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    2007-12

    予言の評価と今後のシナリオ2

    今回は、中央ヨーロッパで第三次大戦に関する予言の大御所、「アロイス・イルマイル」と「ワールドビーデルの千里眼」の予言の一部を紹介するが、その前に確認しておきたいことがある。

    陥り安い罠

    サブプライムローンに端を発する今回の金融危機は、最終的には基軸通貨としてのドル放棄にまでいたる可能性があることはさまざまなメディアによって次第に認知されてきたことは前回述べた。予言されてきたような内容が、加速度的に現実味のあるものとして迫ったくるようになったと言えよう。

    しかし、予言の内容が一定程度のリアリティーを持つようになったこのようなときには、筆者自身が注意しなければならないことがあるように思う。

    それは、予言の提示するリアリティーの方に強く引き寄せられてしまい、現実認識とのバランスを失うことである。そうすると、あたかも予言どおりに現実が進行するのが当たり前であるかように思ってしまい、その結果、未来を過度に恐怖したり悲観するようになってしまうことにもなりかねない。

    このようなことが起こるのも、予言の枠組みを前提にして現実を見ているからだろう。予言の枠組みを現実に当てはめて、現実に起こった出来事を評価すると、いまにも予言された未来が起こるかのような印象を持ってしまうのだ。

    だが、重要なことは、これとは異なった視点の設定だと思う。立場を変え、現実認識というしっかりした基盤に視点を据え、そこから予言の枠組みを評価してゆくという逆の視点ではないだろうか。このブログの視点をもそうだ。

    したがって、これからさまざまな予言を紹介して行くのだが、バランスをとるためにも、その前に一度現実認識の地盤をしっかりと固め、そこからどんなシナリオが導出可能なのか確認しておきたいと思う。

    基軸通貨の変更とはそもそも何なのか?

    ドルが基軸通貨としての地位を追われ、アメリカの覇権の終焉が将来起こり得る現実性のある事態として多くのメディアが語り始めた。それは、マヤカレンダーのコルマンやショーン・デービット・モートンなどが予言していた事態のようにみえる。コルマンやモートンは2007年11月18日から始まるマヤカレンダーのNight5からドル放棄の流れは加速すると予言していたが、現実にそのようになりつつある。予言が予告した事態が実現しつつあるようにみえるのだ。

    だがそもそも基軸通貨とは何であり、ドルがその地位を追われることがどうしてそれほど危機的な事態なのだろうか?今後、予言を将来起り得る事態を読み取るツールとして活用するためには、この問いに明確に答えておかなければならないだろう。

    基軸通貨とは何なのか?

    当然、どの国も自国独自の通貨を持っており、ものやサービスの流通にはこれを用いている。流通が国内に限定されているときには自国通貨だけでことが足りるが、ものやサービスが国境を越えて国際的に取引されるようになると、国際的な決済手段が別に必要になる。相手国に輸入代金を自国通貨で支払っても、その通貨は相手国では使えないからだ。国際的な決済手段はどの国も受け取りを承認するものでなければならない。長い間、戦前まではこうした国際的な決済手段は金そのものであった。ものやサービスの輸出入の決済は金の現物の移動が伴った。

    金本位制

    だが、通貨が別の国の通貨と交換できないとなると大きな問題が発生する。それは、国際的な投資ができないということである。ある国が別の国に投資をしようとするとき、それは相手国の通貨で行うほかはない。たとえば、日本の投資家がアメリカの債権を購入するとしよう。その場合投資家は、円をドルに交換してドルで債権を購入しなければならない。なので、通貨を相互に交換できることは投資にとって非常に重要なのだ。

    ところで、通貨が相互に交換可能であるためには、すべての通貨の価値が共通の尺度を基準にして算出されなければならない。共通の尺度が存在してこそ、さまざまな通貨は交換可能となる。

