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    2012-05

    金環日食後に現れたミステリーサークル

    5月30日

    お知らせ

    5月21日、ウエブボットの報告書の最新版が発表になりました。いま詳細な要約の作業を続けていますが、これまでのように「予言解説書」のような体裁で出すことはしないことにいたしました。詳細な要約はすべてメルマガに発表いたしますので、最新報告書の内容を知りたい方は、メルマガを購読なさってください。

    最初の紹介は今週号から行う予定です。


    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。3日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    お知らせ

    講談社のサイト、プロジェクト・アマテラスに作品の投稿を求められました。以下のサイトで読むことができます。「試論、そもそも予言とはなにか?1」です。画面右側の「このプロジェクトの投稿」から見ることができます。よろしかったらどうぞ!

    未来はどうなるのか
    http://p-amateras.com/project/61

    新しい本の紹介

    「神霊の世界に覚醒して」サンドラ・インガーマン、ハンク・ウエスルマン著、高島康司、豊田泰士訳

    shaman02

    このブログでも何度も紹介したことのあるシャーマンで人類学者、ハンク・ウエスルマン博士の名著、「Awakening to the Spirit World」の翻訳が完成した。2010年にアマゾンで1位になった本である。

    本には、シャーマンの世界をトランス状態で経験しやすくさせるCDが付いている。本は、CDの使い方と、シャーマンの世界で体験する内容の解説書だ。筆者もCDを聞いて見たが、聞ききながら寝ると、たしかに多くの夢を見て、会ったことのない多くの人物が現れる。興味深い体験だった。

    よろしかったらぜひどうぞ!

    新しい本の紹介

    また新しい本が出ます。今度は様々なサイクルに注目し、コルマンインデックス以後どのようなことが起こるのか解説した本です。ブログやメルマガの内容を大幅に加筆修正しました。

    コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル

    cycle03

    よろしかったらぜひどうぞ!

    有料メルマガのご紹介

    今回は、ギリシャ危機と日本国債の下落の危険性について解説した。

    いまギリシャは、デフォルトからユーロ圏の離脱に進み、欧州発の金融危機は拡大するのではないかとの懸念で持ちきりだ。ギリシャのユーロ圏離脱は秒読み段階に入ったとの見方も強い。

    だが、細かく見ると、6月の終わりころになるとギリシャ危機は収束し、ユーロ危機も小康状態になる可能性が出てきた。

    それというのも、1)EUはギリシャが要求している成長計画を「成長協約」として全面に出す方向に転換し、2)ギリシャで6月17日の総選挙で第1党になる見込みの急進左派連合もこれを受け入れ、それと引き換えに、ある程度の緊縮財政を容認する方向性が見えてきたからだ。

    7月ころになると、EU情勢もイラン情勢も小康状態となり、いわば特に大きな問題がない無風状況になる可能性が高い。

    そのような時期に、以外に厳しい状況に追い込まれるのは日本国債ではないのだろか?いまIMFは日本の銀行のストレステストをしている。目的は、日本の銀行が大量に保有する日本国債が値崩れを起こしたときに、銀行の経営状態にどのような影響があるのか審査することである。

    もし結果が相当に悪い場合、日本国債の格下げラッシュの引き金が引かれる可能性もある。

    最後に、いつものようにいくつか予言を紹介した。

    前回はこのような内容を解説した。

    今回の記事

    まず今回は、金環日食と地震がほぼ同時に起こった5月20日(現地時間)に、イタリア北部で出現したミステリーサークルと、それにシンボルとして込められたメッセージの内容を紹介する。

    次に、予言に関する筆者の見解を紹介する。

    5月20日に現れたミステリーサークル

    日本では、5月21日の金環日食は特別な出来事もなく過ぎ去ったが、同じ日にはほとんど地震など起こったことのない北部イタリアのボローニャで、M6の大きな地震があった。5月28日にもM5.8の地震があり、9人が死亡した。

    環境変動を報道する専門サイト、アースファイルズドットコムによると、金環日食と地震があった5月20日(現地時間)には、地震が発生したイタリア北部のボローニャ市近郊のフォーリにある小麦畑に、奇妙なミステリーサークルが出現した。以下がその画像である。

    ボローニャ市近郊のフォーリ
    ec03

    ec11

    ミステリーサークル

    ec01

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    ec05

    このミステリーサークルのデザインを詳しく解析したところ、今回の金環日食のサロス周期を現しているのではないかとする解釈が、遺伝学者のホーラス・デュリュー博士から出されている。

    ちなみにウィキペデイアによると、サロス周期とは、日食や月食が起こる日を予測するのに用いられる周期である。単にサロスと呼ぶこともある。1サロス周期は6585.3212日(約18年10日8時間)である。1サロスごとに太陽と地球と月が相対的にほぼ同じ位置に来るため、ある日食または月食から1サロス後にはほぼ同じ条件の日食または月食が起こる。

    日食のサロス周期にはすべて系列番号がつけられており、今回の金環日食は128番系列に属する。この系列には73回の日食があり、今回の金環日食はその58番目である。

    128番のサロス周期には、71回の大きな日食と2回のごく小さな日食が起こる。

    これを示すかのように、今回イタリアで発生したミステリーサークルは、中央部に71個の線と2個の小さな茂みで構成されている。

    どの日食も、北極か南極で始まり、日食の回数を重ねるごとに反対の極に螺旋的に下降して行き、反対の極に達したら、今度はまた上昇するという動きをする。こうして数千年をかけて元の位置に戻るサイクルになる。

    この動きを示すかのように、今回のクロップサークルでは中央から出る2つの螺旋がある。

    ec06

    ec07

    だれがこのクロップサークルを作ったにせよ、日食の一般的な知識を上回る科学的な知識の持ち主が作ったとした考えられない。

    過去にもあったサイクルのシンボル

    アースチェンジファイルスによると、ミステリーサークルが、日食や月食のサイクルをシンボルとして描写したことは過去にもあったという。

    1999年と2008年には、月と太陽の月食の図や今回のような日食のサロス周期が描かれている。

    ec08

    ec09

    何を意味しているのか?

    だれがミステリーサークルの作成に関与しているのかははっきりしない。人を驚かせるために行っている製作集団が存在し、彼らがさも地球外生物によって作られたかのように見せかけているとの意見もある。

    一方、人為的に作成されたミステリーサークルはとても雑にできており、非常に単純な図形が中心で完成度はとても低いとの見方もある。たしかに事実そうである。

    特に今回のイタリアのミステリーサークルは、地震が起こった5月20日、一日でできあがったことが確認されているので、人為的に作られたものとは考えにくい。

    それにしても、金環日食の日に、地震があった北部イタリアの同じ地域で、日食のサロス周期という、解読に専門的な知識を用するサイクルを描写した意図は何だったのだろうか?サロス周期を単純に描写することだったのだろうか?他に意味はないのだろうか?

    2009年の記事

    太陽の11年周期であるサイクル23が2008年に沈静化した後、太陽は100年に一度とも言われる静穏期に入った。黒点が太陽にまったくない状態が1年半も続いた。

    2009年にイギリスのウィットシャイアーで、非常に巨大なミステリーサークルが出現した。それには解読できないさまざまなシンボルが埋め込まれていた。

    物理学者と天文学者のチームがこれを解析したところ、そのシンボルは、レーダーがない時代に船舶が遠洋航海をするときに星の位置から海上の位置を割り出すときに使った六分儀であることが分かった。

    さらにその下には、17世紀に作られた太陽系のモデルのシンボルがあり、六分儀と太陽系のモデルを組み合わせると、特定の時期の星の配置が明らかになるようにできていた。

    その配置から読み取ると、2009年7月10日に大きな太陽フレアの発生があることが示されていた。

    事実、予定された日に、1年半ぶりに本当に太陽フレアの発生があり、NASAはこのフレアの発生をもって静穏期は終わり、次のサイクルのサイクル24に突入したことを宣言した。

    この詳しい解説は2009年7月の記事に掲載した。読んでいない方はぜひ読むとよいだろう。

    ミステリーサークルの予言的価値

    過去には、ミステリーサークルに将来起こる出来事がシンボルとして含まれており、的中した事例がある。

    では今回のイタリア北部で現れたミステリーサークルがどうなのだろうか?含められているメッセージは日食のサロス周期だけなのだろうか?金環日食と地震が起こった同じ日に、それも同じ地域で現れたということは、他のメッセージは含まれていないのだろうか?

    気になるところである。どうだろうか?他の解釈はないだろうか?いろんな見方があると思うが、ぜひ投稿欄に書き込んでほしい。

    予言とはなにか?

