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    2008-09

    これから起こる可能性のあること3

    あいかわらずだが、また今回も更新が遅れに遅れてしまった。もっと早く更新したいが、なかなかうまく行かないものである。とにかく、マヤカレンダーが終了 する2012年12月21日までは続け、いったい何が起こるのか、このブログに集う多くの仲間とともにしっかりと見届けたいものである。

    リーマンの経営破綻とAIGの救済

    フレディーマックとファニーメイの政府系住宅金融機関の破綻がいよいよ避けられなくなり、FRBが約20兆円に上る公的資金の投入を決定してからというもの、海外でも日本でもネットは金融メルトダウンと米国経済破綻を予告する情報があふれている。

    今回のリーマン・ブラザースの経営破綻、及び大手保険会社、AIGの9兆円に上る公的融資投入のニュースは、金融のメルトダウンが本格化し、米国経済破綻の 過程が加速しているとの印象を与えている。これは、かねてからラビ・バトらーなど多くの予言者が予告していた「資本主義崩壊」の過程がぃよいよ始まったの ではないかと考える人も多い。

    これは金融メルトダウンなのか?

    もちろん、リーマン・ブラザースのような巨大金融機関の経営破綻が、他の金融機関の連鎖倒産へとつながり、金融システム全体の機能停止とメルトダウンにいたる可能性はないとはいえない。

    しかしながら、金融メルトダウンが現実的な事態として考えられるのかといえば、いまのところそのような可能性は低いのではないか考えられる。

    何度も繰り返された金融破綻

    資本主義経済は、過去に何度も金融破綻や金融メルトダウンという表現に近い経験をしてきている。むしろ資本主義経済にとって金融破綻は、過剰となった資本を整理し、新たな体制で成長軌道に乗るために必要なプロセス、すなわち「創造的な破壊」であるともいわれている。

    したがって、資本主義の歴史では金融破綻は決して珍しいことではなく、ましてや金融破綻が資本主儀というシステムそのものの崩壊に結び付くものではない。

    バブルの崩壊から大量の不良債権ができてしまい、これの圧力による貸渋りしなどによって著しく成長が鈍化したバブル期以降の日本では、一時期、金融機関の破 綻処理を一気にやり不良債権を処理することが経済を回復させる唯一の方法だともいわれたが、このような理解も「創造的破壊」の考え方に依拠したものであ る。

    なので、資本主義経済にとって金融破綻は新陳代謝のひとつであり、それは何度も繰り返されてきた。比較的最近では1929年の「暗黒の木曜日」に端を発する「大恐慌」、そして1987年の貯蓄信用貸し付け機関の破綻から始まった「ブラックマンデー」である。

    過去の金融破綻に共通した特徴

    このように、金融破綻は過去何度も繰り返されてきたわけだが、そこには共通した特徴が存在するといわれている。それは、株のパニック売りによる相場の暴落である。

    相場の暴落は経営基盤の弱くなっている企業を直撃し、連鎖倒産へと追い込むが、それだけではなく、損の拡大を回避しようとして、投資家は、債権、不動産など さまざまな分野から一気に投資を引き上げてしまうので、これによって実態経済全体の収縮が起こるのである。以下の図式である。

    「株や債権のパニック売り」→「企業の資金繰りの悪化」→「連鎖倒産」→「各分野からの投資の引き上げ」→「実体経済の収縮」

    1929年の「暗黒の木曜日」はこれに典型であったが、1987年の「ブラックマンデー」では、経営破綻しつつあった金融機関にFRBによる公的資金の投入による救済が行われ、実体経済への拡大は回避された。ぎりぎりで金融破綻は回避されたのである。

    ではリーマンの破綻は?

    では今回のリーマンの経営破綻はどうなのだろうか?結論から言えばパニック売りは発生しなかった。リーマンの破綻発表の一日はさすがに下げたが、AIGの救済策が発表されるとダウは値を戻した。最終的には思ったほどの下落はなかったのである。

    さらに、昨日は大きく下げたが、本日は、FRBの不良債権買い取り機構に対する期待もあり、ダウは大きく反発し410ドルも上がった。

    ま た、FRBが各国の中央銀行に巨額のドルを散布することでいわゆる流動性の危機といわれる状況も回避された。金融機関は、日々の決済に必要な資金を短期の 融資で互いに融通しあうことで円滑なビジネスを維持しているが、金融機関の経営破綻の懸念が高まるにつれ、こうした短期融資に応じにくくなってくる。経営 破綻してしまい、融資した金が返済されない可能性があるからである。短期融資を得られない金融機関は決済に困り、そのまま破綻するしかなくなる。FRBの ドル散布は、大量のドルを金融機関に供給することで、こうした破綻を回避したのである。

