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    2013-06

    大きな歴史的転換点、激変する世界経済と進行する我々の意識変化、第6回

    6月26日

    メルマガの記事の執筆に全力投球してしまっているため、今回も記事の更新が遅れてしまった。いつも記事を読んでくださっている読者の方々に感謝する。

    アネモネ講演会のご案内

    またアネモネの考案会を依頼された。今回は極めて刺激的な内容になると思う!よろしかったらぜひどうぞ!

    案内リンク

    2013年7月14日(土)
    14:00~16:00(開場13:30)
    会 場 アリアル五反田駅前会議室 
    東京都品川区西五反田1-2-9 アリアル五反田駅前ビル
    ■各線「五反田駅」より徒歩1分
    料 金 前売3,000円/当日4,000円(各税込)

    ・世界再編成の動きと第3次産業革命
    ・まったく報道されていないTPPの真の実態
    ・アベノミクスが終焉?
    ・果たして日本は生き残れるのか?
    ・社会的断層と我々の集合無意識
    ・中国の現実
    ・戦前と似てきたヨーロッパ
    ・ウェブボット最新報告書


    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!今回の講演会は面白くなりそうです!

    日時  平成25年7月26日(金)18:30受付 19:00~公演開始
    場所  高松テルサ  

    テルサ会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします
    〒761-0113 香川県高松市屋島西町2366-1
    Tel: 087-844-3511   Fax:087-844-3524

    会費   ¥3000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・岐路に立つ日本、アベノミクスの逆回転はあるのか?
    ・中国のバブル崩壊の可能性は?
    ・資本主義2.0の社会とは?集合意識と集合無意識
    ・アメリカの根本的な変化
    ・我々の向かう精神的な変化
    など


    船井メールクラブ・オフ会 vol.1

    フナイメルマガを書いています。オフ会を行うそうです。よろしかったらどうぞ。

    船井メールクラブオフ会告知ページ

    日  時:8月23日(金)開場18:30 スタート19:00 終了21:30~22:00頃
    参加費:会員様 5,000円(税込) ご同伴者様(非会員様) 6,500円(税込)
    ※お飲み物(アルコール含む)・軽食込みの会費です^^
    会 場: JR四谷駅より徒歩3分のオフィスビル内(ご入金いただいた方に直接ご案内いたします)
    タイムスケジュール:
    18:30   開場
    19:00~ 高島康司先生ご講演
    「実はいまこそが歴史の転換点。水面下で進む新しい国際秩序の形成」
    20:00~ 船井勝仁との対談・皆様との懇親会(終了21:30~22:00頃予定)


    新刊本のご紹介

    また本が出ます。すごく面白い本だと思います。よろしかったらどうぞ!

    日本、残された方向と選択~緊急分析!! 近未来の予測・予言を大解明!
    houkou

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    お知らせ

    5月21日、ウエブボットの報告書の最新版が発表になりました。いま詳細な要約の作業を続けていますが、これまでのように「予言解説書」のような体裁で出すことはしないことにいたしました。詳細な要約はすべてメルマガに発表いたしますので、最新報告書の内容を知りたい方は、メルマガを購読なさってください。

    記事全文の音声ファイル

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    有料メルマガのご紹介

    前回と今回のメルマガでは非常に重要な内容を解説した。我々の社会は「資本主義2.0」と呼ばれる新しいシステムへと急速に進化している可能性がある。

    資本主義社会は歴史的な環境の変化に適応して幾度となく変化してきたが、これまでの資本主義では変わらないものが存在した。それは、「生産者と消費者」「作家と読者」「製作者と鑑賞者」というような社会的な主体の分断である。サービスや製品の供給は、生産者から消費者へというように、あくまでも一方の主体からもう一方の主体へと一方通行に行われた。この関係は、どの時代の資本主義でも不変のまま止まった。

    しかしながら、フェースブックやツイッターなどのSNS、そしてBBSなどの発達により、これまで固定されていた社会的主体の分割線が解体され、「消費者」が「生産者」、「生産者」が「消費者」となるような入れ替わりが可能となる状況が出現した。

