2008-09

    これから起こる可能性のあること4

    前回よりは早く更新できたと思うが、現実の進展があまりに早いのでまだまだ追いつけないでいる。いまわれわれの目の前で、既存の世界システムの崩壊が進行しており、数年後には今までとは全く異なった世界にほうり出される可能性がある。それがどんな世界になるのか予想してゆきたい。

    グローバル経済モデルから一国資本主義内包的発展モデルへ

    いま、1995年以来世界経済を牽引してきたグローバル経済の成長モデルが崩壊し、新たな一国資本主義内包的発展モデルへと移行しつつあることは先に記事に書いた。

    だが、問題なのは、そのような移行がいま起こりつつあるとしても、その移行が大きな混乱やパニックがなく比較的にスムーズに行われるのか、それとも金融システムの崩壊のような激烈なパニックを伴うのかということである。

    すなわち、不況下でなしくづしてきに行われる転換なのか、それとも1929年のような恐慌を伴うものなのかということだ。

    いま起こっていること

    住宅ローンの最大手の商業銀行、ワシントン・ミーチュアルの破綻が確定し、大手の商業銀行JPモルガン・チェースに買収されることが決定した。ワシントン・ミューチュアルの総資産は33兆ドルといわれ、米国史上最大の破綻だろいわれている。

    投資銀行から始まった金融危機が、預金で運営されている商業銀行にまで確実に広がりつつあることが明らかになった。

    このような情勢から、ネットには金融メルトダウン、金融システムの麻痺、恐慌、相場の暴落、経済崩壊などの言葉があふれ恐怖心をあおっている。

    確かにいま起こっている金融危機は深刻であり、大変な影響力をもつことは間違いない。その意味では、いま起こっていることはパニック型の恐慌であるようにもみえる。

    だが、だからといってこの危機が恐慌の始まりであると断定するには少し早い。恐慌と不況とでは似ているようであっても、両者は根本的に異なっているからである。

    これは恐慌なのか?それとも不況なのか?

    不況と恐慌は根本的に異なる事態である。以下のような違いがある。

    不況(リセッション)
    資本主義はほぼ10年周期で好況と不況を循環的に繰り返す性質がある。好況期には投資や雇用が伸び、それによる国内需要も伸びるが、不況期には金融が収縮し投資も雇用も大きく沈滞するため、国内需要も伸び悩む。成長はマイナスに転じる。

    2001年のドットコムバブル(ITバブル)の崩壊や1991年の第一次湾岸戦争直後に不況に突入している。すでに2001年の最後の不況から7年たっているので、不況に突入してもおかしくない時期だと考えられている。

    恐慌(パニック)
    相場の暴落や金融システムの崩壊や機能停止などのパニック型の混乱が発生し、それに伴う実体経済の急速な収縮が発生する。循環的に発生する事態ではないため、歴史的な事例は比較的に限られている。20世紀では1907年の恐慌、および1929年から始まった大恐慌がある。

    要するに両者の違いは、不況が循環的に発生し、相場の暴落や金融システムそのものの機能停止は伴わないのに対し、恐慌はこうした激烈なパニックがすべて発生し、実体経済の急速な収縮を引き起こすことにある。

    ところで、今回はリーマン・ブラザースが倒産し、ワシントン・ミューチュアル銀行が破綻したわけだが、規模の大きい企業が破綻したからといって、それがそのまま恐慌の発生を意味するわけではないことに注意しなければならない。2001年の不況時にはエンロン、ワールドコム、デジタルエクイップメント(DEC)、プライムコンピュータ、データージェネラルなど、当時のIT産業を担っていた大企業が多数破綻した。

    だが、こうした企業の破綻は、金融システムの機能停止や相場の暴落、そして実体経済の急速な収縮などのパニックは発生しなかった。経済はゆっくりと減速し、なし崩し的にマイナス成長へと突入していったのである。

    今回のリーマンやワシントン・ミューチュアルの破綻が、パニックを発生させて恐慌の引き金になるのか、または循環的な不況の突入を告げるものなのかは、まだ分からない。いまのところ、パニックは発生していない。

    1929年時点との違い

    社会的条件の変化によって、1929年の時点では恐慌を発生させるに十分な出来事でも、2008年では恐慌がかならずしも発生しないことも十分にあり得る。今回のリーマンやワシントン・ミューチュアルの破綻はその好例だろうと思われる。

    もしこのくらいの規模の破綻が1929年のような20世紀の初めに起こっていたなら、それは確実にパニックを発生させていた可能性がある。金融機関は相互に短期融資のネットワークで結ばれている。そのため、一つの大規模な金融機関が破綻して融資の返済が止まると、他の金融機関は疑心暗鬼に駆られ短期融資を停止させてしまう。すると、資金繰りに困った金融機関から連鎖的に倒産する結果となる。連鎖倒産は多くの金融機関を巻き込み、その結果、金融システム全体を崩壊させてしまうのである。以下の図式である。

    「巨大金融機関の破綻」→「短期融資のネットワークの崩壊」→「金融機関の連鎖倒産」→「金融システムのメルトダウン」

    実際、このようなことが1929年に起こった。だが、今回のリーマンやワシントン・ミューチュアルの破綻でこのようなことになるかといえば、かならずしもそうならない可能性が大きい。なぜなら、当時と今では社会的な条件が根本的に異なるからである。

    政府の介入と不介入

    経済の法則、つまり商品経済的合理性(資本の論理といってもよい)は、万有引力の法則のような自然法則とはまったく異なっているといわれている。自然法則は人為によって変更することのできない絶対的なものであるのに対し、経済の法則は、少し条件を変えてやると大幅に変更することができるといわれている。

    1929年当時と現代でもっとも異なっていることは、政府の経済に対する介入の度合いである。政府が経済に介入すると、政府の政策的な意図に合わせて結果が変更されるのに対し、政府がまったく不介入であれば、商品経済的合理性が貫徹し、経済の法則から予想される結果がもたらされる。1929年当時の政府が経済に対していわば無防備であり、介入するすべがなかったのに対し、現代の政府は経済に強く介入し、危機の発生と広がりを未然に防止できる様々な手段を持っている。この意味で、商品経済的合理性から予想される結果を大きく変更させることが可能なのが、現代の政府の特徴である。

    リーマンの破綻が明らかになってから、各金融機関は短期融資に疑心暗鬼になっており、先に指摘した連鎖倒産が発生する恐れがあった。だが、これに対し、米国政府や各国政府は膨大なドル資金を直接金融機関に融資し、短期融資の連鎖が断ち切れて連鎖倒産が起こらないように未然に防止策をとっており、いまのところ成功している。

    今の状態をひとことでいえば、本来は商品経済的合理性にのっとり連鎖倒産が起こり、パニックが発生してもおかしくない状況が、資金投入という政府の介入により、回避されているというのが現状だ。

    では政府の政策的な介入は万能なのか?

    では政府の政策的な介入は万能なのかといえばそうではない。金融機関の破綻の規模があまりに大きく、政府の資金の投入が十分ではない場合、金融機関の短期融資への疑心暗鬼は払拭できず、連鎖倒産は避けられなくなる。政府の資金投入が危機を回避させ、本来は発生してもおかしくない恐慌を、循環的な不況のレベルにソフトランディングさせることができるかどうかは、基本的に投入できる資金の大きさに依存しているといえるだろう。

    これは換言するなら、危機の回避は、商品経済的合理性のモメントが勝つのか、それとも政策的関与のモメントによって押さえ込みに成功するのかによって決まってくるということだ。なので、実際の経済は、両モメントが相克する複雑な動きを呈する。今回のリーマンやワシントン・ミューチュアルの破綻からすぐに恐慌の発生を予想することができないのはこのためだ。

    米国政府の再建買取機構

    今回、ブッシュ政権は、最大で75兆円の規模で金融機関の保有する不良債権を買い取ることを目標にした買取機構の設立を発表し、法案を議会に提出した。相当に強い反発が議会からあったが、来週早々にも通過する見通しである。それを楽観して、本日のダウは上がっている。75兆円とは巨額だが、これは現在の金融危機を解決するのに十分であるかどうかはまだ分からない。

    商品経済的合理性のモメントが勝つか、政策的関与のモメントが勝つか?