    市場のこうした展開やFRBの政策をみると、やは りパニックは発生していないとみたほうが妥当なようだ。したがっていまわれわれが経験していることは、過去何度も繰り返された金融破綻に近いものではある が、その性格は1929年の「大恐慌」のようなパニック型の恐慌とは根本的に異なっているといえそうである。

    ましてや、資本主義の崩壊の始まりとなるような「資本主義の体制的な危機」とは程遠いように思う。

    ストラトフォーなどのシンクタンクの評価

    この辺の分析にやはり定評があるのがストラトフォーなのではないかと思う。数本の記事の内容を以下に簡単にまとめる。あまりに楽観的な見通しと考える読者の方が多いのではないかと思うが、ぜひ一読願いたい。

    ・金融機関、金融システム、実体経済の三者は分けて考えなければならない。

    ・基本的にいま起こっていることは、個々の金融機関の破綻であり、金融システムそのものや実体経済をも破綻させるような影響力はもってはない。

    ・また今回は、パニック売りによる相場の暴落も発生しなかったので、金融システムや実体経済に対する影響も思ったほどには大きくはないはずだ。

    ・米国の実体経済は、住宅価格の低迷や失業率の上昇などで明らかに減速し、将来はリセッションに突入する可能性が高いが、思った以上に堅調で持ちこたえている。直近のリセッションは7年前だから、そろそろリセッションが起こってもよい時期だ。

    ・最近では米国は、1991年と2001年に金融収縮を伴う企業破綻を経験したが、今回はせいぜい2001年のドットコムバブルがはじけたときと同じくらいの程度のものだろう。

    ・2000年後半から2001年には、ワールドコム、エンロンなど名だたる世界企業の倒産が相次いだが、今回のリーマンの破綻も、過去に何度も発生した「創造的破壊」と同じようなものだ。

    ・金融システムは再編され、新たな循環がまた始まる。


    これはあまりに楽観的な見方で現実を反映していないのではないかと考えることもできるだろう。

    例えば、ストラトフォーなどはデリバティブの一形態である「CDS」の危険性については言及していない。いま連鎖倒産が起こるとすれば、それはCDSを経由してであろうと考えられている。

    CDSとは?

    CDSは「クレジット・デフォルト・スワップ」といわれるデリバティブ(金融派生商品)のひとつである。これがどういうものかウィキペディアを引用して解説する。

    仕組み

    2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。

    ・ 買い手は売り手に定期的にプレミアム(保険料)を支払う。

    ・売り手は企業Aがデフォルトした際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。

    企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクをヘッジすることが可能となる。


    要するにCDSとは、保険会社ではなく、銀行や証券会社が発行する、債権の保険のことである。CDSの購入者は、債権の支払者が破綻した場合、損失の補填をCDSの発行者から受けることができる。

    CDSはそれ自体が金融商品として証券化され、市場で取引される。

    リーマンのCDSと金融機関の連鎖倒産

    どの投資銀行にとっても債権の発行は資金を調達する重要な手段である。リーマンも莫大な債権を発行していた。当然、それに対応するだけの巨額なCDSも発行されている。

    ということは、リーマンの破綻は、リーマンの債権者が損失を補填しようとCDSの支払いを、これを発行した銀行や証券会社に請求してくることを意味する。

    これは莫大な額に及ぶ。その支払いに応じられない金融機関は破綻し、倒産が連鎖する可能性がある。金融機関の連鎖倒産は金融システム全体を麻痺させ、実体経済を巻き込んで行く。以下の図式である。

    「リーマンの破綻」→「巨額のCDSの支払い請求の殺到」→「金融機関の連鎖倒産」→「金融システムのメルトダウン」→「実体経済の凋落」

    これが近い将来起こる可能性

    では、このような連鎖倒産から金融のメルトダウンにぃたる可能性はあるのだろうか?海外でも日本でも、これが近い将来起こる可能性を指摘しているサイトは多い。

    CDSによる連鎖倒産の可能性は低い

    CDSは、危険度が高まれば数値が上昇し、危険度が低くなれば下がるが、確かに昨日は、CDSの数値は史上最高値を記録し、CDSの支払い請求集中による連鎖倒産が近いことをによわせた。