    それというのも、SNSやBBS、またブログの投稿欄では社会的な立場ではなく、すべての参加者が個人へと還元されてしまうからである。そうしたサイトでは、一方的な情報提供ではなく、個人による対話こそが中心になる。そのような対話的な状況から多くの人が共有するさまざまな考えやアイデアが「意味」として現れるので、そうしたサイトは総称して「意味場」と呼ぶことができる。

    「意味場」では、参加者の数と会話の頻度がある臨界点に達すると興味深いプロセスが起こる。そのプロセスとは、繁雑な会話内容を一貫してストーリーにまとめる「会話内容のまとめ」と、そうしたストーリーが現実に起こり得ることを示す「現実のリンク」という2つのプロセスである。この2つのプロセスを通過すると、「意味場」における単なる会話内容に過ぎなかったものが、あたかも本当に起こった出来事であるかのようなリアリティーをもち、一人歩きを始める。それは、小説やエッセー、映像や音楽などとして商品化される。

    さらに、3Dプリンターの開発により、「意味場」からあふれ出した内容がデジタルを越え、「もの」として製作されるようにもなった。

    このようなものは、「意味場」で現れた多くの人々の意識を反映している。その意味では、これは「集合意識」と呼ぶことができるはずだ。「意味場」を通して「集合意識」が出現すると、大変な社会的影響力を及ぼす。抗議運動などさまざまな集団的な社会運動が、なんの前触れもなく突然と出現し、社会を変化させる力になるのである。いま荒れ狂っているトルコやブラジルの抗議運動も、「集合意識」のこのような出現を経て起こったことは間違いない。

    このような状況のため、「資本主義2.0」の社会は権威や権力、そして権威的な階層秩序の組織が存在しにくい社会になりつつある。それは、「意味場」から現れた我々の「集合意識」が現実を変化させる社会、つまりは我々の想念がそのまま現実となる社会になっている。

    一方CIAは、ネット上に存在する有力な「意味場」をモニターし、「集合意識」の出現からどのような集団行動が発生するのか予測するプログラムも開発している。このとき、参加者の感情の強さも分析している。おそらくこれは、ウエブボットが時代遅れになるようなプログラムだ。

    前回はこのような内容を解説した。

    今週のメルマガの予告

    今週のメルマガは、まず新たな金融破綻の可能性について解説する。いま中国では、株は暴落し金融機関の連鎖倒産を懸念する状況になっているが、新たな金融危機の引き金を引くのは、実は中国ではない可能性が高い。引き金はまったく違うところからやってくる可能性がある。これを解説する。

    やはりどうもいまは、めったにない歴史的な転換期に突入したようだ。

    日本も含め現在のグローバルな世界経済は、1989年から始まった長期の4つのトレンドが作り出したものであることは間違いない。中国のような新興国の成長もこの長期トレンドの現れであった。

    しかし2013年になって、この長期トレンドが終了しつつある。これまでのようなグローバリゼーションの世界ではなくなるかもしれない。

    日本のこれからも含め、これがどういうことなのか詳しく解説する。

    今回の記事

    何人かの読者の方から、アベノミクスの現状を簡単に整理し、これからどのようなことが起こるのか書いてほしいというリクエストを得た。今回は、これに応える記事である。長いので、記事を2回に分ける。

    安倍政権の海外の評価

    では、本題に入る。

    メルマガやこのブログに何度も書いてきたことなので詳述はしないが、海外の安倍政権の評価は決して高いものではない。というよりも、安倍政権を積極的に評価する記事はほとんど見たことがないというのが実情だ。安倍政権の歴史認識に関しては、特にそうである。

    安倍首相と韓国のパク・クネ大統領の訪米時における扱いの違いを見れば、オバマ政権の安倍首相に対する拒否反応は明白だ。

    安倍首相は、ジャパンハンドラーの拠点で軍産複合体のシンクタンク、「CSIS」の主催する国防総省の次官級クラスが集まる小さな会合のスピーチがせいぜいであったのに対し、韓国のパク・クネ大統領は上下両院特別会議におけるスタンディングオベーションであった。

    安倍首相のスピーチ



    韓国、パク・クネ大統領のスピーチ



    グローバルな常識となった認識

    安倍政権に対する拒絶反応が強いのは、戦前の日本軍を欧米の植民地からのアジアの解放者として見る安部政権の歴史観は、グローバルに共有されている認識とはあまりに異なり、受け入れられる余地はほとんどないからだ。