    では最終的にはどちらのモンメントが勝つといえるのだろうか?もし大手金融機関の破綻の連鎖がリーマンとワシントン・ミューチュアルで止まるなら、政策的関与のモメントが勝つといえるかもしれない。不良債権買取機構の機能によって金融危機は次第に落ち着いてゆくことだろう。

    だが、はたしてこれで本当に終わりになるかどうかはまったく分からない。予想外の突発的な出来事によって、いきなり恐慌突入の危機が高まらないとも限らない。

    そうした突発的な出来事の予測には、やはり予言も一つの重要なリソースとなる。次に予言を見てみよう。

    WebBotの最新予言

    「WebBotの予言」も有名になりいろんなブログで取り上げられるようになっているためご存知の読者も多いかと思うが、その最新予言を紹介する。

    9月21日、「WebBotプロジェクト」の主催者であるクリフ・ハイとジョージ・ウレは「Coast to Coast AM」に出演し、これまでの予言の内容をさらに細かく解説した。その内容は、数日後、ジョージ・ウレのサイト、「Urban Survival.com」に要約され発表された。以下がその大要である。

    ・かねてから発表しているように、9月22日から27日に起こる出来事をみると、10月7日、午前7時10分(グリニッジ標準時間)にどのような出来事が起こるのか予想できる。

    ・いわば9月22日から27日の期間は、10月7日に放出されるエネルギーの方向性を先行的に決定するような期間となる。それを準備する出来事が起こるはずだ。

    ・10月7日の出来事はおそらく経済関連であろう。それは軍事関連ではないと思われる。このエネルギーの放出は2009年3月まで続く。

    ・10月15日に大きなエネルギーの放出がある。この日を基点に起こる出来事は軍事関連であると思われる。

    ・12月10日には、西海岸の北部の大西洋岸で巨大地震が発生する。それから2日後の12月12日には、今度は東海岸で似たような規模の地震が発生する可能性がある。

    ・その後、2009年春には、米国民の不満が爆発した暴動や内戦の危機が到来する。そのまま「2009年地獄の夏」へと突入する。

    ・2009年は「変容の年」となるはずである。2009年の晩夏には「多くの人々が突然と姿を消す現象」を目撃することになる

    ・「WebBotの予言」は的中するとは限らない。当たるときは当たるが、外れるときは大きく外れる。上記のすべてが外れることを真に願っている。


    以上である。ここで興味深いのは「9月22日から27日に起こる出来事みると、10月7日、午前7時10分(グリニッジ標準時間)にどのような出来事が起こるのか予想できる」とされていることである。この期間に起こった一番大きな出来事は、商業銀行の最大手の一つであるワシントン・ミューチュアル銀行の破綻であろう。10月7日に起こる事件は経済関連であるとされる。政策的な介入では追いつかないような規模の金融機関の破綻が起こるのであろうか?

    ビリー・マイヤーの最新予言

    また、9月5日、プレジャリアンのコンタクティー、ビリー・マイヤーのアメリカにおける代理人、マイケル・ホーンがやはり「Coast to Coast AM」に出演し、マイヤーの最新予言が公表された。以下である。マイヤーのUFOコンタクトに関しては様々な意見があるが、「エノク予言」はじめ少なくともその予言的な内容に関しては恐ろしく的中率が高いように思うので、ここで紹介する。

    ・最近、マイヤーが2005年にプレジャリアンとコンタクトした記録が送られてきた。そこには大変な警告が書かれてあったのでここに公表する。

    ・時期は公表できないが、米国西海岸沖で震度9に相当する巨大海底地震が発生し、これによりワシントン州から南カリフォルニアにかけての広い範囲で、輪のような形で津波が広がり、巨大な破壊によって多くの人命が失われることになる。

    ・海底地震は約5分間続く。これにより、数百キロにわたり断層ができる。

    ・最初の地震のあと、より規模の小さい地震が発生し、これによっても津波が発生する。


    以上である。ここで興味深いのは、上記の「WebBotの予言」との一致である。WebBotの「12月10日には、西海岸の北部の大西洋岸で巨大地震が発生する」は、マイヤー予言の「米国西海岸沖で震度9に相当する巨大海底地震が発生」と同一のことなのだろうか?とするなら、12月10日にこのようなことが本当におこるのだろうか?

    過去にあったこと

    このような地震が、米国西海岸で過去に起こった事例があるかどうか調べてみた。もし米国西海岸でこのような規模の地震があるとするなら、大西洋をはさんだ日本にも津波が押し寄せてくる可能性があるからだ。

    すると。1700年に予言されたとほぼ同じような地震が発生していることがわかった。以下のサイトである。

    「独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)活断層研究センター【センター長 佃 栄吉】は、カナダ地質調査所【代表Irwin Itzkovitch】、米国地質調査所【所長Charles G. Groat】と共同で、約300年前に北米西海岸で発生した巨大地震の規模がM9クラスであることを推定した。日本各地での元禄12年の記録に基づき、さまざまな要因を考慮して日本の太平洋沿岸における津波の高さを3通りに推定した。一方、カスケード沈み込み帯における6つの異なる震源モデルについて、最新の3次元プレート形状モデルに基づいて北米の太平洋沿岸や海底の地殻変動を計算した。さらに太平洋を横断する津波を計算して、日本における津波の高さと比較した。これらの18通りの組み合わせから、西暦1700年の地震の規模はモーメントマグニチュード(M)8.7-9.2、断層の長さは1100km、平均すべり量は14mと推定された。これらの結果は今後、米国北西部やカナダ南西部の地震・津波被害対策に影響を及ぼすと考えられる。

    以下の図のように、この地震の震源はまさにマイヤー予言が予告している場所であった。

    fig1

    どんな津波もそうだろうが、この津波はマイヤー予言にあるように、まさにリング状に広がっている。以下の図だ。

    fig5.jpg

    そして、この地震のよる日本の津波による被害は以下の図のようになっている。

    fig6

    現在の状況

    では、現在この地域の自身発生状況はどうなっているのだろうか?地球温暖化などのより環境異変も含め、環境変化に関するニュースを配信しているメディアに「Earth Change Media」がある。ここは8月27日以来、1700年地震の震源地となった「カスケード沈み込み帯」で微小な地震が多発していると警告している。

    さらに、米国政府の地震観測所「合衆国地質調査所(USGS)」のサイトをみると、確かにこのエリアで微小地震が多発しているのが分かる。米国西海岸は地震の多発地帯なので、実際に微小地震が増加しているのかどうかは、通時的なデータをみてみないとなんともいえないが、地震が発生していることだけは確かなようだ。

    usgs

    BriansDraemns.com

    予言続きで申し訳ないが、アメリカには日本の照さんの「世見」に近いサイトがある。このブログでは初めて紹介するが、それは「BriansDraemns.com」である。サイトの主催者であるブライアンは、毎日とても鮮明な夢を見るが、それが予知夢であることが多く、未来の出来事を予言しているという。

    ただ、予知している内容は小さな町で起こる事故や殺人事件など、比較的に小さなことが多いが、的中率だけはやたらと高い。

    しかし、ブライアンは数年前から予言している大きな出来事がある。それはカリフォルニアの巨大地震だ。ブライアンの夢によると、以下の順序で地震は発生し、最終的にはカリフォルニアの巨大地震にいたるという。

    ブライアンが最初の地震の発生を予知したのは2006年頃だが、それ以来すべての地震が起こっているという。以下である。

    ring

    番号は地図上の位置

    Location 1) Indonesia 6.2 [CONFIRMED BY USGS 3.31.2006 21:17 UTC] 発生確認

    Location 2) Japan 5.9 [CONFIRMED BY USGS 4.10.2006 11:25 UTC]  発生確認

    Location 3) Russia 6.3 [CONFIRMED BY USGS 4.12.2006 1:06 UTC]  発生確認

    Location 4) Alaska 6.4 [CONFIRMED BY USGS 5.10.2006]  発生確認

    PRE-EVENT QUAKE 4.7 [ CONFIRMED BY USGS 6.15.2006 12:24 UTC]  発生確認

    PRE-EVENT QUAKE #2 4.3 [CONFIRMED BY USGS 8.2.2006, DETAILS HERE]  発生確認

    PRE-EVENT QUAKE #3 4.1 [CONFIRMED BY USGS 11.25.2006, DETAILS HERE]  発生確認

    Location VR1) Mount St Helens, Washington USA [CONFIRMED 12.19.2006, DETAILS HERE]  発生確認

    Location 5) California 8.2 [EVENT PENDING][NEW INFO POSTED] 未発生

    Location 5.5) California 7.9 [EVENT PENDING] 未発生

    Location 6) Australia 7.5 [EVENT PENDING]  未発生


    Location 5)とLocation 5.5)の地震は本当に発生するのだろうか?「マイヤー予言」や「WebBot」が外れることを願う。

    8月初旬から太陽から黒点が消えていた。100年ぶりに近い出来事である。数日前からやっと黒点が現われたが、数は非常に少ない。次回は、黒点の数と経済の循環的なサイクルとの相関関係を唱える理論があるので、それを紹介したい。

    続く

    投稿に関しては以下の方針に従い、どうしても必要な場合以外は削除しないことにしておりますが、他者の人格を傷つける不適切な表現がある場合は例外とし、予告無しに削除し、投稿禁止にする場合もあります。

    意味産出の現場としてのBBSやブログ

    また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。

    いま何がおこっているのか?