    しかしながら本日になると、米国政府の不良債権買い取り機構の設立へと向かう動きが報じられるにおよび、CDSの数値は大きく下げ、もとの水準に近くなった。

    さらに、リーマンの破綻はすでに半年前から懸念されており、投資銀行ではリーマンのCDSは放出されており、実際の保有高はたいしたことはないともいわれている。

    また、リーマンの破綻が決定された時期には、リーマンの債権がらみのCDSの多くはすでに保証期間が切れており、もともとCDSの実質的な額はさほど大きくはないともいう。

    したがって、リーマンのCDSが引き金となる金融機関の破綻の可能性は少ないだろうという。

    金融業界の再編成

    一般に懸念されている金融機関の連鎖倒産が起こらないとすれば、それでは実際は何が起こっているのだろうか?

    それは、グローバル経済の花形であった投資銀行の生き残りをかけたサバイバルというかたちで、金融業界全体の再編成が急ピッチで進んでいるということだ。大 手商業銀行バンク・オブ・アメリカが投資銀行メリルリンチの救済合併を発表したばかりだが、そのサバイバルは、他の金融機関への身売りという形で行われて いる。

    「モルガン・スタンレーは多くの金融機関に対し交渉の窓口を開いている。交渉相手としては中国やシンガポールの政府系ファンド (SWF)も含まれる。また関係者の話によると、米商業銀行大手ワコビアや英HSBC、ドイツ銀行との交渉も行われているという。英国では英銀大手ロイズ TSBが住宅融資最大手の大手英銀HBOSを122億ポンド(約2兆3千億円)で救済合併することで合意した。米西岸を中心に広まる大手銀ワシントン・ ミューチュアルはゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースや英HSBCに対して売却交渉中であると報じられている。」

    商業銀行が全面に出た金融機関の再編成

    この再編で重要な役割を果たしているのは、これまであまり表舞台には出てこなかった商業銀行である。

    投資銀行は、顧客企業の資本市場からの資金調達をサポートしたり、合併や買収などの財務戦略でのアドバイスを行い、個人向け業務は行わないのに対し、
    商業銀行は、個人を含む顧客から預金を集め、それを企業に融資することで利子を得る金融機関である。両者はどちらも「銀行」と呼ばれているが、その業務内容は大きく異なっている。企業の正常な業務から利益を得る商業銀行のほうが利益率は断然小さいのが特徴だ。

    メリルリンチを救済合併したバンク・オブ・アメリカも、モルガン・スタンレーの見売り先として交渉中のワコビアや英HSBC、さらにワシントン・ミューチュアルの売却先として検討されているウェルズ・ファーゴもすべて商業銀行である。

    あ らかたの投資銀行は商業銀行に売却され、金融業界における、これまで巨大であった投資銀行の役割も、ヘッジファンドとともにはるかに小さいものとなる可能 性が大きい。これに伴い、これまで世界経済の成長を支えてきた、グローバルな資本移動に基づく経済成長モデルが破綻し、これとはまったく異なるモデルに移行する可能性が大きくなったように思う。

    グローバル経済モデル

    1995年以降、世界経済は、ドルを基軸通貨とし、資本の国際的な移動の自由に基づく市場原理主義的な成長モデルが牽引していた。

    以前の記事にも詳しく書いたが、このモデルは、米国を市場として海外に解放し、米国が無制限に購入した商品の代金を基軸通貨であるドルで支払うことで成立した。

    いっぽう、米国に商品を輸出した各国は、自国通貨が高くなることを恐れ、受け取ったドルを自国通貨に変換せず、そのままドル建てで米国に再投資してやるほかな くなる。米国はこのドルの還流をいっそう確実なものとするため、政策金利をどの国よりも高く設定しておけばよい。するとドルはいつでも米国に還流して、米 国経済を下支えしたのである。以下の図式だ。

    「基軸通貨ドルによる輸入代金の支払い」→「自国通貨が高くなることを恐れた各国のドル建て投資の還流」→「還流したドルによる米国経済の下支え(国債、債権などあらゆる金融商品の購入)」

