2008年と今後の世界2
また、多数のコメントをいただいているにもかかわらず、返事を書いていないのが悔やまれる。一両日中にレスをするつもりなので、いましばらく待ってほしい。
現在の情勢
かねてからこのブログでも米国経済および基軸通貨としてのドルの凋落と、それに基づく世界経済の多極化に関して書いて生きたが、いままさに目の前でそうした事態がどんどん進行しているように見える。先週、今週および来週まで米国の主要な金融機関、保険会社、クレジット会社の決算発表が続くが、サブプライムローンによる損失は市場の予想を上回る大きさで、米国がいち早く深刻な不況に突入したことをうかがわせる。
このような事態に対処しようと、18日ブッシュは1400億~1500億ドル緊急経済対策を発表したが、対策が企業と個人に対する減税による国内消費の刺激策が柱であり、サブプライムローン問題の抜本的な解決策は示されていないことから、市場の反応は実に冷ややかだった。日本でも一時行われたような、金融機関に対する公的資金の投入を求める声も強いが、昨年の8月以来ブッシュは公的資金の投入を一切拒否する姿勢を変えていない。ただ、サブプライムローンは証券化された金融商品として発売されているので、問題はこれを購入したすべての金融機関に及ぶため、どこに公的資金の投入すべきか焦点がまったく定まらない。そのため、公的資金の投入という政策そのものがサブプライムローンの抜本的な解決にかんしてはほとんど無意味だろうとの意見も強い。
サブプライムローン問題はこれから本格化することは間違いないように思う。問題の実体経済への影響は否定しようもなく、このまま行くとおそらく2月あたりから景気低迷によるリストラが始まり、この結果、ブッシュのローン金利据え置き政策によって今までサブプライムローンを何とか支払えていたローンの借り手の多くが支払えなくなるため、サブプライムローン問題はさらに悪化することも予想される。
いまは国際的な協調行動による巨額な資金投入によって市場の崩壊は避けられているが、これから悪化する問題の規模によって、国際協調さえ難しくなる局面も考えられる。やはりコルマンインデックスのいうように、2008年11月13日に始まるDay6か、またが11月12日に終わるNight5の最後に、米国主導の世界経済システムは崩壊を余儀なくされる可能性は大きいように思う。いずれにせよ、今後ある程度のより戻しも経験しながらも、世界は確実に多極化への動きを早めてゆくはずである。
2012地球大異変―科学が予言する文明の終焉
今後の世界情勢や経済に関する情報も膨大にあるので、今回はいつものようにこれに関して書くつもりだったが迷ってしまった。
それというのも、すでに方々で紹介されている『2012地球大異変―科学が予言する文明の終焉』(日本放送出版協会)という本、およびこれに関する科学記事や論文のいくつかを読んだからである。この本は、現在の科学的研究からみたら、マヤカレンダーが終了する年である2012年にいったい何が起こるのか究明しようとした本である。実に面白いので一読をお勧めする。
今回はこちらのほうがより重要だと思い、これに関してブログを書くことにした。いつもの話題は稿を改めて書くつもりである。
ただ、筆者は自然科学の素養はまったくないため、以下に紹介する理論を論評する能力はない。読者諸氏の判断にゆだねたいと思う。
冗談ではないかもしれない2012年
コルマンはマヤカレンダーをおもに社会経済的な変動の側面から扱っている。その点ではコルマンの研究は群を抜いているように思う。ただ、自然環境の変化はコルマンの守備範囲とはかならずしもいえないので、この点方マヤカレンダーにアプローチするには別の論理なり著者が必要だろう。地球環境の変化は、いまわれわれが経験している社会経済的な変化の重要な背景になるので、押さえておく必要がある。
『2012地球大異変』は、予言から科学までさまざまな話題を取り上げている。マヤカレンダーが真に意味するところを発見するために、グアテマラのマヤのシャーマンの「カルロス・バリオス」などにもインタビューをしている。
この本には明らかに二つの柱がある。一つは「地球サーモスタット理論」であり、もう一つはいわば「星間空間通過説」ともいえるものである。
地球サーモスタット理論
前回の記事でも書いたが、年初から太陽は新しい活動期のサイクル24に入った。このサイクルがピークを迎えるのは2011年から2012年であり、太陽の活動はこれまでより30%-50%増大するだろうと考えられている。
