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    2010-11

    いよいよ第7の日に突入3 北朝鮮情勢とわれわれの内面の変化

    11月30日

    いつものように、予定していた以上に更新が遅れてしまった。いつも記事を読んでいただいている読者の方には心より感謝する。

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    北朝鮮情勢が非常に緊迫している。今回は日本ではあまり知られていない情報を中心に、北朝鮮情勢を解析した。

    特に今回の記事では、11月24日にジミー・カーター元大統領がアメリカの大手紙、ワシントンポストに寄せた記事を詳しく紹介した。カーター元大統領は、1994年以来アメリカ政府の特使として何度も北朝鮮を訪れ交渉を成功させてきた米国政府が全面的に信頼する特使である。最近でも今年の8月にピョンヤンを訪れ、不法入国で拘束されていたアメリカ人の解放に成功したばかりである。

    カーター元大統領はこのとき、1994年に訪れた時に交渉した北朝鮮政府高官と会談することができた。そのとき、朝鮮半島の緊張を緩和するためには北朝鮮は何を望むのか聞いた。すると北朝鮮側から明確な回答が示された。

    カーター元大統領はこの回答を提言の形でワシントンポストに掲載した。だが、その内容は日本でも米国でも完全に無視されたような状態になっている。

    北朝鮮情勢を理解する上でもこの記事はとても重要なので、改めて今回の記事で詳しく解説する。

    その他、メルマガではCIA系シンクタンクのストラトフォーの分析などを紹介し、北朝鮮情勢を解説した。

    今回の記事

    コルマンインデックスの第8サイクルの最後の期間である第7の日に入った。やはり予告されていた通り、この期間に入るやいなや予想を越えた出来事が多発し、変化に向かう時間が加速している。

    まず今回は、2007年6月のこのブログを開設して間もない頃に書いたコルマンインデックスの記事を再度参照し、いま起こりつつある変化の向かう方向を明確にする。

    次に、カーター元大統領が掲載した記事を詳しく紹介し、北朝鮮情勢であまり知られていない情報を紹介する。

    最後に、現代のシャーマンとも呼ばれている人類学者のハンク・ウェスルマン博士の論文を紹介する。われわれが向かっていいる精神的な進化の方向性が感じられると思う。

    変化の時期

    周知のように、11月3日から、コルマンインデックス第8サイクル最後の第7の日の期間に入った。2011年3月9日から、マヤカレンダー最後の第9サイクルに入る。これらすべてのサイクルは2011年10月28日に終了し、マヤカレンダーも同じく終了する。

    北朝鮮情勢もそうだが、明らかに第7の日に入ってから変化が加速している。そしてウェブボットも、いままさに変化の時期に入ったことを予告している。

    最新版のウェブボット報告書、「来るべき未来の形 0巻8号」では、感情値のデータの変動では、11月5日から14日にかけて転換点があり、11月14日から2011年1月8日までが感情の放出期とされている。

    感情の放出期とは、ショッキングな事件や出来事がきっかけとなり、これまで蓄積されたストレスが一気に吐き出される期間である。今回放出される感情の大きさは、リーマンショックを上回るこれまでにないレベルに達している。つまり、この期間にショッキングな出来事が相次いでもおかしくないということを表している。

    集合無意識の圧縮されたイメージ

    ウェブボットは、書かれていることがそのまま的中するというものではまったくない。それは予言というよりも、時間概念がまったく存在していない集合無意識に充満している様々なイメージの集合体を、任意に抽出した記録である。そこには、未来のあらゆるイメージが混然一体となって存在している。自己実現的な予言も含めて、そのイメージの中には実際に未来の出来事となって顕在化するものも多い。

    今回、「In Deep」のnoffyさんが紹介してくれている「フランス人の革命家」もそのよい例だ。ぜひ「In Deep」の該当記事を参照していただきたい。

    感情値の変動期間の信頼度

    ウェブボットには、集合無意識の具体的なイメージとは違った、感情値の蓄積期間と放出期間に関する抽象的なデータが存在している。感情の蓄積期とは、状況の変化からストレスの蓄積が進む期間であり、放出期とは、ショッキングな出来事や事件がきっかけとなり、たまったストレスが一気に放出される時期である。つまり、変化の時期のタイミングと期間を表しているのが感情の蓄積期と放出期の概念である。

    これらは、出来事の具体的なイメージを伴っていないだけに比較的に正確で、感情の放出期間には確かに大きな変化が集中しやすい傾向がある。

    例えば過去には、9.11やリーマンショック、ならびに2008年10月の金融安定化法案の否決で始まった株価の大暴落などが、予告された放出期間に起こっている。

    そして、今回も過去にないくらい感情値の大きな放出期間に入っているのである。

    共通のテーマ、抑圧されてきた矛盾の暴露と破裂

    それでは、第7の日や感情の放出期間に起こってくる変化とはどのようなものなのだろうか?北朝鮮情勢など、変化はすでに起こり始めているので理解しやすいだろう。変化を主導する共通のテーマとは、これまでの状況や既存のシステムのもとで隠され、抑圧され続けてきた矛盾や秘密が明らかとなり、それらが解決を一斉に迫ってくるということだろう。

    無罪の人間を陥れる特捜検察の手口の暴露、尖閣諸島ビデオの流出などは、隠されてきた秘密の暴露であろう。また、アメリカのサイト、ウィキリークスによる米国政府の外交公電のリークもそうだ。

    そして、尖閣諸島の領有権の問題が全面化したことは、これまで日中間の紛争を解決していたメカニズムの破綻をきっかけに噴出した矛盾だし、ロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問、さらに今回の北朝鮮の延坪島攻撃なども、これまで解決を先延ばしにしていた歴史的問題が、明確な解決を迫って歴史の表面に噴出してきたかのようだ。

    歴史的な問題というのは、前者はロシアとの平和条約の締結、そして後者は北朝鮮とアメリカの平和条約締結による朝鮮戦争の法的な終結のことだ。

    これはつまり、人間でいえば、無意識の領域に抑圧され、すでに忘却の彼方に消え去っていた過去のトラウマが何かのきっかけで活性化し、解決を迫って意識の表面に昇ってきたようなものである。

    これと同じように、様々なバランスやシステムの機能のために見えなくなっていた社会制度や歴史の影の部分が、明確な解決を求めて表面に出てきたということだ。


    過去の記事、秩序の崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊から新たな再生へ

    このブログを始めた動機の一つは、日本ではまったく知られていなかったコルマンインデックスを紹介することであった。ブログを始めて間もない2007年6月に以下のような記事を書いた。これは第5の日の期間に何が起こるのか解説したものだ。いま読むとおもしろい。

    (第5の日以降の期間で明確になるのは)秩序の崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊へといたるリズムである。では第7サイクルのように、旧秩序の崩壊と新秩序構築を進めるための戦争は不可避なのだろうか?