    さらに、このように還流したドルのかなりの部分は、へッジファンドや投資銀行を経由して、世界へと再投資されていった。以下の図式である。

    「基軸通貨ドルによる輸入代金の支払い」→「自国通貨が高くなることを恐れた各国のドル建て投資の還流」→「へッジファンドや投資銀行を介した世界への再投資」

    この巨額な再投資を自国に呼び込むことに成功した中国のような国は高い経済成長率を達成し、それに失敗した日本のような国は伸び悩むというのがグローバル経済モデルがもたらした結果であった。

    へッジファンドや投資銀行による投資を引き付けるためには、彼らのルール、すなわち1)株主中心主義(利益絶対主義)、2)財務内容の透明性、3)グローバル な会計基準など、要するに彼らの儲けが絶対的に保証される仕組みにルールを変更しなくてはならなかった。このルールの変更が、1)福利厚生の徹底的な削 減、2)人件費の削減を目標とした過度なリストラなどを生み、伝統的に先進国の社会的な安定性の基礎となっていた中産階級を解体に追い込んだ。以下の図式 である。

    「へッジファンドや投資銀行を介した世界への再投資」→「投資を引き付けるための利益絶対主義のルールの適用」→「過度なリストラと人件費削減による中産階級の解体」→「格差の拡大」

    この結果、周知のように、分厚い中産階級によって支えられていた先進国の社会は、ほんの一部の勝ち組と大多数の負け組に分離し、新たな社会不安を作り出した。

    これがグローバル経済成長モデルの概要である。

    崩壊するグローバル経済成長モデル

    しかしながら、今回のリーマンを始め、多くの投資銀行やへッジファンドの破綻とその商業銀行による再編が表していることは、このモデルの担い手が消滅しつつあるということなのだ。

    したがって、こうした金融機関が経済成長の牽引役を果たすことはもはやありえないだろう。ならば、へッジファンドや投資銀行を引き付けるための「ルール変 更」や「構造改革」なるものも、ほとんど意味を失うことになる。要するに、海外からの投資は経済成長の牽引力とはもはやなり得なくなりつつあるということ なのだ。

    新たなモデル登場、一国資本主義の内包的発展モデル

    では、これまでのグローバル経済成長モデルが崩壊したあとでもそれなりの経済成長が実現できるとすればそれはどのようなモデルなのだろうか?

    まだ確実にはいえないが、おそらくそれは「一国資本主義型」の「内包的発展モデル」なのではないかと思う。

    このモデルは、かつての日本の高度経済成長を支えた「ジャパンモデル」に近いモデルだ。それは、ほとんど外部の投資には依存せず、国家の公共投資が誘引する設備投資によって成長を達成するものである。以下の図式だ。

    「国債や通貨の発行による財源確保」→「政府による巨額な公共投資」→「政府が後押しする巨大金融機関による長期融資の提供」→「民間の巨大な設備投資」→「雇用の拡大効果と賃金の上昇」→「国内需要の増大」→「企業の利潤率の上昇とさらなる設備投資」→「好景気の循環」

    グローバル経済成長モデルの破綻後には、このモデルしか選択肢が残されていないのかもしれない。

    一国資本主義型内包的発展モデルの勝ち組と負け組

    このモデルにも適用に成功して発展する国(勝ち組)とそうではない国(負け組)があることは間違いない。だがそれは、グローバル経済成長モデルの勝ち組と負け組とは根本的に異なるはずだ。

    グローバル経済成長モデルの勝ち組はヘッジファンドや投資銀行を引き付けることに成功した国であった。それに対し、一国資本主義型モデルでは、1)経済に対する強いコントロール権をもつ強力な政府、2)長期的な設備投資に融資できる強大な商業銀行、3)欠乏しつつある資源とエネルギー、および食料を確実に確 保できる政策とシステム、の3つがもっとも重要な条件となろう。

    特に3)は重要である。一国資本主義型モデルは1940年代の後半から 70年代初頭まで(日本では80年代の終わりまで)支配的だったが、この当時は、二度のオイルショックはあったものの、資源とエネルギー、そして食料はほとんど無制限に手に入った。市場で購入すればよかったのである。

    だが、現代はこれと状況はまったく異なる。環境異変も手伝い、資源とエネ ルギーや食料は確実に欠乏してきており、市場に依存していては、これらの戦略物資の安定的な確保はできにくくなりつつある。安定的に確保するためには、ロ シアや中国のような長期的な国家戦略がどうしても必要になるだろう。