    インターネットとSNSが発達した現代では、共通の常識を共有するグローバルな市民社会が明白に存在している。それは、アラブの春やオキュパイ運動、チベットの反人権運動、そしてトルコやブラジル、ヨーロッパ各地で起こっている抗議運動のような大きな出来事が起こると、グローバル市民社会の大きさを実感することができる。

    そこには、広く共有される常識と歴史観が存在している。日本に関してもそうだ。それがどのようなものか、海外のさまざまなメディアや記事を読むと次のような歴史観であることが分かる。

    アジアを侵略した忌まわしき過ちの歴史と決別し、戦後の焼け野原というマイナス状況から出発しながらも、戦争や紛争を一切引き起こすことなく、民主主義と人権を重んじる平和国家として経済大国となった偉大な国が日本である。

    このような歴史観だ。これを見ると、グローバル市民社会は、戦後の日本に最大の価値を見いだしており、反対に戦前の歴史を、「侵略の過ちを繰り返した忌まわしき歴史」として強く排除していることが分かる。

    この立場から見ると、なぜ安倍政権が戦後の価値を放棄し、あえて忌まわしき戦前に回帰したいのかまったく理解できない。安倍政権の姿勢は、戦前のドイツが犯したホロコーストにもよい点はあったと主張するようなものとして映るのだ。

    普遍的な価値とグローバル市民社会

    グローバル市民社会というのがなんのことなのかはっきりしないので説明してほしいというリクエストがあったので、以下の解説を追加する。

    グローバリゼーションというと、基本的には経済の国際化をイメージする。グローバル化の進展に伴い、日本やアメリカのような先進国では、競争の激化、格差の拡大、社会保障の縮小と崩壊、大量失業などの社会矛盾が発生するというマイナスのイメージを持ち安い。

    たしかに、グローバリゼーションは、あらゆる産業の生産拠点を労働力の安い地域に配置するグローバルな生産システムを実現するので、車や家電などの耐久消費材の製造業を中核に発展してきた先進国は、没落を余儀無くされた。その結果が競争の激化や格差の拡大である。

    しかし、グローバリゼーションにはこれとは違った側面が存在する。上が経済のグローバリゼーションであるとすれば、もうひとつは価値観と意識のグローバリゼーションである。

    グローバリゼーションは、ネットによるソーシャルメディアなどを駆使して、個人が国籍や国境に関係なく世界と自由につながることのできる環境を形成する。ここでは、情報は一瞬のうちに共有されるので、チベットで撮影された人権弾圧のビデオが、フランスで大きな抗議デモを巻き起こすなどということはしょっちゅう起こる。

    このようなグローバル化した世界では、グローバル市民社会と呼べる状況が出現しており、そこでは国や文化の違いに関係なく尊重されるグローバルな価値観が台頭している。それは、「人権の尊重」「言論の自由の尊重」「民主主義」「自由と平等」などのとてもシンプルな価値だ。

    このような価値に違反する政権は批判され、生き残ることが難しくなっているのが現代という時代なのだ。「アラブの春」で多くの独裁政権が崩壊したり、どれだけ経済的に発展しようとも、「民主化要求運動」や「チベット独立運動」などを平気で弾圧する中国政府に人気がないのは、こうした普遍的な価値に明白に違反した行動をしているからだ。

    これらの価値は、エルドラン政権に講義する民衆のプラカードや、ニューヨークのオキュパイ運動のスピーチような、世界各地の抗議運動が体現しているだけではなく、スローフードやロハスなライフスタイルを唱えるヨーロッパのNGOなど、民衆が自主的に始めた世界各地のあらゆる種類の運動や団体が共有している。

    そのひとつは以下のサイトだ。日本ではさほど大きくはないが、海外では巨大化している。「この指とまれ」方式で現実を変えてゆくためのサイトだ。

    「変えたい」を形にするソーシャルプラットフォーム change.org

    また、個人が個人に資金援助をするマイクロクレジットの「KIVA」も超有名だ。

    KIVA

    こうしたサイトや団体、また運動を見るとよく分かるが、これらの活動の前提になっているのが、先の普遍的な価値というわけである。

    これはアメリカの価値観で、アメリカが世界に押し付けたものだという考えが日本では強いが、実はそうでもない。これらの価値観は、ネットワーク化したグローバル市民社会の運動から自然に出てきたものだ。それはアメリカにも厳しく適用され、断罪され、生き残れなくなった団体や企業が多くなっている。