    戦前まで、この共通の尺度は金であった。すべての通貨の価値は金によって評価されたのである。通貨が金を基準にして価値が算定されるシステムを金本位制という。

    金兌換

    金本位制のもとでは通貨の価値を保証するものは金である。しかしそれが成り立つためには、各国の通貨と金がいつでも交換できなければならない。通貨が金と実際に交換可能になって始めて、その通貨が金を基準にした価値が実際にあることが分かる。この通貨と金とがいつでも交換可能であることを金兌換という。これを保障したのは各国の中央銀行であった。戦前までは主要な通貨はすべて金兌換が可能であった。

    金本位制の問題点

    通貨の発行量が金の保有高によって制限される

    金本位制は19世紀の前半から戦前まで国際経済を支える基本的なシステムであった。だが、金本位制に深刻な問題もあったことも事実である。

    各国の通貨が金といつでも交換できる金兌換を維持するためには、各国の通貨の発行額はその国の金の保有高を大きく越えてはならない。

    発行される通貨の額が金の保有額を大きく越えるようになると、貨幣価値は低下しその国の通貨は信用を喪失する。するとその国の国民も含めて、その国の通貨を保有する多くの機関や人々は、通貨の信用が完全になくなる前に金に交換しようと金融機関に殺到する。その結果、その国は金保有を一挙に喪失し、通貨の発行もままならなくなってしまう。

    ここまでくると、その国は金という対外的な支払い手段がないので、国際経済から撤退するほかなくなってしまう。以下がその図式だ。

    「通貨の発行量が金の保有高を越える」→「通貨価値の下落」→「金交換請求の殺到」→「金保有の激減」→「国際的な決済手段の喪失」→「国際経済からの撤退」

    このような事態を避けるためには、通貨の発行量をその国の金保有高という狭い範囲に制限しておく必要性がある。こうすることによって各国の政府は、貨幣の価値を維持した。したがって、特に本来の金本位制の時期には、現代にはあるような極端なインフレはほとんど存在しなかった。本来の金本位制の時期とは1873年から1913年までのパックス・ブリタニカといわれた期間である。

    政府の公共投資

    一方、経済の安定的な成長の維持には政府の役割は大変に重要である。政府は国内の景気を調整しようとするが、現代ではそのもっとも有効な手段は巨額な公共投資である。

    現代の政府は、景気が下降し国内の需要も冷えきった不況期には巨額の公共投資をいくつも発注し、多くの産業を刺激する。すると産業が活性化し、雇用が創出されるので、国内の需要も息を吹き返す。国内需要の回復はさらに産業を活性化させるので、好景気に突入する、という図式だ。

    「巨額の公共投資」→「多くの産業を刺激」→「雇用の創出と賃金の上昇」→「国内の需要の増大」→「産業をさらに刺激」→「好景気に突入」

    財源の問題

    戦後、どの先進国もこの方式で高成長を達成した。日本や旧西ドイツなどの国はその典型である。

    だが、政府がこうした巨額の公共投資を行うには財源が当然必要になる。税収や他国からの借金でも賄うが、当然それだけでは巨額な公共投資を長い間賄うためには十分ではない。

    そこでもっとも重要になるのは政府の通貨の発行量の増大である。政府が通貨の供給を調整する権限をもっていると、通貨の発行量を増やし、それを財源とすることで公共投資はいくらでも行うことができる。

    しかしながら、すでにみたように、金本位制のもとでは、通貨の発行量は金の保有高を越えることは許されなかった。これを越えることは深刻な事態を招いた。

    したがって、金本位制のもとでは、戦後可能となったような巨額の公共投資は不可能であった。その結果、一度不況に陥ると政府はなすすべがなく、自然な回復を待つほかなかった。

    当然、社会福祉や健康保健や年金、そして失業保険や生活保護などもそれなりに大きな財源を必要とする。通貨の増刷ができない政府は、当然このようなサービスを十分に提供することは難しかった。その結果、不況は激烈なものとなり、不況のたびにデモや騒乱のような社会不安が激増した。図式化すると以下のようになる。