    次の話題に行く。メールなどで、多くの方から筆者の予言に関する意見を聞かれることが多くなった。予言には恐ろしい内容が多いが、これを筆者が信じているから紹介しているのか、または他の意図があって紹介しているのかという質問である。とにかく、筆者が予言をどう思ってるのかはっきりしてほしいというリクエストだ。

    今回はこのようなリクエストに答え、予言に関する筆者の見解を述べたいと思う。まだ十分にまとまっておらず、支離滅裂なところがあるが、掲載することにした。

    予言はエンターテイメント

    これまでこのブログでは多くの予言を紹介してきたし、引き続きこれからもさまざまな予言の紹介を続けるつもりである。予言の紹介にこだわったのは、筆者が予言を信じているからではない。そうではなく、単純に予言とはどういうものなのかその正体に興味があり、予言本当に的中するのかどうか見て見たかったからだ。

    当たり前だと言われそうだが、結論から言うと、ほんの一握りの例外を除いて、的中した予言などほとんど存在しないのが現実だ。ノストラダムスの1999年7の月からはじまって、最近でもウエブボットの2009年地獄の夏、未来人ジョン・タイターの2008年アメリカ革命、占星術の2010年夏Tスクエアとアメリカの分裂など、枚挙にいとまがない。

    同じようなモチーフの予言が、それこそ針が壊れたレコードのように、何度も繰り返し登場する。

    それというのも、予言というのは現代のサブカルチャーの重要な一部だからだ。我々は毎年、いや毎月、なにかの予言を発見し、ドキドキしながら当たるかどうかかたずを飲んで待つことを、エンターテイメントとして消費している。外れると次の予言を探し、同じことを繰り返す。いわば現実味のあるホラー映画をドキドキ、ハラハラして見るのとよく似ている。

    想定できる危機はすべて回避される

    一方、予言がエンターテイメントの枠を越え、予言されたシナリオが本当に現実になると信じられたことも過去に何度かあった。

    最近の金融危機がそうだ。2008年、9月15日、リーマンショックが起こり金融危機は頂点に達した。これから危機はどんどん拡大し、商業不動産バブルの崩壊、大手銀行の連鎖倒産、クレジット会社の倒産を引き起こし、最終的には基軸通貨としてのドルの放棄からハイパーインフレが引き起こされるのではないかと予言された。世界経済破滅のシナリオである。

    2008年から2009年の始めまでは、世界の主要な大手紙のなかにも、予言された破滅のシナリオになるのは時間の問題ではないかとする記事も現れた。「資本主義の終焉」を声高に叫ぶエコノミストも一人や二人ではなかった。

    経済システムの破滅が近いと感じられたのも、崩壊を予測する根拠となる説得力のある事実がたくさんあったからだ。予測通りに危機が起ってもおかしくなかった。これほど予言が現実味を持ったことも珍しい。

    しかし、それでも破滅と崩壊のシナリオは実現しなかった。サイキックの予言からシンクタンクの予測まで、破滅と崩壊の予測はことごとく外れた。

    世界経済破滅の予言や予測は的中しなかった理由はいたって単純だ。最悪のシナリオが想定できるとき、政府や関係機関はそれをを回避するために全力を尽くすので、最悪の事態は事前に回避されるということだ。

    もちろん、回避行動を取ることができなかったとしたら、最悪のシナリオは現実のものとなり、いまの世界経済のシステムはそれこそクラッシュしていたに違いない。だが、最悪のシナリオが想定可能、認識可能である限り、そのようなことにはまずならない。つまり、最悪のシナリオが予測できるとき、崩壊のプロセスは回避されるのだ。

    予測可能な現実、パターンとサイクル

    現実には、ほとんどの未来の出来事は合理的に予測が可能である。むしろ、予測できない出来事の方がはるかに少ないと言ってよいかもしれない。それというのも、あらゆる出来事には確実なパターンが存在し、それにしたがって出来事は起こる。日の出と日の入り、四季の変化、潮の干潮、天体の運行のような自然現象もそうだし、景気変動、経済発展のパターン、犯罪率の増減、人口変動など、社会にも多くのサイクルとパターンが存在している。

    我々の日常生活すべてが、多数の予測可能な交差するパターンとサイクルでできていると言っても過言ではない。

    想定可能な出来事

    もちろん、不慮の事故や病気、失業など、個人の人生にかかわる予定にないことも起こることもまれではない。しかしそれらは、日常の出来事よりも起こりにくいだけであって、いつ起こるかまでは分からなくても、将来起こることが十分に想定可能な出来事だ。想定可能であるということでは、出来事が起こらないように事前に準備することができる。癌になる可能性が高いと言われれば、生活態度を改めて予防に励むだろうし、交通事故の多発が予想される大雪の日には車の運転は控えるだろう。

    もちろん、これは社会的な出来事にも当てはまる。景気が過熱してインフレ率が上昇し危険水域を越えると、政府はリセッションの発生を懸念して事前に利子率などを引き締め、景気の過熱を抑えるだろう。近い将来大きな地震の発生が想定される地域では、防災インフラの整備と準備に十分な予算を使うだろう。景気循環や自然災害がよい例だが、現代では予測のテクノロジーが飛躍的に進歩したおかげで、想定できる危機の範囲が拡大し、事前の準備が広範な分野で可能となった。

    このように、想定可能な危機は事前に回避されてしまう。だから、危機と崩壊の予言はまず的中することはない。

    予言の対象、想定外の危機

    一方、予言が対象とする未来の出来事は、このような想定可能な出来事ではない。その対極には、想定も予測もできない未知の出来事の系列が存在する。それこそ、予言の対象となる得たいの知れない出来事だ。具体的には、想定できない危機である。

    数年前、レバノン出身で元デリバティブディーラーのニコラス・タリーブが書いた「ブラックスワン」という本がアメリカでヒットした。題名の黒い白鳥が示しているように、黒い白鳥のようなめったにない現象を予測することの難しさが本のテーマである。

    社会のどんなシステムも大きく変化するときがかならずある。そしてその変化は、だれも想定していないときに突然とやってくるとタリーブは主張する。

    2008年に本格化した金融危機は、サブプライムローンという低所得者用の住宅ローンが焦げ付き、これを組み込んだ金融商品が値崩れを起こして発生した。むろん、こうしたことが発生する条件となる要因は、システムの動きと構造を分析するとある程度は見えてくる。

    しかし、タリーブの論理を借りるなら、それがいつどのような形で危機として発現するかは、基本的に予測できないということなのである。

    つまり、システムに変化を迫る危機の引き金となるような要因が存在することは、システムの構造からある分析することができる。市場の大暴落、国債の値崩れ、主要な通貨の信用失墜などがそうだ。

    だがこうした危機が、いつ、どのような形で、そしてなにを引き金として発生するかは基本的に知ることはできないので、予測もできないということなのだ。

    もちろん、危機がまったく発生しないこともある。だが、だれも予測していないときにいきなり引き金が引かれることもある。予測がまったくつかない。その意味では危機とは、システムの規則的なパターンやサイクルの外側にある出来事なのだ。

    システムの崩壊の引き金となるこうした現象はめったに起こらない。なので、それをブラックスワン(黒い白鳥)とタリーブは命名したのである。これはすべてのシステムに共通した特徴である。

    この、想定も予測もできない突発的に起こる危機こそ予言の対象ではないだろうか。これらは、システムの通常のパターンやサイクルでは想定することが困難な出来事である。いわばシステムの彼岸といってもよい。システムのいつもの循環やサイクルの外側あり、よほど想像力をたくましくしないと認識すらできない出来事である。予言の対象は、システムの外部にある出来事だ。

    システムの規則的なパターンやサイクルから予測できる出来事が、理性的に認識可能な出来事だとすれば、その対極にある出来事とは、理性の外部にあり、通常の方法では認識できない出来事だということができる。これが予言が対象にする「想定できない危機」の正体だ。

    この「想定できない危機」は得たいが知れない。見世物小屋に入り、暗がりから得たいの知れないものを覗き見る禁断の魅力が予言にはある。

    もし前回の金融危機が始まる一年前の2006年に、次のような予言があったらどうだろか?ちなみに206年は好景気の絶頂の年だ。オバマの名前はまだだれも知らなかった。

    「市場の混乱は来年から始まる。プライムではない商品が崩壊を引き起こすのだ。多くの人々が家と職を失い路頭に迷うだろう。困窮した人々の群れは長い行列となり、仕事と食べものを求めて行進する。そのとき、肌の色の黒い人物がアメリカの大統領となる。彼はアメリカに平和をもたらすだろう。」

    2006年にこれを聞いたなら、だれもまともに信じることはないだろう。くだらない予言として切り捨てていたに違いない。なぜなら、2006年の時点では、この予言のシナリオは通常の認識の外側にあるからだ。

    想定できないものをイメージする

    このように見ると、一般の理解とはかなり異なる予言の姿が見えてくる。もちろん、予言が的中するかどうかは重要だが、それだけではない。予言とは、いまの我々の認識の彼岸にあること、つまり想定外の危機に輪郭とイメージを与え、それを認識可能なものにする我々自身の内面に内在している心的プロセスなのではないかと思う。

    ということで言えば、予言の内容が表しているのは、我々の心の深層からやってくるイメージであり、その意味では我々は、予言を通して自分自身の内面が作り出したイメージを見ているということではないのだろうか。

    もちろんこれは個人の内面ではない。同時代を生きる我々がみな共有していながらも、その存在を意識できない集合的な無意識である。そうすると予言とは、我々自身の集合無意識のプロセスが、認識の彼岸にある得たいの知れない出来事に輪郭を与えるために作り出したイメージであるということができる


    夜ごと見る夢に集合無意識が形成したイメージや象徴が混入していることがある。その意味で言えば予言とは、夢のようなものである。

    危機のパニックで集合無意識のプロセスが出現

    しかし、想定外の危機にイメージを与え、認識の内部に引っ張り込む集合無意識のプロセスそのものをはっきりと見ることは極めて難しい。それは、我々の見る夢を作り出している無意識そのものを見るようなことだ。

    一方、ある条件下ではこのプロセスを実際にのぞき込むことは可能になる。その条件とは、少し矛盾した言い方だが、想像を絶する危機が本当に起こり、人々がパニックしたときだ。その極限状態のなかで、普段はまったく意識していない集合無意識のイメージ化のプロセスが突然と目に見えるようになる。

    このもっともよい例が911の同時多発テロだ。

    アメリカ人にとって、911は認識の彼岸にある出来事だった。そのため、パニックは絶頂に達した。

    この出来事があってから、アメリカ社会の深層に、まさに地下水脈のように流れている集合無意識が意識の表面に現われるようになった。人々が世界を見たり認識する枠組みは「神がと悪魔」「善と悪」「光と闇」などに簡単なコンセプトに支配されるようになった。それはキリスト教原理主義の世界観だった。

    キリスト教原理主義は、世界を「神」と「悪魔」、「善」と「悪」の不断の対立過程としてイメージし、ちょっとでも気を許すと「悪魔が侵入してくる」と感じる。この枠組みでは、世界は「善(神)」と「悪(悪魔)」の二つの陣営に真っ二つに分かれて見える。

