2016-02

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第28回

    2月4日

    ウエブボット最新版の配信

    リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    「ヤスの勉強会」第23回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第23回を開催します。世界経済がメルトダウンする可能性が出て来ています。それとともに、世界情勢がどんどん不透明になっています。今回はこれらの状況を徹底して解説します。

    【主な内容】
    ・市場は本当にメルトダウンするのだろうか?
    ・ロシアと欧米の対立の背景、歴史的な怨念
    ・暗黒のヨーロッパなのか?GEABの報告書より
    ・日本の今後と未来
    ・これから生き延びるためにはどうしたらよいか?

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:2月27日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無
    info@yasunoeigo.com


    次回の有料メルマガの予告

    2月5日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、原油価格の暴落の背景にある真実を詳しく解説する。もしかしたら近い将来、原油が予想を超えて高騰する可能性もある。日本で報道されていることは現実のほんの一部に過ぎないようだ。

    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

    amazonで注文

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第28回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第28回

    0103

    西塚 みなさん、こんにちは。『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の28回です。今日は1月の3日ですね。2016年の最初のミーティングになりますけども、今日もヤスさんにおいでいただきました。ヤスさん、今年もよろしくお願いします。カンパーイ!

    ヤス どうもどうも、カンパーイ!

    西塚 正月早々、三が日にすみません。もうすでにさっきから飲んでまして。

    ヤス いえいえ、いつものことで。酔っぱらいオヤジですから。

    西塚 別に去年を振り返るということはないのですが、ひとつだけですね、例の慰安婦関係、いわゆる日韓の合意ですが、あれはどうでしょう、戦後70年ということで安倍政権も早くから決着をつけたいと言ってたみたいですが、駆け込み的な感じもしましたけども、あるいはアメリカのプレッシャーもあったんでしょうが、あれはどう見られますか?

    日韓合意はアメリカの脅し

    ヤス メルマガにも詳しく書いたんですけど、これは間違いなくアメリカの脅しですね。日韓の合意に向けたひとつのプロセスがありましてね。特に従軍慰安婦問題が大きな問題だったんですが、そのプロセスがいつから始まったかというと、2014年10月21日なんです。

    安倍の懐刀で国家安全保障局長の谷内(正太郎)という人がいるんですね。彼が安倍首相の命で韓国に派遣されたのが10月21日なんです。そこで韓国政府と話し合って、日韓関係を改善する糸口を探った。そして22日にニュースになるんですが、パク・クネ政権の安全保障の担当官かな、彼と対話して一応日韓関係を正常化するという合意が得られた。これが今回の日韓関係の正常化にいたる出発点です。

    その後、対話のランクがだんだん高くなってくる。最終的には両国の外務大臣ですね、日本の岸田(文雄)外務大臣と韓国のユン・ビョンセだったかな、外務大臣との対話が何回か繰り返されるという形で、徐々に日韓首脳会談の前提条件が整えられる。そして昨年11月の安倍首相とパク・クネ大統領との首脳会談が行なわれるわけです。それで年内ギリギリの従軍慰安問題の解決にいたった、という流れなんですね。

    これに関しては基本的にふたつのことが重要だなと思います。外国メディア、特にニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストがそうなんですが、今回の従軍慰安婦問題の解決はよかったと。よかったんですが、そもそも誰が問題をこじらせたのかと言えば、間違いなく安倍のほうだというのが海外の共通了解としてあります。

    韓国がかなり強烈に日本に対してNOを突きつけて、日韓の首脳会談ができない状態になったのは安倍の歴史修正主義なんだと。従軍慰安婦が高級娼婦であるとか、戦前の日本の行為が侵略であるかどうかは次の歴史家の判断にまかせたいとか、とにかく戦前の日本軍の行為を肯定的に救いたいといった歴史修正的な価値観がまさに問題なんだというのが、国際的な了解です。

    そのような安倍政権に対して強烈な脅しがあった。これは日本ではいっさい報道されてない。さっき言ったように、2014年の10月21日に安倍政権から韓国政府に対して、関係改善をしたいという強い意思表示があった。その前の10月3日にですね、実はアーミテージとかジョセフ・ナイとか、ああいう人たちが結集してるシンクタンクのCSIS(戦略国際問題研究所)というのがあるんですね。そこからレポートが出たんです。

    CSISのレポートは日本に対して強烈な意味を持つ、ある意味で指令書ですね。たとえば今回の安保法制がありますでしょ? 集団的自衛権を一部容認した安保法制がありますが、安保法制の内容というのは、2012年の暮ですね、安倍が内閣を継ぐちょっと前くらいに、CSISから日本の安全保障政策はこうあるべきだという「ナイ・アーミテージ第3次レポート」が出るんです。今回、それと同じようなレポートが出ていた。それは、安部の危険な愛国主義といったレポートだったんですね(笑)。

    このレポートの内容は、戦後70年間の日本の政治の歴史を総括すると、日本には3つの政治的な機軸があったと。ひとつは保守であり、右翼であり、第2の機軸はリベラルであり、左派であり、第3の機軸は中道派だと。この三極の基軸でバランスよく均衡を保ってきたのが日本の政治である。保守のほうに極端にいきすぎると政権が失速して人気をなくし、左派のリベラルな政権にいく。左派、リベラルな政権にいくためのキャスティングボードの役割を果たすのが中道派という形で、ひとつの極に寄らないようなバランシングがあったと。

    われわれは最初、安倍政権もよく現れる右派、中曽根政権のような右派政権であって、最終的には支持が失速して、左派、リベラルなほうに寄るだろうと考えていたと言うんですね。

    西塚 そこでおもしろいなと思うんですけど、日本の場合いわゆる55年体制ってありましたよね。今おっしゃったアメリカの見方というのは、55年体制の自民党の中でのバランシングということですね。途中、連立もありましたが、でも民主党政権にいたるまで、左右揺れ動いたところは一応容認してたということですね。

    ヤス 容認してた。だから安倍政権に関しても最初は安心してたと言うわけです。どんなに歴史修正主義的な姿勢を出してもね、また憲法改正ということを前面に出したとしても、日本の戦後の歴史の中に内在するバランシングのパワーが働いて、安倍政権は人気をなくし、最終的には自民党内部のいわゆる左派の方向に寄っていくだろうと思ってたと。

    そして、そのような振幅を繰り返しながら、保守的な右派政権のときにアメリカの国益にとって一番ベストな選択がなされる場合が多いんだと。だからバランシングが保たれる限りはね、右派政権というのはアメリカにとってプラスに働くという認識があった。ただそのレポートで言ってるのは、安倍の場合違うってことなんです。あの政権はどうもまともなバランシングが働いてないぞと。このままいったら本格的に極右の政権になってしまう。場合によっては中国と戦争を始めるかもしれない。

    本当の歴史修正主義者で、戦前の価値観をすべて復活させることを目標において、中国と韓国に進撃する。特に中国と戦争、紛争を起こしかねない。日米安全保障条約の存在上、アメリカは日本の起こした紛争に巻き込まれることも十分あり得る。だから安倍は調整しろと。安倍に関しては、われわれが説得して調整すべきだと。中国に関する態度も問題だが、特に韓国に対するあの態度はないだろうという論文だった。

    だからわれわれは、従軍慰安婦問題も含めて、まず韓国との関係を改善するように安倍を説得するという宣言をした論文なんです。極めて強い調子の論文でした。言ってみれば、日韓関係を改善する最初の一歩を踏まなければ、われわれはお前をどうするかわかってるだろうなぐらいの、ある意味脅しですね、あれね。そのレポートが出たのが10月3日なんですよ。その直後です。21日にバーンと谷内局長を送って、日韓関係を改善しましょうっていうのは。

    西塚 緊急ですよね。即座にやった。青くなってビビったんでしょうか。

    ヤス 潰されると思ったんでしょう、政権がね。青くなっていった。でも今まであれだけ歴史修正主義的な発言をしてね、いきなり日本側から関係改善しましょうは通用しないわけです。おそらくですね、これは表に出ないんでしょうが、安倍は相当な妥協をしましたね。僕は、全面的に韓国に対して妥協したんじゃないかと思う。それで韓国のほうも、わかった、そこまで言うんだったらやってやろうってことだったと思いますね(笑)。

    西塚 妥協のレベルは出てこないんでしょうね。これまでの対談でも安倍さんの話は相当出てきたし、いわゆる安倍さんの幼児性ということでもいろいろ批判しました。安倍さんは、今回の件は相当悔しいと思うんですね。

    ヤス でしょうね。

    西塚 今年は参院選があります。今取りざたされてるのは衆議院の解散総選挙。要するに夏に一挙に衆参ダブルでやると。安倍さんはそれはないと言ってるようですが、そこで一回ガラガラポンして一気に自民党に持ってくる。

    韓国との妥協の件もあるし、それくらいのものがないと安倍さんも個人的に許せないんじゃないんですかね。自民党を大勝させて一気に憲法改正にいかないと腹の虫がおさまらない的なことが、僕は安倍さんの幼児性ということにあえて引きつけて言えばあるんじゃないかなと思うんですが。

    ヤス あるかもしれないけど、今回の日韓の合意、特に従軍慰安婦に関する合意は、僕はよかったと思います。でもは安倍政権にとっては極めてマイナスです。チャンネル桜、日本の極右チャンネルですね、あるいは2ちゃんねるのネトウヨだとか、ものすごい反発ですね。

    西塚 それは感じました。たとえば三橋貴明さんとかも緊急コメントを出して、もう許せないみたいなことを言ってますからね。そこで僕も、ああこの人はやっぱり右翼なのかなと(笑)。

    ヤス あの人は右翼ですよ。

    西塚 禍根を残すと。将来に向けて日本政府は重大な禍根を残すだろうというコメントをしてる。そういう人たちが相当いる。

    ヤス だから言ってみれば、安倍政権というのは日本のナショナリズムを煽ることによって、どちらかと言うとネトウヨ的なナショナリズムですけどね、そのネトウヨ的なナショナリズムの盛り上がりに乗って支持を拡大してきたという政権ですよ。そうした政権が重要な支持基盤のひとつを失うぐらいのリスクを犯したと思いますね、これは。

    西塚 逆に言うと、そこまでやらざるを得なかったくらいの脅しがきたということですね。

    ヤス 脅しです、まさに。あのような脅しがなかったらやらなかった。日本では逆のことが報道されてるんです。安倍政権はずっと日韓の問題に関しては、すべての対話が開かれているという立場なんだと。それで韓国に対するアメリカのすごい圧力があってね、パク・クネ政権が妥協してこちらに近づいてきたって感じの報道なんですね。これは嘘です。はっきり言いますが、嘘ですから(笑)。

    これは日本の主要メディアが流している実質的にはファンタジーです。調べてみると、今言ったようにまったく逆ですね。まず安倍政権のほうに、危険な安部政権の愛国主義といったCSISのレポートによる、ある意味で脅しみたいなことがあった。それから日韓の関係改善のプロセスがある。

    おそらく韓国に対しても圧力はあったと思います。ただ、CSISのレポートもそうだし、今回の従軍慰安婦の問題に関する日韓の合意ができてからのね、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの発表であるとか、いろんな記事を読んでみてはっきりしてるのは、この問題をこじらせたのは安倍政権のほうであるという基本的な認識があるんですね。これはヨーロッパのメディアも含めて国際的な認識だと思います。それで安倍政権が妥協した。

    西塚 歯ぎしりしながら妥協したんでしょうけど。

    アメリカは北朝鮮崩壊のスイッチをONにした!?

    ヤス そうそう。それでね、なぜ年内にやったかってことなんです。年内にやると発表したのは12月24日のクリスマスイブなんですね。

    西塚 もっと前に言ってませんでしたっけ? 日韓の問題は年内にクリアすると…

    ヤス 岸田外務大臣を派遣すると言ったのは24日なんですよ。岸田外務大臣が28日に韓国にいって、それで妥協を取りつけて帰ってきたという流れなんです。それがですね、実はアメリカの外交政策の奥の院と言われてるCFR、外交問題評議会というのがありますね。そこが12月20日にレポートを出してるんです。日韓はいわゆる従軍慰安婦問題を乗り越えて問題解決を図らねばならないという、これも脅しに近いレポートですね(笑)。おそらくそのレポートが出たからですね。

    西塚 泡食ってドタバタでやったって感じですね。

    ヤス 20日のCFRのレポートは無料でダンロードして全部読めます。けっこう分厚いレポートなんですが、結論部分というのはある意味で脅しに近いですよ、本当に。絶対に解決させろという感じの命令口調のものですね。

    西塚 日本のメディアは知ってるのかな。

    ヤス いや報道しません、まったく。だから日本メディアのスタンスは一貫してる。そういう意味でブレない。安倍政権は、韓国に対していつでも対話のチャンネルはオープンであるという姿勢をずっと続けてきたと。韓国のほうから接近したんだと。大嘘ですよ(笑)。このようなCFRのレポートやCSISのレポートが存在するとは、いっさい報道されてない。

    問題はもっとある。その裏側にある現実です。なぜアメリカが年内の解決を焦ったかなんですね。それは2014年から始まってるわけです。少なくとも日韓の関係改善は徹底的に行なわれなくてはならないと。

    西塚 中国ですか?

    ヤス 一番思い浮かべるのは中国なんだけど、アメリカの中国に対するスタンスは敵対的でも何でもない。今回AIIB、アジアインフラ投資銀行ですね、1月中旬に参加表明をしている57カ国が批准して実質的にスタートはするんです。今の段階で17カ国かな? すでに批准した段階なんです。57カ国プラス、フィリピンが入ったんですね。その中にアメリカが世界銀行を通して実質的に入ったような状態なんです。

    西塚 そうなんですか。あれはヨーロッパの名だたる国が入ってますよね。実際に批准したかどうかは僕はわからないですけど。小さい国は島国とかも含めておいておくと、やっぱり日本とアメリカは入ってないわけですね。あとはほとんど入ってると言ってもいいんじゃないですか。

    ヤス でも実質的にアメリカは入ってるような状態ですよ。国として入ってないだけで、アメリカは世界銀行を通じてAIIBに設立資金の提供までしてます。中国とアメリカは協調関係をどんどん深化させてるという状態です。

    西塚 隠し切れなくなった仲のよさということなんでしょうね。ヤスさんも両国を一卵性双生児にたとえて、ガチンコで組んでいるというようなことをおっしゃった。だから戦争もあり得ないと。日本だけが中国の脅威とか何とか、日米安保がどうしたとかやってる。でも、それはわからないわけはないですよね、政府も。

    ヤス ただ、われわれ自身が認識しなくちゃならないことがひとつある。われわれの為政者というのは頭のいい人たちではないってことです。

    西塚 本当にそうだとしたら、ものすごい不幸というか、いいかげんわれわれは気がつかないとまずいですね。

    ヤス もっと言うとね、せいぜい東大クラスですよ。そんなによくないんです、本当に。われわれの一般の公教育で日本で教育を受けてきて、ああ、あいつはクラスで頭がいいっていう程度の連中なんだってことですよ。

    西塚 試験問題まで踏み込めないけど、頭いいという基準もどうかと思いますが。

    ヤス 現代の日本型の組織の中でどんどん出世するヤツというのは、頭いい悪いというよりも、権力欲が旺盛で他人を押しのけられるヤツだけです。

    西塚 既存のシステムに乗るのに長けてる。

    ヤス そうそう。ただそれだけですよね。

    西塚 その既存のシステムを壊したくないという連中が、官僚を中心にいるということですね。

    ヤス まあ、そうですね。決して頭のいい連中ではないということをわれわれはしっかりと認識する必要がある。戦前の指導者と同じレベルだってことです。

    西塚 少なくとも現実的じゃないですね。ヤスさんもよくおっしゃいますけど、ファンタジーの世界。ファンタジーを押しつけるなよって感じですね。

    ヤス 本当にそうですね。たとえばアメリカ軍の上層部の中にキリスト教原理主義者のファンタジーを信じてる連中がたくさんいますけどね。それと同じようなレベルということです。だから官僚は頭がいいとか、われわれの為政者が頭がいいとか、それは幻想だと。頭のいいのは現場なんだってことですね。

    ちょっと話を戻しますが、日韓の合意の話は2014年の10月21日から始まって今回まできたわけですが、問題はアメリカがなぜここまで強烈に安倍政権を脅しながら日韓関係の改善を年内に迫ったかということですね。それにはおそらく裏がある。日韓関係を改善させざるを得ないような理由があった。
    中国とアメリカはガチの状態ですから、中国ではない。おそらく北朝鮮だと思う。

    西塚 ほお…

    ヤス アメリカは、北朝鮮を解体させるプロセスのスイッチを押したのではないかと思いますね。これはメルマガに書こうと思ったんですけど、北朝鮮を崩壊させる了解を中国とアメリカはどうもお互いに得てるらしいという情報があったんですね。

    今年2016年は、北朝鮮の解体のプロセスのスイッチがオンになった可能性があると思います。だから日韓の関係をとにかく改善させる。日韓がある意味、軍事的に同盟を組めるぐらいまで改善させると。

    西塚 北朝鮮を追い込む下地を作っておくということですか?

    ヤス そうですね。日韓プラス中国で北朝鮮を追い込むといった、北朝鮮包囲網の形成がアメリカの念頭にはあって、そのための邪魔となるような問題、日韓関係のギクシャクした関係とかね、その修復を迫ってきたということじゃないかと。だとすれば、今年はとんでもないことが起こると思いますよ。

    西塚 いろんなことが起きる可能性がありますね。アメリカにとって北朝鮮が邪魔になる最大の理由は何ですか?