    「通貨の発行量が増やせない」→「公共投資や社会サービスの財源が十分にない」→「有効な景気刺激策が打てない」→「激烈な不況」→「社会不安の醸成」

    戦後のシステム、プレトンウッズ体制

    上記のような社会の不安定な状態がファシズムを台頭させ、第二次大戦の原因の一つになったとの認識から、戦後はまったく異なった体制が作られた。それをプレトンウッズ体制とよぶ。

    基軸通貨としてのドル

    この体制では金本位制は放棄された。各国の通貨はもはや金を基準にしてその価値を保証されることはなくなった。

    これまでの金の地位についたのがドルであった。各国の通貨はドルとの固定した比率での交換が保証され(固定相場制)、これが各国通貨の価値の保証となった。このため国境を越えたものやサービスの取引では、ドルが共通した決済手段となった。

    ではドルの価値はなにによってその価値が保証されたのであろうか?それは金であった。ドルのみ、金との即時の交換が保証されており、金本位制下の各国通貨と同じような状態であった。

    だが、このシステムは金本位制とはいくつかの点で大きく異なっていた。

    まず、ドルが金と交換可能といっても誰でも交換を請求できるわけではなかった。請求権は各国の中央銀行に制限されていた。

    さらに、各国の中央銀行と米国との間には紳士協定のようなものが存在しており、各国の中央銀行はよほどの必要性がない限り、保有するドルの金との交換を請求しないことになっていた。

    この結果、金との交換はめったに発生しないのだから、アメリカも自国の金保有量に制限されないで通貨を増刷する自由を手にした。

    こうした体制をドル本位制という。

    ドル本位制

    ドル本位制のもとでは各国は金保有量には一切制限されない通貨の自由な発行権限を得た。各国がこの方式で創出した財源に基づき公共投資を行い経済成長を達成したことはすでに述べた。

    他方、ドル本位制のもとでも通貨の発行には制限が設定されていた。完全に自由ではなかった。各国ともドルとの固定相場が設定されていたので、これを大幅に上回るような通貨の発行はできなかった。各国は固定相場の維持に努めなければならなかったのである。

    このため各国政府は、自国の通貨がドルに対して安くなり過ぎると、為替市場で保有するドルを売り自国通貨を買い、反対に自国通貨が高くなりすぎれば自国通貨がを売ってドルを買うという操作を行った。

    各国がこうした操作を行うには、当然ドルを保有していなければならない。もともと保有するドルがなければドルを売って自国通貨を買うという操作も行う余地もない。

    アメリカ政府は、これに必要なドルを、援助、超低利の貸し付け、各国の製品の買い取りなどの方法でドルを無尽蔵に散布した。ドル紙幣はアメリカに国内通貨である。それは印刷すればいくらでも刷れるので、アメリカ政府にとってはいたくもかゆくもなかった。ましてや、各国の中央銀行は金との交換を請求してくることはないのだから、これはなんの問題もなかった。図式化すると以下のようになる。

    「アメリカ政府によるドル散布」→「各国政府は保有ドルを用いて為替レートを安定させる」→「固定相場制の維持」

    ドル本位制の根本的な変質

    戦後スタートしたプレトンウッズ体制のドル本位制は、50年代から60年代前半にかけて各国の高度経済成長を実現しつつ、安定した通貨体制として機能した。だが、60年代も後半にはいると、1)日本やヨーロッパ諸国の経済成長、2)ベトナム戦争による巨額の出費などの原因よって、アメリカは各国に対して決定的に競争力を失うにいたった。固定相場制のもとでドルとの交換レートは固定されていたが、このままではドルの価値は大幅な下落を余儀なくされるだろうと各国は考えるようになった。ドル不安の発生である

    各国の中央銀行は、これまでの紳士協定を放棄し、ドルの金交換をいっせいに請求しだした。自国の保有するドルやドル資産が急速に減価する可能性があるのだから、実際に減価するまえに金に交換してしまえということだ。

