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    2013-02

    アベノミックスを考える1

    2月2日

    いつもお読みいただいている読者の方には感謝します。

    アネモネの講演会

    詳細リンク

    以下の日程で講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!

    2013年はどんな年になるのか?

    主な講演内容
    *ほとんど報道されない中国国内の状況
    *中国共産党は生き延びられるのか?
    *大きく変化するアメリカの状況
    *追いつめられ、孤立する日本
    *領土問題の行方
    *日本は中国と戦争するのか?
    *リモートビューイングで明らかになった2013年
    *多くの人が体験している精神的な変化
    *いま人間の意識の何がどう変化しているのか?
    *ウェブボット最新報告書

    日 時:2013年2月24日(日)
    14:00~16:00(開場13:30)
    会 場 荏川倶楽部 
    東京都品川区北品川2-32-3
    ■京浜急行新馬場駅徒歩2分
    料 金 前売3,000円/当日4,000円(各税込)【イベント番号:STY01】

    申し込み先
    ビオ・マガジン イベント係
    TEL : 03-5436-9200
    FAX : 03-5436-9209
    E-Mail : workshop@anemone.net
    担当 / 奥山

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    お知らせ

    5月21日、ウエブボットの報告書の最新版が発表になりました。いま詳細な要約の作業を続けていますが、これまでのように「予言解説書」のような体裁で出すことはしないことにいたしました。詳細な要約はすべてメルマガに発表いたしますので、最新報告書の内容を知りたい方は、メルマガを購読なさってください。

    記事全文の音声ファイル

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    有料メルマガのご紹介

    今回は筆者が対談した人類学者でシャーマンのハンク・ウエスルマン夫妻との対談内容の一部を詳しく紹介した。

    筆者は、いま世界を席巻しつつあるナショナリズムの渦に飲み込まれないためにも、個々人が内面から幸福感を感じることは重要だと思うが、それにはどうしたらよいのか聞いた。

    すると博士夫妻は、固有な個人としての生きたいという、どんな個人にも沸き起こる「個性化」の衝動に注目し、個人として精神的に成長する過程を真摯に生きることこそ、自由と自立を確立し、幸福感の源泉に触れる方向だとした。

    そしてこの方向こそ、「神」は外部に存在するのではなく、実は我々自身こそが「神」であるとの自覚に基づき、「新しい宗教」を立ち上げる2013年から始まる歴史的なサイクルに合致した動きだと言う。

    もし2013年からこのような「新しい宗教」の出現に向かうサイクルが始まるとするなら、普通に生きる我々においても「個性化」の衝動は強まり、これまでの生き方の方向転換を迫られることになる可能性もある。

    そのような変化が現実に起こるなら、新しいサイクルのもたらす歴史的変化の深層潮流の胎動を、我々個々人がそれと一緒に共振し、受け止めている証左なのかもしれない。

    前回はこのようなことを徹底して解説した。

    次回のメルマガ予告

    1月30日、ジョセフ・ティテルの「2013年予言」がやっとサイトで公開されました。その詳細な要約をお届けします。必見だと思います。


    今回の記事

    今回は、いま話題になっている「アベノミックス」から、今後の日本、ならびに我々の生き方が今後どうなるのか少し詳しく見て見ることにする。

    アベノミックス

    安倍政権が発足してはや1カ月が過ぎた。いまマスメディアでは「アベノミックス」でやっと景気がよくなるのではないかとの楽観的な観測が流れている。

    「アベノミックス」は、ジェセフ・スティグリッツやポール・クルーグマンなど、著名なエコノミストから国際的にもそれなりに評価されている。

    周知のように「アベノミクス」とは、1)国内のインフレ率が2%になるまで、日銀にこれまで以上の額の国債を購入させて大胆に金融緩和し、2)10年間で200兆円を越える防災インフラの建設を中心とした公共投資の2つの政策を実施し、日本が陥っている長期的な停滞からの脱出を図るというものである。

    この政策の発表以降、インフレの期待から円安が進むと同時に、大規模な公共投資の実施による景気浮揚の期待から株価が急上昇し、日本はこれから新たな成長軌道に乗るのではないかという楽観的な期待感が高まっている。

    なぜインフレ率が2%になると景気がよくなるのか?