    ヤス 北朝鮮というのは、アメリカにとってはかなり都合のいい存在ではあったと思います。北朝鮮の脅威を煽って東アジアにおいて火種を残すことによって、米軍がたとえば日本に駐留する。東アジアに米軍が駐留するための口実ができたってことですね。アメリカの外交評論家は、北朝鮮はアメリカにとって理想的なパートナーだって言い方をするんですね。

    西塚 ああ、皮肉っぽく。

    ヤス そういう皮肉が成り立つぐらいアメリカは北朝鮮を利用してきたってことです。そういうふうに考えると、北朝鮮という存在がいらなくなるってことは、これから本格的な緊張緩和に向けて進んでいく可能性が高いということです。

    西塚 それだけ聞くといいことに聞こえますね。米中はお互い経済的にも共依存みたいな関係になっている。そうすると、そこでヘタなことをしてくれるなよ的な北朝鮮は邪魔になる。

    ヤス 邪魔な存在になってくる。だから火種を残したり、緊張感を増大させる必要性がまったくなくなってきたということ。それは東アジア全般にとってはいいことなんですが、しかしながらもうちょっと裏を読むとですね、別のところに脅威が移ったということです(笑)。

    アメリカはおそらくロシアを本格的な脅威として見ている。それに全勢力を傾けるために、東アジアの緊張緩和をとにかく急いで進める必要性が出てきたってことかもしれない。

    西塚 米中の経済的なつながりもありますが、中国とロシアというのはどうなんですか? 米中の比じゃないんじゃないでしょうか。

    ヤス 政治的には仲がいいですね。アメリカ以上に仲がいい。

    西塚 経済的にはどうですか。

    ヤス 経済的にも仲がいい。

    西塚 極端な話、アメリカを切ってロシアとべったりでもいけるのか、ロシアを切ってアメリカと組んだほうがまだ有利なのか。

    ヤス 有利不利の関係で見るとどっちも切ることはできないと思うんですけど、ただ中国の国民のメンタリティーから言うと徹底的に反米ですね。むしろロシアに対して親近感を感じている。ロシアのプーチン的なものが提示する価値観に対して、やはり中国は相当納得するところが多いと思うんですね。

    西塚 だからなおさらアメリカが焦ってるわけですね。

    ヤス 言ってみれば中国がキャスティングボードを握ってるんですよ。中国に敵意を持ったら、確実にロシアのほうに深くいく。それではアメリカは孤立しますから。

    西塚 中国がどれだけアメリカに経済的に依存してるかというところですね。

    ヤス だから今年は、北朝鮮がひとつのキーワードとして、極めで流動的でわからないものとしてある。場合によっては、今日は1月3日ですけれども、一週間内外で北朝鮮で有事が突発的に起こることは十分にあり得ます。日韓関係を改善したということが極めて大きなメルクマールです。

    あともうひとつの指標になってくるのは日中の関係改善です。たとえばCSISのようなところが日中の関係を改善せよと脅しに近いレポートを出してきたらね(笑)、これは北朝鮮問題は本格化する予兆だと僕は思いますよ。

    西塚 なるほど。確かに今回の日韓の合意に中国は微妙な反応でしたよね。まあ地域の安定化に期待するみたいなことなんだけども、何となくおもしろくなさそうな感じがあるし、今度は台湾が言ってきてるということを含めると、段階を踏んでるのかなって見方もできますよね。台湾とある程度合意して、中国にいくという流れなのかもしれない。

    ヤス 極端に最悪なシナリオから穏当なシナリオまで考えることができますが、極端なシナリオで言えば、アメリカが北朝鮮を潰す決定をしたということ。穏当なシナリオならば、真綿で首を締めるように金正恩体制の内部崩壊を引き起こす。これからさまざまなステップをアメリカ及び中国で踏んでいく可能性がある。

    西塚 実際、北朝鮮自体もいろいろ側近が交通事故で死んだり、何が起こってるかわからないですよね。

    ヤス ええ、おかしいんですよ。何が起こってるかわからない。

    われわれは他者のいない世界に生きている

    西塚 それで時事問題以外でも、僕が個人的にお聞きしたいことがありまして、大きなテーマになっちゃうかもしれませんが、われわれはどういう意識でこれから生きていくのかと。たとえば日本人としてでもいいです。あるいは地球に住む人類としてでもいいんですが、去年は右・左、保守・革新という話も出ました。それで間違ってたら言ってください、大雑把に言うと、いわゆる左的なものは結局システム至上主義になって、ある機構のもとに絶対化していく。右は右でGDPを伸ばす方向にいくんだけども、エリーティズムということでは一致しているんだという話がありました。政府が再配分していくことでも一致していると。

    アメリカで言うと、右でもティーパーティーのような市場原理主義に加担するような意見もあれば、同じ右でもリバータリアニズムとかコミュニタリアニズムのように小さな政府を求めて、自分たちは自分たちの自治でいくんだというようなことがある。僕はそのあたりはうまく整理できませんが、震災以降、3.11以降の日本は、僕に言わせれば、ある程度良識的な部分というのは、地域分散型の相互扶助という方向の考え方にシフトしていると思うんですよ。しかもベイシックインカムを導入して、再分配ということでもいろいろと掬っていく。

    僕はそのとおりだと思うんですけれども、何と言うか、たとえば宮台(真司)さんがですね、僕はリスペクトしてる部分もあるのであえて言うと、顔が見える自治というようなことを言うわけです。それは手段的には正しいかもしれません。地域分散型の相互扶助で小さい政府で再分配もちゃんとやっていく。それを本当に自主的にやっていくには小さいところから始めていくしかないんだと。まず顔が見えるレベルからやっていく。あの人はおそらく世田谷区でやってるんだと思います。

    それで、未来に向かってそういう見本を残していく。ある種の模範として、こういうことができた、できるといったものを残していきたいという主旨のことも言ってたと思います。僕はそれはいずれ排外主義にいくと思うんです。なぜかと言うと、身近なものを大事にしていくことは、身近じゃないものに対する違和感とか、自分たちとは違うよね的なもの、そうしたことに敏感になっていくというか、無意識の確認作業をしていくようになるんじゃないかという気がする。そして結局は排外主義になっていく。

    何を言いたいかというと、もうちょっと狭めて、かと言って江戸時代の長屋的なものはもう無理というか、そのシステムを復活させて現代に援用するのはちょっと現実的じゃないので、もっと近いところ、地域でもなく本当に近いところ、奥さんとか、何でもいいんですが、子どもでもいいですが、そこからまず他人として始めていく。血筋はあるかもしれませんけど、まったくの他人として接する。そのとき、どうやって付き合っていくのか。お互いにリスペクトして、親だから子どもだからとか、あるいはどっちがお金を持ってるとか、男と女、そういうことは関係なく、対等の他人として、一番近いところから接していく。僕はそこに原点があるような気がしてるんですね。

    そうすると、もっと外へつながっていく人たち、世界に透けて見えるような人たちと僕はつながっていくと思うんです。そのときに共有されるもの、何かしら共通の基準とか機軸が必要になってくるとして、それが宗教ではないとするならばいったい何だろうということが、僕の個人的な興味としてある。

    共同体的なものは排外的なものになっていくという、ちょっと酔っぱらってうまく伝わってないかもしれませんが。宮台さんというより宮台さんが言ってるようなことに代表されると言いますか、地域でまとまった相互扶助的なもの、顔が見える範囲での相互扶助というより、もっと身近なところから他者として見るということですね。そこに僕はまだ普遍性につながるような人間関係を構築する基礎がある気がしています。そのへんどうですか?

    ヤス 顔が見える見えないということがひとつの基準になって、結局は排除型の共同体ができ上がるのではないかということですね。僕なりにちょっと言い換えると、その排除型の共同体ができ上がる根源というのは、顔が見えるということですね。われわれが日常生活の範囲内で接することができる人間関係というのは限界があるわけです。

    日々、接し合うことができる人間関係というのは、われわれの生活世界、つまり衣食住を中心として成り立つ営みの中で関わり合えるような人間関係です。数はわからない。50人かもしれないし、200人かもしれないけれども、でも数に限りある人間です。数に限りある身近な人間たちの範囲を越えた人間は、やはり他者になってくる。他者に対してわれわれは、強烈に排外主義的に振るまうということですね。

    西塚 僕は一番近い人間をそうした他者として付き合えばいいと思うんです。

    ヤス それは身近な人間を他者化することによって、他者一般に対するある意味で耐性というのかな、許容性といったものを獲得してくことができるのではないかという、ひとつの戦略ですね。それはよくわかります。僕は十分納得するし、おそらくそういうようことは可能ではないかと思いますね。

    ただ一方、僕らは他者性といったものが消滅しかかってる時期に生きているんじゃないかとも思うんですね。果たして、本格的な他者が今存在しているのかってことなんですよ。たとえば第一次世界大戦がありますね。第一次世界大戦で兵力動員が行なわれる。ロシアでも兵力動員が行なわれる。ドイツでも行なわれる。アメリカでも1917年以降ですが、徴兵制で兵力動員が行なわれますね。

    兵力動員が行なわれる場合、今まで共同体から一歩も出たことがないような青少年がですね、兵隊として徴用されて国民軍の中に組み入れられて外国に遠征していくわけです。そういう兵士たちの書いた手記がたくさんあるんですね。村から一歩も出たことのない人間が、いきなり軍隊とともに国外に行く。それでまさに他者に出会うわけです。そうした他者というのは、まず人間ではないんですね。

    西塚 異物ですね。

    ヤス ある種の異物。1918年から日本でシベリア出兵が始まりますでしょ? 最初はロシア革命を警戒して送られた多国籍軍の一部として出兵するんですが、日本軍だけですね、1921年ぐらいまでずっとシベリアに留まり続ける。そのときの兵士たちの手記が残ってるんですね。これがおもしろい。

    第一次世界大戦に出兵したヨーロッパの兵士たちと同じように、今まで村しか知らなかったような日本兵がいきなりロシアに送られるわけです。ロシアで遭遇する人たちというのは、まさに土人だと書いてるんですね。土人とは何か。非人間ということのひとつの象徴ですよ。だから殺してもかまわない。実際、上官の命令によって殺してしまう。すると、夫を殺された女たちや子どもたちが泣き叫ぶわけですね。そこで初めてわかるわけです。土人と言えども人間なんだと、初めて悟るわけですね。

    そのくらいですね、自分に与えられた共同体を越えたところでは他者が存在した。その他者は人間ではない。たとえば古代ギリシャのことで言えば、当時の古代ギリシャに外国人を指すギリシャ語があるんですが、それはわけのわからん言葉をしゃべる人間って意味なんです。まさに他者ですね。

    またヨーロッパ哲学の中でも、他者をどのようにして認識するか。他者というもの、われわれの認識が通用しない外部というものが、哲学でも極めて重要な問題となった。現象学で言えば、共同主観の外部にあるものということになってくる。

    でも僕は、それは20世紀で終わったと思う。今われわれは、他者がいない世界に生きている。本当にいないんですよ。どういうことかと言うと、インターネットの普及によってあらゆる人間が人間化して、いわゆる他者じゃないんですよ、もうすでに。たとえばね、僕らが日ごろ付き合ってるような人たちと共同体を作る。作るんだけれども、共同体を作るためのノウハウ、何をやったらいいのかとか、そういうアイデアが場合によっては、普段は共同体に入ってこない沖縄とか、北海道で共同体を作っているような人たちのネットワークの中からやってくる。SNSやインターネットを通じて。

    さらにそれでも足りない場合は、ちょっと英語さえできれば、たとえばシリア難民でヨーロッパに逃れて共同体を作った人たちとね、FaceTimeやスカイプで直に彼らとしゃべってね、われわれは実は大変なところかやってきて、こうして共同体を作ってるんだけど、君たちの参考にならないかなって話になってくるわけです(笑)。そこではね、他者が存在するのかってことです。

    西塚 そういうときのヤスさんのおっしゃる他者とはどういう感じでしょうか?

    ヤス 非人間ですよね。われわれの共通の同士というか、われわれの日常生活で出会うような親しみやすさを持たない人たちですね。

    西塚 SNSがこれだけ普及して、ツイッターなりラインなりでつながってますね、みんな若い人たち。あのときたぶんですね、僕はわからないですが、想像すると他者としてつながってると思うんですよ。〇〇ちゃんとか、あるいは〇〇ちゃんの友だちというラインがきて、ああそうなんだと自己紹介して、という意味での他者というものは僕はあると思うんですね。

    そういった意味では、むしろ他者とのつながりは広がりつつあるし、昔に比べれば、まあ電話ぐらいしかなかったときに比べれば、他者とのつながりははるかに広がっているという言い方ができると思うんですね。ヤスさんのいう他者とは違うかもしれませんけども、僕が言ったような意味の他者ということであれば、生身で会わなかったとしても、いわゆる他者として会話ができて、コミュニケーションすることはできるじゃないですか。

    そういうものと、さっきの宮台さんの話で顔が見えるという範囲で言うと、お互いに顔が見えて、いろんな事情も知っていて、生身な感じで会えるという共同体、コミュニティーのようなものにいる者と、SNSでつながっている他者、世界ともつながってるような他者と、濃度としてもかなり差別化されてきますよね。生身を知ってる相手とそれ以外で、かなり分かれてくるんじゃないかと思うんです。それを僕は排外主義になるのではないかという意味で言ったわけですが、僕はそれを全部取っ払うというか、自分以外のものは全部他者であるという認識に立てば、共同体もネットの中も同じだろうという(笑)。

    ヤス それは同じですよ。それはそうなんだけど、もっと言うとね、身近なものだから他者じゃなくて、身近じゃないから他者だってことは成り立たないってことだと思いますね。場合によっては、身近なものが一番他者であるという可能性があるんです。

    西塚 そうそう。そこから始めるしかないと思うんです。

    あらゆる価値判断から自由になれ

    ヤス 今回、5年前ですね、東日本大震災で証明された事実があった。たとえばですね、行政が全然うまくいかない、インフラがぶっ壊れてると。行政の救済も全然ない。そうすると全国からボランティアが集まってくるわけですね。実際に人がいく場合も多いんですが、たとえばどこかの建設関係の会社がこういう資材があるからこれを寄付するんだと言って、トラックに積んでいきなり被災地に持っていくわけですよ。

    そういう人たちって他者なのか。場合によっては3.11で被害にあって、極めて身近な人たち同士で孤立してる。しかしながら遠くの人たちとつながり合ってる人たちもいるわけですね。そうすると身近な人間が実は一番他者であって、一番遠い人たちと一番つながり合っている。彼らから援助を受けているってことも十分あり得るわけですよ。

    西塚 そのときのつながりですが、もちろん物資がきたほうがありがたいわけですね。一番身近な他者というのは、おそらく同じように被災してれば慰め合うことぐらいしかできないかもしれません。バッと何かを持ってきてくれたほうが助かります。近親者、仲間、友人とは違う他者が助けてくれるという構図かと思いますが、さきほどの他者の問題とはちょっと違う気がしないでもないんですね。

    もっと言えば、ポトラッチではないでしょうが、いわゆる何か災害が起きたときに、われこそはとワッと援助をしたがる。もちろん実際に助かればいいので、援助することはいいんです。競って援助するとしても、結果的によければいいんだけれども、そういうこととですね、いわゆる何もできないんだけれども近場にいる人たち、被災者Aと近場に被災者Bがいて、Cがガンと物資を運んでくれる、そのCとの関係とAとBの関係は、同じ他者でも違うと思うんです。

    ヤス おそらく違う。ただね、もっと言うと、考えないということが一番重要だと思う。たとえば困ってたらね、勝手に動くわけですよ、人間って。だから、どのような共同体ができて、その共同体にどのような問題があるかということを事前に予想して、思想化すること自体に無理があると思いますね、僕は。

    西塚 対談のかなり初期のときに同じような話がありましたね。そのときも宮台さんの話だったように思いますが、クリント・イーストウッドの映画で『硫黄島からの手紙』の話が出た。あまり覚えてないですが、日米の兵士にはみんなそれぞれ大儀があるわけです。アメリカ人ならアメリカの国のためとか、あるいは町のため、日本もそうですね、場合によっては兄貴のためとかお袋のためとか、みんないろんなものを背負って殺し合いをするんだけども、現場で何が起こったかと言うと、当時一緒に戦っている仲間のために戦う。

    そういうものが人間の中にはある。背負っていた大儀が消えて、一番身近なところで苦しんでいるヤツがいれば、ヘタすれば敵でも助ける。そういうことを訴えた映画だと。ちょっと違うかもしれませんが、本当はもっと実存的なテーマがあるのでしょうが、僕はそういうふうに記憶していて、それはわりと共鳴するわけです。

    そういったことも照らし合わせると、これは僕の個人的な考えですが、やっぱり一番身近なところだろうと思うわけです。一番身近なところをかけがえのないもの、他とは違うかけがえのないものとして捉えるんじゃなくて、一番身近な他者として接する。その関係性の中に普遍につながるものがあるだろうってことなんですが、伝わりにくいですね。

    ヤス まあ、そうですよね。だから思想化するとそういうことになるかもしれないんだけども。

    西塚 そうか、思想化しようとするところ無理があるのか。

    ヤス 一番重要なのは思想化しないってこと。考えないってこと。必要性、ニーズにおいていかに現実的に動けるかってことだと思うんですね。

    西塚 いわゆる脊髄反射とは違いますよね。

    ヤス 脊髄反射と違う(笑)。感情的に動くというのではなくて、目の前に必要なものを合理的に判断して、それを解決するためにいかに現実的に動いていくかってことだと思いますよ。その結果、いろんなものができ上がってくる。でき上がってきたものをあとで反芻して、反省してね、それを思想化モデル化すればいいだけの話だと思うんですね。

    そうしたならば、そこで思ってもみないものができ上がってくると思いますよ。そこで一番重要なのは、現実のニーズに対してわれわれはいかにフレキシブルであるかということです。一番怖いのは、自分たちの思い込みとかイデオロギーとか宗教的な信仰によってね、現実の必要性を無視するということです。

    西塚 そうですね。過去にいろいろとフレキシビリティーを発揮して、ある種のセオリーを培ったとして、現実の現場で今、生で起こってることをそこに当てはめていくことがいかにダメかってことですね(笑)。

    ヤス そうそう、そうです。だから現実が提起する問題というのは、本当は予想つかないんですね。予想つかないこと、予想つかないさまざまな人たちと出会うわけですよ。そういうあらゆる可能性に対して自分がオープンであるってことですね。それはあらゆることに対してフラットであるということです。いっさい価値判断をしない。いいとか悪いとかではなくて。

    人間としてね、本来普遍的に共有できない殺人であるとか、人を裏切るとか、嘘をつくとか、これは人間としてやってはいけないという基本的な倫理観はありますよ。残りの他のものはバリューフリーであるってことね。

    西塚 先ほどの話に戻せば、坂口安吾なんかは仮に裏切ったとしても、すごく下卑たことをやったとしても、それが人間だと。別に堕落したんじゃなくて、それが人間なんだっていう認識がありましたよね。

    ヤス そう。だから坂口安吾の『堕落論』とか『続堕落論』は、あれは名著だと思いますよ。われわれは読むべきで、言ってみればイデオロギーとか価値というのは、実はわれわれの現実的なニーズから見ていかに無意味かってことです。彼は闇市みたいなものを賞賛するわけです。そのような現実的なニーズの処理にしたがって人間が生きていくときに、そこから新たな価値観が生まれるだろうし、新たなものができ上がってくるってことなんですね。それは現実の多様性に対してわれわれが開くってことです。フレキシブルということ。

    西塚 そうですね。仮に今までの道徳、倫理的に悖るものであっても、とりあえず生きていくためにはそういうことが起こり得るってことですね。

    ヤス そうです。本当にそう。現実の提起する多様性に対して、われわれはとことんフレキシブルで開くってことですね。そのような現実の多様性から見たときに、他者は場合によっては存在しないってことです。

    創造を感じる、創造を生きる

    西塚 そうなると、僕は教養がないからあまり詳しくは言えませんが、本来あるべきアカデミズムというのは、そういうところに開いていく知を養う場であるべきじゃないですか?