    この激しい金交換のラッシュをゴールドラッシュとよぶ。それは60年と68年の二度起ったが、特に68年のゴールドラッシュは巨大だった。

    これ以降、アメリカ政府は膨大な金の喪失に耐えられなくなり、とうとう1971年のニクソン大統領の声明によってドルと金との交換は停止した。これにより各国通貨同様、ドルの価値も金によって保証されることはなくなった。これをニクソン・ショックという。

    変動相場制の世界

    ドルと金の交換停止によって固定相場制も放棄された。これ以降、通貨の価値は外国為替市場における通貨の需要と供給だけで決定されるようになった。かねてから大幅な減価が叫ばれていたドルは、大幅に下落した。

    このとき、ドルがもはや基軸通貨としては放棄されるのではないかとの観測が説得性を持ったのもこの時期である。いまも同じ可能性がささやかれているが、実はこれは過去にもあったのである。

    ベトナム戦争の失敗による巨額の出費がきっかけとなったことといい、いまのイラク戦争後の状態と非常によく似ている。以前記事に書いたジョン・ホーグやサイクルマガジンなどが唱える40数年のサイクルがここに見られるかもしれない。これについては機会があればいずれ書く。

    ドルを基軸通貨とした新たなシステム

    だが、周知のように、ドルの放棄は起らなかった。金の後ろ盾を失ったにもかかわらず、ドルは依然として基軸通貨であり続けた。

    いまのユーロのように、この当時他に候補となる通貨がなかったからではない。理由はもっと別のところにあった。

    ドルのもとで、固定相場制のころ以上に安定したシステムが出現したからである。

    意外に安定していた変動相場制下のドル機軸通貨制

    変動相場制下ではこれまでには存在していなかった循環が生まれた。

    まず、アメリカ政府は、日本やヨーロッパに対して国内産業の競争力が失われつつあるにもかかわらず、自由貿易を堅持し、国内市場を外国製品に開け放っていた。このため、アメリカ国内の産業(特に製造業)は大打撃を受け、倒産と撤退が相次いだ。

    だが反対にこれは各国政府からみると、アメリカという巨大市場が出現したこと意味した。これまで以上にアメリカは、世界最大の市場となった。各国は市場としてのアメリカに向けて膨大な製品を輸出してくるようになった。

    当然このとき、アメリカの支払い手段はドルである。もはや金との交換は停止されているし、なおかつ変動相場制なので、固定相場の維持の必要からドルの増刷を制限する必要はない。支払い手段が必要であれば、どんどんドルを印刷して支払えば済むのである。

    一方、ドルを受け取った各国はドルのやり場に苦慮した。ドルは国内では使えない。使うためには、外国為替市場でドルを売り自国通貨と交換しなければならない。

    だが、これは簡単にはできないことであった。変動相場制ではどの通貨の価値も需要と供給のバランスだけで決定される。すると、ドルを売って自国通貨に交換すると自国通貨の需要が高まり、その結果、自国通貨の価値は上がってしまう。円でいうならいわば円高の状態である。

    自国通貨の価値が上がると輸出は減退する。例えば、交換レートが1ドル、110円のとき、日本で110円の商品を1ドルで輸出して利益を上げていた企業があったとする。円高のため交換レートが1ドル、50円になったとすると、この企業は、日本で110円で売っている商品をもはや1ドルで販売することはできない。50円しか得られないからである。では2ドルより高い価格に設定すればよいわけだが、それで製品は売れるだろうか?値上げするわけだから売れるはずもない。必然的に輸出は減退する。

    自国通貨が高くなることのマイナスの影響は全産業におよぶ。この結果、国内景気は減退する。このため各国政府は、輸出で得たドルを安易に自国通貨と交換することはできなくなる。以下の流れを図式化すると以下のようになる。