    コルマンは、この変化はからずしも戦争を伴うものとは思っていないようだ。マヤカレンダーは具体的な事件を予言するものではなく、特定の時期にどのような種類の事件が発生するのか予想する地図のようなものだ。

    コルマンによると、第5の日には、IMFや世界銀行、それに国際金融マーケットのような米国中心の国際秩序を担っている国際的な機関が機能障害を起こし、混乱がはっきりとした形をとって現れる。これに米国国内の暴動や社会不安などを含めてよいかもしれない。

    だがこの混乱は、次の第5の日では国際協調による強権の発動によって無理やり修復される。これによっていっけん何事もなかったような正常な状態に戻る。だがそれは長くは続かず、第5の夜の後半から第6の日にかけて最終的に崩壊する。これがコルマンの解釈する第5の日だ。


    以上である。

    この文章はリーマンショックの一年以上前に書いたものだ。確かに、リーマンショックで頂点に達した金融危機は、第5の夜と第6の日の期間で、G20のような国際会議による協調的な枠組みの形成で一部は押さえ込まれ、現在に至っている。

    ただこの文章では強権の発動による問題の抑圧と隠蔽は次の第6の夜にかけてほころび、システムの本格的な変容が迫られるとされていたが、それは起こらなかった。いや、起こらなかったというよりも、矛盾の発現が抑止され続けてきたといったほうがよいかもしれない。

    この文章はあくまで象徴的なものとして読んでほしい。予想が的中したかどうかというよりも、重要なのは、秩序の崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊、そして新たな再生へというパターンである。現在、われわれが体験しているのは、まさにコルマンインデックスのこのパターンであるのかもしれない。

    個人とのシンクロ

    さらに重要なことは、こうしたパターンは社会や世界情勢だけではなく、個人のレベルにも当てはまる可能性があるということだ。やはり、2007年6月には次のように書いた。

    すると第5の日の「秩序崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊」というリズムも、周囲の環境や客観的な世界が自然と変化して、勝手に崩壊したり強権的に維持されることをいっているわけではないことは明らかだ。このリズムは、われわれ一人一人の内面の激烈な変化として訪れるのである。その結果が世界の変化なのだ。ならば、秩序が崩壊するというとき、われわれの内面の何が崩壊するのだろうか。

    コルマンによると、崩壊するのは古い自分自身であるという。

    現在われわれは第8サイクルにいるわけだが、すでにみたようにこのサイクルのテーマは、ものごとの統合の中心軸が左脳的な原理から右脳的な原理へと急速に移動することだ。右脳的な原理は、直観力、インスピレーション、創造性、ひらめき、そしてスピリチュアルな価値の目覚めを象徴するものとされている。この原理がものごとを統合する原理として現れ、これに基づいて世界の様相が根本から変化してしまうというのが第8サイクルの一つの意味だ。古い自分自身とはこの対極にある自己のあり方だ。

    その形は人それぞれだろう。だがそれは、社会の階層的な秩序や物質中心の価値観に強くとらわれた自己だとコルマンはいう。誰しもこうした自己を持っているはずだが、心の奥底から自然に込み上げてくる、精神的な価値を指向する強い欲求によってこれが根底から変化せざるを得なくなるのが古い自己の崩壊ということだ。それはまさに覚醒なのだという。

    この覚醒がもっとも強まるのが第五の日以降であるとされる。したがって先に述べた「秩序崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊」というリズムは、「新しい自己の覚醒ー古い自己の復活と押し戻しー覚醒した自己の確立」というリズムの裏面なのだという。第5の日では、覚醒へと向かうこのリズムと力を、現実の生活の中で多くの人が実感するようになるとコルマンはいう。


    以上である。

    このように、変化の加速は、当然個人の生き方の水準でも現れる。個人の中でも解決されず、抑圧されていた過去のトラウマや人間関係の問題などが頭をもたげ、解決を迫ってくるというような体験である。

    人の内面で解決されていないテーマと直面することはなかなか難しいことだ。トラウマが表面に噴出してくると、これを乗り越えられる新しい自己の獲得がどうしても必要になる。このような新しい自己こそ、コルマンインデックスの意識進化の土台となる自己なのだろうと思う。

    秩序崩壊ー強権による維持ー最終的な崩壊、そして新たな再生というリズムは、世界情勢や社会の変化のリズムであると同時に、そうした巨大な流れといやおうなくシンクロしているわれわれ個人の生き方の問題でもあるのだ。

    第7の日は新しい自己の出現を予告する期間である。しかし、それには既存の自己を乗り越えることが条件になるのかもしれない。

    北朝鮮情勢

    朝鮮半島が再度緊張している。朝鮮戦争が起こるかもしれないという観測まで出るほど緊張した状況だ。今回は日本ではあまり知られていない情報も含め、北朝鮮情勢を解説する。

    韓国が先に挑発した可能性

    一般の報道では、北朝鮮がいきなり韓国領の延坪島に野戦砲で攻撃したかのように報道されているが、事実はこれとは少し異なることが次第に明らかとなってきた。

    攻撃が行われた当日、韓国軍は延坪島の近辺で軍事演習を行っていた。そして、北朝鮮の攻撃の1時間ほど前、北朝鮮の領海の海域に砲弾を撃ち込んでいたことが明らかとなった。これは韓国も認めており、砲弾は北朝鮮の領海とは異なった方角だったと説明している。

    しかし、北朝鮮の領海に向かって撃たれとする報道も多い。これが北朝鮮を挑発し、結果として攻撃を誘発した可能性は否定できないだろう。

    カーター元大統領の記事

    攻撃が行われた翌日、11月24日、アメリカの大手紙、ワシントンポストにカーター元大統領による記事が掲載された。「北朝鮮のアメリカへの一貫したメッセージ」である。この記事は元大統領によって書かれたにもかかわらず、日本でもアメリカでもまったく無視されている。

    カーター元大統領

    1994年、クリントン政権のとき、北朝鮮がプルトニュームの抽出に成功し、核兵器を開発しようとしていることが明らかとなった。これに強い警戒感を持ったクリントン政権は、カーター元大統領を全権特使として北朝鮮に派遣した。カーターは金日正との交渉に成功し、北朝鮮の核開発停止の確約をとりつけた。

    それ以来、カーター元大統領は、何か問題があるたびに北朝鮮に派遣され、そのつど交渉を成功させてきた。最近は、8月に北朝鮮に不法入国したかどで拘束されていたアメリカ人の解放に成功している。北朝鮮がもっとも信頼するアメリカ人と呼ばれている。

    ワシントンポスト紙の記事

    以下が11月24日に掲載されたワシントンポスト紙の記事の要約である。

    1994年、金日正の北朝鮮は、IAEAの査察官を追放し、使用済みの核燃料から核兵器の製造に必要なプルトニュームの抽出を行うことを宣言した。そして北朝鮮に対する制裁を解除しないと、ソウルを攻撃すると脅した。

    私はクリントン大統領の了解を得て、北朝鮮の指導部に会うことができた。交渉は成功し、ジュネーブで北朝鮮とアメリカの代表団が直接交渉を行うことになった。

    ジュネーブでの交渉は合意に達した。朝鮮戦争は正式には終結していない。53年の停戦協定が継続しているだけである。北朝鮮は、朝鮮戦争を正式に終結させる平和条約を将来締結することを条件に、核武装を放棄するというのが合意事項であった。

    この合意に基づき北朝鮮は、早速プルトニュームの抽出を停止した。さらにIAEAの査察官を呼び戻し、核施設の査察を再開した。この合意を1994年の枠組みと呼ぶ。

    しかし、2001年に成立したブッシュ政権は北朝鮮を悪の枢軸と呼び、北朝鮮が核開発を再開したことを機に米国と北朝鮮との2国間交渉は完全に途絶えた。その後交渉は、中国、ロシア、日本を含む6カ国協議へと移されたが、具体的な進展がないまま今日に至っている。

    私は今年の7月、北朝鮮に拘束されているアメリカ人、アイジャロン・ゴメス氏を解放するために北朝鮮を訪問した。そのとき、私は北朝鮮政府の高官と会談する機会に恵まれた。

    北朝鮮の高官は私に、「北朝鮮は、アメリカが1994年の合意を履行することを切に望んでいる。そうすれば、北は核は放棄する用意がある。さらに、94年合意には含まれていないウラン濃縮も停止してもよい」と明確に表明した。北朝鮮はアメリカとの2国間協議を望んでいる。6カ国協議ではない。

    北朝鮮のこのメッセージは一貫している。このほどウランの濃縮施設にアメリカ人の専門家を招き入れ、ウラン濃縮を行っていることをあえて公開した。これも、94年の枠組みの履行へと向けた2国間交渉の再開をアメリカに求める一貫したメッセージだ。