    ヤスの英語

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    テーマ:歴史と予言 - ジャンル:学問・文化・芸術

    これから起こる可能性のあること3

    あいかわらずだが、また今回も更新が遅れに遅れてしまった。もっと早く更新したいが、なかなかうまく行かないものである。とにかく、マヤカレンダーが終了 する2012年12月21日までは続け、いったい何が起こるのか、このブログに集う多くの仲間とともにしっかりと見届けたいものである。

    リーマンの経営破綻とAIGの救済

    フレディーマックとファニーメイの政府系住宅金融機関の破綻がいよいよ避けられなくなり、FRBが約20兆円に上る公的資金の投入を決定してからというもの、海外でも日本でもネットは金融メルトダウンと米国経済破綻を予告する情報があふれている。

    今回のリーマン・ブラザースの経営破綻、及び大手保険会社、AIGの9兆円に上る公的融資投入のニュースは、金融のメルトダウンが本格化し、米国経済破綻の 過程が加速しているとの印象を与えている。これは、かねてからラビ・バトらーなど多くの予言者が予告していた「資本主義崩壊」の過程がぃよいよ始まったの ではないかと考える人も多い。

    これは金融メルトダウンなのか?

    もちろん、リーマン・ブラザースのような巨大金融機関の経営破綻が、他の金融機関の連鎖倒産へとつながり、金融システム全体の機能停止とメルトダウンにいたる可能性はないとはいえない。

    しかしながら、金融メルトダウンが現実的な事態として考えられるのかといえば、いまのところそのような可能性は低いのではないか考えられる。

    何度も繰り返された金融破綻

    資本主義経済は、過去に何度も金融破綻や金融メルトダウンという表現に近い経験をしてきている。むしろ資本主義経済にとって金融破綻は、過剰となった資本を整理し、新たな体制で成長軌道に乗るために必要なプロセス、すなわち「創造的な破壊」であるともいわれている。

    したがって、資本主義の歴史では金融破綻は決して珍しいことではなく、ましてや金融破綻が資本主儀というシステムそのものの崩壊に結び付くものではない。

    バブルの崩壊から大量の不良債権ができてしまい、これの圧力による貸渋りしなどによって著しく成長が鈍化したバブル期以降の日本では、一時期、金融機関の破 綻処理を一気にやり不良債権を処理することが経済を回復させる唯一の方法だともいわれたが、このような理解も「創造的破壊」の考え方に依拠したものであ る。

    なので、資本主義経済にとって金融破綻は新陳代謝のひとつであり、それは何度も繰り返されてきた。比較的最近では1929年の「暗黒の木曜日」に端を発する「大恐慌」、そして1987年の貯蓄信用貸し付け機関の破綻から始まった「ブラックマンデー」である。

    過去の金融破綻に共通した特徴

    このように、金融破綻は過去何度も繰り返されてきたわけだが、そこには共通した特徴が存在するといわれている。それは、株のパニック売りによる相場の暴落である。

    相場の暴落は経営基盤の弱くなっている企業を直撃し、連鎖倒産へと追い込むが、それだけではなく、損の拡大を回避しようとして、投資家は、債権、不動産など さまざまな分野から一気に投資を引き上げてしまうので、これによって実態経済全体の収縮が起こるのである。以下の図式である。

    「株や債権のパニック売り」→「企業の資金繰りの悪化」→「連鎖倒産」→「各分野からの投資の引き上げ」→「実体経済の収縮」

    1929年の「暗黒の木曜日」はこれに典型であったが、1987年の「ブラックマンデー」では、経営破綻しつつあった金融機関にFRBによる公的資金の投入による救済が行われ、実体経済への拡大は回避された。ぎりぎりで金融破綻は回避されたのである。

    ではリーマンの破綻は?

    では今回のリーマンの経営破綻はどうなのだろうか?結論から言えばパニック売りは発生しなかった。リーマンの破綻発表の一日はさすがに下げたが、AIGの救済策が発表されるとダウは値を戻した。最終的には思ったほどの下落はなかったのである。

    さらに、昨日は大きく下げたが、本日は、FRBの不良債権買い取り機構に対する期待もあり、ダウは大きく反発し410ドルも上がった。

    ま た、FRBが各国の中央銀行に巨額のドルを散布することでいわゆる流動性の危機といわれる状況も回避された。金融機関は、日々の決済に必要な資金を短期の 融資で互いに融通しあうことで円滑なビジネスを維持しているが、金融機関の経営破綻の懸念が高まるにつれ、こうした短期融資に応じにくくなってくる。経営 破綻してしまい、融資した金が返済されない可能性があるからである。短期融資を得られない金融機関は決済に困り、そのまま破綻するしかなくなる。FRBの ドル散布は、大量のドルを金融機関に供給することで、こうした破綻を回避したのである。

    市場のこうした展開やFRBの政策をみると、やは りパニックは発生していないとみたほうが妥当なようだ。したがっていまわれわれが経験していることは、過去何度も繰り返された金融破綻に近いものではある が、その性格は1929年の「大恐慌」のようなパニック型の恐慌とは根本的に異なっているといえそうである。

    ましてや、資本主義の崩壊の始まりとなるような「資本主義の体制的な危機」とは程遠いように思う。

    ストラトフォーなどのシンクタンクの評価

    この辺の分析にやはり定評があるのがストラトフォーなのではないかと思う。数本の記事の内容を以下に簡単にまとめる。あまりに楽観的な見通しと考える読者の方が多いのではないかと思うが、ぜひ一読願いたい。

    ・金融機関、金融システム、実体経済の三者は分けて考えなければならない。

    ・基本的にいま起こっていることは、個々の金融機関の破綻であり、金融システムそのものや実体経済をも破綻させるような影響力はもってはない。

    ・また今回は、パニック売りによる相場の暴落も発生しなかったので、金融システムや実体経済に対する影響も思ったほどには大きくはないはずだ。

    ・米国の実体経済は、住宅価格の低迷や失業率の上昇などで明らかに減速し、将来はリセッションに突入する可能性が高いが、思った以上に堅調で持ちこたえている。直近のリセッションは7年前だから、そろそろリセッションが起こってもよい時期だ。

    ・最近では米国は、1991年と2001年に金融収縮を伴う企業破綻を経験したが、今回はせいぜい2001年のドットコムバブルがはじけたときと同じくらいの程度のものだろう。

    ・2000年後半から2001年には、ワールドコム、エンロンなど名だたる世界企業の倒産が相次いだが、今回のリーマンの破綻も、過去に何度も発生した「創造的破壊」と同じようなものだ。

    ・金融システムは再編され、新たな循環がまた始まる。


    これはあまりに楽観的な見方で現実を反映していないのではないかと考えることもできるだろう。

    例えば、ストラトフォーなどはデリバティブの一形態である「CDS」の危険性については言及していない。いま連鎖倒産が起こるとすれば、それはCDSを経由してであろうと考えられている。

    CDSとは?

    CDSは「クレジット・デフォルト・スワップ」といわれるデリバティブ(金融派生商品)のひとつである。これがどういうものかウィキペディアを引用して解説する。

    仕組み

    2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。

    ・ 買い手は売り手に定期的にプレミアム(保険料)を支払う。

    ・売り手は企業Aがデフォルトした際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。

    企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクをヘッジすることが可能となる。


    要するにCDSとは、保険会社ではなく、銀行や証券会社が発行する、債権の保険のことである。CDSの購入者は、債権の支払者が破綻した場合、損失の補填をCDSの発行者から受けることができる。

    CDSはそれ自体が金融商品として証券化され、市場で取引される。

    リーマンのCDSと金融機関の連鎖倒産

    どの投資銀行にとっても債権の発行は資金を調達する重要な手段である。リーマンも莫大な債権を発行していた。当然、それに対応するだけの巨額なCDSも発行されている。

    ということは、リーマンの破綻は、リーマンの債権者が損失を補填しようとCDSの支払いを、これを発行した銀行や証券会社に請求してくることを意味する。

    これは莫大な額に及ぶ。その支払いに応じられない金融機関は破綻し、倒産が連鎖する可能性がある。金融機関の連鎖倒産は金融システム全体を麻痺させ、実体経済を巻き込んで行く。以下の図式である。

