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    2024-03

    サイクルマガジン

    8月17日に大きく下げたニューヨークダウや日経は相場を持ち直し、ダウは1万3000ドル台、日経も1万6000円台を回復し、暴落前の水準に徐々に戻りつつあるように見える。やはり今回の株価の暴落は植草教授や増田俊男氏が考えるように市場の短期的な調整であったかのような動きだ。

    だが、本当にそうなのだろうか?この暴落が世界経済システムの歴史的な転換の予兆になることはないのだろうか?今回はその可能性を歴史の長期的な変動サイクルという視点でみてみたいと思う。経済や社会のシステムに変動のサイクルのようなものが存在するなら、今回の株価の暴落がシステムの歴史的な変動を示すものなのかどうかある程度判断することができるだろう。

    歴史のパターンとサイクル

    歴史に繰り返しがあり、なんらかのパターンや長期波動(サイクル)が存在しているはずだという考えには多くの人が同意するだろう。もし一定周期で変動するサイクルが解析可能ならば、今後われわれの社会に何が起こりどうなるのか予想することができる。だが実際は、サイクルを明確にする作業は大変な困難に遭遇する。

    それは、変数が一定している自然現象とは異なり、社会システムや歴史では変化の原因となる変数が無限に存在するためだ。それぞれの歴史的な事件にユニークな変数の組わせがあり、そこに一定周期の長期波動(サイクル)の存在を読み取るのは難しい。

    たとえば最近の参議院選挙がよい例かもしれない。結果は自民の大敗に終わったが、自民が議席を減らすことを予想したメディアは多かったものの、ここまで大敗北することを予知できたものは少なかった。当日の天候や気温を含め考慮しなければならない変数はあまりにも多く、一つ一つの変数の変化は結果に大きな影響を与えるからだ。このように、社会や歴史の事象は大変に複雑で、単純な長期波動(サイクル)にしたがって進行するとは考えにくいとされている。

    ましてや歴史は、暴動、戦争、革命、恐慌、政権の崩壊など突発的な事件で変動することがとても多い。こうした事件にはそれれぞれ多くの変数が作用しておりあまりに複雑だ。歴史の変動を事前に予知できる長期波動(サイクル)の存在を解析するのは難しい。

    このような分野で予言が注目されるのもそれなりに納得がゆくような気がする。予言は、人知ではなかなか認識し得ない超越的な長期波動(サイクル)の作用を直観的につかまえ、そこから未来を予想しているとも考えられるからだ。人間の意識進化の予定表であるとされるコルマンのマヤカレンダーの解釈などはその典型だろう。

    だが直観や感覚のレベルではなく、事実としてそうしたサイクルが実際に存在していることは確認できるのだろうか?もし本当に確認できるなら、われわれの社会が今後どのように変化して行くのか明確に予知できるに違いない。

    サイクルマガジン

    サイクルマガジンという一風変わった雑誌がある。これはサイクル研究所というニューメキシコ州、アルバカーキにある研究所が1950年から発行している年報だ。

    サイクル研究所とは、1930年から31年までフーバー政権下の商務省でチーフ・エコノミストを努めたエドワード・デューイという経済学者が、1941年に設立した研究所だ。研究所の目的は政治、経済、歴史また自然現象を問わず、あらゆる分野に反復性のあるサイクルを発見することにある。デューイは"The Case for Cycles"を本をはじめとして複数の著作を発表している。

    デューイが研究所を設立する動機になったのは、フーバー大統領が1929年に始まった大恐慌の原因を解明するように指示したのにもかかわらず、当時の経済学者がこれにまったく答えることができなかったことだ。デューイは大恐慌の発生に経済の大きな長期的は波動が関係していると考えた。これは変動の波動を解明するサイクル研究所の設立につながった。

    サイクル研究所はこれに関心を持つあらゆる分野の研究者、事業家、ウォールストリートの投資家などを集め、90年代の半ばまであらゆる分野でサイクルの解析を行っていた。

    だが、すでにゴンドラチェフやジーグラーサイクルの存在がある程度支持されてはいたものの、社会や経済に長期的な波動があるとするデューイの理論は主流の経済学者から完全に無視され今日に至っている。こうした事情も手伝ってか、サイクル研究所は90年代半ばくらいから活動を休止していたようだが。やっと昨年の後半から活動を再開した。サイクルマガジンも2006年度版から発行を再開した。