    「アメリカへの輸出」→「支払い代金としてのドルの受け取り」→「為替市場で自国通貨と交換」→「自国通貨の上昇」→「輸出の減退」→「景気の減速」

    ドルのアメリカへの還流

    自国通貨の高騰を避け、輸出の減退を回避するためには、安易にドルを自国通貨へと交換することは避けなければならない。

    このためには各国は、輸出で得たドルを自国通貨と交換することなく、ドルのままアメリカに戻してやるほかない。これは、米国債、株式、米国市場のさまざまな証券や債権、または不動産などの購買という形で行われた。これをドルの還流という。要するにアメリカへの再投資である。

    アメリカにとってはこれは、支払った輸出代金がそのまま戻ってくることを意味する。

    基軸通貨国ではない国がドルを得るためには、競争力のある産業を育成し、製品の輸出を通してドルを得るほかはない。競争力のある産業の育成には大変な努力を要する。

    だが、唯一の基軸通貨国であるアメリカはこうした産業を育成する努力をする必要から免除されている。各国に国内市場を開放するだけで、ドルは還流してくるからだ。このため、アメリカの金融市場は世界中から投資資金が集まりいつでも活況を呈した状態になった。

    この循環をより確実なものにするため、米国政府は投資資金が集まりやすい環境を作った。利回りが他の諸国よりも低くなったとき、投資資金はうま味がある国へ脱げて行く。このため、米国債の利回りや市場金利などを他の諸国よりも高めに設定する必要があった。この条件さえ守っていれば、ドルの還流とその再投資は確実に発生した。

    これを図式化すると次のようになる。

    「米国への輸出」→「支払い代金としてのドルの受け取り」→「米政府は利回りを高めに設定」→「米国への再投資」→「米国金融市場の活況」

    ドルの還流に完全に依存した米国財政

    ドルが基軸通貨である限り、上記のようなドルの還流は確実に発生した。このため、米国の政府財政は還流してくるドルに対する依存度を徹底的に深めていった。政府がどれほど巨額の財政赤字を計上しようとも、ドルの還流がある限り、赤字はこの還流によってたちどころに補填された。

    この結果、米国政府は財政赤字に対するコントロールを次第に喪失するようになった。つまり、政府がどれだけ使ってもどんどんドルは入ってくるので、赤字の大きさにまったく無自覚になるということだ。それは下記のような図式である。

    「米国への輸出」→「支払い代金としてのドルの受け取り」→「米政府は利回りを高めに設定」→「米国への再投資」→「米国金融市場の活況」→「政府財政の依存と借金体質」

    各国にとってのインフラとしての米国

    変動相場制の導入以降に登場したこのシステムは非常に安定していた。

    まず、各国からみると米国は、経済成長を支える巨大なインフラのようなものとして写る。ドルを基軸通貨としたシステムは、このインフラを維持管理するもっとも効率的な方法であった。

    また、米国からみるとこのシステムは、なんの努力をしなくてもドルが自動的に入ってくる無尽蔵の自動現金支払い機のようなものとして感じられた。このシステムがある限り、政府支出の上限さえ意識しなくてよい。まさにシャブ中のような状態だ。

    このように、これは双方にとって必要なシステムであった。これが、変動相場制以降、金の後ろ盾を失ったにもかかわらず、基軸通貨としてのドルが継続した所以である。

    このシステムのアキレス腱

    だが、このシステムにアキレス腱のようなものがまったくないかといえばそうではない。むしろ、このシステムが正常に機能するためには、ある重要な条件が存在している。この条件が充足されなかった場合、このシステムは意外ともろいことが証明された。

    そのアキレス腱とは、財政赤字の大きさと還流するドルの大きさとのバランスである。それは以下のような条件に整理できる。

    財政赤字<還流するドルの総額
    (財政赤字が還流してくるドルの総額より小さい)


    この場合はなんの問題もない。ドルの還流によって財政赤字は絶えず補填される。

    財政赤字>還流するドルの総額
    (財政赤字が還流してくるドルの総額を越る)