    このように、北朝鮮のメッセージは一貫している。94年の枠組みの履行へと向けた2国間交渉を、アメリカに再開してほしいのだ。オバマ政権は北朝鮮のメッセージにすぐに応じるべきだ。応じれば朝鮮半島の緊張は一気に緩和するはずだ。


    以上である。

    この記事だけでは「94年合意の枠組み」とはどういうものなのか少し分かりにくい。以下に解説する。元IAEAの国際広報部長の吉田康彦氏の著書とインタビューを参照した。

    94年合意の枠組み

    1994年、北朝鮮と米国はジュネーブで2国間協議を行い以下のことに同意した。

    1)米国はできるだけすみやかに53年の停戦協定を破棄し、朝鮮戦争を正式に終結させる平和条約を北朝鮮との間に締結する。

    2)米国は、北朝鮮を攻撃しないことを文書で確約する。

    3)米国と北朝鮮は将来の国交回復に向けて、ワシントンとピョンヤンにそれぞれ外交代表部を開設する。

    4)米国は、北朝鮮に対する金融、経済制裁を解除する。

    5)北朝鮮は、核兵器開発につながるプルトニュームの再利用を停止し、朝鮮半島の非核化を実現する。

    6)この見返りとして、米国は軽水炉型原子力発電所を北朝鮮に建設する。また重油を供与する。

    この6点である。つまり、アメリカが北朝鮮との間で平和条約を結び、攻撃しないことを確約し、そして経済制裁を解除してくれれば、北朝鮮は核開発を断念するというのが合意内容である。

    その後の経緯

    カーター元大統領の記事にもあるように、北朝鮮は94年合意の成立に基づき、IAEAの査察官を呼び戻し核査察を再開した。核開発を放棄する姿勢を見せた。

    その後、軽水炉の建設と重油の供与はある程度実現したものの、平和条約の締結、経済制裁の解除、そして外交代表部の開設などの他の合意事項はまったく進展がなかった。

    独裁体制の崩壊を予測

    それというのも、94年の時点でクリントン政権は、金一族による独裁体制は数年のうちに崩壊すると見ており、合意事項を履行する意志は始めからなかったからだと言われている。

    まったく進展のない状況にいらだった北朝鮮は、97年と98年にテポドンなどのミサイルを発射し、アメリカに脅しをかけてきた。この時のメッセージも94年合意の履行の要求であった。

    クリントン政権末期の合意

    北のミサイル発射もあり、クリントン政権の末期には状況は大きく変化した。当時のペリー国務長官のもとで朝鮮戦争の具体的なシュミレーションが行われ、被害規模が明らかとなった。

    それによると、朝鮮戦争が勃発した場合、米軍は死者数5万人、韓国民間人の死者数は100万人となり、被害規模の大きさから、戦争は現実的なオプションとはならないことが示されていた。

    この報告書を受けクリントン政権は、94年合意の履行に向けた北朝鮮との交渉を早急に再開する決定をした。オルブライト国務長官をピョンヤンに派遣し、具体的な交渉に入った。

    しかし、これを譲歩を引き出す絶好の機会ととらえた北朝鮮は、ミサイル放棄の見返りとしてアメリカに10億ドルの資金供与を要求した。クリントン政権はこれに難色を示し、減額の交渉が続いた。

    そのうち交渉は長引き、クリントンの任期中には交渉の妥結が難しくなり、アメリカは交渉の妥結を断念した。いわば期限切れとなったのである。

    その後、北朝鮮との交渉は6カ国協議の場に移りいまに至っている。その間、紆余曲折を経ながらも、ブッシュ政権の北を悪の枢軸に指定した敵視政策もあり、94年合意の履行は進展しなかった。北はミサイル発射や核実験などを実施し、94年合意の履行の要求を一貫したメッセージとした。

    これが簡単な経緯である。

    なぜアメリカは要求に応じないのか?

    もしカーター元大統領の記事の通りであれば、オバマ政権が、94年合意の履行に向けた北朝鮮との2国間交渉の再開に同意した時点で、朝鮮半島の緊張は著しく緩和する方向に向かうはずだ。事実、カーター元大統領の前出の記事にもそのようなメッセージが込められている。

    しかしアメリカは、黄海に原子力空母、ジョージワシントンを派遣して米韓合同軍事演習を実施し、北への圧力を強めている。2国間協議の再開どころではない。むしろ緊張を高める方向に動いている。

    ではアメリカはなぜカーター元大統領の提案するように対応しないのだろうか?

    黄海に原子力空母を派遣する

    今回の演習の実施に中国は強く反発している。中国は黄海を内海と考えており、この地域で米軍が行動することには警戒している。

    今年の8月、哨戒艦「天安」の攻撃に対する圧力として、やはり黄海で米韓合同軍事演習が計画された。原子力空母、ジョージワシントンの派遣も計画されていた。

    中国はこれに猛反発したため、急遽計画は変更され、黄海ではなく日本海での実施となった。

    だが今回の黄海での演習は、韓国領を攻撃した北朝鮮に対して明確に圧力を加えることが目的である。建前では北が先に韓国を攻撃したことになっているので、中国はこの演習に、以前のようには強く反対できない立場だ。事実、黄海で演習は実施され、原子力空母、ジョージワシントンは派遣された。

    このように見てくると、今回の延坪島攻撃は、実は中国の内海である黄海に、原子力空母、ジョージワシントンを中心とした米海軍機動部隊を展開させることに狙いがあった可能性が非常に高いということが分かる。

    目的は達成されたのでさらなる攻撃はない

    だとするならば、アメリカは今回の延坪島攻撃で目的を達成したことになる。そうすると、これ以上北朝鮮を刺激しても意味はない。まだ何があるか分からない部分はあるにはあるが、非難の応酬は国連に移り、新たな朝鮮戦争へと向かう危機には発展しないと見た方が妥当だろう。

    中国の報復と尖閣諸島の緊張

    中国は、今回の事件で黄海に米海軍機動部隊を入れてしまった。中国はかならず報復してくるだろう。

    その報復は、中国の権益をアメリカの同盟国に対して強く主張するという方向に出てくる可能性がある。そのエリアこそ、尖閣諸島である可能性が高い。

    可能性としては、日本の領海内で中国の漁業監視船の保護のもとで中国漁船に操業させるという方法に出るだろう。つまり、日中の軽武装した巡視船同士の遭遇を演出して緊張感を高め、日本の巡視船を追い払い、尖閣諸島の領有権をいっそう強く主張することになるのかも知れない。

    記事があまりに長くなるので、続きは別の機会に書く。

    人類学者、ハンク・ウェスルマンのエッセー

    いまわれわれは激動期に生きている。その中で、われわれの内面がこれからどのように変化するのか読み取る最良の方法の一つがハンク・ウェスルマンのエッセーである。時間がないので全訳できなかった。2回に分けて掲載する。

    新しい神秘:ソフィアの夢
    ハンク・ウェスルマン


    いま現代人は新しい神秘に気づくことが必要になっている。これは「気づき」をテーマにしたシリーズの4つ目のエッセーである。このエッセーで私は「改めて魔術にかけられること」という概念を紹介した。この概念を使うことで、私は自分の考えをもっともうまく表現することができる。

    「改めて魔術にかけられること」は、すでに有効性を失いつつある様々な考え方を私達が積極的に放棄することを意味する。そうしたものは、政治、経済、そして宗教を支配している過った、時代遅れの考え方である。

    マヤカレンダーの26000年のサイクルが終了する2012年12月21日が近づくにしたがい、私達の人生のみならず、私達を取り巻くすべてのものが変化し、その変化のスピードがどんどん加速していることに気づく。

    多くの文化の旧い固定観念が表面化し、いまそれを捨て去ることが迫られているということは、私達をずっとサポートし続ける永遠の領域が私達の目の前でいま開かれようとしているということでもあるのだ。