    世界で起こるさまざまな出来事はこれらのグローバルな価値観を基準に判断され、また厳しく断罪される。そのため、インターネットが存在せず、事件が起こった後に事後的に伝えられた20年前では、「しょうがない」と諦められ、さほど非難されなかった出来事も、グローバルな価値観が支配し、ネットを通して出来事がリアルタイムに伝えられる現代では、すさまじい非難と抗議運動を呼び起こす。

    このため、20年前までは安泰であった各地の独裁政権とそれによる人権弾圧も、いまでは世界的な抗議運動の拡大から、存続することは不可能に近くなっている。「アラブの春」などはこのよい例だ。

    このような環境では、どの国の国内問題も一国の範囲に止めておくことは不可能だ。「オキュパイ運動」、「アラブの春」、「プーチン抗議運動」、「中国の民主化要求運動」、「チベット人権弾圧抗議運動」など、近年発生したどの抗議運動も、一瞬のうちに世界に拡大し、世界的な規模で市民の共感と賛同を得た。「アラブの春」のように、そのうねりのなかで、多くの独裁政権を連鎖的な崩壊へと追い込むことに成功した運動もある。

    これが、いま出現しつつあるグローバル市民社会のイメージだ。

    異なった歴史観を主張することは可能

    もちろん成功する可能性はかなり低いが、グローバル市民社会の常識とは大きく異なる歴史観を、安倍政権が説得的に提示することは不可能ではない。

    海外の多くの人々にアピールできる論理性と説得力のある内容であれば、それなりに受け入れられる可能性はある。

    日本の指導層の説明能力

    世界的にすでに常識になっている歴史観とは異なる内容を提示するのである。よほどの説得性がないと無理なことははっきりしている。安倍政権の周辺にいる人々に、そうした説得力は期待できるのだろうか?

    しかし、これがはかない夢であることを証明する出来事が最近起こった。国連拷問禁止委員会で、アフリカ モーリシャスの代表が日本で逮捕された被告が警察による尋問中に弁護士を同席できない問題点を指摘すると、上田大使は激昂し「日本は中世の国ではない、日本はこの分野で世界で最も先進的な国の一つだ」と言い、「笑うな!何故笑っているんだ?黙れ!黙れ!」と言った。以下である。



    もしこれがいまの日本の政府や省庁の周辺にいる人々の説明力の水準なら、グローバル市民社会に対抗する歴史観の提示という極めて微妙で神経質な扱いを要求する問題で、説得力のある論理を展開することは、土台不可能であると言わねばならない。

    ところで、上田人権人道大使の発言には「無礼な!日本は偉大な国だ。何を言うのか!」というプライドが前面に出た態度が伺われる。この態度とトーンは、日本の国際的孤立の出発点になった「日本の主張が認められないならば国際聯盟脱退はやむをえない」として国際連盟脱退を宣言した1933年の松岡洋介外相の演説とよく似ているように思う。以下がそうだ。

    1933年、松岡洋介外相の国際連盟脱退演説



    安倍政権の歴史観の見直しは命取り

    このような状況なので、もし今後も安倍政権が「河野談話の見直し」「歴史観の見直し」、そして「憲法改正」などを自分たちの内部的な論理で行おうとするなら、各国のみならずグローバル市民社会から袋だたきに合い、葬り去られることだろう。

    安倍首相個人のスキャンダルが急にマスコミをにぎわし、あっと言う間に引きずり落とされることにもなりかねない。

    「従軍慰安婦発言」で橋下共同代表がどのような状況に陥ったのか見れば、歴史認識の問題に触れることがどれほどリスクがあるかよく分かる。

    もし自民党が参院選で勝利した後、安倍政権が経済に専念すれば延命するだろうが、ちょっとでも「歴史認識」の修正を行うそぶりを少しでも見せると、国際的な非難の嵐から、政権の存続も難しくなる状況になる可能性も出てくるだろう。