    ヤス そうです。だからプラトン的なものですよ。アリストテレスじゃなくてね。

    西塚 ソクラテス的なものじゃないかな。

    ヤス そうそう。

    西塚 いっさい書くものを残さなかったソクラテス。僕はそこにロマンチックな思いを抱いてるかもしれないけども、もう本当に生きている。

    ヤス 本来の人間に備わっている叡智に身をまかせるということです。

    西塚 そこであまり飛んじゃいけませんけど、たとえばいろんな人間が現実に対処していくと。みんながそれぞれ自分なりにやればいいんだけども、なかなかうまく対処できなかったり、仲間同士でもいろいろ議論もあるだろうというときに、何か機軸となるもの、それも本当はいらないかもしれないんですが、あるとすれば少なくともキリスト教ではないだろうし、イスラム教でもないだろう。経典がある限りは何かしらの戒律があるわけで、やっぱりそれはちょっといらなかったりする。

    ヤス そうですね。だからヒエラルキーを持った価値観は一番邪魔ですよ。現実の問題を解決していくときに極めてマイナスに働きますね。ソビエトが崩壊したとき、1991年の12月にソビエトが崩壊しますが、国のいっさいの機構がそこでなくなるわけですね。そうするとソビエトの当時の国民は崩壊後、自給自足の自己責任社会になっていくわけです。

    その中で彼らはどう生き延びたかというのはね、まさにこれですよ。当時のソビエトの持ってた価値観に拘泥する人間ほど、餓死して生き延びられなくなっていくんですね。それを全部捨てて、現実の本当のニーズ、合理的なニーズに従って行動する者のみが、新しいシステムを使って生き延びていったということです。

    西塚 そこでビリー・マイヤーを持ち出せば、思い出すのは、いわゆる高次元からの話ですね。人間には野蛮性が必要だと。善悪じゃない。善悪というのは人間が考え出した観念的なもの、要するに抽象的なものだと言います。たとえば動物実験をする。動物を殺すことは野蛮です。動物を殺すのは悪だとされるんだけど、でもそこでワクチンか何かができて人類が生き延びれば、それはそれでいいじゃないかと言う。

    それは、そのこと自体を進めていくという進化の道筋があるとすれば、野蛮性がないとそれは成り立たないよと言うわけです。それは僕は反駁できないわけです、個人的には。だから善とか悪とか観念的なものじゃなくて、ある程度の野蛮性みたいなもの、何かを無視したり、何かをないがしろにしたりするということも必要なんですね。進化の原動力としても。

    ヤス 確かにね。言ってみれば、それは生きるという意味での合理性にいかに従うかってことだと思います。そうしたときにですね、意外にヒエラルキー的な価値観って邪魔なんですよ。思想とか学説が邪魔になる。

    西塚 道徳も邪魔かもしれません。

    ヤス 本当にそうなんです。生きる意味で必要になるような合理性から見たときにですね、果たして他者が存在するのかどうかなんですね。僕はないと思う。本当に。フラットになっちゃう。それはどういうことかというと、あらゆる多様的なものに対して自らを開くということが生きるってことです。

    西塚 本当に核心に触れてきたと思うんですけども、たとえばビリー・マイヤーの書籍に出てくる存在は、創造と言うわけです。創造に唯一従うと。ヤスさんも依存はダメだとおっしゃる。僕もそう思います。会社に依存する。会社を辞めても、仮に形式的には独立していても、ある会社に依存する。経済的に自立していても、マインド的に何かの宗教に依存している。あるいは奥さん、あるいは誰かに依存している。

    要するに依存依存といったものを取っ払ったときに、ビリー・マイヤーの知性体が言うような意味で、最終的に依存するものが創造だとすればですね、僕はそこで言葉遊びじゃないですが、帰依という言葉がありますね。帰依というのは言い得て妙ですが、最終的な依存って意味だと思います。最終的に帰ってくるところ。そうすると、創造というもの、ビリー・マイヤー的な存在が創造しかないと言うときの創造というのは、本来の意味で帰依するところなのかなと。

    帰依と言っても、それはいわゆる宗教的なものではないですね。だからそれは仏とか神の、仏はまた別かもしれない。仏教はおいたとしても、いわゆるキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の神のようなものではなく、むしろ創造といった何かのエネルギー、あるいは法則のようなものに対して帰依するという言葉を使ってもいいかもしれません。

    そのへんをどういう形で、これから媒体を出していくにしても、ヤスさんとのお話にしても、どうやって表現していくかが僕の課題になってくるわけですが。

    ヤス ビリー・マイヤー的な創造は何かというと、たとえば創造がこういうものだと初めから与えられて、それを認識してそれに帰依するってものじゃないんですね。そうではなくて、生きるための普通の振るまいから感じるのは当たり前だろうっていうこと。

    西塚 そこは僕もテーマになっていて、僕はどうしてもそれを認識したいという思いがあるのと、また別に合気の武道を通じて、今はあまりやってませんけども、体感としてよくわかるわけですよ。そこしかないだろうってこともわかります。もう理屈じゃなくてね。でも、それを言葉で表現する場合、どういう表現方法があり得るか。これは言葉の可能性としてもかなり魅力のあるテーマです。

    ヤス 僕の言葉で引き寄せて言うとね、生きるために必要になるような合理性に対して全面的に自分を開いていく。開いてて普通に生きてるなら、これは当たり前に感じるだろうってことなんですよ。

    西塚 まあそうなんですが、感じない人もいるじゃないですか。

    ヤス なぜ感じないかというと、それは生きるための合理性に対して自分を開かなくてもいいような環境にいるからですよ。たとえばサラリーマンになる。サラリーマンになって辛い思いをしてる人もいるかもしれないし、辛い思いをしてなくてもいいかもしれないけども、要するに与えられたことをやってれば給料が出てくるわけですよね。それは自分の内部に眠っている生きるための合理性といったものに対して、自分を全開にするというか、自分を全面的に開く必然性がないわけですよ。

    西塚 自分でフタをしてるわけですね。

    ヤス そうすると今言ったビリー・マイヤー的な意味でのね、創造といったものが実は存在するんだってことは覚知できないわけですね、全然ね。じゃあ、何を覚知するかというと、オレにとって会社がいかに重要であるかと理解するわけですよ(笑)。

    西塚 往々にして、頭ですよね、基本的に。

    ヤス まあそうですよね。そうではなくて、本当にひとりになる。ひとりになって、会社とか所属するものが全然ない。そうすると、いかにサバイブするかという単純な合理性に従って生きざるを得なくなってくる。

    西塚 本当にそうです。僕は2013年に独立して本当にそう思ってますから。ヤスさんはそういった意味で大先輩ですけど、そのへんも今度、具体的な細かい普通のわかりやすい例っていっぱいあるじゃないですか、そこからもちょっと話していきたいんですね。

    ヤス いいですよ。次回の話につなげる上でひとつだけ例をあげますと、僕はもう自立して20年経つんですけどね、まったく会社とか依存しないで生きている。いろんなことをやってきたわけですけど、ある意味そこにひとつのパターンがあるんですね。自分の言葉で言えば、守られてるという実感が強いんですね。確実に守られている。

    生きるための合理性に、ただただ合理的に従って単純にやってるとですね、その合理性に従ったように現実が動くわけです、本当にね。そうすると、なぜ自分がこれだけ安定するのかとやっぱり思う。いつもね。自分を安定させているのはまさに自分自身の努力であるし、生きるための合理性に従った自分の普通の行動なんだけれども、その結果非常に大きな安定を得るわけです。この安定させているものに何か超越的なものを感じるんですね。

    西塚 それはやはりお感じになるんですね。

    ヤス すごい感じる。

    西塚 わかります。

    ヤス これは何かあるなと。

    西塚 よくわかります。だからまだ安定していない僕がそれを感じるための、これはいいコンビかもしれませんね(笑)。僕ももっとそれを感じるためにもどんどん質問していきます。

    ヤス そうそう。何か感じるわけですよ。これは何なんだろうとやっぱり思う。そうすると、ビリー・マイヤーの言う創造ということが一番ぴったりきますね。

    西塚 つながってくるわけですね。

    ヤス すごいぴったりきますよ。

    西塚 では、その何なんだろうということに、今年は早い時期にたどり着きたいので、またおつき合いいただければと思います。ありがとうございました。また来週お願いします。

    ヤス また来週。どうもどうも。


    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

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    高松の講演会日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで場所  高松生涯学習センター〒760-0040 高松市片原町11番地1電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022会費   ¥5000/人
    01-26 08:48

    「ヤスの勉強会」第22回2016年の見通しを立てる。日時:1月30日、土曜日時間:1時半から4時前後まで料金:4000円場所:都内記載必要事項名前(ふりがな)住所 〒メールアドレス参加人数懇親会の参加の有無info@yasunoeigo.com
    01-26 08:47

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第27回

    1月25日

    ウエブボット最新版の配信

    リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    「ヤスの勉強会」第22回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第22回を開催します。非常に急速に国際情勢が動いています。2016年は第3次世界大戦を回避できるかどうかが決まる重要な年になると思われる。あらゆる分野の情報を解析して、いま我々がどこに向かっているのか見通しを立てる。

    【主な内容】
    ・2016年はなにが起こるのか?
    ・大きく変革する「イスラム国」の情勢
    ・我々はやはり超社会主義に向かっているのか?
    ・日本は衰退の最終段階にいる
    ・個に内在した超越的な力と精神性

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:1月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無
    info@yasunoeigo.com


    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

    日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで
    場所  高松生涯学習センター

    会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
    〒760-0040 高松市片原町11番地1
    電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022
    会費   ¥5000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・2016年を展望する
    ・シェールオイルバブルは破綻するのか?
    ・中国の現状と今後
    ・ロシアはなにを目指しているのか?
    ・個に内在した本来の力


    まぐまぐ大賞2015、政治経済・国際情報部門で第2位になりました。ご推薦いただきありがとうございます!

    まぐまぐ大賞2015 -政治経済・国際情報部門
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    次回の有料メルマガの予告

    1月29日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、もっとも的中率が高いと言われている市場アナリストのボー・ポルニーの市場予測を詳しく紹介する。実に興味深い。次に、やっと明らかになってきた軍産複合体の実態について紹介する。

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第26回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第27回

    oyaspi23

    西塚 みなさん、こんにちは。「酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting」の今日は27回ですね。またヤスさんにおいでいただきました。今日もよろしくお願いします。

    ヤス こちらこそ。じゃあ、カンパーイ!

    西塚 いやあ、もう27日になりましたね。次にお会いするときはおそらく来年になると思いますが、前回は個人的にはかなり面白いお話であって、保守と革新の両極端と言うか、保守のいき着くもの、革新がいき着くものが、結局は個を棄損する、貶めたり、なくさせる、解体させてしまうということで、やはり個は大事だというお話でした。ヤスさんとの話でずっとそこはテーマでもあるんですけども、保守と革新というところからの視点が面白かった思います。

    経済の問題で言えば、前回FRBの利上げの話がありましたが、あれは大した問題じゃないよと。新興国から資本も抜けるだろうけれども、大したことではない。そのことよりも僕が面白いなと思ったのは、投資家にしても何かの現象があって、そこで大変だ、こうなるからこうしようというのではなく、あ、こうなるかもしれないという憶測して、実際にそれを自己実現的に現実化してしまうという話です。そのことのほうが影響力としてはでかい。何かを動かしている原動力であるという。何かがあって経済がこうなっちゃうよ、じゃないんだなというところが面白かったですね。

    ヤス だから相場なんて典型的にそうですよ。客観的なメカニズムがあって上がったり下がったりしてるように見えると言うか、そのような説明をつけたがりますけど、基本的に違いますね。

    金融資本主義の終焉

    西塚 違うんですね。そうなると、いわゆる株の予想とか、ああいうのはどういうことになるんですかね。

    ヤス 集合意識がどう動くかでしょう。集合的な感情がどう動くかですね。かなり大多数の人が、たとえば日経平均が下がると予想した場合に、下がるということを前提にした行動をとるわけですよ。下がるからその前に売っとけというような形でね。その行動が一般化すると本当に下がるわけです。

    なぜ下がったかということをいろんな説明をつけて解説するわけですね、エコノミストとかね。でも、基本的に何で下がったかと言えば、多くの人間が下がると思ったからってだけの話ですよ(笑)。

    西塚 僕はそれはけっこう重要なご指摘だと思いますよ、実は。だって、みんな結果から分析して、こうだろうああだろうと言うんだけど、その前にそういう思いがあって、そのとおりに行動しちゃってるから、そうなったってだけになりますから。今までヤスさんと話してきた、個が現実を創っていくということとものすごくリンクした話になってくる。

    ヤス まさにそうです。そのとおりですね。

    西塚 いろいろな分析が全部無駄だとは言いませんけども、見方を変えないととんでもないことになると言うか、常に後追いになっていって、何と言うかな、死に体の評論になって、何の意味もないという可能性もある。

    ヤス そうです。だから分析者がどういうことをやってるかと言うと、どのような要因であれば人々が反応するのかということを予想するわけですね。たとえば、FRBのちょっと利上げがあった。利上げというのがひとつの大きな要因になると。利上げというのは客観的に見たらね、いわゆるドルがどんどん強くなる流れですから、アメリカに資金が流れることになる。それに対して市場はこう反応するだろうというふうに予想するわけですね。それで分析をするわけです。

    ただ今言ったように、じゃあ利上げがあったから実際にそうなったのかと言うと、そういうわけじゃない。ちょっと微妙なところですけどね。多くの人が株価が上がると思ったから、そのように行動して実際に上がったっていうことだと思いますよ。

    西塚 前回のお話だと、リーマンショック前ぐらいのアメリカに戻ってるということでしたね。いわゆる景気がいい。でも反面、CLBとかCLOでしたっけ? ドット・フランク法にいろいろ抜け道があって、もう莫大な債権になっている。そうなると、いくつかの予言にもありましたが、2016年の来年ですね。何かクラッシュが起きそうだと…

    ヤス シンクタンク系のいろんなレポートを見ると、また僕の友人のシンクタンク系の人たちの話を聞くと、日本のクラッシュということに焦点を当てると、だいたい2016年から2022年という幅を持って見てるわけです。ただ、一番可能性の高い年のひとつの年が2016年だと言われてるんです。

    西塚 2016年から2022年というのはけっこう幅がありますけど、スタートが2016年ということは、そのころからヤバくなってくるだろうっていうことですか?