    この領域とは、自然とのつながりのことである。

    自然とのつながり

    私は自分の畑の木からバナナを切り取るとき、自分と家族に栄養を与えてくれることにいつも感謝するようにしている。バナナと人間は40%ほどDNAを共有しているのだ。

    これはとても説教臭く聞こえるかもしれないが、私は説教をしたいわけではない。西欧の考え方の基礎にあるのは「支配」である。一方、土着の伝統的な文化の基礎にあるのは「尊敬」である。これは、存在するずべてのものに対する尊敬であり、また究極的な存在に対する尊敬でもある。この究極的な存在とは「母なる自然」のことである。この「母なる自然」は「ソファイア」と呼ばれている。

    偉大なる女神


    神秘主義の多くの流派は、女神ソファイヤは、古代ギリシャや科学者、ジェイムス・ラブロックの別名「ガイア」と呼ばれるこの美しい地球そのものだとしている。

    グノーシスでソファイアは、私達が望むなら知識と指導を与えてくれる神のような心を持つ靄のかかった光として表現されている。

    旧約聖書に出てくる紀元前9世紀の預言者、エライヤの話を覚えているだろうか?彼は天使を見たのだが、その天使は翼を持った人間の姿をしておらず、声で語りかけてくる輝く白い光であった。これがソファイアである。

    ソファイヤはトランスパーソナルな力であり、人間も含め、地球上に存在するあらゆるものに生命力を吹き込む。吹き込むエネルギーは河の流れのようで、それを経験するものを根本から変容させる力を持つ。古代の神秘家や預言者は、まさにこれを体験した人々である。

    過去の神秘主義の流派は、ソファイアはプレノマと呼ばれる銀河系の中心で生まれ、意識のある光として、ケノマと呼ばれる周辺に広がる広大な混沌へと放出されたと考えている。神話によると、ソファイアこそ、人間とこの美しい世界を夢を見ることで創造した当のものである。ソファイアは、グノーシスが創作者と呼ぶ神秘的な源泉から流出した不滅の元型的な力なのだ。この元型的な力は、別名イーオンとも呼ばれている。

    創作者

    多くの人々が異なった定義を創作者に与えてきた。ある人々はそれを崇拝し、神と呼んでいる。だがそれはある次元にただ存在するだけで、人間とはおおよそかけ離れており、限りがなく、近づくことは不可能な存在だ。それは人間の祈りに応えることはない。

    それは道教のいう「道」である。それは、無限の知性と可能性に満ちあふれた生きた光りであり、神秘家はこれを「偉大な太陽」と呼ぶ。それは創造することはない。宇宙に存在するすべてのものは、ここらら流出してきたのだ。その意味で、創作者は宇宙のあらゆるところに存在する。

    元型的な力であるイーオンも、この中心から流出してきたものだ。宇宙には無数の銀河系が存在している。そして、その中心にはどれもブラックホールがある。ブラックホールは、創作者の次元へと出て行く進入口であるのかもしれない。銀河系はそれこそ無限にある。それを少しでも考えると、人間がいかに小さいかがよく分かる。

    ソファイアはイーオンの一つとして、夢を通してあらゆるものを流出する。オーストラリアのアブオリジニはこれを「夢見るとき」と表現している。ソファイアのこの夢から、人間やその他の存在すべてが誕生したのだ。


    次回の記事に続く

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    いよいよ第7の日に突入2 LEAP/E2020の最新報告書と中国の世界の見方

    11月19日

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    講演会の御礼

    11月13日の講演会は盛況であった。来てくださった多くの方々に感謝する。次回は1月15日に開催予定だ。

    前回の有料メルマガのご紹介

    前回は尖閣諸島の領有権問題について詳しく解説した。すでに一部で報道されているが、日中の間には、紛争をこじらせることなく処理する2つの枠組みが存在していた。

    一つは、1978年の日中平和条約の締結時に合意された尖閣諸島問題の棚上げであり、2つ目は2000年6月に締結された日中漁業協定であった。

    最初の合意では、日本は尖閣諸島問題を棚上げするので領有権の主張は行わず、国内法は適用しないこととした。そして日中漁業協定では、日中は自国の漁船のみを取り締まり、相手の国の漁船は領海から退去させるのみとした。

    尖閣諸島では過去に何度も今回と同じような問題が発生したが、これらの枠組みによって紛争は処理され、大きな問題にはいたらなかった。

    してみると、今回の問題は日本側がこれまでの枠組みを一方的に破棄したことが原因であった可能性が高い。

    日本側があえてこれまでの合意を破棄した理由は、中国を第一列島線と呼ばれる地域の範囲に封じ込めたいアメリカの意図が深く関与した結果である可能性が高い。

    このようなことを解説した。

    今回の有料メルマガのご紹介

    次に中国漁船の領海侵犯があるとすれば、今度は中国の漁業監視船の保護下で操業している漁船と、日本の巡視船が対峙することになる可能性が高いといわれている。

    そのような状況を想定して、中国は早速漁業監視船の新鋭艦を尖閣諸島に配備した。新鋭艦は「中国漁政310」で、一番大きな日本の巡視船の1.5倍もある船である。武装も日本の巡視船をはるかに上回っている。このような船の保護下で操業している中国漁船と、日本の巡視船が対峙する可能性があるのである。下手をすると、武力を用いた小競り合いに発展する可能性もある。

    このような話題を詳しく解説した。

    今回の記事

    ウェブボットの最新報告書、「来るべき未来の形・0巻8号」の詳細要約が完成した。普通であれば内容の一部をブログで紹介するのだが、あまりに影響が大きいため今回は差し控えることにした。いずれ方法を考えて内容の一部を紹介したい。

    あまりに長く更新していなかったので、書きたい内容があまりに多い。おいおいすべて書くとして、今回は以下の2点に焦点を絞ることにした。

    まず、LEAP/E2020の最新レポートが11月16日に配信された。その内容を簡単に要約する。

    次に、中国に関する興味深い記事をいくつか紹介する。いま、中国とどのように対応するのか各国で議論の的になっている。そうした記事をいくつか紹介する。

    筆者の友人の作家のブログ

    ところで、筆者が親しくしていただいている作家に駒村吉重氏がいる。新潮社のノンフィクション賞を受賞し、日本の捕鯨船に乗り込んで取材した大作「煙る鯨影」を著したノンフィクション作家である。

    今度、彼のブログができた。まだできたばかりだが、これから取材日記など記事が充実してくるものと思われる。よろしかったら、ぜひ読んでいただきたい。

    茶房ちよちよ
    駒村吉重のブログ。いつもの飯、酒、より道、脱線、思いごと

    LEAP/E2020の最新報告書

    FRBの6兆ドルにも上る巨額な量的緩和の影響でドルは大きく下落し、各国の通貨の切り下げ競争に突入しつつある雲行きである。これを回避する目的でG20がソウルで開催されたが、国内政治を優先する各国の主張がぶつかり合い、合意にいたることはできなかった。

    すでに2009年4月、フランスのシンクタンク、LEAP/E2020は、世界は「地政学的配置転換」と呼ばれる混乱期に突入するとして警告を発し、2010年第一四半期からは、各国は「通貨の争い」の次期に入ると警告していた。これは、まさにいま起こっている通貨の切り下げ競争である。まさに、LEAP/E2020の予測が的中したかっこうになった。

    今回の最新レポートでは、これからどのようなことが起こるのか予測されている。以下である。

    2009年3月24日にロンドンで行われたG20では、われわれは将来の基軸通貨を早急に決定しなければ、現在の金融システムは崩壊するとして警告を発した。残念ながら警告は受け入れられず、その結果、われわれが「地政学的配置転換」と呼ぶ混乱期に突入してしまった。