    「リーマンの破綻」→「巨額のCDSの支払い請求の殺到」→「金融機関の連鎖倒産」→「金融システムのメルトダウン」→「実体経済の凋落」

    これが近い将来起こる可能性

    では、このような連鎖倒産から金融のメルトダウンにぃたる可能性はあるのだろうか?海外でも日本でも、これが近い将来起こる可能性を指摘しているサイトは多い。

    CDSによる連鎖倒産の可能性は低い

    CDSは、危険度が高まれば数値が上昇し、危険度が低くなれば下がるが、確かに昨日は、CDSの数値は史上最高値を記録し、CDSの支払い請求集中による連鎖倒産が近いことをによわせた。

    しかしながら本日になると、米国政府の不良債権買い取り機構の設立へと向かう動きが報じられるにおよび、CDSの数値は大きく下げ、もとの水準に近くなった。

    さらに、リーマンの破綻はすでに半年前から懸念されており、投資銀行ではリーマンのCDSは放出されており、実際の保有高はたいしたことはないともいわれている。

    また、リーマンの破綻が決定された時期には、リーマンの債権がらみのCDSの多くはすでに保証期間が切れており、もともとCDSの実質的な額はさほど大きくはないともいう。

    したがって、リーマンのCDSが引き金となる金融機関の破綻の可能性は少ないだろうという。

    金融業界の再編成

    一般に懸念されている金融機関の連鎖倒産が起こらないとすれば、それでは実際は何が起こっているのだろうか?

    それは、グローバル経済の花形であった投資銀行の生き残りをかけたサバイバルというかたちで、金融業界全体の再編成が急ピッチで進んでいるということだ。大 手商業銀行バンク・オブ・アメリカが投資銀行メリルリンチの救済合併を発表したばかりだが、そのサバイバルは、他の金融機関への身売りという形で行われて いる。

    「モルガン・スタンレーは多くの金融機関に対し交渉の窓口を開いている。交渉相手としては中国やシンガポールの政府系ファンド (SWF)も含まれる。また関係者の話によると、米商業銀行大手ワコビアや英HSBC、ドイツ銀行との交渉も行われているという。英国では英銀大手ロイズ TSBが住宅融資最大手の大手英銀HBOSを122億ポンド(約2兆3千億円)で救済合併することで合意した。米西岸を中心に広まる大手銀ワシントン・ ミューチュアルはゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースや英HSBCに対して売却交渉中であると報じられている。」

    商業銀行が全面に出た金融機関の再編成

    この再編で重要な役割を果たしているのは、これまであまり表舞台には出てこなかった商業銀行である。

    投資銀行は、顧客企業の資本市場からの資金調達をサポートしたり、合併や買収などの財務戦略でのアドバイスを行い、個人向け業務は行わないのに対し、
    商業銀行は、個人を含む顧客から預金を集め、それを企業に融資することで利子を得る金融機関である。両者はどちらも「銀行」と呼ばれているが、その業務内容は大きく異なっている。企業の正常な業務から利益を得る商業銀行のほうが利益率は断然小さいのが特徴だ。

    メリルリンチを救済合併したバンク・オブ・アメリカも、モルガン・スタンレーの見売り先として交渉中のワコビアや英HSBC、さらにワシントン・ミューチュアルの売却先として検討されているウェルズ・ファーゴもすべて商業銀行である。

    あ らかたの投資銀行は商業銀行に売却され、金融業界における、これまで巨大であった投資銀行の役割も、ヘッジファンドとともにはるかに小さいものとなる可能 性が大きい。これに伴い、これまで世界経済の成長を支えてきた、グローバルな資本移動に基づく経済成長モデルが破綻し、これとはまったく異なるモデルに移行する可能性が大きくなったように思う。

    グローバル経済モデル

    1995年以降、世界経済は、ドルを基軸通貨とし、資本の国際的な移動の自由に基づく市場原理主義的な成長モデルが牽引していた。

    以前の記事にも詳しく書いたが、このモデルは、米国を市場として海外に解放し、米国が無制限に購入した商品の代金を基軸通貨であるドルで支払うことで成立した。

    いっぽう、米国に商品を輸出した各国は、自国通貨が高くなることを恐れ、受け取ったドルを自国通貨に変換せず、そのままドル建てで米国に再投資してやるほかな くなる。米国はこのドルの還流をいっそう確実なものとするため、政策金利をどの国よりも高く設定しておけばよい。するとドルはいつでも米国に還流して、米 国経済を下支えしたのである。以下の図式だ。

    「基軸通貨ドルによる輸入代金の支払い」→「自国通貨が高くなることを恐れた各国のドル建て投資の還流」→「還流したドルによる米国経済の下支え(国債、債権などあらゆる金融商品の購入)」

    さらに、このように還流したドルのかなりの部分は、へッジファンドや投資銀行を経由して、世界へと再投資されていった。以下の図式である。

    「基軸通貨ドルによる輸入代金の支払い」→「自国通貨が高くなることを恐れた各国のドル建て投資の還流」→「へッジファンドや投資銀行を介した世界への再投資」

    この巨額な再投資を自国に呼び込むことに成功した中国のような国は高い経済成長率を達成し、それに失敗した日本のような国は伸び悩むというのがグローバル経済モデルがもたらした結果であった。

    へッジファンドや投資銀行による投資を引き付けるためには、彼らのルール、すなわち1)株主中心主義(利益絶対主義)、2)財務内容の透明性、3)グローバル な会計基準など、要するに彼らの儲けが絶対的に保証される仕組みにルールを変更しなくてはならなかった。このルールの変更が、1)福利厚生の徹底的な削 減、2)人件費の削減を目標とした過度なリストラなどを生み、伝統的に先進国の社会的な安定性の基礎となっていた中産階級を解体に追い込んだ。以下の図式 である。

    「へッジファンドや投資銀行を介した世界への再投資」→「投資を引き付けるための利益絶対主義のルールの適用」→「過度なリストラと人件費削減による中産階級の解体」→「格差の拡大」

    この結果、周知のように、分厚い中産階級によって支えられていた先進国の社会は、ほんの一部の勝ち組と大多数の負け組に分離し、新たな社会不安を作り出した。

    これがグローバル経済成長モデルの概要である。

    崩壊するグローバル経済成長モデル

    しかしながら、今回のリーマンを始め、多くの投資銀行やへッジファンドの破綻とその商業銀行による再編が表していることは、このモデルの担い手が消滅しつつあるということなのだ。

    したがって、こうした金融機関が経済成長の牽引役を果たすことはもはやありえないだろう。ならば、へッジファンドや投資銀行を引き付けるための「ルール変 更」や「構造改革」なるものも、ほとんど意味を失うことになる。要するに、海外からの投資は経済成長の牽引力とはもはやなり得なくなりつつあるということ なのだ。

    新たなモデル登場、一国資本主義の内包的発展モデル

    では、これまでのグローバル経済成長モデルが崩壊したあとでもそれなりの経済成長が実現できるとすればそれはどのようなモデルなのだろうか?

    まだ確実にはいえないが、おそらくそれは「一国資本主義型」の「内包的発展モデル」なのではないかと思う。

    このモデルは、かつての日本の高度経済成長を支えた「ジャパンモデル」に近いモデルだ。それは、ほとんど外部の投資には依存せず、国家の公共投資が誘引する設備投資によって成長を達成するものである。以下の図式だ。

    「国債や通貨の発行による財源確保」→「政府による巨額な公共投資」→「政府が後押しする巨大金融機関による長期融資の提供」→「民間の巨大な設備投資」→「雇用の拡大効果と賃金の上昇」→「国内需要の増大」→「企業の利潤率の上昇とさらなる設備投資」→「好景気の循環」

    グローバル経済成長モデルの破綻後には、このモデルしか選択肢が残されていないのかもしれない。

    一国資本主義型内包的発展モデルの勝ち組と負け組

    このモデルにも適用に成功して発展する国(勝ち組)とそうではない国(負け組)があることは間違いない。だがそれは、グローバル経済成長モデルの勝ち組と負け組とは根本的に異なるはずだ。

    グローバル経済成長モデルの勝ち組はヘッジファンドや投資銀行を引き付けることに成功した国であった。それに対し、一国資本主義型モデルでは、1)経済に対する強いコントロール権をもつ強力な政府、2)長期的な設備投資に融資できる強大な商業銀行、3)欠乏しつつある資源とエネルギー、および食料を確実に確 保できる政策とシステム、の3つがもっとも重要な条件となろう。

    特に3)は重要である。一国資本主義型モデルは1940年代の後半から 70年代初頭まで(日本では80年代の終わりまで)支配的だったが、この当時は、二度のオイルショックはあったものの、資源とエネルギー、そして食料はほとんど無制限に手に入った。市場で購入すればよかったのである。

