2016-05

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第42回

    5月1日

    ウエブボット最新版第2回の配信

    ウエブボット最新版第2回目が完成しました!対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    次回の有料メルマガの予告

    安倍政権の背後ぬ戦前に似た天皇制国家の復活を模索する巨大な政治集団「日本会議」が存在していることは広く知られるようになった。そこで今回は、さらにその向こう側で進行している日本人のスピリチュアリズムの本質的な変化とその危険性について突っ込んで解説する。5月6日、金曜日の午前0時10分に配信する。

    4月30日に行われた「第25回ヤスの勉強会」の様子です。



    「ヤスの勉強会」第26回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第26回を開催します。「パナマ文書」の公開を起点として、世界経済の流れが根本的に変化してきました。米国覇権とドル基軸通貨体制の強化と延命の方向です。この変化にしたがい、これまでの予測をかなり変更する必要性が出てきました。これを詳しく解説します。

    【主な内容】
    ・アメリカによるBRICs潰し
    ・強化される米国覇権とドル基軸通貨体制
    ・「抑圧されたもの」を再度抑圧する動き
    ・混乱の中心はアメリカ国内へ移動
    ・出現しつつある自我を越えた意識の在り方
    ・徐々に敵対するロシアとイスラエル

    よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:5月28日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無

    info@yasunoeigo.com

    高松の講演会

    以下の日程で高松の講演会を行います。お近くの方はぜひどうぞ!毎回ディープな講演会をしています!

    日時  平成28年5月27日(金)18:30受付 19:00~22:00前後まで
    場所  高松生涯学習センター

    会場内の掲示板にて部屋の確認をお願いいたします。
    〒760-0040 高松市片原町11番地1
    電話:087-811-6222 FAX:087-821-8022
    会費   ¥5000/人

    講演会後、高島先生を囲んでの懇親会を予定しております。場所 未定ですが高松市内にて行う予定です。

    主 催  里坊会計事務所 里坊昌俊
    実行委員 有限会社ウエストフードプランニング小西啓介、ソニー生命保険株式会社 山下智幸、株式会社京蔵 京兼慎太郎、株式会社クリード インテグレーション平野伸英

    内容
    ・覇権強化に向かうアメリカと世界経済
    ・相場の暴落はない?
    ・中国の現状と今後
    ・ロシアの向かう方向性
    ・挫折しつつあるTPP


    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

    amazonで注文

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第42回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第42回

    oyasupi39

    西塚 みなさん、こんにちは。『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の第42回です。今回もヤスさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。カンパーイ!

    ヤス こちらこそ、どうも。カンパーイ!

    西塚 熊本が、大変なことになりました…

    ヤス ちょうど5日前に、僕は複数の有料地震予報サービスに加入しているのですが、そのうちのひとつメールがきて、南海トラフの海底に異常な周波数が検知されたと言うんです。

    熊本地震発生!!

    西塚 僕も、これはあるサイキックから聞いた話ですが、今一番気になってるのは、南海トラフだと言ってました。

    ヤス それで、そのへんな周波数は、南海トラフから日向灘までにかけての領域だと言うんですね。だから注意しろと。それから5日後に、熊本地震が起こった。それから、今度は人工地震を相当にディープに研究している友人からメールがきて、今度は九州にある自衛隊の基地に関するものだった。九州には自衛隊の基地がこんなにあるんだと。

    ちょっと僕も聞いてみたんですね。ちょうど地球号が南海トラフ上にあるので、これと関係があるのかと聞いたら、それはまだわからない。もし自然な地震であったら、これは2カ月かけて本震にいくかもしれないと。ただ人工地震だったら、いつ起こってもおかしくないと。

    さらに、有料地震予報サービスからメールがきて、昨日の深夜にですね、駿河湾の南方で小さな地震があったんですが、この震源には注意しろと。

    西塚 東海ですか? すると。

    ヤス 東海。

    西塚 連続する可能性もありますね。終戦前後に起きた地震みたいに。

    ヤス そうですね。だから3地震連動型。東海、南海、東南海、それから関東。

    西塚 関東にくるかなあ…

    ヤス わからない。こないとしても、東海、南海、東南海、その可能性はあるかもしれない。あと、この地震はP波が検出されてない、これは人工地震なのではないかと、Facebookとかいろいろなところで騒がれてます。ちょっと考えにくいなと思いますが。

    西塚 もし、そうなると誰が仕掛けたんだろう。

    ヤス タイミングから見ると、無理なこじつけに聞こえるかもしれませんが、安倍首相がロシアを非公式に訪問することを公けにしたんですね。

    西塚 ああ、なるほど。

    ヤス オバマ大統領のほうからも、やめてくれと。どうしても行かざるを得ないのなら、せめて伊勢志摩サミットが終わってからにしろと、さんざん言われたんだけど、言うことを聞かない。

    西塚 それか…

    ヤス 今のところ安倍は、ロシアの非公式訪問を撤回していない。

    西塚 ヤスさんは、今日は講演会の帰りですね。そのことは、今日の講演会でも話されたのですか?

    ヤス それを言おうかなと思って、主催した出版社の社長に、こういうトンデモ系の話ですが話してもいいですか?と聞いたら、ぜひ話して下さいとのことなので、話しました。阿蘇山が噴火して、5分後に講演会がはじまったということもあったので。

    僕が見ている有料配信の緊急予報だと、阿蘇山とともに大分県の九重山が噴火する可能性があると。もし噴火しなかった場合は、今はじまってるのは南海トラフ地震の前段階。それは日向灘方向からいくのではないかと。

    西塚 まあ、南海トラフが危ないというのは、みんなが言ってることですが…(高島氏が提示した熊本地震の地震波の資料を見て)P波がないというのは、かんべんしてほしいですね。

    ヤス これはK‐NET(国立研究開発法人防災科学技術研究所が運用する強震観測網)による公式データらしいんですけど。

    西塚 いずれにしろ、ちょっとタイミングがよすぎますね。

    ヤス 今回の安倍のロシアの非公式訪問は、アメリカからさんざん恫喝を食らってたんです。メルマガにも書きましたけどね。それをずっと安倍は無視し続けてた。

    西塚 確かにアメリカにしても、それは余計なお世話だし、余計なことを言うなという感じはしますけどね。

    ヤス そうなんですけどね(笑)。

    西塚 でも、同時に何と言いますか、政治家なんだから、もっとちゃんと交渉しろよと。子どもみたいに意固地になっても、結局国民に被害が出ることになりかねない。

    ヤス 今回、次の衆参同時選挙、まあ参院選だけかもしれないけど、次の選挙がどうなるか調査結果が出ましたね。自民党が40議席減で過半数割れ。

    西塚 僕もそう思います。惨敗するんじゃないですか。韓国を見てもそうですし。

    ヤス 若い人間、僕はネトウヨの人をアテにしてたんじゃないかと思いますが、18歳まで投票年齢を引き下げたことは、これはまったく逆効果なのではないかと思いますね。

    自分をさらけ出すタレントたち

    西塚 読み違えてるかもしれません。話は変わりますが、この間、ヤスさんから教えてもらったので、『Dark Journalist』を見たんです。そうしたら、リンダ・モールトン・ハウにしても誰にしても、サイトを主宰する自分の立場をちゃんと堅持しながら、もともとよっぽどヘンなのはハナから呼ばないわけですが、彼らがもたらす情報をこれはどういうことなのかと検証していく。あのスタイルはいいと思いました。

    ヤス いいですよね。

    西塚 根ほり葉ほりいろいろ質問して、その反応を含めてみんなに見てもらうという手法。

    ヤス 判断は視聴者にまかせるということですね。

    西塚 主宰するほうにも判断があって、これはこういうことなのではないかという。ただ、少なくともゲストに関しては、取捨選択ではないですが、選ばなければいけないでしょう。

    ヤス アメリカのそういうゲストを見てると、やっぱり重要になってくるのは客観的な事実。ゲストの主張するエビデンスとなるような、客観的な事象があるかどうかというところに、ある意味でこだわる。リンダ・モールトン・ハウもそうだし、他のゲストもそうです。

    このような事象があって、このような根拠があるから、私はこのように解釈するという感じですね。だから日本との大きな違いは、日本の場合は思い込みですよ。神の声とか、上からきたとかね。そういうものがだいたい中心にあるので、そうするとやっぱりビリーバーたちの閉じる共同体化の方向にいく。

    たとえば、キャサリン・オ-スティン・フィッツにしても、日本で言えば、国土庁の副長官くらいの人ですよ。

    西塚 ちょっと前の扇千景みたいなものですね(笑)。ずいぶん前か。

    ヤス そうそう(笑)。そういう人物が、現実で何が起こってるかを暴露すると言って、出てきてるわけで。

    西塚 僕は思うんですが、リンダさんにしてもキャサリンさんにしても、あるいは亡くなったビル・クーパーですね、ウィリアム・クーパーさんにしても、どうせ人間はいずれ死んだり、いろいろあるので、自分が得た事実は事実として隠しておけないというような、人類のために言うべきだというですね、使命感に駆られてるように感じるんです。それは傾聴に値するというか、何かしら胸を打つものがありますね。

    それは文学的、芸術的という意味ではなくてですね、真実が持ってるある種のインパクトというんですか、そういうものを感じる。ただ、これは検証ができないものも多いので難しいんですが、でも、そういうものを感じることは共通してるんです。

    ヤス そういう人たち、キャサリン・オースティン・フィッツもリンダ・モールトン・ハウも、スティーブン・グリアもそうですけど、そういう人たちが立って言い出すとですね、やっぱり内部から、隠蔽する側の人たちの内部告発者たちがバーッと集まってくるんです。彼らの口をとおして、いろいろな事実を公表してもらうという形になってくる。
     
    西塚 そこですね。そういう人たちがワッと立って、自分が矢面に立つ覚悟で出ると、似たような人たちがおっしゃるように出てくる。違う言い方をすれば、この対談でよくテーマになる“渦”みたいなものですね。ひとつ渦ができると、またそういうものが出てくる。

    その話につながるかもしれませんが、たとえば前から思ってたんですが、タレントっているじゃないですか? いわゆる普通のお笑いとか、いろんな人がいますね。質が下がった、どうのこうのと言われますが、僕も一応、芸能関係の記事にも関わらせてもらってるので、最近のこともわりとよく知ってるのですが、タレントは才能というくらいで、見てるとですね、やっぱり自分を解放した人たちなんですね、ある種。

    ヤス なるほど。

    西塚 要するに自分をさらけ出して、たとえば芸人だったら下半身スッポンポンになるくらいな、たけしにしてもそうですよ。(立川)談志にしてもそうだったけど、とにかく裸になれる人なんです。恥部も全部見せられるという。愛人のことも含めてですね、たけしなんかそうでしたけど、実際に大事故に遭ってですね、細川ふみえのことでスキャンダルになって、みんなに叩かれたりもするけれども、でもああして、何と言うか、ある意味、体を張っているという人たちなんですね。

    だから、そこで成功していく人たちというのは、やっぱり自分に忠実だったと僕は思うんです。ああ、たけしも終わったなとか、あるいはこのタレントはダメだよと、どうのこうのと言う視聴者は外野であって、言ってみれば2chみたいなものです。野次馬で、後ろから石を投げるタイプという。

    そういう構図がテレビにもあるなという気がする。最近になって、たとえば壇蜜という、ヤスさんはご存じないと思いますが…

    ヤス ああ、知ってる。壇蜜は知ってる。

    西塚 壇蜜だけは知ってるみたいな(笑)。いえ、まあ、彼女はNHKにけっこう出ていて、『高校講座』の「保険体育」という番組でNHKの第2ラジオに出てるんですね。今ちょっと話題になってるんですが、それは性の問題から薬物の問題までやる。あの人もけっこうエロいビデオとかグラビアとか、さんざん前から出ていて、いろいろもてはやされてるんですが、本人はわりと知的な人で、ちなみに英語教師の免状も持っている。

    だから、ここにきてテレビのタレントたちが、ある意味社会の鏡みたいになっていてですね、自分たちがどんなにバカにされようが、ものすごくあがいていようが、それをさらけ出して、それこそテレビで全国に映し出されるわけです。それでも、自分を出していく。むしろ自分を出していく流れが、さらに強化されてる気がするんですね。

    だから、これからサラリーマンの人たち、僕もサラリーマンだったからわかるんだけども、やっぱり同じ会社に勤めるにしても何にしても、自分は何をやりたいのか、自分は何に向いてるのかということをいろいろとこう、内省したり、追求していくという方向に、ガーッと変わっていっているという気がしてしょうがないんです。それは、さきほどのテレビの芸人たちやタレントたちの姿と、何か合わせ鏡のようになっている。

    そのときに、何かの指針とか、ある種の助けになるようなものというのが必要になってきて、それは今まで言ってきたような、いわゆる“お花畑系”のスピリチュアリズムではないことは間違いない。そうではなく、たとえばビリー・マイヤーでもいいですが、そういうことに関して、本気で追求してる人たちが海外にはたくさんいますから、どんどん紹介していきたいと思うんですね。

    だから今、実はけっこういい流れだと、僕は個人的には思っています。そのかわり、いろんなノイズも入りやすい。商売上のことも含めて、やろうとしてることは誤解も生みやすいので、ちょっとやっても、お前、それ商売でやってるだろうとか、適当にやってると言われそうなところもあるんだけども、僕は怯まずにやっていこうと思いましたね(笑)。そういうことをものすごく感じる、最近。

    ヤス おそらく、僕も同じ感覚を持ってるんですけど、ちょっと今、西塚さんが話したことを僕なりに敷衍すると、こんなことだと思うんですね。

    たとえば今、20年くらい前まであった終身雇用制はもうない。年功序列もない。ひとりひとりの社員のパフォーマンスが求められるようなシステムに、民間企業でもどんどん移行している。公務員もそういったシステムに徐々に移行しつつあるという流れなんです。

    西塚 公務員もですか?