    これは大きな問題が出てくる。財政赤字のほうが還流するドルよりも大きいので、赤字は補填され得ない。還流するドルのかなりの割合が米国債の購入に当てられている。だが結局これはすべて借金である。いつかは利子をつけて返さねばならない。赤字がドルの還流によって補填されている限りは、新しいドルの還流で過去の借金が支払える。だが、補てんが不可能ない場合は支払い不能に陥る。これがこの状態である。

    深刻な危機

    後者の状態がある期間継続したらどうなるだろうか?各国政府は、米国政府が米国債などの借金の支払いが将来できなくなるとみるやいなや、米国債やその他のドル建て資産が値崩れを起こす前にいっせいに売りに出るだろう。これが行われると、米国債、そしてその他のドル建て証券や債権は一斉に下落する。

    この動きでもっとも深刻な影響を与えるのが大幅なドル安である。大幅なドル安はさまざまな悪影響を国際経済に与えるが、ここでは詳しい説明は省く。

    だが、売った商品の代金として受け取ったドルが大幅に減価するのである。それもどんどんと減価の幅が大きくなるのである。これではどの国のどの企業もリスクが大きすぎてドル建ての決済から撤退したくもなるだろう。より安定度の高い通貨での決済を要求するようになるはずだ。

    基軸通貨としてのドルの放棄

    これがさまざまな分野の産業や国々に広まってくると、ドルはもはや決済通貨としては機能を果たさなくなる。ユーロなどのはるかに安定性が高い通貨が決済通貨として使われるだろう。

    では、ドルが決済通貨として使われなくなると、米国の財政や経済が完全に依存していたドルの還流はどうなるのだろうか?答えは明白である。ドルの還流のような現象はまったくなくなる。

    たとえば決済通貨がユーロになったとしよう。各国は輸出代金をユーロで受け取る。それをそのままEUの金融市場に還流させるだろうが、それをあえてリスクの高いドルに交換して、すでにこの時点では不安定化している米国の金融市場に投資する理由はまったくない。ドル建て市場への投資はストップする。以上のことを図式化すると以下のようになる。

    「財政赤字が還流してくるドルの総額を越える」→「ドルの暴落を嫌い各国がドル建て資産を売る」→「ドルの暴落」→「ドル建て取引の放棄」→「安定度の高い他の通貨による決済」→「基軸通貨としてのドルの放棄」→「ドルの還流停止」

    確実に食えなくなるアメリカ

    ではドルの還流が停止したらアメリカはどうなるのか?まず、財政破綻は免れないだろう。もうドルが還流してこないのだ。ましてや基軸通貨はもはやドルではないのだ。米国債やさまざまな債権は完全に支払い不能になるだろう。つまりデフォルトの状態である。これがはっきりした時点で、ドルは紙くずと化し、他国通貨との交換は停止する。

    さらに、投資資金はもはや入ってこないのであるから、米国内のあらゆる金融市場はほぼ機能を停止したような状態になる。

    金融市場が破綻すると、当然国内経済もほぼ壊滅状態になる。以下の図式である。

    「ドルの還流停止」→「米国政府の財政破綻」→「国内金融市場の破綻」→「国内経済の破綻」

    逆行する流れ

    これは大変な事態である。ただ、これに逆行する流れがあることも事実だ。

    ドルが紙くず同様の価値しかなくなっているので、米国内の労働力は徹底的に安くなる。これを目当てにして、海外から多くの製造業がアメリカに拠点を移してくる。つまり、いまの中国のような立場にアメリカがなるということだ。

    だが、ことはそう容易ではない。ドルの還流停止による経済破綻という激烈な変動を乗り越えなければならないのである。そこにはあらゆる政治的社会的なリスクが存在する。タイター的なシナリオもあるかもしれない。他国による投資が再開するにしても、政治的社会的な動乱の時期が過ぎてからになるので、それは相当先の話になるはずだ。

