のアンチとして革新が出てきたにもかかわらず、それがまた保守化していって、硬直化していって、またひどいことになるという。

    僕は、本当にそういうことを人間はやりかねないんだから、これは何か考えようねっていうふうに思えばいいだけであって、じゃあそのときの基軸は何かと言ったときに、まあビリー・マイヤーとか何とかという話になるんだけども。だから人間を超えたもの、おそらく革新には革新の、人間の理性とか何とかに対するものすごい傲慢さと言うか…

    ヤス 傲慢さじゃなくて理性に対する盲信ですよね。

    西塚 盲信がある。しかも保守だったら超越的なものに対する、それこそ同じような盲信があるし、あるいは依存があって、神がこういうふうに言ったんだからこうなんだといったものが同じようにある。その極端さ、両極北と言うか、そこにものすごくおかしなことが起こる原因があるような気がします。

    それを中立化する、中道化させる基軸になるものがやはりあるはずだろう。それはそうしたものを超えたものなんだろうし、かと言って保守派が求めてるような超越ではないし、革新派が求めてるような、成文化、条文化されたような言葉でもないという気がするんです。

    だから、まだ僕なんかには何もわからないけども、ヤスさんが言ってる社会の実感の仕方にもかかわってくるような気がして、そういう超越的なもの、極端な保守と極端な革新が危ないとしたら、それを超えるものは何のなのかと言った場合に、どうしても実感とか感覚というものが出てくるんですね。でも当然、書いてあると言うか、文章化されたものも必要なんだろうけども、やっぱり体感する、実感するという作業が一致してないと、みんな共感もしないでしょうから、おかしなことになる。僕はそこはですね、ある機軸を打ち立てて、とりあえずですよ、仮定でもいいから。そこで話し合っていくしかないと思うんですね。

    しかも、これは語弊ありますかね、良質な話し合いと言ったらヘンですけども、何て言うかな、極端にいくのではなく…僕なんか特にプライベートでヤバいし、ヤスさんに実はバレてるんだけど、そういうものだという、危ない、ほんとに怪しい、いいかげんなものだよと自覚した人間が探っていくという、手探りのもの。その動きの中にしか現われてこないような何かだと思うんです。何か文学的な言い方ですが。

    ヤス いえいえ、たとえばレーニンの本がありますね、「帝国主義論」であるとか、レーニンはいっぱい本を書いてますけど、どの本を読んでも人間の感情に関する話、情に関する話はゼロですよ。とことん社会のデザインに関する話ばっかりですよね。言ってみれば、マルクス主義の著作はだいたいそうですね。「資本論」なんてすばらしい本だけれども、ひと言で言えば、社会がどういう機構で成り立っているかというシステムに関する話で、そこでは人間の感情とか感性といったものは、従属変数としてもう切り捨てられてますよね、ほとんどね。

    実は感情であるとか、感性であるとか、その従属変数のほうが場合によっては巨大なんだと。歴史を変動させていく巨大な変数なんだというような理解は、基本的にないです。まさに人間というのは社会の産物にしかすぎない。だから、社会のデザインを変えることによって、実は人間も根本的に変えられるんだといった感じですね。それがリベラリズムといったもののいき着く、ひとつの極北なんだと思いますよ。

    西塚 そうですね。その結果、もう抑圧されて抑圧されて、ずっと沈殿しているものがあるわけですね。それがあるとき噴出してとんでもないことが起きる。

    ヤス とんでもない。それは感情とか情意の世界ですけどね。じゃあ、保守にしたってどうなのかと言うと、すべては超越的なものが作り出した、変えてはならない何かになるわけですよ。そうするとですね、恐ろしい停滞を招きます。停滞を招くと同時に、同じ感性を共有しない者、すなわち超越的なものを感じられない者はどんどん排除していくと。そして感じるようにしてやると(笑)。そういったタイプの暴力が働きます。安倍的な暴力だと思いますよ、これはむしろね。

    西塚 まさしく。そこで僕は今思ったんですけど、ヤスさんがずっとおっしゃってきた両   方に何が一番欠けているか、あるいは何が一番抑圧されてるか、抑圧されてると言うか、毀損されると言うかなあ、傷つけられるかと言うと、やっぱり個なんですね。

    ヤス 個です。そうなんです。

    西塚 そう思いました。完全な核心であって、人間であるから情とかいろいろあるはずなんだけど、それを全部排除していって、本当にクリアにクリアに、美しい理論をまとめ上げることもできるんだけども、そのとおり行動せよ的なもの。そこに個はないですね。ある種システマチックなものに個を合わせるしかないし。ましてや安倍的と言うか、ものすごく保守的なもの、わけのわからない超越的なもので世界が成り立ってるんだから、そこに帰依する、あるいは依存するしかない、そこに恃むしかないというふうなものも、やはり個の消滅ですよね。

    ヤス そうです。

    西塚 となると、やはりどうしても個ですね。個がどう立ち上がるかという。立ち上がらざるを得ないし、立ち上げられるか。その方法論なり、どうやってちゃんと自分の個に、個にしかない力にアクセスするかというところに帰ってくるしかない。

    ヤス そうです。やっぱりこのリベラルの流れの極北というのは、今言ったように、社会はすべてデザインできるもので、その中に個を埋め込んでくる。したがってそこには個がなくなるってことですね。その一番先鋭な形で現われた思想というのは、ポスト構造主義とかいうものですね。やっぱり現代思想だと思いますよ。現代思想は端的に言うと、もう人間の脳の中身まで、人間の主体性、私という意識までね、実はこれは社会の言語系が作り出した産物なんだと。