    自己のコンテンツ化の時代

    ヤス 公務員もですね。やはりパフォーマンスを問われる。この流れは何かというと、市場原理の導入ですね。市場原理というのは、効率性のあるものが生き残る。価格が安くて、効率がよくて、質が高いものが生き残るわけだし、そういう市場原理に基づく競争原理が、いろんなシステムの中に導入されてくるということです。

    そうするとですね、市場原理で勝つためのロジックはふたつしかない。ひとつは価格で勝つということですね。価格って量じゃないですか? 同じクオリティのものでも、こちらのほうが安いというね。その価格競争に勝つか、またはいわゆる質の差別化に成功するかなんです。

    その質の差別化は、個人のレベルでいうと個性の商品化です。同じ複製品は存在しないので、自分を全部さらけ出す術を知ってれば知ってるほど、それがある意味でかけがえのない商品になるということですね。

    西塚 そうですね。いずれは人間ひとりひとりがコンテンツ化するしかない。そのコンテンツ化する方法、その道が自己実現ということだと思います。そして、自己実現自体が市場として機能していく時代に入ったということですね。

    ヤス 坂東玉三郎がいるじゃないですか? 彼がだいぶ前のインタビューでおもしろいことを言ってたんです。何かというと、「あの人ね、演技するからダメなのよ」と。

    西塚 ああ…

    ヤス え? 演技しないんですか?と聞くと、「そうよ、演技したら全部台無しになる」と。「自分を全部さらけ出さないとダメなのよ」と言うんです。

    西塚 あ、(玉三郎の口調に)似てますね(笑)。でも本質ですよね、それは。

    ヤス そう。だから、演技をすると臭みが出ると言うんですけどね。

    西塚 真似ですからね。

    ヤス 今後、どんどん市場原理が導入されるにしたがってね、個人がいかにコンテンツ化するか。個人がコンテンツ化して、それを商品化するような状態になってくる。自分が、いかに自分自身の持っているかけがえのない個性に目覚めるかということね。そういう意味での“目覚め”“覚醒”というのは、ものすごく重要になってくると思いますよ。

    西塚 ここにきて、ヤスさんとも40回を超えるお話をさせていただいてますけども、自己実現、核以上のものが自分の内部に偉大な個としてあるということ。それが現実を創っていくのだから、そういう個が互いにネットワークを創りながら、新しい現実をどう創出していくのか。

    そのデザイニングの段階まで、まだいってないくらいですからね。まず、そこに気づかなくてはならない。そういうお話だったかと思いますが、それが今ですね、いろいろなところで出てきてるなという気がします。特に今年に入ってから強くしますね。

    ヤス なるほど。

    西塚 今回の九州のことに関しても、何と言うか、いろんな意味で気づき、スピ系で言う気づきでもいいんですが、やっぱりちょっとガツンとやられてる感じがあります。僕はですね、いいかげんなことは言えないんだけども、東南海にはまだいかないと思うんです。これはスピ系がかった勘と言われてもしょうがないですが…

    ヤス いや、勘であってもいいですよ。

    西塚 まだ、いかないという気がします。今後しだいということはありますが…前々回ですね、ヤスさんがおもしろいことをおっしゃっていて、要するに、個を超えたもの側と個側という意味で言うと、最終的には個側の流れだろうとおっしゃってましたが、まだ今はどちらかわからないともおっしゃった。

    まったくそのとおりで、でも今くらいからちょっと分かれていく、分かれていくというかですね、どちらかに決まっていくんでしょうけれども、本当にそのボーダーにいるような気がします。

    ヤス 確かにそうだと思う。

    西塚 スピ系の話になっちゃうと、よく昔あったじゃないですか? アセンションをして人間はふたつに分かれていくとか。あれはちょっと違うと思うんですけども、真っぷたつに分かれていくというのは、ある種の選民思想にもつながるし、排除にもつながる。そうじゃなくて、やっぱり個にその選択が迫られてるんだと思います。お前はじゃあ、どっちの方向でこれからやってくのか?くらいのものですよ。

    ヤス そうですね。だからもっと言うと、語弊があるかもしれないけど、いわゆるアセンションってないんですよ。

    西塚 そうそう。

    ヤス それはやっぱりね、スピ系の作り出した一時の文化であって、それはないです。あり得ない。

    西塚 そうですね。

    ヤス 何か地球の周波数が変わったから、自然とわれわれがアセンションするんだとか、それはない。そういうものではない。言ってみれば、自分がどう生きるか、自己のあり方を決めるのは自分なんですよ。

    西塚 そうですね。極端に言えば、周波数はお前が変えろということですね。

    “量”か“質”か

    ヤス そうそう。どのような自己を目指すのか。または、どのような自己を目指すのかと言ったときに、選択肢がいくつかあるんだけど、その選択肢は歴史的な時代の条件によって、ある意味で限定されてきたりします。

    そうすると、ちょっと極端な言い方をすると、19世紀の半ばくらい、それこそ資本主義の勃興期ですよ。農村がどんどん荒廃していくわけですね。農村の中で半ば自給自足的な暮らしをしていた自営農、小作農でもいいんですが、そのような半自給自足的な安定した農村社会がどんどん壊れていく。

    何で壊れていくかというと、都市を中心とした工業の勃興ですね。工業というのは膨大な量の労働者を必要とする。また、地主そのものが資本家になったりする。そうすると、今まで土地を貸していた小作農から土地を取り上げる。または自作農の土地を安く買い叩いて、自作農を追い出していく。

    その自分が獲得した大きな敷地の中に工場とか作るわけです。そのような社会的な過程がものすごく急速に進んでいく。農村の分解という過程ですね。

    そうすると当時の農民というのは、今のわれわれの話で言えば、どのような自己を目指すのかと言ったときには、たとえば都市に出ていって労働者になるのか、それとも資本主義的な経営をした大きな農業会社の労働者になるのか、それとも自ら資本家になるのかという選択肢があって、どこを目指すのかというのは歴史的に決まってくるわけです。

    安定した村社会の中で、それこそ農村共同体の中でね、安定して生きるという道そのものがもはやないという状態なんです。ある意味でそれと同じような状態です、今。だから20年前くらいの終身雇用制、年功序列の安定した会社の村社会の中で生きるという選択肢だけはないという。

    市場原理の導入によって、あなたは量で競う人間になるのか。量で競うということは、あなた自身の労働力の価値を安くするということです。いわゆる労働力市場の中に入っていって、私を買ってください、これだけ安いですからと。これだけ効率的な仕事をするという売り出し方をして、自分はサバイブしようと思うのか。そうではなく、自分の個性というものを商品化してサバイブしようとするのかですね。

    西塚 いわゆるフリーになる人たちというのは、ずっと前からいたわけで、バブル以降はですね、やっぱり量でいったんですよ、みんな。僕はサラリーマンを2、3年前までやっていたから、むしろフリーを使うほうだったんですけども、やっぱり原稿料が1万円よりは8000円のほうがいい、7000円のほうがいいと、会社的にはコストの面でそっちのほうがいいんですね。

    僕はそれを決める立場にあったわけですが、やっぱり書いてほしい内容があるわけです。そうすると、いくら高かろうが、この人しか書けないと思ったら、やっぱり頼むわけですよ。でも効率からいうと、限られたコストの中で、やっぱり安いほうがいいという判断になって、そっちをとる編集長なり、あるいは上もいるわけですね。

    でも、でき上がったものはどうなのか。どうやって売るのかということも含めてですね、いろんなメカニズムが働くわけですが、僕は普通に考えて、この人に書いてほしいし、なぜならそのテーマが一番この人に合ってると判断した場合に、基本的には事前に計算されたコストは関係ないと思うんです。

    だから、今おっしゃったような意味で言えば、それがその人の価値なわけであって、これからはどんどんそれが求められるということですね。

    ヤス そうです。だから、それをやるためには、どんどん自分を開いていかなければならない。裸にならなければならないということなんですよ。

    西塚 本当にそうだと思いますね。たとえば、そういうことでも、何年も前からわかってたよという人もいるだろうし、僕もそういう感じがありました。でも、ここにきて、世の中がもう、いよいよ本当にそういうふうになってきたという。

    だいたい、僕も出版関係にいるからわかるんですけど、ああ、これが売れるぞ、これだぞと思っても、売れないんですね。早すぎてもダメなんです。マスには届かないという。だから、そういう場合はすごく高い値段をつけて、わかる人にしか売らないという手法もあるんですけども、そういった意味では、今いよいよ、そうですね、2010年前後からですね、特にヤスさんみたいな方たちが、ブログなどでガンガン書かれてたようなことが、世の中でいよいよ大きなうねりとして立ち上がってきてるという気がしますね。

    “個”を確立した者同士のネットワーク

    ヤス だから言ってみれば、個の押し出しに成功した者というのかな、個の差別化に成功した者同士のネットワークというのがあって、その中で需要が生まれるわけです。だから、その人間にしかできないものに特化していくとですね、それなりにちゃんと食えるわけです。

    西塚 それは本当におもしろいご指摘だと思います。昔は、それこそバブルがはじける前、高度経済成長以降ずっとだいたい社長同士だった。中小企業の社長たち、みんなそれなりに功成り、名は遂げてないかもしれないけど、それぞれ成功して、お金には問題がないような、一国一城の主の社長たち。大企業はちょっと違うかもしれませんが、彼らのネットワークがあった。

    それと同じような形で、本当に個を確立してる人、あるいは確立しつつある人たちのネットワークという、ちょっと違うバージョンに入ってる気がしますね。

    ヤス いや、おっしゃるとおりで、社長たちのネットワークは今でもあってね、僕もコンサルタントという立場で雇われてる企業もあるので、その集まりにときどきいくと、何がおもしろいか、何がやりたいかの話です、ずっとね。

    いずれにしろ、ひとりひとりが個人事業主となって、自分自身を商品化していく。商品化することによって成り立つ、言い方は語弊があるかもしれませんが、個性を消費しながら続いていくというタイプの資本主義。

    西塚 そうですね。それが自分のコンテンツ化という。平たく言えばそういうことだと思います。違った言い方をすれば、自己の実現化でもいいですし。

    ヤス たとえば農業なんてね、僕はある意味で先端的な部分だと思う。今、スーパーにいくと、名前を書いて私が作りましたという野菜がたくさんあるじゃないですか。その中でね、おいしい野菜、こいつの作った野菜は好きだというファンが出れば、その人の野菜を買い続けると思うんですね。ずっとね。

    たとえば農家と直接契約して、好きな農家からね、その人の作った野菜を仕入れるといったネットワークもどんどん出てきてると。それは農家としての個性化ですよ。

    西塚 その場合ヤスさん、どうですかね、たとえばカルトでも何でも同じ構図だと思うんですけど、あ、この人だと思っていく。そういう人が増えれば、つまり信奉者が増えれば、それなりのネットワークが作られるじゃないですか。その個々のネットワークの中身とか、いわゆる質というと、あまりいい言葉じゃないかもしれませんけども、それに関しては何かありますか?

    ヤス だからね、何と言うか、絶対に劣化していくようなネットワークの形成の仕方ってあるんですよ。それは、中心と周辺がはっきりと区分けされてしまうことです。グールーとフォロワーに分かれるということなんです。

    だから、それはやっちゃいけない。やっちゃいけないというか、それはネットワークとしても、一番尻すぼみになるような方向だと思うんですね。

    西塚 死滅する方向というか、腐っていく方向。

    ヤス だから今言ったように、たとえばある特定の野菜の生産者、その生産者が作った野菜を食べたい人たち、ファンの集りなわけですね。ファンの集りなんだけど、ファンをひとりひとり見たならば、その人たちもやっぱり別な物ごとの生産者だったりするんです。

    たとえば、ギターを作らせたら実にユニークなギターを作ると。こいつにしか作れないギターを作るとかね。あるいは靴の職人がいると、彼らは彼らでファンを持っている。だから、お互いにそれぞれファンを持ってる者同士がですね、お互いにファンになり合うというような関係。

    西塚 いや、おっしゃるとおりで、それはある種、理想の社会だと思います。たとえば、学歴もお金もなくて、何だか知らないけれども、肩が凝ったときにあいつに揉んでもらうと本当に気持ちがいいとかですね。あいつはバカなんだけども、肩揉みだけはうまいと。あいつは力だけはあるよねとか、そういうことですね。

    ヤス そうです。

    西塚 それがちゃんと有機的に、創造的に働き合う社会。

    “企業”から“個”へ

    ヤス おそらく18世紀に、経済学というモデルができ上がってきたんですけど、その前提になってるのはアダム・スミスですよ。アダム・スミスの『国富論』を見ると、だいたいこれが資本主義のモデルだというのがあるんです。今われわれが話しているようなモデルが、アダム・スミスの念頭にあった資本主義のモデルなんですね。

    ひとりひとりがバラバラなんです。マルクスの言葉で言うと、小商品生産者というんですけどね。ひとりひとりがそれぞれの特技を活かして、その人しか作れないものを作ってる。お互いにね。当然、同じものを作る人たちの中では競争がある。

    いずれにしろ小商品生産者は、独自のものをバラバラに作ってる人たちが集まっている。そして、お互いにネットワークを組んで商品取引をやるというモデルを中心にして、需要と供給のバランスによっていかに価格が決定されるかということを研究した。

    西塚 僕はあまり詳しくないですが、アダム・スミスは後々、曲解されちゃってですね、マーケットの市場原理にまかせておけば、あとは「神の見えざる手」でうまくいくんだよということではないんじゃないか。もともとある種の、簡単に言えば常識みたいなものが働いていて、それが社会の中で共有されてる限りはうまくいく、というような意味だったらしい。それが野放図になっていくと…

    ヤス だからね、生産者の主体が大企業になってしまうと全然違うんですよ。それは寡占状態になりますから、市場全体がね。

    西塚 ましてや人格がないですからね、企業には。

    ヤス 人格がないし、寡占状態になります。いかに市場でシェアを拡大するかというところに競争が移ってくるわけです。シェアの大半を獲得したら、価格の決定権をその単一の企業が持ってしまうことになる。そこで、需要と供給によって価格が決定されるかというと、全然そんなことはない。

    西塚 そこで僕は図らずも思うんですが、われわれが今テーマにしてるような、ネットワークとか、人間と人間とのつながり方ということでいうと、やっぱりインターネットがどうしても象徴的に思い浮かぶんですね。それまでは、たとえば日本に代表されるような、要するに中央局があってですね、電話にしても何にしても、まず中央につながらなければ、どこにもつながらないという。

    それに、そもそもインターネットの普及は、実は日本がきっかけになってるそうなんです。何か日本がですね、アメリカをガンガン抜きはじめたときですよ。80年代に鉄鋼や自動車、半導体でアメリカをガンガン抜いて脅かした。それで90年に、今度は日本がアナログ回線をすべて光ファイバーにすると世界にぶち上げた。