    すると、どのような国家が勝ち組になるのかがおぼろげながらはっきりしてこよう。それは、資源やエネルギー、そして食料の自給ができ、なおかつ強力な権限をもつ政府や政府系金融機関を有するような国家だろう。

    もしかすると製造業、農業と商業銀行の時代

    このような流れからみると、投資銀行やヘッジファンドの淘汰と消滅を含む今回の金融大再編は、巨大商業銀行の台頭へと道を開くことになるかもしれない。

    さ らに、以前の記事にも書いたように、資源・エネルギー価格の高騰は輸送費の急速な高騰をもたらす。このため、中国などの新興国の製品は割高となり、自国の で生産した製品のほうが安くなるという逆転現象が起こる。この結果、新興国との競争に負け、一度壊滅した製造業や農業が再建される可能性が出てくる。

    これらの国内産業を発展させるには、融資でそれを強力に後押しできる商業銀行が必要となる。当然、まだはっきりとはしていないが、今回の金融大再編は、次のモデルの中核となるこうした巨大商業銀行の出現を準備する可能性がある。

    急速に進む多極化

    では、このような一国資本主義型内包的発展モデルに基づく強力な国家が作る次の世界経済はどのようなシステムとなるのであろうか?

    もはやその答えは明らかであろう。それは、強力な国家群が支配する多極的なシステムである。

    ただそれは単一の国家ではない。資源・エネルギー・食料が欠乏し、その安定的な供給を市場に頼れないとするならば、それは1)比較的に広いサバイバル圏をも ち自前で供給するか、2)サバイバル圏の形成に成功した国家との政治的な関係を深め、そうした国家から供給してもらうかのいずれかが必要になる。したがっ て、それは地域の覇権国家を中核に形成される「地域国家連合」であろう。

    世界経済が、国境を越える自由な資本と投資に依存する時代は急速に終わりつつあるのかもしれない。次に待っているのは「地域国家連合」が対峙しあう、徹底的に多極化したブロック経済のような体制なのかもしれない。

    今回の金融危機

    このように考えると、今回の金融危機は、随所でいわれているような「金融メルトダウン」や「金融崩壊」のような、金融システムの崩壊や、ましてや経済そのも のの崩壊を示す危機、つまり社会を支えている基本的なシステムの崩壊を表す現象ではまったくない。なので、いまの金融危機が、われわれに自給自足生活を強 いることになるようなことになるとは考えられない。

    そうではなく、今回の危機は、世界経済の発展モデルの変更によるあらたな世界経済システム形成へと向けた動きだと解釈したほうが妥当だろう。

    ロシアの動き

    実は、新たな世界システムの形成に向けた動きで、もっとも先頭を走っていると思われるのはロシアである。前回の記事に書いたが、グルジア紛争以来ロシアは明らかに「ロシア政治経済圏」ともいわれるような地域勢力圏の形成を目指している。その武器は、原油と天然ガスの供給だ。

    ロシアでいま起こっていること

    投資の撤退

    しかしながら、グルジア紛争以降、ロシアの強権的な手法を懸念した西側からの投資の逃避と撤退があとを絶たない。17日と18日の2日間には、株価の暴落が止まらず、証券市場は取引を停止していた。19日なって、ロシア政府の監督下で取引を再開した。

    このような状況を見て、投資の撤退からロシア経済は大打撃を受けるので、資金難からロシアの拡張政策にもストップがかけられるだろうという見方が強い。地域覇権国どころか、90年代の弱いロシアへと逆戻りする可能性もあるというのである。

    しかしながら、ロシアの資本市場の機能を欧米のそれと同一視してはならないという論説も多い。その代表的なものはやはりストラトフォーであるが、これに関連した記事をまとめて要約する。