    ヤス もうヤバいんですけどね。抑圧されてる矛盾がいつ噴出して、いつ危機に結びつくかってことだと思いますね。

    西塚 来年は経済的にちょっと注視していかないと怖いですね。起こりうるという前提でいろいろ、まあ資産がある方はなるべく考えたほうがいいんじゃないかなってことですね。

    ヤス 基本的にわれわれはどういう流れかにいるかと言うと、金融資本主義が終わるんですよ。終わると言うか、現代の先進資本主義国がありますでしょ? 先進資本主義国がどういうやり方で経済成長していたのか、体裁を整えてたかと言うと、これは借金ですよ。

    さっき言ったCLOとかCLBという金融商品に重なる部分なんですけども、たとえばね、昨日の勉強会でも言ったんですが、現代のアメリカのいろいろな経済水準はいいことはいいんですね。失業率は下がってるし、住宅をみんなどんどん買ってるしね。消費者マインドもけっこういいんですよ。みんなお金を使いたいという流れなんです。でも賃金を見ると、ものすごい勢いで下がってる。そうすると謎に思いません? 賃金が下がってるのに何で消費者マインドが高いのか。要するに、賃金がどんどん下がりつつあるのに、人々はお金を使ってるってことですよ。

    西塚 借金ですね。

    ヤス そうです。そのメカニズムは、いわゆるクレジットカードを主体にした、ある意味でリスクをミニマムに見せるようなさまざまなシステム。要するに自分の年収を超える大量の借金ができるシステムですね。

    これは、エコノミストがかっこよくレバレッジ経済なんて言うんですよ。日本はレバレッジ経済が弱いから、まだイマイチ経済成長が…なんて言うんですけどね。借金して自分の収入を超えた消費をしろって言ってるようなもんです。そのような実質をともなわないような借金経済というのは、いずれ終わる。借金のメカニズムを作らないと経済成長したという体裁を整えることができないというのは、われわれの先進資本主義国が至った限界なわけです。これは必ず破綻する。

    西塚 それが早ければ来年ぐらいから始まるだろうと。

    ヤス 早ければね。

    中産階層が没落した社会がいき着くところ

    西塚 わかりました。いずれにしろ、現在の金融を中心とした経済はもうどん詰まりで、あんまりいいことはなさそうですね。

    他にいくつか個人的に気になってるのは、プーチンがホドルコフスキーを殺人で国際指名手配した。完全にプーチンの政敵だった人ですね。あれはどういうことなんですか? 要するに、何だかんだ言ってロシアは多少経済も落ちてるみたいだし、来年9月の議会選もあって、プーチンに反対する動きをしているホドルコフスキーを中心にした反政府権力、反体制の輩をちょっとこう押さえつけようってことなんだろうと思うけども。

    ヤス まあ、そうですね。基本的な欧米が立てたシナリオがあるわけです。ロシアに経済制裁をする。原油価格がどんどん下がる。また原油価格を下げる誘導をする。そうするとエネルギー大国であるロシアはどんどん経済的に困ってくる。経済的に困ってきたら、やっぱりプーチンに対する支持率は衰える方向にいくだろうと。すると今度は大きな民主化要求運動が起こるだろうと言うか、起こす。

    だからその状態は、たとえばカラー革命であるとかね、アラブの春で欧米が仕掛けたように、エージェントを使ってさまざまな民主化要求運動を仕掛けて、プーチン体制を揺さぶるということができやすい環境なわけですね。

    おそらくね、今回のホドルコフスキーの国際指名手配というのは、もうそのような動きが始まっていたという証拠だと思いますね。だから、はっきりとそういう動きが出る前に潰しておこうってことだと思いますけどね。

    西塚 けっこうプーチンは本気なんですね。本気に対峙すると言うか、立ち向かっている。

    ヤス そうです。前にもね、何回か同じことを話したんですけど、ロシア国民の持っているプーチン像、まあプーチンの支持率は80%を超えてますが、その理由は、国家の分裂のトラウマを抱えてる人たちが圧倒的に多いということ。国家の分裂、崩壊がどういうことを意味するのか身にしみているので、国家の統合の基礎となっているプーチンに対する支持率は極端に高い。今はね。だから欧米が言うように、経済制裁で経済が下がって、プーチンに対する支持率が衰えるなんてことは、そう簡単には起こりようがないわけですね。

    西塚 起こりようがないですね。それを聞いて思い出すのは、ヤスさんが9月に出されたご本にも書いてありますが、抑圧されたものの噴出ということですね。

    さっきチラッとこの収録の前に飲みながら話しましたが、例のチョムスキーですね。ノーム・チョムスキーが9.11のときにアメリカを批判した。あのとき言われていたような、いわゆるアンチグローバリゼーションとかではないと。そんな単純な構図ではなく、要するにグローバリゼーションの名のもとに、やられてしまった中東の人たちの怨念、それがすごく貯蔵されてて、それが噴出してきたんだよってことを言っていた。

    そのときはみんなバカにしちゃって、何言ってんだと。ナショナリズムとは言ってなかったかもしれないけど、要するにグローバル化に対するアンチであるという簡単な構図に落とし込めちゃって、真実が見えなくなっていた。今から思えばそう言えるわけです。

    だから今のプーチンのお話につなげちゃえば、依然として支持率が80%あるっていうことは、以前のお話にも出たように、怨念ですね。中国もそうですけど、もう二度とごめんだと。欧米にやられちゃって、あんな貧しい暮らしはもうイヤだということが相当根強くある。

    しかもヨーロッパとか日本が戦争のトラウマを忘れ去っちゃったような、ずいぶん昔のことではなくて、つい最近のことだというのがまた大きいですね。そこを見ないと、ロシアがいわゆる民主化運動でぶっ壊れるとか何とか、そんな単純な話じゃない(笑)。

    ヤス 単純じゃない。たとえばね、われわれの前の社会では分厚い中産階級があったわけですよ。どの国でも先進国であれば70%パーセント以上の人が中産階級ですね。非常に安定している。安定してる場合は極端なことって起こらないわけですね。過去の歴史にトラウマを持ってるとしてもね、その過去の歴史のトラウマに基づく怨念、その怨念に基づく過激な行動をとるというよりは、現在の生活の安定化ということのほうがプライオリティーがはるかに高いですから。過激な行動とか過激な判断にはいかない。

    ただ、今の状況は、そうした中産階級がぶっ壊れてボロボロになってるわけです。今アメリカのですね、この間統計で見たんですが、飢餓人口ってすごいですよ。4600万人です。

    西塚 アメリカですか? そんなにいるんですか。

    ヤス フードスタンプを受給してる人たち。要するにフードスタンプがなかったら食えない。

    西塚 そういう意味か。14%くらいいると言いますからね。

    ヤス いる。4600万人(笑)。

    西塚 すごいな。フードスタンプがなければ死んじゃう人たち…

    ヤス 死んじゃう。この人たちが、何と元中産階級が多いんですよ。今までちゃんと生活してたんだけども、急に職を解雇されたとか。

    西塚 あるいは住宅ローンで破綻するとか、いろいろあったんでしょうけど。

    ヤス そうそう。

    西塚 完全にそれはまあ、いわゆる失政ですよね。要するに何かのミスですね。間違ってるってことですね、社会の運営の仕方が。

    ヤス そのぐらい大きな格差がどんどん出てて、中産階級そのものがそれこそ崩壊の危機に瀕してるわけですね。

    西塚 そうなると「アトラスシュラッグド」ですね。2016年。あれは、何であんな映画ができたのか。それこそWeb Bot的に言えば、ある恐怖値があの映画を作り出したのかもしれません。

    ヤス そうですね。アイルランドのね、あれはイルミナティーの脚本なんではないかというような言い方もされてます。

    西塚 へえ、逆にですか?

    ヤス 逆に。こういうことを引き起こしてやるっていう予告。

    西塚 あるいは、こうなるんだぞという脅しとか。

    ヤス そうですね。予告だという理解の仕方もあるんです。

    ちょっと中産階級の話に戻りますと、そのように中産階級がどんどんぶっ壊れてくると、やっぱりその怨念の持ってく場所に困るわけです。そのような怨念の持ってく場所に困るぐらいに不安定化した社会は、ふたつしかいきようがないわけです。

    ひとつの道は、今われわれが目にしているような、さまざまな怨念の象徴化した集団が表面に現れてくる。そのような集団によるテロであるとか、抗議運動であるとか、社会をもっと不安定化させる要因がどんどん出てくる。それを放っておくとですね、社会の自己解体みたいなものに結びついてくる。

    あともうひとつは、これはもっと強烈なトレンドなんだけども、そのような自己解体のプロセスをストップして、社会というものをもっとタガを締めてまとめるために、国家の力が極端に強化されるという方向です。

    西塚 超国家主義、超階級社会の元になるようなシステム。ヤスさんの見立てとしては、そちらのほうに向かってるということですか?

    ヤス その流れは強いわけです。明らかにね。

    西塚 今そうですね。EUなんかもそうですね。

    ヤス EUもそうです。EUは、おそらく国家以上にEUという共同体を全体的に強めるという方向にいくんじゃないかと思います、最終的には。ただ、これはもうパワーゲームとしてですけど、じゃあ怨念だけの塊になった民衆はどうするのか。まあ怨念だけの塊ってことはないですけどね。やっぱり下から経済を再構築する運動が起こってくるはずなんですね。徐々にですけど。

    もし、下から経済を再構成してくる、たとえばコミュニティ運動であるとか、いわゆる地域通貨みたいなものを自分たちで作ってね、それで経済を循環させる運動であるとか、下からそういう運動が起こってきた場合、もしその運動が国家の上から統制する力を凌駕するぐらい大きな運動になった場合、それはわれわれが勝ちますよ。

    西塚 そうですね。それは予測できないと言うか、われわれしだいと言うしかないんでしょうけれども。

    ヤス われわれしだいと言うしかない。だから、何とかしてくれは、もう通用しないということだと思いますね。

    とにかくずっとやり続けることが重要

    西塚 通用しないということですね。そうすると小さいシステムまで絡んでくる話になってきます。たとえば、サラリーマンであるとか、サラリーマン自体がいいとか悪いとかではなく、やっぱりどうしても給料がもらえるということで安心感はめちゃくちゃあるわけですけど、その安心感を担保にして何かを殺していかなければいけなくなる。

    その抑圧していく、殺していく、見なかったことにするということの積み重ねのあげくの果てが今だとも言えるわけです。そうなると蟻の一穴じゃないけど、個人がたとえば脱サラしちゃうとか、好きな趣味でいっときは貧乏になるけど何かやってみるとか、やっぱり失敗したじゃんと思われるかもしれないけど、そういうふうにやっていくしかないと思うんですね。個人的には。

    ヤス おっしゃるとおりです。まあ何と言うか、へんな法則だと思うんですが、法則と言うか当たり前のことなんですけど、やり続けるものはたいてい形になって成功するんですよ(笑)。

    西塚 継続は力なんですね。

    ヤス 継続の力。あとはもう根性だけの問題で。やり続けりゃいいんですよ。日本人ってね、けっこう根性なしが多いんで、途中でやめるんですね、みんなね。

    西塚 やめちゃうんですね。今まではやめても、また戻るという場所があったからいいけど、これからはたぶんなくなるんじゃないんですか。会社にしても、戻ろうと思っても会社がなくなったり、業界自体がもう滅んでたりということがどんどん出てくると思います。

    ヤス そうするとね、そういう変化に対する対応、変化に対する適応力、それがどの水準から出るのか。会社という組織性の水準から出るのか。または国家とか政府といったようにね、大枠の組織のところから出るのか。はたまたそうではなく、個人のレベルで発揮されるかっていうことなんですけど、一番ここで発揮されねばならないのは、個を中心とした現実に対する適応力ですね。  

    西塚 そうですね。その適応力と言った場合に、今までも何回もテーマになってるんですけども、やっぱりこれは人によって違いますね。ヤスさんどう思われますか? 

    ビリー・マイヤーというのがひとつの軸に出てきてますけれども、ビリー・マイヤーと言っても読んでない人もいるだろうし、実際僕なんかも全部は読んでないから、どれをどうしていいかというのもあるんだけども、僕の場合はそういうことを考えていくこと自体が生きることにつながってるんで、また違うかもしれませんけど、何かこう不文律なり何かがあるべきだと思われます? 何かに従っていく、こういう考え方をしていけば、何となく自分の考え方に見合った現実を創り出せるだろうし、そうすべきなんだ、そっちのほうがいいんだというものがあるべきなのか、どうなのか。

    ヤス 僕はその原理原則はあると思うんですね。ただ、原理原則はあるんだけれども、それは何か抽象的で深遠な哲学ではない。ある意味、経験値ですね。だからさっき言ったようなこともそうですよ。どんなことでもやり続ければ形になって勝つんです(笑)。それは経験値からそうだ。だから、ある臨界点までやり続けられるかどうかですね。

    西塚 そこなんです。また茶々を入れるようなこと言っちゃうかもしれないけど、サラリーマンにしろ何にしろ、ひとつのことをずっとやっていけばいいんだという話にもなりますね。何と言うか、何かをずっとやり続けるということに、自分なりの意義を見出してやっていけばいいのでしょうが、間違った方向というものはないものなのか…

    ヤス 客観的に見て、間違いとか正しいという方向は僕は言えないし、実際ないと思うんです。ただ、道徳的にこれはあってはいけないって方向はありますけども。たとえば、自分がやり続ける方向が原理主義的なテロを強化するような行動であれば、これは絶対にやっちゃいけないし、倫理的な基準というのは存在してしかるべきだと思うんですね。

    しかしながら今言ったように、現実を変える、たとえば世の中が変化する、社会が大きく変化する、その変化に合わせてフレキシブルに自分が適応しなくちゃダメだと。適応するための何かの原理原則みたいなものがあるかどうかということになってくると、経験値としての原理原則しかないってことだ思います。

    何か超越的な倫理的なもの、こうこうこういうような行動をとってたから彼はダメで、こういうような行動をとってきたから成功だといった、ハウツーってのはあんまりないんですよ、きっと。だから極端に言えば、現実を変えるってさほど難しくはない。ある特定の方向、目的を目指して、その行動をやり続ければいいわけですね(笑)。そうしたらね、どこかでドアがぶっ壊れて、壁がぶっ壊れるんですよ。そして向こう側に出るんですね、確実に。

    西塚 ドアーズじゃないですけど、「Break on Through」ですね。

    ヤス Break on Throughです。そこまでやれば、確実にそうなるし。一回その原則をつかんでしまえば、じゃあもう1回やるか、じゃあ2度、3度やるかってことになるわけです。

    西塚 最初に目的ありきってことですね。まあ、Break on through to the other sideと歌ってましたね、ドアーズは。好きな歌でしたが。

    ヤス ええ。英語で言うとね、Bamming the doorって言うんですけど、ドアをぶっ叩く。とにかく繰り返し繰り返しぶっ叩いてたら、カチャッと開くんだと(笑)。そしてother sideに出る。

    西塚 これまた違う話になっちゃうかもしれませんけど、引き戻す力ってあるわけですね、日常に。要するに今までの楽なやり方です。ビリー・マイヤーでもさんざん出てくるテーマですけどね。とにかく人間は楽なほうにいくんだと。今までの惰性と言うか、とにかく楽なほうにいく。思考でも何でも。そうするとやっぱり停滞していくから、彼らは、人間は進化していくわけだから、そういう流れには乗っかってはいけないというような言い方をするじゃないですか。

    僕はそこにヒントがあるような気がしてます。進化したいなら動かなきゃいけない。辛くてもですね。辛いかどうかというのはまた人にもよるんでしょうけど、それが喜びに変わるのか、使命感なのか、義務なのかというのは、ちょっと人によってわからないところです。少なくとも停滞すると、それなりのものしか待っていない気はしますね。

    ヤス そうですね。とにかく停滞しないで、ひとつの方向に向かってずっとやり続けるってことだと思いますよ。

    西塚 昔、よく文学的な比喩として、上流ほど水はきれいで、下流になっていくにしたがって水は汚れるんですが滔々として、川幅も広くなって、海にも近くなるという、文学的な表現がありますけれども、そこで停滞というのは、その川の流れでどこかで分岐して、そこで沼になったりして、それはそれで文化を生むんだと。何か特殊なものを生んで、それはそれでいいじゃないかって言い方があるんですね。

    だから、これはいい悪いじゃないですね。自分はどこにいきたいのか。どういうことが心地いいのか、自分は選択するのかという、単純にそういう問題かもしれない。

    僕はみんなが同じところを目指さなきゃいけないとは思わないけれども、自分がいいと思ったら、こっちのほうがいいんじゃないかぐらいのことは言いたいというのが、ちょっと強いと思うんですよ。

    ヤス いや、言っていいと思うんですね、全然ね。

    西塚 言い続けますけどね。たとえばカミさんでも誰でも、子どもでも友人でも、ちょっとウザかったり、熱かったりというのは、昔からけっこう言われましたけどね。最近は、ビリー・マイヤーの書籍にもありますが、それはもうしょうがないし、要するに人それぞれの進化の仕方があるんだと。そういう言い方をするんですね。

    でも僕は個人的には、あんまり感情的になっちゃいけないけど、それは何かさみしい言い方かなっていう(笑)、余計なお世話なんですけどね。言われるほうにしてみれば。

    ヤス 話はよくわかりますよ。西塚さんの中に根本的にひとつの大きな欲望があるということですね。それは何かと言うと、たどってきた道を全部俯瞰したいっていうことだと思います。自分が作り上げてきた地図を俯瞰したい。多くの人たちが作り上げてきた地図の俯瞰。やっぱり風景全体を見たいという欲望かなと思いますね。

    僕もそうした欲望が強いんだけど、ただ、ある決意にしたがって同じことをどんどんやり続けていって、それで自分が現実をどんどん創り出していく。創り出し続けることによって、それがある程度まででき上がったときに振り返って見ればいいんですよ。そうしたら、何を創り出してきたかが絶対わかりますから。

    ダークな力は必要

    西塚 ちょっとスピリチュアル的な話になっちゃうかもしれませんけど、こういう言い方もあるんですね。いわゆる一瞬一瞬に生きるって言い方があるじゃないですか。ヤスさんなどはまさしくそうかなと思いますが、瞬間瞬間で生きていくわけです。その積み重ねの記憶がおそらく貯蔵されるということなんだろうけども、僕はあまりそういう気がしないんですね。

    一瞬一瞬に記憶が書き換えられてる気がするんです。あまり言うとSFっぽくなりますが、書き換えられると言っても過去がなくなるという意味ではなくて、少なくとも過去にあったことが、一瞬一瞬の気分なり、やってることによってちょっと意味を変えると言うか、僕は本当は変わるとまで言いたいんだけれども、何かそういうことがあるような気がします。だから過去の積み重ねを見るというよりは、そのときどきのものによって、過去の感じ方が変わるっていうことに近いのかな。

    ヤス そうですね。ただね、その過去の感じ方って、意識が急激に変わって行動が変わるみたいな感じで理解してると思うんですけど、僕は逆だと思うんですよ。ある特定の目的を目指した行動をとにかく反復していく。反復することによって意識が変わる。意識が変わることによって、おそらく過去の自分に対する関係が変化するんですね。

    西塚 そういうことですね。それは以前うかがったお話でも、「資本論」を読み続けていてパッと開けるとか、武道でもやり続けることによってパッとわかるってことですね。ある種の作業の反復というところに鍵があるのでしょう。

    ヤス それがさっき西塚さんがチラッと言った、いわゆる日常に引き戻される、または日常ということで今ちょっと象徴的に言った、ある意味自分の内面の暗い力に引き戻される。それに対する抵抗は何かと言うと、反復作業をやり続けるだけですね。

    西塚 その日常ということも反復作業ですね。前提として、日常に引き戻されるのがイヤだとか、これじゃ停滞してるなとか、本当はこういうことをやりたいんだということがないとしょうがないかもしれません。今まで反復している日常から脱したいとか、本当はこういうことを目標にしたい、こういうことを思ってるということが大前提としてないと、ずっと日常でただ快感作業をしていればいいじゃんということになってしまう。

    だから、そういう前提は本来はその人なりにあるはずなんだけども、それが埋もれたり、誤魔化されてるということなのかなと思うんです。その人なりのものが出てくるにはどうしたらいいかと言ったときに、たとえばビリー・マイヤーだったら瞑想であるとか、あるいは何かの稽古であるとか、本を読み続けるとか、対話し続けるとかということになるんでしょうけども、きっかけとしては。