    そこでこの上、日本にやられてはたまらんと、アメリカが通信の主導権を握ろうとして、今まで軍関係とか大学関係の便宜のために使用していたインターネット技術を全部公開した。

    インターネットは、亀の甲羅状のような、クモの巣のような配線なので、どこかにつながって、そこのラインが切れても、迂回はするけれども別のルートのラインでまたつながることができる。それまでのシステムは、中央局につながるラインをやられたら、どこにもいけなくなる。

    ヤス そうですね。分散型ネットワークというヤツですね。

    西塚 それを全部開放したら、こうなった。日本は出遅れたわけですね。でも僕は、どっちがいい悪いではなくて、いろんなことがきっかけになって、それこそ神の見えざる手じゃないですけども、大きな枠では、やっぱりいい方向に向かうのだという気が、もともとするわけです。

    そこで、どこかで既得権益を得たりですね、それこそグリーディーになった企業とか個人が、流れを分断してひとり占めしようとした結果、どこかに、何と言うか、腐敗した淀んだ池みたいなものができて、それが巨大になってくると、また地震みたいなものが起きて、自然の力で流すしかないという。そういう気がするんですね。

    だから、大きな流れはきっとあって、それがここにきて揺り戻しに入ってきたし、いろいろなジャンル、個人レベルでも、前に石原慎太郎と田中角栄の話も出ましたけれども、いろんなところで自分の個とか自我を超えたところで噴出してきてるという。

    たとえば、石原慎太郎はもう歳ですから、オレがオレがというエゴにこだわらなくなった結果、本来の流れのものが、石原慎太郎という個人を通じてエゴのノイズがない形で出てくる。というくらいに僕は思ってるんですが、うまく伝わってるかどうか…そういうニュアンスを感じるんですね。

    ヤス だから、何かね、ある意味で社会システムとしては、ひと皮むけつつあるというニュアンスがあります。それはどういう意味かというと、ネットワークを構成する主体となってるわれわれの力が、解放されはじめてきたということです。放っておいても、自分の欲望のまま動いたとしても、それは自分の才覚になってくるわけですね。

    あなたの欲望はあなた独自のものでね、たとえばどんな人でも部屋ってあるじゃないですか? 自分の住んでる部屋ね。部屋は自分の欲望の反映ですよ。自分の欲望で購買してきた、集めてきたもので氾濫してるわけです。その人の部屋に入るということは、まさにその人間の欲望の反映した空間に入るわけですね。それは同じものはないわけです。極めて独自のものですね。

    ということで、ひとりひとりがですね、自分に内在化している個性といったものに目覚めてきている、ということは間違いないと思うんですね。それが今までは、社会システムとしての個性の鋳型の中に、無理やり理埋め込もうとしてきた。

    それがひと皮むけて、別に社会システムに依存しなくてもね、個のひとりひとりの固有性を全開にオープンしても、ちゃんと食えるではないかと。ちゃんとネットワークを組めば、非常に大きな力になるではないかというところに、いろんな人が気づきはじめて、現実的な力になってきたという。

    それが、社会システムとしてひと皮むけたという現象なのではないかと思うんです。

    西塚 まったくおっしゃるとおりですね。全面的にそのとおりだと思います。

    「パナマ文書」の裏にあるアメリカの延命策

    ヤス ただね、注意しなくちゃならないのは、それをひとつのリソースとして使いながら、もっと別の方向へ引っ張ろうという…支配層もバカじゃないので、そのようなひと皮むけた差別化の流れ、個性の発散の流れ、そういうものが大きなエネルギー源というのかな、ベクトルとして利用しながら、一番彼らにとって有利な流れを作り上げていくという、操作的な流れがやっぱりあるんですね。

    これはパナマ文書にも絡んでくるんだけど、パナマ文書をとおしてアメリカがやろうとしていることは、まさにそれですよ。どういうことかというと、アメリカに外国口座税務コンプライアンス法というのがあるんです。それは、タックスヘイブンは悪いよねということで、海外の銀行に金融資産を保管してるアメリカ人は、アメリカ人としてアメリカ国税庁に全部報告せねばならないと。

    同時にですね、海外にある金融機関はアメリカ国税庁に対して、口座の内容を全部オープンにしなくてはならないという法律なんですね。アメリカの国内法なんです。ファトカ(FATCA)というんですけれども、アメリカはその国内法を盾にとってですね、世界のいろんな金融機関に口座を公開しろ!と迫ってくるわけです。

    それでもうひとつ、これはメルマガに書いたんですが、OECD(経済協力開発機構)という先進国の国際機関があって、そこがですね、アメリカの外国口座税務コンプライアンス法と似たものを作ろうではなないかということで、国際共通報告基準というものを作った。そこに加盟したすべての国は、金融機関と銀行の口座を透明にせねばならない。誰がどれくらいの資産を持っているか。

    それで、お互いの国の金融機関の透明にされた銀行口座を、お互いに透明なデータとしてシェアしようじゃないかというシステムなんですね。だからOECDの共通報告基準という規約に賛同した国は、97カ国あるんですけど、自分の国内の金融機関の情報を全部OECDに対して開示しなくてはならない。そうすると、タックスヘイブンはなかなか成立しがたいと。

    ここがミソなんですけど、アメリカはOECDのその基準には署名してないんですね。要するにアメリカは開示しないと。だが、アメリカはFATCAを通じて、他の国々には開示を要求できる。それはどういうことかというと、アメリカが実はタックスヘイブンになるということなんですね。

    このベクトルを見るとこういうことなんですよ。アメリカはさんざん海外のタックスヘイブンの情報をリークして責めるわけです。そうすると、ヨーロッパでも何でも、いろんな国々でね、富裕層は何をやってるんだ!税金も払わないで!といって、大きなデモや抗議が起こる。民衆が怒る。社会不安になるわけです。

    民衆が怒れば怒るほど、アメリカはFATCA、または共通基準を盾にして、海外のすべての銀行の口座内容を開示しなくちゃダメだとさんざん言うわけですね。叩けば叩くほど海外の富裕層の資金が、唯一のタックスヘイブンであるアメリカに集まってくるという流れなんです。

    だから、今僕らが話してることに敷衍すると、自立した個人をひとつの端子(単子?)として作り上げられるネットワーク、これが活性化すればするほど、それを利用してむしろ支配者側が肥え太るといったような、別のシステム編成ということもものすごくあり得るんですね。それはそれで注意しなくてはならないということです。

    西塚 なるほど。それは、かなり高度なお話かと思いますが、まったくおっしゃるとおりですね。簡単に言えば、実際にいい方向にいこうとしていても、そのアンチの力は必ずあるという。そこにどうしてもわれわれは引っ張られるということですね。

    ちょっと地震の話に戻ると、今もこうしてテレビを流してますけど、本当に予断を許さないと言いますか、緊張感がありますね。

    ヤス ちょっと語弊があるかもしれませんが、もし人工地震という概念が成り立てばという前提の話ですが、僕はこれを信じるわけではないですし、信じてないわけでもない。保留なんですね。ただオープンにしてる。

    阪神淡路大震災までは、人工地震の記事は新聞でも普通に載ってたんですよ。簡単に言うと、断層に爆弾を埋め込んで爆発させるというものですが…

    安倍のロシア訪問と人工地震の可能性

    西塚 地質学的な研究も含めてですね。

    ヤス 研究も含めて。だから人工地震は実際にあり得ることは間違いがない。しかしながら、兵器として人工地震が使われてるかどうかは、どこまで実証可能かちょっと疑問符がつくので、保留にしておきます。ただ、今回の地震が人工地震である可能性は、100%否定はしないほうがいいと思うんです。と言って、信じ込んでもならないんですけどね。

    僕は今回、ちょっとある情報を追っていて、さきほどもちょっと言いましたが、それは安倍さんのロシアの非公式訪問なんです。これは、日本で報道されるずっと前に、ロシアのメディアでさんざん報道されてたんですね。どうも安倍首相は非公式訪問をする意図があるらしいと。それでロシア側が、安倍首相を迎えるためにどういう準備をしてるかまで、どんどん報道されてたんです。

    それに対して、アメリカ政府はかなり警戒してる。それで警告を出してくる。どういう形で警告を出してくるかというと、行くなとも言うんですが、それ以外にですね、いろいろ外堀を埋めるような警告の出し方をするんです。

    ひとつは国連人権委員会ってありますね。この国連人権委員会から、かなり強烈な日本非難決議みたいなものが出てきた。いわゆる、女子高生ビジネスをやってるだろうと。あれは売春にあたらないのかと。それから幼児のポルノを普通に販売してるだろうと。それは人権侵害にあたらないのかということで、日本をやり玉にあげた決議がやたらと出たんですね、今回。ちょっと不自然な感じだった。

    西塚 バッシングですね。

    ヤス それだけで終わるならいいんですけど、アメリカ政府が外堀を埋めてくる場合、いろんな方向からいくんですよ。そうしたらワシントン・ポストに社説が載った。ワシントン・ポストの社説というのは、現在の政権の意見なんです、間違いなく。

    それは何かというと、安倍はやりすぎであると。安倍政権はマスコミをコントロールしようとしている。あれは民主主義ではないと言って、安倍をかなり厳しく批判する内容だったんですね。

    そうして見てるとね、国連人権委員会とワシントン・ポストの社説は、お互いに連関はないんだけれども、流れとしては安倍政権を批判するという流れですね。ちょうどそれが起こってるときに、安倍首相とオバマ大統領が電話会談を行なった。

    そこでオバマ大統領は、行ってくれるなと、ロシアに。どうしても行きたいなら、伊勢志摩サミットの後にしてほしいと。それに対して安倍首相は拒否した。いや、私は行かなくてはならない重要な案件があるんだと。

    それ以降も、ロシアに行くことを取り止める気配が全然ない。そうすると、今回がもし人工地震だとしたら、やっぱりそれに対するものすごく大きな牽制ですね。

    西塚 僕もですね、ひとつのストーリーとして、いろいろな仮説があっていいと思うんですけど、人工地震だという仮説でちょっと言うと、僕はオバマはもともと、いろいろな意味である種の星として出てきたわけですが、途中で負けたんでしょう、敵対勢力にやられちゃったんだと思います、僕に言わせると。

    それで、今回のロシアに行ってくれるなという背景には、どうしても抑えられない連中が、それをやると日本にヘンなことをするかもしれないから、やめとけと。まあ、そう言ったと仮定して、それを安倍が拒否したとなると、これはどういうことがあり得ると思いますか? 

    そういうオバマの意図を汲み取れなかったのか、要するに人工地震も辞さないぐらいの強硬な連中がいて、やられちゃうかもしれないということがわからなかったのか、わかってても、あえてオレはやるということなのか、そのへんどう思われますか? 安倍政権の態度を仮定すると。

    ヤス おそらくわかってない。

    西塚 ブレーンもわかってない。

    ヤス パナマ文書にしてもね、日本の錚々たるジャーナリストたちがパナマ文書について書いてるじゃないですか? ICIJという組織がね、どこからお金をもらって、どういう組織かということを書いてるのは誰もいないわけですよ。

    単純に、パナマ文書から超富裕層の情報が漏れた、これは大変なことになるぞとしか書かない。官邸側もそのくらいのインテリジェンスだとしたら、これはヤバいですよ、本当に。

    西塚 それですが、高城さんがですね、メルマガでパナマ文書のことを書いてから、取材の依頼が殺到したらしいんです。そして、どうやらマスコミの人たちは事態がよくわかってないらしいと。そもそもパナマとバージン諸島の関係も知らないようだ。それで、取材はすべてお断りしたと。

    どうせまともに答えたとしても、これは僕の妄想ですがと断っていましたが(笑)、何か政府とか、芸能界の超大物が絡んでたりすると、なかったことになるのは見え見えなので、僕はいっさい答えなかったと。そういうことを書いていた。

    僕はそこで、なるほどなと思いましたけどね。いろいろ日本のマスコミの中には優秀な人もいるだろうけども、高城さんはあまり信用していないらしく、またヘラヘラ答える人でもないんだなということがよくわかりました。

    何が言いたいかというと、やはりそれくらいマスコミは本当にあの事態がわかってないようなんです。

    ヤス やっぱり、今の官邸、政府系の人たちの書いたものを読むと、思い込みの塊りですね。客観的に物ごとを分析するという能力がない、というとヘンかもしれないけど、客観的に物ごとを分析するというベクトルがない人たちが圧倒的に多いですね。

    ワーッと凝り固まってるという感じですね、本当にね。だから、ある優秀な中国の通訳が、日本の場合は、上にいけばいくほどバカになりますと言ってたけども、本当にそのとおりだと思う。ヤバいですよ、本当に。

    西塚 だからさきほどの話で、個人がコンテンツ化していくとなればですね、やっぱり自分というものに立ち返らざるを得ないし、それぞれがみんなどこかで考えなければならないと思うんです。

    そうじゃないと、もったいないというか、いろいろと楽しみたいわけですね。僕は、どちらかと言えば貪欲で、いろんな連中と楽しんで(笑)、おもしろおかしいことをやりたいというのがあるので…

    ヤス おもしろおかしいことやってた(笑)、知ってる。

    西塚 いやいや、というか、これからもですね…

    ヤス え、これからも?(笑)

    西塚 というほうなので、そっちのほうが楽しいだろうと、根底にあるだけなんですね。だからもっと、たとえばですね、だんだん酔っぱらってきたからアレですけど、子どものときに、すごくおもしろく遊んでるのに、誰それが、いやあ、もう、お母さんが呼んでるから帰るとか、もう、ご飯に間に合わないから帰るとか、塾があるから帰るとか、だんだんこうシラケていくわけですね。あの感じがイヤだという、その感覚に近いかなあ。

    ヤス なるほどね。

    西塚 いいじゃん、だって楽しいんだから、もっと遊んで、後で怒られてもいいじゃんと言って、怒られたらじゃあ明日、怒られた話しようよみたいな感じでいいくらいなのに、何か要するにプレッシャーがあるから、それに自分を従わせるわけですね。そう考えると、ほとんど小学生と変わってないということになりますが…

    ヤス これに従ってさえいられるなら、自分はやっぱり安全であるという世界ですね。その安全な世界というものを自分は侵すわけにはいかない。そのリスクはすごく大きいと。

    アメリカと中ロの共犯関係

    西塚 となると、どうでしょうか、今後、今は2016年も4月ですよね。もう3分の1が過ぎていくわけなんですけども、今後まあ、1年で区切ってもしょうがないんだけども、一応サイクルにはなってますから、今後、あと3分の2ありますが、ヤスさんはどんな感じに、世界と日本はなっていくと思われますか?