    リンゼーのカルチャラルサイクル

    サイクルマガジンにはあらゆる分野のあらゆる肩書きの人々が研究論文を寄稿しているので、その範囲は非常に広い。2006年版に実に興味深い本を紹介した論文があった。1969年に相場変動の情報誌の発行をしていたジョージ・リンゼーという人物が発表した「The Other History」という本だ。69年だからすでに38年も前の本だ。本の出版時にはほとんど何も注目されなかった。本の目的は、相場の分析家であったリンズデーが、社会変化の長期波動の周期(サイクル)を特定化しようとしたことにある。

    だが2007年の時点で読むとその内容には驚愕する。

    36年と40年ないし41年、55年ないし57年、および64年ないし69年のサイクル

    社会変動は、まず最初に変化の方向を決定した歴史的事件が出発点として存在し、その発展としてもたらされるとリンズデーは考えた。たとえばフランス革命は1789年のバスチューユ監獄の襲撃で始まるが、革命がもたらした新しい社会は36年と40年、さらに55年ないし57年、そして64年ないし69年ごとに変動を繰り返し、1789年に始まったサイクルは最終的には終結するとされる。

    リンゼーによると、まず基礎となるのが40年ないし41年の変動サイクルだという。これは出発点となった歴史的事件が引き起こした変動が一応の終結とその最終的な結果が出る期間だとされる。1789年に始まったフランス革命が、ちょうど41年後の7月革命で、ブルジョワジーによる市民革命は一定の成果を持って終結したとされているのがよい例だ。36年周期は40年ないし41年周期を補完するサイクルとされている。

    例が煩雑になりすぎるので詳述は避けるが、55年ないし57年、および64年ないし69年のサイクルは、社会のシステム全体を変えるようなより長期的は変動をあらわすとされている。

    日本の例

    リンゼーの本には非常に多くの具体例が紹介されているようだが、これを試みに日本に当てはめるとちょっと面白いことが分かる。戦後日本の出発点はいうまでもなく1945年の敗戦だろう。終身雇用、護送船団方式、行政指導など日本型システムの骨格を成す国家管理型資本主義の枠組みは戦時中にすでに存在していたものの、これが経済成長を本格的に達成するために基盤として導入されたのは戦後になってからである。その意味では、1945年はまさに現在の日本の出発点だといえるだろう。

    1945年からちょうど40年後は1985年、41年後は86年だが、興味深いことに85年はバブル経済の発端となったプラザ合意(先進5カ国蔵相)、86年にはバブル景気が始まった年である。バブル景気はまさに日本型成長モデルがもたらした成果だったので、ちょうど1945年の敗戦で本格的に導入されたシステムが発展し、バブル景気で最高潮を迎えたといえるだろう。それは日本型成長モデルの始まりから終結へと向かう過程だった。

    さらに1945年から55年後は2000年に当たる。小泉政権が誕生し構造改革がスタートするのが2001年4月26日なのでほぼその時期に匹敵する。57年後の2002年は政府の不良債権処理策の否定面が出て株価が7000年台に突入する2003年に近い。これらの出来事からみると、55年ないし57年の周期では1945年に導入された日本型システムは完全に破綻し、寿命を終えたように見える。その後は構造改革に基づく市場原理主義のモデルが導入された。

    では未来はどうだろうか?45年から64年後は2009年になる。2年後だ。この頃に敗戦期に匹敵するような巨大な変動があり、それに伴いまったく新たな社会システムが導入されるのかもしれない。1年前後のずれがあるようなので、2008年くらいかもしれない。今回の自民の参議院選挙の大敗などからみると、自民党は2008年から09年頃には消滅し、日本はまったくあらなた政治勢力が支配しているのかもしれない。