    もちろん、こうした集合無意識の世界観が我々に内在していることは、危機のないときは意識化されることはあまりない。

    このような、単純なカテゴリーに二分化した集合無意識の世界観が、911の危機をきっかけとして突如として意識の表面に現れ、アメリカ人の心を支配してしまった。その結果、現実の世界で起こっていることすべてにこの世界観が投影された。

    以下の2つの画像を見てほしい。これは911を体験したアメリカ人が倒壊する世界貿易センタービルに見たイメージだ。

    001

    002

    これらは、壁のしみが人の顔に見えるようなもので、特に根拠はないかもしれない。煙りに悪魔の顔を見いだし、911に神と悪魔の究極の対立を見るようにしむけたものこそ、アメリカ人の集合無意識の世界観が形成したイメージなのではないだろうか。

    同じように、予言から見える認識の外部にある想定外の危機のイメージも、集合無意識のイメージ形成作用が作り出したものだろう。

    2に続く。

    新しい本の紹介

    また新しい本が2冊出ました。表紙はセンセーショナルですが、中身はけっこうまじめです。これまでのメルマガや雑誌の記事の内容に一部加筆し、修正した内容です。いま日本は大きな転換点になっています。世界の現状を踏まえ、現在の日本の立ち位置を確認するにはよい本ではないかと思っています。よろしかったぜひどうぞ!

    elen

    shihaisha

    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書かせてもらっているが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

    筆者のいとこのブログ

    筆者にいとこがスピリチュアル系のカウンセラーになっていたのを最近知ることとなった。以下にリンクする。よろしかったらどうぞ。

    ねもとまどかの「宇宙のゆりかご」

    本の出版のお知らせ

    今度、また講談社から英語の本を出した。筆者も強く感じているが、やはり英語は仕事では必須となりつつある。しかし、実際に英語を使う相手は欧米人とは限らない。中国や韓国なのどのアジア出身の人々も多い。そのような状況のなか、この本では普遍的なコミュニケーションの手段としてのグロービッシュに注目し、これをマスターする方法を解説した。英語に関心がある方にはぜひお勧めしたい!

    日本人が「英語ペラペラ」を本当に実現できる本 (講談社+α文庫)

    eigohon

    また本が出ます。前著の続編にあたる本です。今度は今のシステムのつっこんだ解説と将来の予測です。よろしかったらどうぞ。

    「支配ー被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる コルマンインデックス未来予測[2020年までの歩み] (ヒカルランド)

    nihonn

    また本を出版しました。今度は徳間書店からです。今回は、このブログの内容を大幅に加筆修正し、未来予測を行った本です。よろしければぜひどうぞ!

    未来予測コルマンインデックスで見えた 日本と経済はこうなる(徳間書店)

    koru

    今回、講談社から英語本を出版しました。通勤途中に電車の中で軽く読める本です。ちょっと英語に興味がある人はぜひどうぞ!

    通じる英語 笑われる英語

    eigo

    「いったい世の中どうなっているんだ!こんな時はマルクスに聞け」(道出版)

    体裁としては「資本論」の解説書のような本だが、マルクス礼讚の本ではない。われわれはこれからなんとしてでもサバイバルして行かねばならない。そのための状況認識のための書として有効だと思う。よろしかったらぜひどうぞ!

    marx

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    テーマ:歴史と予言 - ジャンル:学問・文化・芸術

    また番外編 ちょっと気になる情報

    5月15日

    今回は早く公開したほうがよいと思われる情報があったので、更新することにした。いつもこのくらいのペースで更新できればよいのだが。いつも記事を読んでくださっている読者の方々に感謝する。

    高松の講演会

    隔月で高松で講演会を行っています。高松経済同友会の主催です。お近くの方はよろしかったらどうぞ!

    日時  平成24 年05月25日(金) 18:30受付 19:00~公演開始

    場所  高松テルサ 高松テルサ・ 3F 視聴覚室

    〒761-0113 香川県高松市屋島西町2366-1
    Tel:087-844-3511  Fax:087-844-3524

    会費   3,000 /人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    今回の高島康司講演会の予定

    ヨーロッパがまたもやギリシャ危機を再燃させ、ギリシャのユーロ圏離脱が濃厚になってきました。

    またアメリカの経済指標もこぞって悪く、オセアニア経済・アジア経済共に悪化の一途を辿っています。

    今後大きな大統領選挙が続く2012年ですが、まずは2012年上半期を振り返り、下半期の世界経済を予測していただきたいと考えております。 またそれに関わる日本経済の動きをお話していただきます。

    高島康司講演会の目的 

    世界は今大きな転換期を迎えています。その現状を正確に認識できているでしょうか?新聞を見ていれば大丈夫!? 経済レポートを見ていれば大丈夫!?その情報すら操作されている現実をご存知でしょうか?真実を知る事・情報から学ぶ事は経営者にとって大事な仕事ではないでしょうか?是非お越し頂き、与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、自ら考えるきっかけになればと思っております。

    主催  里坊会計事務所 里坊昌俊

    実行委員:
    有限会社ウエストフードプランニング小西啓介
    ソニー生命保険株式会社 山下智幸
    株式会社京蔵 京兼慎太郎
    株式会社クリード インテグレーション平野伸英


    お知らせ

    講談社のサイト、プロジェクト・アマテラスに作品の投稿を求められました。以下のサイトで読むことができます。「試論、そもそも予言とはなにか?1」です。画面右側の「このプロジェクトの投稿」から見ることができます。よろしかったらどうぞ!

    未来はどうなるのか
    http://p-amateras.com/project/61

    新しい本の紹介

    「神霊の世界に覚醒して」サンドラ・インガーマン、ハンク・ウエスルマン著、高島康司、豊田泰士訳

    shaman02

    このブログでも何度も紹介したことのあるシャーマンで人類学者、ハンク・ウエスルマン博士の名著、「Awakening to the Spirit World」の翻訳が完成した。2010年にアマゾンで1位になった本である。

    本には、シャーマンの世界をトランス状態で経験しやすくさせるCDが付いている。本は、CDの使い方と、シャーマンの世界で体験する内容の解説書だ。筆者もCDを聞いて見たが、聞ききながら寝ると、たしかに多くの夢を見て、会ったことのない多くの人物が現れる。興味深い体験だった。

    よろしかったらぜひどうぞ!

    新しい本の紹介

    また新しい本が出ます。今度は様々なサイクルに注目し、コルマンインデックス以後どのようなことが起こるのか解説した本です。ブログやメルマガの内容を大幅に加筆修正しました。

    コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル

    cycle03

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    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。3日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    今回の記事

    筆者の周囲にいる複数のサイキックの人々から、5月20日、6月4日、そして6月6日ころになにかあるのではないかとのメールをいくつももらっている。また同様の情報はネットにも多く出回っている。

    これに関して、このブログの投稿欄で興味深い情報が寄せられたので、それを中心に詳しくお伝えする。

    また、コルマン博士の最新論文の翻訳を入手した。これを全文掲載する。

    5月20日に関する情報

    このブログの投稿欄でマヤカレンダー関連のちょっとびっくりするような情報の提供があった。それは、イギリスに出現したマヤのシンボルの形をしたクロップサークルに関するビデオである。

    このマヤカレンダーには、2012年の5月20日と6月6日についての情報が含められているという。

    ハイミー・マウサン

    このビデオは、2007年に開催されたMUFON(ミューチュアル・UFO・ネットワーク)の年次総会におけるハイミー・マウサンのプレゼンテーションである。

    ハイミー・マウサンは、70年代から環境問題や社会問題の徹底した調査報道で数々の賞を受賞したメキシコ出身の著名なジャーナリストだ。97年以降はUFOの調査報道に分野を広めている。

    UFO現象を調査し、報告する世界的なネットワークであるMUFON(ミューチュアル・UFO・ネットワーク)の常連で、毎年行われる年次総会では調査報道の結果を発表している。

    そのような活動から、UFO学の世界的なスポークスマンとして活躍している。

    第16回年次大会のマウサンのプレゼン

    英語を母国語としない人のプレゼンで、スペイン語なまりの英語だ。ちょっと分かりづらいが、和訳を掲載する。以下である。



    では解説させてください。これが現しているのは、プレアデス、太陽、そして地球が直列する日です。それは5月20日に起こります。そして、中央にある(シンボル)は日食を表しています。これも2012年、5月20日に起こります。

    さらにここには、16という数字があります。ちょうど日食から16日後、金星が太陽を通過します。

    次にあるのは、4×13です。それは52です。52というのは「新しい火」の象徴です。(ツォルキン暦はハアブ暦と組合わさり52年で一周する。)52年ごとに聖なる暦も太陽暦も同じ星と並ぶのです。「新しい火」というのは52年毎にやってくる新しい時代のことです。

    次にあるのは20という数字です。ツォルキン暦には20の日の月が13あります。これはこのシンボルがツォルキン暦であることを表しています。

    つまり、ここには3つの日付があるということなのです。まず5月20日です。そして6月6日です。その間は約2週間です。

    私はこれが何を意味しているのか分かりません。ただ忘れてはならないことは、これはククルカン、ケツァコアトルの帰還を意味しているとうことです。これらの日付がそれとどう関係しているのかは分かりません。2つの日付とも近接しています。

    これが2012年5月20日の日食です。このように動き、アメリカと北米でも見ることができます。世界の半分で見れるでしょう。


    以上である。

    年次総会のプレゼンのほんの一部なので、断片的でかなり分かりにくい。クロップサークルとして現れたマヤカレンダーには、特定の日付が刻印されていたということだ。それは2012年5月20日の金環日食の日と、17日後の6月6日だ。5月20日には金環日食だけではなく、プレアデス、太陽、地球が直列し、そして6月6日には、金星は太陽を通過するというのだ。