    ヤス パナマ文書に戻りますけど、パナマ文書は象徴的でね、これはメルマガには書いたんですけど、言ってみればアメリカの覇権とドルの延命策ですよ。世界の超富裕層からタックスヘイブンに集められたお金は、21兆ドルですから、2400兆円ですね。日本の国家予算の25倍ほどあるわけです。そのくらいのお金って、世界経済を動かすことが可能なんですね。

    どういうことかというと、21兆ドルでしょ? 日経の全株価の時価総額が確か3.5兆なんですよ。ニューヨーク証券取引所の時価総額が16.7兆ドルでしょ? 全世界のGDPを全部合わせても45兆ドルなんですね。

    西塚 5000兆円くらいですね。

    ヤス そうするとね、21兆ドルっていかに巨大かなんですよ。この21兆ドルが、今回のパナマ文書のリークをひとつの出発点として、アメリカに還流していくわけです。ワーッとね。そうすると、国際的な資金の循環の流れが変わりますよ。むしろアメリカ中心に、また流れてくるってことになりますね。

    どういう流れかというと、ドル高、ニューヨーク・ダウの株高という状態で、アメリカは自らのドル覇権を強める。アメリカがタックスヘイブン化しながら、世界の資金の重要な部分を全部アメリカ中心に集めてね、アメリカを中心にして再投資を行なうという。ある意味、世界経済の調整役の位置をもう一回取り入れるという動きにシフトしていく可能性がありますね。

    西塚 そのときに、バーサスとして、たとえばAIIBとかですね、ユーラシア同盟とか、そのへんに関して、中ロは何もないんでしょうか?

    ヤス 中ロの動きを見てると、何でここまで報道しないのかというくらい日本では報道されてないんですけど、ものすごく独自な動きをしています。

    AIIBをひとつの骨子にしながら、現在ですね、ロシアが立ち上げたユーラシア同盟というのがありますね、ロシアとベラルーシとか、キルギスとか、いくつかの国が集まった関税同盟なんですけど、それと中国の一帯一路が一体化しつつある。それにイランが加わる。

    それで中央アジアに、特に中国の力を中心にして今、一大経済圏ができつつありますね。その一大経済圏を結ぶのが、一帯一路の重要な部分になってる鉄道網です。

    今回、非常に大きな象徴的な出来事があった。それは2月なんですけど、西安からテヘランまで鉄道が通ったんですね。それはすごく大きなことです。そうすると、中央アジア全域が鉄道網で結ばれて、中央アジアにひとつ、今までになかったような新たな経済圏ができ上がってくる。これは中ロ経済圏ですね。

    おそらく、その決済通貨は、限りなく元になる可能性が高い。今の動きを見てると、アメリカのほうはそれを抑えようとは思っていない。思ってないというか、抑えられるとも思ってないんですね。そうではなくて、一緒に自分が乗ることによって、おいしい汁は一緒に共有しようという流れなんですよ。

    西塚 じゃあ今までの欧米、特にイギリスとアメリカを中心とした金融資本関係をもう一回自分たちに戻しながら、中ロとも連携というか、うまくやっていくってことなんですか?

    ヤス うまくやってくってことなんです。中国を中心とした中央アジア経済圏ですね。ユーラシ経済圏、これは彼らにまかせてもいいと。その資金源になってるのはAIIBなんですけども、そのAIIBのプロジェクトに、実はアメリカの国家機関であるような世界銀行が出資するんですね(笑)。お互いに、やっぱり共同プロジェクトとして立ち上げようという方向にもう動いてる。

    西塚 そうなると、たとえばこの間、バルト海でロシアの戦闘機がアメリカのイージス艦にちょっかいを出したのは、あれはどういうことなんでしょうか? あれは別問題なのかな。北朝鮮絡みですかね。

    ヤス いや、僕はまだよく調べてないんですけれども、問題はアメリカの戦艦が具体的に何をやってたかなんです。

    西塚 何か、ロシアの気に食わないことをやってたんですかね(笑)。

    ヤス 何かやった(笑)。日本では報道が一方的で、これだけ接近したぞ!としか報道されないわけです。じゃあ、接近された艦船は何をやってたのか、報道されないんですね。ちょっと、それは見なければダメだと思いますね。

    いずれにしろ、新しいユーラシア経済圏の決済通貨は人民元になってくると思います。今回、もうひとつ大きな発展があったのは、金の価格はだいたいドル建てで決定されてたんですが、中国が人民元建てにすると言い出した。これはまさに、金を人民元の最終的な保証としてリンクするということ。それで人民元の信頼度を高めながら、ユーラシア経済圏の基軸通貨にしていくという流れではないかと思いますね。

    アメリカはそれを叩き潰すとか敵対するのではなくて、一緒に参画することによっておいしい汁を吸う。言ってみれば、パナマ文書の影響でタックスヘイブンが世界で潰れますからね。そのお金がどんどんアメリカを中心に回ってくる。じゃあ、アメリカはどこに投資するかと言えば、ヘタすればAIIBに投資するかもしれないんですよ(笑)。

    西塚 そうなると、新たに人民元と金をリンクさせた、言ってみれば、金=元=ドル体制となって、ある意味ニクソン・ショック以来の変革が起きるかもしれませんね。

    ヤス いや、すごく変わってきますね、そういう意味では。だから今回のパナマ文書のリークというのは、簡単に基軸通貨のドルを放棄するわけではないと。簡単にアメリカ経済の覇権を放棄するわけではないんだけど、自分たちの覇権をこれまでどおりには維持できないことも百も承知であると。

    それで、自分たちがちゃんとサバイブできるような安全圏を確保した上で、どのようなシステムが一番便利なのかということをちゃんと描いて、持っているということだと思いますよ。

    西塚 なるほど。すでに絵を描いてるわけですね。

    ヤス 絵を描いてる。

    西塚 わかりました。ちょうど時間もきましたので終わりたいと思いますが、最近はいろいろなことが起きるので、来週の今ごろもどうなってるかわかりませんね。経済のことも地震のことも、スピリチュアル的なことも含めてですが、また注視していきたいと思います。来週もよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

    ヤス いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。


    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

    田辺鶴瑛

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    04/28のツイートまとめ

    ytaka2013

    重要情報。米ホワイトハウスが過去24時間で2回も閉鎖されている。現在も閉鎖中でオバマ大統領は建物の中にいる模様。閉鎖理由は不明。https://t.co/JiUK55LrZb
    04-28 00:20

    04/25のツイートまとめ

    ytaka2013

    @drfrogger ご返事ありがとうございます。欧米ではなく獣性そのものとは本当にその通りだと思います。これに対抗するには、一神教的な原理主義性を内包しない哲理で対抗するしかないのではないかと思っています。それはマイヤー的な思想でもあり、また日本文化に内在する個の思想かもです。
    04-25 23:57

    @drfrogger いつもお読みくださりありがとうございます。僕もフロッガーさんの言う通りだと思います。国家や民族ではなく、個のネットワークですね。
    04-25 23:02

    ぜひこのサイトで自分の住んでいる地域の地盤の揺れを確認してください。https://t.co/GzdhbjrBry
    04-25 13:33

    酔っぱらいオヤジの「Spiritual Meeting」第41回

    4月25日

    ウエブボット最新版第2回の配信

    ウエブボット最新版第2回目が完成しました!対談相手の編集者、西塚さんの会社、「五目舎」から配信される「五目通信」に掲載されております。一部、2000円だそうです。ご希望の方は「五目通信希望」のタイトルで以下のメルアドからお申し込みください。

    お申し込みアドレス
    info@gomokusha.co.jp

    五目舎
    http://gomokusha.co.jp/

    次回の有料メルマガの予告

    4月27日、金曜日の午前0時10分に配信する次のメルマガでは北朝鮮への攻撃があるのかどうか徹底して書くつもりである。いま情報を集めている。乞うご期待である。

    「ヤスの勉強会」第25回のご案内

    「ヤスの勉強会」の第25回を開催します。これまで社会主義のような超階級社会へと向かっていた流れが少しずつですが、転換する予兆が出てきました。それは、これまでとは異なる楽観的で明るい方向性ですが、次回の勉強会ではその流れの正体を追います。

    【主な内容】
    ・マイナス金利がもたらす本当の脅威と希望
    ・「抑圧されたものの噴出」とは異なる動き
    ・日本では知られていないトランプの本当の正体
    ・新しい社会システムに合致した意識の形
    ・知られざるイスラエルとEUの対立

    よろしかったらぜひご参加ください。

    日時:4月30日、土曜日
    時間:1時半から4時前後まで
    料金:4000円
    場所:都内(おそらく東横線沿線)

    いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

    記載必要事項
    名前(ふりがな)
    住所 〒
    メールアドレス
    参加人数
    懇親会の参加の有無

    info@yasunoeigo.com

    新しい本

    新刊本が出ます。面白い本になったと思います。よろしかったらどうぞ!

    「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来
    世界の政治・経済はこれからこう動く
    著者:高島 康司

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    今回もいつものペース更新ができた。いつも記事を読んでくださっている方々に感謝する。

    今回の記事

    今回はいつもの対談の第41回である。興味深い内容だと思う。

    記事全文を音声ファイルにしました。よろしかったらどうぞ。7日で削除されますので、お早めにどうぞ。

    音声ファイル

    ツイッターに書き込むことにしました。よろしかったらフォローをどうぞ。日々情報を発信します。
    https://twitter.com/ytaka2013/

    船井幸雄.comに筆者のページが出来ました。月一回のペースで更新します。ぜひご覧ください!

    船井幸雄.com
    ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

    むちゃくちゃうまい醤油!

    筆者は、隔月で高松の経済団体で講演会を行っている。そのとき、高松で評判になっているおいしい醤油のことを教えられた。小豆島の醤油である。早速、注文して見たが濃厚な味でものすごくうまかった!世の中にはうまいものがあるののだと思った。よろしかったらどうぞ。

    金両醤油

    酔っ払いオヤジのspiritual meeting 第40回

    oyasupi39

    西塚 みなさん、こんにちは、『酔っぱらいオヤジのSpiritual Meeting』の今日は第41回になりました。また、ヤスさんにおいでいただきました。よろしくお願いします。カンパーイ!

    ヤス どうもどうも。

    西塚 先週に引き続き、あんまり酔っぱらって突入しないですね。

    ヤス えらいですね(笑)。

    西塚 いやいや、さっきから話してはいますが、何と言っても、ヤスさんのメルマガでも書かれてましたけども、パナマ文書ですね。今、ものすごい話題ですが、僕は高城(剛)さんのメルマガも見てるんですね。あの人は本当に世界中を回ってる人で、2カ月前にバージン諸島にいってたらしくて、高級レストランで泡食ってる連中を見たそうです。韓国人、イギリス人、アメリカ人、ロシア人が右往左往して大騒ぎしてる。これは何かあるなと思ってたら、2カ月後にこれなんで、ああ、これだったのかと。だから、これからもどんどん都合の悪いことが出てくるだろうという記事でした。

    そしてヤスさんのメルマガを見たら、さらにその裏を書いている。それを読むと、アメリカ人の情報が全然出てこないというのはへんだ。不自然だと。違和感だらけだと書かれてる。

    ヤス だって、おかしいですよね。アメリカ人がまったく出てこない。ターゲットでも、キャメロンとかプーチンとか、本人がどうしたとかじゃなくて、親族とか周りの友人がでしょ? まあ、キャメロンは自分自身、ちょっと株を持ってたよということだったんですけど、プーチンなんか本当に何も持ってないですよね。

    「パナマ文書」の本当の目的とは?

    西塚 本当だったら、プーチンなんか一番矢面に立たされるのかなと思ったら、ないということは、本当にないんですね、あれ。すごいヤツだなと思いました。脇が甘くないんですよ。

    あれはアメリカの何かしら、意図的なものがあるのではないかということなんですが、アラブの春とか、あれはヒラリーですね、公言してはばからなかったような、要するにネットを通じて若い層から反体制的な、民主的な動きが湧き起こるような運動を起こして、本人たちもまさかあそこまでいくとは思わなかったというくらいに成功する。今回も似たような形で何か絡んでるのではないかと。あの記事は刺激的でしたね。あのへんはどうやってお調べになるんですか?

    ヤス まず、あの情報を最初に明らかにした団体について調べるんです。たとえばBBCが最初に報じたのならば、そのBBCという集団がね、何かの利害に基づいてるかどうかとかね。

    今回の事件を追っていくと、ICIJという組織なんです。ICIJという組織は初めて耳にするじゃないですか? いわゆる調査ジャーナリストの世界的な連合組織であって、NGOだっていうわけです。それを聞いただけで、本当かよ?とやっぱり思いますね。

    実はNGOというのは一番怪しい。たとえば、2000年から2005年くらいまで続いた「カラー革命」がありました。中央アジアでね。キルギスであるとか、ウクラナイナとか、タジキスタンとか、ああいうところの、どちらかと言えば親ロシア派の独裁政権が潰されてね、欧米寄りの政権に全部転換させられたという事件がありました。

    その転換の担い手になったのが青年運動なんです。学生を主体としたような、非暴力なんですけどね、青年による反政府組織。彼らが中心になってる。反政府組織がどのように形成されたかというと、その背後関係は明らかになっている。本にも書かれてるし、ドキュメンタリーにも撮られてる。仕掛けたアメリカ政府も全然隠してないわけですね。

    反政府組織に資金を提供したのは、アメリカのNGOばっかりなんです。フリーダムハウスであるとか、フォード財団であるとか、ジョージ・ソロスのオープンソサエティとかね。そういうところが資金を提供して、組織のノウハウを教えて、訓練まで提供している。国務省のどこかの部局が、アメリカまで連れていって訓練したという記録まで残ってるんですね。

    それとほぼ同じような構図で、実は「アラブの春」でも行なわれていた。アラブの春の中心となった青年団体は、ほとんどアメリカ系のNGOによって資金が援助され、トレーニングされてる。アラブの春の場合は、いわゆる革命コンサルタントという異名をとるCANVASというベオグラードに拠点のある組織、これが実地訓練をやってる。

    そうすると、まずアメリカのNGOと聞くとですね、本当かよと思うわけです。だから背後関係を調べる。誰が資金を提供してるかということですね。そのNGOのホームページにいくと、どういう組織から資金をもらってるか、だいたい公けにされてます。

    それを見ると、アラブの春とカラー革命を主催した団体とほぼ同じ財団が、今回のICIJの大口の献金者なんですね。その中にアメリカ政府の部局で、合衆国国際開発庁というのがあるんです。USAIDというんですけど、それがアラブの春もカラー革命もメインの提供者なんですけど、そのUSAIDが今回のICIJの大口の献金者でもある(笑)。

    だったらこれ、見え見えだろってことになりますよね。そこが、ハイ、こういうドキュメントがありましたって出してくる。そして、アメリカの政治的な庭と言われてるパナマの法律事務所から出されて、アメリカ企業とかアメリカの政治家の名前がいっさい出てこない。それは意図的にやってるだろうということになりますよ。

    その目的は何なのか。これはけっこう簡単です。そのような仮説で、自分と同じことを考えてる記事はないのかと調べていくと、膨大に出てくるんです(笑)。

    アメリカを世界の租税回避地にする!