    だが、現代はこれと状況はまったく異なる。環境異変も手伝い、資源とエネ ルギーや食料は確実に欠乏してきており、市場に依存していては、これらの戦略物資の安定的な確保はできにくくなりつつある。安定的に確保するためには、ロ シアや中国のような長期的な国家戦略がどうしても必要になるだろう。

    すると、どのような国家が勝ち組になるのかがおぼろげながらはっきりしてこよう。それは、資源やエネルギー、そして食料の自給ができ、なおかつ強力な権限をもつ政府や政府系金融機関を有するような国家だろう。

    もしかすると製造業、農業と商業銀行の時代

    このような流れからみると、投資銀行やヘッジファンドの淘汰と消滅を含む今回の金融大再編は、巨大商業銀行の台頭へと道を開くことになるかもしれない。

    さ らに、以前の記事にも書いたように、資源・エネルギー価格の高騰は輸送費の急速な高騰をもたらす。このため、中国などの新興国の製品は割高となり、自国の で生産した製品のほうが安くなるという逆転現象が起こる。この結果、新興国との競争に負け、一度壊滅した製造業や農業が再建される可能性が出てくる。

    これらの国内産業を発展させるには、融資でそれを強力に後押しできる商業銀行が必要となる。当然、まだはっきりとはしていないが、今回の金融大再編は、次のモデルの中核となるこうした巨大商業銀行の出現を準備する可能性がある。

    急速に進む多極化

    では、このような一国資本主義型内包的発展モデルに基づく強力な国家が作る次の世界経済はどのようなシステムとなるのであろうか?

    もはやその答えは明らかであろう。それは、強力な国家群が支配する多極的なシステムである。

    ただそれは単一の国家ではない。資源・エネルギー・食料が欠乏し、その安定的な供給を市場に頼れないとするならば、それは1)比較的に広いサバイバル圏をも ち自前で供給するか、2)サバイバル圏の形成に成功した国家との政治的な関係を深め、そうした国家から供給してもらうかのいずれかが必要になる。したがっ て、それは地域の覇権国家を中核に形成される「地域国家連合」であろう。

    世界経済が、国境を越える自由な資本と投資に依存する時代は急速に終わりつつあるのかもしれない。次に待っているのは「地域国家連合」が対峙しあう、徹底的に多極化したブロック経済のような体制なのかもしれない。

    今回の金融危機

    このように考えると、今回の金融危機は、随所でいわれているような「金融メルトダウン」や「金融崩壊」のような、金融システムの崩壊や、ましてや経済そのも のの崩壊を示す危機、つまり社会を支えている基本的なシステムの崩壊を表す現象ではまったくない。なので、いまの金融危機が、われわれに自給自足生活を強 いることになるようなことになるとは考えられない。

    そうではなく、今回の危機は、世界経済の発展モデルの変更によるあらたな世界経済システム形成へと向けた動きだと解釈したほうが妥当だろう。

    ロシアの動き

    実は、新たな世界システムの形成に向けた動きで、もっとも先頭を走っていると思われるのはロシアである。前回の記事に書いたが、グルジア紛争以来ロシアは明らかに「ロシア政治経済圏」ともいわれるような地域勢力圏の形成を目指している。その武器は、原油と天然ガスの供給だ。

    ロシアでいま起こっていること

    投資の撤退

    しかしながら、グルジア紛争以降、ロシアの強権的な手法を懸念した西側からの投資の逃避と撤退があとを絶たない。17日と18日の2日間には、株価の暴落が止まらず、証券市場は取引を停止していた。19日なって、ロシア政府の監督下で取引を再開した。

    このような状況を見て、投資の撤退からロシア経済は大打撃を受けるので、資金難からロシアの拡張政策にもストップがかけられるだろうという見方が強い。地域覇権国どころか、90年代の弱いロシアへと逆戻りする可能性もあるというのである。

    しかしながら、ロシアの資本市場の機能を欧米のそれと同一視してはならないという論説も多い。その代表的なものはやはりストラトフォーであるが、これに関連した記事をまとめて要約する。

    ・ロシアの金融機関はロシアンモデルともいわれる独自な機構で運営されている。
    ・欧米では金融機関は、将来見込まれる収益率を基準に融資を決定しているが、ロシアの金融機関はそうではない。政府は金融機関を経済政策を実行する手段として使い、企業との関係はたぶんに政治的である。また、融資は、企業と金融機関との人間的、政治的な関係によって決定されるので、収益率の合理性にはしたがっていない。
    ・このため、金融機関との政治的な関係を持たない企業は金融機関からの直接融資は期待できない。一般企業は、社債の発行か欧米からの直接投資、さらに証券の発行に依存する割合が高い。
    ・なので、欧米からの投資の逃避、ならびにモスクワの株式市場の株の暴落による数日間に及ぶ閉鎖は、一般企業にとって大打撃になったことは間違いない。ひいては、ロシア経済の影響は避けられないだろう。
    ・ところで、モスクワの証券取引所は9月19日に取引を再開した。予想に反して株は暴騰している。
    ・これは、プーチンが国内でまだ強大な経済的影響力をもつオリガルヒ(ユダヤ系財閥)に命じ、大量の資金の投入を行わせたことにある。このような処置が取られたのははじめてである。
    ・ところで、1990年代のエリチン政権の時代には強大な政治的な実権を持ち、ロシアの政財界を支配したユダヤ系財閥のオリガルヒは、プーチン政権のもとでは徹底的に弾圧され、すべての実権を失い国外追放となったものが多い。だが、一部のオリガルヒはプーチンに絶対服従を誓うことによって生き残り、現在でもロシア国内における経済活動を許されている。
    ・今回プーチンがオリガルヒの資産を証券市場に投入させ、株を暴騰させたことは、1)オリガルヒが、プーチンが証券市場をコントロールするために手段となったこと2)オリガルヒを通してロシア政府が証券市場を政治的にコントロールし始めたことを意味する。
    ・この結果、ロシアの証券市場は経済合理性にしたがって運営されるのではなく、今後はロシア政府の政治的、政策的な意図によってコントロールされる可能性が非常に大きい。
    ・これは一言で言えば、証券市場がロシア政府の政治的コントロール化に入ったということだ。


    このように、ロシアは経済に対する強力な政治的コントロールな可能なシステムの構築へと向けて、一歩進みだしたということである。つまり、先にあげた1)経済に対する強いコントロール権をもつ強力な政府の実現である。「ロシア政治経済圏」全体をコントロールすることのできる機構が徐々に整備されつつあるとみることができる。

    拡大するロシアの勢力圏と新冷戦の実態

    アジア圏のメディアと比較しても、極端な米国よりの日本のメディアではほとんど報道されていないようだが、ロシアはその勢力圏を確実に拡大させている。

    中東

    シリアとの関係を強化し、シリアに最新鋭のロシア製ミサイル防空システムを配備する模様である。そのお返しとして、シリアはロシア海軍の寄港地として3つの港を提供し、9月12日にはタルトゥス港に10艘のロシア海軍の戦艦が入港した。

    その他、イラン、ヒズボラ、ハマス、イラク抵抗勢力など、この地域で反米のあらゆる勢力との関係を強化しているもようだ。

    南米

    9月10日、ロシア空軍の戦略爆撃機「ツポレフ160」2機がベネズエラの空港に着陸した。ベネズエラ政府は、要請があればいつでもロシア軍に空軍基地を提供する用意があるとのこと。

    ちなみに、ロシア空軍機の飛来に感激したチャベス大統領は、ロシア政府にこの爆撃機で自分をキューバに連れて行って欲しいと頼んだようだ。ロシア政府は「前向きに検討する」とだけ応えたようである。

    ベネズエラと同様に新ロシアの姿勢を明確にしているのはニカラグアだ。すでにニカラグアは先の紛争で焦点になった、グルジアの飛び地の南オセチアとアブハジアを独立国家として承認しており、ロシアとの関係強化に躍起となっている。

    南米には、メキシコ、コロンビアなど新米か、かならずしも新ロシアとはいえないブラジルのような国々が多数存在している。ロシアはこうした国々に対し、反政府ゲリアの支援による現政権の弱体化を狙う戦略に出ている。

    91年のソビエトの崩壊以降、職を失った多くのKGBのエージェントが南米にわたり、この地域の麻薬密売ビジネスに関与したことはよく知られている。今では彼らは強力な麻薬密売組織を運営するにいたっているが、彼らはそのままロシア政府のエージェントとして機能できる立場にいる。ロシアは、彼らの持つネットワークをフルに活用しながら、現政権を不安定化し、新ロシア的な政権を樹立することができる。