    防災インフラを全国に整備するというような大規模な公共投資を行えば、政府の多くのプロジェクトが民間に発注されるので景気がよくなることは分かるが、2%のインフレ率を目標とすることが、なぜ景気を押し上げる効果があるのかちょっと分かりにくい。

    景気の底上げ効果は、物価の上昇スピードが賃金の上昇スピードを上回っていることから生まれると考えられている。

    金融緩和を実施し、通貨の供給量を増大させると、普通は物価のほうが賃金よりも先に上昇する。物価は通貨の供給量が増えると、それに合わせて比較的に早く上昇するのに対し、賃金は景気がよくなり企業の投資が活発になって雇用が伸びないと、上昇しないからだ。これにはずっと時間がかかる。

    すると、物価が先に上がり、賃金の上昇が出遅れている状況では、企業の利益率はそれだけ改善する。賃金がそのままなのに、インフレのため製品の販売価格は上昇するからだ。

    企業の利益率が改善すると、企業はその分だけ新規の投資を行う余裕が生まれる。新規の投資が増大すると景気はよくなるので、雇用は増大する。そのため、結果的に賃金の上昇につながるという動きだ。賃金の上昇はさらに市場を拡大させるので、一層投資が刺激され、同じ好循環が繰り返される。

    これが2%のインフレが景気を押し上げるメカニズムだ。

    2%のインフレ率は極めて困難

    しかしながら、これがそんなにうまく行くはずはないという疑念が多く出されている。

    まずインフレ率だが、通貨の供給量を増大しただけではインフレにはならないことが実証されている。

    それというのも、物価は需要と供給との関係で決まってくるからだ。需要が供給力を上回っているとき物価は上昇し、逆の関係では下降する。

    下の表は通貨供給量と物価の上昇率の年度別のグラフである。

    infle

    70年代から80年代まで日本が成長期の経済であったときは、需要が供給を上回っていたので、通貨供給量を少し増大させたたけでも物価は勢いよく上昇したが、90年代からは高齢化の進展も背景となり、日本は低迷期に入った。この時期には供給が需要を上回るデフレ状態が続いているので、通貨供給量を増大させても物価はほとんど反応していないことが分かる。

    90年代から始まったデフレ状況は現在でも変らず続いているため、たとえ「アベノミックス」で大幅な金融緩和を行ったとしても、2%のインフレ率の達成は不可能はないかという意見も強い。

    雇用は伸びず、株価と土地だけが高騰するバブル

    しかし、よしんば2%のインフレ率が実現したとしても、景気の安定的な底上げは厳しいとする見方もできる。

    物価の上昇と賃金の出遅れから利益率が改善したとしても、もともと国内に需要がなく市場が拡大していないのだから、投資する分野はあまりない。事実、いまでも銀行には借り手がいない過剰資金が滞留し、結局それが日本国債の購入に充当されているのが現状だ。
    だから、企業の利益率が改善したとしても、そうした資金は生産的に投資されるのではなく、株や不動産への投機に回され、その結果、株価と土地価格の上昇からミニバブルをもたらす。そのため、景気の全体的な浮揚効果には結び付かないで終わる可能性が高い。

    ましてや、生産的な投資が少ない状況で物価、株価、そして土地価格が上昇するのである。雇用は伸びず、給与収入は目減りする。そのため、国内では格差が一層拡大し、また市場は縮小する。この結果、景気の低迷はさらに長引くことになる。

    物価上昇と景気の低迷が一緒にやってくるスタグフレーションという状態だ。

    もちろん、このような状況にかならず陥ると言っているわけではない。その可能性があるというだけだ。しかし、はっきりしているのは、「アベノミックス」だけでは長期的な成長軌道に入ることはほぼ不可能だと見て間違いなさそうだ。

    筆者は決して「アベノミックス」を全部否定するものではないが、経済刺激の一時的なカンフル剤としての効果しか持たないように思う。

    やはり所得の再配分政策が必要か?