    アベノミクスの現状と整理

    他方、拒絶反応一辺倒の「歴史認識修正問題」とは対照的に、賛否両論はありながらも比較的に受け入れられているのが、1)異次元的量的緩和、2)防災インフラ関連中心の公共投資、3)成長戦略の3本の矢のアベノミクスである。

    アベノミクスがどういうもので、いまどのような状態にあるのか、簡単に整理する。すでに散々報道されているので周知なことだろうが、一度分かりやすく整理して見よう。

    異次元的量的緩和のねらい

    まず、市場に存在する国債の70%に相当する毎月7兆円の国債を日銀市場から購入する異次元的量的緩和だが、当初は、日銀が国債購入のために市場に流す資金は株式市場へと投資されて株価が高騰し、また日銀が国債を買うので国債の価格は上昇し、その結果、長期金利は低下すると予想された。

    長期金利が低下すると、企業が銀行から金を借り安くなるので、設備投資は増加する。すると、本格的な景気回復に入ると期待された。

    期待が外れる

    だが、これも周知のことだろうが、この期待は外れた。当初の予想とはかなり異なる展開となった。

    日銀が大量の国債を購入した結果、金融機関は手持ちの国債を一斉に売り、株を購入した。その結果、株は高騰したものの、逆に国債は下落し、長期金利は上昇した。これで銀行の貸し出し金利も上昇するので、設備投資は減少した。

    このような状況になったため、株価は上昇したものの、景気回復のカギとなる設備投資は起こる方向に向かっていない。

    可能性のあった予想、個人消費循環

    他方、このような状況にあっても、設備投資には依存しない景気回復の方向に向かっているのではないかとする希望的な観測もあった。4月にはこのブログもそのような見方を取り、それを紹介した。

    戦後の日本の経済成長は、大手製造業による巨額の設備投資が支えてきた。大型の設備投資が始まると、周辺産業に大きな波及効果をもたらす。それが日本国内で行われると、国内の雇用は伸び、所得も伸びる。すると国内の消費も伸びるので、景気を一層後押しする。これを設備投資循環と呼ぶ。

    一方、アメリカなどの個人消費がけん引する国では、多くの国民が株を保有しているため、高い株価や住宅価格の高騰で、富裕層を中心とした個人消費が伸びる。すると、サービス業を中心とした非製造業が伸びるので、この分野の雇用の伸び、その結果、ゆるやかに景気回復する。これを個人消費循環と呼ぶ。

    デパートなどの売上が急速に伸びていたので、日本もアメリカに似た個人消費循環に突入する可能性があるのではないかとも言われた。

    消えた希望的観測

    だが、そのような状況にはならなかった。個人消費の伸びが継続したのは3月から4月のみであった。5月23日には株が暴落し、その後は株価の乱高下が始まり、市場は不安定化した。

    また国債の下落と長期金利の上昇で、設備投資の減少傾向にも歯止めがかからなかった。

    さらに、日銀がこれだけ大量の資金を供給しているものの、デフレが改善している気配もまったくない。以下は東京大学大学院経済研究科が発表している東大日次物価指数のデフレ数値である。

    原計数      1.11%の下落
    過去1週間の平均 0.82%の下落
    (2013年06月23日:前年同日比)


    株価の暴落と乱高下の背景

    さらに、5月23日には株価はマイナス7%を越えて暴落し、その後も乱高下が続いている。これも散々報道されていうので周知だろうが、暴落の原因は2つであった。

    1)QE3の終了

    いま米経済は確実に回復している。いま米FRBは景気を支えるために大規模な量的金融緩和(QE3)を行っているが、これを終了させる懸念が出てきた。金融緩和を止めると市場に資金が供給されなくなるので、景気が失速する懸念が出てくる。その結果、株価が下落して、ドル安と円高になり、日本の株価が下落した。

    しかしもっと深刻なのは、次の原因だ。

    2)第3の矢の「成長戦略」が期待外れ

    6月14日に安倍政権は、第3の矢となる「成長戦略」を発表したが、これに市場は大きく失望した。

    市場は、大規模な構造改革や大幅な規制緩和、そして新しい産業の立ち上げなどを期待していたが、発表された「成長戦略」は、薬のネット販売などが目玉になるような決め手に欠けるものであった。その結果、市場は失望し、株価は下落した。