    こうした戦略の最初のターゲットはメキシコとブラジルである。

    これをみると、いまロシアは、まさにアメリカののど元にナイフを突きつけ、脅しながらその勢力圏を広げる戦略に出たということができる。

    いまわれわれはどこにいるのか?世界の多極化と第三次大戦

    これまでこのブログでは多くの予言を紹介してきた。その中には第三次世界大戦の勃発を予想するものが非常に多く、そのシナリオもよく似ている。ババ・バンガ゙、ビリー・マイヤーのエノク予言、アロイス・イルマイル、ブラザー・アダムなどだ。

    また、これらの予言には、天変地異や人口の大幅な減少、経済崩壊や飢餓などの予想にも共通したものが多い。

    おそらく、こうした内容は、1)世界が多極化していくつかの政治経済ブロックに分離し、2)資源の枯渇から、こうした政治経済ブロック間で衝突が発生し、より巨大な戦争にいたったときに予想されるシナリオではないかと考えられる。

    したがって、今回の金融危機から直接予言された事態の実現へと向かうわけではないように思う。いまわれわれは、将来の深刻な危機が発生するその舞台づくりの過程をみているように思う。

    本格的に危機はまだ先だろうと思う。いまは、ロシアなど、多極化した世界システムのメインプレーヤーがやっと登場した時点にいる。

    ただ、時間の流れは恐ろしく加速している。2010年前後には政治経済ブロック間の本格的な衝突をみることになるかもしれない。

    やはり的中しているコルマンインデックス

    コルマンの発言を改めてみると、それがいかに正確化がわかる。すでにこのブログでも何度も紹介したが、以下はコルマンが2004年ことに発表した論文の抜粋である。

    Day5  2006年11月29日~2007年11月18日
    Night5 2007年11月18日~2008年11月12日
    DAY6  2008年11月12日~2009年11月7日


    まずDay5で基軸通貨としてのドルを崩壊させる大きな事件が発生するが、それはNight5にさしかかる時期ではアメリカと中国などとの協力によって崩壊は遅延させられ、一時的には何事もなかったようにシステムは再構築されるだろう。だがこれは長くは続かない。Night5の終わりからDay6の始めにかけて早晩崩壊し、新しい意識と秩序の出現に席を譲る

    サブプライムローンで問題が発生し、金融機関が損失を計上しだしたのが2007年6月、つまりDay5の期間である。そして周知のようにサブプライムローン問題は金融危機にまで発展し現在にいたるが、今回の問題は、日米欧の協調した巨額の資金供給、米国政府による不良債権買い取り機構の設立などにより、株価もドルも上がり当面の危機は脱したかに見える。これは「それはNight5にさしかかる時期ではアメリカと中国などとの協力によって崩壊は遅延させられ、一時的には何事もなかったようにシステムは再構築されるだろう」にまさに対応する展開となった。

    だとするなら、次のDay6では「だがこれは長くは続かない。Night5の終わりからDay6の始めにかけて早晩崩壊し、新しい意識と秩序の出現に席を譲る」事態が発生するのだろうか?発生するなら、それはこの記事で述べた「一国資本主義型内包的発展モデル」に支えられた複数の政治経済ブロックが競合する多極化したシステムへの移行を一気に推し進めるなんらかのじたいであろう。それはなんであろうか?Day6を待ちたい。

    DAY6  2008年11月12日~2009年11月7日

    当面の相場展開

    コルマンインデックスにもあるように、いまのところ、各国の協調と財務省の介入によって危機は収まり、ダウとドルは上昇している。おそらくしばらくはこのトレンドが続くのではないかと思う。植草教授も以下のように発言している。

    米国金融市場混乱の背景と今後の展望

    「私は『金利・為替・株価特報』2008年9月8日号に、「(NYダウの)7月から9月にかけての推移は、本年1月から3月にかけての推移に類似して(おり)」、「NYダウは本年3月から5月にかけての上昇と類似する形で(、9月中旬以降)上昇する可能性が高いと考えられる」と記述した。金融市場の混乱は広がるが、政策当局の対応により、当面の混乱が収拾され、不安心理が後退し、株価が一時的に反発するとの見通しを示した。9月から11月にかけて、内外株式市場で株価が上昇することは十分に考えられると判断している。」

    いずれにせよ、いま、本格的な危機へと向かう条件が一つずつ準備されているようだ。すべての条件が整ったところで危機は本格化すると思われる。今回の金融危機はそうした条件の一つである。Day6には、さらに新たな条件が準備されることだろう。

    続く

    投稿に関しては以下の方針に従い、どうしても必要な場合以外は削除しないことにしておりますが、他者の人格を傷つける不適切な表現がある場合は例外とし、予告無しに削除し、投稿禁止にする場合もあります。

    意味産出の現場としてのBBSやブログ

    また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。

    いま何がおこっているのか?

    ヤスの英語

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    これから起こる可能性のあること2

    もっと早く更新したかったがなかなかうまく行かないものである。いまは、あらゆるシステムが本質的な変動を経験しているときなので、未来がどうなるかはっきりとした見通しを立てるために、とにかくこのブログをしっかり続けて行くことが重要なのだと思う。

    ロシアーグルジア情勢と大手メディアの死

    実際に何が起こっているのか日本や米英の大手メディアではほとんど報道されていないため、今回もロシアーグルジア情勢から始めたい。

    日本のメディアの報道を通してみると、ロシアが主権国家であるグルジアを一方的に侵略し、米英をはじめNATO諸国がグルジアを守るために結束し、このため国際社会(といわれるもの)からロシアが急速に孤立しつつあるようなイメージを抱く。こうしたメディアの報道では、まさにロシアは「悪の帝国」以外のなにものではない。

    情報操作の手段としての大手メディア

    ネットでは、すでに当たり前の常識となってしまっているのであえて述べるまでもないが、日本を含め、CNNやFOXニュースなどの米英の大手メディアは政治的な情報操作の装置と化してしまっており、実質的に報道機関としては死んでしまった。

    2005年9月に行われた総選挙で小泉が率いる与党は圧勝したが、このときは「女刺客」「落下傘部隊」「小泉チルドレン」「抵抗勢力」などの言葉がメディアを埋め尽くし、どのメディアも「日本をよくするために改革に立ち上がった小泉」対「既得権益の維持を目論む抵抗勢力」という勧善懲悪の図式にしたがって報道がなされた。

    この図式とシナリオは、当時の自民党が選挙キャンペーン立案のために契約した世界的な広告宣伝グループ「オムニコムインターナショナル」の中核企業で、選挙キャンペーン専門の「BBDO」がプランを練り、その後、日本側のPR会社「プラップジャパン」に実際の脚本を書かせ、それを電通を通して各メディアに流したものであったことはいまでは詳しく明らかになっている。同じシナリオは、自民党側のネット情報操作チームである「チーム世耕」によって、多数の掲示板やブログに書き込まれ、日本国民へのシナリオの刷り込みが完成したこともいまでは周知の事実だ。この経緯は政治評論家、森田実氏のサイトに詳しい。関心のある方はぜひどうぞ。ここここ

    今回のロシアーグルジア紛争の報道の内容はどのメディアもまったく同一である。米軍の軍事アドバイザーに率いられた米軍装備のグルジア正規軍が最初に攻撃を仕掛けたにもかかわらず、防戦したロシアが一方的に「悪の帝国」として非難されている。おそらく、こうしたまさに金太郎飴のような報道のシナリオは、小泉自民党を大勝させたと同じ方式で作られ、下請けである日本の大手メディアに流されたのであろう。そうでもしないと、すべてのメディアの報道内容の金太郎飴状態は説明できない。

    死につつある大手メディア

    すでに5年前の調査になるが、米メリーランド大学が、どの大手マスメディアの視聴者が事実をもっとも誤解しているか調査した記録がある。結果は以下であった。

    1)「米軍は今回の戦争前に、イラクと国際的テロ組織アルカイダと密接な関係を持っていたとの証拠を握っていた」
      ――(イエスと回答)48%

    2)「米軍はイラクで大量破壊兵器を発見した」
      ――(同)22%

    3)「国際世論はブッシュ政権のイラク戦争開始を支持していた」
      ――(同)25%


    中でも、もっとも事実を誤解していた頻度が高かったのはFOXニュースの視聴者であったという。

    「フォックス・ニュースの視聴者が最も多く思い違いをし、逆に最も少なかったのは公共テレビ・ラジオ放送を情報源にしている回答者だった。フォックス・ニュース視聴者の回答者のうち、ひとつでも思い違いをしたのは80%。これに対し、同公共放送派で思い違いをひとつでもしたのは23%にとどまった。 」

    これはイラク戦争に限定した調査であるが、おそらく政治的なプロパガンダがかかわりやすい他の報道内容も同じような状態であろう。まさに、メディアによって現実が大きく歪められるということではないだろうか?