    ・ロシアの金融機関はロシアンモデルともいわれる独自な機構で運営されている。
    ・欧米では金融機関は、将来見込まれる収益率を基準に融資を決定しているが、ロシアの金融機関はそうではない。政府は金融機関を経済政策を実行する手段として使い、企業との関係はたぶんに政治的である。また、融資は、企業と金融機関との人間的、政治的な関係によって決定されるので、収益率の合理性にはしたがっていない。
    ・このため、金融機関との政治的な関係を持たない企業は金融機関からの直接融資は期待できない。一般企業は、社債の発行か欧米からの直接投資、さらに証券の発行に依存する割合が高い。
    ・なので、欧米からの投資の逃避、ならびにモスクワの株式市場の株の暴落による数日間に及ぶ閉鎖は、一般企業にとって大打撃になったことは間違いない。ひいては、ロシア経済の影響は避けられないだろう。
    ・ところで、モスクワの証券取引所は9月19日に取引を再開した。予想に反して株は暴騰している。
    ・これは、プーチンが国内でまだ強大な経済的影響力をもつオリガルヒ(ユダヤ系財閥)に命じ、大量の資金の投入を行わせたことにある。このような処置が取られたのははじめてである。
    ・ところで、1990年代のエリチン政権の時代には強大な政治的な実権を持ち、ロシアの政財界を支配したユダヤ系財閥のオリガルヒは、プーチン政権のもとでは徹底的に弾圧され、すべての実権を失い国外追放となったものが多い。だが、一部のオリガルヒはプーチンに絶対服従を誓うことによって生き残り、現在でもロシア国内における経済活動を許されている。
    ・今回プーチンがオリガルヒの資産を証券市場に投入させ、株を暴騰させたことは、1)オリガルヒが、プーチンが証券市場をコントロールするために手段となったこと2)オリガルヒを通してロシア政府が証券市場を政治的にコントロールし始めたことを意味する。
    ・この結果、ロシアの証券市場は経済合理性にしたがって運営されるのではなく、今後はロシア政府の政治的、政策的な意図によってコントロールされる可能性が非常に大きい。
    ・これは一言で言えば、証券市場がロシア政府の政治的コントロール化に入ったということだ。


    このように、ロシアは経済に対する強力な政治的コントロールな可能なシステムの構築へと向けて、一歩進みだしたということである。つまり、先にあげた1)経済に対する強いコントロール権をもつ強力な政府の実現である。「ロシア政治経済圏」全体をコントロールすることのできる機構が徐々に整備されつつあるとみることができる。

    拡大するロシアの勢力圏と新冷戦の実態

    アジア圏のメディアと比較しても、極端な米国よりの日本のメディアではほとんど報道されていないようだが、ロシアはその勢力圏を確実に拡大させている。

    中東

    シリアとの関係を強化し、シリアに最新鋭のロシア製ミサイル防空システムを配備する模様である。そのお返しとして、シリアはロシア海軍の寄港地として3つの港を提供し、9月12日にはタルトゥス港に10艘のロシア海軍の戦艦が入港した。

    その他、イラン、ヒズボラ、ハマス、イラク抵抗勢力など、この地域で反米のあらゆる勢力との関係を強化しているもようだ。

    南米

    9月10日、ロシア空軍の戦略爆撃機「ツポレフ160」2機がベネズエラの空港に着陸した。ベネズエラ政府は、要請があればいつでもロシア軍に空軍基地を提供する用意があるとのこと。

    ちなみに、ロシア空軍機の飛来に感激したチャベス大統領は、ロシア政府にこの爆撃機で自分をキューバに連れて行って欲しいと頼んだようだ。ロシア政府は「前向きに検討する」とだけ応えたようである。

    ベネズエラと同様に新ロシアの姿勢を明確にしているのはニカラグアだ。すでにニカラグアは先の紛争で焦点になった、グルジアの飛び地の南オセチアとアブハジアを独立国家として承認しており、ロシアとの関係強化に躍起となっている。

    南米には、メキシコ、コロンビアなど新米か、かならずしも新ロシアとはいえないブラジルのような国々が多数存在している。ロシアはこうした国々に対し、反政府ゲリアの支援による現政権の弱体化を狙う戦略に出ている。

    91年のソビエトの崩壊以降、職を失った多くのKGBのエージェントが南米にわたり、この地域の麻薬密売ビジネスに関与したことはよく知られている。今では彼らは強力な麻薬密売組織を運営するにいたっているが、彼らはそのままロシア政府のエージェントとして機能できる立場にいる。ロシアは、彼らの持つネットワークをフルに活用しながら、現政権を不安定化し、新ロシア的な政権を樹立することができる。

    こうした戦略の最初のターゲットはメキシコとブラジルである。

    これをみると、いまロシアは、まさにアメリカののど元にナイフを突きつけ、脅しながらその勢力圏を広げる戦略に出たということができる。

    いまわれわれはどこにいるのか?世界の多極化と第三次大戦

    これまでこのブログでは多くの予言を紹介してきた。その中には第三次世界大戦の勃発を予想するものが非常に多く、そのシナリオもよく似ている。ババ・バンガ゙、ビリー・マイヤーのエノク予言、アロイス・イルマイル、ブラザー・アダムなどだ。