    西塚 それはアメリカですか?

    ヤス カナダですね。モントリオールに本拠地があるグローバル・リサーチ・センターというシンクタンク、そこがいろいろと優秀な記事を載せてる。そこに載ってる記事は、だいぶ同じ疑いを感じて調査をしている。

    それから、バーニー・サンダースの支持者たちはけっこう知的水準が高い人たちが多くてですね、そういったブログをたくさん持ってる。その中にやっぱり自分たちが調査をした結果、こうだったよと、ほぼ同じようなことを書いてるんです。

    そうすると、日本で言われてるような事件では全然ない。はっきりとした意図があって行なわれてるということですね。実は次回のメルマガに書こうと思ってるんですが、ちょっとわかってきた。

    西塚 北朝鮮ですか?

    ヤス 北朝鮮もある。パナマ文書で今回わかったのは、実はある企業があった。イギリス人が所有者になってる企業で、パナマのモサック・フォンセカで法人登記した企業ですけど、北朝鮮のフロント企業だったんです。北朝鮮のミサイルがあるじゃないですか? そのミサイルを海外に売ったときの代金のやりとり、決済をその会社を通じてやってたんですね。その所有者がイギリス人だったと。現在、彼は北朝鮮でビジネスをやってるという。それが今回のパナマ文書で明らかになったんですね。ひとつはね。

    北朝鮮をターゲットにおいてることは間違いない。もうひとつわかったのは、けっこう大きな金融機関があってね、ここがちょっとびっくりするようなことを出してきたんです。これからアメリカが、本当にデフォルトをする可能性があるから気をつけろという警告だったんですね。これはソシエテ・ジェネラルというフランスのすごく大きな銀行のアナリストです。

    どうもアメリカ企業の決算の状況を見てると、かなりの借金をしていると。アメリカの社債市場がおかしくなる可能性があるから、ヤバいと言ってきたんですね。ちょうどそれと同じタイミングでこのパナマ文書が出てるんですよ。それでちょっと調べてみたんですけど、世界の最大の税金逃れのオフショア市場とはどこなのか? 実はアメリカそのものだと。オフショアじゃなくて、オンショアなんですね。

    アメリカは何をやってるかというと、自分のところに流れてくる資金に関しては、たとえばいくつかの州があって、ネバダ州とワイオミング州とサウスダコタ州、それからデラウェア州、この4つの州は、実はほとんど税金がかからないんですね。海外から流入してきたものに関しては。それから口座の秘密性が守られる。法人税はない。所得税みたいなものも企業には課せられないということなんです。だから税金は全然課せられない。ある程度のライセンス料のようなものを払えば、口座は自由に持てる。それでアメリカ国内に投資ができるんですね。

    どうも見てるとですね、パナマを潰すことによって、自分たちがいわゆるオフショア市場、アメリカそのものがオフショア市場になるということが、今回の目的のひとつに入ってる。どうしてかというと、やっぱりアメリカ企業は本当にヤバいんだと思うんです。そうすると、かなりの大きなお金、世界の富裕層のお金をアメリカに引き入れる。そのためにはパナマをぶっ潰す必要性があったということでしょう。おそらくね。

    西塚 じゃあ、最大に今ヤバくなってるアメリカ全体のために、租税回避地を全部ぶっ潰すということがはじまったと。

    北朝鮮攻撃に備えてロシアを揺さぶる

    ヤス そうですね。それで、すべてをアメリカに集中させる。海外から流入してくる資金によって、アメリカ経済を延命させるという策です。ひとつはね。あともうひとつは、北朝鮮絡みだと思うんです。まあ、次のメルマガに書こうと思うんですけど、中国の新聞にですね、中国のある将軍の、北朝鮮の攻撃が近いだろうという長い社説が載った。ついこの間。

    その内容なんですけど、米韓の合同軍事演習の規模を見たら、あれは演習ではないと言うんですね。朝鮮半島の史上最大の演習だと。あれは即刻、北朝鮮を攻撃できる能力を備える規模の演習だと言うんです。アメリカは今ふたつのことを怖れてる。ひとつは北朝鮮のICBMに載るような核の小型化。それはもう成功しつつあるし、今は成功したと宣言された。

    あともうひとつは、ICBMが大気圏外に出て、大気圏内に突入してくるときのその熱にね、核弾頭が耐えられるかどうか。熱の耐性の技術ですね。このふたつなんだけど、このふたつは完成間近だと。そうすると、アメリカの西海岸全体が北朝鮮の射程の中に入ってくる。それがはっきりする前に、おそらく潰したいんだろうということなんですね。

    4月30日に演習は終わるんだけども、それまでに北朝鮮の攻撃がないかどうか、注意して見なくちゃダメだという社説だった。そして、攻撃が行なわれるとしたら、今度4段階で行なわれるだろうと細かく段階まで書いてあるんですよ。

    ちょうどそれが出た直後にパナマ文書が出てる。その論文を読むと、この攻撃を行なうためのポイントは何かというと、実は中国ではない。ロシアだと。北朝鮮の周辺海域というのは、ロシアの海域と重なってるので、北朝鮮に対する攻撃をロシアが納得するかどうかということが、実はキーになるんだということがポイントだったんですね。

    それを見るとですね、このパナマ文書によってプーチンを揺さぶることで、無理やり北朝鮮の攻撃を納得させるということが、ひとつの目的としてあるかなという感じがします。

    西塚 なるほど。日本で報道されてるものだけを見ててもダメですね。アラブの春も含めて、ちょっと調べればいろいろとわかってくることがある。そういった意味では、本当に表に出てこない連中もいるんでしょうね。インターネットにすら出てこないという存在。

    それはおいといても、ちょっと調べればわかることが、前回のリンダ・モールトン・ハウの調査報道のお話でもありましたね。チリに隕石が落ちたことも、毎日新聞は、あれはロシアの人工衛星が落ちたんだと。その根拠がアメリカのメジャーのメディアが報道したからという。要するにコピペだって話が前回出ました。だから、その域を出てなくて、少なくとも日本以外のニュースに関しては、からっきしダメですね、日本は。

    ヤス ダメですね。

    西塚 日本国内だったら、まだちょっと気骨があるとういか、ネチネチという言葉は悪いけども、スキャンダルでもちゃんと報じますけどね。ブログにしてもそうですが、海外になると徹底的にダメなのは、やっぱり言葉、英語ができないということと、徹底したガラパゴス状態だということ。

    ヤス あともうひとつは、やっぱり考えないということです。若い連中ほど考えない。まあ、年寄りも考えないですけど(笑)。考えるということは、われわれの文化ではないと誰かが言った(笑)。日本は本当に思考しない。

    西塚 もう本当に淘汰されていくしかないのかもしれませんね。かつてはこういう、考えなくてもすむ、いい国があったよで終っちゃう話なのかもしれません。ということまでちょっと考えちゃいますけどね、最近。

    ヤス 確かに。

    西塚 僕、個人が考えてもしょうがないけど、大きな流れとして見れば、それでも出てくるとは思いますけどね、若い連中にしても。前々回の話で、高校からハーバードにいっちゃうような連中というのは、頭の作りが違うというお話がありました。東大にいく連中とは違うんだと。官僚とは全然違うよという。

    だから、ああいう人はいるわけなので、日本じゃなくても、海外で活躍してるそういう連中が、また日本を復活、復興させるということはあり得るかなという。

    ヤス たまたま、日本生まれだったというタイプの人ですね(笑)。

    西塚 ああ、そうかもしれません。それはどう考えたらいいんですかね? 今の日本は、幸せなことなのか、あるいはまあ、なるようになるしかないんだよと思っているしかないのか。

    ヤス オールオアナッシングではないと思いますが、やっぱり非常に大きいのは、何かというと、まず閉じるんですよ、僕ら。独自の言語圏の中で閉じるしね。前にも何度も話してるように、何か優秀な技術でもあったら、オールジャパンでとか、やっぱり日本が!日本が!と言う。そうして、異文化の出身者、違った民族の出身者を無意識的に排除してるわけです。

    それで、自分たちの文化と親和性があるよう集団を作って、どんどんその中に籠って閉じていくという流れなんです。全部、内向きのベクトルですね。

    日本人の幼児性と欧米の獣性

    西塚 それは、やっぱり明治維新以降ですか? 僕はちょっとそこは、儚いというか、僕は落語とかけっこう好きなんですけど、あれが全部の世界観じゃないんだろうけども、少なくとも明治維新前はですね、オレがオレがじゃないんですよ、日本人のマインドも。

    士農工商の武士にしろ何しろ、まあ、私は武士だからとかありますよ、オレは町人だ、オレは魚屋だって、私は大家だとかですね、そういうのはあるんですが、それでもある種、分をわきまえてる。それぞれにイヤなヤツはいますが、でも、ちゃんと相手を認めたケンカをするんですね。

    それが明治維新以降、外国コンプレックスなのかもしれませんが、日本のすばらしさをちょっと思い出しては、それを誇りたがるというのがありますね。どうしても噴き出てくる。それで経済が発展してるときはまだよかったんだけど、それ以降はそれを誇るし、『「NO」と言える日本』もそうですけどね、何と言うか、折々に出てくる。

    根本的に欧米に対するコンプレックスがあって、マンガにしても、だいたい少女マンガというのは、昔はみんな外人じゃないですか? 要するにバタくさい顔なんです、みんな。だから否定してるわけです、自分たちのことを。おそらく。

    ヤス 近代の日本人の基本的なメンタリティーがあると思うんです。それはおそらく明治維新以来、変わってない。それは何かというと、欧米に対する極端なコンプレックスと、その裏返しとしてのアジア諸国に対する極端な優越感ですね。だからそのふたつのものがアンバランスな形で同居していて、自分たちが最終的に何ものであるのかということの落ち着きの悪さがあるわけですね。

    だから、言ってみれば幼児みたいなものですよ。欧米に対するコンプレックスを持ってるんだけど、アジア諸国に対しては優越感を持ってるというのはね。何と言いますかね、人格としてほとんど完成されてないということじゃないでしょうか。

    西塚 よく日本の幼児性ということが言われますけど、そういうことですかね…。大きく言えばたぶんそうだと思うんです。でも、幼児性というと、これは細かく分析しなくちゃいけないんでしょうけども、もちろん欧米人が持ってる幼児性もありますね。ものすごく善悪がはっきりしてるし…

    ヤス そうそう、彼らは彼らの幼児性があります。

    西塚 それとは違う幼児性なんだろうけども、そうすると日本はGDPで2位までいきましたけども、だからまだいいのであって、地球的には欧米がどうしても主流になってますから、欧米の幼児性というのが隠されちゃうということなんですか? 

    隣においしいものがあったら、みんなそこでちゃんと仲よく暮らしてるのを全部蹴散らして、自分で持って帰っちゃうというような幼児性。ガキ大将というか、ジャイアンみたいなものですね。それが席巻して、今もそうだということなんでしょうけども。

    でも、そのイジメられっ子の幼児性というのは脆弱で、もっとダメだよってことなのか。

    ヤス 欧米の場合、幼児性は幼児性としてあるんだけど、幼児性というよりはむしろ、戦略的に見てね、どのような世界の状態が自分たちにとって一番居心地がいいかということから考えるわけです。それで世界情勢全体をデザイニングしていくという形ですね。

    それでまあ、Winner takes everythingなんですけど、やっぱり勝ったものが総取りしてしまうというシステム。自分にとってベストのシステムというのを自分たちがデザイニングして作る。その志向性が一番強いのがアメリカだと思いますよ。

    確かにそうしたメンタリティーも幼児性と言えば幼児性かもしれない。でも、日本が持ってるようなコントロールが効かない幼児性とは、根本的に質が違うものだと思いますね。

    西塚 そのへんの線引きが今後、微妙になってくると思うんです。欧米式のある種の幼児性、要するに総取り、強いもの勝ちというのは、それが高じればどうしたって戦争になるわけです。弱肉強食になるのは当たり前なので。

    日本的なメンタリティーで言えば、そうならないように、突出しないようにするという。そうするとそういう争いも起きないと。その代わり抑圧されていく。それが高じると、とんでもない陰湿なことにもなっていく。その両極端な現われなのかなという気がするんですね。

    そうすると、やっぱりその中間をとらなければならない。いつもの話、というか普通に考えればそういう話になるんだけど、その中間というのがやっぱりクセもので、じゃあどういう中間なんだ?ということですね。

    欧米が言う中間と日本が言う中間も違うだろうし、今すごく粗雑な論理になっていて、そこにスピリチュアリズムが入ってきちゃうと、いやあ、そのままでいいんですよとか、自分は自分でいいんですよ、何も間違ってませんよ、あるいは好きなことやればいいんだとか、その中間層というのはすごく分厚くて、これがものすごく気持ち悪い(笑)。

    だから、そこは整理されなければいけないんじゃないかと、僕は思うんですけどもね。やっぱり原理、原則というか、教条主義的になるわけじゃなく、何かが必要だという立場です。

    それは明文化されるものではないかもしれない。ある種、体感も含めたものなのかもしれませんけども。マニフェストみたいなものではなくて。そこが僕は興味のあるところなんです。