    マヤカレンダーには、一年が365日のハアブ暦、1から13までの数字と20の日が順次組合わさり、260日で一周するツォルキン暦(神聖暦)、そして2012年12月21日で終了すると一般的に信じられている長期暦の3つの暦が存在するが、マウサンはこの象徴はツォルキン暦であり、5月20日と6月6日にはケツァコアトルが帰還するのではないかと言いたいようである。

    ちなみにケツァルコアトルとは、広くメソアメリカで信じられた、人々に人心供養をやめさせた平和の神である。ククルカンとも呼ばれ、アステカのナワトル語では「羽毛ある蛇」を意味している。

    ちなみにコルマンインデックスのコルマン博士は、マヤ人はケツァルコアトルを人の形をした人格神とは考えられてはいなかったのではないかと主張している。ケツァルコアトルは、創造的な光りないしはエネルギーそのものとして理解されていたのではないかというのだ。

    それは、マヤカレンダーのスケジュールにしたがい、定められた時期がくると作動するスイッチか、または意識を進化させるために放出されるなんらかのエネルギーのようなものではないかという。その意味でコルマンはそれを、「Cosmic Light(宇宙の光)」とか「Divine Light(神の光)」などと形容している。

    より分かりやすい解説

    とにかくこのビデオでは、5月20日と6月6日には何かが起こると言いたいようだ。マウサンがもっと分かりやすい解説をしているビデオがあるかどうか調べて見たら、やはりあった。メキシコで放映されたテレビ番組の一部だと思うが、英語の字幕がついていた。以下が和訳である。

    これは5月2日にユーチューブにアップされたビデオだ。



    ハイミー・マウサンの司会部分

    2005年、8月9日、イギリスのウェイランズ・スミティーに、特定の日付を刻印したマヤのシンボルが現れました。それは、地球、プレアデス、そして太陽が直列する(2012年)5月20日です。

    また次の日付もありました。それは金星が太陽を通過する6月6日です。なぜ彼らは、これらの日付を2011年のクロップサークルでも繰り返し出したのでしょうか?これは警告なのでしょうか?それはこの日付が問題なのでしょうか?これは本当に心をとらえるミステリーです。ではフェルナンド・コレアさんどうぞ。


    フェルナンド・コレアの解説

    またイギリスで、マヤのシンボルとの関係を示唆するクロップサークルが出現しました。このシンボルは、2012年の特定の日付を表しています。それは、金環日食と惑星の直列です。これは日食と同じ日に起こります。さらに、金星のトランジット(通過)を表しています。

    この形象は、2011年7月22日にイギリス、イーストケネットに出現したクロップサークルに現われたものです。

    maya02

    よく見ると、これは円形が短い線で正確に仕切られたものです。円の内側には10個のピラミッドを形成する紋様があります。どのピラミッドも5つの層でできています。世界中の研究者がこの形象に注目しました。

    中心には金環日食を表すシンボルが存在します。金環日食は、2012年5月20日です。

    イーストケネットで現われた形象は、2005年、8月9日にイギリスのメイランズ・スミシーに現われたシンボルとはっきりした関係があります。


    maya03

    この形象にもマヤのシンボルが含まれています。これにも、中心には2012年の金環日食を表すシンボルがあります。

    この(2005年と2011年に現われた)2つの形象を比べて見ましょう。左が2005年8月9日、右が2011年7月22日の形象。


    maya04

    両者とも中心にあるシンボルは非常によく似ています。

    これらはマヤのゼロの概念、及び「ガラガラ蛇の日」を表しています。この日は太陽とプレアデスが直列する日です。これは、カレンダーの最後の日にはいつも起こります。いまの時代では5月20日です。

    さらにこのシンボルは金環日食をも表しています。金環日食は、太平洋では2012年5月20日に出現します。

    マヤカレンダーでこの日付はとても重要です。この日に、マヤの太陽であるキニチ・アハウがツアブと直列する日なのです。つまり、太陽がプレアデスと直列する日といういことです。マヤ人はプレアデスの存在を知っており、ツアブ星座と呼んでいました。

    マヤではこれは「ガラガラ音」のことなのです。したがって、メイランズ・スミシーのクロップサークルは2012年、5月20日に起こる天文的な現象を表しているのです。金環日食が起こる日には、プレアデス、太陽、そして月が直列するのです。

    地球と天の川銀河の中心も直列します。これにより予測できない現象が起こるのではないかと考えられています。これは2012年、12月21日に起こるとされています。この日にマヤの長期暦は終わるとされています。

    さらに、ウェイランズ・スミシーのクロップサークルの中心部分を細かく見ると、16の羽根のシンボルが確認できます。これは金環日食から16日後、金星が太陽を通過(トランジット)することを表しているはずです。通過する日は地球上の位置で変化しますが、6月5日か6日に起こります。

    イーストケネットのクロップサークルでは、金環日食のシンボルの横には17の羽根があります。これも、金星が太陽を通過する日を表しているはずです。

    ウェイランズ・スミシーのクロップサークル(2005年)は衝撃的でした。そのときの衝撃はイーストケネットのクロップサークル(2011年)で再度味わうことになりました。このマヤのシンボルも詳しく調査されています。これらのシンボルは、2012年の未来に起こる出来事を示しているのです。

    これらのクロップサークルは将来起こる天文的な出来事を表しています。これはマヤカレンダー(ツォルキン暦)の「ガラガラ蛇の年」に起こるのです。それが2012年、5月20日なのです。

    番組の後半でケツァコアトルを表すと思えるシンボルについて解説します。


    以上である。番組の後半はまだアップされていない。

    これがどういうことなのか、少し分かりにくいが、要するに5月20日の金環日食の日にはプレアデス、太陽、そして月が直列し、それは52年のツォルキン暦が一周して起点に戻る日でもあるということだ。さらにその17日後の6月6日には、金星が太陽を通過するトランジットが起こるという。

    これらのビデオでは、この日にはなにが起こるのか示唆されているわけではないが、興味はつきない。

    特に興味深いのは、最初のビデオは、2012年よりもはるかに前の2005年に現われたクロップサークルのことを、2007年に解読していることである。なにかの噂に触発されて、最近急に作られたものではないという点だ。少なくともパニックを煽るためのビデオではないことは確かだ。

    あと5日で5月20日だ。何かが起こるのだろうか?これに関する追加の情報はメルマガに掲載する。

    コルマン博士の最新論文

    いつものように、コルマン博士の最新刊、「目的をもつ宇宙」の翻訳チームのメンバーであるキクチさんより翻訳をいただいた。キクチさんには感謝する。

    すでに知っている読者も多いと思うが、最近最古のマヤカレンダーが発見されたというニュースが報道された。コルマン博士の論文は、この発見の解釈に異を唱えるものである。

    この新発見がどういう内容なのか、サンケイの記事をそのまま掲載する。

    マヤ暦「2012年滅亡」なかった 最古のカレンダー発見、米チーム精査

    中米グアテマラにある9世紀初期のマヤ文明遺跡の壁画に、月や惑星の周期を計算したマヤ最古のカレンダーがあるのを米ボストン大学などの研究チームが発見した。欧米などではマヤの暦(こよみ)に基づき、今年、世界が滅びるとする「2012年人類滅亡説」がまことしやかに流布しているが、精査したところ、終末を示すような計算結果は見当たらなかったという。成果は11日付の米科学誌「サイエンス」に発表された。(SANKEI EXPRESS)

    優れた天文学の知識

    研究チームは2010~11年、グアテマラ北部の遺跡を調査。寺院の住居部分とみられる小部屋の内壁や天井に、青やオレンジ色の衣装で着飾った王族の姿や、黒や赤色の点と円、棒線を組み合わせた数百個の象形文字が描かれていた。

    マヤ文明は優れた天文学の知識があったことが知られており、解読したところ、文字は数字を表しており日食、月食の時期や月の満ち欠けなどを示していた。このほか金星や火星について、太陽、地球と一直線に並ぶ現象が起きるタイミングを計算した結果もあった。ただ月食や日食についての計算は、不正確なところもあったという。

    これまで見つかっていたマヤの暦は、樹皮の紙に書かれた13~14世紀のものだった。その中で歴史は繰り返すという概念が描かれ、ある起点日(紀元前3114年とみられる)から13バクトゥン(187万2000日)経った段階で「時間の区切り」を迎えると記されていた。バクトゥンとはマヤ文明の長期暦での年月の単位で、約394年に相当する。13はマヤ文明で最も神聖な数字とされている。

    7000年は先がある

    21世紀に入ると、1999年に騒がれた「ノストラダムスの大予言」がはずれたことの埋め合わせのように、マヤ文明でいうところの「時間の区切り」とは人類の滅亡を想定しているとする説がオカルト雑誌や予言関連書で喧伝され、起点から13バクトゥン経った2012年12月21日から12月23日頃に人類は滅亡するとした終末論が広まっていった。09年には、この問題をテーマにしたハリウッド映画「2012」も公開されている。

    今回、マヤ最古のカレンダーを精査した研究チームは「終末論を裏付けるような計算結果の記述はなかった。逆に、世界には7000年は先があると考えていたようだ」としている。

    「生け贄が盛んに行われた神秘的な宗教儀式を、天体の動きと合わせるためにカレンダーを使っていたのだろう」とチームでは分析。研究のさらなる進展が期待されている。」

    以上である。次がコルマン博士の最新論文である。

    最古のマヤカレンダーが発見されたのか?