    ヤス もっと言うとね、日常のダークフォースと言うか、暗い力に勝つためには、日常の中に「やり続ける」という別の行為を取り込むということです。僕なんかは毎週メルマガを書いてる。メルマガは全体で1万字ぐらいです。毎週の行為ですよね。何日も前に準備しますけど、毎週の行為。これをやり続ける。やり続けると読者も増えて、いろんな意見とかをもらって、それはすごく楽しいんだけども、そうすると自分の日常の一部になるわけですね。メルマガの1万字を書くことが快感になるわけですよ、ずっとね。それをやり続けていくと、徐々に現実が変わってくる。

    西塚 となると、やはり意識の拡大というのは、行動の拡大かもしれませんね。

    ヤス そうです。だから、意識を拡大するように行動せねばならないということですね。だからわれわれが、西塚さんだけじゃなくて僕も含むんですけども、多くの人たちが考えているとおり、何か直感的に覚醒みたいなお告げがあってね、それで一気に意識が変わって、それからビフォーアンドアフターでまったく別の人格になってね、それで新しい人生を歩み出すなんてことはあり得ないんだと。もし、そういうことを誰かが実感しているとしたら、これはヤバいぞと。薬物やってないのか(笑)。

    西塚 よくあるじゃないですか。いきなりお告げがきたとか。

    ヤス そうそう。だからそれはね、操作されてないのかって(笑)。

    西塚 神を見たとか。あまりコアな、ヘビーな話をするつもりはないですけども、たとえばファティマみたいなものでも、あれも操作されてるという話もあるぐらいなんで、やっはり闇雲に信じるべきではないですね。そういう直感なり、幻視なり、幻覚、声が聞こえた(笑)…

    ヤス そうですね。そういうものを否定するわけではない。あることはあるんだけれども、もし自分が体験した場合は、まずは疑ってかかったほうがいい。なぜかと言うと、普通に現実が変化するということは、そういう方向ではないんですよ。現実が変化するときは、行動のほうが先に出るわけですね。ずっとその行動を続けていったら、実際に現実が変わって、それに合わせて意識が変わるってことですから。

    西塚 そうかもしれませんね。不思議なのはですね、僕はあまり詳しくはないんですが、ベンジャミン・リベットというですね、これは合気の先生から教えてもらったんですけど、生理学者がいて、この学者が言うには、人間はこうしようと自分で決断して、たとえば手を動かしたりしていると思っていますが、まったく違うんだと。0.5秒ぐらいの差があって、事前にもう行動が決定されている。これは脳内の電位の実験などですでに証明されてる科学的事実らしいんですね。

    手を動かそうと思った瞬間に、もうすでに反応していて、手を動かす用意ができている。だから脳は、手を動かしたことをあとで認識する。つまり、手をすでに動かした0.5秒あとに脳がようやく認識して、しかも脳は0.5秒戻して認識させて、われわれがリアルタイムに認識してるように錯覚を起こさせていると言うわけです。だからわれわれは、実際の世界を0.5秒後に脳で再構成した世界を認識している。脳が指令を出して、何か行動をしているというのはまったくのまやかしだと。

    そうなると人間の理性とか意識というのは、ますます怪しくなってくる。だからそうじゃないものに依拠すると言うか、少なくとも人間の意識とか理性は、感情よりはそちらを恃みしたほうがいいんだろうけども、あまり絶対視しないほうがいいのかなと思うわけです。

    僕はそういった意味で、直感とか感情の区分けに関しては今までいいかげんだったかもしれないけども、理屈とか意志とか理性的なものじゃない、もっと内面から出てくるもののほうがはるかに信頼できるって言い方をしてきたんですね。僕の言い方が厳密じゃなかったので、ヤスさんとのいろいろな話の中で、感情はダメだということが出ましたが、もっとこみ上げてくるもの、そのときのヤスさんの言い方を僕なりに解釈すれば、もう結論に近い判断として出てくるもの。結果として出てくるようなもの。その感覚というのは、これは確かに実感でしかないんですね。ちょっと言葉ではうまく言えないようなものですね。ヤスさんがうまく言ってくれるならいいんですが、僕はちょっとうまく言えないんです、あの感覚は。

    ヤス 冷厳な判断ですよ。そこには感情的な要素は待ったくないです。こうなるというね、確信とともにやってくる冷厳な判断です。

    西塚 だから当たり前なんですよね。

    ヤス 当たり前のことです。そう。

    西塚 そうなったから、ああ、やっぱりそうなった、ということでもないんですよ。当然という感覚。ゼランドもそういうこと言うわけです。そういうものとしてやってくるんだと。そして、そういうものを自分でも養えると言うか、そういうものを持てば、要するに間違いなく現実化するという言い方をするわけですね。そのへん、難しいんですけどね、言い方が。

    ヤス そういった直感が自分に来るのをずっと待ってて、直感が来ない限りは何も活動しない、ということではない。逆に言うと、そのような冷厳な判断としてのクリアな直感がやってくるというのは、行動によるんです。ある目的に向けてずっと歩んでいるときに、必ずやってくるということだと思います。

    西塚 それで、ゼランドの話を続けるとですね、冷厳な直感としてやって来て、もうこれしかないと思ってやり続けるじゃないですか。そうすると、間違いなく邪魔もやって来るんですね。僕はですね、その源泉を知りたいんだけど、必ずネガティブなもの、自分の意志をくじけさせるものに出逢うんだと。それでも、なおかつやっていく人が成功していくんだけども、必ずやって来ると言うわけです。

    でも、ゼランドはこういう言い方をするんです。僕の好きなフレーズなんですけど、たとえ地獄の底に転げ落ちていくようにしか思えない状態でも、冷静でいて、ポジティブな選択をしていく。そうする限り大丈夫だと言うわけです。これはですね、ビリー・マイヤーの本にも似たことが書いてある。わりと共通しているんですね。だから、その源泉を知りたいんです。悪魔なのか、まあゼランドはそれを振り子、ペンジュラムという言い方をするんですが、ダークな力、引き戻す力、それは意外と単純な作用・反作用なのかもしれないし、僕はちょっとわかりませんけど、必ずやって来る。

    ヤス 物事が発展する場合はダークな力は必要なんですよね。

    西塚 かもしれないですね。

    ヤス 絶対にね。逆にポジティブな力が加速化するためには、ダークな力との絶妙なバランスがないと無理だと思いますよ。

    西塚 踏み台がなければジャンプはできませんものね。

    ヤス ジャンプはできない。ちょっと卑近な例ですが、「ヤスの備忘録」というブログをやってて、1日のアクセス数が1万とか2万とかある当時ですね、投稿欄を全部オープンにしてたんです。そしてあまり介入しないようにした。そうするとネガティブな投稿が来るわけですよ。ネガティブな投稿がどのようになっていくのかと思って、ちょっと様子を見てたんですね。

    ネガティブな投稿が来る。すると、どんどんネガティブな流れに沿う投稿が多くなってくるわけね、オレもそう思うみたいなね。多くなってくるんだけど、逆の反作用としてポジティブな投稿も多くなってくる。そうすると、ネガティブとポジティブのある特定のバランスができたときに、アクセス数が急激に伸びる。だからある程度、自分に対する批判とか、そういうネガティビティというものをむしろ取り入れていくということ。

    西塚 実際、どうでしたか? 拮抗するのが一番いいんですけども、どちらかがと言うか、ネガティブなものが増えていく傾向はないですか?

    ヤス 増えてく傾向がある。だから僕はいつも意識していたのは、ネガティブが増えないように、ある一定の水準を超えたらネガティブを抑えていく。投稿を消すんです。

    西塚 やはり微調整はするんですね。あんまり突拍子もないものはね…

    ヤス 微調整する。そうすると、ネガティブを取り入れた上でね、ポジティブな発展のサイクルができ上がってくるという感じはしました。

    西塚 ビリー・マイヤーの本でもこういうことが書いてありました。野蛮性は必要なんだと。要するに、人間が何かを開発するときに、たとえば動物実験がないとワクチンは作れないだろうし、実際にワクチンで助かった人はいっぱいいるわけなんだけども、それは動物愛護の点から言えばとんでもないことだし、それはその通りだと。でも、そういう野蛮性があるからこそ、進化するんだという言い方をする。全部が全部、要するにキレイキレイで、その野蛮性もイヤだし、人も殺したくないし、傷つけたくないということは、滅びるってことだと思います、おそらく。

    ヤス ユングにですね、「アイオーン」という分厚い書物があるんですが、1950年に書かれた本で、これからは水瓶座の時代に入ると。その前の時代、われわれの魚座の時代はどうだったかのか。その時代の区分のことをアイオーンと言うんです。

    西塚 水瓶座の時代というのは、ビリー・マイヤーが生まれた1937年から、魚座からの過渡期の後半に入ったんじゃなかったでしたっけ? その過渡期を経て、本格的に水瓶座の真価が発揮されるのが2029年からとか何とか…

    ヤス いろんな説があります。2008年から入ったって人もいればね。どこで入ったかということは、比較的アバウトなのかもしれませんけどね。いずれにしろ1950年にですね、ユングが「アイオーン」という本を書いて、徹底的にキリスト教を批判するんですよ。特に最後の部分が面白くて、十字架という象徴の批判なんですね。

    あれは、絶対的な善としての神の象徴なんだと。クロスというのは絶対的な善ということで、神のマインド、人間が実現しなくちゃならない理想的な人格を、ユングの目から見るとキリスト教が神としたんだけども、その神からすべての悪を完璧に放逐してしまったと。絶対的な善にしてしまったんだと。

    要するにネガティビティを入れることに失敗した。そうすると、そのネガティビティは神の象徴の中に入ることが許されないから、徹底的にただ抑圧されるだけの対象になる。それはどんどん肥大化して必ず人間に復讐することになる。だから、それは強烈なネガティビティによる復讐を引き起こすための象徴なんだと。それがいかに不完全であるか。だから、この世に生まれてきた私の役割というのは、キリスト教にネガティビティを引っ張り込むことだと言ったんですね。

    西塚 ユングはそこまで言ってるんですか。やはり重要な人物ですね、ユングも。

    ヤス 重要な人物ですよ。それに対して、たとえば仏教のね、まあいろんな仏教の学派がありますけども、仏教は基本的に人間の中にあるネガティビティを認めてるわけです。機能的に必要な部分として認めている。

    キリスト教は、独自の非常にアンバランスな精神構造を作り上げた。要するに、キリスト教の倫理観から見て悪と思えるようなもの、たとえば結婚してるのによこしまな欲望を抱くとか、そういうものを徹底的に弾圧する。

    西塚 だから数回前のお話で出たアメリカの下院議長のベイナーも、あんな悪いヤツでも号泣するんですね、震えちゃって(笑)。何かを抑圧してたんじゃないですか、おそらく。良心か何かわかりませんけどね。

    ヤス おそらくそうでしょうね。だから永遠に自分が罪の意識と良心の呵責を持つように仕向けるわけですよ。

    西塚 原罪ですからね、もともとが。僕もあれはひどいと言うか、理解できないんですけ
    どね。

    ヤス だから、そのネガティビティをどういうふうにうまい具合にね、人間の中に取り込んでいくかということは、少なくとも個ということを考えてみた場合に極めて大きいですよ。

    西塚 僕もそれは若いときから、漠然とですけどテーマでしたね。卑近な言い方をすれば、酸いも甘いもと言うか、清濁あわせ呑むということにわりと真実があるような気がしています。それをまっとうできる力強さ、精神的な強さっていうものがないと、世の中は生きにくいだろうなと思ってたんですね。キレイキレイだけでもダメだし、濁だけだったらやっぱり滅びるだろうし、そのバランスとしか言いようがないんですけど。

    セオリーを無視する創業社長

    ヤス 「複雑系」って理論があるじゃないですか。「カオスの縁」であるとかね、いろんな秩序のひとつのイメージが出てくるんだけども、自分自身ですごく面白いと思ったのは、そのカオスになってるもの、混乱の要因って言うのかな、本格的なカオスになってるものをいかにシステムの中に取り込むかによって、システムが活性化したり、ダメになったりするんですね。

    西塚 たぶんそれは勘で、理論を立てなくても、おそらく中小企業の立派な社長さんなんかはわかってるんでしょうね。

    ヤス わかってる。非常によくわかってる。

    西塚 こいつはトッポくて不正もするんだけど、こいつがいたほうがいいとか、あるんじゃないですかね。

    ヤス 中小企業の社長を何人か知っていますけど、それは特に創業社長だけですね。

    西塚 やっぱりなあ。それは面白いな。それだけで1冊本書けますよ。

    ヤス 二世、三世はないんですけど、創業社長だけですよね。本当に直感力がすぐれてますね。本人は人間を見抜く、オレは敏感なんだって言い方をしてますけど、僕の目から見ると本当にね、絶妙な配置をしますよね。このへんと、このへんって配置して。

    西塚 そうなんですね。だいたい創業社長ですよね。前にも申し上げたかもしれませんが、麻雀でですね、中小企業の社長同士のマージャンなんてのはセオリーも何もなくて、あんな連中とは絶対やるべきじゃないってある人に言われたんですね。何でですか?って言ったら、とんでもない、あいつらはと。麻雀はある手がそろって勝ちになるんですけども、一応セオリーみたいなものがあるんですね。でも彼らは何も関係なくて、いらないものはどんどん捨てるし、欲しいものは持ってくる。これしかないんだと。それでみんな勝っていくって言うんですね。あれは化け物だって聞いたことがありますね。

    だから、普通はちょっとうまいと考えるわけですよ。あいつはこの手をやってるから、これを捨てると当たる、要するに負けちゃう。いろいろそういう緻密なやり取り、思惑でやるゲームなんです。だまし合いも含めて。そんなんじゃないんだと。中小企業の社長たちの恐ろしさと言うんですかね、もう直感で動いていく。

    ヤス だから、セオリーを求めたらダメなんですよね。理屈でこのようにやればこうなるなんてものはないんですよ。それもさっきの行動の原理で言えば、中小企業の社長というのは、要するにある特定のことをやり続けてるっていうだけですよね(笑)、ずっとね。

    西塚 あとそれこそ以前にも出た話で、フレキシビリティーですね。やり続けてダメだったら変えると言うか、簡単に変えてしまってまたやり続けるという。

    ヤス そうです。

    西塚 そのへんの勘とか直感もあるんじゃないですか。ひとつのことをやっていってもいいんだけども、やっぱり違うぞと思ったら変える勇気というのも必要でしょうね。

    言葉ってもどかしいですね。ひとつのことをやり続けるっていうことでも納得するんだけども、ちょっとした変数、変換事項が出てくるとまた言い直さなきゃいけない。言葉自体が危ないものがありますね。

    ヤス そう。だからセオリーとか、理屈とかを最初に前提にして、そのとおりマニュアル化しても大抵失敗しますよ。無理です。僕が好きな社長がひとりいるんですよ。今は大きな会社に買収されてしまったんだけど、残念ながら。その社長の社内のニックネームが花咲かじじいっていうんですね。

    西塚 へえ。枯れ木に花を咲かせるんだ。

    ヤス いえいえ、とにかく営業にいい成績を上げろと。いい成績を上げたら金をばらまくからねって、本当にばらまくんです(笑)。金をワーッて、花咲かじじいが灰をまくようにしてばらまいて、人に与えるので。

    西塚 え? 本当に投げて、ばらまくんですか?

    ヤス いや、実際に投げるんじゃなくて、いい成績だったら、ハイって言ってボーンと渡す。え?ここまでやったら、これだけもらえるのか!ってみんななるわけです。そうしたら、みんな社長に忠誠を尽くしてガンガン働くわけですね。それで会社が大きくなる。彼に話を聞くと簡単なんです。要するに、みんな欲しいのは金なんだよと。それが本質だろう。だったら、努力したらちゃんと金をやる。

    西塚 それは理にかなってるし、わかりますよ。僕が行った中小企業の出版社がひとつありますけども、そういう感じでしたね。売れたヤツはガンと給料なりボーナスを上げる。そうするとまた頑張る。

    ヤス だからそれをですね、社長の目線で世の中を見るためにはとかね、経営戦略がどうのこうのとかってぐじゃぐじゃ言うけども、あれは大抵間違っているって言うんです、その社長はね(笑)。

    西塚 お金を余計にあげれば、余計に働くと(笑)。

    ヤス そうそう(笑)。極めてシンプルな論理です。論理なんだけども、本質であることは間違いない。

    西塚 確かにそうかもしれない。まあお金は欲しいし、評価でもありますからね。

    ヤス だから最初に理屈で武装してしまって、セオリーとおりだってことを前提にして物事を判断するとフレキシビリティーをなくてしまう。

    2016年以降、世界の形が変わる!?