    リンゼーの予知した未来

    ところでこの本でリンゼーはこれらのサイクルの適用によって未来に起こるべく社会変動を予知していた。

    「1917年のロシア革命から69年後にあたる1986年から87年にかけてソビエトは崩壊へと向かう流れに入るであろう。発展から後退の動きは徐々に起こる。」

    ゴルバチョフ書記長が1985年に登場し、崩壊しつつあるソビエトのシステムを改革しようと、ソビエトの構造改革にあたるペレストロイカとグラスノスチを断行したのが1986年である。

    「次の社会変動の発端となった1926年の周期が終焉するのはその64-69年後の1990-1995年であるし、フルシチョフ政権が誕生する1954年の変動から36年から41年周期に当たるのがやはり1990-1995年だ。だがそれだけではない。1956年のハンガリー動乱から36年から41年周期に当たるのが1992-1997年だし、1936年にスターリンによる大粛清の55年から57年後は1991-1993年だ、1990年代に4つの周期がすべて交差している。ソビエトに没落の時期があるとすれば、おそらく92年から93年にかけてであろう。」

    事実、ソビエトは1992年にあっけなく崩壊してしまった。


    「第2次大戦は1939年に起こったが、その36年から40年後にあたるのは1975年から82年だ。この時期には第二次大戦の戦勝国は経済的困難に直面するであろう。」

    この当時先進国は、1973年に起こったオイルショックから回復できず、82年前後まで深刻な経済危機に陥った。

    1969年に書かれた本の予言としては大変な的中率である。驚愕する。リンズデーはアメリカを支配するサイクルを詳細に説明しており、アメリカを中心としたシステムは近い将来終焉するとされている。ならば今回の株価の暴落はその始まりなのか?

    続きは次回





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    テーマ:歴史大好き! - ジャンル:学問・文化・芸術

    コメント

    質問ですが・・・

    いつも興味深い情報の提供をありがたくおもっております。
    ところで
    田村珠芳 氏
    http://yaplog.jp/tamura_shuho/
    この方は預言者なんですか?
    知っている情報があったら教えていただきたいです。

    Mさん、たけさんありがとうございます。

    Mさん、拍手ありがとうございます。コスモスレポートは興味深く拝見させていただいております。たけさん、コメントちょうだいいたしました。コスモスレポートの田村珠芳さんは以前から名前は知っていましたが、残念ながら情報は持ち合わせておりません。

    ただレポートはそれなりに信頼できるのではないかと思って読んでいます。たとえば7月16日に「秘密77 金融大恐慌」という記事で「今度起こる大恐慌はかつてなかった程、大きなものとなるだろう。何しろ現実に流通している通貨とファンドの世界で動いている資金との間には何百倍もの差がある次々銀行が潰れていく。1年も経たない内に世界は様変わりするだろう」とおっしゃっておられますが、7月17日の時点で日経平均は1万8200円前後でダウは1万4000ドル代の最高値を付けていました。、サイブプライムローン問題はすでに3月に決着したと信じられており、ほとんどのエコノミストは堅調な経済の疑っていなかった時期です。8月17日の株価暴落を経験した今でこそ、これが短期的な調整なのかシステム崩壊の端緒なのか話題になっていますが、7月17日の時点では予想は難しかったはずです。

    このような時期にこうした予想ができたことを考えると、田村さんは明らかに何かを直感して書いているように思います。もしかしたら類まれな能力なのかもしれません。

    こんにちわ!俺も予言やオカルト好きです!これからはおそらく、ドルが再び低下→中国市場に飛び火し、中国のバブルが崩壊、中国各地で暴動、アメリカでも同じ現象がおき世界恐慌になる→混乱に乗じてテロリストの活動が活発化する。→この頃ロシアがヨーロッパに進行してヨーロッパで戦争がおこる。中東ではイランとイスラエル、インドとパキスタンが戦争。アメリカが加わるがかなり大きいテロを本国でおこされる→これに乗じて中国が日本に圧力をかけ、半属国化させる。・・・らしい。どこかの掲示板にあった。何げに当たってるし、これからも当たりそう!

    貴重な情報ありがとうございます。

    Mさん、拍手のコメントいつもありがとうございます。今後もがんばって書いてゆきます。

    かせーソーダさん、貴重なご意見ありがとうございます。確かにそのようになる雲行きな感じがしますよね。これからもしっかり情報を集めて行きます。

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