    このような一時的なカンフル剤としての効果ではなく、景気全体の底上げを行うためには、国内の雇用が確実に伸びる政策か、または雇用が伸びなくても市場が拡大する政策を採用しなければならないだろう。

    すでに各方面で言われていることだが、現在の日本の年金制度は、もっとも消費する現役世代から徴集した保険料で、ほとんど消費をしなくなった高齢者の年金を支えているのが現状だ。

    もし「アベノミックス」による物価高で実質的な給与が目減りし、雇用も伸びないならば、現役世代はもっとお金を使わなくなるはずだ。とするなら、特にこの世代が消費を拡大できるようにするためには、なんらかの所得再配分政策を実施し、所得の伸びを保障しなければならない。

    このように、「アベノミックス」が規模の大きい所得再配分政策と一緒に実施された場合、より全面的な景気の浮揚が見込まれる可能性が高い。

    バブル以降すべての政権が模索した再生の道

    いずれにせよ「アベノミックス」が、たとえそのような政策と抱きわせで実施されようとも、長期の成長軌道に入るというようなことはまずないだろう。

    「アベノミックス」は政府支出に依存している。その支出は、日銀による国債の大規模な購入によって支えられる。要するに借金である。借金の増大で日本国債の価値が相当に下落するリスクが出てくれば、「アベノミックス」も終了せざるを得ないのではないのだろうか?

    設備投資循環とその終焉

    高度経済成長が始まる1950年代から、バブル期が終わる80年代の末までは「長期の成長軌道」が存在していた。それは、「設備投資循環」と呼ばれるサイクルであった。

    設備投資循環とは次のようなものである。

    自動車産業や家電産業は巨大な生産設備が必要になる。特に、トヨタや東芝、また日立のような、世界市場で競争している大手の巨大企業ではなおさらだ。

    一方、企業が熾烈な競争に勝ち残るためには、新しい製品やテクノロジーが開発されるたびに、これに基づいた新しい生産設備の建設を大規模に進めなければならない。新しいテクノロジーや製品が現れるたびに、各企業は一斉に設備投資を行う。

    設備投資は、新しい工場や生産設備の建設なので、建設資材のなどを中心にあらゆる周辺産業に対して巨大な需要を作り出す。この需要であらゆる分野の産業はいっせいに活性化し、経済は活況を呈する。

    好景気に入ると雇用はどんどん伸びるので、それに合わせて個人消費も大きく伸びる。すると、自動車や家電はますます売れるので、さらに設備投資は盛んになるという過程だ。これを設備投資循環という。

    戦後、日本はこれをモデルにして経済成長を実現した。自由貿易体制のもとで海外市場が安定的に確保できたので、国内の雇用は安定し、豊かな消費社会が生まれた。

    ところが、1990年代の始めには大きな変化がやってきた。IT産業と新興国の台頭である。

    90年代始め、マイクロソフトに代表されるPCが一斉を風靡し、主要な産業がこれまでの家電や自動車などの耐久消費材から、IT産業に急速に移行した。

    さらに、インターネットが自由に活用できるようになったことから、世界の労働力の価格の安い地域に生産拠点を作り、これをネットワークで結んで生産を行うグローバル生産体制が確立した。

    この大きな変化で、耐久消費材やIT産業などの国内の主要な製造業は、労働力の安い中国やインドなどの新興国へと出て行った。このため新興国の経済は急速に発展する一方、日本のような先進国では産業の空洞化が急速に進んで雇用は停滞し、個人消費は落ち込み慢性的な停滞期に入った。

    この時点で、設備投資循環のような成長軌道を保障するメカニズムは喪失した。だが、これに代わる新しい成長モデルはいまだに存在していない。いま日本は、次の成長のサイクルをけん引することのできるモデルが存在しない状況にある。

    バブル期以降、新しいモデルを模索

    「設備投資循環」が破綻してからというもの、バブル期以降の歴代政権は、日本経済を成長軌道に乗せることのできる新しいモデルの模索の歴史であった。

    小渕政権と森政権の大規模な財政出動と公共投資の路線、橋本政権の緊縮財政路線、そして小泉政権の公の分野への市場原理の導入の路線などだ。

    民主党政権とはいったいなんだったのか?