    西塚 ちょっと言い忘れちゃったんで、戻っちゃいますけど、ひとつだけお聞きしたいんですが、世の中では関係ないって言ってますけど、例の「報道ステーション」の古舘伊知郎が辞めますね。来年3月で降板する。「NEWS23」の岸井(成格)さん、元毎日新聞の、この人も降りると。やっぱり例の古賀(茂明)さん、元経産省の、「アイムノット安倍」の古賀さんですね、あれが尾を引いてるんじゃないかと言われてますが、関係ないと言ってる。たぶん明らかにあると思うんですね。

    だからメディア規制がかなりきつくなってきたと。参院選までは、相当締めつけてくるんじゃないんですか、安倍さんは。言いたいことは言わせないし、何としても勝ちたいんだと思うんです。あとは憲法改正ですね、おそらく。これはどうなるのか。

    ヤス あと治安維持法みたいなものを持ってくると思いますよ。

    西塚 持ってくるかもしれないですね。宮台(真司)さんみたいな人に言わせれば、周辺事態法が決まったときから、これは見えてるって話になるんですけどね。盗聴法とかメディア規制もそれはセットなので、いずれはこうなるっていうことをすでに2000年ぐらいに指摘してるんですね、あの人は。先見の明があったと思いますが、本当にそうなってきたなと。安倍は本気でやるでしょうね、おそらくね。

    ヤス やるでしょう。だから、このファシスト政権をどこでぶっ潰すかですよ。

    西塚 ぶっ潰すかですね。だから僕もヤスさんにこうして毎週毎週来ていただいて、どこまでできるかわからないですけども、どんどん出していきたいですね、そういうことをね。それしかないんじゃないかと思います。メディアだって、まあアメリカの話もお聞きしましたけども、けっこうオルタナティブメディアがいっぱいあって、それこそ「RT」が視聴率で2位とか、笑っちゃいますけども、ああいうメディアがあってもやられちゃうわけですから。

    特に日本の場合なんかは、ちょっとそういうことが言えるメディアがあるだけでも、心ある人はみんな見るだろうし、今求められてるんじゃないかなと思います。昔「噂の真相」って雑誌がありましたよね? あれはロクでもない記事もいっぱいありましたけど、あれがなくなってみんなホッとしたらしいですよ。やっぱり怖がられてたんですね。やられちゃうかもしれないっていう。ああいうものは必要なんですね。

    ヤス 確かにね。面白いですね。アメリカの最大の批判勢力がロシアだと、国内でね(笑)。だから、アレックス・ジョーンズの「INFOWARS」なんて巨大なメディアになってますよ、今ね。地上波にもなってますから。ネットだけではなくてね。あれね、よく出てくるのは実はRTのコメンテーターたち(笑)。マックス・カイザーって人なんてよく出てくる。歯に衣着せないアメリカ経済批判なんですよ(笑)。

    西塚 それはやっぱり見習うべきですね。はるかに進んでますね。

    ヤス そう。あとロシアがはっきり目指しているのは、メディア大国。

    西塚 「スプートニク」も僕はあまり知らなかったんですけど、面白いですね。

    ヤス 面白いです。あれはやっぱり深読みせねばならないんですね。プーチンが今後何をやりたいのか、どのような方向に持っていきたいのかがわかる。

    西塚 30カ国語ぐらいに翻訳されている。国だからできるんでしょうけども、ひとつの企業がやろうとしたら大変ですよね。だからプーチンというのもね、またひとつ僕の中では何なんだろうと。

    ヤス 今後、このプーチンのやり方から出てくるのは、実はアメリカの金融資本主義ではないモデルがあるんだぞ、ということです。

    西塚 中ロの話でも、いわゆるASEAN以下、これからいろいろな国がどこの国をモデルにするかというときに、このままチャイナモデルが成功する、ロシアが成功するとなれば、もう欧米ではないし、欧米はむしろ資本主義を捨てるしかなくなるだろうって話がありますね。そういった本当に大きな意味で、2015年にきてですね、世界の形が変わっていくってことですね。世界の形というのは、取りも直さず人間の精神の形なので、やっぱり軌を一にして変革しつつあるというところに生きてるんだなと実感しますね。

    ヤス まさにそうですね。目の前で世界と言われている環境が変わってきている。それに対して、われわれも早いうちにフレキシブルに適応せねばならないということです。

    西塚 ようやく立ち上がる「五目通信」やこのサイトも、そのひとつのつもりでやるので、今後もおつき合い願いたいのですが、何か最後にありますか?

    ヤス 今年は2015年なんですけど、僕は2015年くらいに大きな危機が来るかなと思ってたんですね。シェールオイルバブルの破綻とか、新興国のどこかの破綻であるとか、それは何とか1年もったと思います。

    西塚 何とかもった。

    ヤス イスラム国の爆発的なテロであるとか、僕はおそらく今年もっとあるかなと思ってたんですよ。ただ1年もった。もったのは今年だけかもしれないってことですね。来年はもっとすごくなる可能性がある。

    西塚 なるほど。そういったことも、毎週こうしたことをやってますので、逐一ヤスさんにお聞きして発信していきたいと思います。じゃあ、また来年もよろしくお願いします。ありがとうごいました。

    ヤス よろしくお願いします。


    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

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    筆者がコンサルティングにかかわっている会社が子供用の国語音声教材の提供を始めた。子供用だが、実によい名作がmp3の音声ファイルで聴くことができる。大人の心の琴線に触れる作品がとても多い。よいサイトだと思う。よかったらどうぞ!

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    また、私はいま日本で起こっている変化を以下のようにとらえております。もしよろしければこちらもどうぞ。

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第26回

    1月12日

    ウエブボット最新版の配信

    明けましておめでとうございます。ヤスです。今年もよろしくお願いします。

    リクエストが非常に多かったコンピューターの未来予測プログラム、ウエブボット最新版の配信を再開いたします。「ヤスの備忘録」の対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    「ヤスの勉強会」第22回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第22回を開催します。非常に急速に国際情勢が動いています。2016年は第3次世界大戦を回避できるかどうかが決まる重要な年になると思われる。あらゆる分野の情報を解析して、いま我々がどこに向かっているのか見通しを立てる。

    【主な内容】
    ・2016年はなにが起こるのか?
    ・大きく変革する「イスラム国」の情勢
    ・我々はやはり超社会主義に向かっているのか?
    ・日本は衰退の最終段階にいる
    ・個に内在した超越的な力と精神性

     よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:1月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無
    info@yasunoeigo.com


    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

    日時  平成28年1月29日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで
    場所  高松生涯学習センター

    会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
    〒760-0040 高松市片原町11番地1
    電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022
    会費   ¥5000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・2016年を展望する
    ・シェールオイルバブルは破綻するのか?
    ・中国の現状と今後
    ・ロシアはなにを目指しているのか?
    ・個に内在した本来の力


    まぐまぐ大賞2015、政治経済・国際情報部門で第2位になりました。ご推薦いただきありがとうございます!

    まぐまぐ大賞2015 -政治経済・国際情報部門
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    次回の有料メルマガの予告

    1月15日、午前0時10分に配信する次回のメルマガでは、北朝鮮崩壊の引き金が引かれた可能性について解説する。アメリカはかなり前からこのシナリオを準備していた可能性がある。次に、やっと明らかになってきた軍産複合体の実態について紹介する。

    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

    amazonで注文

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第26回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    「「資本主義2.0」と「イミーバ」でみた衝撃の未来」出版記念ジョイントセミナー  講師:高島康司 12/6、1/16

    1月16日、「「資本主義2.0」と「イミーバ」でみた衝撃の未来」出版記念ジョイントセミナーを行います!第二回目のパートナーは前世リーディングの高橋善則さんです。よろしかったらどうぞ!

    申し込みリンク

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第26回

    oyaspi23

    西塚 みなさん、こんにちは。「酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting」の26回になりま
    すね。今日は12月のもう19ですか。押し詰まってきましたが、今日もまたよろしくお願いします。では、カンパーイ!

    ヤス と言うことで、いつものように、カンパーイ!

    西塚 前回は霊能者の話も出ました。今日もどうなるのかというところですが、時事問題に関しては、ひとつひとつお聞きしていくと大変なので、途中端折るかもしれませんが、アメリカの利上げがありましたね。リーマンショックのゼロ金利以来だと7年ですか?

    ヤス 実際は9年ですね。

    新興国より実はアメリカ経済が危ない!

    西塚 僕は経済オンチですが、ちょっと前のヤスさんとの対談を思い出しまして、新興国から資本が流出してる、逃げてるってことにまた環をかけることになるんじゃないんです?。

    ヤス まあ、そうですね。基本的にそうなると思いますよ。

    西塚 これは、アメリカが景気がいいという判断もあってFRBも利上げを決定したって話なんですが、それはそういう解釈でいいんですか?

    ヤス 利上げそのものが大きな影響力をもたらすっていうわけじゃないと思います。利上げの幅は0.25%から0.5%の間で、これから政策金利を変動させるってことですから、さほど大きな影響力はないですね。

    それから新興国からの資本流出は、もうかなり前から始まってるんですね。去年ぐらいからどんどん加速化してる。それでアメリカが利上げをしたということで、市場の観測としては、新興国の資本流出の流れがおそらくもっと加速化されるだろなと読む。そう読んでるので、結果的にそのように自己実現的な行動になって現れるってことなんですね。

    だから市場とは何かと言うと、たとえばこういう客観的なことがあったから、したがってこうこうこう動いたのだというよりも、特定のことが多くの人間の観測とか思い込みを作り上げ、その思い込みにしたがって動くがゆえに、自己実現的に実際に当たってしまうという構造になってるんです。

    たとえば、別に客観的な材料が全然なくても、ちょっとしたことがひとつの原因になって多くの市場の人が、あ、この銘柄が絶対に上がるだろうと読んだと。上がると読んだ人たちが実際にそれで行動した場合、やはり多くがの人たちがそれに追随するわけですね。そうすると結果的にその銘柄が上がるってことになるわけですよ。

    西塚 そうなると、何回も話している預言の話にも近くなってきますよね。

    ヤス ええ、そうです。別に僕は相場にすごく詳しいわけじゃないけども、市場というのは、言ってみれば人の思い込みによる自己実現的な行動によって、値動きが変わってくるという面がある。だから、利上げがあったと。0.25%から0.5%。でも実際は、新興国の利子率のほうがまだ高いわけですね。全然ね、利子率としては。

    だからまだまだ新興国に投資してたほうが、金利っていうことだけを見てたら有利なはずなんですよ。でも、そうはならない。そうならないのは、やっぱり新興国の経済はだいぶ弱含みだよねと。

    西塚 商品価格が下がってるから…

    ヤス 商品価格がどんどん下がっていくし、原油がどんどん下がってる。資源の輸出国がすごく多いわけですから、新興国の場合はね。だいぶそれが下がってきて通貨安になってくると。そうしたら、あ、このへんからそろそろ撤退して、資本を引き抜いたほうがいいんではないかって観測が広がる。広まって、実際何人かの人間がそういう行動を起こすと、それが火種となってみんないっせいに動くわけですよね。そうすると実際そのような状況になってしまう。

    西塚 そこにきてアメリカの利上げなんで、なおさらちょっとじゃあアメリカに移してみようかと。

    ヤス アメリカにということですね。それを加速する行動にはなると思います。

    西塚 これからしかも、FRBもしばらく様子を見ながらってことなんでしょうけども、希望的観測で、景気がよくてこれからまた上がっていくっていうことであれば、そっちに移しますもんね、投資としても。

    ヤス そうです。今の日本のニュースでたくさん出てるのは、新興国がいかにヤバイかってことなんですね。たとえばブラジルが相当落ち込んでますし…

    西塚 あ、出てますか? ヤスさんとの対談で話してたときはまだ出てなかったですよね、あのときは。

    ヤス ああ、まだなかった。今はテレビや何かの経済ニュースを見てると出てくるようですね、けっこうね。新興国がいかに減速してるのか。それから中国経済の減速とか、よくニュースになってますけども、だからそれはけっこう知られてることなんですが、意外に知られてないのはアメリカ経済そのものなんですよ。

    アメリカの経済に関しては、ネットで情報を集めてる人たち中心にですけれども、よく知られているのは、まったく相矛盾したニュースが流れてくるんですね。一方では日本の主要メディアを中心としたニュース、いわゆるアメリカ経済がいかに堅調でね、力強く伸びてるか。今年の成長率も3%ぐらいだし、日本なんて0.5%ぐらいですけどね、それから見るとアメリカの大国が3%ですから、すごく大きな成長率ですね。

    それから個人消費がいかに伸びてるかとか、住宅着工件数も伸びてるし、失業率もですね、どんどん下がってて、アメリカの失業率は5%ですよね。アメリカの失業率が5%って完全雇用に近い状態なんですよ。そういうニュースで、いかにアメリカ経済がいいかってことはどんどん喧伝される。

    西塚 アメリカの場合、その失業率が低いと言うのは、その年齢別の失業率で言うとどんな感じなんですか。たとえば20代が10%とかっていうようなことでもないんですか?

    ヤス 当然、若年層に失業者が集中しやすい傾向にありますね。若年層と高齢層は多い。ただ日本の場合は、非正規社員と正社員との違いってありますでしょ? アメリカはもともとないんですよ。フルタイムとかパートタイムで働くっていうことだけなんですね。基本的には。

    西塚 もう契約は契約だと、最初から。

    ヤス 契約は契約だということだけなんですよ。だからちょっと日本と同じような枠組みでは見れない部分があるんですけどね。

    それで、アメリカの経済に関していい数値がどんどん出ている。それは間違いないんですね。ただ一方ですね、それとまったく相反するような現象がたくさん出てる。要するに中産階層がどんどん没落している。それと現在、アメリカでフードスタンプという食料切符を持ってるのが、それこそ4600万人ぐらいになっている。

    西塚 日本で言えば生活保護者ですね。

    ヤス そうです。それがアメリカの全人口の14%ぐらいになってると。それから中産階層と言われてるような人々がどんどん没落している。中産階層って今まで一番人口が多かったんですよ。それがそうではなくて、一番最近の発表だと、富裕層と貧困層を合わせた数のほうが中産階層よりもはるかに多いということになった。

    それは中産階層がどんどん貧困化してるってことですね。アメリカで格差が拡大してね、今までの中産階層がいかに貧乏な状態になってるのか。たとえば、安定したフルタイムの専門職のいい仕事を持っていたと。それが一回リストラされて仕事がないので、大学院出のちゃんとした30代の人が、それこそマクドナルドの店員をやってるとか。

    西塚 ああ、教育のある人たちが技能とか専門知識を活かせないわけですね。

    ヤス でもそれは、マクドで働いてるとしても職を持ってるわけだから、失業者にはならないわけです。アメリカの労働省の統計でいくつかの数値があるんですね。日本と同じようなアメリカのハローワークがあって、そのハローワークの求人募集にずっと来ているような人たちを母数とした失業率があって、それが5%なんですよ。

    それに対して長期失業者っているわけですね。半年以上仕事をずっと持ってない。でもハローワークにも来ていないというような人ね。その人たちを入れるとですね、アメリカの実際の失業者数というのは、まあだいたい13%前後になるんじゃないかと言われてる。

    さらにですね、本当の長期失業者、もう1年以上ハローワークに通ってもいないというような人たち。だからアメリカの労働省もトラッキングをすることをやめてしまったというような人たちを、概算の数値として加えると24%ぐらいなんですね。

    そうすると、実際はアメリカの景気は悪いんではないかと。その証拠に個人所得も全然伸びてないだろうと。確かにそうなんですよ。平均給与も伸びてないんですよ、あんまりね。だから景気がいいと言うのは、数値の改ざんによる偽装ではないかと言われてるんです。だからアメリカの景気がいいのか悪いのか、まったく相反する情報が出てきてよくわからないってことになってるんですけど、実態はこうなんです。

    簡単に言いますと、アメリカの経済はリーマンショック以前の状態に戻ったってことなんです。リーマンショック以前のアメリカの景気はすごくよかった。年率の成長も3%とか4%、もっと高いときもあったけどすごくよかった。なんでよかったかと言うと、それを進めてたのは個人消費なんですね。バンバンみんな消費する。それがアメリカの巨大な市場になるわけですね。個人消費の豊かさがいわゆる経済成長の牽引力だった。

    西塚 そのときの個人消費というのはローンだったんじゃないんですか?

    ヤス まさにそうです。どのようにして個人消費を引き上げるローンができたかと言うと、たとえばそこで現れてくるのがサブプライムローンであるとか、いわゆる住宅ローンを証券化して、それを販売すると。それを金融商品としていろんな金融商品とミックスしてね、CDOとして販売する。それが利率が高いもんだから、いろんな金融機関や投資家にもバンバン売れるだとか、まあ債券の証券化という方法がひとつあった。

    ほかにミニマムペイメントなんて方法があるんですね。たとえばクレジットで何かを買うでしょ?そうした場合ね、最低限1%かなんか払うとですね、延々と借金の支払いを先延ばしできるんですよ。たとえば自分が100万円借金をしたとすると、その100万円の1%を払うとですね、これ利子にもならないわけだけども、でも100万円の1%さえ払えば利子も支払う必要もないし、当然元本も支払う必要がなくて、それをそのまま翌月に先送りできる。

    翌月に先送りしたやつも1%払ってまた翌月に先送りできる。延々と先送りできるシステム、これがミニマムペイメントって言うんですけど、そういうものとか。なぜそれが可能になったかと言うと、そのローンを組んだクレジットカード会社自体が、そのローンを証券化して売り払ってしまってるわけですよ、すでにね(笑)。だからそのローン会社としては痛くもかゆくもない。すでに証券化して売り払っているので元を取ってるわけですね。

    西塚 なるほど。頭がこんがらがってきますけどね(笑)。1回ビデオを見せてもらったことがありましたね。僕に言わせればクレイジーなアメリカ人が、次々と豪華な家財道具を買っていく。プールまで作る。それで、これもあれも全部借金だといばっている。でも、目が怖かったです。もうイッてる。狂ってるんですね。あれはミニマムペイメントを使っていろんなものを買ってたんですね…

    ヤス そうです。いろんなものを買ってた。それで、ローンがどんどん債券化、証券化されて売れますのでね、担保さえ持ってれば、たとえばローンを払ってても家を持ってるとか、自動車を持っててもね、自動車を担保にしてウチから10万ドル借りませんかと。あなたの家を担保にしてウチから100万ドル借りれますよって来るわけですよ。

    何でそういうふうにローン会社が貸したいかと言うと、そのローンを証券化して売り払えば、すぐその場で元が取れるわけですね。

    西塚 ほお、何かわからないんだけども、皮膚感覚として相当危ない綱渡りと言うか…(笑)

    ヤス いや、まさに借金ですよね。ローンの証券化というのは、ローン会社にとっては濡れ手に粟のビジネスだった。金融会社はそれでどうするかと言うと、サブプライムローンと同じように、その証券化したローンをたくさん掻き集めてきて、中身をわからなくして、それで金融商品として発売するわけですよね。平均的な高い利回りをつけて。利回りが高いわけですから、かなり売れると。

    西塚 CDOってヤツですよね。

    ヤス そうそう。

    西塚 誰か評論家が言ってましたけど、その中はいろんなごちゃまぜになってるから、もしかしたら毒饅頭があるかもしれないぞみたいな話ですね。

    リーマンショック以上の破綻が目前に!?