    現在の日本の大手メディアの視聴率の低落や新聞購読数の低迷をみても、こうしたメディアがすでに見放されつつあることは間違いないようだ。要するに信用できないのである。日本のみならず海外でも、既存のマスメディアは見放され、捨てられて行く運命にあるのだろう。どうせ死ぬのであれば、浮遊霊として化けて出るのではなく、しっかりと成仏してもらいたい。(合掌)(笑)

    実際は何が起こっているのか?

    大手メディアでは一方的にロシアの孤立化が喧伝されているが、実際はどうなのだろうか?今回も、客観性が高いと思われる様々なシンクタンクのレポートを中心にみてみたい。

    ロシアは本当に孤立しているのか?

    ロシアの戦略はあまりに19世紀的であり、国際世論に効果的に訴えかけるソフトパワーが前面に出た21世紀ではまったくの時代遅れだ。長中期的にはロシアの戦略は失敗するだろうとの記事もあるが、むしろそうした意見は少数派だ。ソフトパワーなどというものがそもそも存在していたのかどうかが疑問だ。

    ストラトフォーやグローバルリサーチインスティチュートなどの信頼できるシンクタンク、ならびにさまざまなシンクタンクの研究員や現役の外交官が投稿しているアジアタイムスなどのレポートを読むと、現実は大手マスメディアの報道とはまったく逆になっていることに気づく。

    一言で言うと、ロシアは孤立化するどころか、その独自なネットワークと勢力圏がはっきりと姿を表しつつあるというのが印象である。

    上海協力機構(SCO)と集団安全条約機構(CSTO)

    ロシアは、NATOやWTOに対抗する新たな政治経済的協力機構として2005年に「上海協力機構」を設立した。その正式メンバーは、ロシア、中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンなどだが、将来のメンバー候補としてのオブザーバー資格で、モンゴル、インド、パキスタン、イランなどの国々が参加しているどちらかというと反西欧色の強い協定である。

    「上海協力機構」の特徴は、これが単にWTOのような純粋に経済的な協定に止まらず、合同軍事演習も行う軍事的な協力機構となっていることである。ただ、NATOのような集団安全保障の枠組みはまだもっていない。ロシアは、今回のグルジアとの紛争で、この上海協力機構をNATO並の集団安全保障条約へと格上げしたいようだが、中国はあまり積極的ではない。

    ただ、今回の注目されたのは、先週行われた上海協力機構の首脳会議でロシアのグルジア侵攻が中国を始めとした加盟国によって受け入れられ、サポートが表明されたことだという。中国も、「平和的な解決」を望みながらも「ロシアの行動には理解」を示した。

    さらにロシアは、アルメニア、ベラルーシ、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなどの旧ソビエト連邦の共和国が参加する集団安全条約機構(CSTO)をもっている。規模こそ小さいが、これはNATO並の集団安全保障条約である。つまり、加盟国が攻撃を受けた場合、すべての加盟国が共同で撃退することになっている。

    ところで、上海協力機構は、軍事同盟としての特徴を強くもっているが、集団安全条約機構との合同軍事演習もさかんに行っている。つまり両者は、ロシアの勢力圏を支える枠組みとしての性格をもっているといってもよいだろう。

    EUとの片務的な関係

    また、ロシアのEUとの関係をみると、ロシアがEUに対しては圧倒的に有利な位置にいる。ストラトフォーなどによると、「EUはロシアを必要としているが、ロシアはEUを必要としていない」という片務的な関係にある。

    エネルギー供給者としてのロシア

    2000年に政権の座に着いたプーチンは、エネルギー大国となることを国家戦略においた。原油および天然ガスのロシア経済に占める位置は巨大であり。まさにエネルギー大国としての呼び名がふさわしい。

    ロシア産の原油および天然ガスは、パイプラインでEU諸国に直接供給されている。現在、EU諸国のロシアに対する依存度は高く、以下の図のようになっている。特に、ブルーの色の地域のエネルギー依存度が高い。

    gas

    武器としてのパイプライン

    今週はロシアのグルジア侵攻に対する対応を話し合うためのEU首脳会儀が開かれているが、そこではロシアに対する制裁案が討議される可能性が指摘されている。

    しかしこれに対してロシアは、もし制裁決議が行われた場合、ドイツやポーランドに原油を供給しているデュルザバパイプラインを一時的に閉鎖し、原油の供給をストップする可能性が指摘されている。デイリーテレグラフなどによると、もしこれが実施された場合、原油価格は150ドルから200ドル近辺まで上昇するだろうといわれている。日本経済がなんとかぎりぎり耐えられる限界原油価格は162ドルであることに注意したい。

    Druzhba_Pipeline_800.jpg

    現在ロシア政府は、「そのようなことを行う計画はいまのところない」と否定してはいるが、将来的には十分あり得る事態である。すでに2006年、ウクライナの親米政権に圧力をかけるために、一時的に天然ガスの供給を止めた事例がある。

    反対にEUは、これに対抗し得る手段をもっていないのが現状だ。そのため、EUを主体とするNATO諸国がロシア制裁で足並みをそろえるのは実質的に困難であろうといわれている。

    事実、EU首脳会議はロシア制裁決議案の見送りを決定した。この結果、パイプラインの閉鎖は行われないことになった。原油価格の高騰は当面心配する必要はない。

    G8もWTO加盟も必要としないロシア

    エネルギー大国としてのロシアの確立された地位は、世界貿易や世界金融からロシアを排除することが実質的に困難であり、また排除できたとしてもロシアにはいたくもかゆくもないはずだといわれている。

    需給の逼迫と原油の高価格化がもはや定着してしまった現在、原油と天然ガスの供給者であるロシアを世界経済から締め出すことはまず不可能だと考えられている。ロシアをなんらかの方法によって締め出したとしても、エネルギーの供給制限を受け自滅するのは西欧のほうであるといわれている。つまり、世界はロシアのエネルギーを必要としているが、ロシアは世界を必要としていないというわけだ。

    ましてや、ロシアの原油と天然ガスの開発は外資にはほとんど依存していない。ルクオイル、ガスプロムなどの巨大戦略国営企業が担っている。したがって、海外からの資本投資を制限するような金融的な制裁処置も有効ではないだろう。

    米国が世界に対して一方的な外交を押し付けることができるのは、この国がエネルギー大国でもあり、また食料の自給が可能な農業大国でもあるため、国のサバイバルというレベルでは世界経済への依存度が低く、いざとなったら孤立してもやって行くことができるため、他国に妥協する必然性がないためだといわれている。現在のロシアも、この意味では米国と同じような国なのだ。ロシアは世界をさほど必要とはしていない。

    ロシアがもつ無数のカード

    ロシアと米国およびNATO諸国との関係が本格的に悪化した場合、ロシアには無数の対抗手段があるといわれている。

    1)ウクライナおよびバルト海諸国の不安定化

    ロシアはスターリン時代にエストニア、ラトビア、リトアニアなどのバルト海三国、ならびにウクライナのようなカフカス諸国に対してロシア人の大量移民を促進した。その結果、これらの諸国では現在でも相当数のロシア人がおり、彼らは政治的に新ロシアである。

    バルト海三国やウクライナは現在親米政権であり、特にエストニア、ラトビア、リトアニアの三国はNATOに加盟しているが、ロシアは国内の新ロシア勢力に働きかけ、こうした地域を政治的に不安定化することができる。

    2003年以来、米国は国務省やCIAなどを動員し、グルジア、ウクライナ、キルギスなどでいわゆるカラー革命を起こし親米政権を樹立したが、ほぼこれと同様の手口を使い、親ロ政権を政権を樹立することができる。

    2)中東の反米イスラム勢力の支援

    ロシアはイランをはじめ、中東の反米イスラム諸国や勢力に実質的な影響力を持っているといわれている。イラクは、イランによるシーア派武装勢力のコントロールが成功し安定化に向かっているが、イランを通してシーア派武装勢力を援助して反米テロを再度先鋭化させ、米軍をイラクに釘付けにすることができる。

    さらに、イランには大量の武器を供与し、米国やイスラエルによるイラン攻撃の代償を限りなく大きくすることができる。また、シリアなどにも大量の武器を供与し、この地域における米軍の政策遂行を頓挫させ、なおかつイスラエルの存亡を危機に陥れることができる。