    いま再度政権交代はあり、「アベノミックス」へと急速にシフトしているが、こうした新たなモデルの模索という視点から見ると、民主党政権とは一体どのようなモデルをもともと追求していたのか、一度明確にしておくべきだろう。

    民主党政権は、初代の鳩山から、菅、野田と政権が変るたびに追求するモデルが不明確になって行った。だが、初代の鳩山が担っていた民主党のもともとのモデルは、ある意味、「長期の成長軌道」という概念そのものの一種の断念を前提にするものであった。

    主要産業の生産拠点が新興国に移転してしまったいま、日本が「長期の成長軌道」に入り、かつてのように高成長することはまずない。だとするなら、「低成長」であっても国民が安定した生活と幸福を享受できるモデルを構築するしかない。

    そのような認識に立ち、以下の方針を提起した。

    1)地域共同体の自立

    官僚主導の中央集権を脱し、地域主権を強化して各地に「定住自立圏」を形成する。

    2)NPO法人の支援

    「定住自立圏」では、政府の支援を受けた多くのNPOが、介護や福祉などのさまざまなサービスを提供し、地域共同体の拠点となる。

    3)東アジア共同体

    日本は日中韓を中心にした「東アジア共同体」に参加する。「東アジア共同地」をアジア版EUとして強化し、そこに日本の主権を埋め込み、アメリカと距離を取る方向を模索する。

    このようなモデルであった。だが、民主党はあまりに準備不足で大きな方向転換を行おうとしたため、政治全体のハンドリングに失敗し、あえなく挫折してしまった。

    「アベノミックス」のモデル

    なぜここで過去の民主党政権のモデルを出したかというと、これとの対比で「アベノミックス」のモデルが鮮明になるからである。

    もともとの民主党のモデルが「官僚主導の中央集権を排した地域共同体主体のモデル」だとするなら、「アベノミックス」は、この対極にある「官僚主導の中央集権的な高度経済成長モデル」とでも呼ぶことができるだろう。つまり、かつての古いモデルへの再来である。

    「アベノミックス」以後のモデル

    ところで先にも書いたように、「アベノミックス」は、国債の過剰発行による巨額な政府支出に依存している。そして、これで日本が「長期の成長軌道」に入ることは難しく、「アベノミックス」は一時的なカンフル剤としての効果しか持たない可能性がある。

    とするなら、政府支出が限界にくると、必然的に「アベノミックス」も終了せざるを得なくなるだろう。いまのままの内外の条件が継続するなら、筆者は今年の秋にもこのような状況になるのではないかと思う。

    ならば、「アベノミックス」終了後はどのモデルが選択されるのだろうか?かつてのような「地域分散型の定住自立圏」のモデルだろうか?それとも、まったく異なるモデルになるのだろうか?

    軍事産業型モデル?

    もちろん、「アベノミックス」が始まったばかりのいまの段階では「アベノミックス」以後のモデルがどうなるかは、当然はっきりとは見えてこない。もしかしたら、かつての民主党が掲げていたような「地域分散型の定住自立圏」のモデルなのかもしれない。だがその可能性は非常に低いように思う。

    自衛隊の国軍化、憲法改正、戦前戦中の歴史の見直しなどを進めようとしている安倍政権の方向性から類推すると、「アベノミックス」以後は、武器輸出の全面的な解禁を前提にして、軍事産業を経済をけん引できる主導的な産業分野として編成する方向かもしれない。いまの段階ではちょっとびっくりする結論かもしれないが、可能性がないわけではないと筆者は思う。

    ちょっとうがった見方だが、これは1930年代の軍事産業への投資が経済をけん引する方法に似ていなくもない。

    いずれにせよ、このような方向に突き進んだ場合、日本は劇的に変化することだろう。

    長くなるのでいったん記事をここで終えるが、こうした経済のモデルは我々個々人の生活とは切り離されたものではない。我々に特定の「生き方」を押し付けるか、または選択を迫る圧力として機能する。

    「生き方」のモデルは「理想的な人格」のモデルでもある。それは、我々の精神構造を規定し、さらには集合無意識のありようまでも規定する力を持つ。それらはこれからどのようなものになるのだろうか?

    これは次回に書く。

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