    日本人の欧米コンプレックスとアジア蔑視の源流

    ヤス ひと言で言うならば、たとえばアメリカが持ってる幼児性というのは“獣性”ですよ。それは幼児性といったものとはちょっとニュアンスが違ってるかなと思います。明治以来の日本人のメンタリティーというのは、極端な欧米に対するコンプレックスが前面に出るのか、それともアジア諸国に対する極端な優越感が出てくるのか。このふたつの側面のどちらが前面に出て日本の歴史を主導するかによって、われわれのこれまでの歴史が決まってきたという感じだと思うんです。

    たとえば戦前の状態を見ると、明治維新以来のかなりの時間というのは、欧米に対する劣等感というのは、日本が富国強兵を目指す主要な動力源だったわけです。それが、昭和初期に入ってくると今度は、欧米に対するコンプレックスの裏返しとしての対抗意識ですね。ものすごい対抗意識、恨み、ルサンチマンの爆発みたいなものが出てくる。

    ルサンチマンの爆発みたいなものが刺激となって、今度はアジア諸国に対する極端な優越感、支配者としての優越感が前面に立つ。それでアジア諸国に対して残虐なことをさんざんやるわけですよ。戦後は、むしろ欧米に対するコンプレックスのほうが前面に立つ。かなり長い間、欧米に対するコンプレックスが前面に立って、それが一時は日本を世界第2位の経済大国に押し上げるだけの大きな、メンタルのレベルでの動機形成にはなったと思うんですね。

    しかしながら、それが中国に追い抜かれるにしたがって、今度は欧米に対するコンプレックス云々よりも、アジアに対する優越感、そして欧米に対するコンプレックスの裏返しとしての、極端な日本優位論というかナショナリズムが前面に立ってくる。戦前回帰、昭和初期回帰が今はじまっているのは、そういうメンタリティーなんだと思うんですね。
     
    そうすると、特に明治維新以来の日本の近代史というのは、極端に言うと極めて単純なメンタリティーに支配されている。その極めて単純なメンタリティーの呪縛から、われわれは脱することができていないということなんですね、全然。

    日本のナショナリズムは愛国主義ではなくて、言ってみれば欧米に対する劣等感の裏返しとしての極端なナショナリズムなんですね。アジアに対する優越感も、言ってみれば欧米に対する劣等感の裏返しとしての優越感ということになってくる。そうすると、われわれのメンタリティーの基本的な色合いというか、主張というのかな、主軸になっているのは欧米に対する極端な劣等感ですよ。

    西塚 今のそのナショナリズム、ナショナリストということで言うと、欧米も含めて言えると思うんですけど、英語が正しいかどうか…アメリカでも日本でも良質な、良質という意味は、僕にとって共感できるという意味なんですけど、そういう人たちはナショナリズムではなくて、パトリオティズムというんですかね。そっちのほうがわかりやすいんです。だからナショナリズムとはちょっと違うんじゃないかと。

    ヤス 全然、違う。

    西塚 パトリオティズムというのは、あってもいいのかなと思うんです。当たり前の、愛国というよりも、むしろ郷土愛に近いものだと思います。それはよくわかる。ホームグラウンドとして、自分が生まれたところとか地域がある。それに対する愛情とか、誇りは当然あると思います。それとナショナリズムを混同したらまずいのではないか。

    いわゆる軍国主義の時代でも、兵隊さんの中にもその両者がいたのかなという気がします。そういった意味でも、言葉も含めて、感情でも、ある程度分けないとおかしくなりますね。

    ヤス 確かに。本来のpatriotismというかね、愛国主義という言葉そのものは僕は嫌いなんだけど、本来のあるべき愛国主義とはどういうものかというと、世界中にいろんな文化があって、その中にはアメリカが押しつけるグローバリゼーションみたいなものもあるだろう。しかしながら、われわれにはわれわれの文化的な価値があって、この文化的な価値のもとに、われわれが自らの生活世界を作る権利があるんだという主張ですよね。

    他の文化圏に対して、いいとか悪いとかの問題ではない。これが、われわれの文化の固有な価値観なんだと。この固有な価値観にしたがって、われわれが自分たちの生活世界を組織化する、形成する権利があってもいいではないかということなんですね。

    すべての人間が、同じようなグローバリゼーションの文化に解体されるということそのものがおかしい。そういった感覚が、本来の意味でのpatriotismなんだろうと思います。

    西塚 僕もそう思います。プーチンが言ってるのはそっちなんじゃないかと。

    自国文化の価値の固有性を理念化するということ

    ヤス プーチンが言ってるのはそうです。プーチンだとか、プーチンの背後にいるイデオローグのアレクサンドル・ドゥーギンが主張してるのは、そういう意味でのpatriotismなんですね。アメリカでも、もともとそういうpatriotismはあります。アメリカはアメリカの文化圏としての価値があるんだと。それは他の文化圏の価値観に解体されない独自のものであって、われわれはその独自性を守り抜くぞといったタイプのものですね。

    西塚 そのへん、ヤスさんにちょっと確認したいのですが、いわゆるそのパトリオティズムですが、ドゥーギンもそうなんですか? ちょっと覇権主義っぽい気がしますが…

    ヤス ドゥーギンというのは二面性があります。ドゥーギンが受け入れられるところは、新ユーラシア主義を標榜してる部分。もともと1920年代、ちょうどソビエトができたくらいのころに出てきたユーラシア主義というのは、patriotismなんですね。覇権主義では全然ない。

    ロシアはロシアの独自の文化的な価値観があるから、価値観を守る権利はわれわれにあるんだと主張した。言語学者のトルベツコイとかね。ドゥーギンもそうなんですけど、ただ、その背後に巨大な覇権主義がありますね。

    西塚 そうですよね。

    ヤス だから、ドゥーギン自身は相当問題のあるキャラクターであることは間違いない。

    西塚 ちょっと怖いものがあるんですね。また感覚的に言ったらいけませんが、かつてのラスプーチンに近いような怖さといいますか、プーチンがやられちゃって、ロシアがおかしくなったら怖いですから。

    ヤス そうそう。だからプーチンとはあまり近い関係ではないですね、この人は。

    西塚 あ、そうなんですか?

    ヤス どちらかと言うとね。アドバイザーとは言ってるんだけども、会ったこともないみたいです。ただ、プーチンはドゥーギンの書いたものをよく読んでるし、またプーチンの周辺にいる側近たちに、やっぱりドゥーギンの信奉者が何人かいるということらしいです。

    西塚 なるほど。じゃまあ、時の首相が誰だか忘れましたが、北一輝は読んでるけど会ったことがないみたいな、そんな感じ(笑)。

    ヤス ああ、そうそう。そうするとね、ロシア的な新ユーラシア主義とユーラシア主義、とくにトルベツコイあたりが言うユーラシア主義というのは、まさにユーラシア主義として理念化してくわけです。どんどん。これがわれわれの理念だと。それは欧米のいわゆる民主主義と市場原理、そういうものに解体されない独自の価値観なんだということで、それを理念するわけですよ。

    フランスでもフランス革命の後に出てくるんですね、フランスそのものの本来の理念、文化的な理念とはどういうものだったのか。ドイツもそうです。それは、場合によっては、それぞれの国の極右によって利用されかねないといった危険性はあります。

    危険性はあるんだけれども、それはグローバリゼーション、民主主義の絶対化、市場原理主義の絶対化によって、国民の文化的な集まりを民主主義と市場原理というふたつの原理のもとに解体していくということ。それに対するひとつの抵抗運動、文化的な独自の価値観の主張ということ。これをまず理念として掲げるわけです。

    日本の場合、明治以来、この本来の日本文化の価値の理念化に失敗したんだと思いますね。完璧に失敗した。だからね、まだアンバランスなんですよ。一方で欧米に対する極端なコンプレックス、もう一方では、その裏返しとしての欧米に対する極端な敵意。それと連動してのアジア諸国に対する極端な優越感。そういう非常に落ち着きの悪いところで右往左往するということね。

    西塚 それは、それこそヤスさんの専門になるかもしれませんが、僕の感じで言うと、しょうがなかったと思います。基本的には。欧米列強に対抗するために富国強兵で国を強くして、国家の体制を整えていったということは、まあそうなんだろうと思うんですけれども、ひょっとしたら、軍につながる官僚たちに何か問題があって、それで舵を急激にきって、それを止められなかったという。ベタな言い方ですが。それがいつの時期からなのかというのは、僕は勉強不足で詳らかにはできないですが、やはり官僚だと思うんです。

    官僚の話はこの対談でもよく出てきますが、ある個人ではなくて、何かの空気と言いますか、それが得体が知れない。特定の個人はそれほど力を持ってないでしょうが、でも日本というか、日本人に脈々と流れてる何かのラインがあるように思います。

    それが妙に作動した結果、敗戦を迎える。そこから一からやり直せればよかったのかもしれませんが、それこそ富国強兵と同じで、今度は経済大国に向けてまた同じようなことをやって、まあこうなってるという、僕はそんな見方なんですね。

    さきほど獣性ということをおっしゃいました。幼児性にしろ、獣性にしろ、その背後にあるのは、やっぱり感情だと思うわけです。ヤスさんもおっしゃるように、とにかく感情というノイズはできるだけ排除する。

    それは直感知の話題のときにも話しました。湧き起ってくる直感は、うまく規定はできないけども、そこにたどりつくまでにはいろんな感情のノイズ、雑念があるわけだから、それを排除しないとたどりつけないし、混同してはいけないと。

    僕は直感とか感覚といったものを信頼してきました。そこにちょっとヤスさんとの齟齬があって、僕の理解が足りなかったわけですけども、ヤスさんは、直感ではなくて理論とか理性にいくべきだとおっしゃってるように聞こえた。

    僕は理性などはもっとも危ないものであって、黒を白と言えるのが理性、論理であって、そんなものよりは自分の感覚を信じたいというようなことを訴えたかったんだけども、そこで言葉がうまく疎通できなかった部分がありました。対談を後から読み返すとわかるんですけど、でも思いとしては共通してるものもあった。

    だから、やっぱり一番問題なのは、簡単に言えば感情なんです。おっしゃるように。明治維新政府、それ以降の政府が失敗したこと、僕に言わせれば、官僚、軍部がおかしくなって暴走して、それを誰も止められなかったということ。そのへんのことを、感情ということをキーにした場合、何かありますか? 

    コンプレックスの元にある「恐怖」の感情

    ヤス いわゆる欧米に対する極端なコンプレックスは、感情が前提にありますよ。

    西塚 それは、ある程度は全員が持っていたということなんですか?

    ヤス いや、それはやっぱり官僚が持ってますね。このコンプレックスは何かというと、脅威でもあるんです。恐怖でもあったわけです。それと獣性。たとえば、中国を中心とした冊封体制という外交関係があるじゃないですか。それは兄と弟の関係ですよ。言ってみれば、獣性とはほど遠いものなんですね。

    中国が朝鮮半島そのものを侵略して、そこから自治権をすべて奪い取って奴隷化するかと言えば、そんなことはしないわけです。中国にもいろんな王朝がありますから、冊封体制の中でも朝鮮半島に対する介入の強さというのは、それぞれ違ってはきます。たとえば元あたりは相当強く介入してくる。それに対して、明であるとか、宋であるとか、介入は極めてゆるやかだったりします。ただ、欧米のようにですね、ひとつの国を植民地にして、そこの国民を奴隷化まではしないわけです。

    中国を兄として祀ってれば、完璧な自治権を与えられるといった温和な体制です。それに対して、欧米を中心にした体制は、弱肉強食の本当に動物的な体制になるわけですね。それが帝国主義以降の体制です。

    その帝国主義以降の体制で、それこそ野獣が迫ってくるわけですよ。迫ってくる野獣にいかに対抗するか、というところで築き上げられてくるメンタリティーがある。まず、第一に脅威としてとらえる。その脅威としてとらえた欧米に、範を求めると言いますかね、彼らに範を求めない限りは自分たちが生き残れないという、ある意味で論理的な選択をとった。

    彼らと同じようなシステムを構築しない限りは、自分たちも一緒にやられる。ある意味で、当時の正しい判断だった。

    西塚 そうですね。同じ土俵に上ろうということですね。

    ヤス そうすることによって、欧米から摂取できるところはとことん摂取する。その結果、かなりアンビバレントというかな、なかなか落ち着きの悪いメンタリティーができてくる。すなわち、欧米をまず脅威としてとらえる。脅威としてとらえる延長で反欧米であり、欧米に対する極端な敵意を持つ。

    しかしながら、敵意を持ってる欧米を師匠として仰がざるを得ない。彼らの持ってる優秀な社会システムや技術をすべて自らのものとして、できるだけ早くキャッチアップせねばならない。そこで欧米に対する極端なコンプレックスが出てくるわけです。

    西塚 それはどうなんでしょうか。間違ってたら教えてほしいんですけど、その欧米化、近代化する途中で、たとえば陸軍と海軍で、それこそ範を求めるのはそれぞれフランスとイギリスだったりしますね。医学だったらドイツに求めたり、もともとはオランダだったりという。

    それをうまく統合して、日本国家が普通に栄えて進んでいけばいいのに、その範を求めたフランスならフランス、イギリスならイギリスで、それぞれ官僚たちがまた反目し合います。すごく閉鎖的になっていくという。そのへんのメンタリティーというのは何なんでしょうか? もともと日本人にあるのか、システム的なものなのか。

    ヤス いや、どの官僚制でもみんなそうだと思います。中国でもそうだし、アメリカでもやっぱりね…

    西塚 どこの国でも。

    ヤス どこの国でもそうだと思う。それは何かというと、権力を目指すような人たちが集まってね、ひとつの機構を結成すると、必ずそこですさまじい出世争いが起きてくるということですよ。蹴落とし合いというかね。誰が、どのグループが覇権を確保するかという争いが必ず起こりますから。

    その覇権争いの材料として、フランスに通じるのか、ドイツに通じるのかと、やっぱり利用されてくるということはありますよね。

    何が言いたいかというと、明治維新以来、官僚および政府の指導層と言われるような人たちの共通したメンタリティーは、この3つだったのかなと。

    もう一回要約すると、欧米に対する脅威ですね。脅威の延長としての敵対心。

    西塚 怖いということですね。

    ヤス 怖いことの延長としての敵対心。第2に、そのような欧米に範を求めて、師匠としてしたがわなくてはいけない。

    西塚 学ぼうということですね。

    ヤス それは欧米に対する強いコンプレックスを醸成します。その裏返しとして、遅れたアジア諸国に対する蔑視と優越感。このメンタリティーが、日本の指導層のメンタリティーとして定着していったわけだし、それが日本の官僚機構、政治機構、日本という国を構築しているすべての指導層の、基本的なメンタリティーになっていったということだと思います。

    こうしたメンタリティーを持ってる人たちが、日本の近代を主導した。別の選択肢があったかというと、おそらくあったと思う。たとえば自由民権運動というのがあった。明治10年代に出てきたのですが、そこでスローガンになっていたのは、明治維新の徹底だった。

    明治維新というのは社会改革なんだけど、社会改革を徹底してないではないかと。身分制も残ってるし、明治維新で言っていた維新を徹底しろと。それが自由民権運動だった。自由民権運動は下からの革命なんですね。下からの社会革命です。

    だから、場合によっては、下からの社会革命による近代化という全然違う道があった。おそらくですね、自由民権運動的な下からの社会革命という、全然違った近代化の道をとってたら、ドゥーギン主義というか、むしろ本来のpatriotismの理念化に至ったのではないかと思いますね。

    西塚 それは興味深いですね。逆に、ものすごい覇権主義になったかもしれないけれども、いずれにしろ違ったものでしょうね…

    ヤス 違ったもの。われわれはあなたたちとは違うんだと。われわれにはわれわれの文化的な価値があって、それを理念として表現するとこういうことになると。その理念を表現するひとつの媒介としてね、おそらくヨーロッパの哲学を使ったのではないかと思うんです。ルソーを媒介にして日本の価値観を再定式化するとかね。

    アンビバレントなメンタリティーをどう乗り越えるか?