    この記事は、私の目には、今日のメディアの典型的な動きのように映る。まず最初に、ハリウッドやヒストリーチャネルのような大メデイアは数年にわたって、マヤカレンダーの終わりが世界の終わりを意味するという考えを作り続けてきた。一般の人々のあいだにこのアイデアが形成されて、この馬鹿げたトピックをめぐる議論がインターネットに持ち込まれた。このトピックについての偽情報を広めることに成功すると、メディアは今度は反対の役割を取り、理性的で賢こそうに、正しい情報をすっぱ抜こうと振る舞う。最初に破滅のアイデアを作り出したのは、同じ”メディアの世界”なのにである。このようなやり方で、メディアはカレンダーが終わるときに世界も終わるのかという疑問に議論を釘付けにしておくことができるのだ。

    マヤカレンダーの真摯な探求者は、もちろんカレンダーが世界の終わりと何の関係もないことを知っている。それは、人々が、カレンダーの本当の意味とそれが社会的・政治的に意味することに気づくのを妨げるために、大メディアが作り出したアイデアなのだ。このプレスリリースを書いた人たちは、世界の終わりを意味しないのであれば、マヤカレンダーには何の意味もない、という意図を持っているように思われる。

    これは、このリリースが示そうとしているように思われるほど、劇的な発見なのだろうか? これは世界最古のマヤカレンダーなのだろうか? 記事の概要から判断すると、壁画にAD800年頃の興味深い天文表が発見されており、それは部分的には、本当に最古のマヤの天文表と呼べるものかもしれない。そうすると、この表という言葉が極めて強調されていることになる。なぜならば、この記事の執筆者も含め、マヤカレンダーが9世紀の天文表よりもはるかに古いことは誰でも知っているのだから。そして、この天文表が古いカレンダーの碑文だというセンセーショナリズムへと誤導するだけなのである。このプレスリリースを書いた人々は、ニュースをねじ曲げて記事をおもしろおかしくしようと意図したことは間違いないと思われる。なぜなら、古典期マヤ文化という言葉からして、それは全然古い碑文ではない。むしろとても新しい時代に属するのだ。(訳注:マヤ古典期はAD300-900)

    この点について少し捕捉すると、ツォルキンの最古の碑文は紀元前550年のものが見つかっており、最古の長期暦の日付は紀元前36年である。言い換えれば、この壁画よりもおよそ1000年古いのである。事実、AD800年とは、古典期マヤ文化の崩壊が始まり、形而上的な視点からはマヤ人のカレンダーシステムが衰え始めた時なのだ。そうすると、何を大騒ぎしているのだろうか?So what is the big fuzz? 確かに、これは考古学的にはいい発見のように思われる。しかし、マヤカレンダーを意識の進化の記述と捉える視点からは、取るに足らない話なのである。

    Carl Johan Calleman


    以上である。

    続く

    新しい本の紹介

    また新しい本が2冊出ました。表紙はセンセーショナルですが、中身はけっこうまじめです。これまでのメルマガや雑誌の記事の内容に一部加筆し、修正した内容です。いま日本は大きな転換点になっています。世界の現状を踏まえ、現在の日本の立ち位置を確認するにはよい本ではないかと思っています。よろしかったぜひどうぞ!

    elen

    shihaisha

    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書かせてもらっているが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

    筆者のいとこのブログ

    筆者にいとこがスピリチュアル系のカウンセラーになっていたのを最近知ることとなった。以下にリンクする。よろしかったらどうぞ。

    ねもとまどかの「宇宙のゆりかご」

    本の出版のお知らせ

    今度、また講談社から英語の本を出した。筆者も強く感じているが、やはり英語は仕事では必須となりつつある。しかし、実際に英語を使う相手は欧米人とは限らない。中国や韓国なのどのアジア出身の人々も多い。そのような状況のなか、この本では普遍的なコミュニケーションの手段としてのグロービッシュに注目し、これをマスターする方法を解説した。英語に関心がある方にはぜひお勧めしたい!

    日本人が「英語ペラペラ」を本当に実現できる本 (講談社+α文庫)

    eigohon

    また本が出ます。前著の続編にあたる本です。今度は今のシステムのつっこんだ解説と将来の予測です。よろしかったらどうぞ。

    「支配ー被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる コルマンインデックス未来予測[2020年までの歩み] (ヒカルランド)

    nihonn

    また本を出版しました。今度は徳間書店からです。今回は、このブログの内容を大幅に加筆修正し、未来予測を行った本です。よろしければぜひどうぞ!

    未来予測コルマンインデックスで見えた 日本と経済はこうなる(徳間書店)

    koru

    今回、講談社から英語本を出版しました。通勤途中に電車の中で軽く読める本です。ちょっと英語に興味がある人はぜひどうぞ!

    通じる英語 笑われる英語

    eigo

    「いったい世の中どうなっているんだ!こんな時はマルクスに聞け」(道出版)

    体裁としては「資本論」の解説書のような本だが、マルクス礼讚の本ではない。われわれはこれからなんとしてでもサバイバルして行かねばならない。そのための状況認識のための書として有効だと思う。よろしかったらぜひどうぞ!

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    テーマ:歴史と予言 - ジャンル:学問・文化・芸術

    日本に関する思考実験3

    5月11日

    いつものように更新がめちゃめちゃ遅いが、いつも読んでくださっている読者の方々には感謝する。

    お知らせ

    講談社のサイト、プロジェクト・アマテラスに作品の投稿を求められました。以下のサイトで読むことができます。「試論、そもそも予言とはなにか?1」です。画面右側の「このプロジェクトの投稿」から見ることができます。よろしかったらどうぞ!

    未来はどうなるのか
    http://p-amateras.com/project/61

    新しい本の紹介

    「神霊の世界に覚醒して」サンドラ・インガーマン、ハンク・ウエスルマン著、高島康司、豊田泰士訳

    shaman02

    このブログでも何度も紹介したことのあるシャーマンで人類学者、ハンク・ウエスルマン博士の名著、「Awakening to the Spirit World」の翻訳が完成した。2010年にアマゾンで1位になった本である。

    本には、シャーマンの世界をトランス状態で経験しやすくさせるCDが付いている。本は、CDの使い方と、シャーマンの世界で体験する内容の解説書だ。筆者もCDを聞いて見たが、聞ききながら寝ると、たしかに多くの夢を見て、会ったことのない多くの人物が現れる。興味深い体験だった。

    よろしかったらぜひどうぞ!

    新しい本の紹介

    また新しい本が出ます。今度は様々なサイクルに注目し、コルマンインデックス以後どのようなことが起こるのか解説した本です。ブログやメルマガの内容を大幅に加筆修正しました。

    コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル

    cycle03

    よろしかったらぜひどうぞ!

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。3日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    前々回の有料メルマガのご紹介

    前々回は、ある読者の方から紹介された実に興味深い遠隔透視のプロジェクトについて解説した。

    それは、応用数学者、コートニー・ブラウン博士のユニークな遠隔透視の研究である。博士はこの研究を通して見ることのできた、2013年6月1日の光景について詳しく述べている。

    米国では、これまで遠隔透視はいくつかの異なる機関によって独自に研究されてきた。もっとも有名なものは、このメルマガで何度も紹介したことのあるエド・デイムス少佐も指導教官であった米陸軍遠隔透視部隊である。その他にCIAとDIA(国防総省情報局)でも同じようなプログラムが実施されており、現在も継続中のようだが、米陸軍遠隔透視部隊のようには公開されていないので、実態はよく分かっていない。

    一方、これらの組織を退職したリモートビューワーの集団が存在しており、さまざまな地域で独自の組織やネットワークを立ち上げている。彼らは専門的な訓練を長年受けたいわばプロのリモートビューワー達だ。

    コートニー・ブラウン博士のプロジェクトは、こうした人々と協力し、遠隔透視の存在を科学的に証明することを目標にしたプロジェクトだ。

    ブラウン博士によると、未来を見通す遠隔透視の実験を繰り返した結果、的中率はかならずしも高くないことがはっきりした。規模が異なっていたり、予想とは異なった種類の出来事が起こったりと、予想された出来事と実際に起こった出来事との間には開きがあった。

    ブラウン博士は、このようなことが起こるのは、宇宙はパラレルワールドのような状態になっており、異なるタイムラインが複数存在しているからではないかと考えた。そうすると、いま我々がどのタイムラインにいるのか特定できない限り、未来の出来事を正確に遠隔透視することは難しいことになる。

    一方、初期の条件を変えてやることで、異なったタイムラインの未来を遠隔透視することが可能であることが分かった。この方法でいくつかの異なったタイムラインを検出してみると、どのタイムラインでも避けることのできない共通の出来事が存在することがはっきりした。世界の9つのロケーションを選び、それらの場所が2013年6月1日、正午にどのような状態にあるのか複数のタイムライン上で見て見ると、一様に共通した光景が得られた。


    まず、木星と火星の間で小惑星のような物体が爆発する。これが引き金となり、巨大な太陽フレアが発生し、地球を直撃する。地球では巨大な津波と大地震、そして火山噴火が一斉に起こり、特に沿岸部の地域は壊滅し、生き残った人々は内陸部に移動するといった光景だった。

    かなり恐ろしいイメージだが、ブラウン博士は、これが実際に起こる未来の出来事である確証はないとしている。遠隔透視が未来予測の手法として科学的に使えるようになるにはまだまだデータが不十分だとして、将来の研究に期待している。

    なお、かなりショッキングな内容なので、ブラウン博士が公開している2013年6月1日、正午の具体的な光景はメルマガだけで紹介した。

    前回のメルマガ

    前回は、これから始まるヨーロッパの混乱について詳しく解説した。

    これまでヨーロッパ各国の政権は、中道左派、ないしは中道右派の政党が担当していた。どちらの政党も1992年に締結され、EU統合の基礎となっているマーストリヒト条約の精神を共通の理念にしている。

    1)各国が国境をなくして地域共同体にまとまると、どの国でも経済の成長が促進される。

    2)各国か自国のアイデンティティーにこだわるナショナリズムは過去の時代のものになった。それぞれの国は欧州という巨大な国の州のようなものだ。

    一方、極右と極左は、この理念を否定し、反対に、1)国境の確保と失われたナショナルプライドの回復、2)移民排斥、3)EUとユーロ圏離脱を基本的な目標としている。

    極右と極左はどの国でも少数野党に過ぎなかったが、フランス大統領選挙、ギリシャ議会選挙、そしてドイツとイタリアで行われた地方選挙で大躍進した。ヨーロッパでは、2012年と13年に選挙が目白押しだが、選挙が行われるたびに極右と極左が躍進し、EUの統合が難しくなる局面が出てくる。