    ヤス まさにそうです。まさにね。実は、これがリーマンショックで全部破綻した。破綻して、2009年とか2010年になってくると、いわゆるこれによって個人消費を嵩上げしてて、アメリカ経済を引っ張ってきたんだけど、そのメカニズムが全部ぶっ壊れるわけですよ。ぶっ壊れて、2010年にドット・フランク法という金融規制法が導入されるんですね。

    ドット・フランク法にボルカー・ルールというのがあって、ローンの証券化そのものを規制したのではなく、ローンを証券化したものを銀行が買うことを規制したんですね。ローンの証券化はえらい利回りのいい金融商品だったので、銀行がみんな買ってたんですよ。銀行が自己資本で買ってたんですね。それで自己勘定取引の禁止ってことをやった。銀行は自分の金でそういうローン債券や証券を買ったらダメだという規制を加えた。

    しかし、これが大きなザル法だったんですね。銀行はダメだと。じゃあ、銀行が違う金融機関を別会社で作ればどうなんだと。いいんだと。それで銀行が出資して、ヘッジファンドとかさまざなファンドを作ってね、そのファンドの自己勘定によって買うというシステムを作った。それが始まったとたんにアメリカの景気がクッと上向き始めたんですよ。

    それで今どうなってるかと言うと、リーマンショックからすでに7年経ちますが、実はリーマンショック以上の状態に戻ってしまったんですね。フタを開けてみたらリーマンショックを上回るくらいの金額が、そのように証券化したローンのほうにバンバン流されて、それが金融商品として買われてるという状態なんですよ。

    西塚 じゃあ、また同じことを繰り返すんじゃないんですか?

    ヤス まったくそうです。それによってアメリカ経済が底上げされてるのが、今だってことですね。生産的なものでは全然ないです。

    西塚 それでFRBが利上げしたんですか?

    ヤス FRBは利上げせざるを得なかったってことなんですね。純粋に経済的なものです。前にもお話したと思いますが、資本主義経済で一番大きなエンジンになってるのは利益率なんですね。どの企業も。企業は利益率の低い分野から資本を引き抜いて、高い分野に投入するという投資行動をとるわけですよ。それが資本主義の原理になってるわけですね。

    そうすると、銀行の利子率が利益率より高かったら、投資は無意味ですね。銀行にお金を寝かしておいたほうがいいということになります。利子率もそうだし、その他の株式によって得られるようなアーニングと言うか、株式の利益であるとか、それはすべて企業の利益率より低くなくちゃいけないという原則があるんですね。

    ひとつ怖いのは物価の変動なんですよ。どんどんインフレになって、物価が利益率を上回るような状態になったらどうなるか。投資というのはストップするんですね。物をどんどん買い占めておいて、3カ月後に売ったほうがお金になるっていう状態なんですね。そうすると資本主義経済の循環そのものをストップしてしまうので、これはかなり危険です。

    なおかつですね、高いレベルのインフレが起こってくると、労働者は飯を食えないわけですから、賃上げのデモがどんどん起こる。それで賃上げをすると今度は企業の利益が減りますから、当然商品価格に上乗せすると。そうすると商品価格がもっと高くなるというようなメカニズムで、まさに賃金と商品価格がお互いに刺激し合いながら、インフレがコントロールつかなくなるんですね。これは70年代のアメリカ、80年代初期のヨーロッパで、実際に何度も経験したことがある。これを止めるためには早いうちに手を打たなきゃダメだということで、今回のFRBの利上げなんですよ。

    では、今のアメリカは実質的に経済が成長してるのかと言うと、おそらくしてないですね。今言ったように、金融操作による嵩上げによって、ただただ成長が維持されてるって状態です。そこで問題になってくるのは、リーマンショックと同じようなことが起こるかどうか。結論を言うと、起こる直前の状態にいるんですよ、われわれ。

    リーマンショックのときの大きな引き金になった証券化されたローンは何かと言うと、サブプライムローンだったんですね。住宅ですね。今回は、どうも引き金になるのはシェールオイルのようですね。シェールオイル産業というのがあって、どんどんシェールオイルの掘削量が増えてくるのは、だいたい2010年、2011年ぐらいからなんですね。極端に増えてくる。

    なぜ増えたのか。アメリカ産のシェールオイルに対する需要があったから増えたのかと言うと、全然違う。勝手なメカニズムで増えたんですね。どういうことかと言うと、まず2010年とか2011年は、ドット・フランク法が一応適応されてリーマンショックの清算は終わったねと。でもザル法だったから、もとの状態に戻り始めたころなんですね。

    シェールオイルを掘削してる会社は中小の会社ばっかりです。中小は資本力がない。資本力がないから銀行からローンを組むわけですね。ふたつの形態があったんです。ひとつは、シェールオイル会社が将来の販売価格をまず決定するわけです。だいたいこのぐらいで売れるだろうと。それで、売れたら返すからねと言って、将来の石油の販売を担保にして銀行からお金を借りたんですね。銀行はどうしたかと言うと、そのローンをすぐ証券化して売り払うわけですよ(笑)。売り払った証券は、他の証券化した債券と一緒になって、別に金融商品として同じく売り出されてるんですね。これはCDOではなくて、CBOって言うんですね、今ね(笑)。

    西塚 でも、CDOみたいなものですよね。

    ヤス まったくCDOと一緒です。CBOとか確か言うはずなんですよ。同じような証券として、すごい量が出回ってるんですね。あともうひとつやってるのは、これもリーマンのときにあったんですけど、中小の石油会社が社債を出すんですね。社債と株式は違うと。社債と言うのは借金証書なんです。債務です。

    だから社債を発行すればするほど、それがちゃんと売れれば現金になるっていうものなんです。そうすると、そういう中小の石油会社が社債をたくさん発行します。その販売を手がけた金融機関はすぐそれを証券化するわけですね。証券化してまた売り払うわけです。売り払って、それに基づいてまた金融商品を作る。確かね、これをCLO(※確認)とかって言うんですね(笑)。同じことをやってるわけですよ。

    西塚 なるほど(笑)。でも、アメリカのシェールオイルの将来性に関しては、これは中東に頼らないっていうこともあって、右肩上がりに上がっていくだろうという希望的観測があったわけですよね。

    ヤス そうですね。2010年、11年ぐらいには、そういう希望的観測があってそれをやってたわけですね。どれだけやっても破綻するわけはないって言うんだけど、今どうなったか。32ドルとか30ドル台じゃないですか、原油はね。安くなってる。

    それで、シェールオイル会社というのは掘削コストがえらいかかる。今までは、5、60ドルの原油価格がないと破綻すると言われてたんですけど、掘削の技術がどんどん進歩して、採算ラインがどんどん低くなってきたんですね。ただ、今の30ドルだと不可能で、シェールオイル会社の破綻が相次いだ。その結果、今言ったCBOとかCLOのような金融商品が破綻しはじめたんですね。今は特に社債です。証券化された社債。銀行は自分で直接買えないので、銀行が作ったヘッジファンドであるとかノンバンクが大量に買ってるんですね。

    西塚 規模はどうなんですか? リーマンショックの場合はサブプライムローンから始まるけど、あれはいわゆる低所得者層のローンの破綻ですね。今のシェール絡みのお話だと、庶民じゃないですよね。規模としてはどういう感じなんだろう。

    ヤス 庶民じゃないから逆に怖くて、ひとつのローンの規模がでかいんですよ(笑)。今だいたい、アメリカの最大手6行系のノンバンク、ヘッジファンド、これ実はシャドーバンキングなんですけどね、アメリカのね。影の銀行と言われてる。中国だけじゃないんです。これでですね、3.9兆ドルぐらいあるだろうって言われてるんですよ。これは、リーマンを上回る可能性がある。

    この証券化された社債はジャンク債って言うんですね。日本ではジャンク債と位置づけられてますが、実際アメリカではハイイールド債と言います。金利の高い債券という言い方をしてるんだけど、そのジャンク債市場があるわけですよ。今まではすぐ証券化になるんで、みんなジャンク債を買ってたんですね。それが破綻しはじめた。今すでに大手のヘッジファンドがいくつか破綻しはじめた。

    西塚 「アトラスシュラッグド」じゃないですけど、来年ですよね。2016年。あの映画はともかく、ひとつのシナリオとして参考にして言えば、アメリカが不況になっていくきっかけになるお話なのかなと。

    ヤス そうですよ。今これ、ヤバいんですよ、めちゃくちゃ。何で日本のニュースは報道しないのかと思いますけどね。リーマンの直前の状態に僕はそっくりだと思いますよ。これは実は去年の初めから言われてたんですね。原油価格が60ドルとか50ドルを割るぐらいになったときに、将来これはあるぞと言ってた。何とか技術の改良によってですね、シェールオイルも掘削コストをどんどん下げていった。

    それからジャンク債市場に関しても、安易に破綻させたら自分たちが損をするわけじゃないですか。何とかジャンク債市場を破綻させないように、大量の資金を注入して持たせてたんですね。持たせることが可能になったのが、実はゼロ金利政策なんです。

    そのゼロ金利政策も終わって、利上げになると。わずかな利上げだったとしてもね、やっぱりほかにもうちょっといい金融商品が出てくる。そうすると、今までのように余ったお金をジャンク債市場にぶち込んで、何とか市場が崩壊するのを防ぐというわけにはいかなくなってきます。だから、来年早々アメリカ発で厳しいことになるんではないか。新興国ではないと思いますね。

    西塚 ああ、逆に。世界的な大恐慌がもしあるとすれば、新興国からだろうということで、みんな金融関係者は血眼になって、どこだろう、あの国じゃないか、あのスーパーマーケトが危ないぞという。それも当然あるんでしょうけども、何かが単発で起きてというよりは、いろんなものが絡んでるんでしょうけどね。今のお話を聞くと、シェールオイル絡みの証券の破綻と言いますか。

    ヤス それと、それ絡みの金融商品の破綻。実は、そのシェールオイル絡みの社債、ジャンク債を扱ってるふたつの比較的大手のファンドが破綻したんですよ、先週。だから今、ロイターであるとかウォール・ストリート・ジャーナルであるとか、そういうところの記事を見るとですね、ジャンク債市場の破綻がどれほどでかいかっていうニュースばっかりですよね。

    西塚 僕は東京新聞だけど、斜め読みしてますけど書いてないですけどね(笑)。

    ヤス 日本の新聞は書いてないと思いますよ、あんまり。やっぱり、ロイターとかウォール・ストリート・ジャーナルとかフィナンシャル・タイムズとか、ああいうところにいかないとわかんないんじゃないかと思いますね。だからおそらくですね、あらゆる意味で、次の金融破綻にいくような材料が出そろってきたんではないかなと思いますね。

    西塚 日本に対する影響はリーマンの比じゃないんでしょうか? リーマンショックのときは、日本はそんなには影響がなかったですよね。

    ヤス そうですね。

    西塚 そういった意味では、今回はどうなんですか?

    ヤス おそらく、特に今回はリーマンショック以上にね、直接的な影響は少ないんじゃないかと思いますね。ジャンク債絡みのCLOとかCBOであるとか、そういった金融商品を抱えてる日本の金融機関は、かなり少ないかなって感じはします。

    西塚 直接の金融的なダメージはないかもしれないけども、破綻によるダメージはあるでしょうから、それによる世界の動きとか、メカニズムの破損なり、歪みなりっていうものの影響のほうがでかそうですね。

    ヤス それはそうですね。アメリカは世界第2位のマーケットですから、今ね。

    西塚 すみません、ちょっと急ぎでいろいろ聞いてしまうんですが、中国が脱貧国ということで、小康社会ですか、要するに2020年までに経済をよくすると。

    シリア問題、夫婦別姓合憲判断

    ヤス 習近平のね、新しい目標。

    西塚 はい。これはヤスさんがおっしゃったですね、中国は経済が成長している間は安定するんだということにつながる、いい例だと思ったわけですよ。何が言いたいかというと、国にはいろんなこともあるけども、日本の中にも中国の脅威論ありますね。そういうことではなくて、国を持つということ、国を持つがゆえに、その国民とか人民の生活がある程度保障されるということ、そういうことで言えば、中国は必死にそれを求めてたわけで、習近平もとにかく経済の成長というものを第一番においているのだと。ヤスさんもそのことを強調されてた。だから僕は新聞の記事を読んで、本当にそんなんだなとあらためて思ったということを、ちょっと言いたかったんですね。やっぱりそういうことなんだと。

    ところで、2020年までというのは何か意味あるんでしょうか? 2020年までに小康社会を築くと。脱貧困だと。今は格差がでかいというのもあるんでしょうけど、まあ期待を持たせると言うか、やっぱり人民側にもわれわれは何も恩恵を受けてないよっていうのもあるでしょうから、そう言ったんでしょうけどね。

    ヤス そうですね。まさに経済で、この小康社会の宣言は何かと言うと、格差に基づいた貧困、これを2020年までに解消しますよということですね。だから中国人であれば、誰でもそれなりに食える社会を構成しますよと。言ってみれば、社会保障費の増額です。社会保障の制度をきちんとやって、それで誰でも食えていけるような生活水準を保障する社会を作りますよ、という宣言だと思いますよ。

    西塚 そうなると、習近平政権は続きそうですね。

    ヤス 僕は続くと思う。

    西塚 まあ、暗殺とかされない限り。あとふたつくらいあるんですが、ウィーンでやった和平プロセスがありましたね。外相レベルで始まったみたいですが、要するにロシアとアメリカで、いわゆるシリアのISに関する空爆も含めてちょっとこう、お互いに理解し合えてなかったような関係性があったと思うんだけども、ここにきてロシアが、シリアのアサド政権がこれからどこに向かうのかというのはシリアの問題なんだけども、まあそのへんはアメリカのイニシアチブを尊重するみたいなことを言ったという記事を読んで、ちょっと今までの、オバマ何やってるんだ!とは違ってきたなという印象があるんですけど。

    ヤス そうですね。アメリカのほうのアプローチの変化ですね、今は。

    西塚 逆にアメリカが軟化したという。

    ヤス そう。今までずっと言ってきたのは、アサド政権を打倒することが先なんだと。

    西塚 それをちょっと保留にしましたよね。

    ヤス 保留にした。だからね、今回はアメリカの態度の変化ですね、一番大きかったのは。むしろISの撲滅にプライオリティーを持ってきましたね、明らかに。

    西塚 アサド政権と反アサド政権に対する交渉の場は持ったようですが、もちろんISは排除してますけどね、過激派は排除するんだけども、そこでプーチンは、でも決めるのはシリア国民だと。ちょっと譲歩と言うか、お互いに歩み寄ったという印象があるんです。

    ヤス プーチンは前から一貫して同じことを言ってます。要するに、和平プロセスで一番重要なのは、シリア国民が選ぶべきなんだと。アサド政権は、私が擁護すると言うより、これはシリア国民の問題なんだと。外部にある国がですね、ひとつの主権国家の政権を潰すだのどうのこうのと言うこと自体が間違いなんだと。そういう言い方ですね。

    西塚 僕は細かいことは言えないので、ただの印象なっちゃって申しわけないんですが、軍産複合体がシリアをぶっ潰したくて、ISを中心に援助してもっと混乱させようとしてたのが、ここでちょっとブレーキがかかってきたっていう印象があったもんですから。もちろん、いいことだなあと。

    ヤス ここで、われわれがはっきり認識してかなくちゃならないのは、オバマ政権は全然一枚岩ではないと。オバマと国務長官のケリーのラインと、国防総省を中心とした軍産複合体というのは真っ向からぶつかり合ってですね、本当に熾烈な闘争をしてるという状態だと思いますよ。

    西塚 イニシアチブの取り合いと言うか、アメリカの中でもものすごく分裂してるってことですね。

    ヤス 分裂してる。オバマとケリーは本当にISを潰したいんだと思いますよ。それに対して、現場の部隊を握ってる米軍の指揮官レベルとか、国防総省というのはやっぱりそうではないと。イスラム国はアサド政権を倒すような最大のツールであるとしか見てないってことですね。

    西塚 前にも出たお話ですが、オバマの心の声としては、プーチンの空爆は、プーチンさんありがとうに近いと思うんですね(笑)。よくぞやってくれたと。これはこれで本当に面白いテーマなんですが、ちょっとおいときます。

    あと最後は日本の話なんですが、例の夫婦別姓、あれはまあ民法の解釈として、最高裁の大法廷ですからね、これはもう判例として残っていくことになると思うんですけど、一応合憲としました。まあ、それぞれいろんな立場があり得ますが、女性が旧姓でもね、通称の名前として通るからいいんじゃないかとか言うんですけど、あのへんの話はヤスさん、個人的にはどういうふうにお感じになりました。

    ヤス 夫婦別姓、何がダメなの?ってやっぱり思いますよね(笑)、そりゃね。何であんなところに国家権力が入って縛るんだって思いますよ、本当に。

    西塚 そうかそうか、たとえば僕で言うとですね、いわゆる姓(かばね)って言うんですかね、今までそういう家族のシステムできたわけですね。だからあれは、僕は最高裁としては、ああいうふうに合憲としか判断できなかっただろうと思うわけですよ。

    ヤス ああ、最高裁の判断はそうですね。

    西塚 これから国民のコンセンサスとして夫婦別姓のほうがいいとか、別姓じゃないとすごい不都合が起きてきたときに、当然変わるんだろうけども。やっぱりいるんですよ、どうしても自分の名前が好きだから手放したくないと言って、実際に別れて、形式的に離婚して事実婚にしたりとかね。そういうケースがあるんだと、僕は今回のニュースで初めて知ったんですけどね。

    そこまで名前にこだわるのはどういうことなのかなあと。これはまた別の問題になるかもしれませんけどね。出産のこととか、またいろんな法律でがんじがらめになってるわけですから、面倒くさいわけですね、あえて自分の名前で突っ張っていくことに関してはですね。たとえば、フランス人の識者が出てきたりして、フランスは夫婦別姓だけど別に問題ないと。別に自分が変わるわけでもないからって人もいればね。

    今回、何が言いたいかと言うと、最高裁としてはそう言わざるを得ないだろうなっていうことと、あと個人的に夫婦別姓にこだわるというのもよくわからないってことと、あと今年は最高裁の判断がずいぶんと問われてきた年だなあということですね。今までなあなあで何とかなってきたようなことを自分たちで決めていくと。決定権を自分たちで持つのだという、ヤスさんも以前、民主主義の覚醒という言葉をお使いになってました。例の安保法制のときの話ですね。

    そこまでの話にいかないにしても、今回も最高裁の判断ですが、何となく伝家の宝刀みたいにみんなが安心して思っていた最高裁自体も、実は裁判官15人ぐらいでやってるわけですから、あてには…

    ヤス 今回、まあ5人が反対しましたよね。

    西塚 してましたね。そういうものなんだっていうのがあぶり出されてきたと言いますか、そういった意味でも、お上(かみ)まかせじゃないような意識が動き出したと言うか、ここにきて12月のギリギリですけど、ひとつの象徴のようにも思ったわけです。ちっちゃいですけど。無意識のうちに依存しているかもしれない最高裁判所というもののある種の危うさ、いい加減さみたいなものも見えてきたのかなと。夫婦別姓に関してと言うよりも、そういうことをお聞きしたかったんですが(笑)。

    保守と革新とは何か?