    今回は韓国のソウルでG20のサミットが開催された。これは、われわれの警告を真剣に受け止め、将来の基軸通貨の問題に決着をつけるよい機会であった。しかし、それを果たせず、G20は明確な成果を出せないまま分裂してしまった。

    これで「地政学的配置転換」の混乱期の深化は回避できないところまで来てしまった。

    すでに、アメリカ中心の現在のシステムは急速にほころんでいるので混乱は始まっている。

    FRBは6兆ドルにも上るドルの追加発行を行う量的緩和を実施している。これでドルは決定的に下落し、基軸通貨の地位を失うであろう。

    またヨーロッパでは、緊縮財政への移行で社会保障費の支出が大幅に削減されたため、各国で抗議やデモ、そして暴動などが起こっている。まだ政府の緊縮財政政策を変更させるだけの力はもつところまでには至っていないが、近い将来反対運動は非常に激しいものとなろう。

    そして、アジアでも大きな変化が起こっている。日中が領有権を主張する尖閣諸島で日本の巡視船と中国の漁船が衝突したのである。この事件は、アメリカの影響力がどの程度中国に及ぶのか見るよい機会となった。アメリカは介入を避けることを早々に決定した。これは、アメリカの影響力が大きく低下していることの現れである。

    アメリカは、二度と今回のような量的緩和策を実施できないだろう。むしろ、2011年春からは、ヨーロッパ諸国と同じように、アメリカは緊縮財政を実施しなければならなくなることは間違いない。これが実施されると、通常の経済現象の枠を越えたような市場の暴落、社会不安などの現象が相次いで起こり、地政学的転換の混乱は次の段階に入ることになる。2011年春が転換点になる。

    そして2012年には、ウォールストリートジャーナル紙が報じたように、中国経済の規模はアメリカを追い抜く可能性がある。


    以上である。

    日本をはじめ、主要先進国の経済は明らかに低迷しつつある。それに比例するように、中国への依存と期待が高まりつつあるのも事実である。

    中国経済の拡大の速度は、もしかしたらわれわれが思っているよりもさらに速いのかもしれない。LEAP/E2020が紹介している「2012年に中国が経済規模でアメリカを抜く」というウォールストリートジャーナル紙の記事を紹介する。

    ウォールストリートジャーナル紙の報道

    この記事は11月11日に掲載されたものである。引用されているデータは、著名な経済分析のシンクタンク、「カンファレンス・ボード」が提供したものだ。記事の内容には驚かされる。以下が要約である。

    2010年、中国の成長率は10%で、2011年は9.6%になる見込みだ。それに対し、アメリカは経済の減速が続き、2010年の2.6%から2011年には1.2%まで落ち込むだろうと思われる。これは、日本や西ヨーロッパ諸国は1.5%の成長率よりも低い。

    現在、アメリカ経済の規模は15兆ドルだ。それに対して中国は5兆ドルである。まだまだ開きは大きく、中国がアメリカに追いつくには、現在の高成長を続けても10年はかかる。

    だが、購買力平価という別の基準で比較するとまったく違った結果が出てくる。経済規模を比較するときは大抵ドルが用いられるが、これはドルの通貨価値の影響を受けるので経済の規模は通貨の変動で異なった結果が出てくる。購買力平価とは、通貨価値の変動の影響を排除するため、その国の通貨で買える商品の量で経済規模を比較する方法だ。

    この基準でアメリカと中国の経済規模を比較すると、2012年には中国はアメリカの経済規模を抜き、世界一になるとの結果が出た。

    そして2020年の購買力平価による各国の経済規模を見ると、中国は世界経済の4分の1を占めるのに対して、アメリカは15%、ヨーロッパの主要国は13%、そしてインドは8%という結果だった。


    以上である。

    中国の急速な台頭は、既存の国際秩序に対する政治的、経済的、そして軍事的な挑戦を突き付けている。では中国は世界をどのように見ており、どのような秩序の構築を考えているのだろうか?次にこれを見て見よう。

    中国は世界をどのように見ているのか?

    中国は1843年のアヘン戦争から、1949年の中華人民共和国の独立までの100年間、植民地化と分裂、そして内戦の苦難を経験した非常にトラウマの強い国である。

    それは、高い経済成長を実現した現在でもそうで、中国の世界の見方を強く方向づけているように思われる。

    アメリカのプルデュー大学が主催するシンクタンクに「チャイナスコープ」がある。ここは、中国国内で出回っている中国語の論文や記事を片っ端から翻訳しているシンクタンクだ。普通、日本国内ではめったに読めないような、中国の国家戦略の立案に強い影響力をもつ人々の書いた論文が読める。

    以下にいくつか選んで要約した。

    清華大学国際問題学院長のヤン・ズートン教授

    はじめに、ハーバード大学出身で、国家戦略立案で重要な役割を果たしている清華大学国際問題学院長のヤン・ズートン教授の論文を紹介する。ズートン教授は米中関係の本質と、将来の関係について以下のように書いている。

    中国とアメリカのパートナーシップは、あくまで経済的な利害関係が一致する限り存在しているにすぎない不安定な関係だ。中国は、製品市場と準備通貨としてのドルがほしいだけだし、アメリカは、中国からの安い製品の供給と、国債の購買によってアメリカ経済を支えてほしいだけだ。

    いってみればこれは、買手と売り手のビジネス関係にしかすぎない。

    安全保障の分野では、アメリカは東アジアの覇権を維持するために、中国の沿岸部を軍事的に監視し、中国への武器禁輸を継続している。

    政治の分野でも同様な状況だ。中国とアメリカでは価値感とイデオロギーがまったく異なっているのだ。アメリカはチベットやシンキョウの分離独立運動を支援し、中国の統一を脅かしている。

    このように見ると、安全保障や政治の対立関係のほうが経済的な関係よりもはるかに優先順位が高いことが分かる。だから、中国とアメリカが友好的なパートナーになることは基本的にはできないのだ。両国の関係は基本的には敵対的な関係にならざるを得ない。


    「紅旗要綱」の論文

    次に、共産党の機関紙の一つである「紅旗要綱」に最近掲載された論文を紹介する。書き手は中国社会科学院の研究員だという。共産党がアメリカをどのように見ているのかよく分かる。

    アメリカ民主主義の輸出に関して

    今日の世界情勢を見ると、世界の緊張と衝突を引き起こしているおもな要因は、アメリカによる民主主義のの世界への拡散であることがよく分かる。アメリカは民主主義を世界に広めるというもっともらしい理由を使って、結局はアメリカ流の政治や経済を世界に広め、世界を自分の都合のよいように支配したいだけなのだ。これがアメリカという国である。

    アメリカのいう民主化には2つの段階がある。

    はじめにアメリカは、外国の支配層にアメリカの影響下にあるものたちをもぐりこませ、権力の中枢を掌握させる。次に、傀儡政権を使ってアメリカ式の憲法や人権思想を受容し、アメリカと同じような政治システムや価値観、そして生活のスタイルを移植する。そうしてその国を、アメリカのコピー国家へと変えてしまうのだ。これがアメリカの民主化の意味することだ。

    歴史的にアメリカは、この世界民主化を外交の基本方針としている。

    第一次大戦までのアメリカは、ヨーロッパの問題には介入しないとするモンロー主義を掲げ、民主化の対象をもっぱらラテンアメリカ諸国とフィリッピンに限定した。当時のウィルソン大統領は、アメリカの使命は民主主義の拡大であると高らかに宣言している。

    そして第一次大戦後、アメリカの民主化の目標地域はラテンアメリカから、次第にアジアとヨーロッパの国々へと移動した。第二次大戦後には、日本とドイツが
    民主化のターゲットとなった。アメリカは、日本とドイツが民主化に成功したモデルであると自画自賛している。