    いまギリシャでは、中道右派と左派が惨敗し、EUが支援の条件としている緊縮財政に強く反対する極左の政党が大躍進し、危機的な状況になっている。6月に再選挙が決定されると、ギリシャのユーロ圏離脱も秒読み段階になる可能性がある。

    だが、ギリシャ国債は大部分すでに欧州中央銀行によって買い取られ、銀行もあまり保有していないため、ギリシャがユーロ圏を離脱しても大きな混乱はないだろう。

    最後に、ヨーロッパに関するもっとも新しい予言を紹介した。

    今回の記事

    今回は、1カ月半ほど前の3月23日に書いた、「思考実験1、いったいわれわれはなにものなのか?」の続きである。記事が長く、また、書いてから時間がたっているので全文を掲載することにした。以前に記事を読んだ方は、前半を読み飛ばし、「強靭な適応力」の箇所からお読みいただきたい。

    思考実験、我々に起こった変化

    これは、試行錯誤を重ねながら書いているまったく未完成なアイデアの草稿である。これから内容は大幅に変化する可能性が十分にある。いまの段階で書いたものをとりあえず掲載する。

    3月23日に掲載した部分

    一般的な認識

    現在の日本は長期的に低迷しているが、その原因と現状は一般的に次のように説明されている。

    超高齢化社会に伴う労働人口の減少で国内市場が縮小してデフレが常態化したため、その分、海外市場に活路を見いださなければならなくなった。だが、中国などの新興国の追い上げで日本の御家芸であった製造業は競争力を喪失し、日本の成長の牽引力が失われた。

    他方、環境のこのような根本的な変化にもかかわらず、官僚組織は省庁の利害の維持と拡大に最大の関心があるため、戦後、高度経済成長の実現のために設計され、既得権の原泉と化している旧態依然とした制度にしがみつき、必要な規制緩和など新しい環境に適応するための制度改革を怠った。

    制度改革は、省庁の利害と既得権に対抗できる強い政治主導が実現しない限り実行できない。だが、どの内閣も省庁にからみ取られてしまい、結局は省庁の利害が貫徹した政策に変更させられる。国民はこの状況に怒り、制度改革を実行して日本の低迷をくい止めることのできる政治家を探し、政治家と内閣を次々と取り替える。

    このような認識だ。

    不十分な認識

    もちろん、こうした認識が間違っているわけではない。6年ほど前までは、銀行で処理が一向に進まない不良債権が銀行の経営を圧迫し、貸し渋りや貸しはがしが横行したため、実体経済を押し下げているとの認識が一般的だった。

    この見方では、日本の製造業は競争力を失っておらず、不良債権さえ処理できれば日本は再度成長軌道に乗れるとしていた。このような見方と比べると、製造業の競争力の喪失にこそ低迷の原因を見いだす最近の認識は、大きな進歩であるとも言える。

    だが、すでに日本の低迷は20年続いている。このような認識だけで、この長期の低迷の原因を説明することは難しいのではないだろうか?

    なぜなら、労働人口の減少による国内消費の落ち込みや、新興国の追い上げによる主力産業の低迷という事態は、どの先進国も経験している共通した状況であり、日本だけの特殊な事情ではないからだ。他の先進国は、低迷しながらも、それなりに新しい環境に適応し、ある程度の成長を確保している。なぜ日本だけがこれほど長期間低迷し続けているのか説明できない。

    もちろん、政権の中枢にまで食い込んでいる省庁の利害と既得権が必要な制度変更を阻害していることは事実だ。これは日本に特徴的な要因だ。

    だが、それにしても、バブルが崩壊してからすでに20年も経つのに、なぜいまだに官僚の既得権を打破できないのだろうか?なぜ、変化した環境に適応できる新しいシステムのデザインが実施できないのだろうか?当然、このような疑問が頭をよぎる。

    小泉政権の改革

    たしかに、2001年から2006年までの小泉政権は、既存の制度の根本的な改革や、既得権の打破、そして大規模な規制緩和を「構造改革」の名のもとに実行しようとした。

    この改革で、不良債権の処理が進み、また製造業に契約労働が導入されたため賃金は下落した。その結果、製造業では経営の条件が改善し、新たな成長軌道に乗ることが期待された。日本の製造業復活のシナリオだった。

    しかし構造改革は、当初のイメージとは大きく異なる結果に終わった。大幅な条件の改善にもかかわらず、製造業の低迷に歯止めをかけることはできなかった。製造業はさらに低迷し続けた。

    また、金融分野の規制緩和は、ハゲタカファンドなど、企業を利益の対象として売買する金融取引を拡大させただけで、日本の金融産業の成長にはほとんど結び付かなかった。

    結局、小泉改革は、新たな環境へ適応できる新たなシステムの提示とデザインには失敗した。最終的に小泉改革は、セイフティーネットの縮小や、製造業への派遣労働解禁による極端な格差の拡大など、あまりに大きいマイナスを作り出して終わった。

    既得権の存続

    もちろん小泉改革以後も、公共の組織のあらゆる分野にはびこる既得権は、そのまま存在している。省庁が既得権の維持と拡大を優先に決定を行う状況はほとんど変化していない。

    簡保の宿を信じられないような価格で買おうとし、未遂に終わったオリックスなどが典型だが、内閣諮問委員会に結集した一部の企業への国民資産の投げ売りや、財務省への権限の集中などで、既得権は排除されるどころか、既存の集団から新しい集団に移行するだけの結果に終わった。既得権は、小泉改革で消滅するどころか、逆に強化されたとも言える。

    この既得権を維持し拡大するための構造がいかにすさまじく、徹底したものであるかは、3.11と原発事故、そしていまも続いている放射能漏れがもっとも象徴的に暴き出している。

    それらは、官僚と電力会社、政治家が作った原子力安全神話の大ウソ、天下りポストを提供する電力会社と経済産業省の癒着、原発の監督機関であるはずの原子力安全・保安院における経済産業省の官僚支配、報道機関に役員を送り込む電力会社の支配などである。

    既得権の維持と拡大は、すでに日本の公共のシステムの機能に組み込まれてしまっている。この構造が日本にとっての危機であることは間違ない。これを排除できるシステムの構築なくして、日本の再生はない。

    危機と国民の怒りの集団行動

    ところで、日本は幾度となく危機を向かえている。明治維新や敗戦はそうした危機だが、比較的最近の歴史でも実は危機は何度もあったのだ。

    どの危機にも特徴的なことは、危機のたびに国民は怒りをあらわにして立ち上がり、政治の方向性に大きな影響を与えたことだ。

    1950年代に大変な盛り上がりを見せた労働運動では、終身雇用制の慣行を広い産業分野に定着させ、その後に続く高度経済成長の基礎になった。60年代の安保闘争は岸内閣を倒し、次の池田内閣で高度経済成長計画を立案させた。また70年代の公害闘争は、公害の実質的な解消に向けての数多くの規制を実現させた。どぶ川と化していた神田川は、いまでは魚が住む川に変わっているが、こうした変化をもたらしたのは行政が公害を規制したからだ。

    このように、国民の怒りの直接行動が政治の方向が大きく転換するきっかけとなり、日本の将来の決定に大きな影響を与えたことは間違いない。

    この事実を見ると、既得権を打破し、根本的な制度変更を実施するためには、かつてのような国民の本格的な怒りに基づく直接的な行動がどうしても必要になるはずだ。

    特に、3.11以降、日本は待ったなしの危機的な状況にある。そのような状況においてさえも明らかになるのは、省庁の既得権の維持と拡大に3.11を利用する官僚やこれと癒着した原子力産業の実態だ。この構造を根本的に打破できるのは、国民の直接的な怒りの表明しか道は残されていない。

    すでに多くの日本人が怒っている。しかし、ものすごい怒りを抱えているにもかかわらず、日本人は怒りを行動として直接的に表現できないでいる。

    なぜ我々は、50年代の労働運動や、60年代の安保闘争、そして70年代の公害闘争のときのように怒りで行動できないのだろうか?国民の怒りの集団行動があったならば、いまの危機的な状況は変化しているはずである。

    なぜ、我々は怒り行動できないのだろうか?

    我々自身の心理が引き起こす矛盾

    我々が怒りで行動できない理由を考えると、意識されていない事実を認識しなければならなくなる。それは、いまの危機を作り出している最大の要因は、実は我々自身だという事実だ。

    このように言うと驚くかもしれないが、当たり前のことを指摘しようとしているだけだ。現代日本人の社会的現実にかかわる方法と態度が、既得権を打破できる指導者の出現を不可能にさせ、また、新しい環境に適応したシステムの実現を阻んでいる最大の原因だということだ。

    不行動の原則

    この態度とは、集団的な直接行動を通して社会的現実を変更することを放棄する態度のことだ。日常と社会的現実の分断を受け入れ、なにも行動しないことを選択する態度と言い換えてもよい。つまり、不行動の原則である。

    日本では、他の国々のように、正しいか間違いかという倫理的な基準で集団的な行動をすると、「片寄った考え方」、「左翼」などのレッテルが貼られ、社会的な行動は封殺される。いかなる場合でも、社会的現実を変革する直接行動は、不適切と判断され、行動を謹むように言われる。なんらかの行動を通して社会の現実の変革を試みるものは、日常の安定の破壊者として排除される対象になる。

    刻印された心理のかたち

    この不行動の原則が一般化している理由は、我々の心理に、「何をやっても変わらない」という強い諦念が存在しているからだ。この諦念を共有し、社交的な会話では直接行動を呼びかける話題には一切触れないのが、日本では成熟した社会人とみなされる重要な条件である。