    いまの状況

    上記のような状態がいま発生しているわけではない。ドルは依然として基軸通貨であるし、ドルの還流も存在している。

    だが、基軸通貨としてのドルの放棄が叫ばれているのは、ブッシュによるイラク戦争以来財政赤字が巨額化し、還流してくるドルの総額を越えているからだ。これに伴い、最大のドル資産保有国である中国などは、米国債ならびに保有するドルを積極的に売り始めている。この動きは各国に広まりつつある。

    おそらくこのまま進むとドルの放棄の時期も近いかもしれない。

    二つのシナリオ

    ではドルを基軸通貨とした体制はどのように放棄されて行くのだろうか?これには先に紹介した二つのシナリオが考えられる。

    1)ソフトランディングのシナリオ

    ソフトランディングといっても、それなりに激烈な混乱は避けようもないが、大きな戦争が回避できるという意味のソフトランディングである。

    おそらく基軸通貨の変更は突然と行われる。

    現代の世界でもっとも重要な物資は原油である。我々の社会システムは原油を前提に機能しているからだ。サウジアラビアなどの巨大な原油産出国が、原油の決済通貨をユーロに変更することを発表すると、それが引き金となって膨大なドルとドル建て資産の売りが始まり、ドルの価値は限りなく下落する。この時点でドルは基軸通貨のとしての機能は果たすことは不可能になる。そして基軸通貨として放棄される。

    ドルの還流が停止するとアメリカはやって行けない。これに対応するため、アメリカはかねてから協議を重ねていた「北米パートナーシップ協議」を格上げし、カナダやメキシコと一緒に「北米共同体」を立ち上げる。それと同時に膨大な対外債務のデフォルトを宣言し、ドルを廃棄してAMEROを導入するす。

    この処置により、カナダやメキシコとともにアメリカは、自国経済がやって行けるだけの生存圏を確保し、世界に対するあらゆるコミットメントから撤退する。図式化すると以下のようになる。

    「原油産出国などの基軸通貨のシフト」→「これの世界的な拡大」→「ドルの放棄」→「ドルの還流停止」→「北米共同体の樹立とAMEROの導入」→「アメリカの世界からの撤退」→「多極的経済圏の樹立」→「それなりに安定した世界秩序」

    はっきりと書かれているわけではないが、田中宇氏の記事がどちらかというとこのニュアンスに近いような印象を受ける。

    では次にハードランディングのシナリオをみてみる。

    2)ハードランディングのシナリオ

    これは基本的にアメリカが基軸通貨の変更に最後まで抵抗し、ドルの還流を保証する既存のシステムに固執するシナリオである。

    ドルの大幅な減価からドル売りが発生し、その結果として、サウジアラビアなどの原油産出国が基軸通貨をシフトさせる動きを開始すると、アメリカはそれをやめさせようとあらゆる言い掛かりをつけ原油産出国を攻撃する。イランのみならず、情勢次第ではサウジアラビアなどのいまは親米国である国々も攻撃対象になることが考えられるかもしれない。

    こうした行為が何の反作用もなしに、ドルの基軸通貨体制がそのまま維持されるなどということは考えられない。その反作用が、イスラム原理主義運動による攻撃の嵐なのか、ロシアによる覇権を軍事侵攻なのかはまったくわからない。

    また、たとえ基軸通貨としてのドルの維持に成功したとしても、かつてのような自由貿易のもとで国内市場をオープンにしてさえいれば、巨額のドルが勝手に還流してくるというような態勢ではないだろう。強大な軍事力の行使によってドルの還流を無理に行う態勢かもしれない。

    いずれにせよ、このシナリオではわれわれは、どんなことでも起こり得る想定不可能な世界にほうり出されるようだ。図式化すると以下のようになる。

    「アメリカの原油産出国への軍事侵攻」→「油田の独占」→「原油取引通貨のドル化」→「ドル基軸通貨体制の強権的な維持」→「さまざまな反作用」→「想定不可能な世界」

    単純化されたシナリオ

    このように、現実に起こっている変化を俯瞰的に概観し、国際経済のシステムが変化している方向から論理的に類推すると上記のような2つのシナリオが素描できる。

    だがあくまでこれは、他の条件をすべて捨象して描いた粗削りの素描にしかすぎない。実際は、この二つのシナリオを両極とし、この間にさまざまなシナリオを考えることができるだろう。