    1980年代にはより多くの国々が民主化し、アメリカの世界支配は拡大した。しかし、アメリカの支配は限定的な地域に止まった。

    しかし90年代に入ると、この状況は大きく変化した。ソビエトの崩壊は、アメリカの支配地域を拡大するチャンスを与えた。しかし、これはアメリカが思ったようには進まなかった。多くの旧ソビエトの共和国はロシアの影響下に止まった。

    これに業を煮やしたアメリカは、ウクライナやグルジアなどでカラー革命を引き起こし、無理に民主化することに成功した。

    この民主化の成功に自信を深めたアメリカは、21世紀に入って9.11が起こると、武力を用いた中東の強制民主化に乗り出した。イラク戦争、アフガン戦争の始まりである。

    これにアメリカは失敗した。中東の強制民主化は、世界中でアメリカの信用を失墜させ、ブッシュ政権は世界の憎しみの対象となった。

    しかしアメリカは、民主化と世界をアメリカ化する計画をあきらめたわけでは決してないのだ。次の民主化の目標は、中国とロシアなのだ。アメリカは民主化を口実に、この2国を支配しようとし目論んでいることは間違いない。

    一見するとオバマ政権は、世界との協調路線を維持するかのような姿勢を見せている。だがこれにだまされてはけない。オバマは就任演説で「世界を民主化することが目標である」とはっきりと宣言している。ただ、あからさまな戦争ではなく、手段が巧妙になっただけなのだ。

    オバマ政権は台湾に軍事援助して中国と台湾の緊張を高め、また中国のすぐ足元の黄海で韓国と合同軍事演習を実施した。南シナ海にも介入し、緊張を高めている。

    このような手段を使い、アメリカは民主化と称して中国を支配しようとしているのだ。


    中国空軍大佐、ダイ・ズーの描く戦略

    最後に、軍事戦略の立案者の論文を見て見よう。中国空軍大佐でタカ派の著名な論客にダイ・ズーがいる。日本ではまったく報じられることはないが、海外では頻繁に紹介される人物だ。中国国内でも、彼の構想する軍事戦略は「人民日報」はじめ多くのメディアで取り上げられている。以下である。

    明らかにアメリカは中国を封じ込める政策を基本としている。まず海上の封じ込めだが、それは日本から始まり、台湾を経由して南シナ海に至る領域である。アメリカは、中国をこの領域の内部に封じ込めるつもりだ。

    そしてインドからパキスタンを経由して北上し、中国を取り囲む陸上の領域が存在する。これは中国を陸上で封じ込める領域である。事実、陸上のこの線にしたがってアメリカ軍はミサイル基地を配置している。

    これらをC型包囲網と呼ぶ。

    C

    いまアメリカはアフガニスタンに長期に駐留し、パキスタンでも作戦を展開している。アメリカ軍がアフガニスタンやパキスタンに展開しなければならない理由ははっきりしていない。本国でも疑念が出てきている。

    しかしこの理由は明白だ。2009年5月にアメリカで発表された報告書では、中国が港湾施設を建設したパキスタンのグワダル港に、中国が進出することを阻止し、中国が必要とする天然ガスをイランから手に入れることを阻むためである。タリバンとの戦いは名目にすぎない。アメリカがアフガンとパキスタンに長期駐留する本当の理由は、中国を封じ込めることにある。

    1999年、アメリカの著名な戦略シンクタンクであるランド研究所は、当時のクリントン政権に対して中国を封じ込める戦略の提案を行った。中国への対応は次の3つの段階に分けて行うとするものだ。

    はじめに、アメリカは西欧のイデオロギー(民主主義)を中国国内で宣揚し、中国を政治的に分裂した状態におく。これで中国は経済的に強大になるが、周辺地域への脅威ではなくなる。

    第一の段階がうまく行かなければ第二段階に進む。それは、中国を周辺のアメリカの同盟国で封じ込めてしまうことだ。

    もしこれもうまく行かなければ、戦争を始める。だがこの戦争にアメリカは直接関与しない。中国と紛争を抱えている周辺諸国を戦争へと駆り立て、また、中国国内の分離独立運動をあおり、国内を混乱させる。

    アメリカの中国封じ込め戦略は軍事には止まらない。経済にも及んでいる。中国の経済を日本やアメリカの経済と比べるとその違いはあまりに明白だ。日本やアメリカの主要な産業は、高度な製造業やIT産業などだ。それに比べ中国は玩具、酒、衣料品など軽工業の輸出大国だ。家電やIT産業は欧米企業の下請けにしかすぎない。

    結局アメリカは、中国の経済的な自立ではなく、米国債を購入しアメリカ経済を下支えする役割に中国を限定したいのだ。

    このように、アメリカは中国を軍事的に封じ込め、政治的に分裂させ、経済的に押さえ込もうとしている。要するにアメリカは、中国を日本のような去勢された傀儡国家にしてコントロールしたいのだ。

    このようなアメリカの謀略に対抗するためには、中国は軍事力を増強しなければならない。まず、空軍力を強化し、中国の本土から2500マイル離れた地域でも軍事行動を展開できるだけの十分な空軍力を持たなければならない。

    南シナ海は中国の重要なサバイバル圏である。この海域で中国は国益をはっきりと主張し、権益を守らなければならない。それを実現するためには、これから大急ぎで海軍力を増強しなければならない。


    以上である。

    これらの論文や記事も含め、筆者はかなりの数の論文を読んでみた。筆者の個人的な感想に過ぎないが、国家戦略に影響力があるといわれる人々の書いたものには、日本の脅威を警告したり、また、世界覇権の掌握を唱える文書は皆無であった。覇権をとることは考えにはないのではないかとの印象をもった。

    一方、アメリカの侵略と侵入から国家の独立をいかに守るかという、上の論文の要約にもあるような防衛的な視点から書かれたものが非常に多いのに驚いた。アメリカと最終的に敵対関係になることを覚悟し、いまから周到に準備することを提案するものがとても多いのだ。

    もちろん上の論文は、すべて共産党中央や人民解放軍の中枢にいる人物たちの見方でしかない。民主化を要求している市民側の見方ではいっさいない。この反対の極にある見方は機会を見て紹介する。

    中国をどうとらえるか

    中国共産党や軍の中枢は、相当に自己防衛的な反応をしている。このいわばパラノイアとも思われるメンタリティーが、最近の中国の強硬な路線の背景にあるものだろう。

    欧米でも、そうした中国に対処するために、これまでとは大きく異なるさまざまな見方が出てきている。今回はそのうちのひとつを紹介する。

    週刊のニュース雑誌、「タイム」は、アメリカ史と中国史の2人の専門家のよる興味深い記事、「中国は19世紀のアメリカにどのくらい似ているか」を掲載した。意外に、これが現実の中国に近いのかもしれない。

    中国は19世紀のアメリカにどのくらい似ているか

    中国に関しては2つの異なった極端な見方がなされている。

    一つは、これからも中国は高成長を続け、近い将来世界経済を引っ張る最大の牽引役となるという見方だ。つまり、中国が21世紀の中心になるとする理解だ。

    それに対し、中国は所得格差や民族問題による政治的な対立で国家は分裂し、経済成長も止まり、中国は社会的に停滞してしまうという見方だ。

    この2つの見方はあまりに極端だ。おそらく、現実の中国を反映していないのではないかとわれわれは考える。

    実は中国は61年前にやっと独立した非常に新しい国であると理解した方が分かりやすい。その意味では、あらゆる点で南北戦争以前の1850年くらいの若いアメリカとそっくりなのだ。

    1850年代のアメリカは現在のアメリカとは大きく異なった国であった。やっと自給自足的な農業国の段階を抜け出し、工業国家として急成長を始た次期だ。
    当時のイギリスは、「アメリカ製造業の奇跡」と称賛し、また当時のイギリスの大作家、チャールズ・ディケンズは、アメリカには著作権の考え方がまったくなく、自分の作品の違法コピーが堂々と販売されていると嘆いていた。