    3)ベネズエラやキューバなどのラテンアメリカやカリブ海の反米諸国の支援

    ベネズエラやキューバなどの反米諸国はロシアと近い関係にあり、この地域におけるロシアの権益を拡大する役割を果たすことができる。ストラトフォーなどによると、すでに両国はロシアがこの地域にミサイル基地の建設を要求したとしても、受け入れる準備ができているのではないかという。もしこれが実現すると、アメリカののど元にナイフをつきつけ脅すことができる。

    4)ロシアの欧米企業に圧力をかける

    ソビエト時代とは異なり、ロシア国内には相当数の欧米の企業が進出している。

    一方、現在のロシア経済は基本的にエネルギーの供給産業がメインであるため、特定地域の市場には依存してはいない。天然ガスと原油は世界中どこでも買い手がすぐにみつかるのである。また、外資の投資に依存する割合も少ない。

    このため、ロシア国内の欧米企業に圧力をかけたり、これを排除したとしても、むしろ損失が大きいのは欧米であり、ロシアの損失は比較的に軽微であると見られている。

    したがってロシアが米国やNATO諸国の政策が気に入らない場合、ロシア国内の欧米企業に強い圧力をかけて脅迫し、これを交渉材料として使うことができる。

    手も足も出なくなった米国

    もちろん、ロシアがすぐに上で述べたようなカードを使うわけではない。だが、EU諸国はロシアに天然ガスと原油を依存しているのでロシア封じ込め政策をとることはできないし、さらにイラクやイラン、アフガニスタンなどの中東地域に兵力の大部分が釘付けになって米国はロシアにたいして強硬な姿勢はとることができないことは間違いない。口では非難したとしても、このままの状態が続くなら、米国はすでにロシアに対して手も足も出ない状況におかれているというのが現状のようだ。

    メドベージェフドクリン

    8月31日、メドベージェフ大統領はテレビインタビューに応える形で5項目にわたる「メドベージェフドクトリン」なるものを発表した。以下の5項目である。

    ① ロシアは国際法を遵守し、これを前提に国際関係を樹立する
    ② 「一極世界」というアメリカの支配状態は不安定である。これを拒否し、より安定的に機能する多極世界を実現する
    ③ 他国との友好関係を維持する。ロシアは孤立化は望まない
    ④ 国外にあるロシア国民の生命と尊厳、そしてロシア企業の利益を守る
    ⑤ ロシアは歴史的な経緯から特権的利益を享受できる地域が存在している。つまり「影響圏」を持っていることを宣言する


    ここで特に重要なのは②、④そして⑤だと考えられている。

    多極化した世界システムにおけるロシア政治経済圏の成立

    このドクトリンで特に注目に値するのは②であるとされる。すなわちロシアは、ドルを唯一の基軸通貨として米国が覇権をとる現在のグローバルシステムに代わる多極的システムを志向し、モスクワを中心にコントロールされるロシア政治経済圏(ロシア勢力圏)がこのシステムの中で重要な要素となると宣言したことになるのである。すでに成立しているEU、そして中国を中心とした「東アジア共同体構想」とならぶ「ロシア政治経済圏」の成立である。

    さらにロシアは、こうした自らの政治経済圏を守るために、国外のロシア国民の利益の保護を名目に自らの影響圏内にある諸国の政権に干渉し、ロシアの利益に合うように政権の方針を変更させる意図があるということである。当然、この影響圏には旧ソビエト諸国だけではなく、東欧の全域が入ることになることはまちがいない。

    さらに遠くなったイラン攻撃

    現状からみて、イラン攻撃はさらに遠のいたとみて間違いないだろう。現状では米国にイランを攻撃する余裕はまったくないが、万が一攻撃のそぶりを示した場合は、今度はロシアは露骨にイランの支援をちらつかせるだろう。

    何度も記事で書いたが、原油価格は中東の地政学的リスクと連動している。イラン戦争がさらに遠のいたということは、原油価格はさらに下げ、1バーレル100ドルをゆうに割り込む日も遠くないだろう。

    高株価、原油・商品安のトレンド

    原油や商品市場と株式市場は連動している。原油・商品安のトレンドは投機資金が商品市場から引き上げられ、株に向かうことになる。この結果、これからはダウ平均は上昇し、それに伴い日経も上げるのではないかと思う。

    ロシアが狙う次の地域、コソボ

    ロシア政治経済圏の樹立を宣言した以上、ロシアはこのドクトリンにのっとり影響圏を確保する目的から、グルジアのみならず他の地域に自らの方針を主張してくるものと思われる。次に地域はどこであろうか?

    いくつかのシンクタンクのレポートでは、次の地域はコソボになるのではないかと推測するものがある。

    1999年のコソボ紛争以来、NATO軍の管理下にあったコソボ自治州は、セリビアからの独立を強く主張していたが、セルビアを支持し、また地域全体の不安定化を恐れるロシアの強い要求にもかかわらず、今年の4月、米国およびNATO諸国はコソボの独立を一方的に承認してしまった。

    旧ユーゴスラビアは旧ソビエトの衛星国の一つであった。ロシアはこれによってみずからの影響圏の重要な権益が侵されたとみており、コソボの独立を、グルジアの親米政権成立と一続きの問題として捉えているという。次は、コソボのセルビア系住民に働きかけ、コソボの親米政権を不安定化させ、政権の変更を計画するのではないかとも見られている。

    予言とのシンクロ

    ところで、ここまでくると予言とのシンクロが実現する可能性さえ見えてくる。以下のようにアロイス・イルマイルは述べている。

    「すべてが平和だったが、突然、中東で新たな戦争が勃発し、地中海で巨大な艦隊が敵意にみちながら待機する。状況は緊張する。しかしながら実際の火種はバルカンで発生する。私は”巨大な人物”が倒れ、血にぬれた短剣が横たわるのが見える。すると一気に事は進行する。2人の男性たちが3番目に高い地位の高官を消す。彼らは他の人々によって支払われた。3番目の殺人は起こった。 それから戦争は始まる。」

    ここでいう「バルカン」とはコソボのことだろうか?

    予言とのさらなるシンクロ

    このブログの読者の方からあの「エノク予言」のビリー・マイヤーが1997年に著した「地球外的知的生命プレアデスとのコンタクト」という本を紹介いただいたので早速読んでみた。実に興味深い本である。この中に次のような予言の個所がある。

    P420-P445
    新しい兵器と同様に、4人の国家元首が7日間のうちに引き続いて死亡し話題をにぎわすことになろう。これはもし地球人類がここで正気に立ち戻ってすべての邪悪を排除しなければ、ずっと前から恐れていた世界大戦が2年以内についに勃発するという最後の警告となるであろう。そうなれば、新しい殺人兵器に反対し、排斥しようとしてももはや救う道はないであろう。なぜなら多くの国々の兵器庫にはもうぎっしりそのような兵器が詰まっているからである。従って、このような兵器を禁止する法律を、後から作っても何の役にも立たない。もうそろそろ人間が正気を取り戻さなければ、第三次世界大戦は避けることができないところまできている。

    普通の兵器で始まるその戦争はその後、核兵器、化学兵器、生物兵器へとエスカレートしていくことであろう。世界大戦はある年の11月、約5年間の集中的な準備の後に起こるであろうが、さらに4年間の漠然とした準備期間がそれに先行している。もしも戦争が実際に起こるとすれば、それは3年と11カ月間、つまり4年目の川月に終わることになろう。人類が預言を預言にとどめずに、実現させてしまうなら、そのときには地球の北半球は核爆弾と放射能のためほとんど破壊され、動物も植物もすべて全滅させられることであろう。そうなれば4年間の戦争の後、さらにH年にわたる苦渋の年月がそれに続き、貧窮や飢餓、その他多くの災害が人類を見舞うことになろう。」


    これは先の記事で紹介したババ・バンガとほぼ同一の内容ではないだろうか?

    「2008年
    4名の元首や首相が暗殺される。インドネシアで紛争が発生する。これが第三次世界大戦の引き金となる。

    2010年
    第三次世界大戦が始まる。戦争は2010年11月に始まり、2014年10月に終わるが、核兵器と化学兵器が使われる。」


    予言のシンクロはやはり否定できないように思われる。バルカンで暗殺があるのだろうか?その時期はイルマイルが示した「889」や「898」と関連があるのだろうか?それはもっとも近い日で「2008年9月8日」になるが、この日に何かあるのだろうか?

    第一次世界大戦前夜とよく似てきた状況

    どうも状況全体が1914年の第一次世界大戦前夜の状況とよく似てきているように思う。それを指摘し、今が第三次大戦前夜であることをまじめに論ずる記事も出てくるようになった。次回はこれを詳しく書く。

    続く

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