    その後も続くマイナスのニュース

    その後、株価はちょっとした変化で乱高下しながら、アベノミクスに関する明るいニュースはほとんどないのが現状だ。

    まず輸出だが、円安と高い株価にもかかわらず、逆に貿易収支は悪化している。これは、大手製造業の生産拠点の多くはすでに海外に移転してしまっており、円安の効果が薄いことを示唆している。

    一方円安により、輸入エネルギーと原材料価格は上昇し、国内企業を圧迫している。そのため、景況感の悪化も止らない。

    円安になっているので、ドル建てで実施している海外への投資収益が増加しており、これがなんとか貿易収支の赤字を補填しているのが現状だ。

    さらに日銀が、設備投資の活性化を期待して、市場を通して銀行に注入した資金は、その多くが国債の購入に使われ、企業への貸し出しはほとんど伸びていないことが分かった。このような状況が続くなら、設備投資は起こらず、本格的な景気回復は実現しないことになる。

    ジム・ロジャースの警告

    株が乱高下しながらも、一向に実質的な景気の改善が見られない状況に対し、世界的に著名な投資家のジム・ロジャースは、長文のインタビューで以下のように述べた。

    「今は、アベノミクスによって、円は25%も価値が下がり、輸出関連産業は息を吹き返しました。しかし、日本は原料、原油、銅、綿など、多くのものを輸出に頼っている国家です。円安が止まらなくなれば、それらの輸入価格がどんどん上がっていく。インフレが起こり、物価が上がって生活はどんどん苦しくなることは必至です。これまでの歴史を振り返ってみても、無制限に印刷された紙幣が、どれだけ最悪のインフレを起こしてきたか、想像するのも恐ろしい。安倍首相にはそれが見えないのか、あるいは、ないふりをしているのか。借金とインフレに基づいた経済システムは、いずれ崩壊するでしょう」

    設備投資は起こるのか?


    ジム・ロジャースはかなり厳しいことを言っているが、これはひとつの意見にしか過ぎない。これとは大きく楽観的な見方も存在しているが、やはりカギを握っているのは、設備投資の波が起こるかどうかである。

    これがアベノミクスの明暗を左右している。

    やはり設備投資は難しい?ファンドによる投資

    だが、やはりいまの日本企業では大規模な設備投資は困難ではないのかとする悲観的な見方が出てきている。

    設備投資は巨額である。したがって日本の企業は、伝統的に銀行との関係を強め、銀行からに融資に依存して設備投資を実行してきた。これは我々の設備投資のイメージでもある。

    しかし世界的な流れとして、銀行の融資には依存しない設備投資が一般的になっている。

    いま西部グループに、利益を上げるために路線の統廃合を提案した投資ファンド、「サーベラス」が問題となっているが、資金だけ融資をする銀行ではなく、リストラや経営の合理化、そして新規プロジェクトなどを会社に提案する投資ファンドによって、新規の設備投資が実現するのが主流になっている。もはや、銀行ではなくなっている。

    だが、今回の西部グループのケースにも見られるように、投資ファンドが経営の方法に介入することを日本の会社は極力嫌う。

    おそらく、日本企業への設備投資に資金を投資する意思のある海外のファンドは、多く存在しているだろうが、経営に介入するそのような投資を受け入れる準備は、日本の企業にはできていないのだ。

    日本人としては、外資系ファンドの介入を排除したい気持ちはとてもよく分かるが、このような構造のため、積極的な設備投資が日本国内で起こることはかなり難しいのだ。

    だとするなら、設備投資の大きな波は日本では起こらない可能性が高い。もしそうなら、アベノミクスは最終的になにをもたらすのだろうか?実は、それほど悪い状況ではないとする見方もある。ちょっとびっくりする見方だが、どのようなものだろうか?いま言えることは、少なくとも年内に日本経済がクラッシュするようなことはまずないということである。

    次回に続く。できるだけ早く更新する。

    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

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    筆者にいとこがスピリチュアル系のカウンセラーになっていたのを最近知ることとなった。以下にリンクする。よろしかったらどうぞ。

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