    その後アメリカは、南北戦争の内戦など、さまざまな混乱と変化を経験し、現在のアメリカができたのだ。

    ここで重要なことは、アメリカは歴史の混乱と激流を経るたびに強大になり、経済成長は加速したということだ。

    現在の中国は、こうしたアメリカと非常によく似ている。中国はこれから激流の中で大きく変化し、これまでとは違った国として何度も生まれ変わる可能性が大きいのだ。そして、そうした変化を経ながら、中国は強大化して行くと見た方が妥当だ。


    以上である。

    今回はできるだけ大量の情報を紹介しようとしたため、少しとりとめのない内容になったかもしれない。

    いずれにせよ、いまわれわれはコルマンインデックスの第8サイクルの最後の期間である「第7の日」にいる。もっとも変化が加速する期間になるはずだ。

    その変化の一つの巨大な中心になるのは中国であろう。この国の動きは今後も注視して行くつもりだ。

    続く

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    いよいよ第7の日に突入1 カナダ北部のイヌイットの証言とコルマン博士の最新エッセー

    11月3日

    追加情報:コルマン博士からの招待状

    書き忘れていた情報があった。少し前、筆者にコルマン博士からの招待状が届いた。コルマンインデックス最後の第9サイクルが開始を記念し、2011年3月5日から12日の期間、ベルーズの古代マヤ遺跡へのクルーズである。クルーズ中、船内ではコルマン博士はじめ著名なスピリチュアルリーダーによるセミナーが行われるという。ツアーの価格を見ると、平均的な部屋ならさほど高くはないようだ。関心がある方はどうぞ。以下がコルマン博士のメールである。

    Dear Friends,
    You are wholeheartedly invited to take part in the Cruising into 2012:
    (http://www.divinetravels.com/2012Cruise.html) at the time of the beginning of the
    Ninth wave (March 5-12, 2011).

    Regards
    Carl Johan

    いよいよ第7の日に突入した。いつも記事を読んでくださっている多くの読者に感謝する。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    このブログの基本方針

    このブログの基本方針を掲載しました。記事をお読みになる前にかならず一度はお読みになってください。

    基本方針リンク

    最新版 予言解説書16の有料配信

    最新版 「予言解説書16」が完成しました。配信をご希望の方は筆者に直接メールしてください。これは8月15日に配信されたALTAのレポート、「来るべき未来の形 0巻7号」の詳細な要約です。今回は、今年の秋から始まる激烈な寒冷化による環境変化の描写です。ご希望の方は直接メールをください。

    info@yasunoeigo.com

    本の出版のお知らせ

    また本を出版しました。今度は徳間書店からです。今回は、このブログの内容を大幅に加筆修正し、未来予測を行った本です。よろしければぜひどうぞ!

    未来予測コルマンインデックスで見えた 日本と経済はこうなる(徳間書店)

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    今回、講談社から英語本を出版しました。通勤途中に電車の中で軽く読める本です。ちょっと英語に興味がある人はぜひどうぞ!

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    講演会のご案内

    またビオマガジンから講演会を依頼された。以下の日時で実施するそうである。

    今回は変化の具体的なタイミングを話すつもりである。

    日時 2010年11月13日(土)
    14:00~16:00(開場13:30)
    場所 人事労務会館 中会議室
    東京都品川区大崎2-4-3
    ■各線「大崎駅」西口より徒歩3分

    料金 前売3,000円/当日4,000円(各税込)
    お申し込み方法
    (1)TEL、メール、FAXにてお申し込みください。
    (2)(郵便局)口座番号 00170-0-555907 口座名 アネモネ(銀行)ジャパンネット銀行 本店営業部 普通口座 口座番号 8571931 口座名 (株)ビオマガジンどちらかまで、お振り込みください。

    時間があればぜひどうぞ!

    有料メルマガのご紹介

    今回は2つの話題を詳しく解説した。一つは、ペルシャ湾とアラビア海における米軍と国際部隊の結集である。

    CIA系シンクタンクのストラトフォーは、米海軍の配置図を毎週掲載している。10月27日の最新版では、アラビア海とペルシャ湾周辺にこれまでにない大規模な機動部隊の結集が見られた。スーパー空母2隻を含むかなり大きな機動部隊だ。これにフランス海軍の主力空母、チャールス・ドゴールも参加している。

    元石油メジャーのCEO、リンゼー・ウィリアムスは、今後4カ月から5カ月以内にイラン攻撃があり、これにより原油価格は1バーレル、200ドル近辺まで上昇すると警告しているが、現在のペルシャ湾やアラビア海の海軍の結集状況からすれば、将来起こり得る可能性も決して否定できない。

    次に、いくつかのシンクタンクがアメリカの失業率に関する独自調査の結果を公表しているのを紹介した。それによると、実質的な失業率は公式発表の9.5%よりもはるかに高く、22%だという。これは、大恐慌の最悪期(1932年)の失業率、25%に近い数値である。アメリカの不況は想像以上に深刻である。

    前回はこのようなことを解説した。

    今回の記事

    カナダ北部に住むイヌイット(エスキモー)の生活に取材したドキュメンタリー映画が公開され、話題になっている。その中でイヌイットの長老が環境異変に関して実に興味深いことを語っているので、それを紹介する。

    次に、コルマン博士の最新論文の全訳を掲載する。第6の夜の期間が終わり、第8サイクル最後の第7の日の期間に入った。それを前にした最新論文である。

    イヌイットのドキュメンタリー映画

    カナダのトロントで開催されている「トロント原住民イメージ映画とメディアアート祭」で、ヌナユット族の映画監督、ザカリアス・クヌットと環境学者、イアン・マウロが撮ったドキュメンタリー、「イヌイットの知識と環境異変」がいま話題になっている。予告編はここで見ることができる。

    映画は北極圏に住むイヌイットの長老が、原地の言葉で最近の環境異変を淡々と語るという内容だ。これまで環境異変の調査は、科学者が収集したデータを元に行われ、現地に住む人々の聞き取り調査はまったく行われてこなかった。このドキュメンタリーは、北極圏に住んでいる人々の日々の体験を通して、環境異変がどれほど激烈なのか取材している。

    イヌイットの長老は、氷が薄くなったため、生活の糧であるオットセイが異常行動をしている事実や、暖かい風が吹き込むため雪質が変質し、陸地で位置を把握することが困難になりつつあること、またこれまで経験したことのない巨大な洪水の影響などについて淡々と語っている。

    イヌイットの長老はこうした激烈な環境異変に怒っているわけではない。彼らは環境異変はすべて自然のサイクルの一部なので、それを受け入れ、変化した環境に適応して生きようと努力している。

    地軸が傾いた?