地球の表面温度は約11周期の太陽活動と90%を超える確率で連動しているため、サイクル24に入ると地球温暖化ははるかに加速化するだろうとも言われている。約400年前から黒点の数は観測されているが、サイクル24では黒点数は400を超え、過去400年間で最大の活動になると考えられている。
さらに、『2012地球大異変』の専門家とのインタビューによると、約11000年前に最後の氷河期が終焉したが、このとき北極圏の氷は約3年で溶け、氷河は一気に後退したはずだという。そして驚くべきことに、現在の地球の平均気温はこのときに平均気温よりもはるかに高いはずだという。
サイクル24ではさらなる気温上昇が予想されるため、前回の記事でも書いたような深刻な事態が進展することが予想されるのはむしろ当然なのかもしれない。
地球サーモスタット理論とは、地球の表面温度が一定レベルを超えて上昇した場合、これを冷やし気温を低下させるメカニズムをあらかじめ地球は内在しているのではないかという考えだ。
スーパー火山と巨大ハリケーン
このメカニズムにあたるものが、スーパー火山といわれる巨大火山の噴火と巨大ハリケーンだという。すでにテレビなどでも広く紹介されているのでよく知られているはずだ。1963年と1993年を比較すると、ハリケーン、地震、火山噴火、台風の発生率は410倍になっているが、この増加こそサーモスタット機能の結果なのだという。
巨大火山の噴火は膨大な火山灰を発生させるが、それは地球を覆い太陽光線が地上に達するのを妨害する。この作用による気温の極端な低下が過去に数回発生した氷河期の引き金にもなったはずだという。
インドネシアのトバ火山、アメリカのイエローストーンなどのスーパー火山がいくつも存在しているが、サイクル24に入り、太陽活動がそのピークに達する2011年から2012年には、地球に内在するサーモスタット機能の作動から、この時期に噴火が相次ぐ可能性がもっとも大きくなるのではないかというのがこの本の一つの柱になっている考えだ。
星間空間通過説
このサーモスタット機能説は日本でも比較的に広く紹介され、すでに知られている。それに対して「星間空間通過説」はそれほど知られていないかもしれない。
これに対して、日本ではフォトンベルトなる概念が先行的に広まったため。「星間空間通過説」はあまり知られていないのかもしれない。
実在が怪しいフォトンベルト
ウィキペディアのフォトンベルトの項にもあるように、フォトンベルトやこれに伴う次元上昇という現象が実際に存在するのかどうかかなり怪しいと考えたほうが妥当であるように筆者は思う。ここでは詳しい説明は避け、ウィキペディアのフォトンベルトの項の一部をここに引用する。
・そもそもフォトンは光子であり、フォトンの帯が形成されることはない。
・太陽系は銀河系中心に対して約2億2600万年周期で公転しており、プレアデス星団を中心に回るということはない。地球の歳差運動が約26,000年周期であることから、これとの混同であると思われる。また、実際に26,000年周期で太陽系が銀河系を公転するとすると、光速度を超えてしまう(特殊相対性理論に反する)。
・フォトンベルト説では、地球がプレアデス星団のまわりを回っている説と、わずか26,000年で銀河を回るという二説が、それぞれ矛盾するにもかかわらず併記されていることが多い。しかも、その両説ともに間違っている。
・NASAが観測したフォトンベルトは、フォトンベルトと無関係の銀河NGC4650Aのことであり、その後フォトンベルトに言及がないのは当然である。
だが、太陽系になにも起きていないかといえばまったくそうではない。以下のような強大な変化が太陽系のほとんどの惑星で起きている。
大気の増加
火星では大気の厚みが増し、NASAの予想よりも約2倍濃くなっている。このため、1997年にはマースオブザーバーのバックアップ機の一つが厚い大気に阻まれクラッシュした。さらに、これと同様のことが木星、天王星、海王星でも起きている。
また、火星の北極に存在が確認されている氷の塊が早いスピードで溶けている。温暖化現象は火星でも発生している。
増大する惑星の明るさ
金星の明るさは増大している。木星のエネルギーは明らかに増加しており、木星の月のイオと木星を結ぶイオン化した放射能のチューブが見えるようになった。天王星と海王星の明るさも増大している。
惑星を取り巻く磁場の変化
木星の磁場の強さは2倍になっており、天王星や海王星でも磁場の同じような増大が見られる。
ポールシフト
天王星と海王星でポールシフトが起きた。ボイジャー2号が二つの惑星を通過したときの計測では、北極と南極が地軸に対して約50度ほどずれていた。