    予言のシナリオ

    ここまでシナリオを類推して上で予言にあたると、予言そのものの言葉に驚くのとは少し違ったアプローチが可能ではないかと考えた。

    では、予言はどちらのシナリオを予告しているのだろうか?前回すでに書いたが、それは圧倒的に2)のハードランディングのシナリオなのだ。

    今回は「アロイス・イルマイル」と「ウォルフガング・ヨハネス・ベック」の予言を紹介する。両者とも大変に長いので、今回はその冒頭部分のみお伝えする。全文はのちに訳出して掲載する。

    アロイス・イルマイルの予言

    アロイス・イルマイル(1894-1959)は、南ドイツに実在した予言者であること以外はよく分らない。第三次大戦にまつわる予言は、死の数年前、コンラッド・アルドマイヤーとのインタビューで記録されたとされている。

    - 何が戦争のきっかけとなるのですか?

    すべての人が平和を求める。だが戦争は起こってしまうので。新しい中東戦争が突然に勃発する。地中海で巨大な船隊が対峙し状況は緊張する。だが、危機はバルカンで発生する。大物の政治家が倒れるのが見える。血のりのついたナイフが横たわっている。それから衝撃的な出来事が相次ぐ。

    第三の実力者を二人の男が殺す。この男たちは他の人物に雇われた。その後、三つ目の暗殺が起こる。それから戦争が勃発する。

    中略

    密集した部隊(ロシア軍)は東からベルグラードに侵攻し、その後イタリアまで前進する。その直後、なんの警告もなしに三つの師団(?)がものすごいスピードでドナウの北から西ドイツにラインに向かって進む。これは何の警告もなく起こるので、住民はパニックを起こし西へ逃れようとする。


    この予言では 「中近東の緊張ないしは戦争の勃発」「バルカン戦争の勃発」「ロシア軍のヨーロッパ侵攻(特にドイツ)」という出来事の系列が読み取れる。

    ワールドビーデルの千里眼の予言

    「ワールドビーデルの千里眼」と呼ばれる人物は、これまで紹介した中央ヨーロッパの予言者の中でももっとも最近の予言者である。まだ存命しているそうである。彼の予言はウォルフガング・ヨハネス・ベックが解説している。

    戦争の時期には、低高度で爆発する小型爆弾によってニューヨークが破壊されます。強烈な嵐によってなぎ倒されたようになった家々が見えます。爆心では立っているものは何も見えません。これは現地時間で正午頃に起こると思います。
    (本人の証言)

    第三次大戦が勃発する前には、いくつかの地域で局地的な戦争が勃発する。ニューヨークは破壊されユーゴスラビアとブルガリアで戦争が起こる。イタリアとライン以東のドイツで内戦が発生する。イタリアの内戦が頂点に達したとき、ロシア軍はカリンシアからイタリアへ侵攻する。アメリカはこの侵攻には不介入の姿勢を貫く。

    アメリカ軍が参加した全面戦争は、アメリカが中東紛争に関わることを通してサウジアラビアで起こる。だがアメリカ軍は苦戦する。ロシア軍はアメリカ軍に勝利する。ポーランドは西側の同盟国としてロシア軍に反攻する。その後、ロシア軍はドイツに侵攻する。
    (ウォルフガング・ヨハネス・ベックの解説)


    これには「ニューヨークのテロによる破壊」という出来事が追加されているが、それ以外はアロイス・イルマイルと非常によく似ている。やはり「中近東の緊張ないしは戦争の勃発」「バルカン戦争の勃発」「ロシア軍のヨーロッパ侵攻(特にドイツ)」だ。

    これは上記のハードランディングのシナリオが実現するということなのだろうか?なぜソフトランディングのシナリオは予言にはないのだろうか?分からない。

    次回以降、順次予言を紹介する。

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