    西塚 こういうこともありませんか? 一部かもしれませんけど、アジアの韓国や中国に対する蔑視もあったけども、やっぱり欧米に対する蔑視もあって、それこそ石原慎太郎みたいなものですね。あいつらはダメだと。だらしないと。

    これは吉本隆明も言ってたんですね。吉本隆明が誰かから聞いたわけです。戦争中にアメリカ兵を見たと。そうしたらチューイングガムをかんで、くちゃくちゃやってる。隊列も組めない。みんな好き勝手に立ってる。これは楽勝だと。こんなだらしない連中に負けるはずがないと確信したと言うんですね。

    でも、負けるわけです。それは確か坂本龍一と村上龍との鼎談でしたけどね。それで、徹底的に個人主義にやられたんだろうというような結論でした。僕はそんなに単純なものではないと思いますけども、でも日本の場合は、みんな優秀で組織化もされてるし、隊列もちゃんと組めるし、要するにドイツ的に強いと思ってるわけです。あんなだらしない個人主義で、ひとりひとりが勝手にやってるようなアメリカに負けるはずがないとみんな思っていた。でも結局は負けた。それはいったいどういうことなのか。

    それは、ひとつは蔑視だったんだけども、でも80年代になっても、それこそGDPが世界2位になって、アメリカを脅かすようになったあたりからまた、欧米蔑視が一部ではじまったと思うんです。特に経済界の連中ですね。あと一部、ネトウヨじゃなく、当時ネトウヨという言葉はないですけど、一般庶民ですね。やっぱり日本ってすごいじゃんということで、欧米蔑視に走る。

    ヤス その蔑視は、アジアに対する蔑視とはまた違う。自分たちよりも本質的に劣ったものに対する蔑視じゃないわけですよ。

    西塚 コンプレックスの裏返し?

    ヤス 簡単に言って、コンプレックスの裏返しです。

    西塚 強がりということですか。そう考えるとわかりやすいけど(笑)。単純にそういうことなのか。

    ヤス コンプレックスの裏返しなので、敵意になったりね、極端な優越感になったりするわけです。極めてアンビバレント、ものすごく安定しないものですよ。

    西塚 どっちにしろダメですね。そういうメンタリティーは。

    ヤス ダメです。

    西塚 僕はどこに結びつけたかったかというと、集団になるとみんなロクでもないことをするから、どうしても個人ではないかと思うわけです。個人が個人たるときの、その感情のコントロールの仕方とか、どう生きていくかということ、世界とどう関わるのかということですね。

    そこでビリー・マイヤーその他、この対談のあちこちでキーワードも出てくるんですが、だから今、大きな話と中間と、そして個人までいくような話は、ある程度整理していかないといけない。一足飛びに上にいったり、個人にいったり、マクロとミクロであっちこっちしてると、それこそスピリチュアル的なワナにもハマってしまう。もはやそういう時代ではなく、いいかげんもっと違う展開を示していかなければならないところにきてるんじゃないかと思うんです。

    世界を見ると、それこそ前回の話にも出たリンダ・モールトン・ハウみたいな人が調査報道をして、言うべきことを言っていたり、インターネットの普及によって、おもしろい情報が山のようにある。

    高城(剛)さんのメルマガを読んでも共感したのは、インターネットの力というのは、ダウンロードではないと。アップロードだと言うんですね。僕もまったくそのとおりだと思います。要するに閉じるのではない。

    だから、閉じるのではなく、開いていくという方向、そこさえ一致すれば、僕はだいたい話ができるんです。いい悪いではなく、閉じる方向というのも理論的にはあり得ます。閉じていって、そこで何かしらの世界観を作って、そこで核爆発を起こすと言う人もいるでしょう。僕はそうではなく、まずは開いてからという立場ですね。

    ヤス そうですね。特に日本に関しては、われわれの持ってるような近代を乗り越えなければダメなんですよ。

    西塚 昔から言われてますね。

    ヤス 160年間持ってるこの居心地の悪いね、コンプレックスなのか優越感なのか、その裏返しとしての敵対心なのか、恐怖感なのか。とにかくこの居心地の悪さは、アイデンティティーの不安定性。これは乗り越えなくちゃダメだ、どこかで。

    西塚 「近代の超克」は昔から言われてますね。それこそポスト・モダンは思想界でも前から論じられています。たとえばフランシス・フクヤマも『歴史の終わり』みたいなことを言ってましたが、今言ってることはそういうことではない。近代的自我の超克のことを言ってるわけです。これからやらなければならないこととして。

    ヤス そうですね。いくつかの文脈で考えられるんだけども、今の文脈につなげて言うと、ひとつはこの日本的なアンビバレントなメンタリティーをどうやって乗り越えていくか。そうなると、日本的近代がどういう価値を持っているかということを理念化せねばならないわけです。

    それは、たとえばドゥーギンではないですが、ユーラシア主義であるとか、何でもいいですね。普遍的な価値観として許容可能なひとつの理念として提示せねばならない。これは日本文化に根差したひとつの理念なんだと。これが日本の近代が、特に戦後の日本が築いてきたわれわれの価値観であるということね。これを高らかに謳って僕はしかるべきだと思うんです。

    なおかつ、欧米が作り上げた哲学が普遍的な次元で遭遇している、いわゆる自我をどうやって超克するのか、ということに対する明確な解答をその価値観が提示することができれば、これはすごいことです。

    テクノロジーの進化は人間の意識を変革できるのか?

    西塚 そうですね。これからどうなるのか。たとえば高城さんは、1976年から95年に関してはPC革命だったと言う。96年から2015年まではインターネットの革命であって、これからどうなるかというときの論議として、やっぱりAIを分母として、ロボティクスとナノテクノロジーとDNA、要するに遺伝子工学だと言うんですね。

    だからやっぱり、外部から人間の意識がガラッと変わることが、テクノロジーの進化とともに出てくるというのは、わりと僕は信ぴょう性が高いと思うんです。でも、それはそれとして、どっちにしろそっちに進んでるのは間違いない。問題はそのときの内面ですね、人間の。

    ヤス もっと言うとね、意外に人間の内面は変わらない。たとえば160年前にできてるじゃないですか、われわれのこのアンビバレントなメンタリティーって。この160年で何をやったのか。インターネットが拡大して、10年前、20年前では信じられないようなテクノロジーが入手可能な状態になってる。スマホもそうだしね。それでも、われわれの基本的なメンタリティーは変わってないわけですよ。

    そうするとね、テクノロジーそのものによってメンタリティーが変わるということは、おそらくない。今までの歴史的な流れから言ってね。

    西塚 よく言われますが、たとえばカメラ・オブスキュアの発明によって、ダ・ヴィンチやフランドルの画家まで影響を与えたように、芸術の世界ではテクノロジーの変化によって意識が変わると言われるのは、単純に作品に対する意識とか、何と言うか、表現が変わってきただけであって、メンタリティーは変わらない。基本的なメンタリティーは変わってないだろうということですか?

    ヤス 変わってないと思う。

    西塚 それはおもしろいですね。

    ヤス コアのメンタリティーは全然変わってない。コアのメンタリティーが変わるためには、コアのメンタリティーが存在する領域に対する、何かの操作性のある働きかけをやらないと難しいと思います。その操作性は、ある意味で旧態依然とした方法なんですよ。理念化ということなんですね。

    日本人だったら日本人でもいいんですが、ああ、これだったらぴったりくるといったような、ぴったりくる理念化の方法があるんです。その理念化の方法が、たとえば自我哲学が遭遇してる極めて大きなアポリア、自我をどうやって乗り越えるか。そういうことに対するテーゼを提示できれば、普遍的な次元で賞賛されるわけです。そのような賞賛を受けることによってガラッと変わったりしますよね。

    むしろテクノロジーは、そのプロセスを早めたり遅くしたりするということじゃないかと思います。

    西塚 そうですね。影響が大きいということでしょう。あと、パソコンがあって、インターネットがあって、次に出てくるのはドローンだと言います。ドローン革命だと高城さんあたりは言うわけですね。あの人はかなり早くからドローンに注目していましたが、どういうこというと、インターネットのリアル化だと。

    次なる移動体、ポスト・インターネットとして、今ドローン革命で、どの国が最初にインフラを作るか、どこが最初に広めるかで、ものすごい競争がはじまってる。

    ヤス そうですよ。ドローンというのはけっこう単純な技術で、開発可能なんですね。だから、技術的に極めて困難なブレイクスルーがあってどうのこうのではなくて、今スマホに使用されてるようなカメラであるとか、通信技術であるとか、GPSとか、そういうものをドローンというフライングマシーンに合体させれば、簡単にできてしまうというくらい、ある意味技術的な水準はそれほど高くはない。つまりドローンで、どのような領域を通じて何をやるかなんですね。

    西塚 そこですね。その争いらしいです。

    ヤス それは争ってますね、今。

    西塚 やっぱりそうなんだ。

    ヤス 今、ものすごい勢いで争いが進展してて、ドローンを適用できるような新しい領域を開発したところがですね、シェアを独占するわけです。

    西塚 インターネット前夜と言われる93年には、アマゾンもヤフーもグーグルもなかった。あっという間に出てきた。そういうものが、これからも出てくるだろうということですね。

    ヤス 出てくるでしょう。びっくりするようなサービスが出てきますよ。ドローンに関係するようなものでね。今、グーグルが買い取った会社かな、全世界、たとえばサハラ砂漠であるとか、Wi‐Fiがまったくつながらない領域があるわけですね。インターネットも全然つながらない。そこに通信衛星ではなくて、ドローンを飛ばすわけです。ドローンと言っても、巨大な飛行機のようなドローンで、地上に降りないんです。24時間365日飛び回ってる。

    西塚 UFOみたいじゃないですか(笑)。

    ヤス これはアンテナなんですよ。

    西塚 燃料はどうなってるのかな。空中補給するのかな。

    ヤス いや、太陽電池で。

    西塚 本当にSFみたいな光景が見られる(笑)。

    ヤス ドローンで何か新しいビジネスの領域を切り開くということが、極めて大きな争いにはなってる。ここがポイントなんですが、だからといって、われわれのメンタリティーは変わらないんですね。

    西塚 それはまた別の話だということですか。ドローンでFedExみたいなものとか、通信でも何か変わるかもしれない。でも、メンタリティーとは関係ない話。根本的な話だと。

    ヤス そうなんです。だから、このメンタリティー、日本人の欧米に対するコンプレックスとアジアに対する蔑視とか、欧米に対する恐怖とか敵対心といったような、そういう3つのセットとしてあるメンタリティーを、教育の中で何が補強してきたかというと、僕は英語教育だと思う。これはロクでもないです。日本の英語教育というのは。英語に対するコンプレックスを徹底的に植え込むんですよ。

    西塚 要するに〇×ですからね。意味は通じても、ひとつ単語を間違えたら×なんですから。

    欧米コンプレックスを助長する最悪な「英語教育」

    ヤス そうそう。それは、完璧なティーチャーとして欧米人を祀り上げるんですね。それで、彼らの発音を真似よと。ああなれと。われわれが模倣すべき理想的な人格として祀り上げていくのが、日本の英語教育だったんです。

    西塚 それは意図的なのか、それとも自発的にそうなったのか。

    ヤス 自発的です。GHQがどうのこうのとありますけど、GHQもやりましたよ。GHQは何をやったかというと、アメリカは実はいい国なんだよということを宣伝するような教科書をたくさん書いて、これで英語を教えろとやるわけです。

    それをアメリカはやるんだけど、日本人がね、GHQの予想を超えてのめり込んでいく(笑)。ここまで受け入れられるとは思わなかったと、GHQの報告書が述べるくらいにのめり込んだわけですね。われわれが選び取った。

    西塚 やっぱり、雰囲気なんでしょうかね。前も同じ話をしたかもしれませんが、小林よしのりのマンガであるんですよ。簡単に言うと、小林よしのりの実家筋が真言密教か何かのお寺で、家族の集まりがあって、植木等もそこにくることになった。

    植木等の家も真宗系のお寺なんですね。それで、超有名人がくるってことで、みんな親戚が右往左往して準備している。それは植木さんには失礼だろうとか、食事は何を出そうかとか、どこに座ればいいかとか、そういうことでしょう。みんな準備に追われて大騒ぎしてる。

    それを親戚の小さな子どもが見てるわけです。大人たちが右往左往してるところを。やがて植木等がくる日になって、それでみんなもう下にもおかない気遣いをして、招き入れる。そしてずっと一連の流れを見ていたその子どもの何とかクンは、見ると植木等の前で土下座をしてるんですね。子どもが。誰もそんなことを強制してないんですよ。それでみんながびっくりするという。そういうマンガだったんです。実話らしいんですけど。
     