    もちろん3.11以降、このような余裕は許さない切迫した状況にある。この状況を打破するためには、我々が直接行動に訴えて、政府機能の中枢が既得権を最優先するグループにコントロールされ、実質的に機能不全を起こしている状況を変革しなければならない。そうしなければ、日本という国の継続さえも危ぶまれる状態に追い込まれることは間違いない。

    それはだれでもよく分かっている。しかし、直接行動を一瞬でも真剣に考えると、「何をやっても変わらない」という思いが、心の底から込み上げてくる。この思いが一度込み上げると、すべてのエネルギーが失われ、とてつもない諦念が身体を駆け巡り、現実を変革する力が失せてしまうのだ。

    こうした心理は、多くの日本人が共有しているものだ。したがってそれは、特定の宗教やイデオロギーを信じた結果として形成されたものとしては考えにくい。個人の思想や信条にかかわりなく、日本人であれば身体的に起こってくる自然な反応だからだ。

    とするなら、この心理を形成したものは、我々が日常行っている当たり前の行為の中にこそあるはずである。繰り返される日常の行為を通して踏み固められ、身体に刻印された反応であればこそ、意思ではコントロールできないほど強い力を発揮する。ボールが顔に向かって飛んでくると咄嗟に避けようとするが、それと同じくらい咄嗟の自動化された反応なのだ。そうではないと、社会の現実を変えるために動こうとするときに沸き起こってくるこの諦念の強烈さは説明できない。

    すべてがゲームのように進行する

    刻印された諦念の心理と、社会的直接行動を否定する不行動の原則を前提にすると、どんな社会的な問題もショーと化してしまう。それはこんなふうに上演される。

    まず、なんらかの政治スキャンダルや政治的な問題が明らかとなる。それは、政治家の不祥事、談合、癒着、公共組織の私物化などであったりする。

    そして、マスメディアの追求で、問題の背後には原因となる同じ構造が発見される。それらは、省庁の省益拡大と天下り先の確保を意図した官僚の暗躍、政務を官僚に依存し官僚に支配される政治家のあり方、そして公共の利益そっちのけで党利党略に奔走する政治家の行動などである。

    裏の事実が明らかになると、観客である国民の対応も決まっている。決まり切ったブーイングの嵐である。「いまの総理じゃだめだ」、「国民のことを考えるリーダーに変えるべきだ」、「官僚機構の改革こそ必要だ」、「政治利権を根絶しないとだめだ」、「党利党略の政治家は去れ」などである。どの野次も耳にタコができるほど聞いたものだ。どこの酒場でも聞ける。

    そして、こうしたブーイングが国民の間から激しく起こるたびに、謝罪とともに当事者が処分される。その後は「政治改革」、「制度改革」などあらゆるタイプの改革がスローガンとして掲げられ、その実行を約束する政治家の決意の発言が相次ぐ。「私は身命にかけて実行して見せます!」、「改革はかならず実行します!」などと連呼する声が聞こえる。

    さらに数カ月もすると、我々は同じ演目の上演に飽きてしまいブーイングの嵐も改革の連呼もピタッと収まる。すると、なにごともなかったように事態は進行し、だいぶ後になってから、結果的には状況は何も変わっていないことが明らかになる。そのときには新しい演目が上演され、観衆は同じブーイングを繰り返し、政治家も同じ決意を連呼しているというわけだ。

    これは、はじめからすべての筋書きが決まった演劇だ。社会的な現実は、演劇のシナリオに合致するようにマスコミの手によって様式化され、それに対する人々の反応もパターン化される。

    そして、いつものように出発点に戻り、政治家の首を付け替える。「真のリーダーはいつ現れるのか?」という変わり映えのしない声が空虚にこだましている。盛んになるのは「リーダーシップ論」だけである。

    これが、社会的現実を変革する直接行動の断念を前提に、現実とかかわる我々の態度が生み出す状況なのだ。つまり、すべてが様式化した演劇のようなプロセスと化してしまうということだ。

    この悪循環をすでに20年は繰り返している。この空虚な行為を我々はいつまで続けるのだろうか?

    生み出され続ける無変化の日常という幻想

    このプロセスでは危険な幻想が生み出される。結局、社会的現実の提示がショーと化す限り、次第に忘却が進みリアリティーが失われてしまう。この結果、現実的であるはずの日常を生活者として生きることが、社会的な現実から目を背け、危機感をマヒさせることになる。

    これは、日常の現実に生きることが、実は凄まじい幻想の世界に生きることになるというパラドックスを生むのだ。このプロセスが生み出すものは、日常的な現実が無変化のまままったりと続いて行くという日常幻想の継続である。

    日本に生きる我々の多くは、この日常幻想にいわばからみ取られたような状態にあると言ってもよい。放射能漏れなどのような、どんな社会的な危機が起ころうとも、テレビはいつものお笑い番組やグルメ番組を流し続け、街のショッピングセンターには家族連れが買い物し、場末の酒場ではいつものサラリーマンが仕事の愚痴を言っている。こうした無変化の日常に籠もると、外部で何が進行していても、すべてが幻影のように見えてしまう。

    これが不行動の原則が生み出した日常幻想の姿だ。これにからみ取られると、社会的現実に対するリアルな現実感覚は喪失してしまうのだ。この喪失は、さらに不行動の原則を強化し、社会問題ショーの上演を通した同じ循環を繰り返す。これは大変に危険なことだ。

    諦念の基礎にある世界の感じ方

    「なにをやっても変わらない」という諦念は明らかに我々が共有する心理のかたちである。だが、そもそもこれを作り出しているのはなになのだろうか?

    先にも書いたように、諦念を生み出しているものは、人が意識して信じている宗教やイデオロギーではない。基礎にあるのは、個人を越えて広く共有されている我々の「世界や社会の感じ方」にほかならない。

    これは「感じ方」であって「見方」ではない。「見方」は、多かれ少なかれ、個人の信念や好みに基づく選択を通して形成される。したがってそれは、意識化できることに特徴がある。日本は自国の文化を守るためにグローバリゼーションの波には乗らず独自の道を歩むべきだと考えようが、反対に、早急にグローバリゼーションに日本が対応してゆかないとこの国は滅んでしまうと考えようが、どちらの見方をするにせよ、自分がそのような見方をしていることを自覚している。そして見方を意識できる限りで、見方の変更や、対立した見方をしている相手と妥協することができる。

    一方、「世界や社会の感じ方」はほとんど意識されることはない。また自覚されるときは、強い感情的な反応を伴って表出する。それは、はっきりとした形を現すことなく、多様な意見や見方の基底部に存在しながらも、身体感覚を介して我々を世界につなげる様式だ。

    このように書いても、なかなか分かりにくいに違いない。我々とは距離のある他の国の例を見ると分かりやすい。

    たとえばアメリカだが、最近評判になったサンデル教授の「ハーバード大学熱血教室」にも登場するように、非常に幅広い政治的な意見と見方が存在する。キリスト教の価値を絶対視し、政府の個人の自由に対する介入を最小限にすることを主張する保守主義者がいる一方、社会の格差と歪みを是正する政府の所得再配分の機能に期待し、より平等な社会の実現を目標にするリベラリストも存在する。

    彼らの社会に対する見方は真っ向から対立する。

    保守主義者は、格差や貧困などの社会問題も基本的には個人の自己責任だと考える。なので、たとえば金持ちの寄付で社会保障を運営するというように、社会問題の多くは国民一人一人が是正に責任を負う社会を理想とする見方だ。一方リベラリストは、社会問題の是正を個々の国民の行動に期待するには無理があると見る。格差などの社会問題の原因は、拝金主義などのような行き過ぎた個人の行動にある。これを是正しより安全な社会を構築するためには、個人の自由が行き過ぎないように、政府が個人をある程度コントロールする社会こそ理想だと考える。

    どれだけ話し合おうとも、社会に対するこの2つの見方が一致点を見いだすことはない。どこまで行っても平行線だ。

    しかしながら、この2つの社会観がどれほど異なっていようとも、両者はある「世界の感じ方」を共有している。それは、「社会は自由意思を持ち自立した個人の集合体である。そうした個人によるディスカッションを通して社会は構成されている。したがって、社会的現実を作り出しているのは人間の行為であり、どんな社会的現実も人間の行為で変更できるはずだ」という実感である。上の保守主義者とリベラリストの相違は、どのような社会を構成すべきかという認識の相違であり、基底部にあるこうした実感の相違ではない。

    これは、身体レベルに刻印された感じ方だ。この実感に違反するようなことが発生すると、意識のコントロールではどうすることもできない強い感情的な反応を伴って、「根本的に間違っている」という実感が表出する。

    アメリカ人は、人権が制限され少しでも独裁制の匂いのする政治体制には感情的に耐えられないのも、社会に対するこうした基本的な実感が身体に刻印されているからだ。一度この実感が表面に出てくると、理性的な対話はほとんど不可能となり、荒々しい感情のぶつかり合いになる。

    「世界や社会の感じ方」とはこのようなものだ。外国の例を見るとイメージがつかみやすい。

    では日本人の「世界や社会の感じ方」とはどのようなものだろうか?おそらく日本人のそれは、「社会は自由意思を持ち自立した個人の集合体である」とするアメリカ人の実感の対極にあるものだ。

    我々は世界や社会を、個人をはるかに越えた生きた有機体のように実感している。それは独自の意思と法則で変化している全体的ななにものかである。

    そのような全体性から見ると、それぞれの個人は全体性の表出にしかすぎず、自我として自立した存在ではない。それはむしろ個我と呼んだほうがよい存在だ。自我が、自由意思を持ち、周囲とかかわりながら社会を創出する主体者だとするなら、個我は、全体的ななにものかと紐帯でつながりながら、かりそめに個人として分化している淡い存在だ。

    しかし、我々が感じるこの全体的な存在は一神教の超越神ではない。超越的な神のような、言葉を使って全体的な存在を明示することを我々は拒んだ。なぜなら、真の全体性は、表出した個我にすぎない人間の言語で定義すると、存在の広大さは失われ、存在が穢れてしまうとおそらく我々は感じているからだ。言葉で明示するのではなく、象徴的に示唆することを通してそれを「感じてもらう」以外にないような存在だ。「お天道様」とか「お陰様」、また「世間様」や「ご先祖様」という言葉が象徴するのはこうしたものだ。