このような巨大な変化が太陽系の多くの惑星で起こっているが、その原因は太陽系全体のエネルギーのレベルが増しているからだろうと考えられている。先の記事でも書いたが、太陽活動が活発化している原因の一つは、太陽が長期的な活動期のサイクルに入ったからだとされているが、それを引き起こしている原因は太陽系全体の活性化とエネルギーレベルの増大にあるのではないかという。
アレクセイ・デミートリエフ博士
ロシアのシベリア科学アカデミーに所属するアレクセイ・デミートリエフ博士は、1998年に「地球と生命の惑星物理学的状態」という画期的な論文を発表し、その中で太陽系全体が活性化している理由は、太陽系がエネルギーの凝集した星間空間に入ったことであるとしている。『2012地球大異変』から引用する。
「太陽系は天の川銀河(銀河系)のなかを不明確な軌道を輝いて動いており、かたや銀河系も宇宙のなかをどこへともなく移動している。太陽系が実際におそらくは好ましくない新たな環境へと移動している可能性については、これまで誰も言及してこなかった。やがてそうなるのは理の当然なのだが。星間空間が一様に暗く、冷たく、何もない場所でありつづける保証はないのである。いま、ドミートリエフはこの太陽圏が難所に差しかかったと説明する。具体的に言うと、水素、ヘリウム、ヒドロキシラジカル(水素原子が酸素原子と単結合したもの)、およびその他の元素や化合物などを含む磁気をおびた細長い帯や溝だ。つまり、おそらくは爆発した星の残骸である、宇宙のゴミだ。」
太陽は大量の太陽風を放出している。太陽風の届く範囲を太陽圏、または太陽系圏、ヘリオスフィア などと呼ぶが、太陽系がエネルギーが充満した星間空間に入ると、強大な衝撃波が発生するという。以下の図参照。

「水を押し分けて進む船をはじめ、ほかの媒体を通過するものはなんでもそうだが、太陽圏も星間空間の粒子をかきわける際に、その前方に衝撃波を生みだした。衝撃波は、太陽圏がこの宇宙の高密度領域に入るにつれて、大きく激しいものになった。ドミートリエフは太陽圏の衝撃彼が一〇倍ほどに増大して、三ないし四AUから」四〇AU以上になったと見積もる(AUはアストロノミカルユニツト天文単位のことで、一AUは地球と太陽の距離、約一億五〇〇〇万キロメートル)。」(前掲書)
そして、「この衝撃波の増大は境界面でひそかに反応し合うプラズマを形成させ、それが太陽系の周囲でプラズマの過剰放出につながり、やがて惑星間の領域にもなだれ込んでくるようになる……。このなだれ込みは、星間空間から太陽系に向けられた一種の物質とエネルギーの贈与からなる」と、ドミートリエフは議論を呼ぶ研究論文「地球と生命の惑星物理学的状態」のなかで書いている。
この結果、「結果的に、惑星間の領域に大量のエネルギーが投入され、太陽を揺すぶって不安定な行動をとらせ、地磁気を弱め、ぼくらの惑星が経験している地球温暖化を激化させている可能性があるのだ。」ということだ。(前掲書)
デミートリエフ博士ははっきりと述べる。
「太陽活動が盛んになっているのは、星間のエネルギー雲のなかへ移動するにつれて、われわれが経験している物質、エネルギー、情報の流れが増加しており、それがじかに反映された結果なのだ。太陽には新たな要求が課せられており、われわれはこうした要求が地球におよぼす衝撃を経験しているのだ。」(前掲書)
そして以下のような結論を下す。
「地球とその近辺の宇宙の双方に関連した、この恐ろしい現象[衝撃波]に関しては、完全に明白で、かつ信頼にたる兆候がある。(中略)われわれにとって本当に重要なのは、それらを理解して受け入れ、生き残ろうと努力することだ。」
本の著者、ローレンス E.ジョセフに2012年に関する意見をしつこく聞かれたデミートリエフ博士は最後に以下のように述べた。
「これまで話してきた地球規模の大災害、ハリケーンや地震や火山噴火が同時に進行し、正のフィードバックループで拡大し、それが手に負えないものに発展して、われわれの現代文明の存在そのものを脅かす事態は、おそらく何十年後ではなく、何年か後に起こるだろう。」
2012年にはあと4年しかない。アレクセイ・デミートリエフ博士の発表した論文、「地球と生命の惑星物理学的状態」の英訳は全文がネットで公開されている。関心がある人はぜひ読むことをお勧めする。科学論文であるにもかかわらず、その内容は『2012地球大異変』よりもはるかに怖い。
続く
ヤスの英語
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