    何で土下座したのか。要するに周りの雰囲気を感じ取って、これはとんでもない人がくるに違いないと子ども心に思った。自分に何ができるかとなれば、やはりそうなるわけですね。僕は、けっこう笑えない話だと思いました。

    その何とかクンのような日本人がたくさんいてですね、ましてや官僚の上の連中みたいのが、これは違う、この発音は欧米とは違うとか、その教え方はちょっと違うんじゃないかと右往左往するのを下が見ていれば、どんどんモンスターが作られていくわけですよ。欧米がモンスター化していくわけですね。

    それで何だか知らないけども、宗教みたいなことになっていくという。だから、やはり上の態度なんでしょうか、結局は。

    ヤス ただ、上の人たちは、自分たちが自主的にやってるんじゃなくて、それを当たり前のこととしてやっている。

    西塚 そうか。そこが怖いとこだな…

    ヤス 欧米に対してコンプレックスを持ってね、彼らを優秀な民族として崇めたてまつるというのを、当たり前のこととしてやってるわけですよ。英語教育によってそれを補強してるという自覚もないですね。だから、日本の英語教育は根本から間違ってる。もっと間違った方向にいこうとしてますね、今ね。

    西塚 何か変えましたよね。

    ヤス 小学校から英語を導入する。なおかつ、喋れる、コミュニケーションできる英語にしなくてはダメだということで、どんどん外国人のティーチャーアシスタントというのをね、TAというんですけど、どんどん導入すると。

    西塚 それはいいんじゃないですか? ネイティブの言葉は。

    ヤス ネイティブはいいんですよ。何かというと、彼らは崇めたてまつるアイドルの対象なんですね。彼らと同じように発音せねばならない。

    西塚 ああ…

    英語の「発音」にこだわる人間の愚

    ヤス たとえば、ショーンKが相当引き落とされましたけど、その引き落とされ方を見てるとそうですね。いろんな雑誌がネイティブスピーカーにインタビューをして、それでショーンKの英語はどうですか?と。そうしたら、あの発音はおかしいと、発音の批判からはじまるわけです。

    西塚 え? 彼の英語は発音がおかしいですか?

    ヤス いや、僕は全然おかしいと思わない。

    西塚 ヤスさんも前に、ショーンKの英語は、勉強してるとしたら相当勉強した人で、全然問題ないとおっしゃってましたね。僕もYouTubeで見ましたが、本当にネイティブじゃないですか。

    ヤス ネイティブですよ。それを無理にですね、いろんな外国人に聞かせて、発音がおかしという言質をとってくるんですね。何かこれちょっと違和感あるよねって。

    西塚 それは悪質ですね。

    ヤス 悪質です。そうやって、あれは日本人の発音なんだからということで、無理矢理引き落としていくというやり方です。

    西塚 それ、誰がやってるのかなあ…

    ヤス それは、やってる本人自身、意識はしてないかもしれない。日本人だったら、絶対ネイティブの英語のはずはないだろという思い込みですよ。それは絶対発音に出るはずなんだと。じゃあ、オレが証拠をつかんでやるってなもんですね。

    西塚 じゃあ、前回のお話じゃないですが、まず感情ありきで、気に食わないと思ったら
    それに合わせた証言を取ってくる。

    ヤス そうです。

    西塚 最悪ですね。

    ヤス 最悪です。英語を喋ることは、まず発音なんだと。われわれが欧米人並みにならねばならないと。

    西塚 意味が伝わればいいですよね。

    ヤス そうです。伝わればいいだけです。本当に。はっきり言って、インド人の英語が聞き取れるのか? シンガポール出身の人たちの英語ってわかるのか?ですよ。彼らなんて、ローカルなアクセントだって欧米人が言ったら、わかれ!って怒鳴り散らしてますよ(笑)。お前、オレの英語がわからないのかと言って。オレはマネージャーだぞ。聞き取れって(笑)。

    おもしろい話があって、ルーマニア出身のハーバード大学の教授がいた。この教授の英語が、あまりにもルーマニア訛りが強くて聞き取れない。そうしたら学生がですね、ハーバード大学の本部に文句を言いにいったらしいんですね。あまりにも訛りが強くて聞き取れないと。

    そうしたら大学側が、聞き取れと(笑)。お前が聞き取れと言って、学生を諭したらしいんです。聞き取れるようになるのはお前の義務だと。別に正しい、スタンダードな英語なんてない。これは彼の英語だ。聞きとれ!(笑)

    西塚 すばらしいですね。

    ヤス そうなんです。そういうものだということです。だから英語の訛りなんて誰も責めない。聞いてもないですね。中身があるかどうかが勝負ですよ。そのかわり、中身がないと判断されたら怖いんですけどね(笑)。

    西塚 なるほど。

    ヤス アホなアメリカ人ほど発音にこだわる。高卒でね、頭がパッパラパーのアメリカ人ほど、われわれが世界でナンバーワンだと思ってるから、こだわる(笑)。

    西塚 話の内容ではなく、お前の発音はよくわからんと、そっちになっちゃう。

    ヤス そう。だから、中身がないからなんですよ。中身のある人たちは発音のハの字も言わない(笑)。

    西塚 何が議論になってるのかもわからないような人たちだとしたら、話にならないですね、そうなると。

    ヤス ならない。だから今言ったように、ちょっと話が戻りますけどね、日本の英語教育の罪って巨大です。

    西塚 そうですね。僕はあまり考えたことはありませんでしたが、ヤスさんは英語の教師もやってらしたから敏感だったのでしょうけども。けっこう、それは深刻な話しかもしれません。

    ヤス いや、深刻ですよ。本当に。

    「正しい英語」というのはない!

    西塚 それがある限り、たぶん延々と日本人の欧米コンプレックスは抜けないですよ。海外にいったヤツは別ですけど。

    ヤス たとえば、日本の企業でも商社マンであるとか、海外で仕事をやらざるを得ない人たちはすごく多い。彼らの英語なんていったら、ジャパニーズイングリッシュそのものです。それでいいんですよ、別に。誰も咎めないというか、それでいいとわかってやってるわけですね、みんなね。

    西塚 ソフトバンクの孫(正義)さんなんかも、中学生レベルの英語らしいですが、けっこう商談をまとめるっていいますからね。

    ヤス そうですよ。それでいいんですよ。

    西塚 ちゃんと言いたいことを言う。

    ヤス だからね、向こうは中身しか聞いてない。

    西塚 楽天の三木谷(浩史)さんにしても、大してうまくないんだけど、ちゃんときっちり伝えられるといいますね。

    ヤス そうです。ただ、それだけ。言ってみれば、スタンダードの英語はないっていうことなんです、今ね。これがスタンダードだと感じてるような人たちこそ、ローカルな英語だと言われてるんです。英語ってスタンダードじゃなくて、国際言語だからね。ただ、中身が通じないと話にならないというだけ(笑)。

    西塚 そういった意味では、英語と米語は違うということはありますか?

    ヤス 米語というか、アメリカだって、やっぱりいろんな地域がありますからね。まあ、米語はありますよ。

    西塚 いわゆるアメリカンイングリッシュと、それこそキングスイングリッシュとは言わないけども、意外とイギリス人はアメリカの英語をバカにすることがあると聞きましたけども。

    そう言えば、以前、僕の知人の女性がイギリスの労働者階級の人と結婚したんですね。それで僕の家でその結婚式のビデオを見てたんです、仲間とみんなで。その仲間の中に貴族出のイギリス人がいた。そのビデオは、結婚式でちょっとパーティーをやってるときのビデオだったんです。

    それでみんなでワイワイガヤガヤ言って見てたんだけど、昔からその貴族出のイギリス人はシニカルなことしか言わないんですが、何かニヤッとしてるから、どう思う?って聞いたら、いや、英語がどうのこうのって言うんです。言葉がどうしたこうしたと。そんなことは誰も気にしてないので、こいつは何を言ってるのだろうと、ちょっと印象的でしたね。

    要するにちょっとバカにするわけですね。言葉のやりとりを聞いて、やっぱり下のクラスだなみたいな意味だと思うんですが。

    ヤス 残念ながら、そういうことを言う人というのは、中身で勝負できない人ですよ。語学のことを言う人は、中身で勝負ができないんですね。

    西塚 それで、去年カミさんが娘とイギリスにいったときに、その貴族出のイギリス人に会ったらしいですが、ちょっとしょぼくれてたらしいんですね、いろんな意味で(笑)。

    ヤス 極端に言うと、社会的な競争力のない人ですね。

    西塚 まあ、そうかもしれませんね。人のことは言えませんが(笑)。

    ヤス だから言語というのは、そういう人たちが優越感を保つためのひとつの受け皿になるわけです。悪い意味の受け皿です。

    西塚 僕は英語というといろいろ思い出すんですが、小島信夫という作家がいて、彼は東大の英文科を出て、『アメリカン・スクール』で芥川賞をとった小説家ですね。明大かどこかで英語を教えてたはずです。

    彼の小説で、いとこか誰かが、独学で英語を勉強してるといった話がありました。それは英和辞書で単語をかたくなに学ぶといったもので、小島がそんなことをしても英語は学べないよみたいなことを言う。でも、その彼は余計、意固地になって辞書と首っ引きになるわけです。それをまた小島が何となく批判的に見てる、憐れんでいるというような話でした。その彼のかたくなな感じがよく出てて、何ともやり切れないような話でしたね。

    ヤス 僕から見ると小島さんにしろ、そのかたくなに英語を辞書で勉強してる人も、両方ともかたくなだなと思いますね。

    西塚 ああ、なるほど。

    ヤス だから、正しい英語はないんだってことを、まず自覚せねばならないということですね。相手に通じるための最低限の文法しかないということなんですよ。最低限のボキャブラリーしかないということ。それをつなぎ合わせて、お前は何が言いたいのか、ということだけです。本当に。

    西塚 特に英会話に関してはそうでしょうね。前にヤスさんがおっしゃったことで印象に残ってるのは、英会話とは別にですね、たとえば翻訳したり、英文を書くといった場合は、また意味合いが違ってくると。英会話でコミュニケーションするということに関して言えば、まったくそのとおりですね。伝わればいいんだし。

    ヤス 伝わればいい。お前はアメリカ社会に受け入れられたいのか? アメリカに住むのか? 住むんだったら話は別ですよ。住んで、ローカルコミュニティーの一員として、自分が認められたいというのであれば、それなりの作法を学ばなくてはいけないし、向こうの文化を学ばなくてはいけない。でも、そうではないだろと(笑)。

    海外にいって英語を喋りたいんだろと。それは旅行者か、ビジネスマンかはわからないけど、やっぱり訪問者ですよ。そうすると会う人間も限られてくる。そういうローカルな他人たちではない。ちゃんと用があって会う人たちですね。ビジネス的な用がある。何かコミュニケーションの必要性があって会う人たちですね。

    西塚 旅行者にしても、タクシーの運転手だったり、ホテルマンだったり、レストランの給仕だったり、そういう人たちと会話ができればいいだけですね。

    ヤス ビジネスの交渉だってそうですよ。言ってることがわかるかどうかなんだってこと。だからね、発音がどうのこうのってネイティブが言うんだったら、そいつは大したことないヤツだから、話をするなということです。

    西塚 (笑)。

    ヤス ロクでもない(笑)。本国で社会的な競争であぶれて、日本にきた連中だから。

    西塚 僕もこんな英語ですが、海外にいってそういうふうに感じたことは一回もないですね。

    ヤス ないでしょ? そうですよ。

    西塚 喋ってると向こうが、ん?と、聞こえなくてもわからなくても、質問されたりして、理解しようとしてくれますね。それでコミュニケーションくらいはとれる。むしろ日本人ですね、発音が違うとか…

    ヤス だから、そういう日本人とつき合ってもしょうがないです(笑)。英語ができるということに優越感を持ってるような日本人というのは、どういう人たちなのかということです。それ以外に何か誇れるようなアイデンティティーない人たちが多い。

    西塚 そういった意味でも、英語は象徴的ですね。確かに。欧米コンプレックスの象徴でもあり、日本人のある種のメンタリティーの弱さの象徴でもある。それはおもしろいな。

    ヤス だから、英語を喋るということをひけらかす人間は、信用できないから、やめろと。

    西塚 (笑)。

    ヤス アホみたいな連中なんですよ。それしか自分のプライドを確保する根拠がない連中の集りだということです。

    西塚 いや、でもヤスさんが言えばいいけど、英語ができないヤツはそれを言えないんですよ(笑)、普通は。

    ヤス でもね、英語ができなくていいんですよ。それは本当に。

    西塚 まあ、そうなんですけど。

    ヤス それはやっぱり、(西塚が)コンプレックスを持ってるから(笑)。

    西塚 いやあ、でもやっぱり、じゃあ、お前喋ってみろと言われて、いやオレは喋れないけど、関係ないよと言ってもいいんだけど…(笑)

    ヤス それは、韓国語だったら言えるじゃないですか(笑)、中国語だって言えますね。別に中国語が喋れるからって、エラソーな顔して何だよ、お前、オレできないよとか(笑)。

    西塚 そうそう。でもですね、たとえば、私は英語が喋れないと。あんなものは言語的にどうのこうのと言って、日本語のほうがずっと優れてるんだというのも、ある種コンプレックスの裏返しだと思うんです。

    ヤス 裏返しだね(笑)。

    西塚 それも違うなと。でも、おもしろい話ですね。われわれが当たり前だと思ってるものの中に、実はわれわれが克服しなくてはならない、ものすごく大きな問題が隠されている。そういうことの象徴という意味では、英語教育というのはまったくおっしゃるとおりだと思いました。それが非常に興味深かったです。

    もう、そろそろ時間もきましたので、また次回よろしくお願いします。今日はありがとうございました。

    ヤス こちらこそ。ありがとうございます。


    むちゃくちゃおもしろかった講談

    筆者は月刊ザ・フナイの連載を書いていたが、読者の方に講談師の方がおり、会う機会があった。筆者は講談はこれまで聞く機会がなかったが、実におもしろかった!今後はスピリチュアル系の講談をやるそうである。サイトに音声ファイルがあるので聞いて見たらよいだろう。

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