    西塚 そうですね。構造とかシステムでしか見ないってことですね。

    ヤス とことん個というものを解体していくわけです。じゃあ、それに対して保守と言うか、アンチテーゼになり得たような思想はどういうものがあったかと言うと、アナクロニックな宗教性を持ってきたりするわけですよ。いや、社会全体は実は神様が創り出したものであるとかね。または、人間自身が実は神によって創り出されたものであるとか。それは超越的なものに対して個を解体していくような、別なルートを切り開くわけです。

    西塚 いずれにしろ個の消滅であり…

    ヤス 個の消滅。だからおそらくですね、これはビリー・マイヤーの話に戻ってくるんだけども、われわれの内面にあるのは、実は現実そのものの構成力を持つような個なんだと。現実そのものを構成する力を持つ個というね、個の内部に潜在的に眠った構成力に焦点を当てた個の捉え方といったものは、今までにあまりなかったんですね。それに基づいた個とはどういうものかということを、もう一度再構成されるべきなんだと思いますよ。

    西塚 本当にそうですね。再構成なり、再定義なり、まあ柔らかく言えば、もう一回考え直そうということですね。

    ヤス そうです。それから何が見えてくるか。それをひとつの基準としながら、保守の人たちが言ったような超越的なものの実体は、基本的に何だったのか。それをもう一回問い直すという作業はすごく重要だろうと思います。

    西塚 重要ですね。実際その極端な革新であれ、保守であれ、みんな基本的には個で生きてるはずですから、その個が作り出した中の産物であって、それはそれで簡単に否定し去るんではなくて、やはり検証なり、どういうメカニズムが働いて、個であったはずなのにそういうところへいくんだろうということも含めて、われわれ人類は膨大なサンプルを持ってると思うんですよ。歴史的な事実にせよ、あるいは書かれたものにせよ。それは宗教的なものでも、聖書みたいなものでも神話でもたくさんあると思うんですね。

    それを全部取り扱うことはできないかもしれないけども、個を取り戻すということで言えば絞っていけるので、ビリー・マイヤーは今のところその最たるものなんだけども、僕もそのへんもうちょっと具体的に出しながら、照らし合わせてですね、ヤスさんに質問をぶつけながら…

    ヤス ええ、僕でよかったら。

    西塚 ひとつひとつやっていきたいなあと思うんですね。

    ヤス 個というのは、いわゆる自我ではない。それはユングの言う自己、大文字のセルフに近いものだと思いますね。

    西塚 もう一回読み直して勉強しないとなあ。やっぱりユングはちょっと、大事ですね。

    ヤス 大事だと思います。やはり非常に大きな原点だと思いますね。ユングは、ヒットラーの狂ったナチズムが荒れ狂うときに、その狂った津波に巻き込まれないようにどうするべきかといったとき、人間の内部にある大文字のセルフに働きかけろと。それで人間ひとりひとりがユニークに生きたいという、個性化というプロセスがあるんだと。その個性化のプロセスに忠実に生きることがひとつのブレーキになるということを言うわけです。この津波の中でね。

    西塚 ユングは大事なんだけども、フロイトがいないとたぶんユングも生まれなかったのかもしれない。フロイトは無意識というところで面白い理論を打ち立ててくるんだけども、ちょっとシステマチックと言うんですかね、いわゆるユング的なものにいかないで、どうしても西洋的な近代的合理性と言うか、そっちのほうで解釈して収めたかったようなタイプの人かなあと僕は思うんです。そこにユングが出てきたというね。そこは押さえておきたい気がします。

    ヤス だから、やはりその個に働きかける個の超越的な力、現実の構成力がある個といったものをもう一回、文学でも思想でもね、政治学とか経済学とか、そういう分野でもそうだと思うんですけど、いろんな分野の中でもう一回再構成するということはすごく重要なんだと思います。本当に。

    西塚 わかりました。次回から、今世界で何が起こってるかということをやりながら、もうちょっと今のお話に結びつけるような形でお話しできたらなあと思うので、おつき合いいただければと思います。今日はありがとうございます。お疲れ様でした。

    ヤス こちらこそ、どうもどうも。


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    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

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    「ヤスの勉強会」第22回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第22回を開催します。非常に急速に国際情勢が動いています。2016年は第3次世界大戦を回避できるかどうかが決まる重要な年になると思われる。あらゆる分野の情報を解析して、いま我々がどこに向かっているのか見通しを立てる。

    【主な内容】
    ・2016年はなにが起こるのか?
    ・大きく変革する「イスラム国」の情勢
    ・我々はやはり超社会主義に向かっているのか?
    ・日本は衰退の最終段階にいる
    ・個に内在した超越的な力と精神性

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:1月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

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    ytaka2013

    リクエストの多いウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手、西塚氏の「五目通信」に載ります。一部、2000円だそうです。ご希望の方はメールでお申し込みください。info@gomokusha.co.jphttps://t.co/exDASexIkm
    01-06 15:46

    01/02のツイートまとめ

    次回の有料メルマガの予告
    1月8日、午前0時10分に配信される次回の有料メルマガは恒例のジョセフ・ティテルの「2016年予言」の要約を紹介する。いくつか極めて興味深い予言がある。必見だ。

    また、前回の記事では「もしかしたら、来年早々にもアメリカは北朝鮮を崩壊させるなんらかの計画をスタートさせたのかもしれない」と書いた。北朝鮮が水爆実験を成功させたが、これはキム・ジョンウン体制を潰すための口実になるかもしれない。いま情報を集めている。これは次々回のメルマガに書く。


    ytaka2013

    明けましておめでとうございます。突然ですが、「ジュネーブの異次元ポータルに入るUFO」と映像にありますが、これは本当でしょうか?https://t.co/eH4QGCX7Or
    01-02 00:46

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