    おそらく日本人は、意識するとしないにかかわらず、世界や社会の存在をこのようなものとして実感しているに違いない。

    してみると、不行動の原則の背後にある「なにをやっても変わらない」という諦念がなぜ沸いてくるのかよく分かる。日本人にとって社会の現実は、背後にある超越的な存在が作り出したものとして実感される。我々自身もこうした全体の一部である。全体性がある方向へと変化する場合、個我でしかない個々の人間は、変化の方向をいち早く感じ取り、それに合わせて一緒に変化することができるくらいで、ましてや、人間の意志で全体性には働きかけ、変化を押し止めたり、方向を変更することなどできるわけがない。特にこれを、個我の欲望という利己的な目的のために変更するのは許されない行為であり、不適切だ。

    おそらくこうした感じ方が、社会的な現実を変えるための直接行動を考えると、「何をやっても変わらない」という思いが心の底から込み上げ、とてつもない諦念が身体を駆け巡る理由なのだ。それは、最初から負けが決まっている不適切な行動だ。

    5月11日の追加部分

    強靭な適応力


    このように、個人的な自我に基づく抗議や直接行動は日本では強く抑制される。だがこれは、視点を変えると、環境の変化に対する日本人の強靭な適応力の源泉にもなっていることに注目しなければならない。

    現実は背後にある超越的な存在が作り出したもので、我々自身もこうした全体の一部でしかないと実感されるとき、個我によって現実を変えることが断念されるだけではない。超越的な全体性が動いたと判断すると、変化の方向に取り残されないために、人々が一斉に同一方向に動き出し、変化した環境に適応する集団行動が可能となるということも意味している。


    超越的な全体性は、「時代」「流れ」「とき」などとして象徴的に認識される。一度「時代」や「流れ」が変化したと見れば、政府や官僚、そして個々の国民に至るまで、それこそ一斉にこれまでの原理や原則をかなぐり捨て、プラグマティックに環境の変化に適応する努力が始まる。

    一方、超越的な全体性には、本来あるべき調和の取れた秩序の感覚が付随している。この秩序は、それぞれが個我の欲望に走ることなく、分をわきまえて行動し、やるべきことを行い、人様の迷惑にならないように、きちっと生活していると、超越的な全体性が人間のそうした行動に応えるかのように自然と具現する調和の秩序だ。

    もしときの政府や支配層が、「きちっとせず」、「やるべきことを行わず」、自分たちの集団の利害のみを露骨に優先した「人様の迷惑も顧みない」ように行動し、その結果として本来あるべき公共の調和を混乱させていると判断されたとき、人々は容赦のない怒りを政府や支配層に向けて爆発させ、方針の変更を強く迫った。特に、政府や支配層が「その座に座る資格のない人々」であると見られたときは、怒りの表出は一層激しいものになった。

    歴史を通して見ると、決して頻繁ではないが、歴史の結節点となるような時期には人々は激しく怒った。怒りの結果として、既存の制度の枠組みは変更され、新しい社会と経済の環境によりよく適合したシステムに置き換わった。

    戦前の疲弊する農村で激発した暴力的な騒動の嵐は、当時の政府を動かした。そして、GHQの農地改革を先取りするかのような、寄生地主制を解体して小作農を自営農に転換し、豊かにする農業政策を実現させた。これにより国内の市場は飛躍的に拡大し、昭和9年以降の高い経済成長がもたらされた。

    また、戦後の昭和20年代に激発した首きりに反対する労働争議の嵐を通して、最終的には終身雇用制、年功序列、労使協調の雇用慣行が作られ、高度経済成長とバブル期に頂点を向かえる日本型経営システムの礎となった。

    さらに、70年代の激しい公害反対運動は、有毒ガスや工場廃液の排出を厳しく規制する多くの法律や、国に支援された自治体単位の環境回復プロジェクトを実現させ、当時の公害とは無縁な現在の生活環境を実現させた。

    このように、かつて我々は、環境の変化を「とき」や「時代」の変化として感じ取り、それに機敏に合わせるように一気に適応するか、または、既得権益や権力闘争などで政府や組織がまともに動いていないとき、怒りを露骨に爆発させてすぐに問題に解決を図るように迫り、その時代に適合した新しい制度やシステムを生み出していった。

    これが我々の強靭な適応力であった。そしてそれは、我々のみならず、政府自らがそのような機敏な適応力を発揮した。明治以降の歴史から見えて来るのは、政府も国民も巻き込んだ「強靭な適応力」である。

    繰り返された危機

    日本という国家は、明治以来そのままスムーズに発展したわけではない。もちろん、敗戦による歴史的な断絶は最大の出来事であた。敗戦が日本にとって本質的な危機であったことは間違いない。

    しかし、明治以来、危機は幾度も起こり、国も社会もそれこそ髪を振り乱しながら、激変する環境にその都度大胆に適応してきたというのが、日本の近代から現代までの歴史であったのではないかと思う。むしろ、国や社会が安定していたときの方がはるかに短いという印象が強い。

    たとえば試みに、明治期から現代までの歴史を簡単に概観してみると、そのことがよく分かる。

    明治期の状態

    1)明治初年から明治10年代


    国家の形が定まらず、農民の土地所有を前提に沸き起こる人民主権と国民参政権の保証を求め、明治維新の徹底を主張する自由民権モデルと、上からの近代国家形成を模索するも、模範とすべき国家モデルが定まらず混乱する政府とが対立した時期。明治政府は薩長がクーデターで奪取した正統性のない政権と見られており、国内でも不平士族による内乱が激増。

    2)明治20年代

    明治憲法の制定と帝国議会開催により、富国強兵を実現できる国家モデルが定まる。日本は世界経済のシステムに、軽工業の供給国として組み込まれる。一方、西南戦争によるインフレを終息させるために実施された松方デフレが深刻な不況を引き起こした。これにより農民は疲弊して地主に土地所有が集中したため、自作農は大きく減少し、小作農が増加する。江戸期以来自立していた農村共同体は解体する。

    3)明治30年代

    1890年代から産業革命が勃興する。都市は解体した農村共同体の過剰労働力人口を受け入れる受け皿となるが、共同体の解体から都市のスラム化が急速に起こる。これは、労働力の析出に伴う個人化を促進させ、社会的な道徳の喪失と犯罪率の極端な上昇を招く。社会全体が危機的な状況になる。

    4)明治30年代後半から40年代

    このような危機的な状況に直面し、日清日露の両戦争で出現した国家意識の高揚をテコにして、天皇を頂点とする天皇制国家として再編成する。国内の反抗などもここに至って減少し、国家として安定してくる。

    明治期の歴史を概観すると、明治維新が目指した天皇制国家としての国のかたちは、やっと明治40年代に
    なって安定したのが分かる。それまでは、体制の政治的な不安定性や経済危機を背景として起こる内乱や暴動、一揆、そして社会不安などがいつも起こっており、国や社会が安定しているとはとても言える状況ではなかった。西南戦争以降、内戦だけが起こらなかっただけだ。

    大正期から昭和初期

    大正期


    1914年から1919年まで続いた第一次大戦による欧米各国の生産力の低迷で、繊維などを中心とした日本の軽工業は輸出産業として飛躍的に伸び、これにけん引されて、日本は長期の好景気に入る。普通選挙の要求から、大正デモクラシー運動が始まる。

    好景気を背景として、都市には早期の消費文化が誕生する。

    大正末期から昭和5年くらいまで

    関東大震災、金融恐慌と昭和恐慌


    大正12年(1923年)、関東大震災が起こる。東京の首都機能は実質的に崩壊してしまう。震災で立ち行かなくなった企業の倒産を回避するために、政府は企業が出した大量の手形を引き受ける。また銀行も手形を引き受けたが、結果的には大量の不良債権となる。これが引き金となり、預金の取り付け騒ぎが発生し、多くの銀行が倒産。金融恐慌が始まる。

    浜口内閣は、金本位制に戻ることを目標に不況下で徹底した緊縮財政政策を採用する。これが裏目に出てかつてない深刻な不況に直面する。1929年、これと同じタイミングで、ニューヨーク発の恐慌が発生する。

    農村は疲弊し、娘の身売りが横行。国内ではテロ、要人の暗殺などが多発し、社会は騒然となる。

    これから戦後の変化と激動を書きたいが、あまりに長くなるので次回以降にしたい。

    バブル期の変化

    結論から言うと、日本の近代は激動の時代であった。たしかに安定した国際関係のもと、戦後は相対的な安定期に入った。

    だがそれでも、ドルショック、オイルショック、公害問題、70年代の深刻なスタグフレーションなど多くの困難な時期があった。そしてやはりどの時期にも、政府も国民も強靭な適応力を発揮し、問題を乗り越えた。

    だがバブルが崩壊したあたりから、様子が変わってきた。我々の内面で何か根本的な変化が起こったようなのだ。

    今回は不完全な尻切れトンボのような記事なった。次回以降に詳しく書きたい。

    続く

    新しい本の紹介

    また新しい本が2冊出ました。表紙はセンセーショナルですが、中身はけっこうまじめです。これまでのメルマガや雑誌の記事の内容に一部加筆し、修正した内容です。いま日本は大きな転換点になっています。世界の現状を踏まえ、現在の日本の立ち位置を確認するにはよい本ではないかと思っています。よろしかったぜひどうぞ!

    elen

    shihaisha

    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書かせてもらっているが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

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    筆者のいとこのブログ

    筆者にいとこがスピリチュアル系のカウンセラーになっていたのを最近知ることとなった。以下にリンクする。よろしかったらどうぞ。

    ねもとまどかの「宇宙のゆりかご」

    本の出版のお知らせ

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