    ヤス ああ、なるほど。たとえばね、意見はいくつかあって当然だと思うんですけど、どの社会、アメリカでもフランスでもね、イランでもドイツでも、世界どこでもそうなんですけど、中国でもね、やっぱり保守層っていますでしょ? 保守層って何だと思います?

    西塚 今までの文化を守るという人たちなんじゃないでしょうかね。

    ヤス そうですよね。本来の保守、右翼じゃないですよ、本来の保守って何かと言うと、やっぱりわれわれに綿々と続いてきた伝統的な文化は大事なんだと。これは守る。じゃあ、綿々と続いてきた伝統的な文化を守るとはどういう意味なのかと言うと、人間の意志によって簡単に変更してはダメだということなんだと。

    それはどういうことかと言うと、われわれの生きてる社会は、実はひとりひとりの人間の意志を超えた超越的な何ものがあるんだという実感ですね。社会全体がね。それが神かもしれないし、何かよくわからないけども、家なのかもしれないし。ただ、やっぱりそれは人間の意志力を超えた超越的な何かの実体があるんだと。それは侵すべからざるものなんだという考え方。それが、保守層といったような人たちに共通したものではないかと思うんですね。

    それに対して、保守ではなく、革新とかリベラルな人たちというのは何かと言うと、社会というのは基本的にルールによってでき上がってるものだと。全部ね。だから、ルールというのは社会を構成している人間の意志によって、どうにでも変えられるんだという考え方ですよね。そういうリベラル派の人たちは、社会というのは超越的なものとは思ってないわけですよ。

    そうするとリベラルと保守の間、その奥底にあるのは社会の感じ方の違いでしょう。保守層というのは、社会といったものの中にですね、個人から独立した超越的な何かのささやきとか、動きであるとかね、超越的な何かの振る舞いを感じながら生きてるということですね。それに対してリベラルはそうではない。すべての人間の意志に委ねられて、作り上げられる秩序なんだっていうことです

    西塚 そうなるとどうしても、僕は中道をいくとしか言いようがなくなるんです。

    ヤス 中道としか言いようがないんですけど、言ってみればね。われわれというのは、この議論はほとんど誰もしたことがないと思うんですね。こういう実感の仕方ということに関しては。保守がどうだリベラがどうだってことで、ひとつひとつの個別的な案件に縛られた議論が多いと思う。

    たとえば夫婦別姓にしたってね。いいか悪いか、なぜ個人の権利に国家がそこまで介入してくるのかというような話とか、いやいやこれは社会全体の秩序を乱すからとか。社会全体の秩序とは何なのかと。あなたの感じる秩序はどういうものなんですかというとね、それは今言ったように社会の実感の仕方にいき着くと思いますね、ひとつはね。

    西塚 そうですね。以前の対談でもですね、かなり初期に社会の感じ方の違いというような話がありました。ヤスさんの新しいご本にもありましたね。そこはまさしく、ある種核心にも触れるんだろうと思います。その感じ方は変わる、あるいは変わり得るということでしょうね。

    たとえば、ある種すごく極端な保守と革新があるとして、保守があまりにも硬直するとしますね。国や地域の慣習とか、伝統とか文化といったものにこだわり続ける結果、硬直化していって、現在生きてる人々に合わなくなっていくということが起こり得るわけですね。

    逆に革新も、そんなものは違うんだと言ってどんどん壊した結果ですね、今まで何となくうまくスムーズにいってたものまでもぶっ壊して、全部条文化していって規律化していくときに、人間はそんな無限に規律を作っていくわけにもいかないので、どうしてもおかしなことになってきて、場合によってはすごく悲惨なことになるので、やっぱりその真ん中、そういう今までの慣習的なものも尊重しながら、でもニーズとか時代に合わなくなったものは変えていこうよというような、そういうコンセンサスみたいなもの、すごくベタで俗っぽい言い方ですけど、それしかないと思うんですね。

    いろんなレベルにおいてそれしかないと思うんですが、それしかないということを保証するものは何かってことなんですね。

    そこで僕は、ビリー・マイヤーまで一足飛びにいくわけにはいかないんだけども、それしかないよねと言ったときに、じゃあ何でそれしかないんだって言うときの説得材料と言うか、みんなも本当にそれしかないよねと思うための機軸と言うか、考える拠りどころでもいいんですけどね、そういうものが必要だろうというところで、ビリー・マイヤーだけではなく、今までスピ系と言われてきた文献なり人物の中にも、いろいろ書かれたり発言されたりしているものがあって、それらを抽出していって、検証していくと言うか、話し合っていくというところに意義があるのかなと、個人的には思ってるんですよ。

    ただ僕が思ってたって、それは全然違うよということもあるので、ヤスさんなどにもそれは違うよと言ってもらうとか、あるいは読者のみなさんも含めて、それは全然違うよとか、インチキだよという、いや、でもそうじゃないんだよというようなね、その話し合いの中でしか、やっぱり落ち着いていかないような気がするんですね。少なくともそういう作業は絶対に必要だと思うんです。じゃないと誰かが決めるしかなくなってくるじゃないですか。でも楽なんですけどね、それは。だから独裁者とかも出てくるんだろうけども。

    ヤス その話に絡めて言うとね、この保守と革新の対立というのは、いわゆる社会の実感の仕方というところに焦点を当てると、だいたいどこから始まったかと言うとフランス革命ぐらいからだと思うんですね。現代の意味での保守と革新といったものが現われてくる。

    たとえばフランス革命で出てきた啓蒙主義とはどういうものか。ルソーであるとかね、ロックもそうですけど、基本的に社会というのは人間の意志によってすべてデザイン可能だって考え方ですよ。多くの人たちが集まって討論をしてルールを決める。そうすることによって社会全体を作ることができるんだと。したがって社会というのは人間の意志によってデザイン可能である。だとすれば、一番理想的な方向で社会をデザインすべきなんだという考え方ですよね。

    このような考え方から何が生まれてくるかと言うと、極端な暴力が生まれてくるってことなんですね、ひとつはね。これは、たとえばスターリニズムとかレーニン主義とか、初期のマルク主義にもかなり通ずる考え方です。ポルポトもやっぱりそこから出てくる。社会というのは徹底的に人間の意志と理性によってデザイン可能であると。それで、もしうまくいかなかった場合は、必ずそこにノイズと言うかね、自分たちが設計した理想の社会に楯つくような、よからぬ輩がいるからだと。そいつを排除せねばならない。

    それから、デザインしたとおりに人間が動くのが当たり前なんだと。動かなかった人間は動くようにせねばならない。そうした人間はコントロールし、圧力をかけるという強大な暴力が生まれてくるわけですね、基本的にはね。そのような見方、社会を人間の意志によってどうにでもデザイン可能なものとして、抽象化して見る。人間というものをとことん抽象化して見るという見方。これは巨大な暴力を生む源泉になるということ。

    保守と革新の中道をいく「個」の確立

    西塚 そのとおりだと思いますね。そこで悩ましいのは、似たような話は何回もしてますが、安倍が出てきたときにですね、そんなね、押しつけられた美しい日本だか何だかはごめんだという人も中にはいるわけですよ。われわれは、われわれの好きなように社会を作れるんだと。その力はわれわれの中にあるというのは、それはやはり基本じゃないですか。

    ただ今おっしゃったように、とことん抽象化していって、それこそポルポトまでいくような危険性をもちろん持ってるんだけども、だから何が問題かと言うと、革新であったものが保守化していくってことだと思うんです。だからそれは、ある硬直した、動脈硬化を起こしたような保守のアンチとして革新が出てきたにもかかわらず、それがまた保守化していって、硬直化していって、またひどいことになるという。

    僕は、本当にそういうことを人間はやりかねないんだから、これは何か考えようねっていうふうに思えばいいだけであって、じゃあそのときの基軸は何かと言ったときに、まあビリー・マイヤーとか何とかという話になるんだけども。だから人間を超えたもの、おそらく革新には革新の、人間の理性とか何とかに対するものすごい傲慢さと言うか…

    ヤス 傲慢さじゃなくて理性に対する盲信ですよね。

    西塚 盲信がある。しかも保守だったら超越的なものに対する、それこそ同じような盲信があるし、あるいは依存があって、神がこういうふうに言ったんだからこうなんだといったものが同じようにある。その極端さ、両極北と言うか、そこにものすごくおかしなことが起こる原因があるような気がします。

    それを中立化する、中道化させる基軸になるものがやはりあるはずだろう。それはそうしたものを超えたものなんだろうし、かと言って保守派が求めてるような超越ではないし、革新派が求めてるような、成文化、条文化されたような言葉でもないという気がするんです。

    だから、まだ僕なんかには何もわからないけども、ヤスさんが言ってる社会の実感の仕方にもかかわってくるような気がして、そういう超越的なもの、極端な保守と極端な革新が危ないとしたら、それを超えるものは何のなのかと言った場合に、どうしても実感とか感覚というものが出てくるんですね。でも当然、書いてあると言うか、文章化されたものも必要なんだろうけども、やっぱり体感する、実感するという作業が一致してないと、みんな共感もしないでしょうから、おかしなことになる。僕はそこはですね、ある機軸を打ち立てて、とりあえずですよ、仮定でもいいから。そこで話し合っていくしかないと思うんですね。

    しかも、これは語弊ありますかね、良質な話し合いと言ったらヘンですけども、何て言うかな、極端にいくのではなく…僕なんか特にプライベートでヤバいし、ヤスさんに実はバレてるんだけど、そういうものだという、危ない、ほんとに怪しい、いいかげんなものだよと自覚した人間が探っていくという、手探りのもの。その動きの中にしか現われてこないような何かだと思うんです。何か文学的な言い方ですが。

    ヤス いえいえ、たとえばレーニンの本がありますね、「帝国主義論」であるとか、レーニンはいっぱい本を書いてますけど、どの本を読んでも人間の感情に関する話、情に関する話はゼロですよ。とことん社会のデザインに関する話ばっかりですよね。言ってみれば、マルクス主義の著作はだいたいそうですね。「資本論」なんてすばらしい本だけれども、ひと言で言えば、社会がどういう機構で成り立っているかというシステムに関する話で、そこでは人間の感情とか感性といったものは、従属変数としてもう切り捨てられてますよね、ほとんどね。

    実は感情であるとか、感性であるとか、その従属変数のほうが場合によっては巨大なんだと。歴史を変動させていく巨大な変数なんだというような理解は、基本的にないです。まさに人間というのは社会の産物にしかすぎない。だから、社会のデザインを変えることによって、実は人間も根本的に変えられるんだといった感じですね。それがリベラリズムといったもののいき着く、ひとつの極北なんだと思いますよ。

    西塚 そうですね。その結果、もう抑圧されて抑圧されて、ずっと沈殿しているものがあるわけですね。それがあるとき噴出してとんでもないことが起きる。

    ヤス とんでもない。それは感情とか情意の世界ですけどね。じゃあ、保守にしたってどうなのかと言うと、すべては超越的なものが作り出した、変えてはならない何かになるわけですよ。そうするとですね、恐ろしい停滞を招きます。停滞を招くと同時に、同じ感性を共有しない者、すなわち超越的なものを感じられない者はどんどん排除していくと。そして感じるようにしてやると(笑)。そういったタイプの暴力が働きます。安倍的な暴力だと思いますよ、これはむしろね。

    西塚 まさしく。そこで僕は今思ったんですけど、ヤスさんがずっとおっしゃってきた両   方に何が一番欠けているか、あるいは何が一番抑圧されてるか、抑圧されてると言うか、毀損されると言うかなあ、傷つけられるかと言うと、やっぱり個なんですね。

    ヤス 個です。そうなんです。

    西塚 そう思いました。完全な核心であって、人間であるから情とかいろいろあるはずなんだけど、それを全部排除していって、本当にクリアにクリアに、美しい理論をまとめ上げることもできるんだけども、そのとおり行動せよ的なもの。そこに個はないですね。ある種システマチックなものに個を合わせるしかないし。ましてや安倍的と言うか、ものすごく保守的なもの、わけのわからない超越的なもので世界が成り立ってるんだから、そこに帰依する、あるいは依存するしかない、そこに恃むしかないというふうなものも、やはり個の消滅ですよね。

    ヤス そうです。

    西塚 となると、やはりどうしても個ですね。個がどう立ち上がるかという。立ち上がらざるを得ないし、立ち上げられるか。その方法論なり、どうやってちゃんと自分の個に、個にしかない力にアクセスするかというところに帰ってくるしかない。

    ヤス そうです。やっぱりこのリベラルの流れの極北というのは、今言ったように、社会はすべてデザインできるもので、その中に個を埋め込んでくる。したがってそこには個がなくなるってことですね。その一番先鋭な形で現われた思想というのは、ポスト構造主義とかいうものですね。やっぱり現代思想だと思いますよ。現代思想は端的に言うと、もう人間の脳の中身まで、人間の主体性、私という意識までね、実はこれは社会の言語系が作り出した産物なんだと。

    西塚 そうですね。構造とかシステムでしか見ないってことですね。

    ヤス とことん個というものを解体していくわけです。じゃあ、それに対して保守と言うか、アンチテーゼになり得たような思想はどういうものがあったかと言うと、アナクロニックな宗教性を持ってきたりするわけですよ。いや、社会全体は実は神様が創り出したものであるとかね。または、人間自身が実は神によって創り出されたものであるとか。それは超越的なものに対して個を解体していくような、別なルートを切り開くわけです。

    西塚 いずれにしろ個の消滅であり…

    ヤス 個の消滅。だからおそらくですね、これはビリー・マイヤーの話に戻ってくるんだけども、われわれの内面にあるのは、実は現実そのものの構成力を持つような個なんだと。現実そのものを構成する力を持つ個というね、個の内部に潜在的に眠った構成力に焦点を当てた個の捉え方といったものは、今までにあまりなかったんですね。それに基づいた個とはどういうものかということを、もう一度再構成されるべきなんだと思いますよ。

    西塚 本当にそうですね。再構成なり、再定義なり、まあ柔らかく言えば、もう一回考え直そうということですね。

    ヤス そうです。それから何が見えてくるか。それをひとつの基準としながら、保守の人たちが言ったような超越的なものの実体は、基本的に何だったのか。それをもう一回問い直すという作業はすごく重要だろうと思います。

    西塚 重要ですね。実際その極端な革新であれ、保守であれ、みんな基本的には個で生きてるはずですから、その個が作り出した中の産物であって、それはそれで簡単に否定し去るんではなくて、やはり検証なり、どういうメカニズムが働いて、個であったはずなのにそういうところへいくんだろうということも含めて、われわれ人類は膨大なサンプルを持ってると思うんですよ。歴史的な事実にせよ、あるいは書かれたものにせよ。それは宗教的なものでも、聖書みたいなものでも神話でもたくさんあると思うんですね。

    それを全部取り扱うことはできないかもしれないけども、個を取り戻すということで言えば絞っていけるので、ビリー・マイヤーは今のところその最たるものなんだけども、僕もそのへんもうちょっと具体的に出しながら、照らし合わせてですね、ヤスさんに質問をぶつけながら…

    ヤス ええ、僕でよかったら。

    西塚 ひとつひとつやっていきたいなあと思うんですね。

    ヤス 個というのは、いわゆる自我ではない。それはユングの言う自己、大文字のセルフに近いものだと思いますね。

    西塚 もう一回読み直して勉強しないとなあ。やっぱりユングはちょっと、大事ですね。

    ヤス 大事だと思います。やはり非常に大きな原点だと思いますね。ユングは、ヒットラーの狂ったナチズムが荒れ狂うときに、その狂った津波に巻き込まれないようにどうするべきかといったとき、人間の内部にある大文字のセルフに働きかけろと。それで人間ひとりひとりがユニークに生きたいという、個性化というプロセスがあるんだと。その個性化のプロセスに忠実に生きることがひとつのブレーキになるということを言うわけです。この津波の中でね。

    西塚 ユングは大事なんだけども、フロイトがいないとたぶんユングも生まれなかったのかもしれない。フロイトは無意識というところで面白い理論を打ち立ててくるんだけども、ちょっとシステマチックと言うんですかね、いわゆるユング的なものにいかないで、どうしても西洋的な近代的合理性と言うか、そっちのほうで解釈して収めたかったようなタイプの人かなあと僕は思うんです。そこにユングが出てきたというね。そこは押さえておきたい気がします。

    ヤス だから、やはりその個に働きかける個の超越的な力、現実の構成力がある個といったものをもう一回、文学でも思想でもね、政治学とか経済学とか、そういう分野でもそうだと思うんですけど、いろんな分野の中でもう一回再構成するということはすごく重要なんだと思います。本当に。

    西塚 わかりました。次回から、今世界で何が起こってるかということをやりながら、もうちょっと今のお話に結びつけるような形でお話しできたらなあと思うので、おつき合いいただければと思います。今日はありがとうございます。お疲れ様でした。

    ヤス こちらこそ、どうもどうも。


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