    また、これらの予言には、天変地異や人口の大幅な減少、経済崩壊や飢餓などの予想にも共通したものが多い。

    おそらく、こうした内容は、1)世界が多極化していくつかの政治経済ブロックに分離し、2)資源の枯渇から、こうした政治経済ブロック間で衝突が発生し、より巨大な戦争にいたったときに予想されるシナリオではないかと考えられる。

    したがって、今回の金融危機から直接予言された事態の実現へと向かうわけではないように思う。いまわれわれは、将来の深刻な危機が発生するその舞台づくりの過程をみているように思う。

    本格的に危機はまだ先だろうと思う。いまは、ロシアなど、多極化した世界システムのメインプレーヤーがやっと登場した時点にいる。

    ただ、時間の流れは恐ろしく加速している。2010年前後には政治経済ブロック間の本格的な衝突をみることになるかもしれない。

    やはり的中しているコルマンインデックス

    コルマンの発言を改めてみると、それがいかに正確化がわかる。すでにこのブログでも何度も紹介したが、以下はコルマンが2004年ことに発表した論文の抜粋である。

    Day5  2006年11月29日~2007年11月18日
    Night5 2007年11月18日~2008年11月12日
    DAY6  2008年11月12日~2009年11月7日


    まずDay5で基軸通貨としてのドルを崩壊させる大きな事件が発生するが、それはNight5にさしかかる時期ではアメリカと中国などとの協力によって崩壊は遅延させられ、一時的には何事もなかったようにシステムは再構築されるだろう。だがこれは長くは続かない。Night5の終わりからDay6の始めにかけて早晩崩壊し、新しい意識と秩序の出現に席を譲る

    サブプライムローンで問題が発生し、金融機関が損失を計上しだしたのが2007年6月、つまりDay5の期間である。そして周知のようにサブプライムローン問題は金融危機にまで発展し現在にいたるが、今回の問題は、日米欧の協調した巨額の資金供給、米国政府による不良債権買い取り機構の設立などにより、株価もドルも上がり当面の危機は脱したかに見える。これは「それはNight5にさしかかる時期ではアメリカと中国などとの協力によって崩壊は遅延させられ、一時的には何事もなかったようにシステムは再構築されるだろう」にまさに対応する展開となった。

    だとするなら、次のDay6では「だがこれは長くは続かない。Night5の終わりからDay6の始めにかけて早晩崩壊し、新しい意識と秩序の出現に席を譲る」事態が発生するのだろうか?発生するなら、それはこの記事で述べた「一国資本主義型内包的発展モデル」に支えられた複数の政治経済ブロックが競合する多極化したシステムへの移行を一気に推し進めるなんらかのじたいであろう。それはなんであろうか?Day6を待ちたい。

    DAY6  2008年11月12日~2009年11月7日

    当面の相場展開

    コルマンインデックスにもあるように、いまのところ、各国の協調と財務省の介入によって危機は収まり、ダウとドルは上昇している。おそらくしばらくはこのトレンドが続くのではないかと思う。植草教授も以下のように発言している。

    米国金融市場混乱の背景と今後の展望

    「私は『金利・為替・株価特報』2008年9月8日号に、「(NYダウの)7月から9月にかけての推移は、本年1月から3月にかけての推移に類似して(おり)」、「NYダウは本年3月から5月にかけての上昇と類似する形で(、9月中旬以降)上昇する可能性が高いと考えられる」と記述した。金融市場の混乱は広がるが、政策当局の対応により、当面の混乱が収拾され、不安心理が後退し、株価が一時的に反発するとの見通しを示した。9月から11月にかけて、内外株式市場で株価が上昇することは十分に考えられると判断している。」

    いずれにせよ、いま、本格的な危機へと向かう条件が一つずつ準備されているようだ。すべての条件が整ったところで危機は本格化すると思われる。今回の金融危機はそうした条件の一つである。Day6には、さらに新たな条件が準備されることだろう。

    続く

    投稿に関しては以下の方針に従い、どうしても必要な場合以外は削除しないことにしておりますが、他者の人格を傷つける不適切な表現がある場合は例外とし、予告無しに削除し、投稿禁止にする場合もあります。

    意味産出の現場としてのBBSやブログ

    また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。

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