    実はこのドキュメンタリーが注目されているのは、環境異変が生々しく報告されているからだけではない。実は、イヌイットの長老の証言に注目すべき内容が含まれていたからだ。それは、地軸の傾きが変化したのではないかという証言である。

    イヌイットの長老はいう。

    「われわれは5歳ぐらいになると、毎日朝起きるとすぐに外に出て天気を確認するように親から言われて育った。だがいま空を見ると、太陽は本来沈むべき位置からなんキロもずれた位置に沈んでいる。さらに、夜空の星の位置も本来あるべき場所とは大きく異なっている

    映画では、北極圏に住むどのイヌイットの部族も「太陽が沈む位置が大きくずれている」と同じ証言をしていることが紹介されている。

    この証言に驚いた映画の製作者は、これは地球の地軸の傾きが変化していることの証拠ではないかと思ったので、そうしたことが実際に可能性としてあり得るのかどうか米国航空宇宙局(NASA)に確認した。すると、NASAの専門家はこれはあり得ないと即座に否定した。

    これに納得しなかった映画の製作者は、昨年デンマークのコペンハーゲンで開催された「地球温暖化サミット」に赴いた。すると、興味をもった多くのメディアの取材を受け、テレビなどでもイヌイットの長老の証言が広く伝えられた。

    すると即座に多くの科学者から反応があり、「イヌイットが何を体験しているのか証言をとることは貴重なことだ。だが、地球の地軸の傾きが変化しているかもしれないなどという根も葉も無いウソを流すのはやめてほしい。そうしないとイヌイットの人々の社会的な信用に傷がつく」と猛烈な抗議を受けた。科学者が言うには、「北極圏の大気が汚染され、大気に含まれる不純物の影響で光が屈折し、そのように見えるだけのことだろう」という。

    以上である。

    むろん、地軸は23.5度傾いているので、季節によって太陽が昇る位置や沈む位置は変化するのは当然だ。イヌイットの長老はそうした季節の変化を言っているわけではなく、これまでの季節の変化では説明がつかない位置で太陽が沈むようになったということだ。

    類似した証言

    地軸の傾きが変化した可能性があるとす説は科学的には全面的に否定されている。

    しかし、3年前から今年にかけて、日本でもアメリカでも太陽の沈む位置が本来あるべき位置からずれているように見えるとの証言は増えているのも事実である。日本では「太陽の沈む位置が北にずれている」との証言が多い。ここここ、さらにここなどだ。

    また、海外でもそうした証言は多い。投稿欄によく投稿してくださっているnoffyさんのブログでもかつて紹介されていた。

    ところで、太陽の沈む位置のずれという現象は2010年2月27日に発生したチリ大地震との関連で語られることが多い。この大地震で地軸が移動した結果、一日の長さが100万分の1.26秒短くなったはずだという。

    2007年の証言

    しかし、チリの大地震が発生する3年前から太陽の沈む位置のずれを報告し、地軸の傾きが変化した可能性を示唆しているサイトがある。これはテキサス州、ダラスに住んでいると思われる匿名の人物のサイトだ。

    このサイトによると、テキサス州ダラス近郊では、6月21日の夏至の日には、太陽はちょうど北回帰線上に沈むことが普通であったという。この地域に50年居住しているサイトの管理人は、この50年間太陽がその位置からずれたことなどなかったという。

    しかし、2007年の夏至の日から、太陽はいつもの位置から北に26度ずれた位置に沈んだという。

    このサイトでは衛星写真なども使い、太陽のずれた角度を割り出し、それを元にもし地軸の傾斜角度が変化したとするなら、どのくらいの変化なのか計算している。

    トンデモ系の理論?

    このサイトによると、北極圏の氷が融けることによってバランスがくずれ、地軸の傾斜が変化した可能性があるのではないかとしている。

    こうした見方はトンデモ系として扱われることは間違いない。筆者は自然科学の知見は乏しいので、ここでは情報だけを紹介し、判断は読者諸氏に任せることにする。

    ただ、地軸の傾斜角度の変化などということが本当に起こっているとしたら、それは大変なことだろう。また、イヌイットの長老の証言はそれなりに真剣に受け取らなければならないのかもしれない。

    コルマン博士最新論文全訳

    いよいよ本日11月3日から、コルマンインデックス第8サイクル最後の第7の日の期間に入った。そして来年の2011年3月9日には最後の第9サイクルがスタートする。10月14日、コルマン博士は第7の日の突入を前に久しぶりに論文を発表した。今後重要になるかもしれないので、全訳を掲載する。

    11月3日から7日に始まるギャラクティックアンダーワールド(第8サイクル)の第7の日を祝って

    人間の宇宙的なピラミッドの登坂は続く。第9番目の波(第9サイクル)は2011年3月9日にならないと開始しないが、すでに多くの人々がその時期が迫っていることを感じていることだろう。第9サイクルが始まる前に、しっかりと地に足がつくようにわれわれは第8サイクルを基礎を固めなければならないのだ。現在われわれは第8サイクルの時期にいるのである。このサイクルは1999年1月5日に始まり、すべてのサイクル同様2011年10月28日に終了する。

    2010年11月3日からギャラクティックアンダーワールド(第8サイクル)の第7の日に入るが、陰陽のエネルギーは「日」に固定され、このサイクルでは二度と「夜」の期間は訪れることはない。

    それぞれのサイクル(波)の意識の場は人間の精神に大きな影響を与えるが、その影響は下の図のように各サイクルで異なっている。


    waves

    この図から分かるように、2011年3月9日から開始する第9サイクルでは、意識の暗い部分はなくなり統合した意識が出現するが、これに対して第8サイクルでは右脳の発達にポイントがある。このように、第8サイクルと第9サイクルがもたらすものが異なっているため、これを実現するための儀式やスピリチュアルな過程はそれぞれのサイクルで異なっているのである。

    第7の日への移行した後の11月6日から7日の週末には儀式が行われるが、この儀式では右脳の活性化し、それとともに女性的な精神と直観力、そして東半球(東洋)が中心的になる。この図からも分かるように、人間は過去5100年間、第6サイクルの影響下にあった。このサイクルでは左脳に光が当たり、合理的な精神と男性性、そして西洋の優勢が特徴だった期間である。現在でもこの影響下にあるのである。

    第8サイクルの第7の日に入ってはじめて、男性や西洋、そして合理的な思考が優位の時期が終わり、左右の脳と関係する人間のさまざまな側面がバランスよく均衡する時期を向かえるのだ。

    2010年11月6日から7日の週末は、これから意識へとダウンロードされるのを待っている、宇宙的な規模で出現するバランスのよい状態の創造に向けて、儀式を開催するよき日となるはずだ。

    この日にはマヤ長老評議会のドン・アレハンドロ師と、仏教の精神的な指導者であるセイユー・キリヤマ氏が仏教とマヤの合同の火の儀式を執り行うことになっている。これは、西洋と東洋のエネルギーのバランスの実現を目指したものだ。このエネルギーは、神的な創造の過程に参加し、バランスをもたらすことで、女性的な力と直観力を活性化させ、個々の生き方に新しい意味を見いだすことを目指すすべての人々にとって、非常によい機会となるはずである。左脳と右脳の両側面は人類の文明にとって同じように価値があるのである。

    ギャラクテックアンダーワールド(第8サイクル)の第7の日が開始した11月6日と7日の週末には、神的な女性のエネルギーの復帰を祝うために、個々人がバランスを回復するなんらかの儀式を行うことを私は勧める。儀式は、一人一人がこのエネルギーのシフトを実現するために、もっとも建設的な方法で創意・工夫されるべきだと思う。

    もちろん、バランスの回復を実現する儀式の開催に先立ち、過去のパラダイムを乗り越え、あらゆるものを許せるようになるため、各人が内面のスピリチュアルなワークを行うことを排除するものではない。このようなスピリチュアルなワークをサポートするために、フェイスブックのページと、簡単なサイトを作ったのでアクセスしてほしい。

    バランスの回復は自動的に行われるというものではないのだ。われわれも創造の過程に参加して行かねばならないのだ。そして、変容の儀式がイベントとして開催されるのをただ待つのではなく、その意味を内面で受け止めなければならないのだ。11月6日と7日には、この宇宙的な計画の共同の創造者となろうとするもの全員が、バランスの回復を作る出す儀式に参加することを望む。この参加によってこそ、2011年3月9日に始まる第9サイクルの統合した意識が出現するのである。

    カール・ヨハン・コルマン
    シアトル、2010年10月14日


    以上である。

    今回の論文は短い。いよいよ第7の日が始まる。何が起こるだろうか?

    また、10月26日、人類学者でシャーマンのウェスルマン博士も2012年に関する実に含蓄のある論文を発表した。近いうちに翻訳したい。

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